それと今後の予定ですが、今回+授業参観(数話予定)+1話で番外編完結です。もう力男達でやりたい話は殆どやりましたし、別の作品にも手をつけたいので。
「リキえもん~」
「誰が3mm浮いてる猫型ロボットだよ」
「え、ドラ◯もんって3mm浮いてるの? 初めて聞いたわよ」
俺とランは夏休みの頃にパフェ食べ放題を成功させた景品として貰った半額券を片手に、ラブリーロードのテーブル席で昼食を取っていた。
その前に色々と遊んでいて遅めの昼食となってしまったからか俺ら以外に客は居なく、緑も今はやる事が無いのか俺らの席に座って話に混ざってきた。
ところでラン。ちょいちょい俺の事をリキえもん呼びしてくるけど、もしかして気に入った? 俺別にポケットからなんでも出せる訳じゃないし、青いロボットでも無いんだが。
「なんだ緑、ドラ◯もん3mm浮上設定知らなかったのか? この設定は義務教育の筈なんだが」
「そうだぞ緑ちゃん。身長や体重も基本知識だぞ」
「聞いた事が無いわよそんな常識……ところで幾つなのかしら?」
「全部129.3だ!」
「覚えやすいわね!?」
なんなら胸囲、頭のまわり、足の長さ、パワーも全部同じ数字だったりする。ちなみにドラ◯もんの誕生日は9月3日なのでこの法則には当てはまらない。まぁ誕生日が12月93日なんて奴はそもそも存在しないけどな。
「ところで緑ちゃん。今度授業参観があるけど、緑ちゃんの所は誰か来るのか?」
「私? 私の所は……どうかしらね。丁度授業参観の日が毎年一日限定メニューを出す日と被っているのよね」
「別に休めば良いんじゃねぇのか?」
自分で言っておかしな話だが、口で言うよりも簡単に休めないのはちゃんも理解している。けど時期を一日ぐらいズラせたりはしないのかは少し気になる。食材が腐るとかって理由だったら仕方ないとは思うけどな。
「一応は看板メニューのような立ち位置になってるのよね。食材も結構前から用意してるし、その日に合わせて休みを取る人も居るほどにね」
「あー、準備が進んでるから時期をズラすのが難しいのか」
限定メニューの日に合わせて休みを取る人が居るなんて、そこまで人気なんだな。どんなメニューなのか気になるが、授業参観があるからなぁ……だからなラン、そんな目を輝かせて俺を見るな。無理だからな、そんな人気だったら学校終わる頃には売り切れてるからな。
「そうなのよね。まぁ私としては授業を受ける姿を見られるのは少し恥ずかしいから、あまり見ないで欲しいけれどね……それで、二人はどうなのかしら?」
「オレの所は無理だな! 遺跡の探索中で連絡がつかない!」
「ランの両親は何の仕事をしてるのよ……」
「探検家だ! この前帰って来た時は黄金のパズルを持って帰って来た!」
「金のパズルなんて存在したんだな。何処にあったんだ?」
「エジプト!」
「千年パズルじゃねーか! 今すぐ中身ごと冥界に返却してこい!」
何してるの? ねぇ、何してるの?
それ明らかに中に王様入ってるよね、記憶喪失の名も無きファラオ入ってるよね。つーか千年アイテムって合計7個だったよな。もしかして残りの6個も何処かに眠ってたりする?
「それで力男の方はどうだ! 来れるか!?」
「俺の所もなぁ~。つーか海外に居るから多分間に合わない」
「みんな忙しいのね」
授業参観のお知らせ自体、2週間前に配られたばかりだからな。緑みたいな自営業や、俺やランのように海外に居る親は来るのが難しいだろうな。一応連絡はしたけど、来るの難しいってメッセージ返ってきてたし。
「いらっしゃいま……えっ!?」
「ん? どうした緑」
この場に居る全員の親が来れないと分かり、授業参観の話題から何か別の話題に変えようとした時、ラブリーロードの扉が開いた。
誰か客が来たのだと思い、緑は会話を切り上げて接客に戻るんだろうなぁとボンヤリと考えていると、突如として緑が驚いた声を出した。
「ふっふっふっ~。おひさ~緑ちゃん、元気にしてたかな~?」
入り口を見る緑の視線に合わせるように俺も視線を向けると、そこには大学生ぐらいの薄いエメラルドグリーン色の髪をした女性が立っていた。
緑の名前を知っており、明らかに目立つような髪の色である程度の推測を立つ。緑の両親は裏に居て、緑には兄妹姉妹が居ないのは前に聞いた。だから目の前の女性は緑の親戚か何かなんだろうと。
「緑、知り合い?」
「…………私の従姉よ」
ああ、うん。やっぱりか。
俺はそう心の中で呟くのであった。
「こんにちは~緑ちゃんのお友達。私は緑ちゃんの従姉の『
「こんにちは! オレはランで、此方が力男だ! 緑ちゃんとは同じクラスで友達なんだ!」
「え、俺の自己紹介奪われた?」
「あ、悪い力男。名乗って良いぞ」
「もう全部お前に紹介されたんだが?」
この状態でもはや俺は何を紹介すれば良いんだよ。
まぁ良いや、このパフェについてるさくらんぼ一個でチャラにしようじゃねぇか。あ、そうえばランはさくらんぼの茎結ぶの出来るか? いや、手でやるんじゃなくて舌でやるんだよ。
舌でこうやって……こう、やって……ほら出来ねぇ! え、難しくね? 舌で茎結ぶの難しくね? なぁラン、思ってた以上にこれ難しいな。ランもやってみろよ。
まぁそう簡単に出来るわけ……いや出来るのかよ。器用にも程があるくね?
「仲の良いカップルね~」
「つぼみ姉さん。この二人は単に距離が近いだけよ」
「へ? なんだ~。漫画の良いネタになると思ったのに~」
「漫画のネタ?」
「実は私、こう見えても趣味で漫画を描いているんだよね~」
「どんな漫画描いてるんだ!?」
「ふっふっふっ~。よく聞いてくれたね~」
漫画に対して反応するのを期待していたのか。
つぼみさんは目を輝かせると、カバンからベレー帽を取り出して「いかにも私は漫画家です」と言う風貌を出し始めた。今被る必要あったか?
「実はこういった漫画を描いているんだよね~」
「…………あの、つぼみさん。カバーで表紙が見えないんだけど」
俺はつぼみさんがカバンから出した漫画を覗き見るが、何故だかそれは表紙が見えないよう茶色いカバーが付いていた。カバーを取れば中身を見れるのだが、無理矢理漫画を取ってカバーを外すのは流石に失礼だろう。
「18禁だからね~中学生には見せられないよ~」
「ならなんで出した!?」
俺は実年齢20越えてるからともかくとして、肉体年齢はまだ中学生なんだけど。中学生に対して18禁の本出すんじゃねーよ!
ちなみに俺はちゃんと年齢制限は守る派なので、酒はタバコは当然として18禁のモノも手を出していない。ゲームはその内容に対しての
「冗談だよ~。本当は全年齢対象だよ、ほら~」
若干疑いの気持ちを抱きながら、つぼみさんがカバーを外した本を確認すると、ちゃんと表紙に全年齢と書いて……いや年齢制限について書いてあるのかよ。
なるほど。距離の近い中学生の男女がふとした瞬間に互いを気になり始めて、途中でギクシャクしながらも段々と恋愛に発展していく物語か。
最初から距離が近かったら恋愛感情持ってるだろとか、こんなに距離の近い中学生男女が居るわけないだろと思う所はあるが、あくまで創作だしな。その辺りを突っ込んだらキリが無い1。
「ラン、先に読んで良いぞ」
「さくらんぼはもう上げないぞ?」
「俺そんな食い意地張ってないが!?」
凄い読みたそうにしてたから譲っただけなんだが。
俺はランがつぼみさんの本を読んでいる間に、自分のショートケーキに乗っているイチゴをランのパフェへ乗っける。ランよ、これでチャラにしてくれ。
「君は読まなくて良いのかな~?」
「ランが読みたそうにしてたから譲った。一緒のペースで読むことも出来るけど、流石に店の中だと態度が悪いだろ」
今の席順は俺の目の前にラン、俺の左に緑、俺の左前につぼみさんとなっている。ランが本を前に出せば文字や絵が反対ではあるけれど読むのは一応可能だ。
ただ、それすると本が汚れるかもしれないからなぁ。俺らの座っているテーブルにはジュースやパフェなどが置いてある。万が一それが倒れでもしたらと考えると、俺が読むのは後にした方が良いだろう。
「優しいね~。君には特別に100つぼみさんポイントを上げよう~」
「え、何そのポイント」
「1つぼみさんポイントで1円分の買い物が出来るよ~」
「ポイントカードかよ!?」
「ふっ、勝ったわね。私は5万6000つぼみさんポイントよ!」
「誰もポイントを競った覚えは無いが?」
「私はこのポイントを使ってつぼみ姉さんの本と交換するつもりよ」
「誰も用途を聞いた覚えは無いが?」
「悪いけどこのポイントを譲るつもりはないわ」
「誰も欲しいと言った覚えは無いが?」
ランは漫画読んでるし、つぼみさんはランの反応を見てずっと微笑んでるし……あの、誰か助けてくれ。緑に限った話じゃないが、俺の周りには人の話を聞かず自分の世界に浸る奴が多すぎる。
「つーか緑。薄々思ってたが、緑が恋愛好きなのってつぼみさんの影響か?」
「ええ、そうよ。昔からつぼみ姉さんの描いた漫画を読んでいてね。私もいつの日か漫画みたいな恋をしたいと思ってたら、いつの間にか……ね」
「やっぱり」
そんな漫画みたいな出来事起こらねぇよと言いたいが、転生してる俺や魔法少女になった緑、更には邪神なんてのが存在してたりと、思いっきり漫画のような事が起こっている以上、何一つ説得力が無いな。
「そうえばつぼみ姉さん。今日は何しにきたのかしら」
「緑ちゃんの両親に代わって、緑ちゃんの様子を見に来たんだよ~」
「なるほど。つまり授業参観か!」
「そうだよ~」
「大学で忙しいのに悪いわね」
「大丈夫大丈夫~。それにお店を切り盛り緑ちゃんの両親の方が忙しいでしょ? 私もちょうど気になってたから良い機会だと思ってね~」
タイムリーと言うべきか。
俺達がさっきまで話していた授業参観に、両親の代わりにつぼみさんが来てくれるようだ。良かったな緑。少し恥ずかしいかもしれないが、人生何が起こるか分からないんだ。突然世界が無くなったり、転生した先で因縁の相手と再開したり……いや、オレのこれはちょっと特殊かもしれないけどさ。
まぁ何にせよ、こういう機会は大事にしておけ。つぼみさんに変な所を見られないように頑張れよ。
…………ただなぁ。授業参観の為に此方に来たのは分かったけど、一つ気になることあるんだよなぁ。
「ところでつぼみさん!」
「ん~? なにかな~?」
「授業参観は三日後だぞ!」
「…………あれ~?」
そうなのだ。
今ランが指摘した通り、授業参観があるのは三日後である。つーかそもそも今日平日なんだが。平日でも授業参観する所は探せばあるだろうが、俺達の学校は土曜の午前にやって月曜日は休みなんだが。
つぼみさんが手帳を取り出して予定を確認する。
今月のページを開き、今日の日付と授業参観の日付を確認すると、やはりと言うべきか。三日ほど日付がズレていた。
「日付を間違えてたよ~あはは~」
「大丈夫かこの人」
「友達と居る時は日付を間違えたりしないんだけどな~」
「その友達がしっかりしてるからじゃねぇの?」
「そう~? 自称メイドの不思議な子だよ~」
「何故かしら。凄い心当たりのある人の特徴が聞こえた気がするわ」
「奇遇だな。俺もだ」
あんな特徴的な人が二人も居てたまるかよ。
あの人が大学生なのは前にガク先輩から聞いたけど、まさかつぼみさんと友達だったとは。世間は狭いと言うが、あまりにも狭くない? もしかして世間と書いて身内と呼んだりする?
「ふぅ。面白かった!」
「それは良かったよ~」
俺らが話している間にランは漫画を読み終わっていたようで、つぼみさんに漫画を返却して感想を喋り始めた。
おい待てラン。人間とバナナのDNAは50%一致してるから、実質自分が好きなのは主人公の男じゃなくて、バナナなんじゃないかと悩むヒロインってなんだ。内容めっちゃ気になるじゃねぇか。
「それじゃあ私はそろそろ帰ろうかな~」
「え、もう帰るのか!?」
「実の所、つぼみさんは今日提出の宿題をまだやってないのだ~」
「何してんだこの人」
つぼみさんが描いた漫画の内容が凄い気になるが、帰るなら仕方ないか。それに勉強は大事だ、
「日付を間違えたから仕方ないのだ~。と言うことでこの本は力男くんに貸してあげるよ~」
「え、良いのか?」
「うん。立派な海賊になったら返してね~」
「俺別に
俺が漫画を読めなくて残念がっていたのを雰囲気で察したのか。つぼみさんはランに先程まで貸していた本を渡してきた。
俺は海賊にはならないが、今度会った時━━━具体的に言うと授業参観の時━━━に返すとしよう。それまで丁寧に扱わないとな。
「それじゃあ三人ともまた今度~」
「ええ。今度は学校で会いましょうね」
【
緑の従姉。詳しく言うと、緑の母親の姉の子ども。
漫画家志望の大学生だが、漫画に関する知識以外も必要だと考えているので、美大ではなく普通の大学に通っている。自称メイドとは高校から付き合いで、互いに「不思議な子だな」と思ってる。
番外編その4でチラッと存在を仄めかしていたが、緑が恋愛脳になった原点なのと、自称メイドと友達な事以外の設定は何も決めていなかったので、わりとテキトー。
作中でも触れてますが、何人かの親は授業参観に来ないです。これに関してはメタ話になりますが、新キャラをポンポンと出すと誰が何を喋ってるか分かりにくくなりますからね。学生ネームド9人の親を出すと、新キャラ12人も出る事になりますし。
(マホの両親は登場済。リュウの両親は死亡済。咲黄と優正は兄妹だから親が同じ。9×2-6で12人)
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