まさかゴリラのフレンズだと思われていた東堂が、かばんちゃんと同じヒトのフレンズだと判明した時は驚きましたね(存在しない記憶)。
今回のタイトルは悩みに悩んで良いのが思い付かなかったのでテキトーに決めました。
「どうもこんにちは。俺は」
「ふふふ。初めまして力男くん、いつも心が世話になってるね」
「え? ああ、いえ。こち」
「ふふっ。こちらこそだなんて、凄い礼儀正しい子ね」
「すみません人の話を」
「力男くんが礼儀正しいとは珍しいね」
「ねぇ、俺にちゃんと喋らせてくれない?」
上からガク先輩の父親、母親、そしてガク先輩。
初対面なのもあって丁寧に挨拶しようとするが、俺の言葉を勝手に推測して先回りして被せてくる。しかも三人全員。
ちゃんと人が話し終わるのを待ってくれ。
それと人の思考を読んで先回りしてくるな。ガク先輩もそうだが、もしかして頭の回転率速すぎて俺の喋る言葉読んでる? 素でテレパシーに近い能力持ってるの?
「ふふふ。おっと、すまないね。つい人の思考を読む癖が出てしまったね」
「聞いたことない癖なんですが?」
「ふふっ。この癖は便利よ。会話を省いてツーカーで連絡出来るのよ」
「それは同じ癖を持ってる同士限定ですよね? 俺は現在進行形で置いてかれてるんですが」
「ふむ。やはり力男くんは面白いね」
「何処に面白さ感じてんだよ」
ガク先輩の言う俺が面白いって、俺で遊ぶのが面白いって意味だよな?
俺で遊ぶのは止めてくれガク先輩。ただでさえ、ツッコミが全体的に足りなくて振り回されてるって言うのに……。
「ふふふ。力男くん、ここで会ったのも何かの縁だね」
「切って良いですか?」
「ふっ……やはり君は面白いな。心から聞いてた通りだね」
「え、ガク先輩からなんて聞いてたんですか? 怖いんだけど」
「ふふっ。弄りがいのある面白い後輩と聞いてるわ」
「俺はオモチャは何かか?」
家族に俺の事を楽しそうに話してるし、大切に思ってはくれてるんだろうけど、もう少し扱いとか紹介の方法どうにかならない?
「ふふふ。それで話は戻すけれど、心と一緒に写真を撮っても良いかね?」
「え? まぁそれぐらいだったら別に良いですけど……そろそろ次の授業が始まるので、また後でも良いですか?」
俺はガク先輩の父親から目線を切り、教室の時計へと移す。
次の授業まであと3分。俺は
写真を撮って教室の移動をすませる時間を考えたら、授業が始まるまでに教室に戻れるかは微妙である。
優正に連れられて窓から戻れば一瞬だろうが、写真を撮るとなればランや勇子辺りが「自分を写りたい」と喰い付いてきて、すぐ時間が経ってしまうだろう。
「おっと、すまないね。私としたことが時間を忘れていたよ」
「ふふっ。きっとずっと徹夜で研究していたからね」
「ちゃんと寝ろよ……」
「「心の授業参観を見るために頑張った結果さ!」」
「うるせぇ、そこだけ息ぴったりになるんじゃねぇ!」
ガク先輩から研究第一の部分を抜いて、代わりに親バカな要素を入れたような二人だな……まぁ親子だから、似てる部分は当然あると言われたらそれまでだけど。
「では力男くん。放課後に写真を撮ろうではないか」
「おう。じゃあなガク先輩」
写真を撮るのは放課後━━━きっとガク先輩もランや勇子辺りがカメラに喰いつきてくると思い、時間が有り余ってる放課後を指定したのだろう━━━にしようと約束し、ガク先輩とその両親は教室を出た。
「さて、と……」
俺は一息付いて教室に目を向ける。
ガク先輩が教室を出ていったと同時に、優正も授業が始まる時間だと勘づいたのか自分の教室へと戻り、咲黄と緑とつぼみさんも、そんな優正に付いていくように捌けていく。
一方でマホはランの催眠術によって爆睡中、勇子は自身の母親と、リュウはワタカラと話しており、ランに至っては俺の背中に張り付いている。
退けラン、自分の席に座れ。俺の背中に脚を乗っけるな、体重掛けるな、勝手におんぶの体勢になるな。降りろ、俺の頭の顎を乗っけるな。
「マホ起きろ。次の授業が始まるぞ」
「うーん、ムニャムニャ。最高級1日1個限定希少品色違いメロンパン……」
「豪華すぎない?」
勇子とリュウはチャイムが鳴ったら勝手に席に戻るだろうからともかくとして、寝ているマホを授業が始まる前に起こさなければと声を掛けるが、無駄に豪華そうなメロンパンの名前を呟くだけで起きる気配が無い。
はぁ……普通に声を掛けるだけじゃ駄目か。やっぱりマホを起こすにはあの方法しか無いか。凄い原始的だけど多分引っ掛かるはずだ。
「あっマホ、あんな所にメロンパン」
「ガタッ! 力男さん、メロンパンは何処ですか!」
「メロンパン!? 力男くん何処!?」
「なんで勇子も反応してんだよ! ねぇよそんなの!」
俺はテキトーな場所に指を差してメロンパンがあると伝えると、マホは机と椅子を揺らして飛び起き、勇子も何故か反応してきた。食いしん坊すぎない? そんなに食いたいならあとでメロンパン奢るか。
「勇子もマホちゃんも相変わらず騙されやすいわね」
「ちっ、違うよお母さん! 力男くんの嘘が上手いんだよ!」
「そうですよ。私達二人を騙せる力男さんが凄いだけで、私達はそう簡単に嘘に引っ掛かりませんよ!」
俺に責任転嫁しないでくれない?
勇子の母親はため息混じりに、二人が俺の単純な嘘に騙されている様子に呆れた表情をする。
二人は俺の詐欺力が高いのであって、自分達は人を疑う力があると説明しているが、今までの光景を振り返ると説得力が微塵も存在しない。
だが、そこまで疑う力があると言うのなら、一度だけ試すとしよう。もしこれで一切疑わなかった場合、なんかもう色々と心配になるし。
「…………あー、あんな所にUFOが飛んでるなー」
「え、UFO!? 何処、何処!?」
「何処ですか力男さん、何処に飛んでましたか!?」
「よしこの網で捕まえよう!」
「宇宙人って実在していたんですカ!?」
「任せろリュウ、私がすぐに捕まえてこよう。ところでUFOが何処だ、何処にも見当たらないが」
「釣られすぎだろ!」
俺は外へ視線を向けてUFOが飛んでると嘘を付くと、勇子、マホ、ラン、リュウ、ワタカラの5人が喰いついてきた。
多くない? 釣糸一本垂らしたら、大量に魚が釣れた時のような驚きなんだけど。まぁ俺釣りした事ないからこの例えあってるか知らんけど。
「…………将来が不安ね」
「否定出来ねぇ」
「なんか残念なモノを見るような目をしてるけど、お母さんも力男くんもどうしたの?」
「なんでもないわよ。うん」
「気にするな。それより授業始まるぞ」
ようなじゃなくて、そういう目なんだよ。
そう口には出さず、俺はランがUFOを捕まえようと取り出した網を、教室のロッカーに片付けている様子を見て「そんな所に閉まってたのかよ」と呟き、自分の席へと座る。
「ほら、そこだと邪魔になるから後ろに行くわよ」
「うぅ。勇子の授業に間に合わなかったなんて……」
「まだ泣いてるの? ほら、次の授業は始まるわよ」
「でも、でもぉ……!」
「あまり変なことしてると勇子に嫌われるわよ」
「よし。今すぐ後ろに行こう!」
一方で勇子の父親はようやく復活していた。
あぁ……そうえばずっと落ち込んでいた状態だったな。すっかり忘れてた。
「これから2時間目を始めるぜ」
「うう。やっぱり緊張するねマホちゃん」
「そういう時は手のひらに人と書いて飲み込むと緊張が解けますよ」
「え、本当!?」
「あくまで噂ですけどね」
「人を飲み込むなんテ……怖い噂ですネ」
「言葉通りの意味じゃないからな?」
あくまで信憑性の無い噂ではあるが、この世にはプラシーボ効果と呼ばれるモノがある。ここでとやかく言うよりも、思い込みで緊張を解かした方が勇子の為にもなるだろう。
「へー……力男、手を出してくれ」
「その前に手に持ってるマジックについて説明しろ。そして置け」
もう何しようとしてくるか予想出来てるんだよ。
流石にランも、俺を騙して手のひらにマジックで人と書けるとは思っていなかったようで、やっぱり駄目か~と呟いてマジックを筆箱に閉まった。
「教科書の162ページを開くぜ」
「いつの間にか結構進みましたネ」
「もう11月だからな。後半になると、紙の重さで教科書が勝手に閉じるからちょっと面倒だよな」
「力男、文鎮持ってる?」
「書道用のしかねぇよ」
「じゃあそれで」
「家だよ」
今日書道無いんだから持ってきてねぇよ。
筆箱で押さえるか、手で押し付けて跡をつけて勝手に閉じないようにしとけ。俺の左手━━━俺から見てランの席が左側━━━は文鎮じゃないからな。俺の腕を掴んで教科書の上に置くな。
「じゃあこの問題が分かる奴は居るかぜ?」
「リュウ、目立つチャンスだぞ」
「学校は自分が目立つだけの場所では無いですよ義姉さン」
「勇子ォ!」
「うるさいよお父さん!」
「…………グスン」
「勇子に同意ね。声のトーンを落としなさい、分かったわね?」
「イ、イエスマム」
なんだろう。1時間目は静かだったのに、保護者が増えてきたと同時に結構騒がしくなってきた。あと普通に勇子の父親はうるさい、その喧しさが勇子に引き継がれたと言えば納得する部分はあるけど。
「はい」
「はーい」
「マホちゃんも力男も手をあげてる……つまりは」
「どうぞどうぞって流れじゃないからな?」
実際にそれやったら本当に譲るぞ? 問題が分からなくても俺は手助けしないぞ。フリじゃないぞ、おいだからフリじゃない言ってるだろ、分からないなら手を上げようとするな。
「じゃあ超能、答えを頼むぜ」
「16です」
「正解だぜ」
「凄いな力男。今晩は赤飯か?」
「一問当てただけで凄い喜んでると勘違いしてる? 別に祝いの席じゃないんだから炊かないが?」
俺別に一問解いただけで「うおおおおやったあああ!」なんて喜んでないから。解けると思ったから解いただけで、喜びの気持ちなんてほんの少ししか無いからな。
それと夕飯は赤飯じゃなくて鮭と白米と味噌汁のシンプル料理だ。ラン、俺の味噌汁好きだし夕飯食べにくるか? よし分かった、用意しとく。
「力男さンは赤飯に白ゴマ使いますカ?」
「え、黒ゴマじゃないの?」
「塩だけじゃないんですか?」
「赤飯に何掛けるか論争しようとすんな」
つーか俺そこまで赤飯好きじゃないし。
赤飯の豆を食べると水分奪われて口の中がパサパサするのがちょっと苦手なんだよな。白米も水多めが好きだし、多分だけど米食ってる時に水分取られるのが嫌いなんだと思う。
「じゃあ次はこの問題を……そうだぜ。何人か前に出て書いてもらうかぜ」
「リュウ、目立つチャンスだ」
「勇子ォ! お父さんに良い所見せてくれ!」
「呼ばれてるぞ二人とも」
「お父さん恥ずかしいよ……」
「すみません力男さン。唐突に五感が全部失って何が起こってるか分からないでス。なので問題は力男さんが解いてくださイ」
「言い訳雑すぎない?」
「そうだな……勇子、リュウ。前に出て黒板に書くぜ」
「え、私!?」
「勇子ちゃん頑張ってください!」
「勇子ちゃんファイトー!」
「力男さン。僕と立場交代しませんカ?」
「さっさと書きに行け」
先生は教室全体に目を移すと、勇子とリュウ━━━保護者が後ろに居るのもあって、俺達の席に視界が入りやすかったのだろう━━━を指名した。
(あ、あばばばば)
(人を飲ム。人を飲ム。人を飲ム……)
俺は黒板の前立った二人にテレパシーを使うとやはりと言うべきか。多くの視線が向けられた事に緊張しており、問題を解けるような様子ではなかった。
はぁ……本当ならこういうのは二人の為にならないだろうけど、保護者に良い所を見せたいだろうからな。今回だけ特別だぞ、特別。
(勇子、聞こえてるか?)
(力男くんの声……? ハッ! ファ◯チキください!)
(ふざけるほど余裕があるのか。じゃあ答え教えなくて良いな。切るぞー)
(ごめんなさい助けて!)
テレパシー使えると知った時、俺も「よっしゃ! これでファ◯チキくださいで遊べる!」と思ったけど、ここでボケるなよ。
こんな時でもふざける勇子に相変わらずだと苦笑いをし、テレパシーで問題の答えを教える。
さて、次はリュウだな。
俺のテレパシーは複数人に一気に送ったり、読んだり出来ないから地味に不便なんだよな。でも情報が一気に雪崩れ込んで来ないって部分だけ見るとプラスなのか? まぁ良いや。
(リュウ、聞こえるか?)
(ン? 力男さんの声ガ……あぁテレパシーですカ)
(そういうこった。で、今からお前の脳内に答えを送る。それを書いて良い所見せろ)
(答えが分からなかったので助かりますガ、それってカンニングなのでハ?)
(先生は超能力で答えを教えては駄目と言ってない。だからセーフだ)
(それはただの屁理屈でハ!?)
超能力禁止ってルールが無いのが悪いよルールが。
それにカンニングってのは答えを見るのが禁止なんだ。テレパシーは何故か勝手に頭の中に答えが流れてくるだけで、自主的に答えを見てはいない。つまりこれはカンニングじゃないからセーフなんだよ。
「お、二人とも正解だぜ」
「二人とも凄いですね!」
「えへへ~。そんなことも……あるよ?」
「僕にかかれば朝飯前ですヨ」
「分かりやすく調子に乗ってやがる」
おうじゃあ次から自力で解けよ。
家族に良い所を見せれて嬉しい様子の二人に俺は、はぁと一つ溜め息を付く。本当に困ったらちゃんと助けるとは言え、ちゃんと自力で解けるよう勉強をもう少し教えるべきか? 期末テストはもう終わってるが2月には学期末が……いや、先を見すぎか。今は二人が喜んでるのを素直に楽しむか。
「勇子おおおおお!」
「成長したわね勇子。入学した時より勉強出来るようになったのね」
「リュウ、朝ごはんはちゃんと食べないと頭が働かないぞ」
「さっきのはただの例えですヨ!?」
俺のクラスは相変わらず騒がしい。
それは授業参観の日だろうと変わらないようだ。
後ろの保護者達の反応を見て、俺はうっすらとそう思うのであった。
今後の予定
・授業参観編終了(執筆中)
・息抜き感覚で書いた話(完成済)
・番外編最終回(一文字も書いてない)
なので残り3話で番外編も完結です。
先に書き終わってる息抜きの話は投稿しないの? と言われそうですが、授業参観とは全く関係の無い話なので後回しです。授業参観回→独立した話→授業参観回ですと、話の構造がおかしくなるので。
一番好きな章は?
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第一章
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第三章
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第四章
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第五章
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第六章
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第六.五章
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第七章
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番外編