【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

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 pixivでカップリング系のSS漁ってたら診断メーカーのお題に沿って書かれたものがあったので、私もマネしてみました。
 息抜き兼冗談半分の感覚で書いたので、あくまでオマケやIF程度の内容に捉えてください。タイトルがいつもと違うとは、そういった一面があるからです。
 また、激重感情が発生してますが力男とランはあくまで友達同士です。

診断メーカー:可愛いカップル描いちゃったー
お題:『寝てしまった相手の寝顔を愛しそうに見つめる』『力男とラン』を描きor書きましょう。
URL:https://shindanmaker.com/62729


その17.5 診断メーカーの結果を元に力男とランの話を書いてみた。

「フライングプレスー!」

 

「ぐふっ!」

 

 俺の家にまたランが泊まりに来た。

 宿題を終わらせ、夕飯を食べ、風呂に入り終えたランはまだ乾いたばかりのサラサラな髪を身体と共に宙へ浮かべ、ベッドで転がっている俺へと全体重を掛けてダイブしてくる。

 

「おいラン、俺に向かって降ってくるんじゃねぇ」

 

「降ったんじゃない、フライングプレスだ!」

 

「意味同じだが?」

 

 はぁと一つ溜め息を付くと共に俺は上から一向に退く気配の無いランに毛布を掛ける。

 流石に二人で一つのベッドは狭いが、季節は既に12月。狭さと寒さを秤に入れて測った場合、どちらが勝ったかは俺とランの今の状況から察せられるだろう。

 

「はー、今日も疲れた~。力男おやすみ」

 

「俺を下敷きにして寝るなよ……って聞いてねぇし」

 

 常に元気いっぱいなランも人間だ。

 ずっと起きていられるわけは無いし、疲れを感じるのは当然であり、休むためには睡眠を取る。それが今だったのだろう。おやすみと言った途端、電池の切れたオモチャのように動かなくなり、小さく寝息を立てるだけとなった。

 

「はぁ……せめて乗るんじゃなくて、腕を枕にする程度にしてくれ。普通に息がしずらい」

 

 俺は上に乗られ続けるのは苦しいからと、ランを自身の隣へと寝かせて同じ枕を使う。枕が一つなのはベッド以上に窮屈ではあるが、腕枕にすると腕が痺れるので苦渋の決断である。今度ラン用の枕を買うか検討している。

 

「静かな寝顔だな。起きてる時とは大違いだ」

 

「…………本当に、静かだな。まるであの時みたいだ」

 

 俺はランの髪をそっと撫でる。

 いつも見ている髪だし、触る機会も多いがそんな日常が静かな状況で目の前にあると、俺はどうしても昔を……前世を思い出してしまう。

 

 空海と大騒ぎしていた日々を。

 突如して世界が終わってしまった時を。

 明日会おうと言う約束を守れなかった事を。

 

 前世の日々とラン達の日々が思い出として重なる。

 嵐の前の静けさとでも言うべきだろうか。ランの寝顔見ていると、その言葉と共に前世のように自分の知らない所で何か起こっていないか。明日を迎えられずに突如して世界が滅びないか心配になってしまう。

 

 昔は昔、今は今。

 因縁(邪神)との決着は付いた。もう俺の平穏を脅かす存在は居ない。それでも俺は不安になってしまう。本当にいつまでも楽しい日々が続いてくれるのかと。

 

「昔と違って俺は友達が増えた。ラン、マホ、勇子、咲黄、緑、リュウ、ガク先輩、優正……前世とは比べ物にならないほどにな」

 

 前世も今世も俺には大切な思い出だ。

 だが大切なモノの数で言えば、今世の方が多い。そして増えたのはマホが転校してきてからだ。それまで俺は誰一人として興味を持てなかった。

 

「俺は超常現象や不思議な出来事をずっと望んでた」

 

 マホが転校する前から勝手に絡んできたランも、俺の超能力を研究しようとしてくるガク先輩も視界に入っていなかった。その時の俺は空海のように、不思議な力を持った人物を求めていたのもあるだろうが、今振り返ると凄い身勝手だったと思う。

 

「でも……」

 

 俺は何も見えていなかった。

 勝手に空海と距離が出来たと感じていた。一般人(無力)だと空海の力になれないと。空海の横に並べないと。対等になれないと。友達でなくなってしまうと。

 

 俺に何もかも黙っていたショックでそんな事を考えてしまった。

 だから俺は願った。空海のような力を欲しいと。空海のように困ってる相手を助けたいと。そうすればきっと……本当の意味で横に立てるのだと。

 

「だけも、それは違ったと気付いた」

 

 マホ達と……魔法少女達と関わっていく内に自分の中に違和感が芽生えた。

 自分は友達としてはともかく、魔法少女としてのマホ達とはあまり関わっていない。大半はガク先輩と通して間接的であり、まともに首を突っ込んだのは邪神との戦いぐらいだろう。

 

 結果的に言えば俺は最後にちょっと手を貸しただけ。

 けれどそれはマホ達が魔法少女(特別)だったからじゃない。なんてことのない日常を過ごした友達を守りたいと、助けたいと思ったからだ。

 

「結局、俺が欲しかったのは非日常じゃない。空海のように気心知れて、一緒にバカやれる奴との日常だ」

 

「それに気付かせてくれたのはマホ達だった。マホ達が戦ったり、時には助けたり、学校で一緒に居る内に、俺が本当にしたかったのは、そういうことだったんだって」

 

 俺は空海の力を特別視しすぎていた。

 あの力を知ったのは最期であり、それまでは普通の親友として接していたのに。結局の所、力を持とうとも俺は俺であり、空海は空海なんだ。力も個性の一部。それだけを見てたら意味が無いんだ。

 

「でもな」

 

「切っ掛けをくれたのはランだった」

 

「ランが入学時に声を掛けてくれたから。ランが素っ気ない態度を取っても構ってくれたから。ランがマホと勇子も勉強に誘って良いと言ってくれたから、今の俺が居るんだ」

 

『おー、隣の席なのか! オレはランだ! 名前を教えてくれ!』

 

『…………ああああ、だ。よろしく』

 

『よろしく、ああああ!』

 

『偽名だよ。少しは疑問に持て』

 

 俺の勘違い(本心)を正したのは特別な力を持つ魔法少女だった。

 でも俺に違和感を(切っ掛け)をくれたのはランだった。

 何事にも恐れを抱かず、元気いっぱいな姿を見て俺はランを過去の自分と重ねた。そして超能力なんて無くても心の底から楽しいと思える日々が続いてると思う違和感(切っ掛け)抱いた(作ってくれた)

 

「もしランがこの世界で初めての友達じゃなかったら、俺はずっとふてくされ続けて誰とも親しくなってなかったかもな」

 

 マホでも、勇子でも、咲黄でも、緑でも、リュウでも、ガク先輩でもきっと俺は変われなかった。前世の俺と空海のように、特別な力を持ってる者と持ってない者。同じクラスであり隣の席だったからこそ、俺は過去の自分を客観視出来た。

 

 空海(能力者)から見て(一般人)がどう見えていたか。

 前世の俺(一般人)から見て今世の俺(能力者)がどう見えていたか。

 聖夜(前世)力男(今世)の二人の視点を持ち、気持ちを理解出来るからこそ俺は力なんて必要ないと思えた。

 

「だからな、ラン……」

 

「ありがとう。俺と友達で居てくれて(俺を救ってくれて)

 

 俺はランを抱きしめて礼を告げる。

 既にランは寝ているのだから、抱きしめなくても顔が見られないと分かってはいるが、なんだか面を向かって言うのは恥ずかしい。

 

 俺は身体が熱を帯び始めてるのを恥ずかしさからではなく、身体が寒いから温めなければと脳が考えているからだと、誰に言うわけでもなく心の中で一人で言い訳をしながら眠りにつくのであった。




 後書きにオマケ感覚で掲載予定でしたが、思ったより長くなってしまったので単独での投稿です。
 書いた時期がその16と同時進行なのもあって、次の話(授業参観の続き)を読みたいって時に、突然激重感情の話が出てきたら邪魔になりそうですからね。

 次回で番外編最終回(本作の投稿が最後)です。

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