【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

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 今回は箸休め回です。第4章に入ってから殆ど説明パート&ストーリー進行でしたからね。たまには何も考えずに書きたい日もあるんです。


第五十四話 私の友人が帰還な件さ

「見えてきました! 彼処が私の村です!」

 

 私達は魔法世界へと降り立ち、マホくんの案内で森の中を進むことしばらく。開けた場所に出ると、そこには小さめの村があった。

 

 言い方は少しばかり悪くなってしまうが、現代日本と比べると文明はあまり進んでいない様子である。丸太で作られた家に、石で囲われた井戸。まるで江戸時代を彷彿とされるような場所だが、不思議と古臭さは感じず、むしろ隠れ家のような印象を受ける。

 

「ふむ。中々に良いところでは無いか」

 

「ガク先輩、一応言っておくけど知らない人を実験に巻き込んだりしないわよね?」

 

「安心したまえ。さすがの私も見知らぬ人を巻き込んで実験するのは、マホくんとこの村の人達の人間関係を悪くさせると自覚しているさ」

 

 村人達から見れば私達はマホくんを覗けば全員見たこと無い子どもだ。それに、どの辺りまで話が広がっているか情報収集しないと分からない話ではあるが、滅ぼされた妖精国に住む妖精も連れている。

 

 子どもだけで森の中を歩いてきたとなると、元々は何処から来たのかと疑問を持たれるだろう。妖精も連れてるとなると、その疑問がより深まる。

 

 そんな状態で無関係の人間を巻き込む実験をすれば、村人は私達を警戒するだろう。もしこの場が私の通う中学校内ならば、悪目立ちしている私が実験したところで「またか」と見過ごされるだろうが、実際は私の住む世界とは違う魔法世界と呼ばれる場所だ。

 

 互いに面識が無い人物を実験に巻き込むようなマネをすれば、私と一緒にこの世界へやってきた勇子くん達や、私達を村へと連れてきたマホくんの立場が危うくなるだろう。

 

 さすがの私も人間関係を悪化させるような行動をすれば、妖精や元気パワーの調査どころで無いのは分かっている。それなりに大人しくするつもりさ。

 

「それなら良かったわ。で、実験はしないわよね?」

 

「一時的にとは言えお世話になるかもしれない場所さ。怪しい動きはしないさ」

 

 怪しい動きをすれば、村人は私の行動を警戒もしくは制限してくるだろうね。怪しい人物に対しては正しい対応だと私は思うが、そんな事をされたらこの世界に来た意味が無くなってしまう。

 

 私が魔法世界に来たのは調査をするためさ。ただ「怪しい」なんて理由で足止めを喰らっては、ワルインダーの対策を進められないからね。怪しい行動はしないと約束しよう。

 

「実験は! しない! わよね!」

 

「先程から言っているだろう? マホくんに迷惑かける行為は」

 

「なら実験にしないと言いなさい。どうせガク先輩の事だから「迷惑は掛けないと言ったが、実験はしないとは言っていない」とでも言うのでしょう!?」

 

「……緑くん、君は探偵でも目指しているのかい?」

 

「否定しなさいよ!」

 

 緑くんには私の考えは筒抜けだったようだ。

 見知らぬ人を巻き込んで実験するのは人間関係の悪化を招く。怪しい行動をすると調査が進まない可能性がある。だから、無関係の人間を巻き込むのと、怪しい行動はしないと約束する。だが実験しないとは言っていない。

 

 緑くんを言いくるめて何かを実験しようと考えていたが……まぁいいさ。今回の私の本命は妖精国と城の図書館で魔法世界の歴史についての調査の2つさ。前提(常識)を覆す研究を進めるための実験をしたいが、それはあくまで余裕があればの話だ。

 

 本音言うと今にでも実験を行いたい。魔法だの、元気パワーだの、妖精だの……この魔法世界は私の知る常識とはかけ離れた世界だ。私の研究テーマとも合っているだろう。

 

 だが今は調査を優先すべきである。

 世界征服なんてされた日には、地球がどうなるか分からないからね。征服されただけで何もされないのなら兎も角、わざわざ怪人を用意したり、人々から元気パワーを奪ってくる時点で征服だけで満足するとは思えない。

 

 征服後は地球上を怪人だらけにするか、地球から元気パワーを全て奪うか、それとも別の何かか。なんにせよ、私の研究を進められる未来が確約されていない以上、今はワルインダーを倒すため調査を進めるのが先さ。

 

「あ!」

 

 私と緑くんが村の入り口で会話を繰り広げていると、マホくんがある男性へと近付いた。ふむ、此方に背中を向けるような形だから顔こそは見えないが、何処と無くマホくんと同じような雰囲気を感じる男性だ。そうなると、

 

「旅人さんかな。いらっしゃ……あ、ああっ! マホ!」

 

「ただいまです、お父さん!」

 

 やはりそうであったか。

 私の予想通り、その男性はマホくんの父親であった。

 マホくんの父親は声をかけてきた人物がマホくんだと分かった途端、嬉しさのあまりマホくんへと抱き付いた。

 

 マホくんはそれを嫌がる事はなく、むしろ抱き返してポツリポツリと涙を流している。そんな様子を見ていたのか、マホくんとその父親を囲むように、続々と村人達が集まってきた。

 

「時に勇子くん。念のため確認させてほしいのだが、マホくんがこの世界に来たのはいつ頃だい?」

 

「え? えっと、5月の最初辺りだよ」

 

「そうか」

 

 …………今は7月下旬だから、期間にして約4ヶ月。生死不明の娘の帰りをずっと待ち続けていたのか。子を持った事の無い私には分からないが、それまできっと辛かっただろうね。

 

 私はあまり後悔をしないタイプではあるが、こんな光景を見せられたら考えてしまうではないか。もう少し早くマホくん達と接触出来ていたら、もう少し早く魔法世界へ行く方法を見つけていれば、とね。

 

 

 

 

 

「━━━と言うことがあったんです」

 

 マホくんが帰ってきたと村中大騒ぎになってしまっていたが、一通り騒いで落ち着きを取り戻したのか、マホくんと一緒に村へと来た私達は、マホくんの実家へと招かれていた。

 

 これまで何をしていたのか、何処へ居たのか。心配そうに聞いてくる家族へ、マホくんは説明をした。魔法世界とは別の世界に居た事。魔法少女に変身した事。ペンヨウくんを、勇子くん達が暮らす町を守るために戦っていた事を。

 

「お伽話の魔法少女に、別の世界。にわかには信じがたいが」

 

「マホの言うことだもの。私達は信じるわ」

 

「姉ちゃん」

 

 さすがはマホくんの両親と言ったところだろうか。お伽話として有名な魔法少女に変身したことや、こことは別の世界が存在する事実。どれもこれも本来なら有り得ないの一言で切り捨てられても仕方ない話を全て受け止めていた。

 

 人の話を信じる簡単に素直さはマホくんに似ているようだ。いや、正確には両親の性格にマホくんが似ていると言うべきか。

 

「それにしても、突然大勢で押し掛けるような形になってしまい申し訳ないね。それに寝床まで用意してもらって」

 

「いえいえ! 別の世界に行っている間、マホがお世話になっていたようで。数日泊まる程度気にしてないさ!」

 

「こんなにも沢山のお友達が出来てお母さん嬉しいわ」

 

「ふ、2人とも止めてください。恥ずかしいです!」

 

 説明が終わり、余韻に浸り始めたマホくんの両親へ私は、寝床を用意してくれた事に感謝の言葉を述べる。

 

 元々のプランでは野宿、もしくは宿に泊まるのを想定していた。とは言っても、見知らぬ場所での野宿は危険であり、宿に泊まるにしても魔法世界で使用可能な貨幣を所持していないため、出来たら良いな程度ではあるがね。

 

 だからこそ、もう一つのプランとして元の世界へ帰還する方法もあった。どちらというと、此方がメインではあったがね。日が暮れたら一時的に私の家へと帰宅し、夜が開けたらもう一度魔法世界へと来る方法だ。私達が通ってきた空間は未だ残っているから、この可能性が高いと思っていたが……此方の世界で寝床を確保出来るとはね、嬉しい誤算だよ。

 

 ちなみにだが、勇子くん達はマホくんの家族が用意してくれた寝床で待機してもらっている。あまり大人数で説明しても却って混乱させてしまうからね。この場には当事者のマホくん、マホくんの家族、そしてマホくんの説明が不足していた場合に補足するための私が居る。

 

 緑くんがこの場に残る私を不安そうな目で見つめていたが、いったい何が不安なのだろうね。もしかしてマホくんのフォローを出来るか心配だったのかね? 全く緑くんは心配性だね。もっと私の事を信頼してくれても良いと思うのだがね。

 

「あの姉ちゃん」

 

「マジュくんどうしました?」

 

 ふと、マホくんの弟である『マジュ・ツカエール』くんが不満そうな顔でマホくんの事を呼ぶ。ふむ、まだ10歳程度の少年には難しい話だっただろうか。それとも姉が戦っている事に対しての思うところがあるのか……

 

「なんで俺抱いてるの?」

 

「…………? 前からこうでしたが」

 

 なんだ、そっちの話か。

 実はマホくんは家族にこれまでの話をしている間、弟であるマジュくんを膝の上に座らせて後ろから抱いていたのだ。まるでそこがマジュくんの席とでも言うかのような雰囲気であったため、ツカエール家ではよくある光景だと思っていたが、どうやら違うらしい。

 

「そんな記憶無いんだけど!?」

 

「記憶が無い? ハッ、まさかマジュくん。私が居ない間に頭を打って記憶を失って……けど安心してください。私はお姉ちゃん兼マジュくんの婚約者です。何かあったら遠慮せず頼ってくださいね!」

 

「じゃあ言わせて。久しぶりにあった姉がおかしくなった」

 

「それは大変ですね。ガク先輩、マジュくんを治療してください!」

 

「治療が必要なのは君の方だと思うがね。あと私は医者ではなく科学者だ」

 

 それと君のその症状はブラコンと言うのだ。すまないが私の手ではどうにもならない不治の病だ、悪いが治すのは諦めてくれたまえ。

 

「ハッハッハッ、相変わらず2人は仲が良いな!」

 

「ホントよね」

 

「この世界では姉弟でも結婚が可能なのか。ふむ、やはり私達の世界とは常識が違うようだ。実に面白いね」

 

「そんな常識無いよ!?」

 

 周りに振り回されている光景を見ていると、力男くんを思い出させてくれる。彼はこの世界に来ていないが、もし居たら周りに振り回される同士、仲良くなっていただろうね。




【マジュ・ツカエール】
 マホの弟で10歳くらいの少年。
 名前だけは25話で出ていたが、初登場が54話と登場までに時間がかかった。今後登場するか未定だな~と言ってたが、故郷に帰ってきたついでに出してみた。
 マジュの最近の悩みは昔から「私はマジュくんと結婚します!」と言っていた姉が、帰ってきたと思ったら前より距離が近くなったこと。
 魔法少女組+ガク先輩のメンバーだと突っ込みが居ない問題が発生したのでマジュに突っ込み属性を追加。結果的に力男二号的な存在になった。頑張れマジュ、このメンツに突っ込めるのは現状お前だけだ!


 そして今回の話でマホがブラコンだと発覚しました。この設定自体はマジュの名前が出た時点で考えてはいましたね。やっと設定開示出来てホッとしてます……なお、それによってマジュに苦労人設定が追加されたが。

【第二回】好きなキャラアンケート

  • 超能 力男
  • マホ・ツカエール/スカイブルー
  • 赤元 勇子/スカイレッド
  • 長神 咲黄/スカイイエロー
  • 恋路浜 緑/スカイグリーン
  • ペンヨウ(マホの妖精)
  • ライヨウ(勇子の妖精)
  • フクヨウ(咲黄の妖精)
  • クラヨウ(緑の妖精)
  • アクロコ
  • リュウ/スリュウ・コマツール
  • アヤイト・コマツール
  • ワルインダーの総帥
  • 草加 ラン
  • 力学 心(ガク先輩)
  • 陸上部の部長
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