【完結】俺のクラスメイトが魔法少女な件   作:のろとり

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第六十四話 俺の先輩がコキ使ってくるな件

「ガク先輩、急に呼び出してどうした? てか家広くね?」

 

「お邪魔するワニ!」

 

 ガク先輩が魔法世界(旅行)から帰ってきた日。何故か俺とアクロコはガク先輩の家に招待……もとい半強制的に呼び出された。なんか急用だから来いって電話もらったから来たけど、いったいなんなんだよ。

 

 ちなみに電話の時にポロッと話していたが、旅行から帰ってきてマホ達とは既に解散した後だと話していた。つまりは俺とアクロコに関する用なのだろう。嫌な予感がするなぁ。

 

「やぁ力男くん、アクロコくん。よく来てくれたね、クッキーでも食べながら話でもしようではないか」

 

「クッキー!? 嬉しいワニ!」

 

 俺達は家の中へ通され、豪華そうな椅子に座らされる。そして目の前には俺とアクロコが食べる用として、一人一皿。クッキーの入った皿がそれぞれ置かれている。

 

 正直に言うと美味しそうである。今すぐにでもつまみたい欲求に駆られるが、これはあのガク先輩が出してきたモノである。これを食べた瞬間に対価として実験の協力を強制的にさせられたり、身体が虹色に光ったりと摩訶不思議な現象が起こるかもしれない。

 

 てか前に一度してやられた事がある。以前、ガク先輩がクッキーを無言で渡してきて俺はそれを食べた。その直後に「食べた分、対価を払ってもらおうかね」と、変な実験に協力させられた。

 

 そんなの聞いてないと抗議したが、ガク先輩は「ちゃんと言ったさ、心の中でね。おっとすまない、テレパシーを切っているとは思いもしなかったのでね。だが私は実験に協力してもらう対価として、クッキーを既に払った。君はどうかね?」と脅されたのがトラウマでそれ以降、ガク先輩が食べ物を出してくる時は警戒するようになった。

 

 俺はクッキーに手を付けない。テレパシーは前に対策されたから信じられない。だからアクロコ、先に食ってくれ。要は毒味。俺の運命はお前にかかってるんだ!

 

「あれ、急に眠気が襲ってきたワ、ニ……」

 

「げ、やっぱりか」

 

「ふむ。クッキーに混ぜておいた睡眠薬が早速聞いたようだね。さ、力男くんも遠慮せず食べてくれ」

 

「この流れで食べるわけ無いんだけど!?」

 

 やっぱ信用出来ねぇよこの人。

 最近マホ達に協力的だから、多少はマホ達に影響されて性格が丸くなってると期待したけど、何一つ変わってねぇよ。何があろうとも、人が根本的に変わることってそうそう無いんだな。俺はたった今それを学んだ。

 

「ま、冗談はこの辺りにしておこうか」

 

「冗談じゃ済まないんだけど? 薬盛られたんだけど?」

 

「さて。君を呼んだのは他でも無い……荷物運びを手伝ってくれたまえ」

 

「1人でやれ」

 

 俺は睡眠薬入りのクッキーを食べて眠っているアクロコを連れて、この場から逃げ出そうとしたが、このまま帰っても暇なので、暇になるかガク先輩を手伝うかを天秤に掛けて、俺は後者を選ぶことにした。

 

 べ、別に久しぶりに知り合いに会えて嬉しかったとかじゃないから。本当は逃げたかったんだよ、逃げたかったんだけど、あとでガク先輩にどんな要求されるかわからないから仕方なくだ。いやぁ、やっぱりガク先輩は恐ろしいなー。

 

 

 

 

 

「これで最後だ。助かったよ力男くん」

 

 ドシンと、大きめな音を出しながら最後の荷物を俺は科学部の部室へと移動させる。はぁ、やっと終わったか。肉体的な疲労は無いけど、あまりにも荷物が多くて精神的に疲れたな。

 

 俺はガク先輩が妖精国から拾った━━━のは本人談。本当は盗んだだけだと思う━━━重要そうな本や新聞などを、ガク先輩の家から科学部の部室へと全て移動させた。

 

「運び終わってから言うのもおかしな話だけど、ガク先輩は俺を引っ越し業者か何かだと勘違いしてる?」

 

「可愛げのある後輩だと思ってるさ」

 

「ならその後輩をコキ使うの止めてくれないかなぁ!?」

 

 俺は未だ寝ているアクロコを科学部の部室に置かれている机へと寝かせ、ソファへと自身の身体を倒す。あ、結構このソファふかふかだな。気絶した緑がここで寝てた時あったけど、わりと寝心地良さそう。

 

「そう言われてもね。簡単に運べる、誰にも見られないって点で、君のテレポートが便利なのが悪いんだよ」

 

「俺の超能力に理由にすんな」

 

 テレポート

 俺の超能力の中では比較的便利な性能をしており、もはや説明が不要なほど有名な能力である。とは言っても、漫画やアニメのように何処でもワープ出来るほど便利ではないけどな。

 

 テレポート出来る範囲は視界内。もしくは現在地から半径五キロ以内、しかも自分が知っている場所限定。縛り自体はあるものの、自宅から教室まで一瞬で移動出来る優れた能力である。問題としては、俺の性格と噛み合わない点である。

 

 俺は騒ぎになるからと、超能力者であるのを周りに隠している。教室に突然人が現れたら騒ぎになるからテレポートは使わないようにしている。事前に人が居ないか探るのはどうか? そう聞かれたとしても、俺の千里眼と念聴は顔と名前を知っている相手にしか使えない。毎朝登校するのに全校生徒の居場所を確認する面倒な事をするなら、普通に登校した方がマシだ。

 

「時に力男くん」

 

「なに?」

 

「荷物を運んでくれた礼だ、魔法世界での話でもしようではないか」

 

「興味ないんだけど」

 

「まぁ待ちたまえ。この話こそが君は今日呼んだ本当の理由さ」

 

 荷物運びが本命じゃないのか?

 俺は疑問を持ちつつも、真剣な表情をしているガク先輩を見て、茶化す場面では無いと、ソファから身体を起こしてガク先輩の対面へと座る。

 

「私はここ数日ほどマホくん達と魔法世界へと行き、様々な事を調べていたさ。元気パワーなり、魔法少女なり、妖精についてだったりね」

 

「結果はどうだったんだ?」

 

「元気パワーは殆ど資料が残ってないし、魔法少女は伝承以外の事は何も」

 

 まぁ仕方無いか。

 元気パワーなんて曖昧なモノを調べる物好きなんて目の前の人物(ガク先輩)以外居ないだろうし、伝承程度の存在について色々と残っていたら、マホにせよペンヨウにせよ、魔法世界出身の誰かしら詳しいだろうから、ガク先輩が調べる必要無さそうだし。

 

「ただ、妖精国に直接出向いて調査している時、気になるモノを見つけてね」

 

「気になるもの?」

 

 調べてもロクなものが出てこなかった。それだけ分かっただけでも良い方だと見切りを付けて席を立とうとしたが、ガク先輩が運んできた荷物の中から、ある記事が載っている新聞を出してきて俺は座り直す。えっと、なんだこれ……

 

「なぁガク先輩。これ読めないんだけど」

 

「魔法世界の言葉だからね。この世界で読める人物と言えばマホくんと妖精くん達、もしくは私ぐらいだろうね」

 

 読めないものをサラッと出すんじゃねぇよ。

 つーかなんでナチュラルにこの人は異世界語読めるんだよ。俺は念のためもう一度新聞に眼を通すが、魔法世界のモノだから当然と言うべきか。案の定読めなかった。

 

 最低限分かる情報としては、ワニみたいな妖精……で良いのか? それの似顔絵が載っているぐらいだ。え、なにこれ。妖精の誰かが良い感じの賞を取って喜んだ時の新聞?

 

「内容を大まかに翻訳すると、20年程前に先代の王様が行方不明になった記事さ」

 

「それがどうかしたのか?」

 

「この王様の名前は『ワニ(・・)ヨウ』って言うようだがね……何処と無く、心当たりがあるだろう?」

 

「…………」

 

 俺はもう一度新聞を見る。

 最初見た時は気付かなかったが、そのワニヨウと呼ばれる妖精に既視感を覚える。だが俺はマホ達が連れている妖精以外を見たことがない。前世でも見た覚えが無いのに既視感があるとは。全く不思議なモノだなぁ。

 

「私はずっと疑問に思っていたんだ。どうして妖精国が今まで襲われなかったのかがね」

 

「言われてみれば確かにな」

 

「実は妖精国には今でもある結界が貼ってあってね。どうやら、その結界で『清い心を持っている人間、もしくは妖精』しか妖精国に入れないようになっているようでね。人間の定義がどの程度まで当てはまるか個人的には気になるが……まぁ今の話には関係無い話さ」

 

 ガク先輩が清い心の人間かは怪しい部分はあるが、きっと「妖精に危害を加えるか否か」で測っているのだろう。そう考えればガク先輩は純粋な好奇心のみで動いているため、結界は突破出来る。やっぱこの人誰かが制御しないと駄目だろ。

 

「私の確信が間違っている可能性も考えて、君が荷物を運んでいる間にアクロコくんの身体を調べいたが……妖精くん達と構造は殆ど同じであったさ」

 

 アクロコはそもそも見た目から考えて人間では無い。人間の定義によっては結界を通れる可能性があるが、妖精達に危害を加えている時点で無理だろう。だから……そう。アクロコが妖精国に侵入して、国を滅ぼせた方法は一つしかない。

 

「なぁ……ハッキリ言ってくれ、ガク先輩」

 

「あぁ、そうだね。遠回しに事を伝えるのは止めようか」

 

 俺は珍しく、ガク先輩がいつも掲げている「常識(前提)を覆す」と言う言葉に淡い期待をする。きっとこれからガク先輩が今まで話した前提を引っくり返すのだと。俺が思い付かなかった可能性を導きだして脅かしてくれるのだと。俺の脳裏をよぎった最悪に胸糞悪いシナリオ通りでは無いだろうと。だが━━━

 

「アクロコくんは……ワルインダーの元幹部は、自らの手で自分の国を滅ぼしてしまった、妖精国の元王様さ」

 

 現実は非情である。

 俺は前世でも淡い期待を抱いて、非情な現実(最期)を叩きつけられた事を思い出し、苛つきが押さえきれず机を思いっきりグーで叩いた。




 今回でアクロコ=妖精(元王様)を確定しました。
 前から伏線や匂わせをしてましたが、全部気付いた人って居ますかね?
《第14話~アクロコを拾った時~》
 大きさも大男からぬいぐるみサイズにまで変わってるし……。
※他の妖精達もぬいぐるみサイズ

《第24話~歴代の王様(一部省略)~》
「ちなみに━━━二代前がタヌキ、先代がワニ、そして今がさっき話した通りフクロウライ」

《第40話~アクロコの使用キャラ~》
 キャラの名前は「キングダイル」である。キング+クロコダイルが元の名前だからワニなのは共通しているが、お前(アクロコ)のキング要素はどこだよ。

《第55話~妖精国の結界~》
 妖精や清い心を持っている人間だけが妖精国に入れるようにする結界フク。多分だけど今も起動してると思うフク

【第二回】好きなキャラアンケート

  • 超能 力男
  • マホ・ツカエール/スカイブルー
  • 赤元 勇子/スカイレッド
  • 長神 咲黄/スカイイエロー
  • 恋路浜 緑/スカイグリーン
  • ペンヨウ(マホの妖精)
  • ライヨウ(勇子の妖精)
  • フクヨウ(咲黄の妖精)
  • クラヨウ(緑の妖精)
  • アクロコ
  • リュウ/スリュウ・コマツール
  • アヤイト・コマツール
  • ワルインダーの総帥
  • 草加 ラン
  • 力学 心(ガク先輩)
  • 陸上部の部長
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