もしも呪術廻戦がlight系の燃えゲーだったら 作:湯瀬 煉
うぇーーい。
我々は、何のために生きているのだろう?
何を目的として、何を目標として、どこへ向かって歩いているのだろう?
人間の平均年齢はおおよそ八十ほど。人生百年時代なんて言葉もあるが、それ以上に伸びることはないといっていいだろう。実際のところ、幼年期は人間として成立するために力を要するため、実際に自分の意志で活動するのは七十年くらいか。その七十年をかけて、私たちは何をするため生まれてくるのだろう。
……いや、時間は関係ないか。何年であろうと、重要なことは目的に向かって目標を定めて進むこと。あらゆる物事には存在する理由があって、ならば私が生まれてきた
では。君たちの生きる理由とは、なんだろう?
あらゆるものが目的を持って生まれてきたのなら、君たちにも必然存在する役割──それを明確に答えることが出来る人間は、どれほどいるのだろうか。
誰かに決められたものでも、自ら決めたものでも構わない。きっとその程度で真贋は覆らず、価値は変わらないんだから。もちろんこれは、仕事や学校での役割、役職とは関係ない。生涯を通して、君たちは何を成し遂げるのか。それを私は問いたい。
大半の人はきっと、答えられないに違いない。なぜなら人は、保守的なものだから。何か、これと決めて突き進むなんて疲れることはやりたがらないのが普通だ。
ああ、ならば。私が君たちに意味を与えてあげようじゃないか。そう、思ったんだ。いいや、これは私の個人的な趣味でもある。
前提が長くなったね。
私は、私自身の生きる理由を知的好奇心を満たすことに定めた。私が面白いと思ったことは、本当に面白いのか。とかく退屈で不変のこの世の中を、混沌として娯楽の尽きないこの世の中を、調べ知って余すことなく味わいたい。これは探究心というより、きっと『勿体無い精神』だろう。可能性を潰してしまうのが惜しくて仕方がないのだ。
もしかしたら世の中は、もっと楽しくなるのかもしれない。もっと面白くなるかもしれない。その『可能性』を諦めるなんてしたくない。その過程に非人道的所業があったとしても、私は躊躇いはしない。
君たち、自分の生きる理由はわかるかい? 生まれてきた理由、自分の役割を実感して生きているかい?
分からないのなら、私が協力してあげよう。君たちに、役割を与える。
君らが体感するのはこの世の不可思議。人の負の感情の結論。現と夢の狭間───呪いさ。
■ ■ ■ ■ ■
「百葉箱!? そんなところに特級呪物を保管するとか馬鹿過ぎるでしょ」
『アハハ。でもおかげで回収楽でしょ』
記録───2018年6月。宮崎県仙台市 杉沢第三高校。
青年は電話越しに聞こえる呑気な声に静かに苛立った。夜の学校に人気はなく、青年は夜闇に紛れるようにそこにいた。
「……ないですよ」
『え?』
電話相手の男はかなり雑な人間らしい。軽薄な態度が声から読み取れる。それでも、青年の言葉に対する反応は
「百葉箱、空っぽです」
聞き間違えなどではないと、
『マジで? ウケるね笑』
なんて軽薄。事の重要さを理解できないはずないのに、理解を拒んだ様子もなく笑ってみせる相手の精神は常軌を逸しているといって構わない。
「ぶん殴りますよ……」
精一杯の怒りを込めた返事だったが、やはり男の言葉は軽いままだった。
『それ回収するまで帰ってきちゃ駄目だから』
殴るという言葉はあくまで抗議の意を示すもの。青年はあくまで冷静でいようと努めた。だがそれでもこの言葉は、あまりに、あまりにも───。
「今度会ったら、
青年をそう決意させるには、十分だった。
この青年、本当に可哀想。