明けましておめでとうございます♪
今年も『深紅の武人が往くD×D』をよろしくお願いします♪
シトリーの修行をゼノヴィアとイリナに、グレモリーの修行を村正と黒歌とヴァレリーに、全体の監督をタマモとロセ、そしてアザゼルに頼んだ俺はリアスと共に冥界のグレモリー領に来ていた。
本来なら人間が冥界の悪魔領に来るには色々と手続きが必要なんだけど、俺たち『蒼天の紅旗』は魔王からフリーパスをもらっているので面倒な諸々の手続きを省略することが出来る。
................................自分たちは人間界に好き勝手来てるくせに、人間側にだけ手続きを求めるとはこれ如何に?
でもまぁ、フリーパスがあるからと言って、いきなりグレモリーの屋敷に跳ぶのは、さすがにマズイということで、グレモリー家の敷地の外に転移。リアスが車を用意してくれていたので、今は車に乗って屋敷へ向かっていた。
この車がまたスゴく立派なリムジンで、冷蔵庫はおろか最新式のオーブンまであるという代物。シートもこのまま安眠出来るぐらいフッカフカで、これ一台で家とか建てられるんじゃないかと思うほどの高級車だった。
とりあえず寝るのは失礼だと思ったので、車と一緒に来た執事さんが用意してくれたお菓子をつまみながら間をもたせることにする。クッキー、ウマウマ♪
「呂布様、見えてきました。あちらがグレモリー家の屋敷、私の実家です」
斜向かいに座っているリアスが窓の向こうを指す........................おかしいな、俺の認識ではアレは屋敷ではなく、『城』と呼ぶんだけど?
幼稚園や小学校の遠足でもいたよね、大きな家とか見ると『ここ、俺んち』とか言ってふざけてるヤツ。でもまさか、ガチモンを見る日が来るとは....................................しかし驚くのはこれだけじゃなかった。
車がグレモリー家の庭に入ると、使用人みたいな人たちがズラーっと道に沿って一列に並んでいた!!!
ナニコレ、どういうこと!?何でこの人たち、こんなに畏まってんの!?まるでテレビで見た天皇を迎える時のパレードみたいじゃん!?
「....................リアス....................これはいったい....................」
「もちろん、呂布様のお出迎えです。『深紅の武人』をお迎えするんですもの、これぐらいは当然です♪」
当然なの!?たかが資料を見せてもらうだけなのに、こんな仰々しいことまでするの!?
俺も貴族のしきたりなんかはよくわからないけど、やっぱり面子や世間体なんかを気にしたんだろうか?悪いことしたな................................。
「もしかして、足りなかったでしょうか!?確かにお兄様からは非番の者は除いていると聞いておりますが............................呂布様がお望みなら今からでも呼び出します!!」
いやいやいやいやいやいや、そんなことしなくていいから!足りないどころか、むしろ多すぎるくらいだから!!だから、そんな休日を取り上げるような真似は止めたげて!!!
俺も前世で休日返上で出勤させられていたから、その苦しみは痛いほどわかる!だからこそ、間違っても奪う側に回ってはいけない!!
「いや................................このままでいい」
「そう、ですか。ホッ、良かった、何か不興を買ってしまったのかと思いました」
不興どころか逆にこっちが申し訳なく感じているんだけどね。ここまでされると、一周回ってむしろ歓迎されていないとすら思えてしまう。
車が止まると一緒に乗っていた執事さんがドアを開けてくれたので、外に出てみると....................................
何ということでしょう。
目の前には、かのノイシュバンシュタイン城すら霞んで見えてしまうほどの立派なお城がそびえ立っているではありませんか。
城の入り口にはリアスの家族と思われる方々が勢揃い。もちろんサーゼクスやグレイフィアもおります。
そして入り口までの道の両サイドをメイドさんや執事さんが並んで、俺のことを出迎えてくれています。
一般人がこんな場面に出くわしたら、卒倒するか回れ右をして帰ることは間違いありません。かく言う、俺も帰りたい気持ちでいっぱいです!
けど、ここまでしてくれてるのに、ここで帰ったら使用人の人たちに申し訳なさすぎる。
ここは気合いを入れ、気を引き締め直して行くしかない!そして、さっさと用事を済ませて帰ろう!!
「さぁ、呂布様。どうぞこちらに」
俺は帰りたい気持ちを必死に押し殺して、リアスの後に続く。
『呂布様の様子がさっきまでと違う。車の中では私と二人だったから問題なかったのか............................やはり周りを悪魔に囲まれているということで、警戒されているのね。これほどの強さを持ちながら、いかなる状況でも油断をせず隙を見せないその姿勢、私も見習わないと!!』
緊張しまくっている呂布の様子を勘違いしたリアスは屋敷へと向かって歩いていく。
そして呂布は使用人の花道を歩くという苦行に耐えながら、どうにか屋敷の入り口まで到達することが出来た。
「ようこそ、呂布奉先殿。私はグレモリー家現当主、ジオティクス・グレモリーと申します。此度の御身のご来訪をグレモリー家一同、心より歓迎いたします」
「妻のヴェネラナ・グレモリーと申します。娘とその眷属が大変お世話になっていながら、今までお礼を申し上げることも出来ず申し訳ありません」
俺が城の入り口に来ると、アニメでも見たことがあるリアスの両親が挨拶してくれる。
あ、一応、歓迎してくれたんだ。正直、イヤガラセの領域に片足突っ込んでるような気がしたけど、歓迎はしてくれてたんだ。
「呂布殿、ようこそお越しくださいました。あまりにも突然だったため、簡素なお出迎えとなってしまい申し訳ない。事前にご連絡いただければ、もっと盛大にやらせていただいたのですが............................」
リアスの両親に続く形で今度はサーゼクスが前に出てきた。いや、十分すぎるくらいに盛大だったからね?むしろこれ以上に盛大にって何やるの?花火でも打ち上げんの?
................................いや、止めておこう。グレモリー家なら本気でやりかねない。余計なことは言わない方が良い。
「いや....................................十分だ」
「それは良かった。そう言っていただけると、ありがたいです」
俺が答えるとサーゼクスは安堵したような顔を浮かべる。嫌みか、こんにゃろう!こっちは逆に心労が溜まったわ!!
ジ~~~~~~~
................................何だろう。好奇というか、何と言うか........................お目めをキラキラさせた子どもがジーーーっと俺を見てくるんですけど?
「................................何か用か?」
「っ!あ、いえ、その、用というか、その............................/////////////////////」
「ミリキャス、せっかくいらしてくださったお客様を、そのようにジロジロと見るのは失礼ですよ」
「は、はい、母様!申し訳ありません、呂布様!!」
恥ずかしそうに顔を赤らめる少年をグレイフィアが叱りつける。グレイフィアってば、今日はメイド姿じゃないんだね。
それにしてもグレイフィアを『お母様』と呼ぶってことは、この子が『ミリキャス』か。うん、赤髪だしアニメや原作で見た通り、利発そうなお子さんだ。
あと別に不快に感じてたわけじゃないから、そんなに一生懸命になって謝んなくてもいいよ?
「呂布殿、息子が申し訳ない。この子、ミリキャスは呂布殿のご活躍を聞いて以来、貴殿の大ファンでね。一度でいいから、呂布殿に会いたいといつも言っているほどなんですよ。ミリキャス、ご挨拶しなさい」
「はい、父様!初めまして、呂布奉先様。ミリキャス・グレモリーと申します。呂布様のご活躍はかねがね耳にしております。本日はお会いできて光栄です!」
あ、これはご丁寧にどうも。ところで活躍って何?俺に関して冥界で噂とか広まってんの?恥ずかしい噂とかが流れてたら、嫌だなぁ。
「あ、あの、呂布様!よろしければ、その........................握手、していただけませんか!/////////////////////」
俺が自分の噂について気になってると、ミリキャスが目を瞑り顔を真っ赤にさせて手を差し出してくる。
ん?握手?別にそれくらいなら全然構わないから、そんな緊張することないよ?
ニギ............................
「............................よろしく................ミリキャス」
「~~~~~~っ!ありがとうございます!!ボク、この手は一生洗いません!!」
いや、不衛生だから手はちゃんと洗おうよ。周りのみんなも微笑ましい顔をしてないで、注意しないと。
「アナタ、呂布殿をこんな所で立たせておくのは失礼です。早く屋敷へご案内しましょう」
「っ、そうだったな。呂布殿、どうぞ中へ。狭い屋敷ではありますが、ごゆっくりとおくつろぎ下さい」
いや、ゆっくりも何も用事を済ませたら、すぐに引き上げますんで「ささやかながら、食事もご用意いたしました」そんなに急いでいるわけじゃないから、少しの間お世話になろう。
俺はせっかくの厚意を無駄にしてはいけないと思い、ジオティクスさんの案内に従い屋敷の中に入っていった。
応接室っぽい部屋に通された俺は映画とかで出てくるような長~いテーブルにつき、食後のコーヒーをいただいていた。
いや~~流石はお貴族様のお抱え料理人、いい仕事してますね~~~。
ジオティクスさんは『ささやか』なんて言ってたけど、出された料理はいずれも俺みたいな庶民ではお目にかかれないような高級料理ばかり。モチロン味は最高!
特にメインで出てきた肉のローストは絶品だった!何のお肉かはわからなかったけど、肉質は牛と羊の中間ぐらいで噛めば噛むほど肉の繊維から肉汁と旨味が溢れてきて、それがまた特製のソースに合う合う♪
食べている間、俺はまさに『肉を食っている!』と強く実感させられる一品でした♪
「呂布殿、当家の料理はいかがでしたか?呂布殿のお口に合いましたかな?」
「コクン............................堪能しました」
「ハッハッハッ!それは何よりです。シェフも呂布殿がお見えになるということで、張り切っておりましたからな♪」
そうなんだ、じゃあ後でお礼を言わないとね。あと出来れば、レシピも教えてもらえないか聞いてみよう。
「ゴホン、それで呂布殿。此度のご来訪の目的については、サーゼクスより聞いております。リアスを『グレモリーの力』に目覚めさせるとのことですが........................お間違いございませんか?」
「コクン........................つきましては................『グレモリーの力』について書かれた....................書物を見せてもらえないでしょうか?」
「それについては問題ございません。お探しの物は書斎にありますので、どうぞお好きにお使いください。またその他必要な物があれば、すぐにご用意いたします」
お~~~流石はリアスの父親、太っ腹だね~~~。では、さっそく書斎の方に「ですが」ん?どしたの?
「その『グレモリーの力』を目覚めさせることにつきまして、呂布殿にご相談がございます」
さっきまで陽気だったジオティクスさんの雰囲気が変わり、真剣な表情になる。
相談?あんまり難しいことは勘弁してね?お貴族様のお悩み事なんて、庶民の俺には縁遠いものなんだから。
「........................相談とは................何でしょう」
「はい。リアスを『グレモリーの力』に目覚めさせるにあたりまして........................そちらにいるミリキャスにも、『グレモリーの力』に目覚めさせてはいただけないでしょうか?」
ミリキャスも?それは構わないけど、何で?
「................................何故ですか?」
「はい。ご存知だと思いますが、リアスは家督相続権を失い現在はミリキャスが次期当主となっております。今は私の一存でリアスをグレモリー家として扱っておりますが、ミリキャスが当主となればリアスは独立するか養子あるいは嫁となって、家を出なければなりません」
ふむふむ。グレモリー家の相続権は無くなったから、本来であれば家を出なければならないけど、親父さんの恩情で今まで通り面倒を見ているわけか。
でもミリキャスが正式な当主になると、今度はリアスが分家の扱いになるから、リアスは家を出なくてはならないってことね。
貴族のしきたりっていうのは、大変なんだな~~~~。
「しかし相続権を失い、グレモリー家を出た者が『グレモリーの力』に目覚め、当主となった者が目覚めていないというのは問題です。最悪、ミリキャスを追い立てグレモリー家が分裂する可能性があります」
まぁ、家を出たリアスが使えて当主になったミリキャスが使えないってのはよろしくないわな。
サイラオーグも『バアルの力』が使えなかったために家を追い出されて、弟が次期当主になったなんて過去があったわけだし、貴族にとってはそれだけ一族の力に目覚めているかは当主として重要なんだろう。
あれ?もしかして、俺ってば結構マズイことやろうとしてる?
「もちろん、私も妻も一族の力の有無に関わらず、リアスとミリキャスのことを家族として愛しております。ですが、貴族というのはそのような物分かりの良い者ばかりではありません。
他の貴族との兼ね合い上、ミリキャスも『グレモリーの力』に目覚めていないとどうしても風当たりが強くなってしまいます」
いや、元々リアスもミリキャスも『グレモリーの力』には目覚めていなかったんだ。俺が何もしなくてもミリキャスは大なり小なり、他の貴族からアレコレ言われていただろう。
どこの世界にも他人の粗を探したがるヤツはいる。だから俺は直接関係ない。そう、関係ないんだ............................たぶん。
「ですのでどうか、ミリキャスにも『グレモリーの血』の覚醒を促してはいただけないでしょうか?」
まぁ、話はわかった。一人目覚めさせるのも二人目覚めさせるのも大して手間は変わらないから、問題ないよ。
でも、目覚めさせるのは『グレモリーの血』だけでいいの?母親であるグレイフィア、『ルキフグスの力』はどうするの?
「........................事情は................わかりました................『ルキフグスの力』は................良いのですか?」
「はい。グレモリーの当主として見られるのは、あくまで『グレモリーの力』です。むしろ『ルキフグスの力』にまで覚醒してしまうと大王派に目をつけられてしまいます。大王派には古い悪魔の血筋を重んじる輩も多数おりますので................................」
大王派。サーゼクスを中心とした革新的な考えを持つ魔王派と対立している初代バアルを中心とした、旧態依然とした考えを持つ保守的な派閥だったか?
原作でもちょくちょく出ていたけど、この世界でもやはりサーゼクスたちとは対立しているみたいだ。魔王であるサーゼクスとしては、グレモリーは魔王派でいて欲しいんだろうな。
でも、グレイフィアは母親としてどう思ってるんだろう?一応、確認しておくか。
「........................貴方は................母親として................それで良いのか?」
「はい。グレモリーの当主であれば、必要なのは『グレモリーの力』です。『ルキフグスの力』ではありません。私のことは、どうぞお気になさらず」
「....................わかりました................ではリアスとミリキャスの................『グレモリーの力』を................目覚めさせます................書斎はどちらですか」
「おお!お引き受けいただき、ありがとうございます。書斎はそちらにいるメイドがご案内いたします」
俺が承諾すると大喜びするジオティクスさん。仕方ないとはいえ、幼いミリキャスにはなるべく苦労をかけたくないというのが親心というものなんだろうな。いや、この場合は『祖父心』か?
ちなみにリアスは家族と話があるということで部屋に残ることになったので、俺はメイドさんの案内で一人書斎へと向かった・・・・・・・
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「はぁぁぁぁぁぁ、どうにか一難は去ったと言ったところか............................」
「ええ、そうですね、父上。お疲れ様です」
呂布様が書斎に向かい、私たちグレモリーだけが残った部屋でお父様が安堵の声を出し、お兄様もお父様へ労いの言葉を掛けている。
「お父様、お兄様。急な来訪になってしまい申し訳ありません。此度はご対応いただき、本当にありがとうございます」
「気にすることはないよ、リアス。呂布殿が来られたら、いかなる場合でも最優先に対応するというのが悪魔政府の決定だからね」
「サーゼクスの言う通りだ。それに呂布殿は我がグレモリー家の大恩人。むしろ、すぐに連絡してくれたことを褒めたいぐらいだ」
「ありがとうございます、お父様、お兄様。そう言っていただけて助かります」
私が原因で呂布殿が急に来ることなってしまったので、叱られることも覚悟したけど逆に褒められるなんてね。でも実際、急なことにも関わらず対応してくれたお二人には本当に感謝しかない。
「それで父上。いかがでしたか、呂布殿とお会いした感想は?」
「うむ。遠くからでもわかる圧倒的な存在感もそうだが、近くで見れば底が見えないほど深い大穴を見ているような感覚を覚えた。今まで多くの者を見てきたが、あれほどまでに全容がわからない人間は初めてだ。ヴェネラナはどう思った?」
「私も....................純粋そのものと呼べる瞳でありながら目を離すことが出来ない、でも不快な感じは一切しない。そんな不思議な魅力を感じましたわ。『真の英雄』とは、あのような御方のことを言うのでしょうね」
「ハッハッハッ!父上も母上も私と似たような感想で安心しましたよ♪ミリキャス、憧れの呂布殿とお会いしてどうだった?」
「はい!歩くだけでも分かる隙の無い佇まい、側にいるだけで人の目を惹き付けるカリスマ性、触れた瞬間に感じる圧倒的な存在感。まさしくボクが夢見た『英雄』そのものでした。リアスお姉様、呂布様を連れていただき、ありがとうございます♪」
お父様とお兄様、そして人を見る目に長けたお母様ですら呂布様を『英雄』と称賛した。
やはり呂布様は『本物』なのね。ただ力が強いだけの人間ではない。立場に関わらず、敵味方に関わらず、組織や派閥に頼らず、己の存在一つで認められる『真の英雄』。
私も『リアス』としてではなく、常に『グレモリー』として見られていたからこそ、それがどれだけ難しいことなのかはよく分かっている。
以前、イッセーが呂布様を『自分の理想』と言っていたけれど、それは私も同じだ。ただひたすらに己の生き方を貫き、『呂布奉先』という存在を認めさせた呂布様は私の『理想』でもある。
私もあのようになりたい............................いいえ、絶対になってみせるわ!ソーナだって、夢のために結果を出して『自分自身』を認めさせたのですもの!!なのに、私が出来ないなんて言えないわ!!!
ミリキャスもきっと、呂布様のそういったところに憧れたんでしょうね。
「ふふふ♪気にしないで、ミリキャス。呂布様とお会いできて良かったわね♪」
「はい♪あ、そうだ。父様、呂布様にお話を伺うことは出来ますか?」
「話?呂布殿にかい?」
「はい。呂布様の武勇伝をお聞きしたいのです。特にグレート・レッドとの戦いについて詳しく聞ければと思っています。あの『黙示録の龍』にどのようにして勝利したのか、とか」
「ッッッッ、それは........................難しいだろうね。恐らく呂布殿のことだから、聞けば教えてくれるのだろうが、問題は神々がどう判断するかだからね」
「そうだな。正直、今回の話をお受けするだけでも、かなり危ない橋を渡っている。この上に更に呂布殿を『詮索』するような行為は控えるべきだろう」
「あう........................本当にダメ、でしょうか?」
「ミリキャス、ワガママを言ってはいけません。私たちは既に呂布殿から多大な御恩をいただいている身。これ以上、あの御方を困らせてはいけません」
「母様............................わかりました.............」
呂布様の武勇伝を聞きたがっていたミリキャスだが、皆に反対されて落ち込んでしまう。気持ちはわかるけど、こればかりは仕方がない。
今回の話は当然、神々の耳にも入ることとなる。もちろん、呂布様からの申し出のため断ることは出来ないという大義名分があるため、大きく問題にはならないだろうけど、それでも神々の心証がプラスに働くことはない。
だが、それらを差し引いたうえでも今回の話は魅力的過ぎた。一族の力を覚醒させられる能力など、貴族悪魔なら喉から手が出るほど欲している力だもの。
お父様は『他の貴族との兼ね合い』と仰っていたけれど、理由はそれだけじゃないはず。恐らくお父様は、幼いミリキャスに次期当主としての箔をつけたいのだろう。
『世界最強』であり『悪魔の血統能力を覚醒させられる』呂布様。その呂布様自らの手で一族の力を覚醒させられたという事実をもって、『グレモリー家は呂布様と懇意にしている』と他の貴族たちに思わせたいんでしょうね........................特に大王派の貴族に。
大王派には旧魔王の血筋を重んじる者が多い。もし呂布様が『悪魔の血統能力』を覚醒させることが可能で、グレモリーがその恩恵に預かったことを知れば強烈な一撃となる。
お兄様たち現魔王様とは別のカリスマ性を持った初代バアルとはいえ、『深紅の武人』に手を出そうとは思わないはず。お兄様はこれを機に大王派の貴族たちを少しでも削るつもりなんだわ。
それらを考えた場合、私自身のことはついでのように思えてしまう。
でも、そんなことはどうでもいい。今の私はグレモリー家の次期当主ではないのだから、お父様たちが私のことを後回しにするのは仕方がないもの。
私は『グレモリーの力』を身につけることが出来れば、それでいい。イッセーたちの『王』として成長することが今の私のやるべきこと。
こんな失敗だらけの私のことを見捨てず、ついてきてくれているあの子達のためにも................................必ず『グレモリーの力』を使いこなしてみせる!!!
ガチャ
私が眷属の皆のために強くなろうと決心を固めていると、執事の一人が部屋に入ってきた。
「失礼いたします、旦那様。お約束されていたお客様がお見えになりました」
「む、そうか。もうそんな時間か....................」
「いかがいたしましょう、また日を改めていただきますか?」
「いや、さほど時間は取らないだろうから問題ない。この部屋へ通してくれ」
「かしこまりました」
お父様に言われて部屋を出ていく執事。お客様?こんな時に?
けど、こんな時でもお会いするということはよっぽど重要な人物か親しい間柄ってことよね。
「お父様、『お約束されていたお客様』というのはどなたなのですか?」
「ん?いやなに、リアスもよく知っている人物だよ」
私もよく知っている人物?誰かしら?お父様と親しくて、私もよく知っている人物となるとそう多くはないはずなのだけれど................................。
私が考えを巡らせていると部屋の扉が開いた。
グレーゾーンを歩き続けている悪魔陣営ですが、前にも言ってた通り『壊滅』はしません....................『壊滅』は。
それでは皆さん、次回で♪
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