深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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グレモリーの主だった強化イベントはここまでとします。

ただ、細々な強化はちょくちょく挟む可能性はあります。




第百九話

 

 

 

 

 

「........................行ってしまわれたか。いつか呂布殿とは、もっとゆっくり話しをしてみたいものだ。さて、これから忙しくなるぞ。ミリキャスに『グレモリーの力』について、指導しなければならないからな」

 

「ええ。そうですね、父上。ミリキャスのこと、よろしくお願いします」

 

 

どうやら父上は呂布殿のことを気に入られたようだ。かく言う、私も呂布殿とはじっくりと話をしてみたいと思っているが................................やはり、『魔王』という立場では難しいな。悪魔のトップでありながら、自由に動くことが出来ない我が身をたまに恨めしく思うよ。

 

 

まぁ、呂布殿のことは仕方ないとして、今はミリキャスのことだ。当面は父上が指導役として掛かりきりになるだろう、何せ他に教えられる者がいないからな。

 

グレモリーの血筋の中でも『グレモリーの力』に目覚めている者は少ない。それだけ『グレモリーの力』は悪魔の血統能力の中でも特殊なのだ。強いて言うなら、祖母...........父上の母君ぐらいか、教えられるとしたら。

 

 

「................................................................」

 

私と父上でミリキャスの今後について話していると、サイラオーグがひとり、呂布殿が去った転移魔方陣の跡をジッと見つめていた。

 

「どうかしたのかな、サイラオーグ」

 

「っ、あ、いえ............................少し考え事をしていました。『何故、呂布殿はあの技を見せてくれたのか』、と」

 

「あの技、『ライトニング・ボルト』のことかい?」

 

『ライトニング・ボルト』。全オーラを極限にまで圧縮させ、拳と共に光を超える速度で打ち出し、対象を原子レベルで『消滅』させる技................................聞けば聞くほど、破格過ぎる技だ。

 

「はい。あの技は、呂布殿が絶え間ない鍛練の末に編み出した................................『滅びの力』を宿した体術技です」

 

「『滅びの力』、バアルの代名詞とも言える血統能力だね」

 

「ええ。俺には『滅びの力』は必要ないと思っておりました。母からもらったこの身体があれば十分だと。もちろん、今でもその考えに変わりはありません。

けれど、心の片隅では................................『滅びの力があれば』と思っていたのも事実です。『滅びの力さえあれば、母が蔑まれることは無かったはずだ』と」

 

サイラオーグの出生の話は私も知っている。バアルの血統能力である『滅びの力』を持てなかったがために、長男でありながら母親のミスラ殿と家を追われたということも。

 

家を追われた後も、サイラオーグとミスラ殿はバアル家からは酷い扱いを受け、周りの者からは『バアル家の無能』と呼ばれ蔑まれていた。

 

母上が何度もグレモリー家に来るように言ったが、バアル家は決して認めなかった。大王家として血統能力を持てなかったサイラオーグを外に出したくなかったんだろう。

 

しかし、誰にも頼ることが出来ない厳しい環境でありながらも、ミスラ殿はサイラオーグを強く育てた。『滅びの力が無くても、立派な身体がある』『足りないものは努力で補え』『諦めなければ、必ず夢は叶う』、そう何度も言い聞かせたらしい。

 

その教えを胸に、ひたすら己の身体を鍛え上げたサイラオーグは、次期当主であった腹違いの弟を下し、実力で次期当主の座を勝ち取った。

 

『滅びの力』を持たず、努力によって次期当主となったことは見事と言うしかない。だがバアル家の次期当主である以上、『滅びの力』は本人の意思に関わらず付いて回る問題だ。

 

 

っ、そうか。呂布殿はきっと........................

 

私が一つの答えに辿り着くとサイラオーグも同じ考えに至ったようだった。

 

「呂布殿が何の理由もなく、己が秘技を見せてくれるとは思えません。恐らく、『才能や血統など関係なく、努力次第で滅びの力を得ることは可能だ』と言いたかったのではないでしょうか」

 

サイラオーグの言う通り、バアルの『滅びの力』も呂布殿の『ライトニング・ボルト』も『対象を消滅させる』ことに変わりはない。

 

使っている力が魔力かオーラか、必要なのは血統か努力かの違いだけだ。

 

確かにそう考えると、呂布殿の行動にも納得が出来る。

 

「手合わせの前に聞かれた、呂布殿の『問い掛け』。あれは俺の心を試すものであり、呂布殿は俺の心情を見抜いたが故に、あの技を見せてくれたのだと思います」

 

手合わせの前の問い掛け、『バアルの力を目覚めさせなくて良いのか』だったか。なるほど、あの問い掛けにはそんな意味があったのか。

 

もし、サイラオーグがあの問いに『Yes』と答えていた場合、『滅びの力』には目覚めさせてくれただろうが、『必殺技を見せてほしい』という願いは聞き届けられなかっただろう。

 

だが『血統能力の覚醒』という誘惑に負けず、自分の信念を貫き通したサイラオーグだからこそ、己の秘技を見せるに値すると認めたのだ。

 

「もし、俺が『ライトニング・ボルト』を会得することが出来たのなら............................俺の身体には、俺の拳には『滅びの力』が宿ることになります。そうすれば、今度こそ俺は胸を張って『バアル家の次期当主』を名乗ることが出来ます。また、俺の夢を叶えるための大きな一歩となるでしょう」

 

サイラオーグの夢、それは『魔王となって、才能や血統に関わらず、努力次第で誰もが認められる悪魔社会を作ること』だ。

 

サイラオーグが魔王になれば............................まさしくあの『ライトニング・ボルト』は、その象徴とも言える技になるだろう。何せ、本来バアルの血筋でなければ起こせない『消滅』を、努力によって体現するのだからな。

 

「そして、バアル家の者に言ってやりましょう! お前たちが拘っていた『滅びの力』を、俺は努力で手に入れたと! 俺の母は、決してダメな母親などではないのだと!」

 

『努力』よりも『生まれついての才能や血統』を重んじる貴族たちも、サイラオーグが『ライトニング・ボルト』を会得すれば認めざるを得ない。何故なら、それを否定するということは、即ち『深紅の武人』を侮辱する行為となる。

 

サイラオーグの目には闘志とは別の炎が宿っていた。自分の夢のため、大切な人のため、自分が目指すべき道が見えたことが嬉しくて堪らないのだろう。

 

「見ていてください、呂布殿。貴方の秘技、確かにこの身に刻み込みました。『ライトニング・ボルト』、黄金の獅子の牙........................必ずやものにしてみせます!」

 

サイラオーグは拳を握り、目を輝かせながら呂布殿と己の魂に誓いを立てた。余程、呂布殿に感銘を受けたに違いない。

 

 

もっとも、それは私も同じだ。最初は呂布殿のことを危険視していたが、今ではそんな自分を恥じている。あれほどまでに情の深い呂布殿が、危険な存在などであるはずがない。

 

「やれやれ、私も人を見る目が無いな。フフフ」

 

「................その割には、嬉しそうに見えますが?」

 

「そうかい? ふふふ、そうだね。それはきっと、素晴らしい人物と出会えたからだろうね♪」

 

グレイフィアにも指摘されるが、私の心は今までに無いくらい清々しかった。

 

 

呂布奉先殿、何て気持ちの良い人物なのだろうか。あれだけの強さを持ちながらも、己の知識や技術を惜しみ無く分け与えられる度量。それを恩とも思わない気高さ。

 

これが『世界最強』と呼ばれる人物。神々からも認められるのも納得ができる。願わくば、呂布殿とは是非『友人』となりたいものだ。

 

 

「呂布殿............................感謝します」

 

 

気づくと私は自然と呂布殿へのお礼を口にしていた。リアスやソーナ、サイラオーグなど若手悪魔に良き成長をもたらしてくれたこと。グレモリーを守ってくれたこと。

 

 

 

私は一悪魔として......................呂布殿と出会えた全てに感謝をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、呂布奉先の輝きに魅せられた者がまた一人。

 

 

 

「あれは、あの光は........................間違いありません!

おの御方、呂布様ですわ!!」

 

フェニックス家の長女レイヴェル・フェニックスは、屋敷の窓から見える黄金に輝く冥界の空を、呂布が起こしたものと断定する。

 

もちろん根拠など何もない、かつてパーティーで見たものとは全く異なる光、だがレイヴェルには何故か『確信』があった。

 

「このような奇跡を起こせるのは、あの方を於て他におりません!!!」

 

「『深紅の武人』ですか、確かにかの者であれば不思議ではありませんが.....................」

 

今はレイヴェルの付き人をしているライザーの『戦車』イザベラは、半信半疑だが主であるレイヴェルが言うのならば信じるしかない。

 

 

「ああ...................何て美しい光なのでしょう。パーティーで見た深紅の光が全てを無に帰す『滅びの威光』ならば、この黄金の光はまさしく全てを導く『恵みの極光』」

 

レイヴェルはまるで、神から祝福を受ける聖女のように跪き恍惚の表情を浮かべる。

 

「破壊なくして創造はありません!全てを滅ぼす力と全てを導く力....................至高の武勇をもって相反する事象を実現するあの御方こそ、これからの時代の頂点に立つべき存在なのです!!」

 

聖女のような振る舞いから、今度はずっと欲しがっていた物をようやく手に入れた少女のように、立ち上がり両手を広げてクルクルと回りだす。

 

 

そうして喜びを身体を使って一頻り表現し終えると、レイヴェルはイザベラに尋ねる。

 

「それでイザベラ、例の件はどうなっていますの?」

 

「はい。当主様をはじめ、フェニックス家と親好の深い貴族から推薦を挙げさせております。恐らく、近日中に正式な通達があると思われます」

 

「そうですか。ではこれでワタクシも晴れて『候補者』。呂布様の伴侶となる資格を得られるわけですね」

 

「左様でございます。ですが、やはり候補者はかなりの数になると思われ「関係ありませんわ」え?」

 

「他にどれだけの候補者がいようと関係ありません。あの御方の覇道を支えることが出来るのはワタクシだけ。つまらない政略などで挙げられた候補者『ごとき』に、このワタクシが負けることなどありえませんわ」

 

「っ........................................!」

 

聖女、少女と続き、今度は絶対なる臣下の如き忠誠心を見せるレイヴェル。あまりの気迫に、それなりの実戦経験を積んだイザベラですらも気圧されてしまう。

 

 

 

聖書陣営から選ばれるのは、ただ一人。それはレイヴェル・フェニックスと姫島朱乃の正面対決を意味していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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無事リアスに『全把握の力』に目覚めさせた俺は、リアスと共に兵藤家のトレーニングルームへ戻ってきた。

 

予定よりも少々遅くなったが、シトリーやグレモリーも昼食を済ませたばかりらしい。なので、このまま午後の模擬戦を行うつもりだったんだけど.....................。

 

 

「む~~~~~~~~~~~~~!」

 

 

食べ盛りのリスみたいに、ほっぺたを膨らませている陳宮さんが出迎えてくれた。

 

そんな両手を腰に当てながら、『わたし、怒ってます!』みたいなポーズを取っても可愛らしいだけだよ?

 

「聞き及びましたぞ、呂布殿!グレモリーの面倒まで見るなんて、何をお考えになっているのですか!!しかも、リアス・グレモリーにいたっては悪魔の血統能力に覚醒させるなんて!!!」

 

まーまー、そんな怒らないで。ホラ、美味しそうな果物もお土産で持ってきたからさ。

 

「.....................食べるか?」

 

「わぁ、美味しそうなのです♪いただくのです。モグモグモグモグあ、甘酸っぱくて美味しいのです!呂布殿の目利きは流石ですな~~~、って違うのです!!!」

 

見事なノリ突っ込みだ、でも俺が渡した果物は離さない模様。素直で大変よろしい。

 

「モグモグ村正殿がモグモグ呂布殿に呼ばれたと聞いてモグモグ嫌な予感がして来てみればモグモグいったい、どういうおつもりなのですか!!モグモグ」

 

これこれ陳宮さんや、食べるか怒るかどっちかにしなさい。お行儀が悪いし、喉に詰まっちゃうぞ。

 

どういうつもりって言われてもね~~~~。若者が真剣に悩んでいたら、大人としては相談に乗らないといけないでしょ。

 

オレンジ髪の航海士さんも『子どもに泣いて助けを求められたら、背中は向けられない』って言ってたし。まぁ、泣いて頼まれたわけではないけどね。

 

「困って....................相談されたから」

 

「っ........................ハァ、またですか。呂布殿のお人好しも困ったものなのです」

 

「シトリーのように................付きっきりで....................修行をつけている................わけじゃない。

アドバイスをしたり....................修行方法を................教えただけ」

 

「っ、それはそうかもしれませんが................やっぱり良くないのですぞ。『蒼天の紅旗』と各勢力間との兼ね合いもそうですが................呂布殿の持つ知識と技術は、それだけで各勢力が奪い合うほどの代物なのです。

だから呂布殿もご自身の努力や研鑽の成果を、安売りするようなことはしないでほしいのです」

 

努力や研鑽の成果って言ってもね~~~~。前世はともかくとして、俺の持つ知識や技術なんて本とかネットとかで調べれば出てくるものばかりだよ?

 

それにいくら神様印のチート能力あっても、知識と実現までのプロセスを俺自身が理解していないと意味ないからね~~~~。

 

例えるなら『何でも作れる粘土』があっても、『作り方』と『完成形』が分かっていなければ、何も作れないのと同じ。

 

そして作れたとしても、今度は『使い方』を知らなければ使いこなすことが出来ないから、日々修行と試行錯誤の繰り返し。

 

だから、その気になれば調べられるものばかりで、各勢力が奪い合うっていうのは大げさ過ぎるんじゃない?

 

でもまぁ、こんな小さな子をいつまでも心配させるわけにはいかないから、今後はリアスたちへのアドバイスはなるべく控えるようにするよ....................たぶん。

 

 

俺が陳宮に叱られていると、模擬戦の準備をしていたグレモリーとアザゼルがバツの悪そうな顔で近づいてきた。

 

「ごめんなさい、陳宮さん。呂布様には私たちからお願いしたの。だから、呂布様を責めないでいただけないかしら?」

 

「ああ、俺も無理に頼んだからな。呂布は何も悪くねえよ」

 

「そんなことは分かりきっているのです!私が本当に怒っているのは、お前たちのその『厚かましさ』なのです!!

どれだけ呂布殿に甘えるつもりなのですか!!調子に乗るのもいい加減にするのです!!!」

 

「「「「「...............................」」」」」

 

 

今度は怒りの矛先をグレモリーとアザゼルに向ける陳宮。俺としてはグレモリーが強くなってくれれば、それに競う形でシトリーも強くなってくれるのでありがたいんだけどな~~~~。

 

でも『蒼天の紅旗』としては、やっぱり認めるわけにはいかないんだろう。ウチの連中は聖書陣営のことをとにかく嫌っているからな。

 

「待ってくれよ!呂布さんは俺たちのために、色々としてくれているだけなんだ!!特に俺なんかは呂布さんに甘えっぱなしだ。それに...................そもそもこんなことになった原因は俺なんだから、責めるなら俺にしてくれ!!!」

 

「陳宮キィィィィィィッッッッック!!!!」

 

「ぐふぉあっっっ!!!」

 

どうしたんもんかと考えていると、話に入ってきた一誠のドテッ腹に飛び蹴りをかます陳宮....................久しぶりに見たな、『陳宮キック』。

 

「な、なんで....................?」

 

「ふん!自分で言ったのです、『攻めるなら俺にしろ』と」

 

「い、いや、それは................字が違う、ぐふっ」

 

あ、気絶した。どうやらチャクラ&武装色の覇気で強化していたらしい。

 

しかし、呪霊錠で制限されていたとは言え、『龍闘気』を貫くとは................腕を上げたな、陳宮。

 

「と・に・か・く!このことはリーダーに報告するのです!!何度も言いますが、呂布殿に甘えるのも大概にするのです!!!」

 

そう言い残すと陳宮は村正を連れて、プリプリ怒りながら帰っていった。帰る時に村正が手で謝っていたけど、俺が頼んだことなので気にしないで欲しい。

 

どうにか木場に教えるべきことは教えてくれたみたいだし、村正の立場を考えると今後呼ぶのは控えた方が良さそうだ.......................わからなくなった時だけ、聞くかもしれないけど。

 

 

その後行ったグレモリーとシトリーの模擬戦だが、驚くべきことにグレモリーの動きが昨日までとは明らかに違っていた。

 

木場は聖魔剣の精度が僅かだが上がっていたし、朱乃は『魔力の形態変化』はまだまだだが、『騎士』のスピードを少しだけ引き出せるようになっていた。

 

白音は仙気がこれまでよりも安定していたし、ギャスパーは自分の影に潜ってシトリーの攻撃を何度か躱していたりもした。

 

一誠は呪霊錠の影響を受けながらも、『龍闘気』を出しながら何とか戦えていたし、リアスは『滅びの力』を封じて『全把握の力』で数秒先の未来を見据えることで冷静に対処するよう努めていた。その結果、シトリーの攻撃を受け止め反撃に転ずる場面がいくつかあった。

 

あの僅かな基礎修行でここまで変わるあたり、グレモリーの子たちのポテンシャルの高さが伺える。

 

やっぱり、若い子ってのは伸びる時には伸びるモンなんだな~~~~。

 

模擬戦は十回ほど行われたが、いずれの試合もグレモリーが勝つことはなかった。だが、呪霊錠の影響を受けていたとはいえ後半はシトリーを追い詰めており、これにはアザゼルも喜んでいた。

 

ここまで出来るのであれば、シトリーの模擬戦の相手としては十分だ。正直、今までなら呪霊錠があったとしてもソーナの戦術と戦略で圧倒されていたからね。

 

 

 

原作ファンとしては、リアスたちが弱いままってのはどうかと思っていたところだったので、俺は素直にリアスたちの成長を嬉しく思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「...................ということなのです」

 

「そうか....................ご苦労だったな、陳宮。呂布には俺からも言っておくよ」

 

「お願いするのです。あ、でも、呂布殿が悪いわけじゃないのです!悪いのは呂布殿の優しさにつけこむ悪魔共なのです!!」

 

「ああ、それは俺もわかっているさ。けど、呂布にも釘を刺しておかないと皆がやりづらいだろう?」

 

「はい....................失礼するのです」

 

俺は通信で陳宮からの報告を聞き終えると、椅子の背もたれに体重をかけ息を吐く。

 

「ふう............呂布のお人好しにも困ったものだ」

 

お人好しに関してはアーシアと良い勝負じゃないのか? いや、だからこそ皆が呂布の妻に推薦したのか。俺たちもそうだが、似た者同士というのはどこか惹かれ合うものだからな。

 

「また、呂布が何かやらかしているのか?」

 

どうしたものかと頭を悩ませていると、『アレ』の調査を終えたばかりのゲオルクが奥から出てきた。

 

「まぁな。アドバイスをしたり、修行方法を教えたりとグレモリーに対して色々と世話を焼いているらしい」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ、アイツは自分の立場や持っているモノの価値を分かっているのか?」

 

相変わらずの呂布の行動に、ゲオルクが深い溜め息をつく。

 

呂布の性格は『友達』としてなら好ましく思うし、誇りにも思う。だが、『組織のリーダー』としてはそうも言ってられない。

 

「まぁ、別にグレモリーの面倒を見るのは構わない。呂布が赤龍帝のお守りをすると決まった時点で、そんなことは俺も神々も折り込み済みだ。しかし............................問題はリアス・グレモリーを『一族の力』に目覚めさせたことだ」

 

「悪魔の血統能力の覚醒............................相手が呂布じゃなかったら、間違いなく貴族悪魔共が目の色を変えて、奪い合うところだぞ」

 

俺も陳宮の報告を聞いた時には、思わず自分の耳を疑ってしまった。まさか、呂布にそんな能力があるとは思わなかったからな。

 

ゲオルクの言う通り、もしこの能力を呂布以外の者が使えていれば、確実に血統主義の悪魔は総出で手に入れようとしていただろう。

 

もしかしたら、魔王派と大王派、そして旧魔王派の三者で血で血を洗う争いが起こっていたかもしれん........................もっとも、そうなったらそうなったでありがたいんだがな。

 

 

しかし......................................。

 

 

 

「考えようによっては、これは僥倖とも言える。神々と相談して進めている『例の計画』。その最後の詰め............言ってみれば、起爆剤とも呼べるようなものが欲しいと思っていたところだ。そう考えるとこれも呂布の『天運』の導きと言える」

 

「っ.............『例の計画』か、俺も各神話群の調査員から話は聞いている。以前、曹操が神々の前で言っていた『腹案』というヤツか?」

 

「ああ、それらを加味すればグレモリーに恩を売っておくのは悪くない。最終的に【生き残る悪魔】は、なるべく呂布に心酔する者で固めたいからな」

 

「まぁ悪くはないし、起爆剤としても申し分ないが............................気を付けろよ。下手をすると、こっちまで火が回ってくるぞ」

 

「わかっている。これだけの能力だ、扱いは慎重にならないとな。呂布には他の悪魔の血統能力は目覚めさせないように言っておく。もし頼まれた場合は、決して引き受けず、すぐに俺に報告するようにも伝えておこう」

 

「なら、いい。それで? 『例の計画』、いつ頃から始める予定なんだ」

 

「準備や根回しは順調だ。このままのペースでいけば、若手悪魔同士のレーティングゲームが終わったぐらいには始められる。それまでは、呂布の好きにさせるさ」

 

『アレ』と戦うため、不安要素は出来る限り取り除かないといけないからな。そのためには、ある程度邪魔な者を『間引く』必要がある。

 

 

 

「そうか、順調ならいい。しっかし、呂布のお人好しは何とか出来ないのか? このままだと、そのうち胃に穴が空きそうだ」

 

「無理だな。呂布は打算ではなく、己の心の求めに応じるがまま動いている。もちろん『蒼天の紅旗』のために働いてくれてもいる。

だからと言って、困っている者がいれば見捨てるようなマネは決してしない。それが他種族、他勢力であろうともな」

 

そういうところもアーシアそっくりだ。彼女も敵対勢力である悪魔を助けて、教会を追われたぐらいだからな。

 

違うとすれば、呂布の場合は敵と見なした相手には一切容赦をしないというところか。

 

「だが、呂布の行動をコントロール出来るのは曹操ぐらいだろう? お前から上手く言ってやってくれ」

 

「無茶言うな。それに俺が呂布の行動をコントロールしたことなど一度も無いし、するつもりもない。俺はただ、呂布の行動の結果が『蒼天の紅旗』や各神話群にとってプラスになるように動いているだけだ」

 

「だからと言って、曹操以外の言うことを聞くようなヤツじゃないだろ」

 

「呂布とて馬鹿ではない。利と理を説けば、聞き入れるだけの度量と耳をちゃんと持っている。ただ...................そこまで強く呂布に意見出来る者が、現状『蒼天の紅旗』のメンバーにはいないということだ」

 

『蒼天の紅旗』で呂布の世話になっていない者など皆無に等しい。基礎カリキュラムの作成はもちろんのこと、成長が伸び悩んでいる者がいれば親身になって相談に乗ってくれる。

 

強さを理由に尊大になるようなことはしないし、来たばかりの新人にも優しく接する姿には本当に俺たちのことを『家族』と思ってくれていることが分かる。

 

口数が少なく口下手で、自ら率先して話しかけるようなことはしないが....................みんな呂布の心根の良さを理解している。

 

そんな俺たちが呂布に『人助けを止めろ』などとどうして言えようか。

 

「俺だって呂布の性格は理解しているし、こんなことを言いたくはない。だが、『組織』としてはそうも言ってられないだろう」

 

「そうだな.................呂布の行動が『蒼天の紅旗』の為になるように動くことができ、かつ呂布に物怖じせず理路整然と説くことが出来る人物。謂わば、呂布専属の『秘書』あるいは『マネージャー』とも呼ぶべき人材が欲しいところだ」

 

「いや、そんな都合の良い人材が都合良く現れたりしないだろ.......................」

 

ゲオルクが呆れたような顔で俺をジトーッと見てくる。そんなことは分かっているさ、だからこうして頭を悩ませているんだろうが。

 

「ゴホン、とにかく。呂布については、次に帰ってきた時にでも俺から言っておく。この話はここまでにしよう。

今はどこにいるかも分からない人材よりも、目の前にある脅威の方が重要だ」

 

俺が半ば強引に話を切り上げると、ゲオルクは肩を竦めながら報告を始めた。ゲオルクも答えの出ない話し合いで、時間を無駄にするつもりはないみたいだ。

 

 

 

しかし、この時の二人は知らなかった。望んでいた人材というのは、意外なところから意外なタイミングで現れるということを......................。

 

 

 






次回からグレモリーVSアガレスのレーティングゲームとなります。

グレモリーの強化にここまで掛かるとは思いませんでした........................これも原作のイベントをほとんど呂布が消化してしまった弊害ですね。本来、眷族になるメンバーもいないですし。

それでは皆さん、次回で♪
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