前編のラスト、グレモリーVSアガレス戦が始まりますが、その前に書きたい部分がありますので、試合開始は次々回になると思います。
呂布さんたちに教えられた修行方法やアドバイスを参考にした俺たちグレモリーは、今までよりも一層修行に励んだ。
自分の立場すら危うくしてまで、俺たちを強くしようとしてくれる呂布さんの手前、何が何でも強くならないと申し訳が立たないからな。
木場は剣術の修行はもちろんのこと、村正さんに教えられた基礎を踏襲し包丁を自分の手で作る修行も始めた。
村正さん曰く、『魔剣創造』の精度を高めるなら刀剣を自作するのが一番らしい。
だが、現代の日本で刀を作っている職人『刀匠』から教わるのは難しい。何故なら、腕の良い『刀匠』は作った日本刀を神社に奉納したりしているので日本神話群との繋がりが深い。
だから、悪魔である木場では一流の刀匠から鍛造技術を教わることは出来ない。そこで、日本古来から伝わる日本刀の製造技術を応用して作る包丁、『玉鋼包丁』の作り方を学ぶことで『魔剣創造』の精度を上げるようにした。
そのため休日や放課後になれば、『玉鋼包丁』を作っている職人の下へ赴き修行。暇さえあれば、今度は剣術の修行と大忙し。ちなみに職人については、グレモリーとアザゼル先生の伝手で探しだした。
でも、その甲斐あってか木場の作る聖魔剣の精度は格段に上がった。今までなら、シトリーとの模擬戦で巡が持っている呂布さんお手製の模造刀で簡単に砕かれていたが、一試合ぐらいなら持ちこたえられるぐらいの強度になっていた。
朱乃さんは新羅副会長から『魔力の形態変化』っていうのを教わり、自慢の雷光を様々な形に変化できるようになった。
更に『騎士』の駒の性能を引き出すため、新羅副会長から薙刀術を教わっている。だが朱乃さんは、より体術面の強化を図るため、これまたグレモリーとアザゼル先生の伝手で探した達人から古武術や合気道も学んでいる。
何でも新羅副会長に薙刀術を教わっていくうちに、足さばきや体さばきの重要性を理解したんだとか。
でも、今までは遠距離タイプだった朱乃さんが近接戦闘までこなせるようになったことで、俺たちのチーム力は底上げされた。
万能タイプの朱乃さんが控えていてくれるのは、俺のような前衛にとっては凄く安心出来るからな。
白音ちゃんは呂布さんから教わった『不動』の修行をしつつ、呂布さんのアドバイスで中国武術の『地躺拳 ちしょうけん』というのを学び始めた。
何でも『地躺拳』は酔拳の基となった武術で、相手の懐に入り込んでの頭突きや体当たり、低い姿勢からの攻撃を得意としている武術らしい。
他にも跳び跳ねたり、転がったりして行う技もあって『小柄な猫』である白音ちゃんにはピッタリだとか。ちなみに『地躺拳』の先生についても、グレモリーとアザゼル先生の以下同文。
また『不動』についても、ある程度出来るようになったことで仙気もだいぶ安定してきている。このまま多くの仙気を練れるようになれば、仙術だけではなく仙気を使った格闘『闘仙術』も出来るようになるって、呂布さんが言っていた。
そして安定した仙気は白音ちゃんの姿に驚くべき変化をもたらせた。まさか、白音ちゃんの体があんなことになるなんて................................デュフフフフ
ギャスパーもヴァレリーちゃんに教えてもらった修行方法で鍛えたことにより、影を使った技がだいぶ上達した。
影を使った盾はまだ心許ないが、短い距離なら影から影へ移動することが出来るようになった。今は影の盾の強度を高める訓練と、自分の身体を霧状に変える練習をしているらしい。
あの気弱なギャスパーもヴァレリーちゃんの応援で順調に成長している。大事な幼なじみに応援されることで、やる気が出てくるんだろう。やっぱりギャスパーも『男の子』ってことか。
しかし、問題はギャスパーの引きこもり体質が復活してしまったことだ。影の中に入れるようになったことで、段ボールではなくそこら辺の影に入り込むようになってしまったのだ。
いくら狭くて暗いところが落ち着くからと言っても、姿が見えなくなるのは心配するから止めて欲しい。
部長は呂布さんから目覚めさせてもらった『全把握の力』を鍛えつつ、色んなレーティングゲームの試合を見て状況ごとの対応方法をまとめている。
実家から送られてきた資料を参考に鍛えた結果、部長は十五秒前後の『過去』と『未来』を見れるようになった。
だから予め状況ごとの対応方法を決めておき、相手の動きを先読みすることで、相手の動きに瞬時に対処するという考えだ。
そうして対処した後で、相手の予想外の一手を仕掛けて流れを持っていく、というのが今のグレモリーの戦い方になっている。
ただ問題は、『全把握の力』の連続使用は脳への負担が大きいのと状況ごとの対応をすぐに選択できる『瞬間的な判断力』、つまりは『機転』が求められることだ。
俺たちもそうだが、部長はどうしても力押しで物事を解決してしまう癖があるため、『思考力のトレーニング』と『癖の改善』を両立する訓練メニューをアザゼル先生に組んでもらっている。
ソーナ会長が攻守共に状況に応じた作戦で戦う『戦術重視』なら、部長は守りは基本通りに。攻撃は奇策を用いて勝利する『戦略重視』というわけだ。
最近ではシトリーとの模擬戦でも、後半は俺たちが優位になることが多い。まだ一度も勝ててないけど、勝利に手が届きそうな場面が何度かあった。
もちろん会長たちは『呪霊錠』のせいで本調子ではないけれど、それでも今までの俺たちでは会長たちを追い込むことは出来なかったからな。
そして俺は....................................聞くも地獄。語ればなお地獄という、修行とは名ばかりの地獄巡りを行っている。
平日は朝から歴代の先輩たちとの特訓。日中は学校に行って、放課後は晩飯までシトリーの皆と一緒に『六式体術』の修行。晩飯を食べたら就寝までシトリーの皆と一緒に呂布さんとの実戦訓練。
そして実戦訓練が終わり、ようやく寝れると思ったら、今度はスケスケのネグリジェなどのセクシー衣装を着た部長との添い寝。部長のおっぱいに包まれるのは至福たが、興奮して寝れない!
休日は朝の流れは同じだが、午前はシトリーの皆と『六式体術』の修行。午後はシトリーとグレモリーで模擬戦。夜は就寝まで歴代の先輩たちとの特訓。そして寝る時は部長との添い寝、もちろん興奮して寝れない!
もうね、まともに身体を休められる時間が学校にいる間だけなんですよ!!
松田や元浜との猥談なんかには、とても付き合ってられない! 授業は真面目に受けているけれど、その他の時間は全て休憩に回しているくらいだ!!
生まれてこの方、ここまで学校という存在に感謝したことは無い!! ありがとう、駒王学園!!!
でも、頭のてっぺんから足先までどっぷり修行に浸かった結果、歴代の先輩の得意技を参考に新たな技を開発することが出来た。それにどうにか『アレ』も何とか形にはなったしな。
それにしても............................改めて考えると、呂布さんってホント凄いんだなぁ。強くなるための引き出しって言うか、とにかく持っている知識量と身につけている技術の数がハンパ無い。博識で研究者でもあるアザゼル先生ですら、呂布さんの知識と技術の凄さには舌を巻いていた。
まぁ会長たちとは違って、グレモリーにはあくまでアドバイスをしてくれるだけなんだけどね。でもそれは仕方がない、修行をつけることを認められているのは会長たちだけで、俺は単なるオマケ。
それでもあんな僅かなアドバイスで、ここまで俺たちを大きく成長させられるんだから、もはや『凄い』以外の言葉が見つからない。
サーゼクス様や周瑜さんの言っていた通り、呂布さんの持つ知識や技術は『世界最高峰』ってことか。会長たちがたったの十日間で、あれだけ強くなったのにも納得がいく。
呂布さんは『調べれば、誰でも分かることしか教えていない』って言うけど............................スポーツとかだとその『正解』に辿り着くまでが、試行錯誤の繰り返しで大変なんだと思う。
答えが分からず、効果が出るのかも分からず何度も試行錯誤しながら訓練するのと、効果が出るって分かった上で訓練するのでは、精神面で明らかに違うからな。
やっぱり『世界最強』って言うのは、あらゆる強さに精通し自分のモノとしているからこそ至ることが出来たんだろう。
アザゼル先生は『人間ってのは過去を学び、新しい物を作る能力に長けているからな』って言ってたが、確かに『温故知新』って言うしな。
そう考えると呂布さんは『人間の強さ』を極めてるってわけか。そりゃあ神様たちも認めるわけだ。『蒼天の紅旗』の人たちが『誇り』と言うのも頷ける。
....................................俺たちはそんな人の名誉を傷つけたのか。しかも俺は呂布さんに両親の寿命を半分にさせてしまった....................思い出すだけで、罪悪感に押し潰されそうになる。
でも、だからこそ! ここで結果を出して、呂布さんの名誉を少しでも取り戻さないと!! 部長たちとも、そう話し合ったじゃないか!!!
そうして........................................................
俺たち駒王学園の二年生は、京都への修学旅行を控えていた。クラスメイトなんか休み時間は修学旅行の話題で持ち切りだ。
しかし、俺たちグレモリーは修学旅行以上に大事なイベントがあった。
「じゃあな、お前ら。俺は前みたいにVIPルームでお前たちの試合を観させてもらう」
グレモリーの屋敷を出発し、レーティングゲームの会場に着いた俺たち。だが、アザゼル先生とはここで別れて俺たちは控え室、アザゼル先生はシトリー戦同様VIPルームへ向かう。
そう。今日は大公アガレス家の次期当主シーグヴァイラ・アガレスとのレーティングゲームだ。
俺たちグレモリーは試合前日ということもあり、昨日の夜から部長の実家に泊まらせてもらった。
いよいよか............................前回のシトリー戦から、俺たちの状況は大きく変わった。
部長は次期当主の権利が無くなり、俺はこの試合と次の試合の内容次第で封印されちまう。
やばい、緊張で頭がどうにかなりそうだ。周りを見ると部長たちも緊張しているのが見て取れる、特にギャスパーなんかは俺のズボンを握りながら泣きそうになっていた。
そんな俺たちの緊張が伝わったのか、アザゼル先生が俺たちのことを励ましてくれる。
「心配すんな。今のお前たちはシトリーの時と比べて、見違えるくらいに強くなった。特にイッセー、お前が一番成長している。
以前のお前は悪魔に転生したばかりで、一人では満足に戦うことも出来なかった。でも今のお前はグレモリー眷属のオフェンス筆頭だ、自信を持て」
「................................はい」
アザゼル先生は俺の成長を褒めてくれるけれど、やっぱり不安を拭うことが出来ない。
確かに強くはなっている自覚はある。でもこの場所に来ると、どうしても前回の試合のショックが蘇ってしまう。
それにシトリーとの模擬戦では、結局一度も勝てていないからな。強くなった実感はあっても、『どの程度強くなったのか』が分からない。
シトリーとのレーティングゲームでもそうだったが、俺たちがいくら強くなっても相手がそれ以上に強くなっている可能性だってあるんだ。
だからアザゼル先生には悪いけど、自信なんか持てやしない。部長たちの方を見ると、やはり俺と同じように自信が持てていない様子だった。
「まぁ、お前たちの気持ちも分かる。だから、お前たちにとっておきのアドバイスをしてやる」
「とっておきのアドバイス、ですか?」
「ああ、どんな不安もたちまち吹っ飛んじまう凄いアドバイスだ♪」
自信消失している俺たちとは対照的に、自信満々で語るアザゼル先生。
そんな凄いアドバイスなら、もっと早くに言ってくれても良かったんじゃないかと思うけど?
俺が少し疑問に思いつつも、アザゼル先生は真面目な顔をして俺たちに言い聞かせる。
「いいか............................『呂布のこと』を思い出せ。お前たちが『呂布から貰ったもの』を頭に思い浮かべるんだ」
「「「「「............................................」」」」」
呂布さんのこと、呂布さんから貰ったもの。確かに俺たちはあの人から、たくさんのことを教えてもらった。
俺たちへの助言は控えるように『蒼天の紅旗』のメンバーから注意されても、出来る限り可能な範囲で俺たちに必要なことを教えてくれている。
特に俺や朱乃さんは自分と家族の命まで救ってもらった。
ホント、不思議な人だよな。神様すら滅ぼす力を持ちながら、困っている人は絶対に見過ごさないんだから。
俺なんかあれだけ酷い態度を取っていたのに、まるで自分のことのように真剣に俺のことを考えてくれている。
へへへ♪ 何でだろうな、呂布さんのことを思い出したら、暖かい気持ちになってきた。
ロビン・フッドさんが言っていたけど、本当に気持ちのいい人だ。口下手で口数も少なく、ときどき何を考えてるのか分からないことがあるけど............................世界一強くて、世界一優しい人なんだ。
部長たちを見ると皆も笑っている。きっと俺と同じように呂布さんの暖かさを思い出してるんだろう。
そしてアザゼル先生も俺たちの顔を見て、笑いながら話を続ける。
「そうだ。お前たちは僅かとはいえ、呂布の教えを受けた。あの『深紅の武人』の教えを、だ。
俺の教えたことだけでは不足だろう、自分の努力だけでも不安だろう。でも................................呂布と一緒に積み上げたものなら、自信が持てるんじゃねえか?」
「「「「「!!!!!」」」」」
呂布さんと一緒に積み上げたもの............................そうだ。俺たちの中には『世界最強』と謳われた人の知識と技術が宿っているんだ。
しかも俺なんかは、呂布さんに直々に鍛えてもらった。あの人の修行を受けて、強くなれないなんてことは絶対に無い。それは会長たちの強さが証明している。
自分のことに自信が持てなくても、あの人のことは信じられる!!!
気付くとアザゼル先生の言った通り、俺たちの中から不安が無くなっていた。『呂布奉先』という世界最強の一部が俺たちの中にあると思えば、何も不安に思うことはないからだ!
俺たちの顔を見て、アザゼル先生も満足気な表情を浮かべる。
「ふ、良い顔になったじゃねえか♪ 試合が始まっても、その顔が出来ていれば間違いなく勝てる。
ボソッ(これなら呂布のアドバイスは要らないな)じゃあ俺は行くぜ、頑張れよ♪」
ん?今、アザゼル先生が何かボソッと言わなかったか? 気のせいかな。
アザゼル先生が手を振りながら、VIPルームへと向かっていく....................................。
しかし、そうはさせないと言わんばかりに朱乃さんが止めに掛かった!!
「奉先様のアドバイス!? ちょっと待ってください、アザゼル先生! それはどのような内容なのですか!?」
「....................................何で今のボヤキが聞こえてんだよ」
「奉先様に関することで、妻(予定)の私が聞き漏らすことなどありえません! 奉先様のアドバイスとは何なのですか!?」
すっげえ地獄耳、よく今の声が聞こえたなぁ。俺たちはおろか、猫又である白音ちゃんですら聞こえてなかったのに................................。
でも確かに呂布さんからのアドバイスなら、聞いていて損はない。っていうか、絶対に為になるから是非聞きたい。
「いや、試合前にお前たちが不安や緊張で固くなるかもしれないから、呂布に良い方法がないか相談したんだよ。
でも、もうお前たちは持ち直したみたいだし不要だろ?」
「そんなことありません! 奉先様からのアドバイスなら、きっと私たちにとって必要なもののはずです!!」
「そうよ、アザゼル。そんなこと言われたら、逆に気になって試合に集中出来なくなるじゃない。
それにそのアドバイスは、これからの試合で必要になるかもしれないわ」
「そうですよ、ケチケチしないで教えてくださいよ」
「僕もメンタルコントロールの方法については、知りたいです。しかも呂布さんの技術なら尚更です」
「ボ、ボクも聞きたいです! もしかしたら、ボクのあがり症も治るかもしれませんし!!」
「気になります」
俺や朱乃さんだけではなく、部長たちも聞きたいみたいだ。当然だな、あれだけのアドバイスで俺たちをここまで強くしてくれたんだ。
俺たちの中に、今さら呂布さんのことを疑うようなヤツはいない。俺も呂布さんを疑うくらいなら、まず自分の頭を疑う。
「いや、しかしだなぁ...................................これについては、正直聞かない方がいいと思うぞ?」
「いいから教えてください、アザゼル先生! 往生際が悪いですわよ!!」
鬼気迫る表情でアザゼル先生に詰め寄る朱乃さん。毎度のことだけど、呂布さんのことになるとホントに人が変わるよなぁ。
しかし、あんなにハッキリしない様子のアザゼル先生も珍しい。普段なら呂布さんの知識や技術には興味津々なのに。
「................................はぁ、わかったよ。聞いても後悔すんなよ?」
不屈の朱乃さんの勢いに負けて、アザゼル先生もとうとう観念した。呂布さんのアドバイスって、聞いて後悔するようなものなの?
「ゴホン、あ~~呂布からのアドバイスはこうだ。『もし敵に対する不安で心がいっぱいになったら』」
「ゴクリ、なったら?」
「................................『敵全員を【俺】だと思え』だそうだ」
「「「「「「........................................」」」」」」
................................え~~~っと、つまり対戦相手全員を『呂布さん』だと思えってことだよな。
今回の対戦相手であるアガレスは16人全員が揃っているって話だから、呂布さんが『16人』いるって考えるわけか。
....................迫り来る『16人』の呂布さん。『16人』の呂布さんが、全力で俺たちを潰しに掛かる。
............................『16人』の....................呂布さん............................
「オエェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッッッッッ!!!!!」
突如、俺を襲う猛烈な吐き気! 思い出されるは会長たちと共に行う呂布さんとの実戦訓練!! だがそれは、修行という皮を被った地獄そのもの!!!
実戦訓練をするたびに、俺たちは骨を折られては治され、内臓を潰されては治されるの繰り返し。
鎧を着ていようが『鉄塊』を使っていようが、呂布さんの一撃をまともに食らえば、身体が吹っ飛ぶどころか意識が飛ぶのは、もはや俺たちにとっての常識。
けど、そのたびに呂布さんの『起きなければ殺される!!!』と思うような濃厚な殺気で叩き起こされ、気絶することすら許されない。そしてまた吹っ飛ばされては叩き起こされるの繰り返し。
俺やシトリーの眷属たちが『いっそのこと、ひと思いに殺してくれ!』と思ったことなど数知れず。それこそタンニーンのおっさんとの修行が可愛く思えてしまうぐらいだ。
そんな呂布さんが『16人』もいて、攻め込んできたら............................それがグレモリー最後の日になるのは間違いない。
ッ、ウップ、オエ、『16人の呂布さん』のインパクトが強すぎて、内臓を潰される感覚が蘇ってきた............................。
「............................大丈夫、一誠くん?」
吐きそうになるのを何とか我慢していると木場が背中を擦りながら、心配してくれる。やっぱり持つべきは親友だな。
「あ、ああ、お前の方こそ顔が真っ青になってるけど大丈夫か?」
「う、うん。僕たちは呂布さんと直接戦ってはいないしね。ただ、一誠くんと会長たちが戦っているところを何度も見たからか、かつてないほどの恐怖を感じたよ............................それから、顔色のことを言うなら君の方こそ青を通り越して白くなってるけど、本当に大丈夫?」
「だ、大丈夫だ....................ちょっと骨を折られたり、内臓を潰された感覚を思い出しただけだから................ウップ!」
「........................それはそれで、別の意味で心配になるよ」
部長たちを見ると木場同様、顔が真っ青になっていた。ギャスパーは身体を恐怖に震わせ、滅多に表情を変えない白音ちゃんまで倒れそうなくらい顔が青ざめている。
みんなも俺と会長たちとの訓練を見ているからな。こうなるのも無理はない............................約一名を除いては。
「16人の、奉先様........................♪ 何て夢のような光景なのかしら♪ 一人くらいもらっても、問題ないですわよね///////////////////////////////////」
朱乃さんは相変わらずというか、16人の呂布さんを想像してトリップしている。朱乃さん、貴方にとっては夢のように幸せでも、対戦相手からしたら悪夢でしかありませんよ?
「あ~~あ~~、だ~~から、聞かない方がいいって言ったんだよ。せっかく良い感じで終われそうだったのに........................」
うぐっ、それはそうですけど........................けど、いくらなんでも、呂布さんが16人いる想定なんて出来ませんよ。
「と、とにかく! アガレスがどれだけ強くなったのかは知らないけど、呂布様よりも強いってことは無いはずよ。ましてや、16人全員が呂布様以上だなんてあり得ない....................そう、『絶対に』!あり得ないわ」
「「「「うんうん!!」」」」
部長の言う通りだ! どんな奇跡が起これば、そんな地獄が顕現するっていうんだ!! 俺たちが戦う相手は少なくとも、呂布さんより遥かに格下ってことは間違いない!!!
........................あれ? そう考えたら何でか知らないけど、不安や緊張が無くなってる。やっぱり16人の呂布さんのインパクトが強かったからか。
部長たちもいつの間にか、普段の調子に戻ってるし。もしかして、呂布さんはこれを狙っていたのか?
だとしたら、あの人は恐怖やトラウマを植え付けるのも取り除くのも自由自在ってことか。
呂布さん、やはり貴方は本当に、世界で一番強くて、世界で一番優しい。そして............................世界で一番恐ろしい人だ。
呂布はアザゼルに伝えたアドバイスを「普段接している相手と戦うって思った方が緊張感が無くなると思うよ?」ぐらいにしか考えていません。
ただ実際に呂布が16人いれば....................まぁ、ラスボスは余裕でしょうねwww
どれくらい余裕になるかと言うと、ドラクエⅢのゾーマ戦でラリホー連発して倒すぐらいですかね?
それでは皆さん、次回で♪
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