前回のシトリー戦では『解説者』がいなかったとのご指摘を受けましたので、今回より解説者の解説を少し入れます。
ただキャラの心理描写がメインになりますので、戦闘や場面が一段落した後ぐらいしか喋ることはありません。
『それではこれより、リアス・グレモリーとシーグヴァイラ・アガレスの試合を開始いたします。なお、本日は解説に「ロイガン・ベルフェゴール」様をお招きしております。ロイガン様、本日はよろしくお願いいたします』
『よろしく♪』
ワァァァァァァァァァァァ................................!!!
ロイガンの登場に盛り上がる観客。『ロイガン・ベルフェゴール』、確かレーティングゲームのプロランキングが2位のトッププレイヤーだ。
そのうえ女性の最上級悪魔ってこととその美貌も相まって、噂だとあの『王者』ディハウザー・ベリアルよりも人気があるとか。
そりゃあ観客も盛り上がるわな。今ごろはイッセーも大喜びしてんじゃねえか?
『また両チームとも今回より基本ルールに加え、特別ルールが採用されます』
特別ルールねえ。レーティングゲームは『王』を倒されたら負けってのが基本だ。しかし、それだけでは面白味に欠けるってことで、プロの試合では様々なルールを付与されている。
てっきり今回の若手悪魔同士のレーティングゲームじゃあ、採用されないと思ってたんだがな。それに司会がグレイフィアではないってのも気になる................................何かあったのか?
『今回採用されるルールは「タワーオブディフェンス」。ご存知ない方のためにルールをご説明いたします。まずはこちらをご覧ください』
司会者が手元のパネルを操作すると、中央のスクリーンに東西二色に色分けされた地図とフィールドの地形の映像が出現した。
『こちらの色分けされたエリアが両チームそれぞれに割り振られます。ちなみに西側の赤いエリアがグレモリーチーム、東側の青いエリアがアガレスチームのエリアとなります』
このフィールド、地図中央の線を境に地形が左右対称になっているな。位置こそ違うが山岳、森、砂漠、湿地、湖など様々な地形が同じように二つのエリアに割り振られている。
『そして両チームには、この『四つの塔』を自分のエリアのどこかに配置してもらいます』
今度は司会者の説明に合わせて、塔がフィールドに出現した。結構デカイな、十メートルくらいか?
ルール名から察するに、あの『塔』はただのオブジェクトじゃねえな。何か重要な役割があるはずだ。
『こちらの「塔」の周囲1km圏内は「本陣」として扱われます。つまり「兵士」は、相手チームの「塔」の1km圏内に入った段階で「昇格」が出来るようになります。そのため「兵士」は、塔が1km圏内にあるかどうかを感じ取ることが出来ます』
なるほど........................となると塔を探すには『兵士』の存在が必要になる。そして『兵士』を全て倒されると塔を探すのは困難になる。
こりゃあ、普通のゲーム以上に『兵士』が重要になってくるな。
『ただし、「塔」が破壊されたり「塔」から1km以上離れてしまいますと「昇格」は無効となってしまいますので、ご注意ください。しかし、再び「塔」から1km以内に入れば、再度「昇格」が出来ます』
『つまり、本来であればゲーム中一回しか出来ない「昇格」を複数行うことが出来るというわけよ』
『昇格』を何度も出来るってってことは、やはりこのルールで『鍵』を握るのは『兵士』か。最大八人いる『兵士』が全員『女王』になれるわけだからな。
『更にもう一つ。あの「塔」には大きな役割があります。それは............................「四つの塔を全て破壊されたら負け」というものです』
ッッッッ!? 何だと!? じゃあ『王』をいくら守っても、『塔』を全部破壊されたら負けになるってことか!?
つまりは『防衛戦』がメインになる、こんなの数が多い方が圧倒的に有利じゃねえか!!
『なお、「塔」については内部にあるクリスタルを壊せば、破壊することが出来ます。その他の方法で「塔」を破壊しても、すぐに修復されます。
そのため、ゲーム開始と同時に「塔」に眷属を配置することが可能です。ただし、「塔」は必ず外から見えるようにしてください。地中に埋めたり魔術で見えなくするのは反則です』
『「塔」や「王」を守りつつ、相手の「塔」や「王」も撃破しなければならない。攻撃と防御を如何に両立するかが重要ね』
ロイガンの言う通り、攻めるにしても守るにしてもどうしたって人員が必要になってくる。攻撃重視であれば守りが薄くなるし、その逆も然りだ。
それにあのフィールドはかなり広い。下手すると駒王町ぐらいあるんじゃねえのか?
あの広いフィールドから『塔』や『王』を探し出すってなったら、それこそ『兵士』による人海戦術になる。なのに、アガレスは人員をフルで使えるのに対して、リアスは自身を除けば五人しかいない。
....................................おかしい、明らかに変だ。いくら何でも、ここまで一方が不利なルールが偶然採用されるとは思えない。ましてやプロではなく若手悪魔、アマチュアの試合だぞ?
っ...........................そうか、大王派の貴族どもが裏で何かやりやがったな! それならグレイフィアが司会進行から外されていたのにも説明がつく。
恐らく、最近のゴタゴタで力を落としているサーゼクスに追い討ちを掛けるためか。リアスがここで負ければ、『こんなヤツを擁護した』ってことで、サーゼクスをはじめとする魔王たちを糾弾できるからな。
それにリアスは家督相続権こそ無くなっているが、一応『グレモリー』ではあるからな。あわよくば魔王派である『グレモリー』の名も落とせればってところか。
さすがに『グレモリーの力』を呂布に目覚めさせてもらったことは、まだ広まっていないはずだ。サーゼクスも時期を見計らってから公表するって言ってたしな。
気になってサーゼクスの方を見てみれば、苦虫を潰したような顔をしている。やっぱりサーゼクスには聞かされていなかったか................................クソッ! 大王派め、姑息な手を使いやがって!!
でも、既にゲームは始まっている。もはや俺たちにはどうすることも出来ない。
『ルールの説明は以上です。それでは今から五分間の作戦タイムを設けます。五分後に「塔」と眷属の配置していただきます』
五分か、短えな。リアスの頭には様々なレーティングゲームのシチュエーションが入っているが、果たしてこの状況でどこまで生かしきれるか...............................負けんじゃねえぞ、ガキ共!
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私たちは五分間の作戦タイムを与えられ、試合についてどうするかで頭を悩ませていた。
「それにしても................................また随分と露骨なイヤガラセですわね」
「くっそ! 卑怯なマネしやがって!!」
「これは............................厳しい戦いになりそうですね」
「あうぅぅぅぅ、ど、どうしましょう~~~~」
「始まる前から、大ピンチです」
明らかに不利な状況に浮き足立つ眷属たち。でも、不思議と私の心は落ち着いていた。私が取り乱せば、眷属は余計に不安になる。
「落ち着いて、みんな。既にゲームは始まってしまったわ。今はこの試合を制することのみ考えましょう」
私は冷静に自分が今やるべきことをする。ここで私が自身の怒りに振り回されては、本当に勝ち目がなくなる。それに『王』の第一の役目は眷属に安心感を与えることなのだから。
私はフィールドの地形と今の戦力を考慮しつつ、作戦を考える。『リアス・グレモリーの戦い』を見出だした私は、毎日徹夜で様々なレーティングゲームの試合を研究した。その中には当然、『タワーオブディフェンス』の試合もあった。
私の頭の中にある膨大なレーティングゲームの知識の中から使えそうなものを抽出。今の私たちの状況と照らし合わせ、私たちの力を最大限に発揮する作戦を考える。
さらに今回はイッセーを活躍させなくてはならない。また私たちを庇って立場を悪くされた魔王様方の名誉回復、そして呂布様の御恩に報いるためにも今回の試合............................『完全勝利』としなければならない!
ここまで圧倒的に不利な状況で『完全勝利』は難しいだろう。そもそも五分の状況に持っていくだけでも困難だ。
でもやってみせる! ソーナだって私たち相手に実現したんだもの。それなのに私には出来ないだなんて、口が裂けても言えないわ!!
私は頭をフル回転させて、今できるであろうベストな作戦を考えていた・・・・・・・・・・
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『五分経過しました、作戦タイム終了です。それでは両チームの「王」は塔と眷属の位置をそれぞれ決めてください』
司会の進行に従い、両チームの『王』が自分のエリア内に塔を置いていく。
アガレスは森、山岳、砂漠、湖上に塔を設置した。眷属の配置は森に『王』と『女王』と『兵士』八名、山岳地帯に『騎士』を二名、砂漠に『戦車』を二名、湖上に『僧侶』二名を配置している。
『なるほどね。「兵士」を固めているところを見ると、アガレスはあの「兵士」八名を試合開始と同時に突っ込ませて塔を探させる気ね。
そして塔を見つけたら、今度は状況に応じて「騎士」や「戦車」の駒と入れ換えながら戦うってところかしら』
アガレスの塔と眷属の配置を見て、アガレスの考えを解説するロイガン。俺の見立てもロイガンと同じだ。
分かっちゃいたが手堅いな。人数差で有利な分、無理な戦い方をしない。堅実でお手本通りの布陣だ。
さて、リアスの布陣は............................っ、な、何だありゃあ!?
「ハッハッハッ♪ どうやらリアス姫は『笑い』という点では、エンターテイメントの才能があるのではないか?」
「これはこれは♪ 随分と稚拙な考えですな!」
「やれやれ。これはもう勝負は決まりましたな♪」
『ふ~~~ん。グレモリーの作戦、悪くはないけど........................あの場所に塔を配置した意図がちょっと読めないわね』
リアスの塔と眷属の配置を見て、大王派の貴族共は大笑い。だが、ヤツらが笑うのも無理はない。俺から見てもリアスの取った作戦は危険だと言わざるを得ないからな。
一方、解説のロイガンはある程度評価をしている。だが、それでもリアスの思惑を図りかねているみたいだ。
『それでは両チームの転移も完了しましたので、ゲームを開始いたします。ゲームスタート!』
試合の立ち上がりに不安を感じさせながる中、リアスの再起を懸けたレーティングゲームが遂に始まった。
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試合開始とともにゲームフィールドに転移された私たち。私はすぐさま目の前にいる『五人全員』に指示を出す。
「イッセーと祐斗は作戦通りオフェンス、すぐに出発してちょうだい。白音は仙気を練り始めて。ギャスパーはコウモリになって、周囲を警戒しつつ索敵をお願い。朱乃は結界の準備よ」
「「「「了解!!!」」」」
「さあ、みんな。これが私たち新生グレモリーの初試合よ。生まれ変わった私たちの力を見せてあげましょう!」
「「「「はい、部長!!!」」」」
私が指示を出すと皆は一斉に行動に移る。皆のやる気は十分。後は私の可愛い眷属たちを信じるのみ!
だけど................................................
「........................................ねえ、リアス。やっぱり私も攻撃に回らせてもらえないかしら?」
朱乃だけは私の指示に不満の声を上げていた。私の作戦を聞いた時、他の皆も聞いて驚きはしたけれど反対はしなかった。
しかし、朱乃だけは反対していた。それは私が朱乃に『今回の試合では守りに専念するように』と指示したからだ。
時間が無かったのでそのまま押し通したが、やはり納得はしていないらしい。
「ダメよ。さっきも言ったでしょう? この試合の勝利は、アナタの働きに懸かっていると言っても過言ではないの。だからアナタをディフェンスから外すわけにはいかないわ」
「でも! あの者たちは奉先様を侮辱したのよ!! あの誰よりも優しくて、誰よりも強い奉先様のことを!!
アイツら、奉先様のことを何も知らないくせに........................よくもあのようなことを!!! それを私に見逃せと言うの!?」
私が朱乃の要望を却下すると、彼女は泣きそうな顔で詰め寄ってくる。気持ちは痛いほど分かる、実際のところ私だってハラワタが煮えくり返る思いだもの。
でも、ここで感情的になってしまえば勝ちがますます遠退いてしまう。もし冷静さを失い負けるようなことがあれば、それこそ呂布様に顔向けが出来ない。
だから『王』である私は............................怒りを振り撒くのではなく、内に秘めて己の糧としなくてはならない。
ギュッ........................................
私は朱乃の怒りを受け止めるため、彼女を優しく抱きしめた。
「リ、リアス................................?」
「ごめんなさい、朱乃。アナタにとって呂布様が掛け替えの無い存在であることは理解しているわ。そして呂布様を侮辱されることは、自分がバカにされるよりも耐え難いことだということも................................」
「っ....................................................」
「みんな気持ちは同じよ。だってあの方は私たちグレモリーの大恩人なのだから。だからこそ、これからの試合で証明しなくてはならないの。『呂布様の行動は間違っていなかったのだ』、と。それがあの方の恩に報いる唯一の方法だと思っているわ」
「........................................................」
私は冷静に、優しく朱乃のことを諭す。自分の愛する人をあんな風にバカにされたのだ、朱乃の怒りはもっともだろう。
でも、それではダメなんだ。その時々の感情に流されて、何度も失敗してきた私だから分かる。
感情のままに行動すれば、確かに一時溜飲は下げられるかもしれない。けど、それでは結果は伴わない。今の私たちに必要なのは『結果』なのだから。
目的と手段を取り違えてはいけない。
『そうですよ、朱乃さん!』
「イッセー!?」
「イッセーくん?」
私が朱乃を説得しようとすると、通信からイッセーの声が聞こえてきた。
『部長の言う通りです。俺も朱乃さんのように、あの人に自分と家族の命を救われました。それに俺だけじゃありません。木場や白音ちゃんにギャスパー、みんな呂布さんのお世話になりました........................みんな気持ちは同じです!』
「...........................................」
『俺が皆の分までアイツらをぶっ飛ばしてきます! 特に朱乃さんの分は念入りに!! だから、この試合............................俺に任せてもらえませんか?』
通信から聞こえるイッセーの力強い宣言。イッセー、本当に成長してくれたのね。以前のイッセーは確かな根拠もなく、勢いだけの部分があった。
でも、今のイッセーは違う。ご両親の想いと命を宿し、呂布様の教えを受けたあの子は今では私たちに欠かせない戦力となった。
今回の作戦だって、イッセーがここまで強くなったからこそ立てられたものだ。呂布様に言われた通り、あの子のことを見守り続けていて良かった。
「イッセーくん................................わかったわ。この試合、アナタに任せます。私の分までお願いね」
『はい! 任せてください!!』
そして朱乃もイッセーの宣言を信じ、自分の想いを託す。イッセーのことを見守っていたのは私だけじゃない。ソーナたちシトリー、アザゼル、イッセーのご両親、そして私たちグレモリー。
朱乃ももちろんイッセーのことを見守っていた。呂布様に何度も血反吐を吐かされても、決して諦めないイッセーの姿を思い出して信じることにしたのだろう。
「ごめんなさい、リアス。アナタの言う通り、本当に奉先様のことを想うなら、まずこの試合に勝つことを第一に考えるべきだったわ。
なのに私ったら自分の気持ちばかり............................私は、また間違えてしまった」
イッセーに自分の怒りを託したことで、落ち着きを取り戻した朱乃は私の指示通り結界の準備に取りかかる。
けど、いつもの冷静な朱乃に戻ったことで逆に試合に対する熱意まで冷めてしまった可能性がある。
朱乃のことだから大丈夫だとは思うけど........................念のため、少し発破を掛けておいた方が良いわね。
「安心して、朱乃。この埋め合わせはちゃんとするわ」
「? 埋め合わせ?」
「ええ。もし、アナタが自分の役割を全うしてくれたら....................................」
「全うしたら?」
「呂布様とのデートをプロデュースするわ!!!」
「っ.......................................................具体的には?」
私の言葉に朱乃は一瞬、目を開いて驚くけれどもすぐに真剣な表情となり尋ねてくる。私は懐から二枚のチケットを取り出した。
「これ、駒王クラブのチケット。知ってるでしょ? 駅前にある会員制の高級娯楽施設。そこがつい最近、改修を行ったのよ。何でも天然温泉を使ったスパを新設したらしくて、プライベートで楽しめる空間もあるみたいよ」
「....................................................」
「その出資者がグレモリーでね、プレオープンのチケットをもらったのよ。ちなみに....................................この話を聞いた呂布様は凄く行きたそうにしていたわ」
「ッッッッッ!!!」
「だから、アナタがちゃんと自分の仕事をしてくれれば、呂布様と二人っきりで「任せて、リアス! 必ず守り抜いてみせるから!!!」....................................そう。じゃあ、お願いね」
私の話を途中で遮り、ウキウキ気分で結界の用意をする朱乃。もはやあの者たちへの怒りなどとうに消え失せ、いかに呂布様とのデートを楽しむかしか頭にないのだろう。
自分から言っておいて何だけど、却って心配になってきたわ。
「あ、あの~~~部長さん。だ、大丈夫なんですか? ロスヴァイセさんやタマモさんが反対するんじゃあ............................」
「大丈夫よ。チケットは何枚かあるし、日にちを変えて二人っきりで全員がデート出来るようにすれば納得するハズよ」
もっとも、呂布様は三回もスパに行かなくてはならないから大変になるでしょうけど....................................ごめんなさい、呂布様。
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朱乃さんに『アイツら、ぶちのめす宣言』をした俺は木場と一緒に山岳地帯へ向かっていた。部長が言うには敵は山岳、砂漠、森、湖にそれぞれ塔を配置しているらしい。
何でも『圧倒的有利な状況で、相手が守りに奇策を用いる可能性はほぼゼロ』とのことだ。
「しかし凄いね、イッセーくん。本気じゃないとはいえ、僕のこのスピードについて来れるなんて思わなかったよ」
「そうか? ありがとうよ。そりゃあ会長たちと六式の訓練をしたり、呂布さんにぶっ飛ばされたりしているからな~~~~。そんな毎日を過ごしてたら、自然とこうなるよ」
ホント、あの人は死ぬかどうかの瀬戸際を見極めて追い込んでくるからね。それどころか、死にかけても治してくるし。
「ハハハ、それは災難だね。僕もウカウカしてられないな~~~。それで? 六式はどれくらい出来るようになったんだい?」
「えっと、とりあえず『鉄塊』『剃』『紙重』の三つだな。と言っても、匙たちと違って何とか形になったってレベルだけどな」
「へえ~~~、じゃあ僕のスピードについて来られるのは『剃』を習得したからってこと?」
「だろうな。たぶんだけど、基礎能力なら『戦車』の耐久力や『騎士』のスピードに素の状態でも引けは取らないと思う」
自分の身長の倍ぐらいある鉄球を受け止めたり受け流したり、焼けた砂の上でフルマラソンさせられたりしたからね。
まぁ、それは会長たちシトリーの皆も同じなんだけど。
「木場の方はどうなんだ?」
「僕? 僕の方は順調だよ。『玉鋼包丁』の鍛造修行のおかげで剣の精度はかなり上がったし。今は剣術の修行に加えて、朱乃さんと一緒に古武術の足さばきや体さばきを学んでるよ」
「足さばきや体さばきを?」
「うん。トップスピードはそう簡単には伸ばせないからね。それで呂布さんに相談したら、足運びを工夫してボトムスピードを更に下げれば、同じトップスピードでも相手の目には、より速く感じるように見えるらしいんだ」
あ~~~なるほど。目の錯覚ってヤツだな。
「前回のレーティングゲームで、シトリーの『騎士』である巡さんが僕より速いと感じたのは、足運びの技術を会得していたからなんだね。
僕も言われるまでまったく気付かなかったよ。ちなみに体さばきは上半身の動きだけで、フェイントを掛けられるようにするためだよ」
「へえ~~~、それで古武術を?」
「さすがに呂布さんに直接教わるわけにはいかないからね。でも、あの人のアドバイスのおかげで『きっかけ』は作れる。後は、その『きっかけ』をモノに出来るかは僕の努力次第ってわけだね♪」
あ~~~、それで木場の重心がやたらと安定してたのか。斜面な上にあちこち岩が転がってて、足場が悪いのに普段と変わらない走りが出来てるから『何でだろう』って思ってたけど、そういうワケか。
俺も『剃』の修行で、足場の悪い砂地や沼地とか走らされたからな~~~。
「................................改めて聞くと、呂布さんの持つ知識や技術の量ってハンパ無いんだな」
「それはそうだよ。それが『世界最強』ってことだろうからね。きっと『あらゆる強さ』を極めて、初めて到達できる領域なんだと思う」
「................................そんな人をバカに出来るって、どんな精神なんだろうな」
いや、俺も呂布さんの基礎修行を笑ったことがあるから、あんまり言えないけど............................でも、さすがにあそこまで酷くはなかったと思うぞ?
「たぶん............................馬鹿なんじゃないのかな? もしくは世界の広さを知らないとか?」
木場も言うようになったな。まぁ、それも当然か。何せアイツら、部長のことまでバカにしてきやがったからな。
「そうか、じゃあ俺たちで少しでも教えてやろうぜ。世界の広さってヤツをさ!」
「うん! っと、見つけたよ。やっぱり部長の言う通りだったね」
木場に言われて、すぐに岩陰に隠れる俺たち。木場の指す方へ目を向けると確かに『塔』が立っていた。
良かった、けっこう広いエリアだから探すのに手間取るかと思ったぜ。
「数は........................二人か。昨日見た資料だと、確か二人とも『騎士』だったはず」
「塔の中にいる可能性は?」
「無いと思う。『塔』と言っても、中は階段とコアがある部屋しかないからね。双方にとって戦いにくいし、戦闘の余波でコアが破壊されたら目も当てられない。
外部から塔は破壊出来ないし、入口も一つしかないから密かに侵入される心配もない。入口を守るために外で見張っているのが無難だよ」
「でも、塔の内部に罠が仕掛けられている可能性はあるんじゃないのか?」
「それは十分にあるね。だから予定通り、イッセー君が敵と戦ってる間に僕が隙を見て塔に潜入するよ。氷の聖魔剣で通路を凍らせながら進めば、時間は掛かるけど罠も作動しないだろうし」
「了解。じゃあさっそく始めるとするか、親友!」
俺と木場はコツンと軽く拳を合わせて、戦闘準備に入る。
さ~~てと、暴れるぜええええええええ!!!
イッセーを活躍させるため、オリジナルのルールを採用しました。と言っても、名前や大まかなルールについては某ソシャゲから来てるんですけどね。
それでは皆さん、次回で♪
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