グルメシーンって、バトルシーンやラブシーン並みに書くのが難しいんですね。
でも、書いてて一番楽しかったです♪ やっぱり向き不向きってあるんですかね?
今書いている作品が終わったら、『食戟のソーマ』の二次創作でも書こうかな?
試合開始を告げる銅鑼の音が鳴ると同時に朱乃とレイヴェルの二人が食材を選び始めた。
『さあ、いよいよ始まりました。この戦いに勝利し、見事「深紅の武人の妻」の座を手にいれるのはどちらなのでしょうか!?
なお、解説には冥界屈指の料理評論家「バラザン・カイユウ」氏をお招きしております』
『よろしく』
『バラザン・カイユウ』。天才的な味覚の持ち主で、味に対しては一切の妥協を許さないと言われている人物ね。
いくらお金を積まれようが、たとえ貴族からの依頼であっても絶対に忖度を行わない。
そのため『美食の魔王』と呼ばれ、『料理』に関して絶大な信頼が置かれている。
彼の評価一つで店の未来が決まり、少しでも褒められようならその店は大繁盛するとまで言われているそうね。
『さて、バラザン先生。今回の料理の課題は「呂布様好みの料理」ということですが、ポイントはどのようになりますでしょうか?』
『そうだな....................やはり「○○好みの料理」という課題をどのように解釈するかが勝負の分かれ目となるだろう』
課題の解釈の仕方? それってどういう意味なのかしら?
単に『呂布様の好きな料理を作る』ってだけじゃダメなの?
おおおおおおおおおおおお....................!!!
解説であるバラザンの言った意味を考えていると、いきなり観客が騒ぎ出した!
二人の方に目をやると私も驚いた! 何故なら....................
『なっ、何ということでしょう! 姫島選手とレイヴェル選手、両者ともに【同じ食材】を選んでいるーーーー!!!』
そう。司会者の言う通り、二人とも全く同じ食材を選んでいる!
米、卵、玉ねぎ、長ネギ、唐辛子....................その他調味料まで、ほとんど同じだわ!?
二人とも一切の迷いなく食材を選んでいることから、既に作る料理は決めているようね。
でも呂布様の好みを熟知している朱乃はともかく、何故レイヴェルがすぐに選ぶことが出来るの?
確かレイヴェルと呂布様には接点は無かったはず。ほとんど同じスピードで食材を選んでいることから、朱乃の真似をしているとは思えない。
これはいったい........................................
「いやはや、これは驚いたね」
「っ、お、お兄様!? いえ、魔王様。どうしてこちらへ?」
開始早々、予想外の展開に驚いていると不意に後ろからお兄様に声を掛けられた。
私がいるのは関係者用の特別席。しかし魔王であるお兄様は本来、VIP席にいなければならないはずだ。
「な~~に、せっかくだからリアスと一緒に観戦しようと思ってね。
何せ私とセラフォルーだけではなく、アジュカとファルビウムまで朱乃くんを推薦したんだ。
朱乃くんには是非とも頑張ってもらいたいからね」
「は、はぁ..................さようでございますか」
悪びれもせず、堂々と仰るお兄様にあっけに取られる私だが、よく見るとグレイフィアも後ろでため息をついている。
まったく、本当にお兄様は相変わらずなんだから。
『おおーーーーっとぉ! 姫島選手とレイヴェル選手、ここに来て別々の食材を選び始めましたーーーーー!!!』
司会者の実況に反応して会場に目を向けると、確かに二人とも別々の食材を選んでいる。
朱乃は豆腐と大豆、レイヴェルはエビとトマトを吟味している。
それだけ見れば特に驚くことは無いのだけれど、私たちが驚いたのはレイヴェルの行動だ!
『何とレイヴェル選手! 大量のエビを自分のキッチンへ持ち帰りました!! これはいったいどういうことなのでしょうか!?』
『アレは『ボタンエビ』だな。車エビよりも身は小さいが、その分エビ特有の甘みが強い品種だ』
司会者の言う通り、レイヴェルは大量のエビを選んで下ごしらえをしている。たぶん百尾ぐらいあるんじゃないかしら?
あんなに大量のエビなんか用意してどうするつもりなの!?
一方、朱乃も食材を選び終えレイヴェルと同じように食材の下ごしらえをしている。
朱乃の方はレイヴェルと違って、食材の量はごく普通だ。
二人とも手際よく進めてはいるが、同じ食材を選んでいるせいか下ごしらえの工程もほぼ同じ。
でも朱乃と同じスピードで下ごしらえや調理を進めているところを見ると、レイヴェルもかなり料理が得意みたいね。
『さて、二人とも食材と調味料を選び終えて、今は下ごしらえに入っております。
ですが、両者ともに選んだ食材も調味料もほぼ同じ。これは似たような料理が出来上がるということでしょうか?』
『そうだな、二人が選んだ食材と調味料。そして調理工程を見る限り........................二人が作るのは≪中華料理≫で間違いないだろう』
『ほ~~~、≪中華料理≫ですか』
『うむ。≪中華料理≫は時間の八割を下準備に費やし、残りの二割で一気に仕上げるのが特徴だ。
そのため用意された食材や調味料などを見れば、だいたいの完成形が分かる。
それに調味料の中に「豆板醤」があるのも理由の一つだな』
確かに。どんな料理を作るにせよ、『豆板醤』を使う料理は≪中華料理≫ぐらいしかないわね。
『なるほど~~~。ではお二人はどのような料理を作ろうとしているのでしょうか?』
『まず二人とも米、卵、玉ねぎを選んでいることから、≪チャーハン≫を作ろうとしていることは間違いないな』
≪チャーハン≫か....................中華料理の基本中の基本であり、呂布様の大好物ね。
呂布様が無類のチャーハン好きであるということは、一緒に暮らしている全員が知っている。
だから、朱乃がチャーハンを作ろうとするのは当然と言えるだろう。
でも、何故レイヴェルまでもが知っていたのかは不思議ね。
それに他の食材はいったい何に使うつもりなのかしら?
『もちろん二人ともただの≪チャーハン≫ではない。姫島選手が選んだ豆腐をはじめとする食材と調味料、アレは≪麻婆豆腐≫の材料。
恐らく姫島選手は≪チャーハン≫と≪麻婆豆腐≫を合わせた、【麻婆チャーハン】を作るつもりなのだろう』
≪麻婆豆腐≫。確かに豆腐、長ネギ、唐辛子、ニンニク、生姜、豆板醤。すべて麻婆豆腐の材料だわ。
でも≪麻婆豆腐≫なら、どうして『挽き肉』も『辣油』も用意していないのかしら?
『≪麻婆チャーハン≫ですか~~~、美味しそうですね~~~。ではレイヴェル選手はどんな料理を作るつもりなのでしょうか?』
『......................食材の種類だけで見れば、≪エビチリ≫なんだがな。ただやはり気になるのは、あの大量のエビだ。
エビの殻を油で揚げて「蝦油(シャーユ)」。つまりは「エビ油」を作っているようだが、それでもあの量は多すぎる』
解説の言う通り。食材だけで判断すれば≪チャーハン≫に≪エビチリ≫を合わせた≪エビチリチャーハン≫を作るつもりなんでしょうけど、今回作る料理は一品のみ。
でも、あのエビの量を見る限り十数人分は作れてしまう。いったい何を考えているのかしら?
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会場中がレイヴェルの不可解な行動に首を傾げる中、対戦相手である朱乃だけはレイヴェルの考えに気づいていた。
やりますわね、レイヴェルさん。奉先様が無類のチャーハン好きであることを知っているばかりか、一番好きな『あんかけチャーハン』。
更にその中でも特に好きな二つのうちの一つ、『エビチリチャーハン』に目をつけるなんて.....................。
『麻婆チャーハン』と『エビチリチャーハン』、正直この二つに明確な優劣は無い。
せいぜい奉先様のその日の気分で、多少上下するかもしれないという程度だ。
そしてレイヴェルさんが選んだのは『エビチリチャーハン』だが、ただの『エビチリチャーハン』ではない。
一見すると大量のエビに目が行ってしまいますが.......................私には見えている。綺麗に取り除かれ、別で分けられている『エビミソ』が!
『エビミソ』はエビチリに深いコクと旨味を与える。しかし、エビ一尾から取れる『エビミソ』の量はごく僅か。
だからレイヴェルさんは十分な量の『エビミソ』を取るために、あれだけ大量のエビを用意した。
エビ百尾分の『エビミソ』の旨味とコクが濃縮された極上の『エビチリチャーハン』。
恐らく誰も食べたことが無いような、高級料理店顔負けの料理に仕上がってくるはず。
けれど、奉先様が『麻婆チャーハン』と『エビチリチャーハン』の二つが好きだということは一緒に住んでいる皆ですら知らないこと。
知っているのは私とロスヴァイセさんにタマモさん。そしてアーシアさんの四人だけだ。
だから、開始直後にレイヴェルさんが私と同じ食材をほぼ同時に選んだことには驚きましたわ。
いったいどうやってそんな情報を手に入れたのかしら?
朱乃やリアスがレイヴェルに疑問を持つのは当然だった。
実際、呂布とレイヴェルに直接的な面識は無い。
もちろん呂布は前世の知識からレイヴェルのことを知っていたが、それもあくまで『知識』の中での話。
一方のレイヴェルもまた呂布と関わりを持っているわけではなく、せいぜい遠巻きで顔を見ただけ。
家の力を使って呂布のことを可能な限り調べたが、それも呂布と同じく『知識』の中でしかない。
つまりは、お互いがお互いのことを一方的に知っているという奇妙な間柄なのである。
しかしレイヴェルが呂布と違う点、それはレイヴェルが呂布に関する情報を集められるだけ集めたところだ。
それこそ巷に流れている噂から、神々しか知り得ないであろう情報までとにかく収集した。
その中でも特筆すべきは、『グレートレッドとの戦い』を映像付きで入手したことだろう。
本来なら各神話群で厳重に管理されているであろう最高機密をどのようにして入手したのか、それは『フェニックス』の生い立ちが関係してくる。
『フェニックス』、それは『不死』の特性を持ったエジプト神話における神鳥である。
一説では、エジプトの最高神である『ラー』が冥界から地上に戻る際に化身した姿とも言われている。
『ラー』がアポプスとの戦いに敗れると夜が訪れ、『ラー』が冥界から地上に戻ると夜が明ける....................その時『ラー』の身体の一部が抜け落ち、冥界にて神性が変異したのが『フェネクス』と呼ばれる悪魔であるとされている。
つまり『フェニックス』家はエジプト神話群との繋がりが深く、他勢力の最高神と唯一接触出来る家柄なのだ。
度重なる交渉の末、聖書陣営のトップですら持ち得ない情報を入手した彼女は歓喜に震えた。
今では一日一回、かつての頂上決戦の映像を見て悦に入るのが彼女の日課である。
更に彼女は和平によって風通しの良くなったことを幸いに、教会・天使陣営から呂布の伴侶となるための推薦状まで取り付けてしまった。
実家から持っていった大量の『フェニックスの涙』を土産に他勢力からの推薦まで手に入れるのは、まさしく彼女の執念の賜物と言えよう。
『レイヴェル選手、エビの身をすりつぶしたものをエビ油で揚げていきます』
『なるほどな。すり身にすることで、小さい『ボタンエビ』でも食べ応えのある大きさにすることが出来る。
それにクワイを刻んだものを加えることで、食感もプラスしている』
どうやらレイヴェルさんが作るのは、≪すり身揚げのエビチリチャーハン≫のようですわね。
最高級の『ボタンエビ』、その旨味が凝縮された≪エビチリチャーハン≫。
確かに『味』の勝負では、私に勝ち目は無いでしょう。
ですが今回の課題は【奉先様好みの料理】....................ならば、話は別ですわ!
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朱乃が下ごしらえを進めながらレイヴェルを観察する一方で、レイヴェルもまた朱乃に感心を示していた。
ふふふ♪ 呂布様の伴侶となるからには、呂布様の好みを把握していることなど当然のこと。
むしろ、そんなことも出来ない者に『深紅の武人』と結婚する資格はありませんわ。
これまで見てきた多くの候補者たち。名家の令嬢から最上級悪魔まで、数多くの女性がいた。
しかし参加していたのは、どれも呂布様の名声に引き寄せられた俗物。
あるいは小賢しい政略によって選ばれた愚か者しかいなかった。
呂布様を追いかけることしか考えていない者たちは言うに及ばず。
世界最強たる『深紅の武人』の前では、いかなる政略なども無に帰すということが分からない無能な貴族たち。
自分がそんな輩に負ける要素など皆無だった............................でも、目の前にいる朱乃様は違う。あの方は『本気』で呂布様と人生を共に歩もうとする覚悟が見える。
けれど、それでこそ私の最後の相手に相応しい。
『姫島選手、豆腐をサイコロ状に切っていきますが........................ずいぶん細かく切っていますね』
『アレは「冷凍豆腐」だな。凍らせているから切りやすいし、解凍してじっくり水抜きすれば水分が少なくなり、麻婆のタレが薄まることもない』
っ............................やはり朱乃様は心得てらっしゃいますわね。
普通、≪麻婆豆腐≫を作るのなら絹ごしや木綿豆腐を使うのが一般的。
けれど≪麻婆チャーハン≫となると話は別、普通の豆腐は使えない。
それは豆腐に含まれている水分が、チャーハンをベチャベチャにしてしまうからですわ。
しかし、普通の豆腐に重しを掛けて水抜きすると固くなり過ぎて、舌触りも悪くなってしまう。
だから、≪麻婆チャーハン≫を作る際は『冷凍豆腐』を解凍して、丁寧に水抜きしたものを使うのがベスト。
しかも豆腐を小さなサイコロ状に切ることで、チャーハンと一緒に食べやすくする心遣い。
まさしく、呂布様を想うからこそ出来る気配りですわ。
........................でも残念でしたわね、朱乃様。
勝つのは、この私ですわっっっっ!!!!
≪麻婆チャーハン≫と≪エビチリチャーハン≫。確かに呂布様の好みの上では、この二つに大差は無い。
けれど、私の≪エビチリチャーハン≫には最高級の『ボタンエビ』を使っている。
しかもエビ百尾分の旨味とコクが濃縮された極上の一品。
いくら≪麻婆チャーハン≫に最適な『冷凍豆腐』を使っていても、味自体は平凡。
つまり食材を用意した時点で、『味』において大きな差が開いているということですわ!
この比類なき≪エビチリチャーハン≫こそ、世界最強たる『深紅の武人』が食すに相応しい料理!!
これで必ずや『深紅の武人』様の伴侶となってみせますわ!!!
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『さあ、制限時間も残り僅か! ここまで両者との下ごしらえと丹念な調理を行ってきましたが、果たして間に合うのでしょうか!?』
『中華料理は下準備に時間の八割を要するからな。たぶん、そろそろ最後の仕上げに移るはずだ』
解説のバラザンが言うように、残り時間が10分を切ったところで二人の動きが変わった!
二人とも凄まじいスピードで最後の仕上げに取り掛かっていく。
下ごしらえと下調理を施した食材を次々と火にかけた鍋に入れていく。
『中華の大火力の炎は一瞬にして、食材の香りと味を引き出し閉じ込める........................【炎の料理】と呼ばれる由縁だ』
確かにあんな火力の炎を使う料理は他に無いわね。あっという間に食材に火を通して料理を仕上げていく。
特に朱乃のスピードが凄い。まさに目にも止まらぬスピード........................恐らく『雷光』を使って、肉体の反応速度を上げているんでしょうね。
呂布様から教わった【雷速瞬動】、いくらなんでもこんなところで使うような技じゃないでしょ! 何て贅沢な使い方してるのよ!!
ゴオオオオオオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!
私が朱乃に呆れつつある種の感心をしていると、突然レイヴェルのキッチンから巨大な火柱が巻き起こった!
いったい何が起こったのか目を向けると........................炎の中でレイヴェルが鍋を振るっていた!!!
『な、な、な、な、何とーーーーーー!!! レイヴェル選手、灼熱の炎に包まれながら料理を作っているーーーー!!!!』
『中華料理は【炎の料理】。だが、あのような強力な炎の中で料理をする者など見たことがない。
まさに「不死」と「炎」を司る≪フェニックス≫だからこそ可能な方法だ』
解説の言う通り、他の者があんなやり方で料理なんかしたら料理ではなく、自分が黒焦げになって焼け死んでしまう。
朱乃もそうだけど、二人とも何てメチャクチャな方法で料理を作ってるのよ!?
そうして会場中が驚きに包まれる中、時間は刻一刻と迫っていた。
『5............4............3............2............1............終ーーーー了ーーーー!!!!
両者そこまでーーーー! 手を止めて下さい!!』
司会者がタイムアップを告げると二人とも動きを止める。
どうやらあんな破天荒に作っていても、ちゃんと逆算はしていたらしい。
二人とも時間ギリギリで料理を完成させていた。
『それでは両者ともに料理を完成させたということで、さっそく試食審査に移りたいと思います。
なお、今回の最終選考のために特別な審査員をお招きしております........................どうぞ、お入り下さい!!』
司会者が呼ぶと朱乃とレイヴェルが入ってきたゲートが再び開き、出てきたのは............................呂布様とオーフィスだった!!!
『ご紹介します。この方こそ、天下にその名を轟かせ知らぬ者無しと謳われる【深紅の武人】! 呂布奉先様です!!!』
ワァァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!
呂布様の登場により、観客が今までにないくらいの盛り上がりを見せる。
何せ人間の身でありながら、世界最強へと至った生ける伝説ですもの。皆が興奮するのも無理ないわ。
「ふふふ♪ ここまで皆が喜んでくれるなんてね。やはり、呂布殿をお招きして正解だったよ」
「では、お兄様が呂布様をお呼びしたのですか?」
「ああ、呂布殿の伴侶を決めるんだ。呂布殿が立ち会うのは当然だろう?
もちろん、神々の許可はちゃんと取っているから心配はいらないよ」
確かにお兄様の言う通り。呂布様の伴侶を決めるのだから、この場に呂布様がいらっしゃるのは不思議じゃあない。
それに今回の課題は『呂布様好みの料理』。むしろ呂布様以外に審査員は務まらないわ。
っ、なるほど。だから課題が『呂布様好みの料理』だったわけね。
『本来、呂布様への干渉は神々により禁止されているのですが、今回は特別にお越しいただくことが出来ました!
なお、お側にいる女性は『無限の龍神』として名高いオーフィス様です。
オーフィス様は呂布様のご友人ということで、本日お越しいただいております』
アーシアさんが修学旅行に行っている以上、オーフィスを一人で留守番させるわけにはいかない。
だから、呂布様同伴という形でオーフィスも一緒に呼んだのね。
呂布様とオーフィスが試食審査のために用意されたテーブルにつくと、二人が作った料理が運ばれた。
ちなみにオーフィスの分もちゃんと用意されている。
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『それではさっそく試食審査を始めたいと思います!
なお公平を期すため、呂布様には別室で待機していただきました。
そのため、呂布様には誰がどちらの料理を作ったのかは分からないようになっております』
目の前に並べられた二つのチャーハン。いや~~~嬉しいね~~~~。
どっちも俺の大好物だよ、しかも二つともスゴく美味しそうだ。これは心していただかないとね!
でも朱乃はともかく、何でレイヴェルが俺の好物を知ってるんだ?
俺が≪麻婆チャーハン≫と≪エビチリチャーハン≫が好きなことって、『蒼天の紅旗』を除けばそれこそ朱乃とかごく一部の人しか知らないはずなのに........................う~~~ん、謎だ。
『では呂布様、実食願います!!』
おっと、いけない。今の俺は審査員だった、考えるのは後にして早く食べよう。
それに隣にいるオーフィスが二つのチャーハンを見て、ヨダレを垂らしてるからね。
え~~っと、確か課題は【俺好みの料理】だったな。じゃあ、まずは≪麻婆チャーハン≫からいただこうかね。
「「いただきます」」
俺とオーフィスは手を合わせてから、備え付けられていたレンゲを使い≪麻婆チャーハン≫を一口頬張る。
モグモグモグ............................お~~~、これは美味しい。チャーハンはパラパラし過ぎず、かといってシットリし過ぎない絶妙な食感。
それに≪チャーハン≫と≪麻婆豆腐≫は合わせて食べることを計算している。
チャーハン自体は薄味に、麻婆豆腐は穏やかで軽く仕上げているのもポイントが高い。
豆腐も小さなサイコロ状にカットされてるから、チャーハンと一緒に食べやすい。
それにこの豆腐。なるほど、この固さは『冷凍豆腐』を使ったんだな。
これなら普通の豆腐と違って、チャーハンがベチャベチャになることもない。
≪麻婆豆腐≫も≪チャーハン≫に合うように、ギリギリまで水分を飛ばしている。
≪あんかけチャーハン≫って、『あん』の水分量が難しいんだよね。
水分が多いと『あん』の味が薄まるし、固すぎると≪チャーハン≫と絡まないから美味しくない。
でも、この≪麻婆チャーハン≫は完璧だ。これなら毎日でも食べられる。
それに何より、一番感心したのは................................
『あ、あの~~~呂布様? 一応、テレビでも中継されておりますので、何かコメントをいただけますか?』
ああ、ゴメンゴメン。つい食べることに集中してしまってたよ。
そうだよね。見ている人には分からないんだから、ちゃんと食レポしないとね。
「........................美味しい................だが、『美味しすぎない』................優しい味わいだ。
こんなチャーハンなら....................毎日でも食べたいと思う」
おおおおおおおおおおおおおお..................!!!
『大・絶・賛! 「毎日でも食べたい」! 伴侶となる女性にとっては、まさにこれ以上ない評価でしょう!!』
ワァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!
俺が≪麻婆チャーハン≫の感想を言うと歓声を上げる観客たち。
俺の拙い食レポでもこんなに盛り上がってくれるなんて、冥界の悪魔さんたちはずいぶんノリがいいんだな~~~。
「モグモグ、やっぱり朱乃の料理は美味しい。おかわり」
「うふふ♪ 残念ですが、おかわりは用意していないんですの。ごめんなさいね、オーフィスちゃん。
でも、家に帰ったら作ってさしあげますので、少しだけ我慢していただけます?」
「ん。なら、我慢する」
オーフィスが朱乃に≪麻婆チャーハン≫のおかわりを要求する。
やっぱりこの味は朱乃だったんだな。いつも食べてるから、すぐに分かったよ。
でも、オーフィスさんや。一応これって、誰が作ったか言っちゃダメなルールなんだからね?
まぁ、俺は一口食べてすぐに気づいたから意味ないんだけど。
『え、え~~~~っと....................と、とりあえず呂布様。次の料理の実食をお願いします』
オーフィスがバラしちゃったせいで、会場にはビミョーな空気が流れてしまう。
しかし、それでも何とか続けようとする司会者には、プロとしての心意気が感じられるな。
じゃあ、次は≪エビチリチャーハン≫だね。いただきます♪
俺とオーフィスが同時に≪エビチリチャーハン≫を頬張ると............................口の中で旨味が爆発したっっっ!!!!
何だ、この≪エビチリチャーハン≫!? メチャクチャ美味いんだけど!! こんな美味いチャーハン食ったことがない!!!
チャーハン自体の味は朱乃が作ったのと、ほとんど変わりない。
でも上に掛かってる≪エビチリ≫が、とんでもなく濃厚で美味過ぎる!!!
あまりの美味さに俺とオーフィスは一心不乱に≪エビチリチャーハン≫をかっこんだ!!!
『何と呂布様とオーフィス様。先ほどの≪麻婆チャーハン≫とは違い、脇目も振らず≪エビチリチャーハン≫ を勢いよく食べています!
これはいったいどういうことなのでしょう!?』
『恐らく『エビミソ』だな。百尾分の『ボタンエビ』から取った『エビミソ』が≪エビチリチャーハン≫に強烈な旨味とコクを与えているんだ』
百尾分の『エビミソ』!? だからこんなに濃厚な味になってんのか!
こんなのお店じゃ絶対に出せないぞ!? 出したとしても、いったいいくらになるんだよ!?
そうして俺とオーフィスはレイヴェルが作った≪エビチリ≫を一気に平らげて、これ以上ないほどの満足感に浸っていた。
いや~~~、驚いたわ。レイヴェルが料理が得意ということは原作でも知ってたけど、まさかここまでとはね。
まさに高級料理店顔負けの料理だったよ。良い仕事してますね~~~~。
『あ、あの~~~、呂布様? それでいかがでしたでしょうか、この≪エビチリチャーハン≫のお味は?』
おっとっと、そうだったそうだった。あまりの美味さにちょっと放心しちゃってたよ。
「........................これ以上ないほどの................最高の味だった。
こんな≪エビチリチャーハン≫は........................どんな高級料理店でも....................食べられないだろう。
まさに....................『最強のチャーハン』と呼べる代物だ」
『超・絶・大・絶・賛! 『最強のチャーハン』! まさしく世界最強たる【深紅の武人】が食すに、これ以上の料理は無いでしょう!!!』
ワァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!
この≪エビチリチャーハン≫は俺が今まで食べた料理の中で、最も『美味い』料理だったことは間違いない。
そんなつもりでした評価に会場からは大歓声が巻き起こった。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
朱乃とレイヴェルの料理を食べ終わった呂布様とオーフィス。
オーフィスは分からないけど、呂布様はレイヴェルの料理を食べた後、私が今まで見たことが無いほどの満足そうな顔をしていた。
それにしても驚いたわ。まさか、百尾分の旨味が濃縮された≪エビチリ≫だなんて。
あんな大量のエビを用意したのを見た時は何事かと思ったけど、そういうことだったのね。
試食審査も終わり、いよいよ結果が発表される........................!
『両者ともに創意工夫を凝らした素晴らしい料理を作り、呂布様から最高の評価を得ました........................ですが、それでも勝者は一人!!
呂布様、≪どちらの料理が美味しかった≫でしょうか!
お答えください!! !』
司会者が聞くと呂布様はおもむろに食べ終わった皿を指差した。
呂布様が選んだのは....................................................
レイヴェルの皿だった....................................。
呂布がチャーハン好きというのは作者の好みです。呂布が恋姫の『恋』に似てるから、≪肉まん≫の方がいいかな~~~とも思ったんですが、書きやすさから≪チャーハン≫になりました。
呂布が選んだのはレイヴェルの皿なわけですが、何故このような展開になったか。
それは『今回の課題』と『司会者の質問の仕方』にあります。
次話でようやく朱乃の恋にも決着がつきます。
それでは皆さん、次回で♪
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