朱乃編が終わり、次は修学旅行編です。わかっていましたけど、≪幕間≫というには、あまりにも忙しないですね。
修学旅行の最終日の夜。俺たちは妖怪の大将である九尾の狐さんに招かれて、京都の妖怪の総本山である『裏京都』に足を運んでいた。
「ふえ~~~、ここが妖怪さんたちの世界なんですね。色んな妖怪さんがいて、何だかちょっぴり恐いですぅ........................」
タマモさんに案内されている俺たちだが、アーシアさんは妖怪を見て若干怯えている。
『一つ目小僧』に『ろくろ首』と俺でも知っている妖怪から、細長い布や古めかしい傘みたいヤツと俺の知らない妖怪まで、たくさんの妖怪たちが俺たちのことを見ている。
やっぱり妖怪の世界なだけあって、人っ子一人いないからな。俺たちのことが珍しいんだろう........................もっとも、俺は悪魔なんだけどな。
俺とイリナとゼノヴィアは怯えているアーシアさんを尻目に、気づかれないよう彼女を囲む。
たぶん大丈夫だとは思うけど、妖怪たちがアーシアさんにちょっかいを掛けられないようにしないとな。
妖怪って、人を驚かすのが生業みたいなところがあるし。怯えているアーシアさんなんかは格好の獲物だろう。
イリナとゼノヴィアなんか、いつでも聖剣を出せるようにスタンバってるからな。
「皆さん、見えてきました。あちらが八坂様のおられるお社でございます」
タマモさんに案内されて長い階段を登ると、たくさんの灯籠が両サイドに並べられた一本道の先にそれはもう立派なお社が立っていた。
そしてお社の前には、この間会った狐娘と九本の狐の尻尾を生やした妙齢な女性。
そして........................................
「レヴィアタン様!? 」
狐さんたちと一緒に俺たちを出迎えてくれたのは、着物姿のセラフォルー・レヴィアタン様だった! 魔王少女様が何で『裏京都』にいるんだ!?
「はぁい♪ 皆、元気にしてた?」
「魔王様がどうしてこちらに?」
「もっちろん、お仕事だよ☆ 『今回の修学旅行』は日本神話群と聖書陣営の両方が関わってるからね。
万が一の場合に備えて、外交担当のワタシが来たってワケ♪」
相変わらず陽気なレヴィアタン様だが、俺たちはレヴィアタン様の返事に気を引き締め直した。
万が一の事態........................それはアーシアさんが拐われて、呂布さんの怒りがこの国を飲み込むような事態のことだろう。
そんなことになれば、日本壊滅の引き金を引いたということで、日本の神様たちが聖書陣営に報復戦争を仕掛けてくることは間違いない。
レヴィアタン様は日本神話群と聖書陣営が戦争にならないよう、全ての責任を負うために来てくれたんだろうな。
そうならないよう、修学旅行が終わるまではアーシアさんにキズ一つだって付けることは許されない!!
そのためにも『今回の作戦』は絶対に成功させないとなっ!!!
「皆さん、ようこそ『裏京都』へ。妾はこの国の妖怪を統べる長の1人であり、京の都の守護を任されている【八坂】と申します。以後、お見知りおきを」
俺が『今回の作戦』に向けて意気込んでいると、タマモさんみたいに胸元を大きく開いた着物を着たナイスバディな狐の女性が前に出てきた。
この人が妖怪の大将さんか。どんな恐い妖怪かと思ったら、こんな美人さんとはね。
「そしてこちらにいるのが、妾の娘の【九重】でございます。九重、皆様にご挨拶なさい」
「はい、母上。お初にお目に掛かります。八坂が娘、九重と申します。本日はようこそ『裏京都』にお越しくださいました」
八坂さんが促すと、狐娘が大人顔負けの自己紹介をしながら頭をペコッと下げる。
ずいぶんしっかりしてるんだな~~~。見た感じ、小学生ぐらいなのに。
やっぱり妖怪の大将の娘さんってことで、厳しく躾られてんのかね。
「えっと................九重、でいいかな? この間はゴメンな。俺たちのためにしてくれてたのに、失礼な態度取っちまってさ」
「構わぬ。おぬしたちは己の務めに忠実だっただけのことじゃ。むしろ何も連絡せず警戒させてしまい、すまなんだ」
俺がこの間の件を謝ると、九重には逆に謝られてしまった。本当にしっかりしてるんだな~~~。
何か尚更、こっちが申し訳なく感じてきたよ........................。
「イッセーさん、この子と何かあったんですか?」
「あ、いや、えっと、その~~~~~~」
「実はこちらの手違いで、悪魔の方々の来訪が上手く伝わっていなかったのです。
そのため京都の妖怪たちが皆様を遠巻きに監視していたのですが、そのせいで赤龍帝殿に要らぬ警戒をさせてしまったのです。のう、赤龍帝殿」
「え? あ、うん、まぁ、そんな感じ。アハハハ....................」
「まぁ、そうだったんですね。じゃあ、もう誤解は解けたってことですよね。良かったですね、イッセーさん♪ 」
護衛のことは一切言えないため、どう説明しようか考えていると九重が絶妙なフォローを入れてくれた。
凄い。完全な嘘ではなく、事実を上手く曲げて伝えることで信憑性の高い誤魔化しをするなんてな。
しかも、しれっと自分たちの落ち度にすることで聖書陣営に責任が行かないようにする気配り。
あまりにも完璧過ぎて、とても子どもとは思えない。
そして善意100%のアーシアさんの笑顔により、俺の中の罪悪感が爆上がりする。
「皆様。立ち話も何ですし、どうぞ中へお入りください」
護衛としての責務と騙している罪悪感の板ばさみに苦しむ俺。
そんな俺たちのやり取りを見た八坂さんが、ちょうど良いタイミングで切り上げてくれる。
俺たちは八坂さんに案内され、お社の中へ招かれた。
八坂さんについていくと、俺たちは大きな客間へと案内された。中には家来みたいな妖怪たちが、ズラッと両サイドに座っている。
八坂さんと九重と対面する形で俺たちが座ると、八坂さんが話を切り出した。
「改めまして、ようこそ『裏京都』へお越しくださいました。本日、お招きしたのは他でもありません。
妖怪の長として、【深紅の武人】の奥方であるアーシア・アルジェント殿をおもてなしするためでございます」
「えっ!? わ、私を、ですか?」
いきなり名前を呼ばれて、慌てふためくアーシアさん。だが、俺たちにとっては『打ち合わせ通り』なので、特に取り乱すことはなかった。
「はい♪ 音に聞こえし【深紅の武人】。その奥方が遥々、この京都にお越しいただけたのです。
それなのに何もおもてなしをしなかったとあれば、我ら京都の妖怪の名折れ。是非、妾たちのおもてなしを受けていただきたく存じます」
「で、でも、私はそんなに大したことはありませんので、お気になさらずとも............................」
「そうはいきません。天照様より、『アーシア殿にはくれぐれも失礼の無いように』と厳しく仰せつかっております。
もしこのままアーシア殿を帰すような真似をすれば、妾たちが天照様にお叱りを受けてしまいます。
ですので、どうか............................妾の顔を立てると思い、もてなしを受けてくださいませぬか?」
八坂さんが頭を下げると、九重や周りにいる妖怪たちも一斉に頭を下げる。
あまりにも急な申し出のため、アーシアさんもオロオロしている。
そして、そんな可愛らしいアーシアさんにアザゼル先生とタマモさんが助け舟を出した。
「いいんじゃねえか? せっかく妖怪たちがここまで言ってくれてるんだ。ここは一つ【深紅の武人の妻】として、妖怪たちのもてなしを受けてやれよ」
「アーシアさん。アザゼル総督の言う通り、アーシアさんは既に『呂布殿の奥方』として世間に認知されているのです。
恐らく、今後もこのような申し出がたくさんあるでしょう。ですので、これを機に慣れておいた方がよろしいかと思いますわ」
「っ、呂布さんの妻........................そうですよね。ここまでお気遣いいただいてるのに、断っちゃったら呂布さんに迷惑を掛けちゃいますよね。
それじゃあ八坂様、よろしくお願いします」
アザゼル先生とタマモさんの説得。そして『呂布さんの妻』という言葉により、オドオドしていたアーシアさんの顔つきがキリッとしたものに変わった。
呂布さんが関わると人が変わるところは、朱乃さんそっくりだなぁ。
「おお! お受けいただき、誠にありがとうございます。九重」
「はい、母上」
「歓迎の宴まで、まだ少しお時間が掛かります。九重に案内させますゆえ、それまでの間『裏京都』を見て回ってくださいませ」
「はい! あ、でも、他の皆さんはどうしましょう?」
さすがはアーシアさんだ。こんな状況でも、俺たちのことを気遣ってくれるとは............................でもゴメンな、アーシアさん。俺たちは一緒には行けないんだ
「俺たちのことは気にしなくていいぜ。『蒼天の紅旗』であるイリナとゼノヴィアはともかく、俺たちは『聖書陣営』だからな。
日本神話群に連なる妖怪たちが俺たち聖書陣営の者を歓待したら、後々で面倒な話になりかねない」
「えっ、そうなんですか? でも、困りましたね。せっかくですから、皆さんと一緒に楽しみたいんですけど............................」
「悪いな、その気持ちだけありがたくいただいておくぜ。ここはアーシアとイリナとゼノヴィアの三人で楽しんできてくれ。
俺たちは一旦、ホテルに戻る。宴が終わった頃に迎えに来てやるよ」
「........................わかりました。残念ですが、仕方ないですよね。イリナさん、ゼノヴィアさん、一緒に来てくれますか?」
「もちろんだよ、アーシアさん♪」
「ああ。よろしく頼むよ、九重」
「うむ! お任せあれなのじゃ♪」
本当に残念そうにするアーシアさんは、九重に手を引かれながら部屋を出ていった。
その後ろにイリナとゼノヴィアがついていくが、部屋を出る際に俺たちを見て頷いたので、俺たちも頷き返した。
せっかくのアーシアさんのお誘いを無下にしたことで、再び罪悪感がぶり返してくる俺。
だが、これも全てはアーシアさんのため。延いてはこの国のためなんだ!
アーシアさん、キミは何も心配する必要はない。キミは、ただ『裏京都』を楽しんでくれればそれで良い。
キミを害そうとする連中は.......................................今夜、俺たちが消すから!!!
アーシアさんが出ていったのを確認すると、さっきまでにこやかにしていた八坂さんが真剣な表情になる。
「さて........................では、そろそろ本題に入ろうかのう」
「ああ、よろしく頼むぜ」
八坂さんの顔つきが変わり、続いてアザゼル先生も顔つきが変わる。
そう、アーシアさんをもてなすために『裏京都』に連れてきたというのは建前。
本当は今夜の『強襲作戦』を実行している間、アーシアさんを妖怪たちに守ってもらうためだ。
八坂さんが手を挙げると、側近らしき妖怪さんが大きな地図を床に広げた。
俺たちは話し合いがしやすいように地図を囲むように座り直す。
これは............................京都の地図か。でも、ずいぶん古い地図だな。地名とか古い字体で書かれてるから、ほとんど読めないや。
「この京都には自然の『気』の流れを安定させるための結界が張られておる。敵はその結界を張るための施設の一つを占拠しているようじゃ」
八坂さんが細長い指で地図のとある一点を差す。ここは........................『二条城』か!?
「『二条城』、確かに隠れるにはもってこいの場所だな。それで、敵の戦力はどれほどなのか分かるか?」
「妾たちが調べたところ、『超越者』が一人。『最上級悪魔』が二人、後は上級と中級の悪魔が二~三十人といったところじゃの。
既に妖怪たちが二条城の周囲を取り囲んでおる。後はおぬしたちが突入すると同時に結界を張り、『異界化』させる手筈じゃ」
八坂さんが言うには『異界化』っていうのは、レーティングゲームで使われるような疑似空間のことらしい。
この空間内で起こったことは外の世界には影響が出ず、建物などが壊れたとしても結界を解除すれば元に戻るんだそうだ。
なるほどな............................ってことは思う存分、暴れられるってことだな♪ OKOK、これで心置きなくアイツらをぶっ飛ばせるぜ!!
「よし、それだけわかれば十分だ。ってことでだ、喜べお前ら。妖怪たちの協力のおかげで、思いっきりヤツらをぶちのめせるぞ」
アザゼル先生、いつになくヤる気だな........................まぁ、ただでさえ修学旅行で生徒たちの面倒を見なきゃいけない上に、こんな面倒事まで持ってきてくれたんだ。
全員1人残らずぶっ飛ばしても、バチは当たらない。何せ、今回は日本の神様たちが俺たちについてくれてるからな。
「それでアザゼル、具体的にはどう攻めるつもりなんだ?」
「まず、俺たちの目的はあくまで『守る』ことが最優先だ。そこで、ここにいるメンバーを『奇襲組』と『防衛組』に分ける。
当然、戦力のほとんどを『防衛組』に割くことになるから、必然的に『奇襲組』は少数精鋭となる」
確かにな。アーシアさんのことは妖怪たちに任せればいいけど、一般生徒たちのことは俺たちで守らないといけない。
ここで一番重要なのが、【一般生徒が拐われたことをアーシアさんに知られてはならない】ということだ。
アーシアさんが知ったら、間違いなく呂布さんに連絡してしまう。
アーシアさんも修学旅行に行く前に『何かあったら、すぐに知らせるように』って呂布さんから言われていたからな。
だからアーシアさんには悪いけど、今夜の作戦が終わるまでは外部の情報を一切シャットアウトさせてもらう。
そのためにアーシアさんと一般生徒を引き離したんだ。いくら『禍の団』でも、警戒度MAXの『裏京都』に攻め入ることは出来ないはずだ。
もし一般生徒が拐われたとしても、アーシアさんに知られる前に助け出せばギリギリセーフってわけだ。
「チーム分け、ですか。どうやって分けるんです?」
「『奇襲組』は突破力のあるヴァーリ、匙、イッセーの三人。そしてタマモを加えた計四名だ。その他のメンバーは全員『防衛組』、もちろん俺とロスヴァイセも防衛に回る」
「はいっ!!!」
「当然だな」
俺がオフェンスか、確かに俺も守るより攻める方が得意だ。何せ、俺の『禁手』はとにかく派手だからなぁ。
「あの~~~、アザゼル先生。俺たちは問題ないんですけど、タマモさんも一緒で大丈夫なんですか?
ここは『裏京都』でアーシアさんを守ってもらうか、『防衛組』に回ってもらった方がいいんじゃないでしょうか?」
匙とヴァーリの強さは知ってるけど、タマモさんの強さはよく知らないんだよな~~~~。
何でも『初代九尾の妖狐の力』を宿してるって話しらしいけど、それもどれだけなのか分からない。
だが、俺の心配など無用と言わんばかりにタマモさんと八坂さんが反対してきた。
「まぁ! 心外ですわね、ワタクシは呂布殿の妻となるんですのよ? 自分の身ぐらい自分で守れなければ、あの方の妻は務まりませんっ!」
「赤龍帝殿、心配はいらん。タマモは『初代九尾の妖狐』の生まれかわりと呼べるほどの強さを持っておる。
本気でタマモを止めようとすれば、それこそ四大魔王が総出で掛かる必要があるだろう。
故に上級や中級の悪魔程度、どれだけいようがタマモの敵ではない」
「いいいいいいいいいいいっっっっっ!? タ、タマモさんってそんな強かったんですか!?」
全然知らなかった、魔王様たち全員でないと止められないとか........................普段の剽軽な態度のタマモさんからは全く想像が出来ない。
「俺も最初に聞いた時は驚いたんだがな。だが初代九尾の妖狐である『玉藻の前』と言えば、『酒呑童子』『大嶽丸』と並ぶ日本の三大妖怪の一角だ。
その力を引き継ぎ、さらには日本の神々からの修行を受けたってんなら、それだけ強くても不思議じゃあない」
な、なるほど........................『裏京都』には妖怪の他にイリナとゼノヴィア。その上、レヴィアタン様までいる。『防衛組』には堕天使総督であるアザゼル先生がいる。
なら、人数の少ない『奇襲組』に入れた方がパワーバランスが取れるってわけか。
「そういうことだから、匙とイッセーは『最上級悪魔』。ヴァーリは『超越者』を受け持ってくれ。その他の雑魚については、全てタマモに任せろ」
「「はいっ!!!」」
「わかった」
ヴァーリが『超越者』か。悔しいけど、コイツが俺たちの最高戦力だからな。当然と言えば、当然だな。
何せ呂布さんを倒すために修行をしまくった結果、今じゃアザゼル先生よりも強いみたいだし。
「ちなみにアザゼル。敵は全て始末して、問題ないんだよな?」
「........................本音を言えば、捕らえて色々と調べたいところなんだがな。だが、ここは目的を最優先だ........................『殲滅』してこい」
「ふ、そうこなくてはな。存分にやらせてもらおう」
「意外ですね。てっきり、『モルモットにするから、捕縛しろ』って言われると思ってました」
「ハァ、イッセー、お前は俺を何だと思ってんだ? さすがに状況が悪すぎるだろ。ここで変な欲を出して失敗なんかしてみろ、支払いは俺たちの『命』じゃ済まねえんだぞ。いくら何でも割に合わなすぎるわ」
ですよね~~~~~。ここで意地だの面子だのを気にして失敗しようものなら、それこそどんな地獄が顕現するか分かったものじゃない。
だから、日本神話群も『蒼天の紅旗』も今回に限り、俺たちに協力してくれてるんだ。
俺たちも普段のイザコザは忘れて、任務を全うしないとな!
「作戦開始は三時間後だ。全員、それまでに配置につけ」
三時間後、か。ちょうど生徒たちの就寝時間だな、敵からすれば拐うにはおあつらえ向きとも言える。
皆が休んでいる間に全てを終わらせるってことだな。
「いいか、俺たちの目的は修学旅行を【無事】に終わらせることだ。そのための障害となるヤツらには、一切容赦をするな。
そしてアーシアにも絶対に悟られるな、呂布が来たら全てが終わると思え」
アーシアさんの危機を知れば、呂布さんはすぐにでも飛んでくる。そしてオーフィスも一緒に来る。
そうなれば....................................京都は灰燼に帰すことになる。
「最悪、テロリスト共は逃がしても構わん。アーシアと生徒さえ無事であれば、後は俺とセラフォルーで何とかする」
もし、この間のように敵を逃がしてしまえば、また神様たちから色々と糾弾されるだろう。
だが、俺たちの目的は【アーシアさんを守り通す】ことだ。そのために俺たちは命を掛ける、それが俺たちの『やるべきこと』!!!
その他のことは申し訳ないけど、セラフォルー様やアザゼル先生といったお偉いさん方に任せよう。
アーシアさんさえ守り切れば、きっと上手くやってくれるはずだ。
「失敗の代償は俺たちとこの国の未来だ!! 全員死ぬ気で任務を全うし、全員無事に駒王町に帰還するぞ!!!」
「「「「「はいっっっっ!!!!!」」」」」
アザゼル先生の号令に声と意思、そして心が一つとなった俺たちは『裏京都』を後にした。
イッセーたちが決死隊のような覚悟をしている一方で、アーシアは九重の案内で『裏京都』を回っていた。
「う~~~ん♪ このお汁粉、とっても美味しいです~~~♪」
「ふふん♪ そうでしょうとも! この店のお汁粉は『小豆洗い』が作っておりましてな。京都だけではなく、日本中の妖怪たちが食べに来るほど大人気なのです」
「そうだったんですね。なら、呂布さんやオーフィスさんとも一緒に来たかったなぁ」
「おお! 噂に名高き『深紅の武人』様と『無限の龍神』様ですな!! 是非、皆様で来てくだされ。
その時もこの九重が案内役をさせていただきますぞ♪」
「ふふ♪ ありがとうございます、九重ちゃん。では、その時はお願いしますね?」
「お任せくだされ! ささっ、次はあの店の氷菓子などいかがですかな? あちらの氷菓子は『雪女』が作っておりますので、これまた絶品ですぞ!」
アーシアの案内役をしていた九重だが、アーシアの人となりを知るうちに段々と懐いていった。
今ではアーシア以上に、九重の方が楽しんでいるように見える。
九重がアーシアの手を引っ張る姿は案内役ではなく、姉に構って欲しい妹と言えるだろう。
そんな二人の様子をイリナとゼノヴィアは後ろにつきながら、見守っていた。
「............................ここまでは気付かれてないよね?」
「ああ、アーシアは素直だからな。もし気付くようなら、すぐに顔に出る。アレはポーカーが出来ないタイプだ」
「そうだよね。それはそうと、イッセーくんたち大丈夫かなぁ?」
「気にはなるが、その点については信じるしかない。アザゼル総督も言っていた通り、手が回らないところや目が届かない部分は周りを頼らざるを得ない。
私たちは私たちがやるべきことに専念しよう」
「うん、そうだね。今はイッセーくんたちを信じよう!」
観光を楽しむアーシアとアーシアに気づかれないよう立ち回るイリナとゼノヴィア。
全く正反対の思いながらも、双方の目的は不思議と合致していた。
『奇襲組』と『防衛組』に分けましたが、実際の戦闘は『奇襲組』のみとなります。
『防衛組』まで戦わせたら、長くなりそうですので。
それでは皆さん、次回で♪
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