深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

133 / 212


胸糞野郎が出てきますが、ポッと出なのであまり気にしないでください。





第百二十七話

 

 

 

 

駒王学園二年の生徒たちは修学旅行最後の京都を満喫し、明日は帰るだけとなった。

 

今頃は最終日の疲れを取るために早めの就寝をしているだろう。

 

 

 

作戦決行の時刻となった俺、匙、ヴァーリはホテルを抜け出し、地下を通って二条城前のホームから外へ出て東大手門前に到着した。

 

城門前には既にタマモさんが来ていて、俺たちのことを待っていてくれた。

 

「お待ちしておりましたわ、皆様」

 

「タマモさん、すみません。お待たせしてしまったみたいで................................」

 

「いいえ。ワタクシも先ほど来たところですので、お気になさらず」

 

 

俺たちがデートの待ち合わせみたいなやり取りをした瞬間、辺り一帯の気配が変わり夜空の暗さに薄い緑色が混じる。

 

「どうやら妖怪たちが結界を展開したようだな」

 

「えっと、これで結界の中と外が隔離されて、この中の建物とかを壊したとしても、結界を解除すれば元に戻るってことでいいんだよな?」

 

「ええ、もっとも生物の状態は戻りません。ですから、この結界内でキズを負っても、解除後はそのままでございますので、気をつけてくださいまし」

 

まぁ、結界を解除して怪我が戻ったりしたら、敵まで回復しちまうからな。

要は俺たちにとっても、敵にとっても戦いやすくなったってことだ。

 

「そろそろ行こうか。恐らく、敵も結界の存在に気づいたはずだ。暴れだす前にこちらから仕掛けよう」

 

ヴァーリの言う通り、敵が態勢を整える前に仕掛けないと奇襲の意味がない。

 

こっちはタマモさんがいるとはいえ、四人だからな。少しでも有利な状況で始めたい。

 

「よっしゃあ!! 野郎共、気合い入れて行くぜぇ!!!」

 

「ちょっと、イッセーさん! ワタクシは『女』ですわよ!!」

 

おっと、これは失礼。でも、今は細かいことを気にしている時間は無いので勘弁してください。

後でちゃんと謝りますんで!

 

 

 

「「「≪禁手≫っ!!!!」」」

 

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!』

『Vanishing Dragon Balance Breaker!!!』

『Prison Dragon Balance Breaker!!!』

 

 

ゴオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!!

 

 

「まぁ! なかなか壮快ですわね、二天龍と龍王の『禁手』を同時に間近で見られるなんて♪」

 

 

俺、匙、ヴァーリの三人が同時に『禁手』となると、タマモさんがはしゃぎ出した。どうやら俺たちの『禁手』を見て、興奮しているようだ。

 

これからテロリストたちに奇襲を仕掛けるっていうのに、呑気だな~~~。

一応、これは戦闘服みたなモノなんですけど........................。

 

「さぁ、行こうか。初手は俺がいただくっ!」

 

 

ドッゴォォォォォォォォォンッッッ!!!!

 

 

ヴァーリの魔力砲撃により、二条城の城門が吹っ飛んだ! 相変わらず、やることが派手だな!!

 

でも............................嫌いじゃないぜ、そういうのっ!!!

 

 

「なっ、敵襲っ! 敵襲だーーーーーーー!!!」

「くそ、この結界はやっぱり敵の仕業か!?」

「ちっ、こっちが仕掛ける前に仕掛けてくるとはなっ!!」

 

 

俺、匙、タマモさんは城門が消し飛んだことを確認すると、すぐさま突入。

 

中に入ると案の定、二の丸御殿から武装した悪魔がワラワラと出てきた。

 

まぁ、あれだけド派手にぶちかましたんだ。そりゃあ、すぐに出てくるわな。

 

でも見た感じ、アイツらは全部『上級』と『中級』って感じだな。例の『超越者』や『最上級悪魔』はどうしたんだ?

 

「なぁ、ヴァーリ。あの中に『超越者』や『最上級悪魔』はいるか?」

 

「いや、いないな。奥にある本丸御殿の方から強い気配を感じる、恐らくソレだろう」

 

「おっ! 『見聞色』の覇気か? いいよな~~、俺はまだそこまで遠くまで感じられないからよぉ」

 

『見聞色の覇気』。確か生物の気配や強さを感じ取る能力だっけ? 本来なら『蒼天の紅旗』しか覚えていない技術だけど、ヴァーリは我流で身につけたらしい。

 

俺も頑張れば、我流で会得できるのかな?

 

 

「皆様、お喋りはそこまでに。あの連中はワタクシが受け持ちますので、皆様は敵の主力をお願いしますわ」

 

俺たちの話を中断し、タマモさんが前に出る。確かに当初の予定では上級・中級のヤツらはタマモさんに任せることになっていたけど................................。

 

「タマモさん、いくら何でもアレは数が多すぎます。ここは全員で協力して戦いましょう」

 

八坂さんの話では二~三十名って話だったけど、たぶん三十は超えてると思う。しかもその全員が中級悪魔以上なんだからな。

 

「だから、「イッセーさん」ッッッッ、タ、タマモさん............................?」

 

俺が予定を変更して皆で戦うことを提案すると、タマモさんが今まで聞いたことの無いほどの冷たい声音で俺の名を呼ぶ。

 

「....................先ほども申し上げましたが、ワタクシは呂布殿の妻となる女です。この程度の輩に後れを取るようでは、到底『深紅の武人』の妻など務まりませんわ」

 

 

キィィィィィィィィィィィィン....................!!!!

 

 

突然、タマモさんの身体が金色の光を発する! あまりの眩しさに俺たちだけじゃなく、テロリストたちも目が眩みそうになる。

 

やがて光が治まると................................タマモさんの姿が変わっていた!!!

 

結っていた髪はストレートロングになり、地面まで届いている。さらに着物もいつもと違って、裾丈が長くなっている。

 

普段のタマモさんも色っぽいが、今の姿は『妖艶』って感じだ。

 

そして何より........................尾が『三本』になっていた! しかも普段の茶色い尾ではなく、八坂さんみたいな金色の尾だ!!

 

でも....................まだタマモさんの『力』を感じない。いや、正確には『俺』ではタマモさんの『力』を計ることが出来ないんだ!

 

クロウ・クルワッハさんの時のように、あまりにも実力がかけ離れているから、タマモさんの『力』が感じられないのだろう。

 

まるでとてつもなく深くて、大きな穴を見ているように................................。

 

 

「タ、タマモさん、その姿はいったい........................それに尾の数も....................!?」

 

「以前申し上げましたかと思いますが、ワタクシが初代様の力を解放すると尾の数が変わるんですの。

それに伴い、ワタクシの容姿にも変化が出るのです。まぁ、今回は『三本』で事足りるでしょう」

 

タマモさんはそう告げるとゆっくりと歩みを進めていく。彼女が歩くたびに地面に波紋のようにものが広がっていく。

 

タマモさんは歩きながら、異空間から何かを取り出した。アレは........................鏡?

 

鏡は宙へと浮かび上がり、青白い光を放つと同時に周囲が真っ暗になる!

 

 

 

 

 

 

≪出雲に神在り。是自在にして禊の証、神宝宇迦之鏡也≫

 

 

 

 

 

タマモさんが何やら詠唱を唱えると、彼女の周りを鏡と多数の護符が回り始める。

 

 

ドパァァァァァァン!!!! ゴゴゴゴゴゴゴ........................

 

 

鏡が天高く舞い上がると護符が俺たちの後ろで爆発し、巨大な鳥居が出現した!

 

さらにタマモさんも鏡に向かって跳躍し、鏡を天に掲げる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪水天日光天照八野鎮石 すいてんにっこうあまてらすやのしずいし≫!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鏡が放った光が鳥居に吸い込まれると、鳥居が紫色に発光する!

 

妖しく不気味に光る鳥居、その中から何かが出てきた!

 

アレは.............................鬼だ! 黒い身体に青い炎が迸っている。まるで以前見た『スルト・オリジン』のようだ!!

 

もちろんアレほど大きくはないが、とにかく数が多い!一体二体じゃない、まさに鬼の軍勢だ!!!

 

武装した大小様々な鬼の兵、その数は三百を優に超えるだろう。

 

しかもあの鬼兵、一騎一騎が俺や匙と同等かそれ以上だ!!!

 

そんなのが三百体以上いる。いや、全力が『九尾』なら余力を残してるどころか、まだ実力の三分の一以下........................確かにこれほどの強さなら、魔王様方が全員でないと止められないだろう。

 

 

ガタガタガタガタッッッッ............................

 

 

テロリストたちも鬼兵の強さが分かったのか、見るからに恐怖していた。

 

そりゃあ、数で勝るとかそういうレベルじゃないしな。それに強さもさることながら、あの姿はハッキリ言って恐すぎる!

 

RPGとかなら敵側が使ってくるような技だろ、アレ!!

 

「ご心配なく。この者たちはワタクシが召喚した者、故にワタクシには絶対服従。皆様を襲うことはございませんので、ご安心くださいまし」

 

俺が心の中でツッコミを入れてるとタマモさんが『心配はいらない』と教えてくれる。

何で口に出してないのに分かったんだろ?

 

俺の疑問を他所にタマモさんは片手を敵に向けて、鬼兵たちに指示を出す。

 

 

「殲滅なさいっっっ!!!!」

 

 

 

グウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッ!!!!!!

 

 

タマモさんの号令と共に、鬼兵たちは地面を揺るがさんばかりの雄叫びを上げる!!

 

ようやく主に命令されたことを嬉しがるかのように、鬼兵たちはテロリストへ向かっていった。

 

「ひ、ひいっ!」

「に、逃げろっ!!」

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 

迫り来る鬼たちに、テロリストたちは成す術なく蹂躙されていく。

 

壁だの空だのを縦横無尽に駆け回り、テロリストたちを追い回し殺していく様はまさに『地獄絵図』と呼ぶに相応しい。

 

生まれたばかりで、こんな地獄を味わうなんてな。コイツらには同情するぜ。

 

「さ、道は開けましたわよ。この場はワタクシが『始末』しますので、行ってくださいまし」

 

「は、はいっ!!!」

「わ、わかりましたっ!!!」

 

「ふっ、まさかこれほどとはな。一度本気で手合わせ願いたいものだ」

 

タマモさんの強さに俺と匙は若干ビビりながら返事をするが、ヴァーリはタマモさんを興味深そうに見ている。

まぁ、これだけの強さだ。ヴァーリが戦いたいと思うのも無理はない。

 

 

俺たちは当初の予定通り、この場をタマモさんに任せて奥へと進んでいった............................『野郎』って言ったこと、後で全力で謝ろう。

 

 

 

 

 

タマモさんのおかげで、無事二の丸御殿を抜けた俺たちは本丸櫓門に出た。

 

 

橋の上に設立された本丸櫓門、そこには金髪ロン毛でミュージシャンくずれみたいな服装のチャラそうな男が立っていた。

 

この気配、コイツが例の『最上級悪魔』か!?

 

 

「ハァ、何だよ。結局、侵入されてんじゃねえかよ。ったく、ホンット使えねー連中だな」

 

何だ、コイツ? 仲間が阿鼻叫喚になってるって言うのに、全く気にも留めていない。

 

「仲間がピンチなんだ、助けに行かねえのか?」

 

「仲間? ハッ、アイツらは上級・中級の悪魔だぜ? 言ってみれば、ただの『雑魚』だ。

そんな雑魚どものために、『最上級悪魔』のオレ様がわざわざ助けに行く? バカも休み休み言えよ。あんなヤツら倒されても、また作り出しゃあいいんだから」

 

........................どうやらコイツは見た目通りの『クズ』のようだ。OKOK、これなら思いっきりブッ飛ばせる♪

 

生まれたばかりで、善悪の区別もつかない子供みたいなヤツが相手だったら、さすがにやりにくいからな。

 

でも、こんなヤツばかりだったら良心の呵責に悩む必要は全くない。

 

 

「ま、あの雑魚どもにはハナから期待しちゃいなかったしな。それじゃあ、チャッチャッと終わらせるとするかね。

何せ、この後には『お楽しみ』が待ってんだからな♪」

 

「? お楽しみ?」

 

「そうそう。お前ら、修学旅行?ってのに来てんだろ?

何でも人間のメスもたくさんいるって話じゃねえか。

そいつら拐って『アーシア』 ってヤツを手にいれたら、拐ったヤツは好きにしていいってリゼヴィムに言われてんだよ」

 

「「ッッッッッッッッ!!!」」

 

「【セッ○ス】って言うの? リゼヴィムに教えてもらったけど、最っ高だよな、アレ♪

下級以下は出来損ないってことで、廃棄処分してんだけどさ~~~。『せっかくだから、有効活用しなさい』ってリゼヴィムに言われて、廃棄予定の雌の悪魔相手にヤってみたら一発でハマっちまったよ♪」

 

................................訂正、コイツは『クズ』なんかじゃねえ。リゼヴィムと同じ、ただの『ゲス』だ!

 

作ったヤツが『ゲス』なら、作られたコイツも『ゲス』ってことかよ! クソッたれがっ!!

 

コイツの話に俺だけじゃなく、匙やヴァーリも不快感を隠せていない。いや、匙にいたっては不快過ぎて怒りが滲み出ている。

 

だが、調子に乗ったこのゲスは俺たちの怒りなど気づくはずもなく、俺たちに尋ねてくる。

 

 

「そういえばさ、『アーシア』って子は来てんの? どんな感じ? 可愛い系? それとも綺麗系?」

 

「ああ? 何でそんなこと答えなきゃならねえんだよ。お前には関係ねえだろ」

 

コイツの口からアーシアさんの名前が出てくることで、俺たちの不快感は更に加速する。

敵であるお前にそんなこと教えるはずねえだろうがっ!!

 

しかし俺の返事など全く気にしないこのゲス野郎は、とんでもないことを言い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そりゃあ、その『アーシア』って子も後でオレが楽しませてもらうからに決まってんじゃん。

その子を拐えば、呂布ってヤツは簡単に倒せるみたいだからさ~~~。

ソイツを倒したら、『アーシア』のことは好きにしていいって言われてるからよ♪」

 

 

「「「............................................................」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

.......................................この時、俺たちの中で『何か』が音を立ててキレたのがハッキリとわかった。

 

コイツはこの世に生かしておいたらダメだ、今この場で確実に息の根を止めないといけない。

 

いや、世界にこんなヤツが存在していたということすら、アーシアさんには知られちゃならない。

 

こんなゲス野郎のことをアーシアさんが知るだけで、彼女が穢れてしまう。

 

 

短い付き合いだけど、アーシアさんの心根の良さは十分過ぎるくらいに俺たちは知っている。

 

『蒼天の紅旗』は俺たち『聖書陣営』のことを嫌っているハズなのに、俺たちのことを本当の『友達』だと思ってくれている。

 

あのヴァーリですら、アーシアさんの前では割りと素直だからな............................本人は認めないだろうけど。

 

前に陳宮、賈駆、周瑜さんの三人から、俺たちとはあまり関わるなって注意されたことがあった。

 

しかし、アーシアさんは『大丈夫です、あの人たちは悪い人ではありませんから。それに皆、私の大事なお友達です。だから、心配いりません♪』と擁護してくれた。

 

あまりにも真っ直ぐで純粋な眼差しに、あの三人ですら何も言えなくなっていたことには凄く驚いた。

 

アーシアさんは誰に何を言われようとも、相手の良いところを探そうとする。

 

『皆が嬉しそうにしている空気が好きだ、見ていて幸せな気分になる』と笑いながら言っていた。

 

そんなアーシアさんだからこそ、俺たちも命を懸けて守ろうと決めたんだ!!

 

 

ああ............................呂布さんがいなくて、本当に良かった。あの人がこの場にいたら、結界吹っ飛ばして京都ごとこのゲスを消滅させてた。

 

俺はコイツの口を今すぐ永久に閉じるため、前に出ようとするが........................匙に肩を掴まれた。

 

「兵藤............................コイツは俺に殺らせろ」

 

「匙....................................」

 

「俺は自称だが、あの人の『弟子』だからよ。弟子として、コイツは俺がぶちのめさなきゃならねえんだ....................!」

 

鎧越しでも分かるほど、掴まれた手から感じる怒り。もし俺が止めたら、匙は俺を殴ってでもこのゲスを殺るだろう。

 

アガレス戦の時の朱乃さんと同じだ、俺は匙に自分の怒りを託す。

 

「............................わかった。俺の分まで頼むぜ、匙!!」

 

「俺の分も頼もう、匙元士郎。骨の一欠片すら、この世に残すことは許さん」

 

「おうよ!! 任せておけっ!!!!」

 

匙は左手で右肩を押さえて右肩を回しながら、ゲスの下へ歩いていく。アレは匙が本気で戦う時のクセ、ルーティーンみたいなものだと言っていた。

 

それにしても、ヴァーリがここまで言うのは珍しいな。まぁ、こんな方法で呂布さんを倒そうとしてるんだ。

 

呂布さんを倒すことを目標としているヴァーリからすれば、目障り以外の何物でもない。

 

 

「何? マジでやるの? 止めた方がいいって。お前、『下級悪魔』だろ? 『最上級悪魔』のオレに敵うわゲブァッッッッ!!!!」

 

 

ドッゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッッ!!!!

 

 

ムダ口を叩くゲスの顔面に『剃』の加速が加わった拳を叩き込む匙。ゲス野郎は壁まで勢いよく吹っ飛んでいった。

 

「................................もう喋ってくれるな。これ以上怒ると俺自身、自分がどうなるか分からねえ....................!」

 

 

『最上級』だの『下級』だのに拘って目の前の相手の強さが分からないヤツに匙が負けるはずがない。

 

俺とヴァーリは匙を横目に先へと進んだ。

 

 

 

 

 

本丸御殿に到着した俺たちはヴァーリの案内で、本丸庭園へと向かう。何でもそこから敵の気配を感じるんだとか。

 

 

庭園に着くとヴァーリが言った通り、悪魔の気配を感じさせる二人組がいた。

 

一人は黒いマントを羽織り、プレートメイル纏った長い茶髪の男。

もう一人は短い黒髪で上半身にぴっちりしたアンダースーツ、下には黒い漢服のようなズボンを履いた男。

 

気配から察するに茶髪が『最上級悪魔』だから、たぶん黒髪の方が『超越者』だな。

 

俺たちの姿を確認すると茶髪の方が唾棄するような顔で、俺たちを見る。

 

「ちぃっ、所詮は新造悪魔か。こんなヤツらの侵入を許すとはな........................!」

 

新造悪魔? じゃあ、コイツは作られたんじゃなくて、旧魔王派の悪魔ってことか?

 

「シャルバ・ベルゼブブ....................」

 

「ん? コイツのこと、知ってんのか?」

 

「ああ、アザゼルが集めた『禍の団』の関連資料でな。コイツの名は『シャルバ・ベルゼブブ』。旧ベルゼブブの血縁者だ」

 

「違う! 私こそ『真なるベルゼブブ』であり、魔王ベルゼブブ様の正統なる後継者だ!!!」

 

旧ベルゼブブって言われるのがよっぽど気に障ったのか、シャルバはヴァーリの言葉に過剰に反応してくる。

 

俺としては『ベルゼブブ』って言ったら、『アジュカ』様のことだからな~~~。

悪いけど、俺も『旧』って呼ばせてもらおう。

 

「そんなことはどうでもいい。シャルバよ、そこにいるヤツが『超越者』ということでいいのか?」

 

「ふん、そうだ。この【リアン】こそ、リゼヴィム様と同じ『超越者』だ! お前たち『悪魔モドキ』では、どう足掻いても勝てはしまい!!」

 

『悪魔モドキ』って........................確かに俺は転生悪魔だし、ヴァーリもアザゼル先生の話によると前ルシファーの血を引いてる人間だ。

 

しかしそれでも、『悪魔モドキ』なんて初めて聞いたぞ? イケ好かない貴族でもそこまでは言ったことがない。まったく、ヒステリーの極みもいいとこだ。

 

俺がシャルバのヒステリーに呆れていると、ヴァーリが可笑しそうに笑いだした。

 

 

「ふふ、『悪魔モドキ』か....................確かに俺は白龍皇であり、人間であり、悪魔でもある。『悪魔モドキ』と言えば、そうなのだろう。

そうなると、俺は『龍モドキ』であり『人間モドキ』でもあるわけだ」

 

「ヴァーリ?」

 

「だが............................それがどうした。『俺』は『俺』だ。ドラゴン、悪魔、人間。その全てを含めて『ヴァーリ』なのだ。

『悪魔モドキ』と呼びたければ、好きにするがいい。それでも『俺』が『ヴァーリ』であることに変わりはない。

『俺』は『ヴァーリ』だ。誰に何と言われようが、未来永劫その事実に変わりはない」

 

 

ギィィィィィィィィィィィィィンッッッッ!!!!

 

 

「っっっっっっっっ!?」

 

何だろう、俺の中で既にこの二人の格付けが済んじまったんだよな。

 

『新』だの『旧』だのに拘り、魔王の血筋に固執してヒステリーを起こしている【シャルバ】。

今の自分を全て受け入れ、確固たる自分を持っている【ヴァーリ】。

 

どちらが【強い存在】なのかは、俺の目からでも一目瞭然だった。

 

「世迷い言をっ! その傲慢さ、後悔することになるぞ!!」

 

「『傲慢』? ククッ、結構なことじゃないか。『傲慢』はルシファーの代名詞だろう?」

 

「黙れっ! 減らず口を叩くでないわ、『悪魔モドキ』がっ!!」

 

シャルバが喚き散らすが、余裕綽々で受け流すヴァーリ。

 

それにしてもヴァーリのさっきの威圧感。アレは曹操やロビン・フッドさん、そして呂布さんが放っていたのに似てたな。

 

まるで自分の『存在感そのもの』で相手を威圧しているようだった。

 

そして当のヴァーリは、もはやシャルバに興味を無くしたみたいで『リアン』ってヤツに話しかける。

 

 

「『リアン』、と言ったか。キミは何故シャルバなんかに従っているんだ? ハッキリ言って、そんなヤツに従うなんて、キミのためにはならないぞ。

キミも『悪魔』なら、もっと自由に生きてもいいんじゃないのか?」

 

「............................................................」

 

ヴァーリが話しかけるも、リアンは全く反応をしなかった。いや、よく見ると目に光が宿っていない。

 

まるで『心』や『感情』が備わっていないみたいだ。これはいったい........................................

 

「くっくっく........................いくら話しかけても無駄だ。『超越者』としての強さを与えるため、リアンには『感情』だけではなく、『視覚』『聴覚』以外の感覚を取り除いたのだからな!! もっとも、私の言うことには忠実に従うがね」

 

なっ、『感情』と『感覚』を取り除いただって!? じゃあ、リアンには『自我』なんてものが無いってことかよ!?

 

「................................ハァ、つまりは言いなりの『人形』ということか。残念だ、せっかく『超越者』と戦えると思ったんだがな」

 

「コイツは『道具』だ。いや、リアンだけではない。新造悪魔は全て、私たち『真なる悪魔』のための道具に過ぎん。

『道具』に『心』など不要、今回連れてきた者たちは試作品だ。幸いにして、『感情』や『感覚』を取り除いた方が強力な悪魔が作れることが分かったからな」

 

 

コイツら....................................『命』を何だと思ってやがんだ!! 自分たちで生み出した『命』を好き勝手に扱いやがって!!!

 

俺の兄弟のように、望まれても生まれてくることが出来なかった、どれだけ生きたくても、生まれたくても、叶わなかった!

そんな『命』もあるっていうのに...........................それをコイツらはっ!!!!

 

もう我慢の限界だ!! シャルバ、そして『禍の団』は絶対に許さねえっ!!!

 

「............................ヴァーリ、予定通り『最上級悪魔』のシャルバはもらうぜ。文句ねえよな?」

 

「ああ、存分にやるといい。俺もリアンをこのままにするのは忍びないからな」

 

さすがのヴァーリも自分とは違い、『自由』はおろか『自我』すら持つことが出来なかったリアンを哀れに思ったようだ。

 

 

 

俺は『憤怒』を、ヴァーリは『憐愍』を持って目の前の敵を倒すことを決めた。

 

 

 

 






匙の『禁手』にも音声を付けてみました。それに伴い、グレモリー戦の話もイジリました。

タマモの宝具『水天日光天照八野鎮石』ですが、【地獄の鬼の連続召喚】という能力にしました。

『全体バフ』は強すぎますし、『亡者を呼び出す』のは絵面的に微妙なので、このような形になりました。

それでは皆さん、次回で♪
感想・高評価もいただけると作者が喜び、励みになります!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。