長かった幕間も本話で終わりです。いや~~~、こんなに長くなる予定は全く無かったんですけどねwww
呂布とオーフィスが部屋から出ていったことで、部屋は一時的にシーーンと静まり返る。
さて、ここからが本番だ。それにしても、さっきは驚いた........................まさか呂布の名前に誓ってくるとはな。
どうやら彼女は自分のことのみならず、俺たち『蒼天の紅旗』についても理解しているらしい。
ああいった場面なら普通、『貴族』であれば自分の家名に誓うところだろう。彼女であれば、当然『フェニックス家』の名に誓うはずだ。
しかし、俺たちにとっては『貴族悪魔』の名前に誓われたところで、信憑性は無い。
そもそも【悪魔自体】、延いては【聖書陣営】そのものを信じていないのだからな。
たとえ『魔王』の名前を出されたところで、それは変わらないだろう。
だからこそ、彼女は【呂布奉先】の名前を出した。俺たちにとって呂布は絶対的な存在であり、呂布の名の下に行われることは決して無視できない。
彼女もそのことを理解していたが故に、呂布の名前を引き合いに出したのだろう。
これで俺は彼女の言葉を疑うことは出来なくなった............................何だか、開幕先制パンチをくらった気分だ。
ふ、いいだろう、レイヴェル・フェニックス。ひとまずキミの言葉を信じようじゃないか。
だが、もし呂布の名に誓っておきながら嘘など吐けば................................楽に死ねると思うな。
「では話を続けようか、レイヴェル・フェニックス。俺がキミと二人きりになったのは、どうしても確認したいことがあったからなんだ。
ここからはお互いに胸襟を開いて話そうじゃないか。無論、ここで話したことは一切口外しない」
「承知いたしましたわ。それから私のことは『レイヴェル』とお呼びください」
「そうか、ありがとう。ではお言葉に甘えて、レイヴェル........................キミが呂布に近づいた目的は何だ?」
「私の全てを使って、呂布様をお支えするためですわ♪」
ノータイムで答えてきたな。だが俺が聞きたいのは、そんな建前のような理由ではない。
「では、聞き方を変えよう。貴族や魔王などの悪魔政府、または聖書陣営から何か頼まれていること。あるいは命令されていることは無いか?」
「一切ございませんわ。本日、ここには私『個人』として来ております。
また、私がスパイではないことの証として、こちらの書面をご用意いたしました」
レイヴェルはそう言うと懐から一枚の紙を取り出し、俺に手渡してきた。
俺は渡された紙に目を通すと................................なるほど、どうやら悪魔共もそこまで露骨ではないようだな。
「御覧の通り、そちらは魔王様の調印が入った呂布様とフェニックス家で交わされた契約書ですわ。
その契約書には【如何なる理由があろうとも、フェニックス家は呂布様と私に取り次ぐことをしない】と記されております。これでは不足でしょうか?」
レイヴェルの言う通り、この契約書にはフェニックス家から呂布とレイヴェルへの取り次ぎを一切禁止する旨が書かれている。
この契約書がある限り、フェニックス家は貴族はもちろん、魔王はおろか【聖書陣営】そのものからの要求を断ることが出来る。
魔王の調印が入っている以上、他勢力はともかく『聖書陣営』内ではこの契約を反故には出来ないだろう。
そして現段階でレイヴェルは特に密命を受けているわけではない。
「いいや、十分さ。キミがスパイなどではないことは、よく分かった。疑ったりして、すまなかったね」
「いいえ、当然の懸念ですわ。お気になさらないでください」
『ふふふ♪ 呂布様がすぐにフェニックス家に来てくださったおかげで、他の貴族が動き出す前に契約を交わすことが出来ましたわ。
しかも魔王様がいる場で言ってくださったことで、魔王様まで動かすことが出来ました。流石は呂布様、【機を見るに敏】とはこのことですわね♪』
ふむ。このような書面を持ってくるあたり、彼女はかなり優秀なようだ。
さすがに呂布が見込んだだけのことはあるということか。
それに自分の目的のために魔王まで動かす強かさも、なかなか好感が持てる。
だが、やはり問題は彼女が『悪魔』ということだな。
「レイヴェル。正直に言って俺個人としては、キミになら呂布の秘書を任せてもいいと思っている。
だが、キミは『悪魔』だ。そして『蒼天の紅旗』と『聖書陣営』の関係はキミも知っているはず。
このままキミを迎え入れては、メンバーとの間で要らぬ不満や軋轢を生みかねない。ましてや呂布の側近ともなれば、尚更だ」
「心得ておりますわ。そこで曹操殿、私を呂布様の秘書にすると同時に曹操殿の『直轄の部下』にしてくださいませんか?
そうすれば、私の仕事や行動は曹操殿が把握されておりますし、他のメンバーの方との接触も最低限で済みますわ」
「ふむ、それなら実務面での問題は無くなるかもしれないね。ただ、人の心はそう簡単には割り切ることは出来ないものだ。
いくら最低限の接触だとしても、『どうしてアイツが!』という不満は避けられないだろう」
「では、私が『蒼天の紅旗』に所属するのは【呂布様がご存命の場合に限る】と致しましょう。
呂布様が天寿を全うされた際、私は『蒼天の紅旗』を抜けます」
なるほど。『期間限定』ということであれば、そこまで大きな不満にはならないだろうし、メンバーも納得しやすい。
しかし、ソレを自分から言ってくるか。どうやら彼女の頭には『如何に呂布に尽くすか』しか頭に無いみたいだな。
「確かにその条件なら、不満は抑えられるだろう。だが、『蒼天の紅旗』を抜けた後はどうするんだ?
正直、組織の内情を知っている者が貴族や聖書陣営に戻ってもらっては困るんだがね」
「その点についてはご心配には及びませんわ。『蒼天の紅旗』を脱退した後は........................【伝記】を作りたいと思っておりますので、貴族や聖書陣営に戻るつもりはございません」
「? 【伝記】?」
「はい、呂布様の【伝記】ですわ。『英雄』にはその偉業を語り継ぎ、後世に残す存在が必要です。
呂布様亡き後、私は世界中に! 全神話群・全勢力に! 呂布様の伝説を語り継ぐ【語り部】となりますわ♪」
「ッッッッッッ!!!」
................................驚いた................まさか、ここまで俺が望んでいた人材が現れるとはな。
呂布の偉業をどのようにして【不変の伝説】とするか、これは俺にとって最大の悩みの1つでもあった。
【呂布奉先】という絶対的なカリスマがいるからこそ、『蒼天の紅旗』は皆モチベーションが高く勇往邁進することが出来る。
それにより神々だけではなく、悪魔や堕天使など他勢力からも一目置かれる存在となった。
だが呂布亡き後の求心力をどうするか、それが問題だった。ハッキリ言って、呂布以上の『英雄』が後世において人間の中から出てくるとは思えないからな。
呂布の偉業を【不変の伝説】とすれば、次代以降の『蒼天の紅旗』の皆に憧憬の炎を与え続けることが出来る。
そのための方法として、呂布の偉業を伝説として『蒼天の紅旗』で語り継ぐことを考えていた。
だが【伝説】というのは、いずれ風化するものだ。書物や壁画などで残すことも考えたが、それではそこら辺の偉人と大差が無い。
人類最高の英雄である『呂布奉先』の伝説を【不変】とするにはどうすればいいか........................その方法がなかなか思いつかなかった。
だが、レイヴェルがいればその問題も解決出来る! 永遠に近い寿命を持つ『悪魔』である彼女は、まさに呂布の伝説の『生き証人』だ。
何せ、呂布の偉業を間近で見てきたわけだからな!! 彼女が呂布の偉業の『語り部』となってくれれば、彼女の口から『蒼天の紅旗』へと伝説が語り継がれていく!!!
ならば、呂布亡き後は脱退ではなく実権の無い役職に就いてもらうことにしよう。
これなら、『蒼天の紅旗』の実務に関わらせることなく彼女の希望に沿うことが可能だ!
幸いにも彼女は『蒼天の紅旗』ではなく、【呂布個人】に心酔しているみたいだしな。
自分のやりたいことが出来るならば、彼女も問題無いだろう。
俺の中でレイヴェルの評価が急上昇していく! 何せ『蒼天の紅旗』にとっての最大の課題が1つ解消されるのだからなっ!!
だが........................この時の俺は油断していたのだろう。求めていた人材が手に入ることに浮かれて、気持ちが緩んでいた。
だから、レイヴェルが俺の好感度を恐怖に塗り替えることを口にしたことで、俺の思考はフリーズしてしまった。
「あっ! そうそう忘れるところでしたわ。【曹操殿が必要】とされると思って、『こちら』をご用意いたしました。どうぞお納めください」
レイヴェルはそう言うと、異空間から高価そうな箱をいくつか出した。
中を開けてみると............................『フェニックスの涙』だった。全部で三十個ほどあるな、売る場所を考えればこれだけで一財産になる。
「これは貴重な品をありがとう。けれど、『俺が必要としている』というのはどういう意味だい?」
「だって、『蒼天の紅旗』はいずれ........................」
「【人間社会を掌握】するおつもりですわよね?」
....................................彼女は今....................何と言ったんだ? 【人間社会の掌握】? 『蒼天の紅旗』が?
何故....................何故、彼女が....................レイヴェルが................................
俺の計画の【最終段階】を知っているんだっっっっっ!!!!!
呂布から聞いた? いや、そんなはずは無い!!! そもそも計画の『第二段階』ですら、ゲオルクを含めたごく少数の幹部しか知らないことなんだぞ!?
ましてや【最終段階】にいたっては、誰にも話していないっ!! あの呂布にすらだっ!!!
それなのに何故、他勢力である彼女が知っている!!!
カマを掛けている? いいや、彼女は『俺が必要としている』『人間社会を掌握する』とまで言っていた! 間違いなく【確信】を持っている!!
マズイ....................この場で、しかも『悪魔』である彼女から、よもやこんなことを言われるとは思いもしなかった。
まったくの予想外の一言、感情や驚きを表に出していない自分を褒めてやりたいくらいだ。
俺は何とか感情を圧し殺し、絞り出すような声でレイヴェルに尋ねる。
「どうして、そう思ったのか........................聞いても良いかな?」
「はい。まず『蒼天の紅旗』は【人間の立場】を引き上げ、確立することを目的として組織されたものとお見受けいたしますわ。
そしてその活動内容から、【人間社会に進出する】意思を感じ取りました」
................................なるほど。確かに『目的』というのは、必ず『行動』に現れる。
逆に言えば、『行動』を分析すれば『目的』を割り出せるということだ。犯罪捜査の基本中の基本だな。
俺たちの活動内容だって、調べようと思えばいくらでも調べられる。そもそも隠していないしな。
だが、ここまでは見抜けてもせいぜい『第二段階』まで。彼女が【最終段階】を見抜いた決め手は何だ?
「では人間社会に進出した後、『どうすれば目的を達成出来るか』を考えた場合........................【各勢力が最も必要としている物を独占する】ことが一番だと思いました」
「各勢力が必要としている物、か....................確かにそんな物を独占すれば、神々など各勢力のトップは【呂布がいなくても】『蒼天の紅旗』に手出しが出来なくなるね。
それで? キミはソレが何か分かるのかい?」
もはやこれは悪あがきだ。ここまで確信持って話している彼女が分からないはずが無い。
「はい。各勢力が共通して、最も必要としている物............................それは【人間】ですわ。より詳しく言いますと【人間が生み出す感情のエネルギー】ですわね」
「............................................................」
「人間社会に進出した『蒼天の紅旗』は、そのまま各国の政財界のトップを掌握。
そしてその国の国民の生活や思考などをコントロールすれば、【人間の感情エネルギー】を『蒼天の紅旗』が抑えることが出来ます。
人間社会の進出には『医療団体』という形で売り出せば、外聞良く行動範囲を広げられて、政財界のトップにも接触しやすいと思いますわ」
............................................認めよう................彼女は優秀だ....................この俺が恐怖を感じるほどになっ!!!!
彼女の言う通り、計画の『第二段階』は『蒼天の紅旗』を【国際医療NGO】という形で表に出すことだ。
これにより世界中で活動しつつ、俺たちが作り出した様々な薬や術式を実験がてらに扱うことが出来る....................もちろん危険な物を扱うつもりは無いがな。
そうして活動しながら、民衆の支持を集めつつ秘密裏に政財界のトップと接触。
各国の政治・経済を動かすことで、その国の国民の信仰・思考性・宗教などを操作し、国民性までもコントロールする。
そうすることで、超常・異形種にとっての人間という名の【資源】を『蒼天の紅旗』が独占する。
各神話群・各勢力には『人間の感情エネルギーの安定供給』をしつつ、事実上の飼い殺しとする。
現実的な問題として、どの勢力の超常・異形種たちも人間無くしては存続できないほど衰退しているからな。
各国のトップには権力者・有力者・富豪の『永遠の夢』である【不老不死】の薬でも売ってやれば、簡単に食いついてくるだろう。
さすがに【不死】を実現するのはマズイが、その前半部分の【不老】であれば、『幽世の聖杯』を使えば理論上は可能だ。
実際、僅かだが『幽世の聖杯』や『聖母の微笑』の力を薬品や術式へ移すことに成功している。
ここにレイヴェルが持ってきてくれた『フェニックスの涙』が加われば、研究は一気に進むはずだ。
何せ、『フェニックスの涙』は『フェニックスの再生能力』を薬品に移した物なのだからな。
つまり彼女の言った通り、この『フェニックスの涙』は俺たち『蒼天の紅旗』が【必要】としている物ということだ。
「凄いね、そこまで俺たちのことを理解しているとは思わなかったよ。確かにキミの言う通り、『蒼天の紅旗』はいずれ人間社会を掌握し超常・異形種たちと対等な立場になるつもりだ。
ところで、そのことを誰かに言ったりはしたのかな? 呂布とか実家の人、あるいは魔王なんかに....................」
「いいえ、誰にも喋ってはいませんわ。もちろん呂布様にも言ってはおりません」
「そうか........................では、このことは誰にも話さないでくれ。無論、呂布にも内密で頼む」
「承知いたしましたわ」
やれやれ....................これで彼女を迂闊には扱えなくなってしまったわけだ。
俺が各勢力の『アキレス腱』を握ろうとしているように、彼女は俺の『アキレス腱』を握っているわけだからな。
それにしても....................何故ここまで思考の根を張り巡らせることが出来る!? 直接俺たちと関わったことなど無いというのにっ!!!!
................................最悪だ、完全に誤算だった。俺の計画の最終段階を、よりにもよって他勢力の、しかも『悪魔』に知られるなんてっ................................!!!!
いや、逆だ....................むしろ、これは【幸運】とも言える。呂布が彼女を連れて来てくれなければ、俺の計画は俺の知らないところで頓挫していた可能性があったのだからなっ!!!
そう考えると呂布が彼女を『蒼天の紅旗』に誘ってくれたのは、まさにファインプレーだ........................今日ほど呂布に救われた日は無いな。
さて................................レイヴェルをどうするか................まず、彼女をこのまま帰すのは論外だ。
受け入れ拒否の腹いせにここでの話を暴露でもされたら、『蒼天の紅旗』は破滅する。今まで積み上げてきたものが全て水泡に帰す。
そうなると.........................俺が取れる手段は三つか。
一つは【口封じのためにこの場でレイヴェルを始末する】。
呂布の名に誓っている以上、彼女の言葉に嘘は無いはず。ならば、誰にも喋ってはいないという言葉も本当なのだろう。
だから、彼女を今この場で殺して後顧の憂いを絶つのも一つの手ではある。
だが、これはハッキリ言って『ハイリスク・ノーリターン』だ。
彼女を殺せば悪魔や聖書陣営に、みすみすこちらを攻める口実を与えるだけだからな。
そもそも殺す建前が無い。如何に彼女が『悪魔』とは言え、理由もなく殺してしまえばメンバーからの不信は避けられない。
それに何より........................まず、【呂布】が認めない! 問題を解決するために他の問題を生み出しては本末転倒もいいところだ!!
二つ目は【レイヴェルを臨時メンバーとして採用し、俺の側近にする】。
これなら正規メンバーではないため、他のメンバーからの不満も少ないはずだ。
実際、彼女の能力は申し分ないからな。実務面では即戦力になることは間違いない。
それに俺の近くに置くことで彼女の動向や様子も知ることが出来る。必要であれば、呂布の任務に同行させることも可能だ。
だが、これでは彼女の希望を叶えることが出来ないため、不満が溜まるという問題があることだ。
もし彼女の不満が爆発すれば、全神話群・全勢力を巻き込んでの大騒動となる。無論、『蒼天の紅旗』も無事ではいられないだろう。
だが、それも俺の側近ということなら避けられる事態ではある。
リスクはあるが対処出来る範囲であり、それなりの実益もある。『ローリスク・ローリターン』と言ったところか。
そして三つ目が【レイヴェルの希望を全て叶え、呂布の側近にする】。
彼女が呂布に心酔しているのは一目瞭然。ならば彼女の希望を叶え、呂布に付ければ少なくとも不満を感じることはない。
彼女の能力を鑑みれば、俺の意図を理解して呂布の行動が俺たちのためになるよう動いてくれるだろう。
それに彼女は呂布を慕っているが、他のメンバーのように恩義に縛られてはいない。
きっと呂布相手でも気後れせずに理路整然と道理を説けるはずだ。
今まで俺でなくては出来ず、他の者にも任せられない仕事を任せられるのは非常に大きい........................それに『語り部』の件もある。
だが問題は、『呂布の力をコントロール出来なくなる可能性がある』ということだ。
ここまで話した限り、彼女の本質は【覇道】。即ち『優れた能力で難を取り除く』、早い話が力任せに上から押さえつけて問題を解決するやり方だ。
分かりやすい例を挙げると【秦の始皇帝】だな。優れた才覚を持って、七つに分かれていた中国大陸の国を一つにまとめあげた英傑だ。
しかし、『覇道は一代限り』と言う。要は【覇道】は手っ取り早く目的を達成出来るが、才能や力に物を言わせて物事を解決する。
そのため周りの不満が溜まりやすく、長続きしないという意味だ。
実際、始皇帝が死んだら一つにまとまった国は再び分裂したからな。
本質が【覇道】であるレイヴェルが、『呂布奉先』という最強の『力』を手にすればどうなるか。
確かに呂布が生きている間は『蒼天の紅旗』の繁栄が約束されるだろう。
だが呂布が亡くなれば、各神話群・各勢力の不満が『蒼天の紅旗』に一気に雪崩れ込んでくることになる。
故に俺たちが行く道は【覇道】ではなく、【王道】でなければならない!
【王道】。必要最低限かつ圧倒的な力で問題を解決し、その後は人道を持って心を治める。
それでこそ人々からの畏敬の念を集めることができ、長く秩序を保てるのだ。
でなければ、呂布は『恐怖の象徴』となってしまう。呂布を....................俺の友を、そんなモノには断じてさせんっ!!!
だが、それらを差し引いても彼女を呂布の側近とすることには大きなメリットがあるのも事実。
.呂布の手綱をレイヴェルが握り、レイヴェルの手綱を俺が握れば目的達成までの大きな問題は概ね解決する。
全ては俺の裁量次第...........................言ってみれば、『超ハイリスク・超高ハイリターン』とでも呼ぶべきか。
この三つの中で、俺が取るべき方法はどれか....................俺は脳の歯車を目まぐるしく回転させ、思考を最大限加速させる。
そうして悩みに悩み抜いた末に俺は結論を出した........................。
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俺とオーフィスが曹操の部屋から退室して、かれこれ一時間が経過した。
さすがに暇を持て余した俺はオーフィスと一緒にオセロで時間を潰している。
だって、さすがに一時間も待たされるとは思わないじゃん!? いったい何を話してんだよ、大企業の面接でも一人当たりに一時間も掛けたりしないぞ!?
そういうわけで、異空間からテーブルと椅子を取り出し、二人でオセロをしているというわけだ。
実はオーフィスはオセロがかなり得意だったりする。きっかけは、何かオーフィスでも覚えられるような『シンプルでハマりやすいゲームはないか』と考えた際に俺とアーシアで教えたのが始まりだ。
何せオセロは『覚えるのは一秒、極めるのは一生』と言われるほどに奥が深いゲームだからな!
以来オーフィスは暇さえあれば、アーシアや他のメンバーともオセロを打ってるわけなんだが........................そんなことを繰り返している内に、いつの間にか俺・アーシア・曹操、あとはゲオルクをはじめとする参謀組でなければ相手にならないぐらいに強くなってしまった。
だが、そんなオーフィスでもアーシアには一度も勝てていないらしい。
たぶん『蒼天の紅旗』で『オセロ最強は誰か?』という話になったら、間違いなくアーシアの名前が上がるだろう。
まさかアーシアがこんなにオセロが強いとは思わなかった............................何でも孤児院にいた頃によく遊んでいたらしい。
そんなこんなで四局目が終わったタイミングで、曹操からお呼びが掛かったので、俺とオーフィスは再び部屋に入る。
ちなみにオーフィスとの対局は、一枚差で何とか俺が勝ちを拾った................................ちょっと真面目に練習しておこう。
俺とオーフィスが部屋に入ると満面の笑みを浮かべているレイヴェルと........................何故か二十歳ぐらい老け込んだように見える曹操がいた。
レイヴェルは面接が上手くいったのは分かるけど、曹操はこの一時間で何があったの?
「........................待たせてすまなかったね、二人とも。レイヴェルと色々話し合った結果............................当初に話した通り、彼女に呂布の秘書を任せることになったよ」
「そうか............................分かった」
「今後は緊急の場合を除き、任務や連絡は全て彼女を通すことになる。
呂布も緊急時以外の報告や相談は全て彼女を通してくれ」
「コクン」
何にせよ、これでレイヴェルは正式に俺の秘書になったわけだ。
いや~~~、良かった良かった♪ これでコミュ障な俺の欠点を補ってくれる上に、面倒な報告書などからも解放される! まさに良いことづくめだ♪
それにフェニックス家に行った時に話した、【アイツ】も呼ぶことが出来る。
「レイヴェルも、呂布に関わることは必ず俺に直接報告をしてくれ。それから定期報告も欠かさずにな、細かいことは後で連絡する」
「承知しましたわ♪ 呂布様は私が全身全霊でお支えいたします!」
レイヴェルが力強い返事をしたのを確認し、曹操もお疲れのようなので、話しを終えた俺たちは日本に戻ることにした。
「............................ふぅ、これで今後は呂布ではなく、レイヴェルに気を配らなくてはならなくなったわけだ。
呂布よりも読みやすいとはいえ、ある意味呂布よりも厄介な存在かもな............................」
一人になった部屋で椅子の背もたれに体重を掛けながら、曹操は天を仰ぎながら愚痴を溢すのだった........................。
これで所々にあった要素はだいたい回収出来たと思います。もちろん話の都合上、全部は回収出来ていませんのでご容赦ください。
ちなみに曹操の計画の最終段階は、ここでの話だけで本作品ではそこまでは行けません。
そもそも第二段階ですら、年単位での計画ですので本作品では到底書ききれません。
そのため『蒼天の紅旗』の行き着く先はどこなのか、ということで話の中で出しました。
次話から≪若手悪魔の激闘 ルーキーズ・ウォー 後編≫となります。
それでは皆さん、次章で♪
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