今章は【リアスVS サイラオーグ】と【ソーナVSサイラオーグ】の二試合を書く都合上、話の展開がかなり早くなると思います。
それでもバトルシーンをメインにするつもりですので、長くなることは必至ですね。
それは俺がレイヴェルを秘書にすることを伝えるため、フェニックス家を訪れた時のことだった。
俺たちは会場からフェニックス家の領地に転移。その後はいつぞやのリアスの時のように、フェニックス家が用意してくれた車でレイヴェルの家に向かっていた。
「ふんふんふふふんふ~~~ん♪」
「ずいぶんとご機嫌ね、レイヴェル。呂布様の妻にはなれなかったというのに」
リアスの言う通り、俺が秘書に誘ってからというもの、レイヴェルはずっとこんな調子。
とても朱乃に敗れたばかりとは思えないほどの上機嫌、浮き沈みの激しい子だなぁ。
「当然ですわ、リアス様♪ 妻の座こそ逃しはしましたが、これからは『秘書』として呂布様をお支え出来るんですもの!
それに何より、呂布様から直接お誘いいただけたのです。私、もう嬉しくて嬉しくて♪」
そんなに喜んでくれるのは嬉しいけど....................そこまで喜ぶことなのかね?
まぁ、原作でも一誠のマネージャーを率先してやってたからね。そういうマネージメントみたいなお仕事が本質的に合っているのかもしれないな。
「うふふ♪ レイヴェルさんのお気持ち、わかりますわ。どのような形であれ、お慕いする御方の側にいられるのは嬉しいことですもの♪」
「........................そういうものなのか?」
「はい、そういうものなのです♪ うふふふふ/////////////////////」
このたび晴れて俺の妻に選ばれた朱乃が、隣で頬を赤らめながら俺の腕を組みつつ、レイヴェルの気持ちを代弁してくれる。
腕が朱乃の胸に埋没して、柔らかい感触が押し寄せてくるのを必死に堪えながら何とか返事をする俺!
............................これは【試練】だ! 己の欲望に打ち勝てという【試練】と俺は受け取った!!
人の成長は未熟な心に打ち勝つことだとなっ!!!
「いやはや、まさかレイヴェルが呂布殿の秘書に抜擢されるとはね。でもまぁ....................驚きはしたが、結果的に二人が悲しまない結果に収まって良かったよ」
俺が某マフィアのボス的な名言を思い出し奮い立っていると、一緒に来たサーゼクスが安堵していた。
何でも俺は、一応『国賓』みたいな扱いらしいので、それなりの地位にあたる人を案内につけなくてはいけないんだとか。
別にそこまで仰々しく構えなくてもいいのにね、ちょっとレイヴェルの両親に挨拶するだけなんだから。
けど、フェニックス家に先触れを出したり、こうして車を出してくれたりと何だかんだで助かってるからいいんだけどね。
あ、ちなみにサーゼクスがフェニックス家に連絡する時に『使用人による出迎えは不要』ってちゃんと言っておいたからね。
なので、前回のグレモリー家のような大袈裟なことにはならないはず! あれは庶民の俺の心臓にダイレクトアタックしてくるからね、冗談抜きで心労がマッハで溜まる。
........................................大丈夫だよね?
そうしてやって来ました、フェニックス邸。周りのアチコチから炎が猛っている光景は、まさしくOVAで見た通りだ。
心配していた出迎えの件についても、グレモリーの時のような仰々しいものではなく、レイヴェルの家族と数人の使用人だけという実に簡素なものだった。
出迎えてくれたのはレイヴェルの両親と一番上のお兄さんだけ。
うんうん♪ こーゆうので良いんだよ、こーゆうので! 俺みたいな庶民にとっては、こーゆうお出迎えの方が性に合っている。
そのまま屋敷の中へ招かれ、客間へと案内された俺たちはレイヴェルの家族と向かい合っていた。
「はっはっはっ! レイヴェルが呂布殿の妻の座を逃したと聞いた時にはどうしたものかと思っていましたが、まさかこのような機会に恵まれるとは、光栄の限りです!!」
「ええ、よもや呂布殿の側近に................しかも呂布殿直々に誘いを受けるなんて、大変に名誉なことです。フフフ」
レイヴェルの父であり、フェニックス家現当主であるフェニックス卿。
そしてレイヴェルの兄でフェニックス家の次期当主でもあるルヴァルが、驚きながらも嬉しそうに笑っている。
ルヴァル・フェニックス。フェニックス家の長男でありながら、レーティングゲームのプロランカー。
噂では、そろそろ最上級悪魔に昇格するという話も上がっているらしい。
「................では................レイヴェルが秘書になることを................認めていただけますか?」
「もちろんですとも、呂布殿。天下に名高き『深紅の武人』の目に叶ったのです。否などあろうはずもありません」
「呂布奉先殿。未熟な身ではありますが....................妹のこと、何卒よろしくお願いいたします」
お~~~、まさかこんなにすんなり通るとは思わなかったよ。てっきり『どこの馬の骨とも分からぬ輩に娘はやらんっ!!!』などと言われると思ったからね。
「レイヴェル、貴女のすべきことは分かっていますね?
呂布殿を支え、奥方の皆様を立て、その上で呂布殿との仲を深めなさい。
ゆめゆめ軽挙妄動に走ってはいけませんよ? 」
「心得ておりますわ、お母様。隠忍自重を胸に呂布様をお支えいたします!」
レイヴェルの母であるフェニックス夫人が、レイヴェルに何かを吹き込んでいるみたいだけど、俺にはよく分からないな。
まぁ、何か困ったら朱乃とかに相談すればいいか。
「ではフェニックス卿の合意も得られたことですし、さっそく契約書を作成するとしましょう........................余計な邪魔が入らないうちに」
「っ、そうですな、サーゼクス様。このようなまたとない好機、台無しにされては目も当てられません」
契約書? あ~~、確かに。一応、『雇用関係』ってことになるんだから契約書は必要だよね。
え~~っと、まず一番大事な休暇の取得については........................
「実はサーゼクス様よりご連絡をいただいて、すぐにこちらにて作成いたしました。どうぞ、ご確認下さい」
あら、もう作ってあったんだ。なら、一から決める必要は無いね。
それにレイヴェルに関することだから、フェニックス卿の方で理不尽なことを記載したりはしてないでしょう。
なら後は、俺にとって不都合なことが書かれていないかに注意すれば良いだけだな♪
「............................うむ。流石はフェニックス卿、こちらの意図を汲み取っていただき、ありがたい限りです」
「恐縮でございます、サーゼクス様。ささっ、呂布殿もどうぞ御覧になってください」
フェニックス卿から渡された契約書に目を通すと、満足そうに頬笑むサーゼクス。
俺もフェニックス卿から契約書の紙を手渡されて、目を通すことにする。
................................何コレ? 物凄く分かりづらい文章が長々と書かれていて、読んでるだけで目が疲れてくるんですけど。
それに肝心の休暇や給料、あとは福利厚生についても一切言及されていない。
これじゃあ、『蒼天の紅旗』で酷い雇用契約が結ばれても、フェニックス家は文句言えないよ?
まぁ、そんなつもりは全く無いけど........................でも、じゃあ何のために契約書を作ったんだ?
う~~~~ん................................あっ、もしかして悪徳企業がよくやる手口なのかもしれない!
わざと分かりにくく、長ったらしい契約書を用意して相手が細かく読む気力を失わせる。
そうして理不尽極まりない契約を交わして、不当な利益を貪るお決まりのパターン!!
........................ふっふっふ、甘いな。悪いが俺にその手は通用しないっ!!
これでも前世ではブラック企業の社畜として生きてきた身、その手の契約書は親の仇が如く辛酸を舐めさせられてきたわっ!!!
っ、ということで、俺は契約書に穴が空くほど隅から隅までじっくり読むことにする。
....................................あれ? おかピーポー、特に変なことは書かれていないように思える。
契約書に書かれている内容を大まかにまとめると、こんな感じだ。
・フェニックス家はどんな理由があっても、俺とレイヴェルに取り次ぐことをしない。
・フェニックス家は俺とレイヴェルの関係については、一切干渉しない。
・フェニックス家はレイヴェルを通して、俺や『蒼天の紅旗』に関わる情報を取得してはならない
・この契約は聖書陣営の総意であり、如何なる場合であっても聖書陣営からの契約内容の変更および解消を行うことは出来ない
? 何でこんなことをわざわざ契約書に残す必要があるんだ? 給料や休暇とか雇用条件とか、もっと大事なことを記載した方が良いんじゃないの?
まぁ、雇用内容とかについては『蒼天の紅旗』の方でも決められるから特に問題はないけどね。
俺もこの内容について、異論は無かったのでこのまま俺とフェニックス卿でサインをする。
そして魔王であるサーゼクスが立ち会ったということで、サーゼクスが調印を施し、契約書は俺・フェニックス卿・サーゼクスの三人で持つことになった。
無事、レイヴェルを秘書に迎え入れる許可をもらった俺はこのままお暇することにした。
しかし俺たち全員が玄関前のフロアに来たところで、階段から誰かが降りてきた。
見るとワインレッドのスーツに身を包み、明るい金色の髪が少しボサついている男性だった。
フェニックス家特有の金髪、さらにこのチャラそうな感じ。もしかして............................
「げぇっ! リ、リアスッ!? 何故、お前がここにっ!?」
「久しぶりね、ライザー。ここにはちょっとした付き添いで来たのよ。
それにしても....................久しぶりに会ったというのに第一声が『げぇっ』は無いんじゃないのかしら?」
あ~~~、やっぱり彼がライザーだったのね。原作やアニメで見た通り、確かにホストくずれっぽい見た目してるわ。
ライザー・フェニックス。レイヴェルの兄で、リアスの元許嫁。
原作ではリアスとの婚約破棄を賭けたレーティングゲームに勝利するも、その後結婚式に乱入してきた一誠に敗れてリアスを奪われる。
さらにリアスを奪われたショックと一誠に負けたトラウマから引きこもりになってしまうが、一誠たちの助力もあり何とか持ち直す。
っとまぁ、ざっくり思い返して見ても中々可哀想な経歴の持ち主である。
「うふふ♪ お久しぶりですわ、ライザー様」
「っ、ら、『雷光の巫女』っ!! ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっ!!!!!」
朱乃が挨拶するも、ライザーは朱乃を見るなり恐怖心から腰を抜かして階段にへたり込んでしまう。
ここまで怯えるなんて、朱乃はいったい何をやったんだ?
「あらあら、そんなに怖がらなくても良いではありませんか」
「無駄ですわ、朱乃様。リアス様とのレーティングゲームに負けて以来、お兄様はこの通り腑抜けになってしまったんですの。
今ではすっかり屋敷に引きこもってしまい、ゴシップ記者にも書かれたい放題。さらには朱乃様の雷光がトラウマで雷が鳴っただけで、悲鳴を上げる始末なのですわ」
「そういえば朱乃ったら、レーティングゲームでライザーがギブアップするまで雷光を浴びせ続けてたわよね」
「うふふ♪ そうだったかしら?」
なるほどね。原作ではライザーにトラウマを植えつけたのは一誠だったけど、この世界では朱乃の雷光がトラウマになっているのか。
それに原作だとリアスはレーティングゲームに負けてたけど、この世界ではちゃんと勝ってるんだね。
しっかし、『悪魔』にとって猛毒となる『光の力』をライザーが降参するまで浴びせ続けるとは........................朱乃、恐ろしい子っ!!!
「ライザーッ!! お客様の前だぞ! これ以上、フェニックス家の恥を晒すなっ!!!」
「この愚弟がっ! 魔王様の御前でみっともない姿を御見せするなっ!!!」
「っっっっ、ここ、これはサーゼクス様っ!! 失礼いたしましたっ! お見苦しいところを御見せしてしまい、誠に申し訳ありませんっ!!!」
父親と兄貴に怒られ、慌てて立ちあがるライザー。さらにサーゼクスの前ということで、急いで階段を駆け降りて来て謝罪をする。
「ハッハッハッ! いやいや、気にしないでくれたまえ。こちらこそ、急にお邪魔してすまなかったね」
「とんでもないことでございます! 魔王様の寛大な御心、感謝いたします!!」
ふ~~ん。登場したての頃は『フェニックス家の問題児』って言われてたけど、流石は貴族の端くれ。上下関係はきっちり守るんだね。
思えば彼もずいぶん可哀想な立ち位置なんだよな~~~。
家の決定でリアスとの結婚が早まったためにリアスへ会いに来たのが初登場なんだけど、それだって『許嫁』ということであれば全く不思議ではない。
リアスは自由な恋愛がしたいって言って『許嫁』を解消しようとしていたけど、そもそも『許嫁』というのは普通の婚約とは違う。
『婚約』は当人同士で決めるものだが、『許嫁』は親や家同士で決めたもの。
そのため原則、当人同士では勝手に解消出来るものではない。
付き合い方も親や家が決めた通りに行わなければならず、自由など全くない。
例えば『手は繋いでいいけど、デートはダメ』『デートはいいけど行動範囲はここまで。何時までに帰ってくること』など、現代の価値観から見れば窮屈極まりないものだろう。
まぁ、全てを親や家が決める代わりに結婚などの必要な経費を全て負担してくれるというメリットもあるにはあるんだけどね。
ただ、全てを親や家が決めるということは、もちろん結婚の時期も当人ではなく親や家が決めるということだ。
だからあのタイミングで、ライザーが結婚するためにリアスへ会いに来たことは全く不思議でも何でもない。
むしろ『許嫁』なのに自分の要求ばかり押し通そうとするリアスがおかしい。
お分かりいただけただろうか?
そう........................................
ライザーは何も悪くないのであるっっっ!!!!
もちろんライザー自身の性格や、日本神話群の許可無く日本にやってきたことについては問題があるかもしれないが、それはまた別の話だ。
少なくともライザーがリアスに会いに来たのは、親や家が結婚を早めたからなのであって、『許嫁』としては至極真っ当な行動をしていた。
そもそも『政略結婚』も貴族の務めのはずだ。そう考えた場合、ライザーは貴族として当然のことをしたと言える。
しかし、そんな貴族の諸々を完全に無視して、自分のワガママを押し通そうとしたヤツがいる........................そう、それが『リアス』だっ!!!
普段から散々『グレモリー』として貴族の特権を使っておきながら、肝心な時に『貴族としての責任』を放棄するとは、これ如何に!?
確かリアスの夢は『自分をグレモリーではなく、リアスとして見てくれる人と恋愛結婚したい』だったはず。
悪いけど、言ってることとやってることが矛盾してて『コイツ、本当に夢を叶える気があるのか?』と今でも思っているぐらいだ。
しかも『許嫁』を解消するために行ったレーティングゲームだって、曲がりなりにもリアス自身納得していたはず。
それなのに、原作だとリアスはライザーに破れたにも関わらず、シスコン魔王の裏工作のせいでライザーはリアスを失うことになった。
普通ならフェニックス家やフェニックス家に友好的な他の貴族から猛抗議があっても良さそうなのに、何でか皆は納得してるからね。
もう一度言うけど、ライザーは何も悪くないのであるっっっっ!!!!
むしろ貴族として立派に務めを果たそうとしていた姿には、好感を覚える。
しかし、リアスのワガママとシスコン魔王の裏工作に振り回された挙げ句、リアスを一誠に奪われる始末....................せっかくレーティングゲームにも勝ったというのにっ!
しかも気付けば周りが全員敵になっているどころか、家族ですら自分を擁護してくれない有様。
そりゃあ引きこもりにでもならないと、やってられないだろう。
そんなライザーのことを思うと、哀れみを禁じ得ない。
「ん? 何だ、お前は? どうして俺様をそんな可哀想な物を見る目で見ている」
俺がライザーの境遇に同情していると、俺の目線に気づいたみたいで近づいてくる。
だって、本当に可哀想だと思ってんだもん。なかなか無いんじゃない? 『許嫁』を寝取られるなんてさ。
「ふんっ! 何者かは知らんが、ここはお前のような人間風情がいていい場所ではない。とっとと消え失せろ....................いや、その娘は置いていけ。レイヴェルが抜けて、『僧侶』の枠が空いていたからな。俺の眷属にしてやる」
「「「「!!!!!!!」」」」
さっきのサーゼクスに対する態度とは真逆に、俺のことを見下してくるライザー。
まぁ『消え失せろ』って言っても、もう帰るところなんだけどね。
それにしても、いくら相手が人間だからって初対面の相手にこの態度。
しかもオーフィスを眷属にしようとは........................でも、貴族なんてこんなものか。
俺はライザーの言うことは無視して、オーフィスと一緒にお暇しようと思ったんだが............................何やら周りの皆が騒ぎだした。
「ライザー、あ、あなた................何てことをっ....................」
「こ、こ、この愚か者がぁっ!!! お前はいったいどこまで恥を晒すつもりなのだっっ!!!」
「........................ライザーくん、さすがに今のは見過ごせないよ」
「....................ああ............これで、フェニックス家も終わりなのですね....................レイヴェル、後のことは任せましたよ........................」
「お母様っ! お気を確かにっっ!!!」
ライザーの発言に皆は驚いたり、怒ったりと反応が様々だ。けど、フェニックス夫人は貧血を起こしたみたいに倒れそうになるところをレイヴェルが支えている。
スタスタスタ............ドガァンッ!!!!
「ぐうぉっ!!!」
そしてライザーの兄であるルヴァルが無言で近づいていき、ライザーの頭に拳骨を落とした。
大丈夫? もの凄い音がしたけど、頭蓋骨とか陥没したんじゃない?
あっ、でもフェニックスならすぐに治るから問題ないか。
「いっつつつつ..............あ、兄上、いったい何を?」
「お前というヤツは........................我がフェニックス家を滅ぼすつもりかっ!!!」
「? ほ、滅ぼす? フェニックス家を、ですか?」
鬼のような形相となったルヴァルに怒られるも、ライザー自身は何のことやらさっぱりのようだ。
そしてルヴァルほどではないにしても、フェニックス夫人を支えているレイヴェルもライザーを睨み付ける。
「お兄様っ! 呂布様とオーフィス様に対して、あまりにも失礼ですわよ!! 申し訳ありません、呂布様。兄はリアス様に敗れて以来、頭がアレになってしまっているんですの!!
どうかここは、寛大な御心でお許しいただけないでしょうか!?」
いや、別に怒ってるわけじゃないから、そんなに気にしなくてもいいよ。
あとレイヴェル、頭がアレって何? 負けたショックでヤクでもキめるようになったの?
「呂布様? 呂布................呂布、奉先................っ、ま、まさかっ、しししししししっ、深紅の、武人っ!?」
「「「「「コクン」」」」」
ライザーが身体を震わせながら、俺に指を差して皆に確認をする。
これこれライザーくん、人に向かって指なんか差すもんじゃないよ。
そしてライザーのことを睨み付けながら皆が頷くと、ライザーの顔が一気に青ざめて気絶した。
「申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
しばらくして目を覚ましたライザーは、俺と目が合うなり真っ先に土下座。
しかも元社畜の俺の目から見ても、見事過ぎるほどの美しい土下座を披露してくれた。
『土下座』って日本独自の文化だと思ってたけど、貴族悪魔にもあったんだ。
「世界最強たる御身とその盟友たるオーフィス殿がいらしているとは露知らず........................大変な無礼を働きましたこと! 心からお詫び申し上げますっ!!!」
「呂布殿、オーフィス殿! 我が愚弟の非礼をお詫びいたします。誠に申し訳ありませんでした!!」
「呂布殿、愚息がこのように育ってしまったのは我が不徳の致すところ。どうか私の首一つで事を治めては下さいませぬか?」
「夫だけの責ではありません、母である私にも咎があります。私の首も差し出しますので、どうか........................どうか、我がフェニックス家だけは残してくださいませんでしょうか!? お願いいたしますっ!!」
「呂布殿。このたびのことは、お二人について情報が行き届いていなかった魔王である私の落ち度。
決して我々『悪魔』や聖書陣営が、呂布殿や『蒼天の紅旗』に敵対しようということではありません」
ライザーが土下座する傍ら、猛烈な勢いで謝ってくる面々。
だから、別に怒ってはいないのに。俺ってばそんなに傍若無人に振る舞ってるのかね?
ライザーだって、顔を上げずにガタガタ震えているだけだしさ........................いや、アレは恐らく朱乃のトラウマのせいだろう。
ほら、俺ってばライザーと会ったことも無いわけだしさ。うん、そうに違いない!
「................別に................気にしていない................そうだな、オーフィス」
「ん。でも、気持ち悪かった」
「ぐふぉあっ!!!!」
「申し訳ありません! 申し訳ありません! 申し訳ありませんっ!!!」
「私どもで出来ることなら何でもいたしますので、どうか........................どうか良しなにっ!!!」
あらら................せっかく許せそうな空気になりそうだったのにトドメを刺しちゃったよ。
しっかし、どうしたものかな~~~。今までの経験上、こういう時って普通に許しても納得してもらえないパターンなんだよね。
つまり、何らかの要求をした方がお互いに後腐れがないってことだ。
じゃあ何をお願いするかとなると、これが思いつかないんだよなぁ。
う~~~ん................................あっ、そうだ! 良い方法があるぞ!! しかも上手くいけば、ライザーの引きこもりも何とかなるかもしれない。
「本当に................気にしなくていい................その代わりと................言っては何だが................頼みたいことがある」
「っ、何でしょうか、呂布殿! どうぞ何でも仰って下さいっ!!!」
「此度の非礼を払拭出来るのなら、どのようなことでも引き受けましょうっ!!!」
何でもって、貴族があんまりそういうこと言うのはマズイんじゃない? 足元見られちゃうよ? まぁ、別に見るつもりは無いけどさ。
「ライザーと................その眷属たちを....................貸して欲しい」
「っ、ライザーと眷属を、ですか? それは全然構いませんが、何ゆえでしょうか?」
「もしかして、ライザーくんも『蒼天の紅旗』に迎え入れるおつもりですか?」
「フルフル................シトリーの修行に....................協力してもらいたい」
「シトリー? ソーナたちの修行に、ですか?」
そう、ソーナたちの修行自体は順調に進んでいる。実際ソーナはギリギリ『最上級悪魔』、眷属たちは『上級悪魔』でも中の下ぐらいの実力を持っている。
さらに匙と椿姫は『禁手』込みで考えれば、単純な戦闘力はソーナを超える。
実戦経験も、俺やグレモリーとの訓練で十分過ぎるほど積んだ。
しかし............................『本格的なレーティングゲームの経験』が不足しているのがネックだった。
こればかりは俺との訓練では教えられないからな。
グレモリーとの模擬戦では、一応レーティングゲームの特殊ルールを用いて行うこともあるが、所詮はアマチュアレベル。
それに引き換え、サイラオーグにはレーティングゲームの【王者】『ディハウザー・ベリアル』が付いている。
このままだと実力はともかく、経験の差で苦戦は免れないどころかルールによっては負ける可能性が出てくる。
だから、基礎を一通り教えたこのタイミングで本格的なレーティングゲームの経験を積ませたいと思っていた。
ライザーは仮にもレーティングゲームのプロプレイヤーだ。もちろんディハウザーほどではないが、それでもリアスたちよりはソーナたちに経験を積ませることは出来るはずだ。
ルヴァルもレーティングゲームのプロ。しかもトップランカーだが、さすがに現役で活躍している人をいきなり連れていくのは気が引ける。
その点、ライザーなら活動休止中だし問題ないだろう。
それに【フェニックス】を修行相手にすれば、『覇気』の修行にもなるからね。
「なるほど、事情は分かりました。そういうことでしたら、我がフェニックス家は喜んで協力致します」
「呂布殿。汚名を返上できる機会をいただけたこと、心から感謝致します」
「『功を持って罪を償う』。素晴らしき采配です、呂布様♪」
「あぁ、奉先様....................何て情に深いのでしょう、流石は私の旦那様ですわ/////////////////////」
「あれだけの非礼を受けておきながら、ここまでこちらの心情を汲み取っていただけるとは....................何と器の広い御方なのでしょう。
うふふ♪ どうやらレイヴェルの目に間違いは無かったみたいですわね」
「当然ですわ、お母様! 呂布様は並の人物ではございません。この御方こそ、世界最強であり世界最高峰の『英雄』なのですから!!」
俺がライザーを連れていきたい理由を説明すると皆は納得してくれたみたいだ。
これならライザーについては、フェニックス家としては問題無さそうだな。
悪魔としてもサーゼクスが嬉しそうに微笑んでいるところを見る限り、大丈夫だろう。
「呂布殿、貴殿の慈悲深い御配慮には感謝してもしきれません。ライザーくんをお連れすることについては、魔王として私が認めます。
後のことはこちらで処理をしておきます故、ご安心を........................構わないね、『ライザー・フェニックス』」
「も、もちろんでございます、サーゼクス様っ! このライザー・フェニックス、呂布殿の補佐役を慎んで拝命致しますっ!!!」
........................訂正。俺に対してはニコニコしてるけど、ライザーに対しては威圧感が半端無かったわ。
「ライザー、呂布殿の前で二度と恥ずかしい姿を晒してくれるなよ。
呂布殿の仰ることは私や父上の言うことだと思って、黙って従え。いいな?」
「はっ、はいっ! 心得ております、兄上!! 呂布殿............いえ、【呂布師父】! 未熟な我が身でありますが、精一杯務めさせていただきます!!!」
『師匠』に続いて、今度は『師父』かい。やれやれ、普通に呼んでくれればいいのに....................やっぱり若者の間では、誰かに弟子入りするのが流行っているんだろうか?
まぁ、何にせよ、これでレイヴェルだけではなく、ライザーまで連れていく許可を貰えたわけだ。良かった良かった♪
じゃあ、準備が出来たらソーナのところに来る日付をレイヴェルに教えておいて。
こっちもこっちで、天照とかの日本の神様たちにライザーが来ることを伝えておくから。
こうしてレイヴェルを『蒼天の紅旗』に迎え入れる挨拶に来た俺は、予定外にもライザーも日本に連れていくことになったのである。
仕方がないとは言え、原作に沿った話で原作組に絡むと、どうしても呂布は原作キャラに絡まざるを得ない展開になりますね............................。
本当はもっと『蒼天の紅旗』のメンバーとの絡みを書きたいのですが、キャラが多くなりすぎると私のキャパがオーバーしてしまいます............................すみません。
それでは皆さん、次回で♪
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