サイラオーグVSリアスですが、試合展開などは原作とは異なる形にしたいと思います。
なにしろここまでで随分、原作乖離を起こしていますので。
ライザーとその眷属が修行に加わったことで、シトリーへの修行が様変わりした。
俺との実戦訓練を減らし、その分をフェニックスチームとの模擬戦に費やすことで、ソーナたちのレーティングゲームの経験を積ませている。
午前中は各チームごとに基礎修行を行い、午後はシトリーとフェニックスで模擬戦を行う。
その後で俺と実戦訓練をしたり、たまにグレモリーチームと模擬戦と言った感じだ。
それにしても、俺との実戦訓練を減らすと聞いた時のシトリー眷属たちの喜びようと言ったら........................そんなに俺と訓練するのが嫌だったのかなぁ。グスン
フェニックスチームについては、『再生能力を強化』『シンクロを用いた連携』『シンクロの負担への耐性』の修行を満遍なく行っている。
『再生能力の強化』については午前中の修行であり、フェニックスチームの全員を聖水のプールに沈めて再生力の強化を図っている。
ライザーと眷属たちとの繋がりを『エイトセンシズ』と『仙術チャクラ』で強化したからね。
体力や魔力と同じで、再生力も使えば使うほど鍛えられていく。
ただまぁ、『悪魔』にとって『聖』の力は『猛毒』だ。如何にフェニックスでも大ダメージは避けられない。
しかも使用している聖水はアーシアお手製の聖水に俺のブリューナクの『聖』の力をプラスした特別製。
それを稀釈した物を少しずつ濃度を上げて使っているんだが........................毎回プールに入るたびにフェニックスチームの皆は阿鼻叫喚としている。
まぁ、ついでに『シンクロの負担の耐性』を得るために『痛覚』も共有してるからね。
1人で全員分のダメージを受けてるんだから、叫びたくもなるか。
そうして、午前中に叫ぶだけ叫んだら、午後にシトリーとの模擬戦の中で『シンクロを用いた連携』を鍛えるというわけだ。
一日が終わるとライザーたちは全員死んだ魚のような目をしている。
しかしその甲斐あってか、ライザーたちのチーム力は見違えるほどに上がっていった。
それこそリアスたちとレーティングゲームをした時とは比べ物にならないほどに。
何せ普通の模擬戦ならまだしも、特別ルールを用いたレーティングゲームでは『呪霊錠』を外さないとソーナたちですら勝てないぐらいだからな。
ちょくちょくリアスたちもライザーたちとレーティングゲームを模した試合を行っているんだが、ソーナたち以上に苦戦していて一度も勝ててはいない。
プロとしてのレーティングゲームの経験もあるんだろうが、まさか『シンクロ』がここまでライザーたちと相性が良いとは思わなかった。
けれど、シトリーとグレモリーも負けてはいない。度重なるライザーとの模擬戦の中で、ソーナたちは『覇気』の扱いが習熟していった。
徐々にだが、『武装色の覇気』でフェニックスの再生能力を貫いてダメージを与えられているし、『見聞色の覇気』を使ってライザーたちの『シンクロ』にも対応出来るようになっていっている。
リアスたちも個々に挑んでも『シンクロ』を破ることが出来ないと悟ったのか、リアスの『全把握』の力を使って全員が連携するチームプレーを身につけていった。
シトリー・グレモリー・フェニックス。この3チームがそれぞれ競い合った結果、3チームは俺が予想していた以上の成長を見せてくれた。
そうやって修行していくと、時間が経つのも早いもので................................
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前回のアガレス戦の時と同じように、俺たちグレモリーは部長の実家で一泊してからアガレス領にあるドームへと向かっていた。
部長の実家から超豪華なリムジンに乗り、これまた立派なゴンドラに揺られながら、これから行われる戦いに想いを馳せる。
そう、今日は俺たちグレモリーとサイラオーグさんとのレーティングゲームの日だ。
この日のために俺たちは、文字通り血の滲む努力と修行を積んできた。
相手は若手No.1と言われている『サイラオーグ・バアル』、まさに最後の対戦相手に相応しい。
部長や皆も呂布さんのアドバイスを参考にして、今日のために仕上げてきた。
ただ問題があるとすれば、それは................................
「大丈夫、イッセー? 顔が強張っているわよ........................そんなに『龍女王』になれなかったことがショック?」
「っ............................はい。すみません、間に合わせることが出来なくって....................」
部長の言う通り........................俺は神様たちから与えられていた課題である、『龍女王』を発現させることが出来なかった。
今日の試合で神様たちに『龍女王』を見せられなければ、【凍結封印】されちまう。
それなのに俺は『龍女王』にはなれない。このままだと、たとえサイラオーグさんに勝てても俺は部長たちとお別れすることになる。
呂布さんに庇ってもらって、あれだけ世話になっておいて、修行や訓練相手のお膳立てまでしてもらっておきながら........................終わってみれば、このザマだ。
呂布さんはちゃんと『龍女王』になるためのアドバイスと修行について教えてくれていた。
ドライグだって『あと10日もすれば、龍女王になれる』と言ってくれた。
クロウさんとの訓練で、『龍闘気』だけではなくドライグ本来の力を引き出しつつ、戦闘経験も積めている。
けど、根が不器用な俺は『オーラの形態変化』に時間が掛かりすぎたせいで、呂布さんの目論見が外れてしまった。
そのせいで『譲渡』の修行に時間を割くことが出来ず、今日に至っている状況だ。
俺が不甲斐ないせいで、せっかく呂布さんが与えてくれた『きっかけ』を台無しにしちまった........................生まれて此の方、これほど自分がバカだったことを呪ったことはないっ!!!
「イッセー。気持ちは分かるけど、今は切り替えていきましょう。
それにドライグの話では『極限の状況下であれば、龍女王になれるかもしれない』ってことなんでしょう?
後はもう、試合本番で発現させられるように頑張るしかないわ」
............................確かにな。ここまで来ちまった以上、こうなったら試合中に何とか『龍女王』になるしかない。
幸い、修行のおかげで『龍女王』になれる可能性自体がゼロってわけじゃないしな。
だがそれは、『龍女王』になれるまで『龍駒昇格』が出来ないってことだ。
バアルVSグラシャラボラスの試合映像を見たが............................あの『破壊の権化』とも言えるサイラオーグさんを相手に『龍駒昇格』抜きで戦えるんだろうか?
正直言って、あのパワーは『龍戦車』並みかそれ以上だ。でもレーティングゲームのルール上、『龍戦車』に『昇格』しちまったら他の駒には『昇格』出来ない。
この間のアガレス戦みたいなルールでないと、他の駒に『龍昇格』しちまったら、たとえ『龍女王』になれたとしても意味がない。
つまり、『龍女王』になれるまで俺はサイラオーグさん相手に一種の『縛りプレイ』をしなきゃならないってわけだ。
若手No.1と言われているサイラオーグさんには、ただでさえ勝つことも難しいのに、その上ある種の『制約』をつけて戦うなんて........................................。
会場に着いた俺たちはそのまま控え室へと向かうが、俺は色んな不安で頭がいっぱいになっていた。
「やぁ、リアス。調子はどうだい?」
「おにっ.............ゴホンッ、魔王様。 どうしてこちらに?」
「それはもちろん、可愛い妹の様子を見に来たに決まってるじゃないか。何せ最終戦なんだからね」
控え室へと向かう道中、来賓用のホールでサーゼクス様から声を掛けられた。
部長も思わず『お兄様』と呼びそうになったが、他の貴族の目もあるため、何とか呑み込んだ。
サーゼクス様の後ろにはいつも通りグレフィアさんが控えているが、さらにもう一人。
「久しぶりだな、リアス」
「サイラオーグッ!? アナタまでどうして....................」
「いやなに。リアスを待っていたら、ちょうど彼ともバッタリ出会ってね。せっかくだから、少し話に付き合ってもらってたのさ」
「そういうことだ、今日はよろしく頼むぞ。それから........................」
サイラオーグさんは自信たっぷりな雰囲気で部長に挨拶すると、続けて朱乃さんの近づいてくる。
「祝辞が遅くなってすまない、姫島朱乃殿。このたびは晴れて、呂布殿の伴侶になられたとのこと。
このサイラオーグ、心からお喜び申し上げる」
「うふふ、これはご丁寧にありがとうございます♪ ですが、サイラオーグ様。本日、私は『呂布奉先の妻』ではなく、『リアス・グレモリー様の眷属』として来ております。
ですので、そのようなお気遣いは無用ですわ。無論、試合では遠慮なく私を倒しに来てください♪」
「っ............................クックックックッ、ハーハッハッハッハッハッ!!!!
これは失礼した、流石は呂布殿の奥方となるだけのことはある♪ その意気や良しっ! ならば俺も全力で貴女を倒させてもらうっ!!
しかし、まさか俺が言おうとしたことを先に言われてしまうとはな♪ ククククク」
朱乃さんの堂々たる発言に一瞬目を開いて驚くも、すぐにサイラオーグさんは愉快そうに大声で笑った。
スゲェな、朱乃さん。まさかあのサイラオーグさん相手に正面から『遠慮なく自分を倒しに来い』だなんて........................やっぱり呂布さんの伴侶なだけはあるぜ!
そうしてサイラオーグさんはひとしきり笑うと........................今度は俺の方へやってきた。
しかし、その顔はさっきまでの笑顔とは違って、恐いくらいに険しい顔つきだ。
「赤龍帝、リアスの『兵士』よ。噂は聞いている........................何でも『赤龍帝の力』を暴走させて、リアスだけではなく、我々『悪魔』までも危険に晒したらしいな」
「「「「「ッッッッッ!!!!」」」」」
サイラオーグさんの一言で、その場の空気が一変する。俺は瞬間、以前サイラオーグさんに言われたことを思い出した。
『覚えておけ、真に恐ろしいのは『強大な力を持つ者』ではない。『強大な力を使いこなせない者』だ。そういう輩は必ず破滅する........................周りを巻き込む形でな。
歴代の赤龍帝がそうだった................そういった理由では、むしろ呂布殿よりもお前の方が危険な存在と言えよう、リアスの『兵士』よ」
『そうだ、故に先に言っておく。もしお前が『赤龍帝の力』を暴走させ、リアスや冥界にとって脅威となるようなら........................俺は容赦なくお前を屠る!たとえお前がリアスの眷属だったとしてもだ!!」
あの時の俺は、サイラオーグさんの忠告を話半分にしか聞いていなかった。
歴代の先輩たちが悲痛な最後を遂げたことは知っていた。でも『自分はそんなことにはならない』とタカを括っていた。
それが今ではこのザマだ。あの時、もっとこの人の忠告を真摯に受け止めていれば、こうはならなかったかもしれない。
「サイラオーグ、それはっ............................!」
「............................サイラオーグ」
「心配するな、リアス。サーゼクス様もご安心下さい。この一件については、既にトップ同士で話がついていると伺っております。
ならば、俺が口を挟むことではありません。ただこの者には、個人的に言っておかなければならないことがあるだけです」
部長やサーゼクス様が俺を庇うため、間に入ろうとするがサイラオーグさんが二人を制止させる。
「赤龍帝よ、俺はお前に激しく憤っている。お前の失態により、リアスはおろか俺たち『悪魔』そのものを滅ぼされそうになったのだからな。
しかも俺があれだけ忠告をしたのにも関わらず、だ」
「....................................はい。すみま「謝罪は不要だ」っ........................」
俺がサイラオーグさんの忠告を気にも留めていなかったことを謝ろうとするも、サイラオーグさんに言葉を遮られる。
「悪いが、いくら謝られても俺の怒りが治まることは無い。故にこの怒りは、試合でお前を倒すことで鎮めさせてもらう。
公私混同と笑いたければ笑え、『バアル家次期当主らしからぬ』と蔑むのならば好きにしろ。それでも俺はお前を許さん」
面と向かって、『お前を許さない』と言われた俺は頭を思いっきりブン殴られたような衝撃を感じた。
この人にとっては、部長は従兄妹に当たる..........................怒るのは当然だ。
「それではサーゼクス様、お騒がせして申し訳ありません。御前失礼いたします。
リアス、そして眷属たちよ。次は試合で会おう」
俺を一瞥したサイラオーグさんは、サーゼクス様と俺たちに挨拶をして立ち去っていく。
サイラオーグさんの話を聞いて、皆はどこか落ち込んだような顔をしている。
それもこれも、あの時俺がサイラオーグさんの忠告をもっと重く受け止めていなかったからだ....................でも、だからこそっ........................!!!
「ッ、サイラオーグさんっ!!!」
俺は居ても立ってもいられず、サイラオーグさんを呼び止めた! 背中を向けていたサイラオーグさんは、振り返って俺のことを見据える。
「っ、部長や『悪魔』を危険に晒して、申し訳ありませんでしたっ!! 今さら謝ったって遅いのは分かってます! こんなことを言えた義理ではないことも理解していますっ!!
けど....................それでもっ! 俺は部長のために、貴方を倒しますっ!!! だからっ、『今の俺』を試合の中で見ていて下さいっ!!!!」
俺はこんな時だからこそ、部長の夢のために全力で戦わなければならないっ!!!
それが俺に出来る唯一のことだからだ! 『自分の出来ることを全力でやる』、今まで何度も教えられてきたことだ!!
俺はサイラオーグさんから目を逸らさず、ジッと見据える。そしてしばらくすると....................サイラオーグさんはゆっくりと口を開いた。
「...............................その言葉、忘れるな。とりあえずは受け取っておこう。
ならば、余計なことは考えるな。お前はお前の為すべきことをしろ。
そして、全力でこの俺を打ち倒すことだけ考えて向かってこい」
そう告げると、サイラオーグさんは今度こそこの場から立ち去っていった。
今の言葉................................一応、俺のことを認めてくれたってことなんだろうか? いや、あの感じだと様子見ってところなんだろう。
『自分の為すべきことをしろ』『余計なことを考えずに向かってこい』、か........................何だか逆に、こっちが激励された気分だ。
あの後、サーゼクス様と別れた俺たちは控え室へとやってきた。試合前ということでストレッチをしたり、軽く雑談などをして、各々が一番良い状態で時間を過ごしている。
「ごきげんよう、リアス」
「っ、ソーナ! 来てくれたのね」
俺たちの控え室にやって来たのは、ソーナ会長だった。もちろん後ろにはシトリー眷属の皆もいる。
「いよいよですね、調子はどうですか?」
「ええ、準備万端................とは言えないけど、それでも精一杯のことはやったわ。後は試合で全部出しきるだけね。
ソーナの方はどうなの? 呂布様との修行で忙しいんじゃなかったの?」
「はい、その呂布殿からの御指示で来ました。『この試合だけは、直接目と肌で感じてくるように』とのことです」
「呂布様がそのようなことを........................ところで、呂布様はどうしたの? いらしていないの?」
「いえ、呂布殿は後から来るそうです。何でも急用が出来たとか」
「そう................なら、尚更恥ずかしい姿は見せられないわねっ!!」
会長たちが呂布さんの修行を中断してまで見に来ているという事実に、部長は一層気合いを入れている。
部長にとって、ソーナ会長は親友であると同時に『ライバル』でもあるんだ。
だから、シトリーとの試合で負けた時は本当に悔しがっていたし、『絶対に負けたくない』とも思っている。
部長がここまでやる気になってるんだ! 呂布さんだって後から来るみたいだしなっ!!
俺だっていつまでもクヨクヨしてる場合じゃねえっ!!!
「それから....................リアスと兵藤くんにそれぞれ、呂布殿から助言を預かっています」
「えっ? り、呂布様から!?」
「っ、それも部長だけじゃなく、俺にもですか!?」
ソーナ会長の言葉に驚く俺と部長。珍しいな、本番直前に呂布さんからの助言だなんて。
呂布さんは基本的に修行以外のことに関しては、アドバイスはしてくれない。
もちろんこちらから聞けば答えてくれるが、それでも『戦い』に関してのアドバイスはしない。
それは呂布さんが鍛えるのは、あくまで『シトリー』だからだ。俺たちはその『おこぼれ』に与っているに過ぎない。
だから、戦いに関して本格的なアドバイスはしないし、俺たちも聞いてはいけないって思っている。
「まずリアス、呂布殿はこう仰っていました........................『サイラオーグが【兵士】を使うまでは、一誠には譲渡に専念させろ』、と」
「「「「「!!!!!!」」」」」
ソーナ会長から聞かされた呂布さんのアドバイスは俺たちにとって、予想すらしていなかったものだった。
「っ、そんな....................じゃあ、イッセーは後衛に配置しろってこと!? どうしてそんなことを................................」
「どうやら呂布殿は、あの『兵士』がサイラオーグの【切り札】だと思っているようです」
「切り札? 確かに他のメンバーとは違って、あの『兵士』だけはいくら調べても情報が出てこなかったけど....................................」
部長の言う通り、他のメンバーは既に断絶した貴族悪魔、所謂『番外悪魔 エキストラ・デーモン』だったりしていたため情報は割りとすぐに手に入った。
でも、サイラオーグさんの『兵士』だけはどれだけ調べても詳細な情報は分からなかった。
唯一分かったことと言えば、サイラオーグさんがあの『兵士』に駒を七つ消費したってことだけだ。
たった一人を眷属にするのに『兵士』の駒が七つ。つまりは、ほとんど俺と変わらないってことだ。
もしかしたら俺と同じように『神器』、それも『神滅具』を持っているのかもしれない。
「........................わかったわ。他ならぬ呂布様が言うんですもの、事『戦い』において呂布様の考えほど信じられる物は無いわ。
呂布様の意見を基本に戦いを組み上げましょう。後は試合の特別ルールが判明次第、こちらで調整するわ」
確かにな。おおよそ『戦い』に関して呂布さんの意見は、どんな専門家よりも信じられる。
何せ努力で神様すらも超えた『世界最強』なんだからな。
「....................つまり、サイラオーグ様が『兵士』を使うまでは『イッセーくん以外のメンバーで戦わなければならない』、ということですわね」
「でもそれは、サイラオーグさんと『兵士』以外は『全員僕たちで倒さなくてはならない』ってことでもあります」
「け、けどっ! そんな上手くいくんでしょうかっ!?
試合のルールだってまだ分からないのに........................ もしこの間みたいに不利なルールになったら.................... 」
「いいえ、少なくともこの間のような極端なルールにはならないはずよ。
実はサイラオーグがお兄様に『フィールドを用いたルールはともかく、複雑なルールは排除してほしい』って打診したらしいのよ。
だから、ルール自体はシンプルになると思うわ。たぶん、ソーナとの試合も同じになるじゃないかしら」
「っということは、基本である『王』を撃破することが勝利条件になるんですね」
「ええ、恐らくね」
そうか。サイラオーグさん、そんなことをサーゼクス様にお願いしていたのか。
でも、おかげで助かった。さすがにアガレスとの試合のようなルールになったら、ただでさえ難しい戦いなのに更に難易度が爆上がりしちまうからな。
「次に兵藤くんです。匙」
「はい、会長」
会長が呼ぶと匙が出てきて、俺の目の前に立つ。
「兵藤、俺が師匠から預かった伝言は二つだ。1つは『何があっても女王以外には昇格するな』だとよ」
「っ、それって、『龍戦車』や『龍騎士』にはなるなってことかよ!?」
確かに『昇格』が一度しか使えないなら、『昇格』は『女王』一択だ。
でも、普通の『女王』じゃサイラオーグさんには勝てないっ!!
ただでさえ俺は前線から外れているのにっ! これじゃあ、いくらなんでも条件が厳しすぎるっ!!!
「ああ。何でもポーカーや麻雀みたいに『ある種の縛りや厳しい条件を課すことで、より大きな力を引き出しやすくする』やり方らしい。所謂、『苦肉の策』ってヤツだな」
そ、そんなっ、確かに理屈としては分かるけど............................いや、迷っている暇は無い。
呂布さんが言うなら、これが一番可能性が高い方法なんだろう。
そもそも俺が『龍女王』になれていれば、呂布さんだってこんな一か八かの提案なんかしなくて済んだんだ。
なら、このリスクは俺が背負わないと............................!!!
俺が呂布さんのアドバイスに腰が引けていると、部長がギュッと抱き締めてきた。
「大丈夫よ、イッセー。アナタがサイラオーグと戦うための舞台は私たちが作ってあげる。
アナタならきっと、サイラオーグとの戦いの中で『龍女王』に至れるわ。だから、自信を持って」
「ぶ、部長....................っ~~~~!!」
俺は顔を部長の豊かなお乳様に挟まれたまま、部長の話に聞き入っていた。
部長の胸に包まれていると、不思議と強張っていた身体が解れていくのが分かった。
やはり部長のお乳様は偉大だった........................。
さらに部長だけじゃなく、朱乃さんや木場まで俺を励ましてくれる。
「そうですわ、イッセーくん。奉先様が最後まで『龍女王』になるための可能性を残してくれたんですもの。
なら、私たちはアナタが『龍女王』に至るために精一杯サポートしますわ。
それが........................今の私たちがすべきことなのです」
「一誠くんにはコカビエルの時に助けられたからね。今度は僕がキミを助ける番だ」
「ボ、ボクも、皆にたくさん迷惑を掛けちゃったので........................だから、任せてください! イッセー先輩っ!!」
「それに、サイラオーグ様を倒せるのはイッセー先輩だけです。なので、これが一番良い方法なんだと思います」
部長、朱乃さん、木場、白音ちゃん、ギャスパー........................皆が俺のためにここまでしてくれている。
俺は最っ高の主と仲間に出会えた! 皆の、そして呂布さんの気持ちに応えるためにも、必ず『龍女王』になってサイラオーグさんに勝つ!!!!
「あ~~~~、気合い入れ直しているところ悪いんだが、もう1つの方はいいのか?」
俺が『打倒サイラオーグさん』の決意を新たにしていると匙が横から入ってきた。
あっ、そういえば、呂布さんからのアドバイスはもう1つあったよな。
「おっと、忘れるところだった。それで匙、もう1つのアドバイスってのは何なんだ?」
「ああ。もう1つは............................」
「『龍女王になったら、1日だけ禁欲を解除してやる』だそうだ」
「っ....................................今、何て?」
「だ~~か~~ら! 『龍闘気』を引き出すために課していた『禁欲』を、師匠が1日だけ解いてやるって話だよ!!
何度も言わせんな、こんなこと!」
............................解かれる? あの『地獄の苦しみ』の代名詞とも言える禁欲の日々が? 1日だけ解かれる?
ふふふふふふふふ............................
あははははははは................................
「だーはっはっはっはっはっはっはっ!!!!!!」
「イッセー!?」
俺はあまりの嬉しさに、つい大声で笑ってしまった! 部長もいきなり笑い出す俺に困惑しているみたいだ、ごめんなさい!!!
「ようやくだ................ようやく俺は、あの苦しみから解放され、自由を手に出来るんだっ!!!」
「いや、だから1日だけだって。人の話聞けよ」
「だとしてもだっ! たった1日でも、あの黄金のような日が返って来るんだっ!!
この事実だけでも、俺は十分戦えるっ! そう、今の俺はまさに....................神すらも殴り飛ばせるっ!!!」
もはや何人たりとも俺を止めることなど出来はしないっ!!
そういうわけですので........................やられてもらうぜ、サイラオーグ・バアルッ!! 俺の夢と幸せのためにっ!!!!
「『神すらも』って、聖書の神はもう死んでるんですけど」
「教会の人や天使の方々が聞いたら、ガチでキレるんじゃない?」
「いや、たぶん他の神話体系の神様のことでしょ?」
「それはそれで大問題になるわよ」
「流石は師匠、兵藤のツボを心得てるぜ」
「........................まぁ、やる気が出たことは良いことです。行きますよ、みんな」
「「「「「............................................」」」」」
シトリーの皆はツッコミをしながら控え室を後にする。グレモリーの皆は何故か可哀想な物を見る目で俺を見てくる。
だが、思いがけない吉事に喜ぶ俺の目には、一切映ってはいなかったのであった。
『そう、今の俺はまさに....................神すらも殴り飛ばせるっ!!!』
ようやく出せました、イッセーの代名詞とも言える名言。
いや~~、どこで出そうかとずっと考えていたんだすが、出せて良かったです♪
それでは皆さん、次回で♪
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