深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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春は桜の季節と持て囃しますが....................花粉症の人間にとっては、そんな情緒は一切ございません! ええ、全くっ!!




第百三十七話

 

 

 

『さあ、試合が始まって10分が経過しましたが....................どうやら戦況は膠着していますね~~~』

 

『ええ。ここまででバアルチームの「僧侶」2名が撃破されておりますが、グレモリーチームの赤龍帝が戦闘から外れていますので5対5の状況。

それぞれ1on1での戦闘が行われていますので、この膠着はまだ続きそうですね』

 

 

解説の言う通り、戦闘が始まってからすぐにサイラオーグの『僧侶』2名が木場の『騎士団』によって倒された。

 

木場の『騎士団』、【聖覇の龍騎士団 グローリィ・ドラグトルーパー】。

木場が後天的に得た『聖剣創造 ブレード・ブラックスミス』の『禁手』 の亜種。

 

その名の通り、甲冑の龍の騎士団を生み出し、操ることが出来る能力だ。

 

この騎士団は自身と同じ速度で動くことが可能で、上達すれば自分の技量を騎士団に付与させることも出来るらしい。

 

ただ、この禁手化状態だと聖魔剣は使用出来ない。もちろん、その逆も然り。

 

 

木場はこれまでの修行の中で、この新しい『禁手』に至った。まだまだ荒削りではあるが、それでも戦闘能力の低い『僧侶』を倒すには十分だったようだ。

 

特に『神器』持ちの『僧侶』を倒せたのは大きい。資料によると、ヤツの神器は確か『異能の棺 トリック・バニッシュ』。

 

これは自身の体力や精神力と引き換えに、相手の能力の発動を一定時間封じる呪いをかけることが出来る神器だ。

 

しかも術者によっては、倒されてからも呪いはしばらく継続する。

もし、ヤツがこの能力でイッセーの『赤龍帝の籠手』を封じていれば、その瞬間にこの試合は詰んでいた。

 

だからこそ、リアスは木場の『騎士団』で攻撃させたんだろう。

 

『異能の棺』が封じるのは、あくまで【能力の発動】。つまり、一度発動してしまった能力を無効にすることは出来ない。

 

例えば『異能の棺』で木場の『聖剣創造』を封じれば、『聖剣』を新たに作り出すことは出来なくなる。

しかし、既に作った『聖剣』を消すことは出来ないってことだ。

 

 

そうしてサイラオーグの『僧侶』2名を撃破した木場は、イッセーから渡された『アスカロン』で竜に化身したサイラオーグの『戦車』、ブネと戦っている。

 

ブネは悪魔の中でも竜を司る一族。アガレスとの試合でも竜に化身して戦っていた。

 

竜に変身することが出来るのは一族の中でも、ごく僅かだと聞いている。

だが、『悪魔』で『龍』なら『アスカロン』の出番だ。

 

現にブネは木場のスピードに翻弄されながら、『アスカロン』でダメージを負わされている。

 

 

その他のメンバーも戦況が膠着していながらも、優位を築けている。

 

リアスは【全把握】、白音は【仙術】で敵を上手く抑え込んでいる。

 

朱乃はサイラオーグの『騎士』であるフルーカスのスピードには『雷速瞬動』、攻撃には『雷光』を身に纏って戦う攻防一体の技【雷天大装】で対抗している。

 

 

「ふん、リアス・グレモリーめ。小娘のくせに存外、粘り強く戦っているではないか」

 

「ふむ。直情的な性格をしておったわりには、腰を据えた戦いをしておるのう」

 

「ええ。この短い制限時間、さらには人数不利に苦しめられながらも、焦らず慎重に戦えているのは中々です」

 

 

神々もリアスの戦いに興味を示している。そりゃあシトリーとのレーティングゲームでは、良い所無しで負けちまったからな。

 

だが、リアスはあれから猛特訓をした。『王』としての才覚を伸ばすための修行に邁進し、『全把握』の力を使いこなす訓練も欠かさなかった。

 

確かに未だ人数不利で苦しめられることはある。だが、そのおかげでリアスは『少数での戦い方』を誰よりも学んだ。

 

『少数での戦い方』、それは即ち『劣勢を盛り返す力』になる。正直、これだけはソーナやライザー............いや、他のどんな若手悪魔にも負けていないと思っている。

 

そんなリアスにとっては、今じゃ自分たちよりも人数が多い相手との戦いはむしろ得意な分野とも言える。

 

 

 

『確かに戦況は五分と五分です。ただ........................グレモリーの「僧侶」が気になりますね』

 

『リアス選手の「僧侶」、ギャスパー・ブラディ選手ですか? それはどのような点でしょうか?』

 

『ええ、他のメンバーは優位を築けているのに対して、ギャスパー選手だけが回避に徹していることです。

「神器」でサイラオーグ選手の『騎士』の動きを止め続けているのが妙なんですよね』

 

『はぁ........................しかし動きの速い「騎士」の動きを止めることは、特に不思議ではないと思いますが?』

 

 

サイラオーグの『騎士』。資料では、あの『騎士』も『神器』を持っていたはず。確か『魔眼の生む枷 グラビティ・ジェイル』だったか。

これは瞳に映した場所に重力を発生させる、ギャスパーの『停止世界の邪眼』と同じで視界を媒介とする能力だ。

 

 

『はい。一見するとギャスパー選手は敵の能力に捕まらないよう、影から影へ移動しながら敵の動きを止めています。

ですが、あんなワンパターンな戦いはそう長くは通用しないでしょう。もちろん、そのことはリアス選手も分かっているはずです』

 

『ですが、リアス選手はクイーシャ選手と戦っています。そこまで手が回らないのではないでしょうか?』

 

『いえ、あの距離なら姫島選手の『雷光』が届くはずです。そうすれば、倒せないまでも援護くらいにはなりますし、ギャスパー選手も幾分か楽になるでしょう』

 

『しかし、姫島選手はフールカス選手に掛かりきり。リアス選手も指示を出す気配が無い............................それが妙だということですか?』

 

『ええ。あのままだとギャスパー選手から、グレモリーチームは崩れていきますよ』

 

 

そう言われると、リアスの指示は序盤であれば問題ないが長続きはしない采配だ........................いったい何を狙っているんだ?

 

 

『おお~~~~っと!!! そう言っている間に、ここでリアス選手の『僧侶』がサイラオーグ選手の『騎士』に捕まってしまいましたーーーー!!!!』

 

 

俺がリアスの思惑を図りかねていると....................解説の言った通り、とうとうギャスパーが敵の『魔眼の生む枷 』に捉えられてしまった!!!

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

バアル眷属との戦闘が始まってから、10分が過ぎた頃で戦況が変わった!!

 

今まで敵の足止めに専念していたギャスパーが、サイラオーグの『騎士』の『神器』によって捉えられてしまった!!!

 

 

「ぐっ、うぅぅぅぅぅ........................」

 

「ふっ、散々手こずらせてもらったが、とうとう捉えたぞ。トドメだっ!!!」

 

敵『騎士』が重力を操ってギャスパーを地面に押さえつけたまま、ギャスパーに向かって思いっきり剣を振り下ろすっ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これを待っていたのよっ!!!!!

 

 

 

 

 

 

「ギャスパー、【スイッチ】!!!」

 

 

 

「っ、はいっ!!!」

 

 

ザクッッッッッッ!!!!

 

 

「っ、なっ、何ぃっ!?」

 

 

『騎士』の剣で切られそうになった瞬間、ギャスパーは【霧】になって消えた!!!

 

いきなり敵が目の前からいなくなったことで、敵『騎士』は取り乱す! しかもギャスパーが消えたことで剣が地面に突き刺さってしまった!!

 

だが、それだけでは終わらない!!!

 

 

「ハァァァァァッッッ!!!!」

 

「ッッッッッッ!?」

 

グサァッッッ!!!!

 

突然の状況変化に取り乱す『騎士』に、背後から朱乃が『雷速瞬動』で急接近! そのまま『騎士』の身体を『雷光』の槍で貫いたっ!!!

 

「ら、雷光の、巫女................バカな、じゃあ、フールカスは........................」

 

『騎士』が朱乃が戦っていたはずのもう一人の『騎士』、フールカスに目を向けると........................ギャスパーの『神器』によって動きを止められていた。

 

「っ、そういう、ことか................グハァッ!!」

 

『騎士』は停止しているフールカスを見て、全てを悟り粒子となって消えていった。

 

 

『サイラオーグ・バアルの「騎士」1名、撃破』

 

 

「ハァッ!!!」

 

ヒュンッ............グサァッ! パァァァァァァ....................

 

『サイラオーグ・バアルの「騎士」1名、撃破』

 

 

朱乃は『騎士』の『撃破』を確認すると、続けてフールカスに向かって槍を投擲した。

 

ギャスパーによって動きを止められているフールカスには防御も回避も出来るわけもなく、そのまま槍に貫かれて『撃破』された。

 

これでサイラオーグの『騎士』2名がいなくなった、天秤が傾いたわ........................今こそ好機っ!!!

 

 

「イッセー、皆に『譲渡』を!!!」

 

「はい! 『赤龍帝からの供与 ブーステッド・ギア・エクステンド』!!!」

 

 

カァァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!!!

 

 

イッセーが溜めた『倍加』の力が私たち全員に行き渡り、朱乃たちの身体が赤く発光するっ!!!

 

パワーが急激に増大した皆を見て、『騎士』2名を落とされたバアル眷属たちは更に取り乱す!

 

 

「皆、一気に決めるわよ!!!」

 

「「「「はい、部長!!!」」」」

 

私の号令により、眷属たちが果敢に攻め込んだ!!!

 

 

祐斗は『魔剣創造』で大量の魔剣をブネの足下から生やす。そうして動きを止めたブネに近づき、胸に『アスカロン』を突き刺した!!!

 

『サイラオーグ・バアルの戦車1名、撃破』

 

 

白音は『仙気』を纏った拳を何度も敵『戦車』に叩き込む! イッセーの『倍加』と白音の『戦車』のパワー、そして『仙術』の力が加わり、一発撃ち込む毎に大砲を撃ったような爆音が響き渡る!!

 

白音のパワーに流石の敵『戦車』も膝をつく。その隙を逃さず、白音が『火車』の炎でトドメを差す。

 

『サイラオーグ・バアルの戦車1名、撃破』

 

 

これで『騎士』だけじゃなく『戦車』も全員倒した。あとは『女王』のクイーシャだけ!

 

「くぅっ!!!」

 

状況不利と見たクイーシャはすぐさま撤退しようとする。でも、その動きは読んでいたわ!

 

「くらいなさい! ハァッ!!!」

 

 

ズガァァァァンッッッッ!!!!

 

 

「ちぃっ! 『ゲート』よ!!!」

 

私の『滅びの魔力』を『ゲート』で吸い込もうとするクイーシャ。でも残念ね、この攻撃は【囮】なのよ。

 

「ハッ!!!」

 

ギュンッ、ドシュゥゥゥゥゥゥゥ........................

 

私の『滅びの魔力』が『ゲート』の手前で上に方向転換する。

 

クイーシャもこれまで通り、『ゲート』を避けて自分に向かってくると思っていたため、これには困惑した。

 

 

グササササッッッ!!!

 

 

「がはっっっ!? な、何が................こ、これはっ!!!」

 

しかし、クイーシャが上に気を取られた瞬間、背中に【光の矢】が何本も刺さった!!!

 

振り返ると、朱乃の周囲に矢の形をした『雷光』が大量に展開されていた。

 

そう、今の私の攻撃は陽動。本命は『倍加』の力でパワーアップした朱乃の『雷光』をクイーシャに当てることだった。

 

 

「っ........................見事です、リアス・グレモリー」

 

『サイラオーグ・バアルの女王、撃破』

 

 

クイーシャはそう一言残すと粒子になって消えていった。アナウンスが流れ、攻めてきた敵全員を倒したことを確認した私は息を吐く。

 

............................何とか、私たちだけで『兵士』以外のサイラオーグの眷属を全員倒せたわね。

幸い、こっちは誰一人欠けることなく乗り切ることが出来た。戦果としては上々だわ。

 

 

でも、決して楽な戦いじゃなかった。私は『全把握』と『滅びの魔力』の同時併用で魔力が枯渇寸前。

朱乃たちだって、『倍加』のパワーアップの反動で見た目以上に消耗している。

 

「皆、お疲れ様。朱乃、残り時間は?」

 

「ハァ、ハァ.........現在、試合開始から15分が経過。残り、45分ですわ」

 

「そう................じゃあ皆、15分休憩するわよ。残り30分で勝負を掛けます。それまでは体力の回復に努めて。

ギャスパー、悪いけど周囲の警戒をお願い。サイラオーグが攻めてきたら、すぐに教えてちょうだい」

 

「「「「はい、部長」」」」」

 

「わ、わかりましたっ!」

 

もっとも、サイラオーグのことだから『眷属との戦いで消耗した相手を狙う』ような【サクリファイス】紛いの戦いはしないでしょうけどね。

 

 

 

でも、警戒するのに越したことはない。私たちは消耗した分を少しでも取り戻すため、休憩をすることにした。

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

『な、なんとグレモリーチーム、誰一人撃破されることなく、バアルチームの7人を撃破!!!』

 

『グレモリーチームの『僧侶』が捕まった時には、このまま押し切られるじゃないかと思いましたが....................いやはや、あそこで接敵メンバーを入れ換える【スイッチ】で逆に巻き返すとは思いませんでした。

タイミングが完璧でしたし、かなり慣れているように見えました。

恐らく、リアス・グレモリー選手は最初から狙っていたみたいですね』

 

 

なるほどな。朱乃をギャスパーの援護に回らせなかったのは、敵『騎士』を打ち崩すため。

 

わざと敵に捕まり、トドメの一撃を誘う。その瞬間にギャスパーが霧となり、攻撃を躱しつつ朱乃と相手を入れ換える。

 

『霧』は質量が軽い分、重力の影響を受けにくい。会得したばかりの能力にしちゃあ、アレは上手い避け方だった。

 

つまりリアスは始めから、ギャスパーを基点に戦況を変えるつもりだったってわけか。

 

それに【スイッチ】はリアスの得意戦術だ。シトリーやフェニックスとの模擬戦でもよくやってるしな。メンバー全員も勘どころが分かっていたんだろう。

 

 

『これでバアルチームは残り2名。サイラオーグ選手、かなり厳しい状況に立たされてしまいました!!!』

 

『そうですね、このままグレモリーチームは戦闘を長引かせれば勝ちになるわけですから。

サイラオーグ選手は残り時間内に、最低でも5人撃破しなくてはなりませんからね』

 

 

リアスたちがサイラオーグの眷属7人を倒したことで、試合の主導権を握った。

 

確かにこのまま時間切れを待てば、リアスの勝ちだ........................だが、それじゃあダメなんだ。この試合では、勝ち負け以上にイッセーを『龍女王』にすることの方が重要なんだからな。

 

恐らくリアスがイッセーを戦わせずに後衛に配置したのは、イッセーを温存するため。

 

『龍女王』になるため、更にはあのサイラオーグのパワーを相手にするには、イッセーが万全な状態でなければならないと考えたんだろう。

 

だからこそ、イッセーをベストな状態でサイラオーグと戦わせるため、リアスたちだけでサイラオーグの眷属と戦ったんだ。

 

『王』であるリアスすらも【囮】、目的を果たすための『駒』にして............................。

 

 

『グレモリーチームは、どうやら休息を取っているようですね』

 

『ええ。敵を倒したとはいえ、消耗が激しかったようです。それに状況はグレモリーが優勢ですからね、このまま無理して攻めることもないでしょう』

 

 

解説の言っていることは、『半分』正しい。リアスたちが休んでいるのは、消耗した分を少しでも回復するためでもあるからな。

 

だが、それ以上にイッセーをより万全の状態でサイラオーグと戦わせるためだ。

 

恐らく、リアスはイッセーをサイラオーグと戦わせることで『龍女王』に至らせるつもりなんだろう。

そのためにはイッセーをここで消耗させるわけにはいかない。

 

 

まぁ実際、敵を倒しはしたものの、リアスたちの消耗がかなりのものであることも確かなんだがな。

 

リアスは『全把握』と『滅びの魔力』の同時併用を連発していた。今は疲労でまともに動けないだろう。

 

朱乃たちも『赤龍帝の供与』でイッセーのパワーを受け取ったから、その反動が来ているはずだ。

 

 

「ほう、赤龍帝の小僧め。仲間に戦いを任せて、自分は高みの見物でもしているのかと思いきや....................中々面白いことをしよる」

 

「ホッホッホッ、どうやら離れた相手へ力を譲渡出来るようになったみたいじゃのう」

 

「アザゼル、アレも呂布に教わったのですか?」

 

「いや、アレは歴代の赤龍帝の1人から教わった技だ」

 

 

『赤龍帝の供与』。『赤龍帝の贈り物 ブーステッド・ギア・ギフト』の強化版で、歴代の中でも『譲渡』を得意としたヤツから教えてもらった技らしい。

 

『赤龍帝の贈り物』は触れた相手にしか力を譲渡出来ないのに対し、『赤龍帝の供与』はイッセーの血で書いた紋章を付与した者に力を譲渡できる。

 

相手へ触れる必要が無いため、離れた相手にも力を譲渡できる。その有用性は今見た通りだ、歴代の先輩とやらの得意技だったとか。

 

だが離れた相手、しかも複数人へ一度に譲渡できるのは凄まじいことだが........................欠点は譲渡された者の負担が大きいことだ。

 

イッセーの力を譲渡されて、爆発的な力を一時的に得られるが、その分身体を酷使することになるからな。

こればかりはいくら『譲渡』を極めてもどうしようもない。

 

そんな疲弊した状態のままサイラオーグを攻めても、すぐにやられるだけだ。なら、時間の許す限り体を休めるのが一番。

 

 

 

そうだ、それでいい。まだ時間は30分以上残っている。焦らず、地道にでいいんだ。

サイラオーグにだってプレッシャーは掛かっているんだからな。

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

身体を15分ほど休ませた私たちは、サイラオーグと『兵士』がいる敵本陣へと向かっていた。

 

既にサイラオーグの位置は白音が『仙術』で捉えている、サイラオーグは本陣から全く動いていない。

 

やっぱり自分の本陣で私たちを迎え撃つ気のようね。残り時間は30分、いよいよこの試合の最終局面になるわ。

 

 

 

私たちが敵本陣に着くと、サイラオーグは腕を組んで私たちを待っていた。隣には例の『兵士』もいる。

 

「遅かったな、リアス。そろそろ俺の方から、出向こうと思っていたところだったぞ」

 

「それはごめんなさいね。でも、せっかくなのだから、私たちが休んでいる間に攻め込んで来るかと思ったわ」

 

「ふ、そんな無粋なマネはしないさ。それに、このままお前たちが時間切れを待つようなマネもしないと思っていた」

 

「あら、それはどうしてかしら?」

 

「簡単なことだ。そこにいる赤龍帝は『俺を倒す』と豪語した。眷属思いのお前が、その言葉を無視するはずがないからな」

 

「そう........................なら、待ってもらったお礼をしないとねっ!!!!」

 

 

キィィィィィィィィィィィィィンッッッッッッ!!!!

 

 

私は『全把握』と『消滅』の魔力を【同時】に練り上げる! これは今の私が放てる最高の技、この一撃でまずはサイラオーグの『兵士』を燻り出す!!!

 

「くらいなさいっ!! 【紅の消滅 クリムゾンバニッシュメント】!!!!」

 

 

ドシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッッッッッッ!!!!!

 

 

私の『消滅』の魔力を限界まで圧縮した特大の魔力球がサイラオーグの『兵士』へと向かっていく!!!

 

『兵士』はすぐにその場から離れるが、私の魔力球は『兵士』を追尾していく!!

 

そう、この魔力球には私の『全把握』の力も備わっている。どこへ逃げようとも私の意思で自由自在に操ることが出来る!! だから、回避は出来ない!!!

 

 

そうして私の魔力球が『兵士』を捉えようとした瞬間っ!!!!

 

 

「ぬぅぅぅぅぅぅぅんっっっっ!!!!」

 

ドゴォォンッッッッッ!!!!

 

 

魔力球が『兵士』に当たる直前で、サイラオーグが横から魔力球を殴り飛ばした!!!!

 

魔力球はそのまま岩山へとぶつかり、岩山を消滅させて魔力球自体も消えていった............................。

 

「おいおい、お前たちの相手はこの俺だろう? 浮気は無しにしてくれ」

 

「くぅっ!!!」

 

っ............................あの一撃で倒せるとは思ってはいなかった。でも、せめてあの『兵士』の正体だけでも暴きたいと思っていたのに........................!!!

 

それにしても、私の『紅の消滅』を素手で殴っても、まったくの無傷だなんて........................やっぱりサイラオーグは強いっ!!!

 

 

ズキィィィィィィィィィィィィンッッッッッッ!!!!

 

「っ、ぐぅぅぅぅっっっ!!!」

 

突如、激しい痛みが私を襲ってきた!! しかも頭だけじゃなく、身体全体にまで!!

私はあまりの痛みに、その場で膝をついてしまう!!

 

「「「「部長っ!!!」」」」

「リアスッ!?」

 

皆が私を心配して寄り添ってくる。やはり、【紅の消滅】は反動が大きい。

ただでさえ『全把握』と『消滅』の魔力の同時併用は身体への負担が大きいというのに、この技はその二つの魔力を最大出力で放つ技だ。

 

強力だけど、その分消耗も激しい。何せ自分の魔力を爆発させるようなものなのだから。

 

魔力量が多い私でも、一日に三発も撃てば魔力が空になる。まだ一発しか撃ってないけど、さっきのクイーシャとの戦いで私の魔力はだいぶ消耗してしまった。

 

一応休んだけれど、それでも魔力がもうほとんど残っていない。正直、気を抜けば今にも気絶してしまいそうだもの。

 

でも、耐えないとっ!! ここで私が気を失ってしまえば、その瞬間に負けてしまう。

 

 

そうなったら....................イッセーが............................

 

 

 

 

「............................リアス、もう十分よ。アナタはよくやったわ、だから後は私たちに任せて」

 

「っ、朱乃............................」

 

倒れそうな私を優しく支えていた朱乃が前に出る。朱乃だけじゃない、祐斗も白音もギャスパーも前に出てきた。

 

「あ、あなたたち........................ぐうっ!!」

 

「朱乃さんの言う通りですよ、部長」

「ここからは私たちがやります」

「だ、だから、リアス部長は、ここで休んでいて下さいっ!」

 

顔は見えないけれど、四人の背中からは上手く言い表せないほどの強い覚悟が見て取れた。

 

そんな四人の覚悟が伝わったのか、イッセーも前に出ようとする。

 

「朱乃さん、俺も「ダメよ」っ、朱乃さん............................」

 

一緒に戦おうとするイッセーを朱乃が制止する。その声音は普段からは想像も出来ないほど厳しかった。

 

「そうだよ、一誠君。キミがここで戦ったら、僕たちの頑張りが無駄になってしまう」

 

「木場................でもっ!」

 

「目的を履き違えてはダメよ、イッセーくん。アナタには、アナタのやらなくてはならないことがあるはず。

それにそんなに消耗したリアスを放っておくつもり?」

 

「ッッッッッッ!!!!」

 

確かに朱乃の言う通り、今の私は動くことすらままならない。こうして意識を保っておくので精一杯な状態だわ。

 

もしサイラオーグやあの『兵士』が私を狙ってきたら、私は成す術なく倒されてしまう。

だからイッセーを私の護衛につけつつ、後ろに下がらせるつもりなのね。

 

「当然のことだけど、私たちに力を譲渡するのもダメよ。そんな【無駄】に力を消費した状態で勝てるような相手じゃないことは、イッセーくんがよく分かっているでしょう?」

 

「っ........................わかりました」

 

朱乃の普段らしからぬ厳しい声音と物言い。だけど、それもこれも全てはイッセーを『龍女王』に至らせるため。

 

イッセーなら必ず『龍女王』になれると信じているからこそ、自分たちがサイラオーグの『兵士』を引きずり出すための『人柱』になるつもりなんだわ。

 

イッセーもそれが分かっているからこそ、大人しくその時が来るのを待つことにした。

仲間思いのこの子にとっては、身を切られるよりも辛いことに違いない。

 

 

「........................まずはお前たちか。赤龍帝はどうした? 俺へのあの言葉は嘘だったのか?」

 

「ご心配なく、サイラオーグ様」

 

「イッセー先輩は、必ず貴方を倒します」

 

「貴方には最高の状態で赤龍帝と戦ってもらいます」

 

「だ、だから、まずはボクたちが、お相手しますっ!!」

 

「........................ふ、どうやらハッタリや嘘ということではないらしい。良いだろう、お前たちの覚悟は伝わった!!

来い、相手になってやる!!! 」

 

朱乃たちを倒すべき強敵と認めたサイラオーグが目に見えるくらいの強いオーラを発するっ!!!

 

 

 

こうしてサイラオーグと朱乃たちの戦いが始まった...................

 

 

 

 






オリジナル技を二つほど出しましたが、リアスの技の外見は原作で出てきた【消滅の魔星】よりも二回りほど小さめの『消滅』の魔力球です。

しかし、『全把握』により相手を追尾する能力が備わっています。

そして書きながら思ったこと........................『あれ? いつの間にか【スイッチ姫】になってる?』

それでは皆さん、次回で♪
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