深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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お伝えした通り、日常パートは入れずにこのままソーナVSサイラオーグに行きます。





第百四十二話

 

 

 

 

リアスとサイラオーグの試合が終わり、10日ほど経過した。駒王学園は既に冬休みに入り、世間でも受験を控えている受験生たちは最後の追い込みをしている頃だろう。

 

もっとも駒王学園は中学校から大学まで一貫みたいなので、大学部に進学する場合はエスカレーターらしい。

 

いいなぁ、受験勉強をしなくても良いって(一応、進級試験はあるそうだけど)........................。

 

だが、その分シトリーには修行に費やす時間が出来たということで、俺はシトリーに受験勉強以上の追い込みをさせた。(決して腹いせではありません)

 

そんな文字通り慌ただしい『師走』を過ごしていく内に............................とうとう『その日』はやって来た。

 

 

 

 

「いよいよだね~~」

「うん。私たちの夢を叶えるための最初の戦い....................その最後の戦いがね」

「とうとう来ちゃいましたね」

「そうね。でもここまで来たら、後は全力を尽くすしかないわ」

「長かったような、短かったような....................泣いても笑っても、これが最後ね」

「そうだな....................けど、せっかくなら笑って終わろうぜ!」

「匙も頼もしいことを言ってくれるようになりました。ねえ、会長」

 

「フフ、そうですね。皆で笑って終わりましょう」

 

 

試合会場に向かうゴンドラに揺られる中、シトリーの皆はこれまでのことを振り返っていた。

 

この大一番でも変わらず、いつも通りに過ごせているのは中々だ。これも毎日、『燃』を続けさせた結果かな?

 

 

「皆さん、流石ですわね。今日の試合はトッププロ同士の試合並みに注目を浴びているはずですのに」

 

レイヴェルも最後の試合の前だと言うのに、普段と変わらず落ち着いている皆には感心している。

 

 

「そりゃあ全く緊張してないって言えば、ウソになるけど........................」

「普段から死ぬようなプレッシャーを散々浴びてるからね....................」

「それに極限の緊張感の中で、何時間も戦わされてるから........................」

「ぶっちゃけ、この程度でガチガチになってたら................とっくに呂布先生との修行でガチ死にしてますよ」

 

 

「「「「「「「「うんうん」」」」」」」」

 

「な、なるほど........................お疲れ様ですわ」

 

 

シトリーの皆が軽くハイライトを消しながら答えるとレイヴェルも困ったように当たり障りの無い返事をする。

 

何もそこまで言わなくてもいいじゃん。そりゃあ匙加減を間違えて死んじゃったら、ヴァレリーにこっそり蘇生させてもらおうかとも考えてたけどさ~~~~。

 

シトリーの皆からの心無い評価に、俺は外の景色でも見て自分を慰めることにした。

 

 

 

窓から見える空に浮かぶ巨体な島。今日の試合は、あの『空中都市 アグレアス』で行われる。

アガレス領にある都市の1つで観光地としても有名らしい。

 

また、原作でもリアスとサイラオーグが試合をした場所でもある。

 

島からは水が沸きだし、滝のように地上へと落ちていく様はファンタジー此処に極まりって感じだ....................あれだけのトン単位の水源はどこにあるんだろうか?

 

あの空中都市に行く方法は『転移』『飛行船』『ゴンドラ』の三つだ。

本来なら『転移』で行くのが一番手っ取り早いんだけど、『ゴンドラ』からの眺めが目玉の1つということを聞いたシトリー眷属の要望により『ゴンドラ』で移動している。

 

俺としても観光スポットと聞いちゃあ、見ないわけにはいかないからね。

実際、ゴンドラからの雄大な風景は一見の価値がある。来て見て良かった♪

 

 

「それにしても、何でアガレス領でやることになったんすかね? 今までのスタジアムじゃダメだったんでしょうか?」

 

俺がゴンドラからの景色を眺めていると、匙がふとした疑問を溢してくる。

 

そんな匙の疑問に我が秘書のレイヴェルちゃんが答えた。

 

「何でも今回のゲーム会場の設定には上層部で色々とあったらしいですわ」

 

「? 色々?」

 

「はい。ソーナ様の最終試合ということで、セラフォルー様が魔王領での開催を望んだのですわ。

ところがバアル派の貴族が反対、バアル領での開催を訴えたのです。

そこで大公アガレスが両者の間を取り持ち、アガレス領での開催となったそうです」

 

「........................ハァ、要するに、事の発端はお姉様ということですね....................ハァ~~~~」

 

過保護な自分の姉の行動で、魔王派と大王派を必要以上に争わせる結果になったことを嘆くソーナ。

 

まぁ、セラフォルーが何も言わなくても魔王派と大王派は何かにつけて揉めてるからね。そんなに気にしなくていいんじゃない?

 

頭を痛くしているソーナに、眷属の子たちもどうしていいか分からない様子。

そんなビミョーな空気が漂う中、ゴンドラは空中都市に着いた。

 

 

 

 

 

ゴンドラから下りると豪華なリムジンが俺たちを待ってくれていた。

 

どうやらレイヴェルが手配してくれた物らしい。この子、本当によくできてるわ~~~。

 

リムジンが向かったのは本日の試合が行われる巨大なドーム会場、『アグレアス・ドーム』........................の隣にある超が10個ぐらいつきそうな高級ホテル。

 

何でもこのホテルにはVIP客が大勢いるため、ドーム会場よりも設備や警備が充実しているらしい。

 

ホテルに入ると、まさに『看板に偽りなし』と言わんばかりに豪華絢爛たる造りになっていた。

 

サッカーの試合でも出来るんじゃないかと思える広いロビー、金ピカ過ぎて逆に落ち着かないフロア。落ちたら人を殺せそうなほど巨大なシャンデリア。

 

どれを取っても庶民には合わなさすぎるラインナップだ。

 

そしてロビーには見慣れた漢服姿の青年が俺たちを待っていた。

 

 

「やあ、久しぶりだね。ソーナ・シトリー、それにシトリー眷属の諸君」

 

「っ、曹操殿、いらしてくださったのですね。わざわざありがとうございます」

 

 

ロビーにいたのは『蒼天の紅旗』のリーダーである曹操孟徳だ。

事前にレイヴェルから曹操が来るということは聞いていたけど、ずいぶん早い到着だね。試合は夜だよ?

 

 

「ああ、今日はキミたちの最後の試合だからね。依頼を受けた身としては見に来ないとな」

 

「さようですか........................曹操殿、改めて御礼を申し上げます。私たちを鍛えるために呂布殿を動かしてくださり、本当にありがとうございました」

 

ソーナが頭を下げると眷属の子達も一緒に頭を下げる。曹操とは馬が合わない匙まで頭を下げるあたり、シトリー眷属の子達も根は素直なんだよね~~~~。

 

「なに、気にしなくていい。一度依頼を受けたからには、最後まで面倒を見るさ。

呂布もご苦労様。どうだい、シトリーとの修行は?」

 

「....................それなりに................楽しんでいる................他のメンバーは....................来ていないのか?」

 

「そうか、楽しんでいるなら何よりだ。ここに来たのは俺だけだ。今は色々と慌ただしいからね。

それから....................そろそろ『例の連中』が動きそうだ。悪いが、この試合が終わったら................『全員』で一旦戻ってきてくれ」

 

「ん....................了解」

 

曹操の言葉にソーナたちは『?』を浮かべている。かくいう俺もよく分かっていない。

まぁ、『帰ってこい』と言われれば帰るしかない。それが元社畜の悲しい性。

 

でも『全員』ってことは、俺だけじゃなくアーシアたちもってことだよな。

 

何で全員で帰る必要があるんだ? もしかして........................忘年会? だとしたら何か隠し芸でも用意した方が良いんだろうか。

 

 

 

俺が隠し芸を何にするか考えてるとロビーの向こうから不気味な集団がやって来た。

 

顔が見えないほど深くフードを被り、足下が見えないほど長いローブを着込んでいる。

その中央には司祭みたいな衣装に身を包んだ....................ガイコツがいた。

 

やっぱりコイツらってパッと見、どこぞのカルト集団っぽいよな~~~。

 

そのガイコツに対して、曹操は抱拳礼を取って挨拶をする。

 

 

「これはこれは............................お久しぶりです、『ハーデス』様。冥府から滅多に出られない貴方様が来られるとは珍しい」

 

『ファッファッファッ! 久しぶりだのう曹操。いやなに、ゼウスやポセイドンに誘われてな。

呂布も久しぶりだな。どうやら、また強さを増したようではないか、いや結構結構♪ ファッファッファッ!』

 

「ん....................久しいな、ハーデス神」

 

このガイコツさんこそ、ギリシャ神話における冥府の神『ハーデス』。

原作ではサマエルを曹操に貸したり、悪魔を量産したりと何かにつけて悪さをしていた神様だ。

 

しかし、この世界ではそういったことはせず、俺たち『蒼天の紅旗』と仲が良い。というかお得意様だったりする。

 

 

ハーデスに限った話ではなく、どの神話群の冥府の神も『蒼天の紅旗』とは仲が良い。

 

というのも、俺たちの主な仕事の中に『現世における迷える魂を冥府に導く』というものがある。

 

特に人間の魂は現世を彷徨いやすく、1日に死ぬ人間の数は冥府の神が各神話群の領域ごとに管理している。

 

だが、管理できるのはあくまで『寿命で死んだ魂』のみ。事故や殺人など第三者の介入によって死んだ魂は把握が難しいんだそうだ。

 

しかもそういった魂ほど現世を彷徨いやすい。本来なら死神や冥府の使いの者が魂を回収しに行くんだけど....................最近は現世の魂というか、輪廻の関係が混乱していてそっちの対処に追われているらしい。

 

そのせいで『迷える魂』の回収が上手くいっていないんだとか。『迷える魂』は放っておくと悪霊になって人に害を成したり、そのまま消滅したりしてしまう。

 

さらに........................現世の魂と冥界の魂というのは、数が釣り合っていないといけない。

『質量保存の法則』というか、地球上の『水分』が常に一定量に保たれているのと同じだな。

 

そして魂の輪廻が乱れている原因というのが........................毎度お馴染み、嫌われ者の『聖書陣営』だ。

 

連中はあっちこっちで自分達の信仰を広げているからね。その場所をどこの神話群が管理しているかなんて、お構い無し。

 

誰の管理領域だろうと、面白そうなヤツがいれば悪魔に転生させ、彷徨う魂があればエクソシスト、堕天使は神器を持っているヤツを見つければ奪って殺す。

 

 

『魂葬』と言って、魂は各神話群ごとに決められている正しい手順で冥界へ送らないといけない。

だけど、教会のエクソシストは『浄化』という聞こえの良い言葉で魂を『天界』............天使たちのいる場所へ送ってしまう。

 

それだと各神話群ごとに管理している現世と冥界の魂の数が釣り合わなくなってしまう。

 

日本神話群の代行として曹操が駒王学園の会談に出席した際に、教会連中が勝手に彷徨う魂に手を出させないように要求したのは、そういった背景があるからだ

 

 

堕天使の場合は、神器の回収のために所有者を殺す。殺された者の魂は現世を彷徨う。

その魂を教会がエクソシストし、天使たちの下へ送る。

 

冗談抜きで天使と堕天使の癒着を疑いたくなるような話だ。だからこそ、堕天使にも神器所有者を見つけた場合は日本神話群に知らせろと釘を刺した。

 

 

悪魔にいたっては、もっと最悪だ。人間から悪魔に転生させることで魂が管理できなくなるどころか、寿命が上書きされ永遠に近い時を生きることになるんだからな。

 

魂のバランスを管理している冥府の神からしたら、堪ったものじゃないだろう。

 

 

そういったことも各神話群と聖書陣営の仲を悪くしている原因の一つになっている........................こうして考えてみると、よく今まで戦争にならなかったもんだ。

 

そして各神話群の神様たちも、この状況を何とかしたいと思っている。

ただ、聖書陣営にいくら言っても『糠に釘』『暖簾に腕押し』状態。

 

かと言って、戦争を仕掛けるにしても『誰が仕掛けるのか』という話になってくる。

 

戦争をすれば聖書陣営を滅ぼしたとしても、無傷とはいかないからな。

そして高みの見物をしていた他の勢力が旨い汁を啜る。

 

早い話が聖書陣営に戦争を仕掛けたヤツが一番損をし、戦争しなかった連中が得をする。

だから誰も手を出したがらないんだけど....................そのせいで、ここまで聖書陣営が野放しになる結果となってしまった。

 

 

そういったわけで、解決手段が『戦争』になると損得勘定が働くので話が進まない。

だから、俺たち『蒼天の紅旗』に白羽の矢が立ったというわけだ。

 

『蒼天の紅旗』ならどの神話群の領域でも、ある程度の自由が利くからな。

死神たちの代わりに『魂葬』を行ったり、時には好き放題している聖書陣営のヤツらを始末したりしている。

 

聖書陣営の連中も他の神話群の管理領域で勝手をしたヤツが殺される分については、仕方ないと目を瞑っている。

元を正せば、自分たちが勝手に侵入したわけだからね。『暗黙の了解』というヤツだ。

 

だから、俺たち『蒼天の紅旗』と冥府の神は基本的に仲が良い。

 

 

ただ、最近では天使たちが『悪魔の駒』を参考に『転生天使』なるシステムを開発したとか........................どうやら聖書陣営と各神話群の溝が埋まるのは、まだまだ先の話のようだ。

 

ま、俺たち『蒼天の紅旗』は仕事に困らず、食いっぱぐれることも無いから良いんだけどね♪

 

 

「お初にお目にかかります、ハーデス様。シトリー家次期当主、ソーナ・シトリーと申します。

本日は私どもの試合のために御来訪いただき、誠にありがとうございます」

 

ソーナが挨拶すると上機嫌だったハーデスはアゴをさすりながら、訝しげにソーナを見る。

 

『ふん、現レヴィアタンの妹か。なんでも呂布直々に鍛えられたそうではないか、贅沢なことよな。

まぁ、せいぜい死なぬように気をつけるがいい。今宵は貴様らの魂を連れに来たのではないのだからな』

 

「っ........................ご忠告、痛み入ります」

 

ハーデスはソーナに忠告という名の嫌みを言って、従僕たちと一緒に去っていった。

 

相変わらず悪魔、というか聖書陣営のことが嫌いみたいだな~~~。

そりゃあ各神話群の中で一番被害を受けているのが、冥府の神だからね。気持ちは分からないでもない。

 

 

「なに、あのガイコツ!」

「ホント、何かイヤな感じ!」

「周りの連中も不気味だし、趣味悪いよ!」

「何も試合前の選手にあんなこと言う必要ないでしょーにっ!」

 

ハーデスの態度が気に入らなかったのか、シトリー眷属の子たちが不満を漏らす。

 

これこれ皆の衆、ここには他の神様たちもいるんだからね。口は災いの元になっちゃうよ。

 

「お止めなさい、他の神々に聞かれたらどうするのですか」

 

「椿姫の言う通りです。滅多なことを言うものではありません」

 

「でも~~~」

 

椿姫とソーナが諌めるも不満は不満な眷属たち。そこに曹操が間に入って眷属の子たちを宥める。

 

 

「まぁ、そう言わないでくれ。アレでも俺たち『人間』にとっては、死後の魂を保護してくれる存在なんだ」

 

「死後の魂、ですか~~?」

 

「ああ、キミたち悪魔にとってはあまり実感は湧かないかもしれないがね。

そうだな....................キミたちは『悪魔』だが、キミたちの家族は『人間』だろう?

その家族の魂を死んだ後も守ってくれる存在と思えば、多少は見方も変わるんじゃないか」

 

「そう言われると....................ありがたい神様、なのかな?」

「でもでも、あんな目の敵にしなくったっていいじゃないですかっ!」

「うんうん、私たちが何したっていうのよ!」

 

曹操が宥めるが、それでも納得できないシトリー眷属。だが、曹操は肩を竦めながら答える。

 

 

「それはキミたち悪魔................というより『聖書陣営そのもの』の問題だな。

他所の勢力の土地で勝手に転生悪魔にしたり、エクソシストをしたりと好き勝手やって魂の調和を乱してきたんだからね」

 

「うっ、でもそれは私たちのせいじゃ....................」

 

「だから、『聖書陣営そのもの』の問題だと言っているだろう。もしキミたちが夢を叶えたとしても、この問題は付いて回る。

夢を叶えた後も各神話群とどう付き合っていくのか、この負の財産をどう解消するのか。

そういったことも含めて、キミたちの夢には障害が多いんだよ」

 

 

「「「「「........................................」」」」」

 

 

曹操から聖書陣営が抱える現実問題を突きつけられ、黙りこんでしまうシトリー。

 

残念だけど、これは『聖書陣営そのもの』の問題だからね~~~。悪いけど、俺じゃあ力になれそうにない。

 

『悪魔の問題』は悪魔、『聖書陣営の問題』は聖書陣営で解決しないとね。

 

 

「それじゃあ俺はもう行くよ。これでも忙しい身でね、色々と【挨拶】しなければならない神が多いんだ。

それじゃあな、呂布。試合と一緒にキミの『仕事っぷり』を見物させてもらうよ」

 

曹操はそう言い残して、ロビーにいる他の神のところへ歩いていく。リーダーというのは大変だな~~~。

 

 

 

俺たちもいつまでもここに居たって仕方がないので、『それぞれの』控え室へと向かうことにした。

 

また、他の神に絡まれても面倒だしね....................。

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

呂布殿と分かれた私たちは用意された控え室で『燃』を行ったり、たまに身体を動かしたりと各々が一番良い方法で時間を過ごしていた。

 

 

「お邪魔するわね、ソーナ」

「よう、来てやったぜ」

 

「リアス、ライザー殿。来てくれたのですね」

 

「当たり前でしょう。親友の最終試合だもの、地球の裏側にだって見に来るわ」

「まぁ、一緒に修行した仲としては、どんな試合になるか気になるところだからな」

 

「そうですか。よく来てくださいました、歓迎します」

 

待機中の私たちの控え室にリアスとライザー殿。そして眷属の方々が尋ねてきた。

 

私は皆さんを迎えようとしますが............................

 

 

「ハァ~~イ♪ ソーナちゃん☆ 愛しのお姉ちゃんが来ましたよ~~~♪」

 

「........................お姉様はお帰りいただいて結構です」

 

私は一緒にいた姉の姿を見て追い返そうとする。しかし、毎度のことながらお姉様はわざとらしく泣きそうな顔を見せる。

 

「そんなっ!? お姉ちゃん、試合前にソーナちゃんたちが緊張していないか心配で来たのに!!」

 

「だったら、試合を控えた選手に心労など掛けないでください。

先ほど係の方が訪ねてきましたよ。何でも『大至急、確認したいことがある』とか。

大方、何か打ち合わせがあったのにすっぽかして来たのではないのですか?」

 

「うぐっ! そ、それは................................」

 

私が問い詰めると姉は言葉に詰まってしまう。どうやら、何か大事な打ち合わせがあったのは間違いないみたいですね。

 

お姉様には色々と感謝していますが、それでも魔王なのですから仕事はちゃんとしてほしい。

 

私が睨み付けるように姉を見ていると、一緒に来たリアスとライザー殿が間に入ってくる。

 

 

「ま、まぁまぁ、ソーナ。セラフォルー様はソーナを心配して来てくださったのよ! ねぇ、ライザー!?」

 

「あ、ああ。今日の試合は多くのプロだけじゃなく、各神話群の主神クラスが大勢見に来ているからな。

いくら呂布殿に鍛えられていても、さすがに緊張してるんじゃないかと思ってな」

 

リアスとライザー殿が焦りながら擁護していますが........................普通、逆なんじゃないでしょうか?

 

まぁ、良いでしょう。今回は二人に免じて、見逃してあげます。ちょうど気晴らしがしたかったところですしね。

 

「はぁ....................後でちゃんと係の人のところへ行ってくださいね」

 

「うん♪ モチロンだよ☆」

 

私が認めると、さっきまでの泣き顔がウソのように笑顔になる。毎度のことながら、この変わり身の早さには呆れを通り越して感心しますね。

 

とりあえず立ち話も何でしたので、全員で雑談でもしながらお茶を飲むことにしましょう。

 

 

 

 

私たちはお茶を飲みながら、適当に時間を潰した。私たちの反対側では眷属たちもそれぞれ交流を深めているようです。

 

せっかくですし、ライザー殿には改めてお礼を言っておきましょうかね。

 

 

「ライザー殿。此度は私たちの修行にお付き合いいただいたこと、改めてお礼を申し上げます」

 

私が頭を下げてお礼を言うと、ライザー殿は手を振りながら軽く受け流す様子で答える。

 

「気にするな。前にも言ったが、お前たちの修行に付き合うのはサーゼクス様からの命令であり、俺自身のためだったからな。

それに、呂布殿に修行をつけてもらえるという幸運にも恵まれた。むしろ、こっちが感謝しているくらいだ」

 

「そうですか........................そう言っていただけると、ありがたいです」

 

私はライザー殿の返答に安堵し、軽く息を吐く。そういえば、ライザー殿もそうですが........................呂布殿にも試合が終わったら、改めてお礼を言わないといけませんね。

 

私たちのためにここまで親身になって、修行をつけていただけたのですから。

 

私たちがここまで強くなれたのは、間違いなく呂布殿のおかげです............................本当に、いくら感謝しても足りないくらいだ。

 

 

 

「それにしても、ソーナといいサイラオーグといい....................今年の若手は豊作だな。これはお前たちがプロになるのが楽しみだ♪」

 

「....................プロ、ですか?」

 

「何だ、ソーナはプロにはならないのか? サイラオーグはプロになるみたいなことを言っていたと聞いたぞ」

 

「いえ....................ただ、そこまで考えていなかったもので........................リアスはプロになるのですよね?」

 

「ええ、もちろんよ。グレモリー家の次期当主ではなくなってしまったしね。

だから今は、当初の目標であったプロのタイトルを取るために全力を尽くすわ」

 

「........................そうですか................」

 

 

ライザー殿に言われ、リアスにも確認するが....................私は考え込んでしまう。

 

私の夢は『誰でも通うことが出来るレーティングゲームの学校を作ること』だ。

そのために眷属の皆と必死になって修行してきた。

 

姉も応援してくれる、眷属の皆も人生を懸けてくれている、最高の指導者にも恵まれた........................後は結果を出すだけだ。

 

この試合に勝てば、宣言通りの『全勝』。魔力や才能に恵まれなくても、努力次第でここまで強くなれるということを証明することが出来る。

 

それが夢を叶える第一歩....................では、二歩目はどうするか。

正直、若手悪魔に勝てた程度では説得力に欠ける気がする。ならば、もっと大きな結果が必要だ。

 

それこそ、プロリーグのタイトルを取るぐらいの大きな成果が........................そう考えた場合、プロになるのは悪くない。

 

私たち悪魔の生は長い。いきなり結果を求めるのではなく、一つ一つ地道に進めながら、目に見える結果と実績を積んでいくべきだ。

 

 

....................................よしっ!

 

 

「? ソーナ、どうしたの? もしかして具合でも悪いの?」

 

「えーーーーーー!!! どうしよう、すぐに病院へ行く!? 何なら魔王権限で試合を後日にするよ!!!」

 

「いえ、大丈夫です。ちょっと考え事をしていました。それからお姉様、しれっと職権乱用しないで下さい」

 

「考え事?」

 

「ええ。プロになるかどうか、という話でしたが........................そうですね。やはり学校を作るのであれば、プロとしての経験は必要だと思いました」

 

「おっ! そうこなくちゃな。 これは楽しみが増えたぜ♪」

 

「ええ、私もプロとなったソーナと正式に戦いたいわ♪」

 

「ふふ、二人とも。そう簡単には勝たせてあげませんよ?」

 

「うんうん♪ 皆がそうやって頑張ってる姿を見ると、お姉ちゃんも応援したくなっちゃうよ☆」

 

 

 

私たちは未来に想いを馳せながら、試合が始まるまでの間お互いの夢や目標について語り合った。

 

 

 






本格的なバトルは、恐らく次々回くらいになると思います。

ただやっぱりグレモリーから視点を外すと朱乃との絡みが無くなってしまいますね........................。

それでは皆さん、次回で♪
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