深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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いよいよバトルスタートです。展開早めですので、一話につき一試合で行きたいと思います。





第百四十四話

 

 

 

作戦タイムとなり両チームの待機場がドーム状に覆われた。何でも防音対策の結界なんだとか。

 

それにスクリーンには両チームの映像が映し出されているけど、口元が映らないよう映像に加工が施されている。

 

 

 

それにしても、さっきの呂布さんの解説はスゴかったなぁ。まさかルールが決まっただけで、あそこまで考えられるなんて思わなかった。

 

俺なんか『ずいぶん運任せなルールだなぁ』くらいにしか考えてなかったのに。

でも、それぐらい考えられないと『王』は務まらないってことか。

 

隣を見ると部長も真剣な顔で考え込んでいる。たぶん、自分ならどうするのかみたいなことを考えて、色々と頭の中でシミュレーションしてるんだろう。

 

 

第一試合の数字は『4』。バアルチームは『騎士』か『僧侶』のどちらか。

まぁ、『僧侶』は基本後衛職だからな。ここは『騎士』を出してくると思う。

 

ただ問題はやっぱり会長たちの方だ。『兵士』の仁村ちゃんを出せば、『騎士』か『僧侶』のどちらかと組ませられる。

 

ただ駒価値が『4』の匙を出して、ゲームの主導権を確実に握ろうとする可能性もある。

でも呂布さんは、あんまり有利過ぎる手を打つのはマズイって言っていた。

 

............................ダメだ。考えれば考えるほど、頭の中がこんがらがってくる。

確かに複雑だわ、俺ならとりあえず出せるメンバーを適当に出しかねない。

 

 

『さて、第一試合の数字は『4』となりましたが、ここで解説のお二人のお話を伺いたいと思います。

両チームは誰を出してくるでしょうか。まずはディハウザー様、お願いいたします』

 

『そうですね。バアルチームは『騎士』のどちらかを出してくるでしょうね。

バアルの『僧侶』は駒の特性もそうですが、どちらも後衛向きの能力ですので』

 

ふむふむ、やっぱりバアルチームは『騎士』を出してくるよな。

両チームのアドバイザーが解説をしてくれるから、非常に分かりやすい。さすがに自分が担当したチームのことだもんな。

 

何より解説してくれるのがレーティングゲームの『皇帝』と『深紅の武人』だ。

あの二人なら読みを外すってことは無いだろう、特に呂布さんは。

 

 

『なるほど~~。ではシトリーチームはどうでしょうか、呂布様』

 

『まず『僧侶』2名と匙は................出してこない』

 

『いきなりエースは出してこないということでしょうか?』

 

『ん..............『僧侶』を出さない理由は............バアルと同じ。そして匙を出したら....................バアルは迷うことなく....................時間稼ぎをしてくる』

 

『匙選手を消耗させるためですね』

 

『ん............『騎士』のスピードで............逃げ回られると................捉えるのが難しい。

また、同様の理由で................『兵士』の仁村を使い................2対1の状況を作ることも................出来ない』

 

『先ほど仰られた、「有利過ぎる手は打てない」というヤツですね』

 

『ん....................だから、この試合は』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『騎士同士の一騎討ち』

 

 

 

 

 

作戦タイムが終了し、ゲームフィールドに現れたのはバアルの『騎士』と............................シトリーの『騎士』巡巴柄の姿だった。

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

会長の指示で第一試合に選出された私はバトルフィールドに転送されていた。

 

 

 

周囲は見渡す限りの草原。ところどころに大小様々な岩があるけど、『騎士』のスピードを生かせるフィールドだ。

 

周囲の地形を把握することは戦いの基本の1つだと、呂布先生に教わったからね。

 

 

「出てきたのは『騎士』1人か。我が主君からは『匙元士郎が出てきたら、時間を稼げ』と言われていたのだがな」

 

「........................そう簡単にエースとは戦えませんよ」

 

 

私の目の前には馬に乗った甲冑姿の騎士がいた。あの人は確か馬の扱いに長けた悪魔の一族で、乗っている馬は『ペイルホース』と呼ばれる厄災を齎す気性の荒い馬って会長は言っていた

 

 

『第一試合の出場選手はバアルチームが「騎士」のベルーガ・フールカス選手。

シトリーチームは「騎士」の巡巴柄選手。やはり呂布様の仰る通り、第一試合は両チームの「騎士」による一騎討ちとなりました!!』

 

『両チームの選手が揃いましたので、これより第一試合を開始いたします・・・・・・試合開始!!!』

 

試合の開始宣言がされると敵『騎士』は兜を被り、槍を構える。私も呂布先生お手製の模造刀を異空間から取り出す

 

 

「私はサイラオーグ・バアル様に仕える『騎士』が1人、ベルーガ・フールカス。シトリーの『騎士』よ、いざ尋常に勝負!!!」

 

「ソーナ・シトリーの『騎士』巡巴柄...................参ります!!!」

 

 

私たちは互いに名乗りを上げると同時に相手に向かって突っ込んだ!!!

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

キィンッキィンッキィンッキィンッキィィィィンッッッ!!!!

 

 

 

『バアルチームVSシトリーチームの第一試合、「騎士」同士の一騎討ちが行われておりますが........................何ということでしょう!

第一試合から激しい戦いが繰り広げられております!! ですが、何よりも驚きなのは巡選手が優勢なことです!!!』

 

『本来、野戦となれば歩兵よりも騎兵が有利となります。ですが、巡選手は「騎士」のスピードで地上だけではなく、空中まで疾走しています。

360°全方位から攻撃してくる巡選手にフールカス選手も自慢の馬術が発揮できないでいますね』

 

『馬に乗った相手との戦いは....................俺で経験しているからな』

 

 

「いっけーーーー! 巡さーーーん!!」

「相手は巡の動きについてこれていない! そのまま相手の焦りを引き出すんだ!!」

「が、頑張って下さーーーい!!!」

 

「ふーーーん、やっぱり呂布が鍛えただけはあるにゃん♪」

「わぁ、お馬さんの周りがキラキラしてキレイですね~~~」

 

 

VIPルームでバアルとシトリーの試合を観戦している俺たち。

元教会トリオは椅子から立ち上がって応援している。たぶん彼女たちはテレビに向かって、話しかけるタイプなんだろう。

 

黒歌とヴァレリーはお茶とお茶菓子を楽しみながら、完全に観戦モード。二人ともベクトルは違うがマイペースだからな。

 

 

「ホッホッホッ! シトリーの『騎士』め、なかなか良い動きをするではないか♪」

 

「ふむ、あれだけ動いているのに息一つ乱しておらん。普段から鍛えられている証拠じゃな」

 

「ええ。全方位から多角的に攻撃を仕掛けることでバアルの『騎士』を包囲、巧みに馬の足を止めていますね」

 

「HAHAHA! ありゃあ、呂布に相当イジメ抜かれたな! こりゃあ、他の連中にも期待が出来るぜ♪」

 

「ガーッハッハッハッハッ! 呂布には『北辰の駿馬』があるからな! 馬に乗った相手への対策など魂の芯まで叩き込まれておるじゃろう♪」

 

 

巡巴柄の戦いを神々も上機嫌で興味深く観ている。確かに彼女は良い動きをしている。

 

ざっと見たところ、チャクラを身体全体に纏った『堅』。『騎士』のスピードと『月歩』の併用。

それに刀には『武装色の覇気』を纏わせて硬化しているな。

 

あれだけ動けるなら、『蒼天の紅旗』でも十分やっていけるだろう...........................おっと、いかんいかん。つい人材蒐集家としての癖が出てしまった。

 

やれやれ、これも先祖の血筋なんだろうか........................?

 

まぁいい。せっかく呂布の修行を受けさせたんだ、これぐらいはやってもらわないとな。

 

それでこそ........................俺の【仕込み】も活きてくるというものだ。

 

 

『最初は馬に乗るベルーガ選手が有利だと思いましたが、実際は巡選手が押しています!!!

あの動きは上級悪魔クラスの『騎士』を思わせますね~~~』

 

『まったくです。資料によると巡選手は退魔士の家系ではありますが、特別な訓練を行ったという記録はありません。呂布殿、どのような訓練をされたのでしょうか?』

 

『別に特別な訓練は....................していない。誰でも出来る....................基礎訓練だ』

 

『........................な、なるほど。呂布様ほどの御方であれば、基礎訓練ですら規格外というワケですね』

 

 

「「「「「プッ、ハーハッハッハッハッハッハッ!!!!!」」」」」

 

 

呂布の天然が発動した解説に司会者は言葉に詰まり、神々は大笑い。

確かに言っていることは正しいんだが、あんな風に何気なく言われてしまうと大概の者は反応に困るだろう。

 

何せ内容自体は誰でも出来る修行なのに、こなせば上級悪魔に匹敵する隙の無い強さを得られるんだからな。

 

普通に聞けば耳を疑う話だ。しかし、こうして目の前で実演されては嫌でも信じざるを得ない。

 

 

『では、呂布殿。シトリーチームは巡選手だけではなく、メンバー全員があれほどの実力を有しているということでしょうか?

いったいどのような訓練を行ったのか、具体的にお伺いしても構いませんか?』

 

『................ソーナが学校を作ったら................教えるそうだから....................相談してみろ』

 

『なるほど。確かソーナ選手の夢は【誰でも通えるレーティングゲームの学校を作ること】でしたね。

もし一般の悪魔たちがソーナ選手の学校で呂布殿公認の修行を学べば........................まさにレーティングゲーム、いえ悪魔社会の歴史が変わりますね!!!』

 

『ん................ソーナが学校を作ればどうなるか....................楽しみだ』

 

 

「「「「ッッッッッッッッッッッッ!!!!」」」」

 

 

呂布の修行内容に興味津々なディハウザー・ベリアル。流石はレーティングゲームの王者、後進の育成にも余念が無いと見える。

 

 

だが、彼の一言でVIPルームの貴族悪魔たちに戦慄が走った。

 

無理もない。元は一般人の出であるシトリー眷属が、たった半年程度で全員上級悪魔クラスの実力になっているのだ。

そしてソーナ・シトリーがいずれ学校を作れば、その生徒たちも同様に強くなると言うんだからな。

 

もはや貴族悪魔固有の血統能力など全くもって、意味を成さない。さぞや戦々恐々とすることだろう。

 

 

呂布の恐ろしいところは、まさに『そこ』にある。彼は決して『特別な人間』ではない。

 

もちろん『特別な力』を持ってはいるが、彼自身は世間で言うところの『天才』などという存在ではない。

 

彼は『誰でも出来る努力』を続けて【最強】の領域に至ったんだ。

それは『自分自身』とひたすらに向き合い、『自分自身』を極めたということ。

 

彼が持っている『北辰の駿馬』の能力は所有者の『強さ』に左右される。持ち主が強大であれば『神滅具』に匹敵する能力を得られる。

逆に持ち主が平凡であれば、能力も微々たるものだ。故に呂布だからこそ、『北辰の駿馬』はあれだけの破格の性能を誇る。

 

 

彼の出自は詳しく知らないが、恐らく呂布も元々は普通の家庭に生まれた一般人だったのだろう。

だが、彼は神器を宿したために家族を失った。それからは独りで裏の世界に身を投じざるを得なかった。

 

この世界で生きていくためには力がいる。そこで彼は試行錯誤を繰り返し、とにかく自らを鍛え上げることにした。

 

平凡な彼はまず『強くなることの意味』を知ることから始めた。

 

 

『どうすれば強くなれるのか』

『強くなるにはどうすればいいのか』

『強くなるというのはどういうことなのか』

『強くなるために必要なのは何なのか』

 

 

これを知ることから始め、次にそのために必要な知識を得て、最後に知識を実現するための修行に移る。

修行が一段落するとまた自分と向き合い、『強さ』について考える........................これを何度も何度も繰り返したのだろう。

 

当然、強くなる度に修行も厳しくなる。僅かな年月であれほど強くなったということは、その分だけ修行の密度が濃厚だったのだろう。

恐らく自分が耐えうるギリギリのラインを見つめて、な

 

そうして強くなった彼はいつしか、『英雄』と呼ばれ、神々にも認められ............................『世界最強』へと至った。

 

もし呂布に才能と呼べる物があるとすれば、それは........................『必要なことのために努力する才能』『考えることを止めない才能』と言ったところだろう。

 

だが、これはその気になれば誰でも持てる才能だ。何より、『人間』とはそうやって文明を発達させ生きてきた存在なのだから。

 

そう考えると、呂布はつくづく『人間らしい』な。フフフフフ♪

 

 

もし呂布が『天才』と呼ばれる特別な人間であったのであれば、ここまで多くの者たちから........................特に『蒼天の紅旗』のメンバーから尊敬されることはなかったはずだ。

 

『所詮は俺たちとは違う』『アイツは特別なんだ』と尊敬よりも落胆・諦めの気持ちの方が大きかったはず。

 

だが呂布は平凡だからこそ、誰でも出来る方法で誰よりも努力をして強くなった!

そして周りの皆も強くなれるように、その努力の結晶を惜しみ無く誰かに分け与える度量を持っている!!

 

普通、自身の努力によってあれほどの強さになれば自尊心も高くなるはず。誰かを下に見ることもするだろう。

 

誰にも教えず、自分独りで独占しようと思ってもおかしくない! それだけの努力をしたんだから、それは正当な権利だ!!

 

だが、呂布は決してそんなことはしない! むしろ自身が平凡であると誰よりも自覚しているが故に、誰よりも周りの気持ちが分かってしまうほど情が深い。

 

そんな呂布だからこそ、皆は心から呂布のことを尊敬しているんだ............................この俺も含めてな。

 

一部の『天才』により世界は変わる、これは歴史が証明している。だが、決して人の心は付いてこない。

ほとんどの者は『天才』ではなく『凡人』だからだ。

 

『凡人』は『天才』に『羨望』することはあっても、『憧憬』することは無い。

 

人の心を惹き付けるのに必要なのは『共感』だ。『自分もそう思う』『自分でも出来る』と思わせることこそが多くの人を魅了するんだ。

 

 

そうして今、ソーナ・シトリーによって、才能の無い一般悪魔たちに『呂布奉先の強さ』という天恵が与えられようとしている。

 

まさに一般悪魔にとっては、『干ばつに雨が降る』ような思いだろう。

 

 

 

ディハウザー・ベリアルの言う通り、これだけで悪魔の歴史がひっくり返る出来事、まさに晴天の霹靂と言える。

血統能力や高い魔力がステータスでしかない貴族悪魔にとっては、自らの立場を脅かされる由々しき事態だ。

 

だが、どうすることも出来ない。本音を言えば、ソーナ・シトリーを暗殺したいとすら思っているのだろう。

 

しかし、先ほどの呂布とディハウザー・ベリアルの会話........................何気ないやり取りではあったが、あの会話により呂布とディハウザー・ベリアルがソーナ・シトリーのバックに付いている可能性が出てきてしまった。

 

一般悪魔からも尊敬を集めつつある世界最強の『深紅の武人』。

そして一般悪魔だけではなく、貴族からも支持をされているレーティングゲームの『皇帝』。

この二つの影が見え隠れしているとなれば、迂闊には手を出せないからな。

 

クックックックッ、流石は呂布だ。平凡であるが故に人の心を惹き付ける術を知っている。

 

 

『おおーーーーーーっとぉっ!! ベルーガ選手、愛馬であるアルトブラウを暴れさせ、強引に巡選手の包囲を突破しましたーーーー!!!』

 

『巡選手はあれだけ動いても息一つ乱していませんからね。持久戦は不利と判断したのでしょう』

 

『....................距離を取った................恐らく「騎士」の最大スピードによる................捨て身の特攻だな』

 

 

「ふむぅ、どうやら最後の攻防となりそうじゃのう」

 

「正面から打ち合うつもりか? あのまま攻め続けていれば勝てるものを」

 

「ええ、相手は騎馬ですからね。真っ向勝負ではシトリーの『騎士』が不利です」

 

「ガーハッハッハッハッ!! だが、真剣勝負の最後の攻防というのは技量に関わらず良いものだのう!!!」

 

「ああ♪ 両者の『全て』が一瞬の攻防に凝縮されている、あの瞬間が俺たち武闘派にとっては堪らねえんだよな!!!」

 

神々も両選手の最後の攻防を興味深そうに見ている。ただ天照やダクザの言う通り、このままでは巡巴柄の方が不利だ。

 

そしてそれが分かっていない彼女ではないはず。まさか騎士道精神に駈られたわけではないだろう........................ん?

 

 

『やややっ!? 巡選手、これまで使っていた刀をしまい、何やら青白く光る刀を取り出しました!!!』

 

 

何だ、あの刀は? 見たところただの業物ではなさそうだが.......................................っ、ま、まさかっ!?

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、よもやこれほどの実力とは........................ソーナ・シトリーは恐ろしい眷属を有しているな。

このままではこちらの負けは必至。ならば、この一撃に全てを懸けるっ!!!」

 

強引に馬を走らせて、私の包囲を無理やり突破してきたフールカスさん。

馬の足で地ならしをしているところを見ると、捨て身の突進技を仕掛けてくるのだろう。

 

馬の突進を正面から受けてはいけないと呂布先生から教えられた。

それは突進技はスピードや技術よりも『重量』が物を言うからだ。

 

馬の重量が加わる分、正面からの打ち合いでは私が圧倒的に不利。

ここは相手の突進を躱しつつ、横や上から攻撃を仕掛けるべき............................でも、それは出来ないっ!!!

 

 

会長が求めてるのは単なる勝利じゃない。誰にも文句のつけられないほどの『完全勝利』だ。

 

そのためには相手の全力を引き出し、真っ向から受け止め打ち破らないといけない。

 

私たちの夢はお利口なだけでは叶えることが出来ない困難な道のり........................だからこそ、自ら困難に立ち向かう気概をもって挑まなければ、道は開けない!

 

それが私たちシトリーの........................夢を叶える戦いっ!!!

 

 

........................使わせてもらいます、呂布先生。

 

 

私は使っていた模造刀を異空間に収納し、呂布先生から【貰った】別の刀を取り出す。そして鞘から引き抜くと刀身が青白い光を放つ!

 

「っ、そ、その刀はいったい............................!?」

 

刀の輝きを見て、フールカスさんもこれがただの刀ではないことが分かったみたいだ。

 

「これが私の切り札です」

 

「っ........................いいだろう。相手にとって不足なし! シトリーの『騎士』よ、いざ尋常に!!」

 

 

「「勝負っ!!!」」

 

 

私とベルーガさんは同時に駆け出した! 互いに『騎士』なだけにスピードはほぼ互角。

 

しかしフールカスさんは突然、10人以上に分身した!? もちろん本体だけではなく、馬も一緒にだ!!

 

 

っ、なるぼど。スピードに緩急をつけて分身しているように見せてるのね。

私も同じようなことは出来るけど..............これだけの人数、しかも馬に乗りながらだなんて出来ない。

 

たぶんこれはベルーガさんが私よりも『騎士』の性能を引き出し、かつ優れた馬の操縦技術あってこそ出来る芸当。

 

これだけの人数、目ではとてもどれが本体かなんて分からない........................けれど!!!

 

 

 

「ハアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!」

 

シャッシャッシャァンッッッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「........................見事だ。シトリーの『騎士』、巡............巴柄........................」

 

「........................ありがとうございました」

 

 

『見聞色の覇気』で相手の実体を捉えられる私にこの手の技は通用しない。

 

私の【三つの斬撃】を受けたフールカスさんは愛馬と共に粒子となって消えていった。

 

『第一試合終了! 勝者、シトリーチーム!!』

 

 

審判が試合終了の宣言をすると私の身体も転送が始まる。私は刀を鞘に納めて、無事勝利したことに軽く一息ついた........................。

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

『第一試合終了ーーーーーーー!!! 白熱の激闘を制したのはシトリーチーム !!

第一試合とは思えないほど、素晴らしい試合でしたっ!!!』

 

 

第一試合に勝利した巡が戻ってくると観客は大歓声。ソーナたちも巡のことを暖かく迎えている。

 

確かに、若手悪魔の眷属とは思えないほどのハイレベルな戦いだったからな。

流石に両チームとも、『プロリーグに参加しても好成績を出せる』と言われているだけはある。

 

それにしても巡のスピード........................たぶん『外していない』な。サイラオーグ戦まで取っておくつもりか?

 

 

『第一試合を終了しましたが........................解説の呂布様にお尋ねしたいことがあります』

 

観客の興奮が冷めやらぬ中、司会者が何故か俺にピン指しで質問してくる。

 

 

『まず巡選手が取り出したあの光る刀、アレはいったい何だったのでしょうか?』

 

『アレは...............【布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)】....................高天ヶ原で保管されていた物を................貸してやった』

 

『ふ、≪布都御魂剣 ふつのみたまのつるぎ≫!? あの日本最古の霊剣にして神剣ですか!?

よく日本神話群から借り受けられましたね............................』

 

そりゃあ天照や建御雷には物凄~~く反対されたけどね。でも、そこはほら........................日本にいる間は毎日のように建御雷とか武闘派連中のガス抜きに付き合ってるんだからさ。ある程度の無茶は聞いてもらわないと、ね?

 

 

『で、では最後の巡選手が放った攻撃。アレは何だったのでしょうか?

刀が三本存在していたように見えましたが、布都御魂剣にはそのような力は無かったはず........................まさかっ、【次元屈折現象】!?』

 

司会者に続いてディハウザーまで驚いたように尋ねてくる。

 

いやいやいやいやいやいや! そんな大仰なモンじゃないから!! ただの斬撃技ですからっ!!!

 

『アレは....................ただの三連撃だ................ただし、【三回ほぼ同時】にな』

 

『み、三つ同時!? そんなことが可能なのでしょうか!? それこそ、次元を歪めない限り不可能では............................』

 

『そんなことはない....................九つの斬撃の基本が................ちゃんと出来ていれば....................誰にでも出来る』

 

そうして俺は、巡が最後に放った技について詳しく説明してあげた。

 

 

理屈としてはこうだ。まず通常通り剣を振るう、そしてその勢いを利用して二撃目を繰り出す。

そうすると二撃目は初撃よりも早く振るうことが出来る。

 

続く三撃目も同様に二撃目の勢いを利用して振るう。こうすることで『振れば振るほど速くなる』という矛盾を孕んだ斬撃が可能となる。

 

ただしこれは言うほど簡単ではない。九つある斬撃の基本を全て極め、『全く無駄のない軌道』で『力やスピードを全く殺さない』ようにしなければならないからだ。

 

つまりは絶え間ない基礎修行を繰り返して斬撃から無駄という無駄を全部取り除かなければならない。

 

努力次第で誰でも会得できるけど、地道な反復練習を毎日しないといけないというわけだ。

 

 

『本来は九つの基本斬撃を....................同時に叩き込む技で....................極めればずっと繰り出すことも出来る。

だが、巡はまだ................左薙ぎ・右薙ぎ・唐竹の三つしか出来ない。

それでも初撃から三撃目までの時間は....................一秒を切っている....................ほぼ同時着弾だ』

 

「「「「................................................」」」」

 

あれ? 何でみんな、また静まり返っちゃったの? やっぱり俺には解説は無理だったのかな~~~、何だか帰りたくなってきた................................。

 

 

『........................あ、あの、理屈としては分かったのですが...................よろしかったのですか? そんな凄い技を簡単に教えていただいて........................』

 

『ええ。何せ努力次第で誰でも会得ができる防御・回避ともに不可能な技なのですから............................』

 

『問題ない....................ソーナの作る学校でも................教えられるだろうし....................知られたところで....................対処できない』

 

まぁ、体術では対応できないけど、魔術的には盾とか壁とかで防げなくもないんだけどね。

 

でも、それだって『武装色の覇気』で切り裂けるだろうから、極めると結局防御も回避も出来なくなる技になるのか。

 

 

『な、なるほど、ありがとうございます....................ところで呂布様。話を聞いている内に思ったのですが、その技の名前ってもしかして........................』

 

『ん........................分かりやすく言えば』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『【燕返し】という技だ』

 

 

 

 






『燕返し』を理論的に解説してみました。ちなみにこれを九連続で放ったのが、皆さんご存知【るろうに剣心】の『九頭龍閃』です。

ただ理論上、基本斬撃の熟練度次第で永遠と繰り出せることになります。

剣心も二十七連撃とかやってましたしね。ホントに身体にガタが来てるんでしょうか?

それでは皆さん、次回で♪
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