前話で『六王銃 ろくおうがん』を『六王銃 りくおうがん』と書いてました。恥ずかしい話、ずっと『りくおうがん』と覚えてました!
誤字修正および感想にて教えてくださった皆様、本当にありがとうございました!!!
なお、ソーナVSサイラオーグも次話で終わる予定です。
ただ、今章については試合が終わった後も少し続きます。
サイラオーグ・バアルの『覇獣』、匙元士郎の『龍王昇格』。魔王にすら匹敵するであろう両者の戦いにバトルフィールドと会場が震撼していた。
『な、な、な、なーーーーーーーーーーーーーんとっ!!! サイラオーグ選手が『覇獣』を使うや否や匙選手の黒いオーラが爆発し、鎧の形状が変化!!
色も漆黒から黒紫となり、妖しくも雅な輝きを放っております!!!
サイラオーグ選手と匙選手! 互いに姿を変えた両者の激突に、バトルフィールドは今にも崩壊しそうだーーーーーー!!!!』
『「覇獣」によって増大したサイラオーグ選手のオーラをかき消してしまうとは、あの黒紫のオーラはいったい...................』
『あれは...................ヴリトラ本来の力だ』
『「黒邪の龍王」ヴリトラの、ですか...............?』
『ん、ヴリトラの炎やオーラは.................触れたものに呪いを及ぼし.............喰らいつくす。
さっきはヴリトラのオーラが...............サイラオーグのオーラを喰らったんだ』
なるほどな。つまりヴリトラの炎やオーラは通常のソレとは違い、触れた対象のエネルギーを喰らう性質を持っているというわけか。
エネルギーそのものを喰らう力...............これは中々に厄介な能力だ。
つまりオーラや魔力などのエネルギーを使った技や術は軒並み匙元士郎に喰われ、力を吸収されることになる。
魔力やオーラはあらゆる技や術の動力源、謂わばガソリンのようなもの。
故にエネルギーそのものを喰われてしまえば、どんな技や術も無力化されてしまう。
特に高い魔力がステータスの『悪魔』からすれば、相性最悪だ。どんな術を使われようが、『魔力』そのものを喰らってしまえば大抵の悪魔は手も足も出ない。
『呂布殿、匙選手のあの姿は何なのでしょうか? そもそも「龍王昇格」とはいったい................』
会場全体が騒然とする中、ディハウザー・ベリアルが呂布に困惑気味に尋ねる。
観客だけではなく、このVIPルームの神々や貴族たちまで呂布の解説を食いつくように待つ。
『アレは..............ヴリトラの本来の力を引き出し...........自らを【龍王】と化した状態だ』
『ヴ、ヴリトラに!?』
『ん、神器に宿っているヴリトラの魂から..............力を引き出し............自分の力と合わせて.............「悪魔の駒」で制御する............それが「龍王昇格」』
『り、呂布殿、自らが【ヴリトラ】となるということは...............』
『ん、今の匙は................「ヴリトラそのもの」と言っても.............過言ではない。
だから一時的に...............「魔王クラス」の強さになっている』
「「「「「!!!!!!!!!」」」」」
呂布の言葉に会場の観客は驚き、VIPルームの貴族たちは言葉を失っている。
確かに今の匙元士郎は、『匙元士郎の形をしたヴリトラ』と言っても差し支えないだろう。
つまりは『悪魔の形をした龍王そのもの』、であれば『魔王クラス』の強さを有していても不思議ではない。
貴族たちもそれが分かっているからこそ、何も言えないでいるんだ。
呂布が『匙元士郎を魔王クラスにする』と言っていたのにな、どうやら半信半疑だったらしい。
「ホッホッホッホッホッ♪ 呂布のヤツめ、本当にやりおったのか!!!」
「くっくっくっくっ♪ 見てみよ、貴族悪魔たちの顔を。どいつもこいつも間抜け面を晒しておるわ!!!」
「やれやれ。呂布が最初に言っていたのですから、この光景は想像がついても良さそうなものを」
「ガーッハッハッハッハッ! それは無理もないだろうよ! まさか半年程度で転生悪魔が『魔王クラス』になるなど、アヤツらには到底想像できまい♪」
「まったくだ♪ しっかし、1年と言わずに半年で仕上げてくるとはな~~~。こりゃあ、1年は与え過ぎたか?」
匙元士郎の成長と呂布の常識外れな指導力に神々は大賑わいだ。貴族悪魔たちの呆気にとられた顔がよっぽど気に入ったらしい。
まぁ、貴族共の間抜け面は俺も見ていて気持ちが良いからな。くっくっくっ♪
「スッゴイ、スッゴイ、スッゴイよ!! 匙くんったら、本当に私たちと同じぐらいに強くなっちゃってるよ!!!」
「ああ........まさか『黒邪の龍王』とほぼ同等の強さになることで、『魔王』クラスの強さを得るとはな。」
「しかも暴走しているわけでもなく、完全にヴリトラの力を制御してるなんてね~~~。こりゃビックリだよ」
「ああ。それも当初に言っていた『1年』の半分、半年程度で鍛え上げてしまったのだからな。
まったく、呂布殿の規格外っぷりには驚かされるばかりだ」
「イッセーの『龍駒昇格』とは似ているようで違うって言っていたが、具体的にどう違うんだ? 早く解説してくれよ!!!」
魔王たちも匙の成長には驚いている模様、何せ当初の予定の半分程度の期間で自分たちと同等の強さに鍛え上げたのだからな。
セラフォルー・レヴィアタンも大はしゃぎしているが、『魔王』クラスの眷属悪魔が自分の溺愛する妹の眷属となっているんだから無理もないか。
アザゼルは驚きよりも、あの『龍王昇格』の方に興味が尽きないようだ.............相変わらずの研究者気質だな。
もっとも、あの『龍王昇格』については俺も気になっている。是非とも呂布にはもう少し詳しく解説してほしいところだ。
奇しくも俺とアザゼルがそんなことを考えていると、誰に願いが通じたのか................ディハウザーが『龍王昇格』について呂布に尋ねてくれた。
『呂布殿、あの「龍王昇格」について詳しく解説していただいてもよろしいでしょうか?』
『「龍王昇格」は................禁手状態から................「女王」に「昇格」した時のみ...............使用可能な形態だ』
『「女王」の時のみ、「騎士」や「戦車」ではダメなのですか?』
『ん、「女王」は各駒の総括であるように..............「龍王昇格」は............四つの神器からなる「黒龍王の手甲」の総括。
そのため..............元々持っていた「黒い龍脈」以外は..............各駒とそれぞれの神器が連動している』
『「悪魔の駒」とヴリトラの神器を連動、ですか?』
『ん。「騎士」は「漆黒の領域」と、「戦車」は「邪龍の黒炎」と、「僧侶」は「龍の牢獄」と................連動している』
『つまり、「騎士」に昇格すると「漆黒の領域」がメインとなり、「戦車」に昇格すると「邪龍の黒炎」。
「僧侶」に「昇格」すれば「龍の牢獄」がメインになるということでしょうか?』
『ん、また「女王」以外ではヴリトラの力は.............『黒い龍脈』を含めた............三つまでしか使えない。
四つの神器をフルに使え........ヴリトラの力を完全に引き出せるのは..............「女王」だけだ』
『なるほど。各駒の特性を十分に引き出せないと「女王」の力が引き出せないように、各神器の力を引き出せて初めて「龍王昇格」によりヴリトラの力を100%引き出せるわけですね』
『ん、それに各駒を鍛えれば鍛えるほど.............「女王」の力が強力になるように.............各神器を鍛えれば鍛えるほど..............「龍王昇格」は強力になる』
『!!! っということは、匙選手は「悪魔の駒」と「龍王昇格」の二段階で伸びしろがあるということですか!?』
『コクン』
呂布の解説を聞いて、またしても言葉を失う観客と貴族悪魔たち。
自分たちがバカにしていた転生悪魔、しかも元一般人。そんなヤツが魔王クラスに強くなったばかりか、まだ伸びしろがあるというんだ。
もはや古臭い概念に囚われている貴族連中からしたら、悪夢という他ない。
クックックッ♪ 呂布、キミは本当に恐ろしいヤツだよ。単に鍛えるだけではなく、匙元士郎どころかシトリーたちまで『成長の伸び代を残せるように育てている』というんだからな♪
修行の許可を出した連中は完全に呂布を甘く見たな................まぁ、シトリーをここまで強くするとは俺も思っていなかったがな。
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バキィッドガッゴキッドゴッベキャッガキィッッッ!!!!
『黒紫の龍王 こくしのりゅうおう』と『黄金の獅子王 おうごんのししおう』、俺とサイラオーグさんば互いのMAX形態で殴り合っていた!!!
しかも俺がサイラオーグさんの右腕に『黒い龍脈』を巻き付けているから、互いに離れることは出来ずゼロ距離による真っ向からの殴り合い!!!
サイラオーグさんは『オーラ』、俺は『黒炎』を拳に纏った状態で殴り合っているため、互いに鎧が砕けては修復されるの繰り返し!!!!
俺とサイラオーグさんは血を吐き、骨が砕ける音を聞きながらそれでもひたすらに殴り合う!!!
ここまで近づいての肉弾戦となると、もはや俺の先読み程度じゃ躱せない!
サイラオーグさんもそれが分かっているからか、俺から距離を取ろうとはしていない。
サイラオーグさんの拳をくらうたびに、意識が飛びそうになる!! 師匠の拳を知らなかったら間違いなく一撃で沈んでた!!!
武装色の覇気だけじゃ足りない、先読みも出来ないからチャクラによる『堅』での全体防御も解けない。
このままだとスタミナ勝負、気力勝負になる..............けどっ!!!!
バキィィッッッ! ズザザザザザザザザァァァァァァ.................ガクッ!
俺の拳を顔面に受けたサイラオーグさんは踏ん張りが効かず後退り、とうとう膝を着いた.....................ハァッ、ハァッ、ハァッ、どうやら、ようやく、『効いてきた』みたいだな。
「ッッッッッ!? 何故、動かぬ! 何故、力が入らぬ!! 動け、動け! 俺の足よ!!! まだ................まだこれからではないか!!!!」
大地を大きく踏み込み立とうとするが、それでも足に力が入らない様子。だが、サイラオーグさんは諦めずに立ち上がろうとする。
思った通り、サイラオーグさんは兵藤と同じタイプ。肉体へのダメージなんか気力と精神力で捩じ伏せるタイプだ.................『保険』をかけておいて良かった。
俺が膝をつくサイラオーグさんを見下ろしていると、サイラオーグさんに更なる変化が現れる!
「っ、目が.............視界がいきなり霞んでいく!? これはいったい.................」
「ハァ、ハァ、ハァ................それは、俺の拳に纏った『邪龍の黒炎』の能力です」
「っ、『邪龍の黒炎』の!? それはヴリトラの................!」
「はい、『邪龍の黒炎』は炎に触れた相手に呪いを与える物。呪いの内容は『体力の減少』『身体機能の減退』『五感の喪失』の三つです」
「三つの呪い!? では、俺の足に力が入らないのは!!!」
「ええ。呪いにより貴方の体力と身体機能が落ちたからです。そして視界がボヤけているということは、『五感の喪失』も始まっているんでしょう」
「!!!!!!!」
俺の言葉にサイラオーグさんは衝撃を受けている。本来なら、サイラオーグさんはまだまだ戦えるんだろう。
だが、俺の能力によりサイラオーグさんの限界は本人が気付かない内に早まってしまった。
ちなみに使ったのは『邪龍の黒炎』だけじゃない。『黒い龍脈』でサイラオーグさんのオーラを吸収しつつ、『漆黒の領域』の炎も流してサイラオーグさんのオーラを少しずつ燃やしていった。
サイラオーグさんが気づかなかったのは、俺が神器の威力を調整して気づかれないよう少しずつ削っていったからだ。
一気に高出力で削るとサイラオーグさんに気付かれて、立ち回りが変わる恐れがあったからな。
だから、サイラオーグさんが得意とするスタイルのまま戦えるようした。
『自分が得意とする戦い方』をする場合、相手は奇策を用いる可能性は低い................グレモリーやフェニックスとの模擬戦を通して学んだことだ。
「っ............まだだっ!!! まだ終われん! 俺には、命を賭して、叶えなければならないものがあるのだっ!!!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!」
サイラオーグさんが吠え、オーラを迸らせる! ここに来てもこれだけのオーラを引き出すなんて..............この人、ホントに死ぬ気かっ!?
っ、悪いですけどサイラオーグさん!! 俺たちの夢のためにも、貴方には死んでもらっちゃ困るんですよ!!!
「吸い取れ、『ライン』よ!!!」
ギュオオオオオオオオオオオオオオオオ..................
「ッッッッッッ!? な、俺の、オーラが.................!?」ガクッ
俺が『黒い龍脈』でサイラオーグさんのオーラを吸収する!
先程までとは違い、一気にオーラを吸い尽くされたサイラオーグさんは力が抜けて、両膝から崩れ落ちた。
「もう終わりです。貴方のオーラはほとんど燃やし、吸い取りました。
それに『邪龍の黒炎』の影響で、視覚だけではなく他の感覚も無くなっていくでしょう」
俺が告げると、あれだけ猛っていたサイラオーグさんは静かに両膝をついたままになっていた。
さっきまで『野獣』のように荒ぶっていたとは思えない、まるで別人みたいだ.................恐らく、視覚だけじゃなく聴覚なども無くなっていってるんだろう。
ここまで来れば、後はレーティングゲームのシステムで『撃破』扱いになるだろう...................。
「身体の感覚も無くなり、オーラも尽きた。貴方はもう戦えません。この勝負.................俺たちの勝ちです」
俺は何の反応も示さないサイラオーグさんに向かって、勝利宣言をした。
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気づくと俺は真っ暗な闇の中にいた.................。
何も見えず、何も聞こえず、何も感じない.............どうやら『邪龍の黒炎』によって、俺の五感が無くなったのだろう。
何も無い闇の世界、これが『死』というものなのだろうか?
俺は『死』を覚悟しこの戦いに臨んだ、己の命を賭してでも叶えたい夢があったからだ。
だが、『死』を覚悟し命を賭して戦った末に見られる世界というのが..................こんなものだったのか!
こんな世界を見るために、俺は心身を鍛えてきたと言うのか!!
こんな何も無い闇の世界を夢とのたまい、命を懸けてでも叶えようとしていたのか!!!
なら俺は何のために...................戦ってきたのだ...............。
匙元士郎の言う通りだった............『死ぬ覚悟』などで得られるものなど、所詮は『この程度』のもの。
もし『生きる意思』をもって戦っていれば、また別の世界が見られたかもしれない。
これが『生きる意思』の強さか...............確かに、俺の『死への覚悟』など、ヤツの『生きる意思』には遠く及ばなかった。
俺は.....................本当に愚かだった。
恐らく、試合は俺の戦闘不能ということで決着がついているはすだ。
つまりこのゲームは匙元士郎の、ソーナの勝ち。俺は...............負けたんだ。
だが、これで良い。ソーナならきっと、俺の叶えられなかった夢も叶えてくれるはずだ。
『王』として、あれだけ成長したソーナであれば、俺の夢を託すには十分だ。
それに匙元士郎のように、頼もしい眷属たちもいる。今のシトリーなら、きっと夢を叶えられる。
少なくとも、シトリーはこの試合でそれだけのものを見せてくれた。
だからアイツらなら、きっと大丈夫だ。もう................俺の出る幕は無い。
ふふ、自分の夢を託せる者がいるということが、これほどまでに嬉しいことだとはな。
後はソーナたちに任せて..............そうだな、俺は少し、休むとするか。
今にして思うと、ずっと張り詰めていたからな................ここらで少し休んでも、眷属たちは、何も、言わないだろう。
母上も................きっと.............許して..........くださる................はずだ...................
『................グ..................グ..........』
俺が意識を手放そうとすると、何か聞こえる...............この声はいったい...................。
『...............さい..............グ................グ!』
少しずつ声は大きくなっていく。誰の声だ? 女性の声のようだが、俺はこの声に聞き覚えがある。
この声は...........................
『サイラオーグ!!!』
何も聞こえなかった世界に、俺を呼ぶ声が耳にハッキリと聞こえる!
その声が聞こえると闇の中に光が灯り、人の形へと変わっていく!!
『立ちなさい!! 立ちなさい、サイラオーグ!!!』
声の正体は.................俺の母上だった!!!
『何故ここに母上が!?』という疑問に駆られる俺を他所に母上が厳しい表情で俺を見てくる。
それは必死に戦った息子を労うわけではなく、心配するでもなく、背中を押す激励でもなく................心が折れた息子を叱咤するソレだった。
『あなたは誰よりも強くなると、私に約束したでしょう?』
約束...............そうだ...........俺は母上に誓ったのだ。
二度と俺や母上のように、生まれだけで苦しむ者を生み出さない世の中にすると!!!
『ならば誰かに託すのではなく、あなた自身の手で夢を叶えなさい!!
あなたの望む世界のために、冥界の未来のために、自分が味わったものを後世に残さないために.................あなたは己を鍛えたのでしょう!!!』
母上の言葉が俺の心に、俺の魂に響いてくる。何も感じなかった闇の世界の中で、確かに俺の身体と心に熱が宿るのを感じた!!
『たとえ生まれがどうであろうと.............素晴らしい力を持っていれば、努力次第で誰もが相応の立場につける世界!
これから生まれてくる冥界の子どもたちに、自分が受けた苦しみを味あわせないで済む世界!!
それをあなたは作ると、この母に誓ったはずです!!!』
母上の言葉により、折れかけていた俺の心に今再び『活』が入った!!!
そうだ、俺はここで終わるわけにはいかない! 折れるわけにはいかない!!
夢のために、約束のために、そして..............母上のためにっ!!!
呂布殿のおかげで母上は救われた、だがそれも俺の精神力次第だとも言われた。
母上の『精神体』は俺の『精神体』によって持ち直している。もし俺が精神的に弱ったりすれば、再び母上は眠りにつき.................二度と助からないと忠告までされた!!
つまり俺の心が折れたら、母上は今度こそ死ぬのだ!!!
ふざけるなよ、サイラオーグ・バアル! 何が『諦めの悪さでは誰にも負けん』だ!! お前はどこまで腑抜けに成り下がる気なのだ!!!
呂布殿によって与えられた奇跡を、お前は己の惰弱さで手放すつもりかっ!!!!
再び母上をこんな...............何も無い闇の世界へ追いやるというのか!!!
ふざけるなっ!!! ふざけるなよ、サイラオーグ・バアル!!!
俺自身への激しい怒りにより、何も感じなかった世界で俺は自身の肉体の感覚を取り戻し始める!!!
そして母上は俺の気が持ち直したのを確認すると、最後に一瞬だけ微笑んでくれた。
それは.................俺の記憶の中にある、自慢の母の表情だった。
『さあ、おいきなさい。私の愛しいサイラオーグ、あなたは私の................自慢の息子なのだから』
母上はそう言って消えていった......................。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッ!!!!!」
俺は心の底から、あらん限りの声で叫びを上げる!!!
オーラが無いだと? オーラが無いなら、身体の全てを使って捻り出すまで!!
目も、耳も、鼻も、口も、何一つ使えない! だが俺の身体は、俺の心はまだ生きている!!
血管の一本、神経の一本、内臓の隅々。それでも足りないなら..................細胞の一つ一つから力を振り絞れ!!!
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッッ!!!!!
俺の叫びとオーラは闇の世界を吹き飛ばし、目の前が元の風景となる。
世界に色が戻った瞬間、俺は身体に今までにない感覚を実感していた................まるで自分の身体を細胞の一つ一つまで感じ取れるようだ!!!
「そ、そんなっ............もうオーラは無いはずなのに............どうやって!?」
匙元士郎が何やら驚いている...............ふふ、どうやらようやくこの男に一泡吹かせられたようだな!
俺の身体からは、今までに無いくらいの黄金に輝くオーラが迸っている!!!
その勢いは天を衝き、空を金一色に染め上げるほどだ!!!!
そうそれは正に、かつて俺が目にした...................呂布殿のようだった。
今章と幕間が終わったら、更新を週二から週一にしたいと思います。
理由は毎度のことながら、リアル事情(仕事)から来るものです。
御愛読いただいている皆様には申し訳ないですが、ご理解願います。
それでは皆さん、次回で♪
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