深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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まさか回想だけで一話半も使うことになろうとは............................。

スイーツのところで尺を取りすぎましたねwww





第百五十七話

 

 

 

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ....................!」

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ....................!」

 

 

私と正臣は二人で悪魔と教会からの追っ手より必死に逃げていた!!!

 

理由は私が悪魔の貴族、正臣がエクソシストという立場にも関わらず互いを愛し合う関係になってしまったからだ。

 

 

私、クレーリア・ベリアルは今年成人したということで、日本の駒王町の管理を任されることになった。

 

小さな町だけどそれなりに人口は多く、周りを大きな都市に囲まれているため、町そのものも発展している。

住んでいる人たちも良い人ばかりで、非常にやりがいを感じていた。

 

名門ベリアル家の末席に名を連ねる者として、精一杯務めようと意気込む私。

不慣れなことばかりで戸惑うこともあったけど、眷属の子たちも私を支えてくれたおかげで仕事は順調だった。

 

 

そうして私が赴任してから暫くして........................私は一人の人間と恋に落ちた。

 

きっかけはこの町に潜り込んだ『はぐれ悪魔』を討伐する時のことだ。

 

その『はぐれ悪魔』はS S級の凶悪な悪魔で、今の私たちだけでは太刀打ち出来る相手じゃなかった。

 

だから、本格的な討伐チームを組んでもらうよう悪魔政府に上申したのだけど、討伐チームが来るまでは時間が掛かってしまうとのこと。

 

 

私はこの町の管理人として出来る限りのことをしようと思い、その悪魔の情報収集をすることにした............................けれど情報を集めようとした際に、眷属の子が見つかり捕まってしまったのだ!

 

私は主としてすぐに助けようとしたけれど、流石はSS級悪魔。私たちは成す術なく返り討ちにあってしまった。

 

 

そうして私がはぐれ悪魔に殺されそうになった時、一人のエクソシスト........................八重垣正臣が助けてくれた。

 

正臣は私を助け、はぐれ悪魔と懸命に戦うも実力差は大きく深手を負ってしまう。

 

 

そうして私と正臣が殺されそうになった時........................ようやく討伐チームが到着した!!!

 

討伐チームは瞬く間にはぐれ悪魔を倒し、冥界へと連れ帰って行った。あとに残されたのは私と眷属、そして瀕死の重傷を負った正臣だけだった。

 

いくらエクソシストと言っても、私たちを助けようとしてくれた人を見殺しにするわけにはいかず、治療のためすぐに連れ帰ることにした。

 

 

私と眷属たちが交代で看病して3日ほど経つと....................彼が目を覚ました!

 

気がついた彼に話を聞くと、どうやら彼もあの『はぐれ悪魔』を任務で追っていたらしい。

 

本当は他にも何人か教会から派遣されたエクソシストがいたんだけど、あのはぐれ悪魔に全員殺されてしまったとのこと。

 

仲間の無念を晴らすため、あのはぐれ悪魔を探していたところを私たちが戦っているのを見て助けに入ってくれたんだそうだ。

 

事情はどうあれ、彼が何者であれ、私たちが助けられたことに変わりはない。私は彼にお礼を言い、キズが完治するまで彼の面倒を見ることにした。

 

 

そうして彼の面倒を見ていく内に....................私と彼、『八重垣正臣』は互いに惹かれ合い....................気づけば愛し合う関係になっていった。

 

私は貴族悪魔、彼はエクソシスト。本来であれば、決して結ばれてはいけない関係だ。そんなことは分かっている、眷属の皆にも何度も反対された。

 

でも、悪魔は己の心に正直に生きるものだ。私は彼を深く愛してしまった........................私たちはもう、止まることは出来なかった。

 

 

私は駒王町の管理人を辞することを決め、正臣とどこか遠い冥界の田舎にでも逃げて、ひっそりと暮らすことを決めた。幸い、正臣も同じ気持ちだったらしく、眷属の皆も賛同してくれた。

 

しかし、私たちだけでは隠遁生活をするのは難しい。そこで昔から懇意にしており、『とある事情』から連絡を取り合っていたディハウザー兄さまに協力してもらうことにした。

 

ディハウザー兄さまは私たちの事情を知り、ベリアル家当主として出来る限りのサポートをしてくれた。

 

『人間界の空気が合わなかったため、田舎で療養する』という名目で駒王町の管理人を辞職し、後任も決まった。

 

後は正臣と眷属の皆で、ディハウザー兄さまの用意してくれた屋敷に向かうだけ............................のはずだった。

 

 

私たちが生活する準備のため、眷属の皆が冥界に行っている間の出来事だった。

 

私と正臣が出発の準備をしていると、いきなり黒スーツを着たエクソシストと黒マントを着た悪魔たちが私の屋敷にやって来たのだ!!!

 

どうやら私たちの関係がどこからか漏れてしまったらしい。彼らは私たちを引き離すべくこの町にやって来た。

 

 

そんなっ....................私たちを引き離すために悪魔と教会が手を組んだと言うのっ!?

 

私たちの『愛』は........................そこまで許されないものだと言うのっ!?

 

 

私と正臣はすぐにその場から逃げた! せっかくここまで上手くいっていたのだ、こんなところで終わるわけにはいかない!!

 

 

私は....................正臣と一緒に生きていくんだっ!!!

 

 

私と正臣は彼らを撒くべく町中を走り回った! 途中で小さな男の子とぶつかってしまったけど、急いでいたのでちゃんと謝れなかった。

 

あの子、大丈夫かな? 見たところ、怪我はしてなかったけど........................それに何だか不思議な感じがした........................。

 

 

 

 

それから逃げて逃げて逃げて、いつの間にか町外れの廃工場まで逃げていた。

 

眷属の皆には既にこのことは連絡済み、ディハウザー兄さまに助けを求めるように指示も出した。

 

あとは助けが来るまで逃げ通すだけというところで........................とうとう私たちは捕まってしまった。

 

 

「クレーリアッ! クソッ、クレーリアを離せっ!!!」

 

「黙れっ!!」

 

ドカッ! 「ぐはぁっ!」

 

 

「っ、正臣っ! お願いっ、正臣に乱暴しないでっ!!!」

 

羽交い締めにされている私を助けようと正臣が抵抗するも多勢に無勢、キズだらけとなった正臣は蹴り飛ばされてしまう!!

 

大勢のエクソシストたちから足蹴にされてしまう正臣!! このままじゃ正臣が死んじゃう!!! 何とかしないとっ............................。

 

 

「待て、エクソシストたちよ」

 

私がどうすれば正臣を助けられるか必死に考えていると、私を捕まえに来た悪魔のリーダーがエクソシストたちを止める。

 

いきなり自分たちを止めようとする悪魔の態度に、今度は正臣を捕まえに来たエクソシストのリーダーが尋ねる。

 

 

「どういうつもりだ、お前たちとの協力は二人を捕まえるまでのはず。目的を達成した今、我々のやり方に口出しはしないでもらおうか」

 

「そちらこそ忘れたのか? 我々の協力関係は『互いの目的を果たすまで』だったことを。

生憎、こちらの用件はまだ終わっていないのでね。その者はまだ生かしておいてもらわないと困るのだよ」

 

「? どういう意味だ?」

 

「なに、すぐに済む」

 

悪魔のリーダーは不気味に微笑むと私に近づいてくる。私はこの男の顔を見るだけで、怖気が走る思いだ。

 

 

「クレーリア・ベリアルよ。貴様の罪を裁く前に聞いておかなければならないことがある」

 

「な、何よ、聞いておかなきゃならないことって........................」

 

「....................貴様がこそこそと探っていた、『例の情報』についてだ」

 

「ッッッッッッッッッッ!?」

 

思いがけない発言に取り乱してしまった私。 『例の情報』って....................どうしてコイツがそのことをっ!!!

 

私の頭の中には『何故?』という疑問で一杯になるけど、コイツはそんなことはお構い無しに話を続ける。

 

 

「貴様が手に入れた『例の情報』、その全てを私に寄越せ。アレは貴様ごとき小娘が持つには過ぎた物だ」

 

 

もしかして、私がディハウザー兄さまの名誉を守るために調べていたことが『ヤツら』にバレたの!?

 

そこから『ヤツら』に目をつけられて、正臣とのことまで知られてしまった!?

 

だとしたら、こんなことになったのも全て........................私のせい?

 

「もう一度言う、貴様が集めていた『例の情報』に関する全ての資料を渡せ。でなければ、あの男を殺す」

 

「!!!!!!!」

 

私が茫然自失となっていると男は正臣を人質に『例の情報』を奪おうとする!

 

アレはディハウザー兄さまの名誉を守るべく、私が眷属の皆と一緒に必死になって集めたもの。

ディハウザー兄さまの方でも『証拠』を手に入れたという報告があった。

 

十分な『情報』と『証拠』も集まり、これからだというところで........................こんなヤツらに渡さなければならないというの!?

 

私は悔しさのあまり、唇を血が出るほど噛み締める! でも、このままでは正臣の命が........................いったいどうすればっ............................!!!

 

 

「そうか、それが貴様の答えか........................エクソシスト共よ、邪魔をしたな、そいつは殺して構わん」

 

「なっ!?」

 

私がどうすればいいか迷っていると悪魔がエクソシストに正臣を殺すよう指示する!

 

エクソシストたちは『ようやくか』と言わんばかりに武器を取る!!

 

 

「ふむぅ。よく分からんが、八重垣よ。貴様、どうやらあの女に見捨てられたようだぞ?

所詮あの女も『悪魔』だったということだな!! アーハッハッハッハッ!!!」

 

「....................クレーリア............」

 

違うっ! 私は正臣のことを騙してなんかいない!! 私は本当に、心から正臣のことを........................。

 

私が泣きそうになりながら首を振ると....................正臣は優しく微笑んでくれた。

 

 

「大丈夫だよ、クレーリア。何か事情があるんだろう? 心配しないでくれ、僕は何があってもキミを信じる。

もしここで殺されたとしても、キミを恨んだりしないから........................だから、安心してくれ 」

 

「ま、正臣ぃ................................」

 

私は正臣の優しさを嬉しく思い........................同時にディハウザー兄さまに申し訳なく思った。

 

 

................................ごめんなさい、ディハウザー兄さま。

 

 

私は涙ながらに異空間から分厚い封筒を取り出し、悪魔のリーダーに渡す。

 

リーダーは封筒の中の資料を一通り目を通すと、魔術の炎で燃やし尽くした。

 

 

「ふん。よくもまぁ、ここまで調べあげたものだ」

 

「約束です....................正臣は助けてください」

 

私はリーダーの言葉に耳を傾けず、正臣を解放するように伝える。

 

だが................................................

 

 

 

「だそうだが?」

 

「ふん、知ったことか。何故我々が貴様ら悪魔の都合を鑑みなければならんのだ?」

 

「ふっ、そういうわけだ、残念だったな」

 

「っっっっっっっっ!?」

 

私の願いとは裏腹にエクソシストたちが正臣を殺そうとする! リーダーもそのことが最初から分かっていたかのように私を鼻で笑った!!!

 

 

「っ、酷い!! 騙したのですねっ!!!」

 

「何を言う、我々がエクソシスト共の事情を無視して命令できるわけがなかろう。

それに、そもそも私は一言も『助けてやる』などと言った覚えはない」

 

 

そ、そんな........................これじゃあ、正臣が........................。

 

私がコイツらの非情さに打ちひしがれている間に、エクソシストたちの武器が血塗れの正臣を襲う!!!

 

 

「イヤァァァァァァァァァァァァ!!! 正臣ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっっっっっ!!!!!」

 

 

私は心の底から愛する者の名を呼ぶ!!! 誰かっ....................誰でもいい、あの人を助けてっ........................お願いっ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブワッッッッッ............................!!!!!

 

 

 

 

「「「「!!!!!!!!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の願いも虚しく、エクソシストたちの武器によって正臣の身体が貫かれそうになったその時............................廃工場の天井が『消滅』したっ!!!!

 

破壊されたわけでもなければ、吹き飛ばされたわけでもない。まるで『最初から無かった』かのように跡形も無く消滅したのだ。

 

私だけではなく、悪魔やエクソシストたちすらも驚きのあまり声を失っていた。

 

しかし、私たちの心は天井が消滅ことなど全く気にする余裕が無かった。

 

 

何故なら................................................

 

 

 

「................................美しい」

 

 

 

誰が言ったのかは分からなかった。けど、その言葉は紛れもなくこの場にいる全員が等しく思ったことだろう。

 

空には........................深紅に輝く鎧を纏い、5対10枚の光の翼を背負った騎士が私たちを見下ろしていた。

 

 

「そ、そんな................天使様!? 何故ここに!?」

 

「バカな!? 通常の『熾天使』ですら3対6枚の翼なのだぞ!!!

『熾天使』の最上位である大天使ミカエルですら6対12枚の翼だというのに........................10枚もの翼を持つ天使など存在するハズが無い!!!! それに、あの翼は天使のソレとは違う!!! 」

 

「で、ですが、あのような美しい光の翼を持つ者などいったい誰が........................まさかっ、『聖書の神』!?」

 

「あ、ありえん!!! 『聖書の神』は先の大戦時に先代魔王様と共に........................!!!」

 

深紅の騎士様の降臨に取り乱す悪魔とエクソシストたち。しかし、そんな私たちのことなどを全く気に掛けることはせず........................騎士様は手に持っていた光の剣で悪魔やエクソシストたちに斬りかかった!!!

 

 

ザシュッ! シュアァァァァァァァァァァ................

 

「なっ!?」

「ひいぃっ!!!」

「き、消えた....................?」

 

騎士様が光の剣で斬りつけると、悪魔もエクソシストも皆一瞬で『消滅』していった!!!

 

『光』や『聖なる力』により、悪魔が消滅するのは分かる。けど、どうして『人間』であるエクソシストまで『消滅』してしまうのか!?

 

恐らく工場の天井を消滅させたのも、あの光の剣によるものなのだろう。

 

けど、そんなことを思い出す余裕などあるはずもなく、瞬く間に悪魔とエクソシストが『消滅』させられていく............................次々と『消滅』していく悪魔とエクソシストの姿を私と正臣は黙って見ていることしか出来なかった。

 

 

 

そうして五十人以上いた悪魔とエクソシストの混成部隊も、とうとうそれぞれのリーダーを残すのみとなってしまった。

 

 

「ひっ、ひいぃぃぃぃぃぃぃっっっ!!!!」

「な、何なんだ! 何なんだ、お前はっ!!! 何故我々に敵対する!?」

 

「....................話すことなど何もない................貴様らの罪を数えろ....................生きている間に................貴様らが出来ることは....................それだけだ」

 

「「ひっ、ひやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」」

 

 

『話すことなど何もない』。その言葉通りに騎士様は彼らを跡形も無く、影すらも残さず『消滅』させた。

 

まるで、初めから彼らという『存在』が無かったかのように................................。

 

 

騎士様は彼らを消滅させると、次に私と正臣の所へ歩いてきた!!!

 

まさか....................私たちも『消滅』させるつもりなの!? でも、いったいどうして!? 私たちが何をしたというの!?

 

様々な疑問が頭に浮かぶが、私はそれらを全てはね除ける!! 今の私がやるべきことは正臣を守ることだ!!!

 

私は震える身体に鞭を打ち、騎士様の前に立ち塞がる! しかし騎士様は何事も無いかのように私の身体を『すり抜けた』!!!

 

そんなっ....................今、確かに接触したはずなのにっ!!! どうして!?

 

目の前で起こった不可思議な出来事に困惑する私、けれど騎士様はそんな私に一瞥することもなく正臣の身体に触れる!!!

 

 

「っ、お願い、待って!! 正臣を消さないでっ!!!」

 

 

私は必死に騎士様を止めに掛かる!! しかしっ!!!

 

 

パァァァァァァァァァァァァァ........................

 

「........................え?」

 

「こっ、これは........................?」

 

 

騎士が正臣に触れた瞬間、翠色の淡い優しい光が正臣を包む。そして光が消えた瞬間........................正臣のキズは消えていた!!!

 

「ま、正臣、身体は大丈夫なの!?」

 

「あ、ああ........................まるで『最初から無かった』かのように、キズどころか身体の痛みも無いよ」

 

「っ~~~~~~、正臣ぃぃぃぃぃ!!!!」

 

私は嬉しさのあまり正臣を思いっきり抱きしめる! あぁ、良かった....................正臣が無事でっ、本当に良かった........................!!!

 

 

「クレーリア、キミの方は大丈夫だったかい? どこか痛んだりしていないか?」

 

「ええ、私は大丈夫。それよりも............................」

 

正臣に尋ねられて私はどこも怪我をしていないことを伝える。

 

二人とも無事だったことを喜ぶ私たちだが、今度は一緒に騎士様の方へ目を向ける。

 

いったい何者なのだろう....................私たちを助け、正臣の命を救ってくれたところから察するに悪い人じゃないみたいだけど。

 

それにこの背丈........................もしかして、子ども!? でも、だとしたら尚のこと驚きだ!

 

上級悪魔である私や歴戦のエクソシストである正臣ですら捕まってしまったヤツらを相手に圧倒するなんて........................この子はいったい........................?

 

私と正臣がますます目の前の騎士様に懐疑的になっていると........................騎士様の身体が急に輝き出す!!!

 

目も眩むほどの光が治まるとそこには................................。

 

 

「ッッッッッ!? き、キミは.....................!!!」

「っ、あ、あの時の....................!!!」

 

 

昼間、私たちが逃げる途中で正臣がぶつかってしまった........................不思議な雰囲を醸し出す少年だった!!!

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

食べ物のありがたみを分からないド腐れ畜生どもをこの世から『消し去った』俺は、『禁手』を解いてひと息つくことにした。

 

 

 

ふぅ~~~~~、危ない危ない。これ以上『この力』を使ったら、せっかく転生したこの世界から『出ていかなきゃいけなくなる』ところだった。

 

今後は一時の感情に任せて『禁手』を使ったりしないよう、気を付けないといけないなぁ。

 

 

「あの................キミはいったい........................?」

 

俺の『禁手』が文字通り、この世界における『バランス・ブレイカー』であることを実感していると先ほど助けた男性が尋ねてくる。

 

別に二人は直接の原因じゃあないんだから、手を出したりはしないよ。まぁ............................『アンタさえぶつからなければ』ぐらいには多少思ってはいるけどね。

 

 

「俺は呂布奉先........................英雄の魂を継ぐ者」

 

「り、『呂布奉先』!? 三国志に出てくる、あの『呂布奉先』!?」

 

「世界には英雄や偉人の子孫がいるってことは知っていたけど、まさか実際にこうして会えるなんて............................!」

 

朱乃たちに名乗った以上、もうこれで通すしかないと思った俺は予め決めていた自己紹介をする。

こんな子どもが言うことでも素直に信じてくれるとは、この二人はやっぱり良い人たちらしい。

 

誰かに騙されないといいんだけど............................。

 

 

「あの........................呂布くん?でいいのかな。キミはどうして私たちのことを助けてくれたの?」

 

俺がピュアッピュアな二人が将来悪い人に騙されないか心配してると彼女さんが尋ねてくる。

 

う~~~ん、助けたって言われると少し違うんだよな~~~~。俺は俺の目的のためにアイツらを誅殺したわけですしおすし。

 

 

「大切なものは失えば........................二度と戻ってこない............................だから戦った」

 

「「ッッッッッッッッッッ!!!!」」

 

 

過ぎ去った時は戻らない。俺は『禁手』になっていくら試してみても、あの『スイーツ』を元に戻すことは出来なかった。

 

大切なものというのは、一度失えばそれまでなのだということを俺は身に染みて思い知った。

 

 

(クレーリア、もしかしてこの子の両親はもう............................)

 

(ええ。私たちに大切な人を失う悲しみを味わわせないために、この子はっ............................!)

 

呂布の口ぶりから呂布の身の上が悲痛なものだと思っている二人。

毎度のことながら、口数の少ない食バカは周囲を誤解させるのだった。

 

 

 

二人が何やらヒソヒソ話しているので、そろそろ今夜の寝床を探しにいこうとすると................................突然、魔術式が現れて誰かが転移してきた!!!

 

 

「クレーリア様、ご無事ですか!!!」

 

「ステラ!? ディハウザー兄さまの『女王』であるアナタがどうしてここに!?」

 

「クレーリア様の眷属より連絡を受けた主のご命令で、大至急駆けつけた次第でございます。遅参いたしましたことを深くお詫び申し上げます」

 

転移の魔方陣から出てきたのは、高そうなスーツをビシッと決めた赤紫ショートヘアのお姉様だった。

何だかこの人、【Fate】のバゼットに似てるな~~~。

 

それに『クレーリア』ってどっかで聞いたような................................?

 

 

「むっ? クレーリア様、この少年は?」

 

「この子は呂布奉先くん。三国志の『呂布奉先』の子孫で、私たちの命の恩人よ」

 

「なんと! 噂に聞く『英雄の子孫』でしたか。少年、いや呂布奉先殿。此度はクレーリア様を助けていただき、感謝いたします」

 

バゼット似のお姉様が俺に向かってお辞儀をしながらお礼を言う。こんな子ども相手に頭を下げるなんて、よっぽど主さんの躾けが良いのだろう。

 

ただ気になるのは『ディハウザー』『クレーリア』という名前だ、やっぱり聞き覚えがあるぞ?

 

俺が前世の記憶を片隅まで思い出そうと頑張ってるところで、三人は何やら真剣な顔で相談を始めた。

 

 

「それにしてもご無事で何よりです。主様の話では『例の情報』を狙った刺客まで送られたと伺っておりました」

 

「『例の情報』って、もしかしてさっきの封筒のことですか? すみません、それは私を助けようとクレーリアが................................」

 

「大丈夫よ、正臣。さっき取り出したのはコピー、原本については万が一に備えて別で保管してるわ♪」

 

「ふふ♪ お見事ですクレーリア様。さあ、急ぎましょう。ここにいるとまた刺客が差し向けられるかもしれません、我が主『ディハウザー・ベリアル』様が安全な場所をご用意しております」

 

 

「ッッッッッ!?」

 

『ディハウザー・ベリアル』!? その名前を聞いて、ようやく今の状況を理解した!!!

 

これって、リアスが駒王町の管理人になる前にあった事件じゃん!!! じゃあ、このカップルは『あの事件』で死んだ二人ってことか!?

 

 

目の前にいる女性、『クレーリア』はリアスが赴任する前に駒王町を管理していた上級悪魔だ。

しかし、クレーリアは教会関係者であるエクソシストと恋仲になったということで二人とも殺されてしまった。

 

そして事件から年月が流れ、リアスがクレーリアの後任としてやって来た。

しかし、クレーリアの恋人だった男性はリゼヴィムが『幽世の聖杯』の力を使って生き返らせ、当時の関係者たちに復讐をする。

 

 

さらに十年前の駒王町の事件には裏があった。実はクレーリアは『悪魔の駒』の『とある秘密』について調べていたのだ。

 

その秘密を守るために悪魔政府の上層部はクレーリアを抹殺するべく、この事件を利用したことが判明。

 

そのことを知った従兄であるディハウザーは彼女の仇を討つべく、悪魔政府に反旗を翻した............................というのが原作での流れだ。

 

 

あちゃ~~~~、まさか俺が駒王町に来たのが丁度その時期だったとはね~~~。ヤバイ、原作改変しちゃったよ。どうしよう................................。

 

いや、でも原作改変というのであれば既に朱乃の時点で改変してしまっているし............................後は成り行きに任せよう。さすがの俺の『禁手』でも、『世界そのもの』の時間までは巻き戻せないからな。

 

そうして俺が重大な事実を必死で見てみぬフリをしている間に、クレーリアたちが転移魔術を展開する。

 

 

「呂布くん、本当にありがとう。何もお返しが出来ず、申し訳ない限りだ」

 

「本当なら呂布くんのことも連れていきたいんだけど........................ごめんなさい、周りに気づかれないように人間を冥界に連れていくのは凄く難しいことなの。

今の私では正臣を連れていくので精一杯で........................ホントにゴメンね」

 

「フルフル........................気にしなくていい........................お幸せに」

 

転移が始まると二人が御礼と謝罪を一生懸命伝えようとしてくる。俺としては冥界に行くつもりはないので、気にしないで欲しい。

 

人間が冥界をウロウロしてると目立つからね。変なヤツらに目をつけられると面倒だし。

 

特にどこぞのブラコン&シスコン魔王とか。

 

 

「ふふ、ありがとう。願わくば、キミとはもう一度会いたいものだ」

 

「そうね、正臣........................呂布くん、貴方が今のまま優しい心を無くさずに成長してくれることを、私たちは祈っているわ」

 

「さらばだ、呂布奉先殿。二人を守ってくれたこと、主に代わり改めて御礼を申し上げる。本当にありがとう」

 

 

そう言うと三人は優しそうな笑顔で冥界へと転移していった。乗りかかった舟だったし、ディハウザーのところまでは送ってあげても良かったかもね。

 

けどまぁ、ディハウザーの『女王』がいるみたいだし大丈夫だろう。何たってレーティングゲームの不動のランキング1位の眷属なんだからな。

 

 

 

さ~~~て、今日の晩御飯と寝床を探すとするかね。十分お米も堪能したし、明日からはまた世界の美味しい物でも探しに行くとするか♪

 

 

 






呂布の『禁手』の姿は【デジモン】の『デュークモン
クリムゾンモード 』をイメージしてます。

やはり『グラニ』との合体なら、『これしかない!』と思いました。

ただ『ブルトガング』は持っていますが、当然のことながら『グングニル』は持っていません。

それでは皆さん、次回で♪
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