深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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今話の時期はリアスVSサイラオーグが終わり、ソーナVSサイラオーグが行われるまでの間ぐらいです。

作者的に『一度は書いてみたかった!』。そんなお話です♪




第百六十二話

 

 

 

 

現在俺たちグレモリーと会長たちシトリーは、それぞれのお父さんから『どうしても頼みたいことがある』と言われ、冥界のグレモリー領に来ていた。

 

その頼みたいことというのが................................

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がんばれーーーー、セキリューテーー!!!」

「負けないでーーー、コクリューオーーー!!!!」

 

「きゃああああああ!!! ダークネスファングさまーーーーーーー!!!!」

「うおおおおおおおおおお!!!  ヘルキャットちゃあああああああん!!!!」

 

 

 

 

冥界のヒーローショーに出演することだった............................何でも俺たちのレーティングゲームでの試合が大人気だったことを鑑みて、グレモリーとシトリーの共作により俺たちをモデルとしたヒーロー番組を制作したらしい。

 

娯楽の少ない冥界の悪魔にとっては、こういった娯楽作品に常に飢えている状況。そのため瞬く間に大人気となり、今日ヒーローショーを行うまでに至ったのである。

 

 

なお設定としては、意地の悪い悪魔集団が色んな町で悪事を働き皆を困らせる。

そこに町の巫女である『ピュアグレモリー』と『ピュアシトリー』が一族に代々伝わる宝珠に祈りを捧げることで、町の守り神が現れて悪い奴らをやっつけるというのがストーリーだ。

 

その主人公である巫女のモデルとなっているのが、我らが部長(ピュアグレモリー)とソーナ会長(ピュアシトリー)。

守り神が俺(セキリューテー)と匙(コクリューオー)、木場・白音・ギャスパーは敵役だ。他にもシトリー眷属の皆が巫女に仕える従者や敵幹部の側近という役回りとなっている。

 

 

ちなみに朱乃さんは呂布さんの奥さんということで、番組出演は悪魔政府からストップが掛かった。さすがに呂布さんの奥さんを勝手にメディア出演させるのはマズイと判断したらしい。

 

またメインキャストにはそれぞれファンも付いていて、部長とソーナ会長は女の子。俺と匙は男の子、木場が演じる『ダークネスファング』には若い女性やお母さん。

 

白音ちゃんが演じる『ヘルキャット』は若い男性やお父さん。ギャスパーが演じる『ダンボール神』には若い男女のファンが付いている。

 

 

なお、守り神役の俺と匙は『禁手』状態の姿で出現するので、俺たちも出演中は常に『禁手』となっていなければならない。子どもの夢を壊すわけにはいかないからね!

 

小さい子供から大人まで幅広い層に固定ファンを持っているこの番組、【それいけ! デビ☆ピュア】は今ではお茶の間番組の金字塔を築きつつある。

 

余談だが、【それいけ! デビ☆ピュア】の人気を知ったセラフォルー様は自身が手がけている【魔法少女マジカル・レヴィアたん☆】の人気が取られないよう対抗心を燃やしているのだとか................................。

 

 

そんなこんなで、いつの間にやら自分たちのテレビ番組が作られていることを知った俺たちグレモリーとシトリーは、こうしてヒーローショーに出演させられているというわけだ。

 

流石にグレモリー&シトリーの現当主様直々の依頼とあれば断ることなど出来るはずもない。それにこの番組、結構な興行収入を上げているそうだからね。

 

 

「くらえ、セキリューテー!」

 

ズシャンッ!

 

「ぐはぁっ!」

 

「終わりです、コクリューオー」

 

ドスンッ!

 

「ぐあっ!」

 

 

俺は木場に、匙は白音ちゃんに攻撃されてやられるフリをする。観客の子どもたちからは俺たちを心配し、応援する声が聞こえる。

 

へへっ、演技と分かっていても子供たちが一生懸命応援してくれるのは嬉しいもんだな♪

隣を見ると匙から嬉しそうな笑い声が聞こえた、どうやら匙も同じ気持ちらしい。

 

 

「が、がんばってー! セ、セキリューテー////////」

「ま、まけないで、コ、コクリューオー///////」

 

部長は薄い赤、ソーナ会長は薄い水色とそれぞれのイメージカラーのドレスに身を包んだ二人が俺と匙を応援してくれる!

でも、演劇なんかやったことのない二人は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしてらっしゃる!! しかもセリフは棒読み!!!

 

あの二人の恥ずかしがる姿、特に普段は凛としている会長が恥ずかしそうに芝居をしている様は貴重だ!

部長も頑張って演技を完遂しようとしている姿が何とも初々しい!!

 

また二人が真っ赤にしている顔が特注のドレスに映える映える! もうこれだけでご飯三杯はいけちゃうね!! 匙の方を見ると、やはり俺と同じように会長の恥ずかしがる顔に悶絶しそうになっている。気持ちは分かるぜ、同胞!!!

 

 

今日のショーのストーリーとしては、町の守り神であるセキリューテーとコクリューオーを倒すべく二人の巫女(部長と会長)が悪役に捕えられる。

 

そうしてセキリューテーとコクリューオーがピンチになったところで、番組ではまだ登場していない新キャラが現れて巫女たちを助ける........................というのが大まかな流れだ。

 

未登場であった新キャラが出るということで、会場は満員御礼。事前告知により観客は新キャラの登場を今か今かと待ちわびている。

 

俺たちがピンチになるシーンを終えたから、そろそろ新キャラが出てくるはずなんだけど............................。

 

 

「情けないわね、セキリューテー! そしてコクリューオー!!」

 

 

子どもたちが心配そうに見守る中、上から声が聞こえる!!!

 

「こ、この声はっ!?」

「な、何者だ、キサマはっ!?」

 

木場と白音ちゃんが声のする方へ向くと、そこには薄い紫色のドレスに身を包んだ女性が立っていた。

そしてその女性というのが........................サイラオーグさんの『女王』であるクイーシャさんだった!!!

 

 

「そんなザマでこの町を守れると思っているの!! よく見ていなさい、これがワタクシ『ピュア☆バアル』の守り神よ!!!」

 

 

ピュア☆バアル、もといクイーシャさんが胸にある金色の宝珠を持って祈りを捧げるポーズを取るとステージにあった特製火薬が爆発する!

 

中から出てきたのは............................もちろん、レグルスを纏ったサイラオーグさんだった!!!

 

 

「「「「ライオンさーーーーーーーーん!!!!」」」」

 

 

サイラオーグさんが現れると新キャラの登場に興奮する観客たち。特に子どもたちやサイラオーグさんのファンは大喜びだ。

 

 

「シシオー、あなたの力を見せておやりなさい!!」

 

「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

 

クイーシャさんの号令と共に雄叫びを上げながら突進するサイラオーグさん。

エキストラである悪の戦闘員たちが抵抗するも、次々に蹴散らして部長と会長の下へ!

 

流石はプロのエキストラさんだ、吹っ飛ばされる様からサイラオーグさんの力強さが伝わってくる!! まさに迫真の演技だ!!!

 

この後は戦闘員たちを全員倒したサイラオーグさんが部長と会長を助け出す。そこからは毎度の流れで部長と会長の祈りで俺と匙のパワーが回復し、敵を倒すという流れだ。

 

必死に抵抗(フリ)をする戦闘員たちを投げ飛ばしていき、残す戦闘員はあと一名。サイラオーグさんが最後の一人を突き飛ばそうとするのだが................................。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒョイッ、ブオォォォォンッッッッッッッッ!!!!!

 

「ッッッッッッッッ!?」

 

「「「「!!!!!!!!!!!」」」」

 

 

 

 

 

突進してくるサイラオーグさんを『戦闘員A』と書かれたエキストラが宙高く投げ飛ばした!!!

 

 

しかしサイラオーグさんは空中で体勢を立て直し、なんとか着地する。

 

打ち合わせと全然違う展開に驚く俺たち!! 観客も何が起こったのか全く分かっていない様子、そりゃそうだ! 俺たちだって理解が追いついていないんだからな!!!

 

それに何より、一番驚くべきことは............................あのサイラオーグさんを片手で投げ飛ばしたことだ!!!!!!

 

サイラオーグさんの真剣な表情を見る限り、あれが演技だとは思えない。いったい何者なんだ、この戦闘員Aは!?  っていうか、ステージはどうすんだよ!!!

 

俺がステージの進行について心配していると、ディレクターの人がカンペを用意して指示を出してきた。

 

 

『面白そうだからこのまま続けて♪』

 

 

まさかの続行!? いったん中断するんじゃなくて、このままアドリブで続けなきゃならないの!?

 

観客を見ると大人は困惑気味、子供たちは不安そうに俺たちのことを見ている。大人はともかく、せっかく来てくれた子供たちをがっかりさせるわけにはいかない!

 

とりあえず俺と匙もサイラオーグさんに加勢して、部長と会長を助け出すことにする!!

 

 

(すみません、サイラオーグさん。ここからはアドリブでやるしかないようです!)

 

(な、流れ的には俺たち三人で、あの戦闘員Aを倒して会長たちを助けるってことで良いんだよな?)

 

(ああ、そうだな。しかし何者なのだ、あの戦闘員は? 宙に飛ばされるまで投げられたことに気づかなかったぞ)

 

 

サイラオーグさんが戦闘員Aの強さに不気味なものを感じている。確かにあのサイラオーグさんを片手で宙に投げ飛ばすなんて、タダ者じゃあない。

 

戦闘員特有の奇妙な動きと相まって、なおさら不気味な気配を漂わせてくる。

 

 

「がんばってーーーー! セキリューテー!!!」

「負けないでーーーー! コクリューオー!!!」

「ライオンさん、ファイトーーーー!!!」

 

 

俺たちが戦闘員Aの雰囲気に呑み込まれそうになったところで、子供たちの声援が聞こえてきた!

 

っ、そうだな。俺たちは子供たちのヒーローなんだ、ヒーローが戦闘員Aなんかに怖気づいちゃダメだよな!!!

 

子どもたちに元気をもらった俺たちは顔を見合わせ頷くと、戦闘員Aに攻めかかった!!!

 

 

「だぁりゃあああああああああああああ!!!!」

 

 

俺は『龍闘気』を漲らせながら、拳を繰り出した! この人はタダ者じゃない、こっからは手加減無しだ!!

 

俺は相手を地平線の彼方まで吹っ飛ばす勢いで殴り掛かる!! しかしっ!!!!

 

 

パシィッ! ギュルンッ!! ブォンッッッ!!!

 

 

戦闘員Aは俺の拳を片手でいなして腕を掴み、サイラオーグさん同様そのまま俺を投げ飛ばした!!!

 

俺は咄嗟に背中のブースターを噴かせて体勢を立て直す! だがその瞬間、匙が俺の方へと飛んできた!!!

 

「どわぁっ!」

「ぐわぁっ!」

 

空中でぶつかる俺と匙! あの戦闘員A、俺を投げ飛ばすと同時に匙まで俺の方向へぶん投げてきやがった!!

 

な、なんてヤツだ................................って、アレ? 何かこんな攻撃を前にもくらったような.................... 確かシトリーの皆と一緒に呂布さんとの実戦訓練で................................。

 

 

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!」

 

 

俺がデジャヴを感じているとサイラオーグさんが雄叫びを上げながら、全力で拳を繰り出した!

レグルスを纏った状態の拳、上級悪魔程度ならこの一撃でKOだ!! けれど!!!

 

 

ズボッッッッ! グルンッッッッ!!!!

 

「なっ!?」

 

「いいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

「ウ、ウソだろぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

戦闘員は迫るサイラオーグさんの拳、その指の間に自分の指を入れてサイラオーグさんの拳の受け止めた!!! いや、拳に入れてた力が緩んで勢いが殺されたんだ!!!

 

しかもそれどころか、拳を受け止めている側の腕を捻ってサイラオーグさんの体を片手で捻り上げた!!! いったいどうやったらそんなことが出来るんだよ!!!!

 

当のサイラオーグさんだけじゃなく、俺と匙もあまりの光景に言葉を失っていると........................今まで寡黙だった戦闘員Aが口を開いた!!!!!

 

 

「....................身体と拳の....................力と重心の................配分が甘い」

 

「「「!!!!!!!!!!!」」」

 

ドォンッドォンッドォンッドォンッドォンッドォンッドォンッドォンッドォンッドォンッ!!!!!!

 

「がっ、ぐぅっ、がはっ!!! うぅぅぅ、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

 

バチィィンッ!!!!

 

 

戦闘員Aが片手で何度もサイラオーグさんを地面に叩きつける!!! サイラオーグさんは叫びながらも何とか戦闘員Aからの拘束を脱け出した!!!!

 

 

「サ、サイラオーグさん!!!」

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「あ、ああ....................だが地面に叩きつけられてから指を話すまでに十回も投げられた、なんという技術だ............................!」

 

サイラオーグさんは無事のようだけど、あの戦闘員Aの強さに戦慄している。けれど、俺と匙にはあの戦闘員Aの正体が何となく分かってきた............................。

 

 

俺たちを片手で軽々と投げ飛ばす『力』。

『禁手』状態の俺たちですら手も足も出ないほどの『強さ』。

サイラオーグさんの拳を片手で無力化する『技術』。

 

そして極めつけはさっき発した声音........................ここまで来れば、思い浮かぶ人物はただ一人。

 

俺がある種の確信を持っていると、匙が恐る恐る戦闘員Aに尋ねる。

 

 

「も、もしかして............................師匠、ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ........................違う....................俺はただの....................戦闘員A」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

呂布さんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

 

 

 

 

 

ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ!?

 

何で呂布さんがここにいんの!? っていうか何で戦闘員Aの衣装を着て、ヒーローショーに出てんの!?

 

ステージ端を見ると見慣れた金髪ロールの女の子がいた。目を向けると呂布さんの秘書であるレイヴェルが目を輝かせながら戦闘員Aを見ている! やっぱり呂布さんじゃん!!

 

 

何で呂布さんがこんなところでヤラレ役のザコキャラをやってるのかは知らないけど、一つだけ言わせてくれ....................................こんな戦闘員Aがいてたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

 

こんな出鱈目な強さの戦闘員がいたら、それだけでヒーロー側が壊滅しちゃうよ!? 番組が放送開始と同時に終了して新番組始まっちゃうよ!?

 

 

「がんばれーーーーー!」

「負けないでーーーーーー!」

「そんな弱っちいヤツなんか、やっつけろーーーーー!」

 

 

子どもたちが一生懸命俺たちを応援してくれる。俺たちのピンチを感じ取り、立ち上がって声援を送ってくれる。目の前の戦闘員Aを倒せと................................。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリ!!!!!!

 

 

 

目の前にいるのはただのザコキャラじゃないんだよ!? 『世界最強』の戦闘員Aなんだよ!?

もはやヤラレ役どころか、ラスボスや裏ボスすらも滅ぼしかねない【人類のバグキャラ】だよ!?

 

それを俺たち三人だけで倒す? 出来るか、そんなことーーーーーーーーー!!!!!!

 

 

せめて木場と白音ちゃんの力も借りられないかチラッと目を向けるが............................木場は手を合わせて黙とうを捧げているし、白音ちゃんは『骨は拾ってあげます』と言わんばかりに親指を立てている。

 

あの二人完全に蚊帳の外だよ! 自分たちが戦うんじゃなくて良かったと心の底からホッとしてるよ!!

 

そりゃあそうだ、何たってあの二人は敵側。つまり呂布さんが味方についているということなんだからな!!! そりゃあ安心して見ていられるわ!!!!

 

部長たちに助けを求めようとするも、部長も会長も啞然としたままだった。さっきまで凛々しくキャラを演じていたクイーシャさんまで困惑している!

 

ディレクターさんも満足気に頷いてるし!! あの人、今の状況分かってる!? 目の前にいるのが呂布さんだって絶対に知らないでしょ!!!

 

 

....................................ダメだ、とにかくこのままやり切るしかない。これは舞台、お芝居なんだ。呂布さんだって最後には俺たちに華を持たせてくれる....................ハズだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

っと思っていた時期が俺にもありました............................。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だああああああああああああっっっっ!!!!!」

 

パシィッ、ブォンッ!!!

「ぐはっ!!!」

 

「おりゃああああああああああああっっっっ!!!!」

 

ガシッ、ブンッッッ!!!!

「「ぐえっ!!!」」

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!」

 

ギュルンッ、ブォンッブォンッブォンッブォンッブォンッブゥゥンッッッ!!!!!

「がはっ!!!」

「「ごはぁっっっ!!!!」」

 

 

戦闘員A、もとい呂布さんと戦い始めてから五分ほどが経過したが................................全く倒れてくれる気配がねええええええええええええ!!!!!

 

さっきから三人とも呂布さんに投げ飛ばされてばっかりなんだけど!? しかも俺と匙は片手、サイラオーグさんにいたっては片足で投げ飛ばしてくるからね!!!

 

何なんだよ、足を引っ掛けて相手をブン投げるって! どうやったらそんなことが出来んの!?

 

 

「「「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ............................!!!」」」

 

 

俺たち三人掛かりで攻めてるのに攻撃は全部いなされてそのまま投げ飛ばされる、さっきからこの繰り返しだ。

たった五分ほどしか戦ってないってのに俺たち全員息が切れかかかっている。

 

今まではシトリーの皆と一緒に訓練してたからな、その分一人当たりの負担と集中力が比べ物にならない。

いつもは全員で波状攻撃を仕掛けて何とか隙を作るんだけど、今は三人だけだからいつも通りに戦ったんじゃ切り崩せない!

 

じゃあ三人で一斉に仕掛ければ、って話になるけど............................生憎、呂布さんにその手は通用しない。

 

 

確かに複数人での同時攻撃って、一見防ぎにくそうには見える。だが同時に攻撃が迫ってくるってことは、一つの動作で防がれる可能性があるってことだ。

 

実際、呂布さんとの訓練時にそれをやって一挙動で完璧に攻撃を防がれたことがあったからな。それ以来、呂布さんとの訓練では複数人での同時攻撃はやっていない。

 

だから仕掛けるとしたら波状攻撃で間断なく攻め続けなければならないんだが、そのためにはどうしたって人数が必要になる。

 

でも今は、俺たち三人が投げ飛ばされてる間に呂布さんへ攻撃してくれる手数が足りない。そのせいで一人が投げ飛ばされた後、その位置に目掛けて他の二人が投げ飛ばされて攻め続けることが出来ない。

 

 

俺たちがヘトヘトになっている様子を見て、子供たちも不安のあまり泣きそうになっている。最初は戸惑っていた親御さんなどの大人たちも今ではハラハラした様子で俺たちを見ている。

 

 

「ッ、イッセー................................」

「匙............................」

「サイラオーグ様っ........................」

 

 

俺たちが苦戦している様子を見て、部長たちも演技を忘れて心配そうな声を上げている。

もはや通常のヒーローショーでは考えられないほどの緊迫した空気が会場全体を支配していた。

 

............................あれ? おかしいぞ、ヒーローショーってこんな緊張感溢れる催しだったっけ?

 

俺は『そもそもヒーローショーとは?』と哲学的なことを考え始めると、ステージ端からディレクターさんがカンペを見せてきた!

 

 

『そろそろキメてください!』

 

 

だから、それが出来たら苦労はしないんだっつーーーーーの!!!! むしろ俺たちの方が、そこの戦闘員Aにトドメを刺されそうなんですってば!!!!!

 

 

「ええええええいっっっ!!!! もう破れかぶれだ!!!」

 

俺はもう考えることを放棄し、渾身の力で呂布さんに殴り掛かる!!!!

 

「バ、バカ、兵藤! そんな風に突っ込んでも師匠には通用しねえっての!!!」

「止むを得ん! 俺たちも行くぞ!!!」

 

俺が突進するのを見て、匙とサイラオーグさんも後に続く! どうせ手数で攻めたって防がれるんだ!! だったら限界までパワーを上げた一撃の方が俺らしい!!!

 

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおりゃあああああああああああああっっっっっっ!!!!!」

 

 

俺は『龍闘気』を全開にして拳を繰り出す!!! しかしっ!!!!!

 

 

パシィッ、バゴォンッッッ!!!!

 

「ッッッッッッ! ガッッッ!!!!」

 

 

呂布さんは俺の拳を片手首だけで下方向に跳ね除け、その反動を利用して曲げた手首を俺の顎に打ち込んできた!!!

 

完全にノーガードだった顎先に手首が打ち込まれたことで、ヘルメットが割れて脳が揺らされる!

 

 

「兵藤っ!!!」

ブゥゥゥゥンッッッッ!!!!

パシィッ、バゴォンッッッ!!!!

「がっっっ!!!!」

 

「くっ! うおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!」

ブゥゥゥゥンッッッッ!!!!

パシィッ、ドゴォンッッッ!!!!

「ガハッッッッ!!!!」

 

 

脳を揺らされフラつく俺を二人が助けようとするが、匙は俺と同じく片手首で。サイラオーグさんは足先で攻撃を弾かれ、脳を揺らされる!

 

マズイ! 脳が揺れているせいで視界がボヤけてる、たぶん他の二人も同じだ!! だが呂布さんはそんな俺たちのことなどお構いなしに投げ飛ばした!!!

 

 

ブゥゥゥゥンッッッ!!!!!

 

 

「イッセー!!!」

「匙!!!」

「サイラオーグ様!!!」

 

視界が定まらないまま投げ飛ばされ、部長たちが呼ぶ声がする! そして俺はそのままナニカにぶつかった!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサァッ、チュッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

................................何だろう、口が何か柔らかい物で塞がれてる。これはいったい............................。

 

 

やがて俺の視界が回復してくると....................目の前に部長の顔があった! いや、それだけじゃない!!!!

 

 

「「ッッッッッッッ!!!! ッ~~~~~~~~~//////////」」

 

 

気づくと俺は部長を押し倒してキ、キ、キ、キスをしていたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 

 

唇に感じる柔らかい感触は部長の唇だった! 俺は慌てて部長から離れる!!!

 

 

「す、す、す、すすすすす、すみません部長! お、おれおれおれおれ................................!」

 

「い、いいえ、じ、事故ですもの、仕方ないわ/////////////」

 

部長は気にしないように言うけど、顔は髪の色以上に真っ赤になっていた! お、俺ってば、な、なんてことを............................!!

 

 

「か、かかかかか、会長! も、申し訳ありませーーーーーーん!!!!」

「............................し、仕方ありません、今日のところは不可抗力ということにしておきます///////////」

 

「ク、クイーシャ、す、すまなかった........................」

「い、いえ、私が受け止めきれなかったのがいけなかったのです............................お気になさらず///////////////」

 

 

周りを見ると匙やサイラオーグさんも会長やクイーシャさんに謝っていた。どうやら俺と同じように二人ともそれぞれ相方にキスをしてしまったらしい。

 

視界がボヤけている状態で投げ飛ばされたら、受け身なんか取れないからな。

 

しかも部長と会長は縄で拘束されてたし、クイーシャさんも大柄で鎧まで纏っているサイラオーグさんを受け止めきれなかったんだろう。

 

目の前でいきなりキスシーンをしてしまったことで、さっきまで緊迫していた会場の空気が一気にビミョーなものとなる。

ただ、子供たちはお母さんが咄嗟に目を隠していたようで事なきを得ていた........................素晴らしい反応だ。

 

 

部長にはホンッッッッットーーーーーーーーーーに申し訳ないことをしてしまった。後でちゃんと謝らないと!!

 

でも................................................!!!!

 

 

 

「「いいいいいいいいいいいいいいいいいよっしゃあああああああああああああっっっっっ!!!!!!」」

 

 

 

俺と匙は同時に天に向かって叫んだ!!! やはりコイツも俺と同じ気持ちだったようだな!!!!

 

当然だ! あの駒王学園でも絶大な人気を誇る部長と会長に事故とはいえ、それぞれキス出来たんだからな!! これは俺たちにとって、終生語り継がれる偉業となるだろう!!!

 

それに俺たちはお互いに夢を語り合った仲だ! 俺は部長の乳首を吸うこと、匙は会長とデキちゃった婚をすること。

あの日お互いの夢と野望に向けて頑張ろうと誓い合ったことは今でも忘れたことはない!!

 

そんなお互いの憧れの存在の唇を奪ったんだ! 今の俺たちの前ではそう............................神はおろか『世界最強』すらも恐れるに足らん!!!

 

 

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ............................!!!!

 

 

ステージを破壊するんじゃないかと言わんばかりに俺と匙のオーラが迸る! 突然のキスシーンでビミョーとなっていた会場の空気が、あっという間に吹き飛ばされた!!

 

 

「行こうぜ、匙っ!!!」

「おうよ、やるぞ兵藤!!!」

 

「ふっ、凄まじいオーラだ。何かは知らんが二人とも、俺を忘れてしまっては困るな!!!」

 

ブウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッッ!!!!!

 

 

俺と匙のオーラに触発されたのか、サイラオーグさんもオーラを全開にして滾らせる! 三人のオーラが一つに交わる!!

 

今の俺たちはまさに、【三位一体】と呼ぶべきものだった!!!!

 

「行っくぜえええええええええええええ!!!!!」

 

俺たち三人は全く同じタイミングで呂布さんに突進し、全く同じタイミングで拳を繰り出した!!!!

 

 

「「「はあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」」」

 

 

バゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

ヒュ~~~~~~~~~~~................................。

 

 

俺たちの三位一体の拳を呂布さんはドテッ腹にくらい会場の外、遥か遠くまで吹っ飛んでいった!!!!

 

今の拳の感触........................たぶんタイミング良く、自分から後ろに跳んで威力を殺されたな。やっぱり真正面からの攻撃は呂布さんには通用しないか。

 

匙やサイラオーグさんを見ると不満が残った表情をしていた。二人も呂布さんがわざと飛んでいったことに気づいたんだろう。

 

俺たちはどうにも不満が残り、何とも言えない雰囲気となってしまった。

 

しかし....................................................

 

 

ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッ!!!!!!!

 

 

突然、観客から大歓声が上がった! 子供たちは飛び上がって大興奮、大人たちも全員が俺たちに拍手を送ってくれる!!

 

「やったーーーーー! デビ☆キュアが勝ったーーーーーー!!」

「カッコイイーーーーーーー、セキリューテー!!!」

「コクリューオー、こっち向いてーーーーー!!!!」

「ライオンさーーーーーん!!!!!」

 

「すっげええええええ!!! こんな迫力満点なヒーローショーなんて初めて見た!!!!」

「うんうん! まるで映画みたい!!」

 

会場中の子供も大人も大喜び。そうだった、俺たちヒーローショーをやってたんだった。

 

ステージ端を見るとディレクターの人も涙を流しながら、ウンウンと満足気に頷いている。

 

呆気にとられた俺たちだが、とりあえず部長たちの縄を解くことにした俺と匙。

そしていつの間にか木場と白音ちゃんもいなくなってたので、このまま締めに入ることにする。

 

進行役のお姉さんが『こうしてデビ☆ピュアのおかげで町に平和が戻りました』と、番組通りの締めセリフを言ってヒーローショーは終わった。

 

ステージから役者がいなくなるまで、観客たちからは割れんばかりの拍手が送られており、何だかんだで皆が喜んでくれて良かったと俺たちは笑い合った。

 

 

 

 

ステージが終わった俺たちは当然、呂布さんに話を聴くことにした!!

 

控室に行くといつの間にか呂布さんが戻ってきており、着替えまで済ませていた。

それどころか朱乃さんやレイヴェルに滅茶苦茶労われてる!! 羨ましい!!!

 

そうして呂布さんは朱乃さんが淹れたお茶を飲みながら、何があったのかを教えてくれた。

 

 

今日はライザーさんたちの修行を見る予定だった呂布さんだが、ライザーさんたちが急に実家から呼び出しを受けて予定が空いてしまったそうだ。

 

それでせっかくだから俺たちのヒーローショーをこっそり見に来たらしい。だが、舞台裏にやってくると戦闘員A役のエキストラさんが体調を崩して欠員が出てしまったとのこと。

 

今回のヒーローショーはエキストラにもそれぞれ役割があったため、このままでは舞台の進行に影響が出てしまうと聞いた呂布さん。

 

そこでいつもの『困っていたから』という理由で代役を買って出たんだとか。

 

スタッフさんからは『デビ☆ピュアの二人を助け出させないよう必死に抵抗してください』としか言われてなかったらしい。

 

スタッフさんも呂布さんのことは知らなかったらしく、急な代役に細かい指示を出してもしょうがないし、必死に抵抗しても俺たち相手ならすぐにやられてしまうだろうと考えたみたいだ。

 

 

うん、その考えは別に間違っていないんだけど....................................でも、アナタが代役を頼んだのは世界最強の存在だからね! そんな人に必死に抵抗されたら、誰も助けられないでしょーーーがっっっ!!!!

 

 

ちなみにステージ中に起こった俺たちのアクシデントについては、呂布さんにとっても予想外だったそうだ。

ホントはディレクターからカンペが出た時点で呂布さんも俺たちに倒されるつもりだったらしい。

 

呂布さんもレイヴェルから『デビ☆ピュア』についてはどんなものかということをある程度教えられていた。

 

そこで俺たちを部長たちの所に投げ飛ばして、部長たちの持っている宝珠でパワー全開。

そして俺たちの攻撃をわざと受けて遠くに飛ばされるつもりだったという。

 

けど、俺たちが受け身すら取れないぐらいにダメージを負っているとは思わず、あんなことになってしまったんだとさ。

 

呂布さんも部長たちに『申し訳なかった』と謝っており、部長たちも『呂布さんに謝られたら』ということで今回の件は水に流れた。

ただ俺と匙は今回のアクシデントについて、呂布さんに厚く御礼を申し上げた!!!!

 

 

こうしてアクシデントやトラブルまみれのヒーローショーだったが、結果的には大成功に終わり俺たちは人間界へ戻ることにした。

 

 

 

 

 

なお、今日のヒーローショーは後日ニュースでも取り上げられ大反響を生んだ。

 

まず呂布さんが演じる『戦闘員A』の動きを見た格闘技ファンやレーティングゲームのプロが『あの達人は誰だ!!!』と大騒ぎし、正体を調べるべく問い合わせが殺到。

 

そして俺と匙が部長たちのキスでパワーアップしたことに閃きを得た脚本家が番組内でも『キスによってパワーアップ』という設定を取り入れた。

 

さらには今回のヒーローショーが大成功に終わったことで、『是非自分の領地でもやってほしい!』とあちこちの貴族から打診。

その際には『あの謎の戦闘員Aを是非とも出演させてくれ』と懇願される始末。

 

それら諸々の後処理のためにグレモリーとシトリーの当主様方は忙殺されているんだとか................................。

 

 

これ以上の混乱を招かないよう、とりあえず俺たちは戦闘員Aの正体は墓の中まで持っていくことを決めた。

 

 

 

 

 

俺としてはヒーローショーをやるのは構わないけど、世界最強の戦闘員Aはもう勘弁してほしいな............................サイラオーグさんは呂布さんと戦えて喜んでたけどね。

 

 

 






一話で完結させるため、いつもよりも長くなってしまいました。

【ハイスクールD ×D】=『おっぱいドラゴン』という面はありますので、何かヒーロー物を作りたいと思い作りました。

それでは皆さん、次回で♪
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