深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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今話の時期は修学旅行が終わり、リアスVSサイラオーグが行われるまでの間となります。

朱乃をメインにしつつ、呂布がメインヒロインのことをどう思っているのかに焦点を当ててみました。




第百六十三話

 

 

 

「『野球部名物 ストライクアウト』、今ならすぐにご案内できまーーす!」

 

「二年B組自慢の『特製焼きそば』、今なら増量サービス中でーーす!」

 

「そこのお兄さん、一年E組の『焼き鳥』はどうです? クラスメイトが養鶏場に伝手があって、珍しい部位がたくさんありますよ!」

 

 

 

学校のあちこちで賑わう出店、一生懸命になってお客を呼ぶ売り子の声。さすがは私立高校、生徒の数が多いから出し物の数も相応の数になっている。

 

出店の種類も焼きそばやたこ焼きといった定番メニューから、ケバブに削り冷凍フルーツなど高校生にしては中々に変わり種が揃っているラインナップ。

 

 

「相変わらず賑やかだな~~~、人込みで上手く進めないぞ」

「ええ、一誠たちがいるオカルト研究部まで行くのが大変だわ」

 

 

俺は今、一誠の両親と一緒に駒王学園の学園祭にやって来ている。グレモリーにシトリー、それにイリナたちも今日は学園祭で掛かりきりでいないからね。

高天ヶ原に行くと武闘派の神様連中に付き合わされるし、俺自身も学園祭を楽しんだ記憶は無かった。

 

なので、ちょうど駒王学園の学園祭に行こうとしている一誠の両親とご一緒させてもらったというわけだ。

 

 

それにしてもホントに多いな~~~。駒王学園自体、この辺りでは一番大きな学校だし、生徒の数だって都内でもトップクラスに多い。

そのため生徒の関係者しか入場できないんだが、それでも来場数はどこぞのテーマパークにも匹敵する。

 

ちなみに俺はアーシア経由でチケットを貰っている。『気が向いたら是非来てください♪』とも言われてたしね♪

 

「呂布さん。私たちはこのままオカルト研究部に向かいますが、呂布さんはどうされます?」

 

「せっかくですし、色々と見て回られてはいかがですか? 色んな出し物があって見ているだけでも楽しいですよ♪」

 

三人で人の波に吞まれてると一誠の両親が気を遣ってくれる。

 

そうだね~~~、これだけ大きな学校であれば見るところも沢山ありそうだしなぁ。

オカルト研究部、というか朱乃やアーシアたちの様子については後からでも見に行けばいいし........................それじゃあご厚意に甘えさせてもらうとしますかね。

 

「....................分かりました。それでは........................一旦失礼します」

 

俺は二人に断りを入れると、人の隙間を縫うようにしてその場を後にした。

 

 

 

 

一誠の両親と別れた俺は校内をウロウロと散策していた。外の出店同様、定番であるお化け屋敷からカジノなんていう変わり種まで実にバリエーションが豊かだ。

 

俺としては特に食べ物以外には興味が無いんだけど、如何せん学生が作るものだからなぁ~~~~~~。

 

別に高校生だからということでバカにするわけじゃあない。ただ、こちとら海千山千のプロが作る料理を世界中で食べてきた身。そのためお金を払ってまで食べたいとはどうしても思わないのよね。

 

まぁ、その分お値段も安く設定されているから、値段相応と言えなくもないんだけどさ。

 

 

 

だから食べ物ではなく、まずは屋内から回ろうと散策してたんだけど....................................ん?

 

 

 

 

 

 

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「じゃあ、リアス。私はクラスのお手伝いに行ってくるわね」

 

「ええ、こっちは私たちに任せて。クラスの方はお願いね」

 

 

私はオカルト研究部の出し物である『オカルト館』をリアスや部員の皆にお願いし、クラスの出し物であるクレープ屋の手伝いに向かった。

 

基本的にクラスと部活動、どちらの出し物に協力するかは生徒の自由だ。けれど私たちは部活の出し物の準備を優先するあまり、クラスの方には全く協力できなかった。

 

なので、せめて学園祭本番ぐらいはクラスの方を手伝おうということで、私が手伝いに行くことになったのである。

 

何せウチのクラスメイトにはパティシエ候補の女の子がいて、その腕前は既にプロ顔負け。なんでも御両親が有名なパティシエで、その子自身もパティシエになるべく幼いころから修行しているらしい。

 

そんな子が作るクレープなのだから、学校内外問わず人気が出るのは簡単に予想がつく。しかも趣味が弓道で、弓道部のエースまで務めているというのだから、同年代ながらに大したものである。

 

 

クラスへ向かう途中、校舎内にはあちこちにカップルが楽しそうに学園祭を回っている姿が見える............................ふと私は、今までの自分の学園生活を思い返した。

 

リアスの眷属になる前、私は奉先様にふさわしい女になるべく自分を磨いていた。修行に習い事、学業だって疎かにしたことは一度も無い。

 

でも、そのために私の学園生活では『青春』と呼べる思い出は無かったように思える。クラスの皆とはそれなりに仲が良いけど、放課後や休日に一緒に遊びに行くといったことはしてこなかった。

 

今まで中学・高校と学園祭を何度か経験しているが、クラスの出し物や運営委員をやってばかりで、周りのカップルのように学園祭そのものを楽しんだことなど一度も無い。

 

思い返してみると、仕方ないとはいえ何とも味気ない学園生活である。私だって一応『年頃の女の子』なのだ、周りの皆のように学園生活を彩る思い出の一つぐらい欲しいと思ってしまう。

 

ましてや、今年は高校最後の学園祭。せっかく奉先様の婚約者となることが出来たのですから、奉先様をお誘いすれば良かった................................。

 

 

 

っ、いいえ、朱乃! アナタは何を考えているの!!  奉先様はご多忙の身でしょう? 毎日のように高天ヶ原で神々の相手をし、その合間でシトリーの皆に付きっきりで修行をつけている。

 

私たちグレモリーにだって、『蒼天の紅旗』や神々の反対を押し切ってまで面倒を見てくださっているのよ!

それなのにアナタは、これ以上奉先様のお手を煩わせるつもり? 自分のワガママで奉先様にご迷惑をお掛けしたのだから、いい加減自重なさい!

 

既に私は奉先様の『婚約者』という何物にも代えがたい立場を得ているのよ。私が一番に欲しかったものがようやく手に入ったというのに、この上まだ望むと言うの!?

 

 

そう、私は既に望んでいるものを手にしている。それもこれも周りの皆の支えと奉先様のお慈悲、そしてこれまでの努力の賜物に他ならない。

 

それを考えれば学園生活の青春など何てことは無い。今まで楽しめなかった分、これから奉先様と一緒に幸福な時を過ごしていけばいいんだ。

 

私は頭を振って邪な考えを払い、クラスへと歩を進める。

 

 

 

だが....................................................

 

 

 

「おい! スッゲエぞ、弓道部の出し物!! 何でも遠的で350メートル先の的のド真ん中に当てたらしい!!!」

 

「マジかよ!? でも、ウチの弓道部ってそんな凄かったっけ?」

 

「いや、どうにも生徒じゃないっぽい。ダチからのラインによると【紅色の髪をした男性】って話だ」

 

「そうなのか? 確かにこの学校で紅髪って言ったら、リアス先輩だけだしなぁ。もしかしてリアス先輩の親戚とか?」

 

「さぁ? とにかく俺たちも行ってみようぜ!」

 

 

男子グループが大急ぎで階段を下りて行くのが見えた。窓の外を見ると他の生徒や来賓の方々も校庭に向かっている。

 

弓道部の出し物と言えば、校庭を使った『遠的行射』だったはず........................それにしても350メートルの遠的というのは確かに凄い。

 

和弓の最大距離は400メートルと言われているけれど、それはあくまで『飛ばす距離』の話。『射ることが出来る距離』であれば、せいぜい80メートル程度が限界。

 

そのため弓道の遠的は一般的に60メートル程度、アーチェリーですら最長で90メートルぐらいで行われている。

 

その4倍もの距離を、しかも的の中心に当てるなんて........................................

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん? 紅髪の男性、常識離れした弓の腕前....................................っ、も、もしかしてっ!!!

 

私はある種の確信を持ち、逸る気持ちを抑えながら校庭へと向かった!!!

 

 

 

 

 

 

校庭に到着すると既に大勢の人が集まっていた。行射の場所と矢の軌道線を境に人が両端に分かれている。

 

 

『さぁ、続きまして380メートルに挑戦です! 果たして成功するのでしょうか!!』

 

 

380メートル!? もはや的に当てるだけで、オリンピックどころかギネス記録を狙える距離だわ!

たぶんここにいる人たちも全員、そんな世界記録の瞬間を見たいと思って集まってきたに違いない。

 

人が多すぎて近づこうにも全く近づけないため、止むを得ず校舎と校庭の間にある坂から魔力で視力を強化して見ようとする。

 

 

そこには............................弓道着に身を包んだ奉先様の姿があった!!!

 

 

予想していたとはいえ、どうして奉先様がここに!? それに何故弓道部の出し物に出ているの!?

 

私の頭の中にはいくつもの疑問が浮かぶけど、司会者の進行通りに奉先様が射勢を整える。

 

その瞬間、ガヤガヤと賑わっていた客が一斉に静まり返る。まるで奉先様の発する雰囲気に校庭全体が吞み込まれたようだった............................。

 

校庭の客全員に緊迫した空気が流れる中............................奉先様が矢を放った!

 

 

ヒュッ........................................トンッ!

 

 

『お見事ーーーーー! これまでと同じく、寸分違わず的の中央に的中させましたーーーーーー!!』

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオ............................!!!!!

 

 

奉先様の放った矢は、まるで吸い込まれるがごとく一直線に的の中心に刺さった!

それを見た司会者の言葉が会場の静寂を切った瞬間、観客たちが一斉に歓声と拍手を送る。

 

射勢は完璧。矢の軌道も山なりになることはなく、まさにレーザービームのように真っすぐ飛んでいった。

奉先様のことを知っている私にとっては不思議でも何でもないが、周囲の観客にとっては信じられない光景だろう。

 

それに奉先様なら当然だと思っていても、実際にあの美しい行射にはやはり感動してしまう。

 

 

奉先様が射勢を整えると同時に集中力を限界まで高める。その様子を見た観客たちは奉先様が発する雰囲気に吞まれ、辺り一帯が静寂に包まれる。

まるで時が止まったと感じるほどに張り詰めた空気の中、奉先様の一射にて観客たちには再び時間が戻る。

 

まさにこの場は奉先様によって支配された、謂わば『奉先様の世界そのもの』なのだ。

 

そんな世界に吞み込まれた私は感動と興奮で心身が痺れていた//////////////

 

 

『それではいよいよ次が最後となります! ラストは........................400メートルに挑戦です!! この前代未聞、前人未到の超長距離を成功させることが出来るのでしょうか!!!』

 

 

400メートル、ほぼ校庭の端から端までの距離になる。観客たちも『この世紀の一瞬を見逃してたまるか』という期待と『本当にそんなことが出来るのか』という不安に興奮と緊張が高まっていく。

 

ですが私には確信があった...........いえ、奉先様のことを知っている者ならば誰一人として疑ったりはしないだろう............................『奉先様なら出来る』と!!!

 

 

先ほどと同じように奉先様が射勢を整えると耳鳴りがするほどに周囲は静まり返り、この場は『奉先様の世界』となる。

 

そして................................『奉先様の世界』から『元の世界』へ戻るための一射が放たれた!

 

 

 

ヒュッ........................................トォンッ!

 

わああああああああああああああああああああああああああっっっっっっっっっ!!!!!!!!

 

 

 

奉先様の矢は先ほどと寸分違わず的の中央へと刺さった!! その瞬間、観客たちは『自分の時間』を取り戻し大喝采を挙げる!!!

 

『成功です! まさに世紀の一瞬が今、私たちの目の前で起こりました!! 素晴らしい行射を披露していただいたこの方に、皆さま今一度盛大な拍手をお願いします!!!』

 

 

司会者の合図とともに会場の観客から惜しみない拍手が割れんばかりに奉先様へと送られるのだった............................。

 

 

 

 

 

 

 

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「凄かったです! あんな長距離での行射、わたし見たことありません!!」

「ホントホント、しかも1ミリもズレなく全く同じところに当てるんですから!!!」

「うんうん! 射勢もスッゴく綺麗でしたし....................わたし、感動しちゃいました!!!」

 

弓道部の助っ人をこなした俺は着替えも済ませたところで、部員たちからお礼を言われまくっていた。そんな中、今回の依頼人である弓道部のエースの子が松葉杖を使い前に出てくる。

 

 

「蓮さん、ありがとうございました! おかげで弓道部の出し物は大成功です♪ 本当に、なんてお礼を言ったらいいのか................................」

 

「....................別に構わない....................役に立てたなら何よりだ。それに................報酬も貰うことだしな」

 

「はい、任せてください! 腕によりを掛けてご馳走しちゃいます♪」

 

俺が『報酬よろしくね♪』と伝えると、依頼人も満面の笑顔で返事をしてくれる。さてさて、プロ顔負けの腕前というぐらいだからね。こりゃあ楽しみだ♪

 

 

 

「奉先っ、じゃなかった...................オホン、蓮様!」

 

 

さっそく報酬をいただきに校庭を後にしようとしたところで、奥から朱乃がやって来た。

 

あんなに慌ててどうしたんだろう? もしかしてオカルト研究部の出し物で何かあったとか?

 

 

「朱乃........................どうかしたのか?」

 

「ハァ、ハァ、い、いえ、蓮様のお姿が見えたもので....................蓮様はどうしてこちらへ? それに何故、弓道部の出し物に出ているのですか?」

 

朱乃が息を切らせながら尋ねてくるので、俺は何があったのかを説明した。

 

 

今日はシトリーもグレモリーもいなかったので、予定が空いた俺は一誠の両親と一緒に学園祭に来たこと。

一誠の両親と分かれた俺が校内を散策していると階段から転げ落ちて足を捻挫している弓道部の子を見つけたこと。

すぐに保健室で診てもらい、骨に異常は無かったがしばらくは松葉杖生活になること。

その子が弓道部のエースで、これから校庭で出し物をやる予定だったこと。

 

そして....................その子が将来パティシエになるのが夢で、既にプロ顔負けの腕前だということ。

その出し物に俺が助っ人として出る代わりにその子が作ったスイーツをご馳走してもらうことになったこと。

 

事情を話し終えると朱乃はクスクスと笑いながら納得してくれた。

 

 

「ふふふ、蓮様ったら♪ 本当にしょうがないんですから♪」

 

 

何がそんなに面白いのか分からない俺だったが、楽しそうに笑っている朱乃を見て周りの弓道部の子が不思議そうに見ている。

 

「姫島先輩って、あんな風に笑うんだ........................」

「うん、いつもは『THE・大和撫子』って感じで貞淑な感じなのにね」

「うわぁ、これは完全にアレですね........................」

 

ひとしきり話し終えると一年生の子が俺と朱乃に目をキラキラさせながら尋ねてきた。

 

「あ、あの! お二人はどのような関係なのでしょうか! も、も、も、もしかして、蓮さんは姫島先輩の、『恋人』なのでしょうか!!」

 

相当緊張しているのか、噛み噛みながらもそれでいて年頃の女の子ならではの好奇心には勝てない模様。

 

 

「こ、恋人!? え、えっと、その......................../////////」

 

 

この手の話題は年頃の女の子すらも一騎当千の猛将と化すのだろう。その勢いに押されて、いつもは頼もしい朱乃もたどたどしくなってしまう。

 

仕方ないので、俺が朱乃を背中に隠す形で前に出る。

 

 

「フルフル....................違う」

 

「え? れ、蓮、様................................」

 

「? そうなんですか? じゃあどんなご関係なんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『恋人』じゃなくて........................『婚約者』」

 

「ッッッッッッッ!!! ッ~~~~~~~//////////////」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「えええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、弓道部の子たちが大声で驚くも即座にフィーバータイムとなり............................何故か朱乃のクラスに連れてこられてしまった。

 

しかも俺と朱乃のためにわざわざテーブルとイスまで用意してくれている。ただ周りには、弓道部だけではなく朱乃のクラスメイトまでいるという状況。

 

どうやら俺と朱乃のことをもっと詳しく聞きたいらしい。

 

特に朱乃が顔を真っ赤にさせて恥ずかしがっている姿が珍しかったのか、男女一緒に騒ぐわ悶絶するわで大騒ぎ。

 

『クラスの出店の方はいいの?』って聞いてみても、『大丈夫です! 後で巻き返しますので!!』とクラス一丸となって力説されてしまった。

 

まさかクラスの出し物まで中断するとはねぇ....................まぁ俺としては報酬のスイーツをご馳走になれれば、それでいいんだけどさ。

 

報酬についてはクラスに到着するなり、依頼人が椅子に座りながらも手慣れた手つきでクレープ....................正確には蕎麦粉を使ってるから、『ガレット』を焼いて俺と朱乃の分のスイーツを作ってくれた。

 

う~~~~ん♪ この蕎麦粉が焦げる独特の香ばしさが堪らない! 早く食べたいっ!!

 

 

 

「オホン、それではこれより........................姫島さんと蓮さんについての一問一答を始めたいと思います!」

 

一仕事やり終えた依頼人さんが、今度はクラスの代表として進行役を任された模様。彼女の合図と共にクラスの子が高校生らしいノリではしゃぎだす。

 

自分のことが話題にされているのが恥ずかしいのか、朱乃はさっきから無言で顔を真っ赤にし俯いている。

一方の俺はせっかく作ってくれたスイーツが冷めてしまうので、『早く食べたい』とスイーツに目が釘付けだった。

 

「え~~~~、まず確認します。お二人は『恋人』ではなく『婚約者』ということですが、それは既に互いの両親へ結婚の挨拶も済ませているということで良いでしょうか?」

 

初っ端から中々攻めたこと聞いてくるね。めっちゃ鼻息が荒いけど、本当に捻挫してるの?

 

 

「ん....................俺の両親はこの世にいないが................朱乃の両親には....................結婚を認めてもらっている。

家にも泊めてもらったことがあるし............................今は一緒に暮らしている」

 

「っ~~~~~~~~///////////////」

 

 

「「「「きゃああああああああああああっっっっっ!!!!!」」」」

「「「「もうおしまいだああああああああああああっっっっ!!!!!」」」」

 

俺が答えると女子は黄色い声を挙げ、男子は『俺たちは今........................地獄にいる』と言わんばかりに絶望している。

進行役の子が皆を必死に落ち着かせており、俺はその間にスイーツをいただくことにした。

 

 

頬張った瞬間に広がる素敵な甘さと生地の香ばしさに俺は酔いしれる。コクがありながらも、それでいてクリーム独特の油っぽさを感じない。

 

これは............................なるほど、生クリームじゃなくて『イタリアンメレンゲ』を使ったんだな! しかもシロップじゃなくて、ハチミツを入れて作ってある。

 

それにこのスイーツ、よく味わってみると砂糖を一切使わず、ハチミツだけで甘さを出している............................そうか! これは味だけじゃなく食べる人の健康にも配慮した一品なんだ!

 

使っている生地は蕎麦粉100%の『ガレット』。コクは生クリームではなく『イタリアンメレンゲ』。甘味は砂糖ではなく『ハチミツ』にすることで、カロリーを抑えつつ身体にも良い料理になっている!!

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ....................そ、それでは、蓮さんのご家族には触れず、且つお二人のプライベートに配慮したうえで、一人につき一つの質問を許可します」

 

俺がスイーツを味わっていると進行役が息を切らせながら、騒ぐクラスメイトを何とか収拾をつけた。

 

何としても進行役を全うするその精神は見事だけど、キミってパティシエになるのが夢だったんじゃないの? その職人魂はいったいどこからくるのやら............................。

 

クラスメイトが順番に質問をしていくのだが、そのほとんどが朱乃への質問だった。どうやら顔を真っ赤にしている朱乃が珍しいみたいで、俺との出会いから結婚に至るまでの経緯。

それから休みはどこに出かけているのか、挙式はいつ頃を予定しているのか等々質問攻めにされていた。

 

俺が『家族はいない』と言ったことで気を遣ってくれたのか........................とりあえずこちらへの質問は無いみたいなので、俺はスイーツをいただくことにする。

 

 

ゴメンね、朱乃。今はスイーツの時間なんだ、頑張って!

 

 

そうして食べ続けていくうちに、またもや新しい発見があった! このスイーツに使われている果物、生じゃなくてハチミツに漬け込んだものだ。

 

使っているのはベリー系のフルーツ、それをハチミツに漬け込むことで生では味わえないコクのある甘みと酸味を演出している。

そしてこのスイーツに使われているベリーソース、これはフルーツを漬け込んだハチミツを煮詰めて作ったものだ!

 

となると........................うん、『イタリアンメレンゲ』からもフルーツの風味がする。なるほどね~~~~、つまりこのスイーツの味の決め手は『ハチミツ』だったってことか。

 

『イタリアンメレンゲ』『ベリーソース』、これらにフルーツを漬け込んだハチミツを使うことで味に一体感を出しているんだ。

 

高校生でありながら食べる人への健康に配慮しつつ、ここまでの完成度を誇るとは............................良い仕事してますね~~~~~♪

 

 

 

「素敵! 自分が襲われているところに颯爽と現れて助けてくれるなんて!!」

「しかもそれ以来ずっと行方が分からなかったのに、つい最近になって再会出来たんでしょう! 完全にドラマの世界だわ!!」

「うんうん! もうそこらへんのラブロマンス映画なんか目じゃないくらいの感動ストーリーだよ!!!」

 

「ちっきしょーーーーーー! それじゃあ俺たちに勝ち目なんか無えじゃねえかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「姫島さんが『心に決めた人がいる』ってアレ、告白を断るための方便じゃなかったんだな」

「ああ、これが絶望ってヤツか............................神なんかどこにもいなかったんだーーーーーーーーーー!!!」

 

「でもさ~~~、姫島さんの家にお泊りして今は一緒に暮らしてるんでしょ? それって、『不純異性交遊』になるんじゃない?」

「いいえ、『不純異性交遊』というのは社会性・将来性の無い男女の交際を指します。両親が認めていて、しかも将来を誓い合っているのであれば何の問題もありません。むしろ『正しい交際』として生徒の模範としても良いくらいです」

「おお、流石は風紀委員!」

 

 

恥ずかしがりながらも皆の質問に律儀に答えてあげる朱乃。女子はやっぱりこういう話は三度のメシとデザートよりも大好物なため、テンションがキョダイマックス状態。

 

一方の男子は全員肩を落としてガックリしている。それはもう、聖職者が神の死を知ったかのように打ちひしがれていた................................神は死んだよ、生まれ変わってベガス行ってる。

 

 

「それでは最後に私から蓮さんに質問します............................ズバリ、姫島さんのどこを好きになりましたか!!!」

 

俺がスイーツの完成度に満足していると、いつの間にやら皆の質問が終わっていたらしい。進行役の子が俺にニュースキャスターばりに迫ってきた。

 

一問一答じゃなかったの? それも質問の内に入るんじゃない?  最初の確認と合わせて二つ質問してるよね、キミ。

 

まぁ、細かいことはいいか。騒いでいたクラスメイトも男女に関わらず静まり返っているし、朱乃も顔を真っ赤にさせながらもジッとこっちを見てくるし。

 

 

それにしても............................う~~~~ん、『朱乃のどこを好きになったか』ねぇ。定番と言えば定番だけど、改めて考えると難しい質問だよな~~~~。

 

好きなところを挙げるのは簡単だ、でもそれじゃあ『その部分が無くなったら嫌いになるのか?』という疑問が出てくるし。

 

そもそもその程度の気持ちで『交際』、ましてや『婚約』なんかしたらダメだろう。

 

でも、じゃあなんて答えればいいかとなると............................しょうがない、思ったことをそのまま言おう。

 

 

「........................正直、『誰かを好きになる』ということは............................今でも分からない」

 

「....................................え?」

 

「? どういうことですか? 姫島さんのことが『好き』だから婚約したんですよね?」

 

「普通なら........................そうなんだと思う。だが俺は....................朱乃のことが『好き』だから....................『婚約』したわけじゃない」

 

「!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

俺が質問に答えると、恥ずかしがっていた朱乃の顔が途端に悲しみの表情になる。そんな朱乃を見て、クラスの子たちもどうすればいいか戸惑ってしまった様子。

 

クラスの空気が一変する中、俺はストレートに自分の気持ちを伝えた。

 

 

「俺が朱乃と婚約したのは........................俺の心が........................『姫島朱乃』という女性を....................求めたからだ」

 

「ッッッッッッッ!!!」

 

「? 心が求めた?」

 

「コクン、俺の人生が....................『姫島朱乃』という女性がいないと成り立たないくらいに........................彼女のことを必要としているから。

『姫島朱乃』という女性がいない人生はもう........................考えられない、戻れないと思えるくらい........................彼女のことが必要となってしまった」

 

「っ~~~~~~~~~//////////」

 

「それが『人を好きになる』ことなのかは分からない........................この気持ちが『愛』と呼ばれるものなのかも分からない。

でも、俺の人生には間違いなく........................『姫島朱乃』が必要なのだと分かっていれば............................それで十分だと思っている」

 

 

「「「「................................................」」」」

 

 

俺は自分の思っていることをありのまま話した。前世も含めて女性と付き合ったことなんか無かったチェリーボーイな俺では、偉そうに恋愛観など語ることなど出来はしない。

 

俺は自分が生粋のコミュ障であり、特に女性関係のことについてはズブの素人であることを自覚している........................けれど不本意ながらハーレムとなってしまった。これほどコミュ障殺しな環境は無いだろう。

 

だが人間、自分の立場や環境まではコントロール出来るもんじゃないからね。これはこれで仕方ないと受け入れるしかない。

 

 

人間社会で最も必要な能力は、学力でもなければ経済力でもない。【他者と上手く付き合える能力】だ。

 

学生時代は『好きなヤツとだけ付き合い、嫌いなヤツには関わらない』なんてことを考えていた。確かに学生時代ならそれでもいいだろう。

 

でも、社会に出ればそんな考えは全く通用しないことを思い知った。社会人になれば嫌いなヤツともそれなりに付き合っていかないと仕事が回らないからな。

 

学生時代に『嫌いなヤツとの付き合い方』を学んでおかなかったせいで、社会人になってからは苦労した........................しかも未だにコミュ障は克服出来てないしね。

 

 

だから、女性関係含めて人とのコミュニケーションについては朱乃たち奥さんチームを頼るつもりだ。人間関係の構築やコミュニケーションは女性陣の方が得意だろうしね。

 

幸いにも各勢力から1人ずつ選ばれるみたいだから、それぞれの勢力について任せることにしよう。念のため、相談役にレイヴェルを据えれば大きな問題にはならないはずだ。

 

朱乃を始めとするハーレムメンバーは、そんなコミュ障な俺の『足りないこと』『苦手なこと』を補ってくれて、且つ自分のことを好きになってくれている大切な存在。

 

普通は相手のことが『好きだから』付き合ったりするもんなんだろう。確かに『きっかけ』としてはそれでも良いのかもしれない。

 

でもね、得手不得手は別として....................『人付き合い』に関しては、キミたちよりも倍以上経験してきた大人だから言わせてもらう。

 

 

いつまでも『好きだから』が通用するほど、人生や人間関係は甘くないっ!!!

 

 

『好きだから』『嫌いだから』で人間関係が片付くなら、これほど楽なことはないからね。大事なことほど感情論ではなく、理知的に考えなきゃならないんだ。

 

『愛』と『必要』がどう結びつくか。これは凄く乱暴な言い方とはなるが............................物だろうと人だろうと『自分にとって必要不可欠な存在』であれば誰だって大切にするだろうし、長く付き合えば愛着だって沸くだろう。

 

だからこそ俺は、朱乃やアーシアを始め【彼女たちの全てが自分の人生にとって必要不可欠だ】だと認識してるし、それが自分なりの『愛する』ということなのだとも思っている。

 

これで朱乃たちに嫌われたら............................その時は土下座&五体投地でとにかく謝ろう!

 

 

けれど、朱乃も皆も全く反応してくれない。やっぱり難しすぎたか、世間一般とズレすぎて理解できていないかもしれない。

 

そりゃあ女友達すらいなかったコミュ障の恋愛観なんかじゃあ........................................

 

 

 

「「「「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!!!」」」」

 

 

 

突如押し寄せてくる女性陣の声! たかだか十数人程度の声量なのに学園全体を揺るがすほどだ!! まさか俺の『見聞色の覇気』や『直観』すらも超えてくるとはっ!!!

 

 

「素敵! 素敵過ぎるよ!! そこらへんのプロポーズなんかとは比べ物にならないくらいの殺し文句だよ!!!」

「しかもこんな人前でハッキリと言ってくれるなんて............................! 私も一度でいいからそこまで言われたい!!」

「これは『愛』、間違いなく『愛』だわ!! 理屈抜きで相手の全てが必要だなんて........................これが『誰かを愛する』ということなのねっ!!!」

 

「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!! これが姫島さんを落としたテクかぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「でも............................姫島さんが好きになるのも分かる気がするよ」

「ああ、男の俺たちですら『カッコいい!』って思っちまったからな」

 

 

どうやら拙い俺の言い方でもちゃんと伝わってくれたみたいだ。それにしても、朱乃のことでここまで盛り上がってくれるなんてね。

 

最近では珍しい、とても良い子たちじゃないか。朱乃は良いクラスメイトに恵まれたみたいだ。

 

 

「朱乃........................良い友人に恵まれたな....................ん?」

 

「♪~~♪~~♪~~♪//////////////」

 

俺が朱乃の方を向くと、朱乃が無言で近づいてきて俺の腕にギュッと抱きついてくる。

 

いや、そればかりか子供や猫が甘えるように頭をスリスリと擦りつけてきた。

しかも朱乃が動くたびに俺の腕が柔らかいものでグニュグニュと形を変える!!!

 

朱乃ってば、いつのまにこんなテクをっ................................恐ろしい子っ!!!

 

 

「うわぁ、姫島さんったらあんなに嬉しそうに甘えてる~~~♪」

「ホント、意外だわ。あの姫島さんがあんなに『女の顔』を見せるなんて............................」

「もうハートが見えるくらいに飛びまくってて、姫島さんそのものがハートで出来てるんじゃないかと思えちゃうよ」

 

「ぐはぁっ! あ、あの姫島さんの姿........................尊すぎるっ!!!!」

「確かに凄まじいな、でもあんなに密着されてるのに顔色一つ変えない婚約者さんはもっと凄い」

「バッカお前、ここで鼻の下を伸ばすようなヤツが姫島さんの婚約者になれるわけねえだろ」

 

「ねえ、このスイーツ甘すぎじゃない? 口の中が物凄く甘ったるいんだけど。どんだけ蜂蜜ブチ込んだの?」

「はぁ? バカ言ってんじゃないわよ。こちとら子供の頃からプロである親のシゴキを受けてんのよ? スイーツの命である材料の分量計算を間違えるわけないでしょーが」

 

 

とりあえず用事を終えた俺はクラスを後にしようとするんだが、その時にクラス全員が『ここは自分たちに任せて、姫島さんは二人で学園祭を回ってください!』と言われた。

 

何でも良い体験をさせてもらったお礼だそうだ。そう言われた朱乃も流石に悪いと思ったのか、断ろうとするも結局押し切られてしまった。

 

 

せっかくの厚意を無下にするのも悪いので、俺は朱乃を説得し二人で学園祭を回ることにした。いやはや、本当に良い子たちだこと♪

 

最初は申し訳なさそうにしていた朱乃も俺の腕を抱きながら回り始めると、途端に上機嫌となり終始嬉しそうにしていた。

 

何だかんだで年頃の女の子なんだろう。俺は学園祭を回りつつ楽しそうにする朱乃を見て、俺自身も学園祭を楽しむのだった。

 

なお、俺と朱乃が二人で学園祭を回ったと知ったアーシアが可愛らしく怒っていたため、後日オーフィスと俺とアーシアの三人でデートすることになったのはここだけの話。

 

 

 

 

 

 

後日........................呂布の400メートル行射がネットやSNSに動画として投稿され、駒王学園にはメディアやスカウトからの問い合わせが殺到。

 

その対応に駒王学園の教師陣やソーナたち生徒会が駆り出されたばかりか、理事であるグレモリーまで裏で手を回して事態を収拾することになったのだが................................当の呂布本人は何一つ知らないのであった。

 

 

 






呂布の恋愛観はあくまで呂布独自のものです。ただ朱乃たちは呂布に頼られることが素直に嬉しいので、奇跡的に噛み合っているような状態です。

【必要だから愛するのではありません! 愛しているから必要なのです!】とどこぞのピンク髪の総裁さんは言っていましたが............................結局『卵が先か、鶏が先か』の話になるのではなないかと個人的には思います。

それでは皆さん、次回で♪
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