やっぱりメインヒロインの1人ということで、タマモについてもエピソードを入れたいと思います。
ただタマモについてはバトルシーンが入るため、三話ぐらい使うと思います。
時期としては修学旅行が終わって間もなくの頃です。
前話の続きを期待されていた方は申し訳ありません。前話は一話完結でしたので、後日談なんかは考えてませんでした! ご了承願います!!
秋も深くなってきて、夕日が釣瓶の如く落ちる今日この頃。俺とタマモはいつものように高天ヶ原と『蒼天の紅旗』の支部を行ったり来たりしながら仕事をこなし、ようやく一誠の家に帰ってきた。
転移魔術のおかげで帰るのは一瞬だから楽ちん楽ちん♪ 前世の頃は通勤&帰宅電車のラッシュで一時間半ほど毎日立ちっぱなしだったからね。
「はい、到着ですわ♪ 呂布殿、本日も神々のお相手お疲れ様ですわ♪」
「ん........................タマモもお疲れ」
いきなり部屋に転移するのも何だったので、いつも訓練で使っているトレーニングルームに転移する俺とタマモ。
しかしトレーニングルームには誰もいなかった............................おかしいな、いつもこの時間なら誰か一人ぐらいは自主トレをしているのに。
「........................誰もいないな」
「ですわねぇ........................ああ、そう言えば、今日から駒王学園の学園祭の準備があるので、皆さま帰りは遅くなると仰ってましたわよ」
あ~~~、何かそんなこと言ってたね。シトリーとロスヴァイセは監督側、グレモリー&『蒼天の紅旗』+ヴァーリはオカルト研究部の出し物で忙しくなるらしい。
特にオカルト研究部はリアスや朱乃が最後の学園祭ということで、結構大掛かりな出し物にするんだとか............................しかし、あのヴァーリが学園祭ねぇ。渋々手伝わされている姿が容易に想像つくよ。
けどそうか~~~、皆がいないんじゃやることが無くなってしまうな。クロウ・クルワッハとは今朝に戦ったばかりだし、その後も高天ヶ原の神々とも戦ったから正直もうバトりたくない。
う~~~ん、ならせっかくだし今晩は俺がご飯を作るとするか。普段は朱乃たちが一誠の母親と一緒に作っているけど、帰りが遅くなるんなら手伝わせるのも酷な話だしね。
「そうですわ! 呂布殿、せっかく時間が余ったのですから、ワタクシに少しお付き合い願いませんか?」
俺が今晩の夕食の献立を考えているとタマモが何やら頼んでくる。別にいいけど、夕食を準備したいから手短にね?
「構わないが........................何に付き合うんだ?」
「はい。ここしばらく『初代様の力』を補充していなかったので、久しぶりにアレをお願いします♪」
ご機嫌なタマモの話を聞いてすぐにピンときた。『アレ』か~~~~。確かにここ最近やってなかったけど、今日はもう戦いたくないんだよねぇ。
でもタマモがこう言ってくるってことは、そろそろ『初代の力』が底を尽きそうなんだろう................................仕方ない、夕食については一誠のお母さんにお願いするとしよう。
「....................わかった........................じゃあ、やるぞ」
「はい! お願いいたしますわ、呂布殿♪」
俺は拳を前に突き出すとタマモも俺に拳を合わせる。そして俺がタマモの精神の中に入ろうとしたところで、タマモが急に笑い出した。
「フフフ♪ 『アレ』をやるといつも思い出しますわ。呂布殿が初めて『初代様の力』をコントロールするのに協力してくださった時のことを............................」
初めて協力したって............................ああ、あの時のことね。アレはアレで大変だったなぁ~~~~~。
話をしよう、アレは今から36万........................いや、4年くらい前のことだ。ヤツにはいくつもの名前があるから、何て呼べばいいのか。
確か最初に会った時は........................ついつい『あの名前』で呼んでしまった。
以来アイツはその名前が気に入ってしまったらしくてな、俺が呼ぶ時はその名前で呼ぶようにと言われたよ。
【コヤンスカヤ】、アイツは本当に人の言うことを聞かないヤツだった................................。
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「ふっふっふっふっ♪ まさか『蒼天の紅旗』としての最初の仕事が妾だとはのう、これも運命というものかえ? そうは思わんか、呂布」
今日は『蒼天の紅旗』が設立されてからの初仕事で高天ヶ原に来ていた。俺の仕事は主に神様からの依頼であり、神様連中が順番に俺を指名してくる。
他の仕事は曹操とか参謀役がメンバーの力量に合わせて振っているんだけど、俺の場合は神様が相手だから他の皆では荷が重い。
だから俺が各神話群に直接出向く必要があって大変なんだけど............................その分、報酬も良いから断るに断れない。まったく、困った上客だよ。
「................................ただの偶然だ」
「なんじゃ、つまらんのう。せっかくお気に入りの日本に来たんじゃから、もっと嬉しそうにせんか」
そりゃあ日本を気に入ってるのは事実だし、観光目的なら飛び跳ねるくらい喜ぶけどさ~~~。でも今日は仕事だからねぇ?
前世でも出張でアチコチ飛び回ったけど、会社は『仕事が終わったらさっさと帰ってこい』という精神だったから観光なんてロクに出来なかったよ。
「今日は仕事で来ている........................それで、今回の依頼というのは?」
「真面目じゃのう........................まぁ、良い。今回の依頼じゃが、いつも通り建御雷たちの相手............と言いたいところなんじゃが、せっかく呂布が来てくれたので別のことを頼みたい」
「? 別のこと?」
「うむ。実はな、『この者』の面倒を見てもらいたいのじゃ。これ、入ってまいれ!」
はて? いつもなら高天ヶ原の脳筋共のガス抜きをさせる天照が別件とは珍しい。それに『面倒を見る』って............................誰の?
天照が呼びかけると奥にある襖が開き、中から青い着物姿の狐耳娘が三つ指を着いて出てきた。
っ、こ、この娘って、もしかして............................!
「お呼びにより参上いたしました、天照様」
「うむ、この者が話をしていた呂布奉先じゃ。ほれ、挨拶せい」
「はい。お初にお目にかかります、呂布奉先殿。ワタクシは妖狐族の『玉藻の前』と申します、以後お見知りおき下さいまし」
ピンク掛かった茶髪、肩はおろか胸まで大きく開いた裾の短い着物。そして極めつけが頭部に生えている狐耳....................................間違いない。
モロにFGOの『玉藻の前』だあああああああああああああああああああああああっっっっっ!!!!!!!
マ、マ、マ、マ、マジかよ! FGOの看板キャラの1人にして『Fate』シリーズでも屈指の人気キャラである、あの『玉藻の前』こと『タマモ』!?
そりゃあモードレットにギャラハッド。アストルフォにシャルルまでいる世界だからタマモがいても不思議じゃないけど、まさか高天ヶ原にいたとは................................!
「クックックッ♪ 呂布のそこまで驚いた顔は初めて見たわ。その顔が見れただけでも、コヤツと引き合わせて良かったのう♪」
俺が驚いていると天照は面白い物でも見たかのように愉快に笑いかけてきた。そして天照が今回の依頼について説明を始める。
どうやらこの狐耳娘さんは『玉藻の前』その人ではなく、子孫であるらしい。
そして『初代玉藻の前』の血を引く妖狐族は数多くいるが、その中で最も初代の力を受け継いだ者が『玉藻の前』という名前を襲名し妖狐族の長となるんだとか。
そのため妖狐族の長はわりと頻繁に入れ替わっているとのこと。もっとも、それでも何年かに一度の割合みたいらしい。
そしてこの娘が今代の『玉藻の前』であり、歴代の中で最も力を受け継ぎ『初代の生まれ変わり』とまで称されているほどだそうだ。
ただそのせいで一度『初代の力』を暴走させてしまったことがあり、以降は天照の眷属としてこの高天ヶ原で力を使いこなすべく修行を行っているとのこと。
「そういうわけで、おぬしにはコヤツが『初代の力』をコントロール出来るように面倒を見てほしいのじゃ」
「........................それは分かったが....................何故おれに?」
「おぬしは『力』というものを誰よりも理解しておるからな。なにせ人間でありながら、妾たち神々すら圧倒するほどの強者。
おぬしならきっと、コヤツが『初代の力』を使いこなせるよう育ててくれるはずじゃ」
ふ~~~ん。まぁ、それが仕事ということならやるけどね。しっかし、『初代の力』を使いこなせるように育てろとは................................とりあえず『初代の力』とやらを知ることから始めるとしますか。
「やり方はおぬしに任せる。しかと頼んだぞ」
「ん、わかった............................よろしくな、『タマモ』」
「はい、よろしくお願いいたします........................って、タマモ?」
「ん、『玉藻の前』というのは............................呼びにくい。『タマモ』の方が................呼びやすいし....................親しみやすい」
「........................................................」
ありゃ? さっきまで『ニ~コニッコど~がっ♪』と言わんばかりに笑ってたのに、急に口をポカ~ンと開けている。
もしかして嫌だった? だってFGOじゃあ、いつもそう呼んでるからさぁ。
「............................ダメか?」
「っ、い、いえ! そのようなことは決して....................ただ、初対面のワタクシにそこまで親しくしてくれるとは思っていませんでしたので............................//////////////」
俺が尋ねると今度は急に慌てて両手を振り、顔を真っ赤にさせながら俯いてしまった。
あ~~~、確かに初対面の相手にいきなり愛称で呼ぶのは馴れ馴れしかったかもね。
でも仕方が無い、だって『玉藻の前』の愛称は『タマモ』か『タマモヴィッチ』のどちらか。これ万国共通!
「そうか........................ダメじゃないなら良かった....................これからよろしく」
「は、はい♪ よろしくご指導願います、呂布奉先殿/////////////」
「カーッカッカッカッカッ♪ 呂布もなかなかスミに置けんヤツじゃわ! クックックック、二人とも、しっかり『励め』よ♪」
俺とタマモの様子を見た天照がさっきよりもご機嫌に笑い声を上げる。何がそんなに嬉しいのかは分からないけど、初仕事なんだし頑張らないとな。
こうして俺の初仕事は『タマモに初代の力をコントロールさせる』こととなった....................................。
それから俺とタマモは二人で修行を始めた。とりあえずタマモには『蒼天の紅旗』でやっているように、『六式体術』の修行で身体を鍛えつつ『燃』による精神修養をやらせた。
ただ流石にこの短い期間で『六式体術』は会得させられないからね、あくまでこれは身体を鍛え、オーラの総量を増やすのが目的だ。
そして『燃』によってタマモ自身の力をコントロールさせやすくしつつ『魔力』............いや、日本なら『霊力』や『妖力』か。精神エネルギーの総量を増やす。
オーラと妖力の総量を増やせば、必然的に『チャクラ』の量も増える。この短期間で『チャクラ』の使い方を覚えさせ、最後に自然エネルギーと融合し『仙術チャクラ』の基礎を会得させるのが大まかな修行の流れだ。
修行内容と最終到達地点を説明すると『流石は呂布殿ですわ♪』と納得し、修行に励んでくれた。
やはり俺の見立て通り、タマモはキャスタークラスばりに魔力............もといエネルギーの扱いに長けており、すぐにチャクラコントロールまで身につけてしまった。
それどころか『不動の姿勢』にて自然エネルギーを取り込むことにも成功し、俺の予想を上回るスピードで『仙術チャクラ』まで安定して練り上げられるようになった。
これなら仙術チャクラを使った体術である『闘仙術』まで覚えられるな。その他の仙術については、タマモが今覚えている妖術を仙術チャクラで行えばいい。
しっかし、ここまで覚えが早いとは........................なにこのFGOばりのハイスペックちゃん。
そうして『闘仙術』の修行をつけていくと日が経つのも早いもので、俺の日本での滞在期間が目前となり........................いよいよ修行の総仕上げ、【最終試練】の前日となった。
「........................明日だな」
「はい、とうとうこの日がやって来たのですね」
俺は天照に用意された屋敷でタマモが作ってくれた夕食を一緒に食べていた。タマモには明日やることを既に伝えてある。
この修行が始まる前、俺は『初代の力』について調べるため、『エイト・センシズ』でタマモの魂や精神体を探った(もちろんタマモに許可を貰っている)
俺が調べたところ『初代の力』というのは、『初代玉藻の前の意思』と『初代玉藻の前のチャクラ』によって形成されているみたいだ。
タマモが『初代の力』をコントロールするには、『初代玉藻の前の意思』からチャクラのみを剥ぎ取らないといけない。
そのためには自分の意思で『初代玉藻の前の意思』を跳ね除けるわけなんだが............................この『初代玉藻の前の意思』ってのが、とんでもない暴れ者で問題児。
隙さえあればタマモのことを支配しようとしているらしく、俺が『エイト・センシズ』で探った時も突っかかって来やがった!
せっかくこっちが話し合いで解決しようとしているのに全く聞く耳持たず。あまりにも暴れ回るもんだから『六道の力』&『エイト・センシズ』でガッチリ封印して身動きできないようにしてきたよ。
俺が封印したことでとりあえずタマモが乗っ取られることは無くなったんだが、このままでは『初代玉藻の前の力』を引き出すことは出来ない。
だから明日はタマモに封印の鍵を渡して、タマモの方から『初代玉藻の前の意思』に会いに行かせる。
そしてタマモが無事に『初代玉藻の前の意思』からチャクラのみをぶんどってくれば成功、ミッションコンプリートだ。
「呂布殿には感謝してもしきれませんわ。天照様からの依頼とはいえ、ここまでワタクシに親身になり鍛えてくださったんですもの」
「気にするな....................それにまだ終わってはいない....................礼は明日の試練が終わるまで........................取っておけ」
あの陰険狐は一筋縄じゃいかないからね。なにせ自分のチャクラを子々孫々まで受け継がせて復活を図ろうとしてたぐらいだし。
まったく、お前は【NARUTO】の大蛇丸か大筒木カグヤかっつーの!
俺が陰湿野郎の代名詞たちを思い返しているとタマモが箸を置いて、俺の方をジッと見てくる。その瞳は潤んでおり、今にも泣きそうだった。
「はい........................ですが、呂布殿に感謝しているのはそれだけではありません」
「? どういうことだ?」
「........................あの日、天照様に呼ばれて呂布殿とお会いした日から....................ワタクシは貴方様に救われていたのです」
タマモはそう言うとこれまでのことを........................天照に拾われ、高天ヶ原にやってくる前のことを教えてくれた。
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ワタクシは生まれながらにして強い力を持っていた............................それは『初代玉藻の前』様の力。
この力を持っている妖狐族は数入れど、ワタクシほど力を強く継承した者はいなかった。
妖狐族は生まれてすぐに『初代様の力』をどれだけ受け継いでいるかを調べられる。そしてその才量で序列や立場が決まり、里で一番強く受け継いだ者は『玉藻の前』の名を襲名する。
そのためワタクシは生まれてすぐに『玉藻の前』を襲名し、物心付いた時には妖狐族の長となっていた。
さらに妖狐族は古くから神々の眷属としても扱われており、妖怪の立場の中でも上位の存在である。
実際、力はワタクシほどではないにしても、容姿など初代様の特徴を色濃く受け継いでいる『八坂』様は京都の妖怪の大将である。
そのうえ日本でも屈指の術式都市『京都』の守護を任されている。
八坂様ですらそれほどの待遇なのだ。その八坂様よりも遥かに強く初代様の力を受け継いだワタクシなら、京都どころか日本中の妖怪の頂点に君臨することも夢ではない。
ワタクシ自身そう思っていましたし、周りの者たちも『貴方様なら出来ます!』とワタクシをもてはやしていた。
だからだろうか............................ワタクシは初代様の力を『自分自身の力』だと勘違いし、驕りが過ぎるようになってしまったのは。
周りの者は全て自分の言いなり。ワタクシには出来ないことなど何一つとして無いのだと....................そう思い上がるようになっていった。
初代様の力を使いこなす修行をすることも無ければ、自分自身を鍛えることもしない。持ち前の妖力さえあれば十分だと、何でも出来るのだと考えていた。
そうして................................あの事件へと繋がっていく。
ある日、ワタクシは妖狐族の祭りに他種族の妖怪の長など上役を招いた。本来ならワタクシのような小娘が招けるようなものではないのだが、『玉藻の前』の名前を使えば容易だった。
そこでもワタクシは勘違いしていたのだろう、皆がやって来たのは『ワタクシの力』ではない。日本の三大妖怪と恐れられている『玉藻の前』という初代様の名前と力だ。
しかし当時のワタクシはそんなことに気づくはずもなく、祭りの中で『初代様の力を見せる』と豪語してしまった。
ワタクシは普段から初代様の力を使っていたが、それはほんの僅かなもの。もっと大きな力を使いたい、そうすればもっと多くの者がワタクシに従うはず................................そう考えたワタクシは、今までよりも強く初代様の力を引き出した。
代々『玉藻の前』に仕えている側近の者も、『初代様の力』についてだけは注意を促していた。しかし思い上がりが極まっていたワタクシは適当に聞き流していた。
『周りが初代様の力を恐れているのは弱いからだ』『自分なら大丈夫だ』と、何の根拠も無い自信を持ったままワタクシは多くの妖怪が見ている前で、『初代様の力』を限界まで引き出した!
そして................................三大妖怪と恐れられた伝説の『九尾の狐』が顕現した。
内に宿る初代様の力を全て引き出したことにより、『初代玉藻の前様の意思』まで呼び起こしてしまい、ワタクシの身体は初代様に乗っ取られてしまった。
ワタクシの身体を乗っ取った初代様は暴れ回り、その場にいた多くの妖怪を虐殺した。呼び寄せた他種族の妖怪たちが死んでいく中、かろうじて側近が高天ヶ原に行って神々に事情を説明。
事態を知った神々はすぐに精鋭部隊を遣わし、七日七晩の激闘の末に初代様の再封印に成功した。そして初代様が再びワタクシの中に封印されたことで、ワタクシも意識を取り戻すことが出来た。
しかし............................ワタクシの『これまで』を取り戻すことは出来なかった。
目が覚めたワタクシが聞かされたのは、聞くもおぞましい悪行の数々。初代様に支配されたワタクシは殺戮の限りを尽くしたと言う。
最初は何を言っているのか分からなかった、皆がワタクシを騙そうとしているのかと疑ってしまった。
けれど、ワタクシを見る周りの視線と焼け野原と化した里の有り様を見て、それが事実だということを思い知らされる。
ワタクシはここに来てようやく自分が今まで何をやってきたのか、如何に思い上がっていたのかを理解した。
皆が見ていたのはワタクシではなく、ワタクシの中に宿る『初代様』。ワタクシ自身は何も特別な存在なわけではない。
だと言うのに、周りが自分をチヤホヤしているということに気を良くしたワタクシは................................。
けれど、いくら悔やんでも既に遅い。いくら嘆いても、失ったものは取り戻すことは出来ないのだから。
しかし現実というのは非情なもので、茫然自失となるワタクシを更なる悲劇が襲う。
今までワタクシをもてはやしていた同族たちが急に態度を一変させた。ある者は腫れ物を扱うように、またある者は異質な化け物を見るような目でワタクシを見てくる。
仕方がないこととはいえ、ワタクシに味方してくれる者は1人もいなかった............................いや、いたはずなのだ。ワタクシを諫めてくれた者たちこそが、ワタクシの本当の味方だったのだ。
でも、その者たちは全員初代様の手によって....................いいえ、ワタクシが殺してしまった。
更には自分達の長や上役が皆殺しにされたということで、他種族の妖怪たちが大激怒。『妖狐族が同胞を殺し、我らを支配しようとしている』と騒ぎ立てたのだ。
『そんな事実は無い』と周りの者たちが抗議したが、ワタクシ自身は否定できなかった。だって他種族の妖怪たちを呼んだ時、そういった気持ちがあったのは事実だから。
このままでは日本中を巻き込んでの妖怪大戦争になると危惧した高天ヶ原の神々は妖怪たちの仲裁に入り、幸いにも戦争は回避された。
けれどワタクシは今回の事件の原因であり、このまま残しておくと争いの火種になりかねない。もしかしたら妖狐族がワタクシを『兵器』として扱い、他種族を攻めるかもしれない。
そう考えた天照様が今後同じことが起こらないよう監視の意味も含めて、ワタクシを直属の眷属とし高天ヶ原に迎え入れた。
天照様の御恩に報いるべく、心機一転する気持ちで高天ヶ原に来たが............................そこでもワタクシの扱いは変わらなかった。
ワタクシのことを知った神々や従者は『得体の知れない化け物』、あるいは『いつ暴れ出すか分からない危険な存在』としてワタクシのことを見てきた。
結局、どこにいても同じ。ワタクシを受け入れてくれるところは無く、ワタクシ自身を見てくださる御方もいない。
だって全部........................ワタクシが滅ぼしてしまったのだから!!! ワタクシの居場所だった里も、ワタクシのことを心配してくれていた者も全て............................。
この世には自分一人しかいないという孤独と自分で『そういう世界』にしてしまった後悔の念を抱きながら、ワタクシはずっと高天ヶ原で暮らしていました。
そしてあの日、天照様に呼ばれ呂布殿とお会いした日........................ワタクシは初めて『自分自身』を見てくださる御方にお会いした。
呂布殿はワタクシのことを『タマモ』と呼んでくれた。『玉藻の前』よりも親しみやすい名前だと............................。
ワタクシは驚きのあまり言葉を失ってしまった。襲名した『玉藻の前』という名前には良い思い出は無く、かといってワタクシには他の名前など無かった。
だから仕方なく、この忌々しい名前を名乗るしかなかった。でも呂布殿によって、ワタクシには新しい名前が与えられた。
『玉藻の前』から取ったにしても、生まれて初めて『ワタクシ自身』に与えられた............................ワタクシだけの宝物。
呂布殿はそれだけではなく、天照様にワタクシが『初代玉藻の前の生まれ変わり』だと呼べるほどの力を持っていると知っても顔色一つ変えることは無かった。
それどころか『初代様の力』をコントロールするために修行をつけ、協力してくださると言う。どうすればコントロール出来るのか、コントロールするには何が必要なのか、その流れや見通しまで完璧だった。
しかも呂布殿は修行の合間を見て、ワタクシについて色々と聞いてきた。『好きな食べ物は何なのか』『嫌いな食べ物はあるか』『何が得意で何が苦手なのか』『どこか行ってみたい場所はあるか』。
そんな他愛無い話、取り留めのない雑談........................でもワタクシにとっては、黄金にも勝る価値があった。
だって生まれて初めて、ワタクシ自身のことを見てくれる。ワタクシ自身のことを知ろうとしてくれている。ワタクシ自身のことを受け入れてくれる............................そんな御方に出会えたんですもの!
ワタクシは呂布殿の想いに報いるべく修行に励んだ。ワタクシの全ては呂布殿のためにあるのだと! そう思いながら、一意専心に与えられた課題をこなしていった。
ワタクシの成長速度には呂布殿も予想外だったらしく、みるみる強くなっていくワタクシを見て、呂布殿は大層驚いていた。
そうして呂布殿の滞在期間中に可能な限り強くなったワタクシは............................明日、初代様と対決する。
全てを話し終えたワタクシは軽く息をつく。あまりにも長く話してしまったせいか、作った夕食も冷めてしまっていた。
そしてこんな時間も最後になるかもしれないと思うと................................今まで胸に抱えていた疑問を呂布殿にぶつけた。
「........................呂布殿は、今の話を聞いて....................どう思われましたか? ワタクシが恐ろしい妖怪だと知ってもなお、親しくしていただけますか?」
修行の間もずっと気になっていたこと。気になっていながらも怖くて聞けなかったことを呂布殿に尋ねた。
もしこれでワタクシを拒絶されようなら、ワタクシは壊れてしまうだろう。そして........................そうなる前に命を断とう。
呂布殿が何と仰ったとしても、ワタクシの心は一度呂布殿によって救われたのだから。
あの輝かしく愛おしい思い出を抱えて、呂布殿に感謝しながら笑って死のう........................そう覚悟して聞きました。
でも、呂布殿は一切取り乱すことはなく表情も変えずに淡々と答えた。
「........................特に何も....................思うことはない」
「っ............................そうですか」
それを聞いたワタクシは落胆しながらも安心していた。拒絶されなかったことへの安心と、呂布殿にとってはあくまで『依頼』なのだということの落胆。
少し悲しいけれど............................それでも全てを失ったワタクシにとっては贅沢過ぎるものだ。
しかしワタクシが諦めながら苦笑していると、呂布殿がお茶を飲み干して口を開いた。
「タマモの過去が何であれ............................俺にはどうすることも出来ない........................だからタマモが過去に何をしたとしても............................『そこ』に拘ったりはしない」
「え?」
「俺にとっては........................『今のタマモ』が全てであり........................タマモは俺の『友人』だ。
それさえハッキリしていれば................................困ることはない」
「ッッッッッッッ!!!! っ~~~~~~、呂布殿ぉ................................!!!」
ガチャァンッ! ガシッ!!
「呂布殿、呂布殿、呂布殿ぉーーーーーー!!!!」
もう限界だった、呂布殿の優しさに我慢できずに胸の中に飛び込んでしまった! 子供のように泣きじゃくりながら名前を呼ぶワタクシに、呂布殿が背中をポンポンと叩く。
誰もワタクシのことを見てくれる方はいなかった。ワタクシの過去を知った者は皆、ワタクシには近づこうとしなかった。
あの天照様ですら、ワタクシに踏み込むことはしてこなかった....................................。
でも、この御方は........................呂布殿だけは違った。ここまで『ワタクシ自身』のことを見て、ワタクシの過去を知りながら、それでも『ワタクシの全て』を受け入れてくださったのだ!!!
これが呂布奉先様、神々から認められし英雄............................。
もう決まりだ、決定的だ............................ワタクシはこの方のことをお慕いしている。これで惚れない女などいるものか、誰が何と言おうとワタクシは呂布殿のことを愛している。
たとえ天照様に反対され、八百万の神々に忌み嫌われ、日本にいる全ての妖怪を敵に回そうとも............................この想いだけは否定などさせない! ワタクシは呂布殿と添い遂げてみせる!!
でも、ワタクシはまだ未熟。自分の中に宿る力すら制御出来ていない、こんな状態じゃあ呂布殿には相応しくない。
せめて『初代様の力』を完全に掌握下に置き、天照様を始めとした神々すらワタクシを無視することが出来ないくらいに強くならなければ!!!
そのためにも................................『ワタクシのもの』となってもらいますわよ、初代様!!!
呂布殿に抱きつきながら決意を固めていると落ち着いたと思ったのか、呂布殿がワタクシの目をジッと見てくる。
「タマモ........................明日は....................頑張ろうな」
「っ、はい! ワタクシ、必ず成功させてみせます///////////」
その夜、呂布殿と枕を並べて床についたワタクシは、気力とやる気が天元突破した【万全以上】の状態で決戦の日を迎えるのだった........................。
バトルは入れますが、ネタを入れるところはキッチリ入れていきます。
『そんなやり方で本当に大丈夫なのか?』
『大丈夫だ、問題ない』
それでは皆さん、次回で♪
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