深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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やっぱりバトルシーンを入れると話が長くなりますね。

ただ、そこまで話数を取りたくないので、タマモ編については次話で意地でも終わらせますwww




第百六十六話

 

 

 

夜が明け、俺とタマモは高天ヶ原にある訓練場に来ていた。

 

 

いつもならここで脳筋な神様たちの相手をするんだが、タマモの試練が終わるまでは貸し切りとさせてもらっている。

まぁ、それでも野次馬のように天照たちが遠くから見物してるんだけどね。まったく、暇な連中だこと。

 

ちなみに訓練場には、グラニが結界を張っているので外に被害が出ることはない。

 

 

 

 

「タマモ................................準備はいいか?」

 

「はい! もちろんですわ!!」

 

「ん....................じゃあ始める前に................おさらいだ」

 

 

俺は今からやる試練の内容について最終確認を行う。まずタマモが自分の精神を魂に潜らせて、初代玉藻の前に会いに行く。

 

そこで俺が渡した『鍵』を使って封印を解く。封印から解かれた初代は間違いなく暴れ出すから、それをタマモが捻じ伏せる。

 

そうして倒した初代の意思からチャクラをぶんどる、というのが大まかな流れだ。

 

 

「タマモは初代から....................チャクラを奪うことに専念しろ。でも....................危なくなったら....................俺が渡した鍵で再封印して....................戻ってこい」

 

「はい! ですがご心配なく、必ず成し遂げてみせますわ!!」

 

「無理はするな....................チャンスは今日だけじゃない........................今日出来なくても....................また改めて挑戦すればいい」

 

「お気遣いありがとうございます。ですが、ここで成果を上げなければ............................ワタクシはもう、『自分』を取り戻すことが出来ないような気がするのです。だから、『次』ではダメなのです....................絶対に!」

 

俺が『今回ダメでも次に俺が来た時にまたチャレンジしよう』と励ますも、タマモは強い眼差しで断った。よっぽど今回の試練で結果を出したいようだ。

 

 

「そうか........................なら存分にやれ....................危なくなったら....................必ず助ける。

それから....................『こっち』のことは....................心配するな」

 

「ありがとうございます、呂布殿。ワタクシが戻ってくるまでの間、『初代様のお相手』をお願いいたします」

 

 

そう、これがこの試練の最大の難所。もしタマモが初代のチャクラを奪うことが出来ても、それを安定して使えるようにしなくてはならない。

 

昔、タマモが初代に身体を乗っ取られた際にタマモと初代の間には力を引き出すためのパスが出来ていた。

ただ、そのパスの繋がり方がメチャクチャでこのままでは初代の力が安定しない。下手をするとまた暴走してしまう可能性がある。

 

そこで俺が『エイト・センシズ』と『仙術チャクラ』を使ってパスを繋ぎ直した。しかしチャクラの流れを通すためには、最初の一回だけタマモは初代に身体を支配されないといけない。

 

そうすることでタマモと初代の間にあるパスが正常に機能するようになる。言ってみれば、水道管工事が終わると試運転で水を思いっきり流すのと同じ理屈だ。

 

ただ、パスを正しく繋ぎ直したことにより初代の力がほぼフルパワーで顕現することになる。つまり、以前暴走した時とは比べ物にならないほどの力で暴れ出すということだ。

 

だからタマモが意識を取り戻すまでの間、誰かが初代の相手をしなくてはならない。だが、あまり身体を傷つけると今度はタマモの身体が保たない。

 

そこでタマモが戻ってくるまで、俺がタマモの身体を必要以上に傷つけないよう初代の相手をするというわけだ。

 

でもまずは、大人しくしてくれないか説得はしよう............................可能性は低いだろうけど。

 

 

 

「では呂布殿、行ってまいります!」

 

「ああ............................頑張れよ、タマモ」

 

タマモは『準備』をすると座禅を組み、精神を魂の中へ潜らせる。そしてしばらくすると................................タマモの身体に変化が現れた!

 

ピンク掛かった茶髪はどんどん金髪に変わっていき、尾の数も一本から九本へと増えていく。青い着物も白い巫女装束のようになっていき、目元に赤い線が入った様はまるで血の涙を流しているようだ。

 

 

「クックックッ、ようやくだ............................ようやく完全な形で現世に復活することが出来た! この時をどれだけ待ち望んだことかっ!!!!」

 

 

金髪となったタマモ..............いや、『初代玉藻の前』。日本の三大妖怪の一角、『白面金毛 九尾の狐』が姿を現した。

 

玉藻の前が立ち上がると同時に身体から黒く邪悪な瘴気が溢れ出す。その禍々しさはまさしく伝説で恐れられるとおりの威圧感を感じる。

 

俺はその姿を見て............................フッと笑みを溢した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【闇のコヤンスカヤ】だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前タマモの魂に潜った時にも思ったけど、こうして現界するとハッキリ分かる! 完っ全に【闇のコヤンスカヤ】だよ!!!

 

もう見た目と言い、この邪悪さと言い、FGOに出てきた人類悪が一柱、『愛玩の獣』『ビーストⅣ』そのものだよ!!!

 

いや........................見た目だけで人を判断するのは良くない! もしかしたら案外、物分りの良いヤツかもしれないという可能性がワンチャンあるかもしれないと思う。

 

 

「おお! そこにおるのは妾を封印した憎き輩ではないか!! どれ、まずは貴様から血祭りにあげてくれる。あの時のようにいくと思うなよ」

 

「........................玉藻の前、話がある」

 

「聞く耳持たん。それにその名は妾の生前の名前の一つ、とうに捨てた名じゃ。どうしても呼ぶのなら........................そうじゃのう、以前会うた時におぬしが溢した名前....................そう、【コヤンスカヤ】と呼ぶがよい!」

 

 

ちくしょう、やっぱりか! もう完全にバトルモードに入ってるよ、殺る気マンマンだよ!!

あとその姿で『コヤンスカヤ』って呼びたくないんだよ、FGOで軽くトラウマになってるから!!!

 

まったく............................よりにもよって、なんて物騒な名前を気に入ってるんだか。

 

それに確かに再封印はしたけどさぁ~~~~~。アレはアンタが暴れるから仕方なくやったわけで、一種の不可抗力ってモンでしょう。

 

 

「覚悟せよ。貴様を殺し、その躯から血を啜り肉を喰ろうてくれるわ!!!」

 

 

玉藻の前、いや『コヤンスカヤ』は問答無用と言わんばかりに俺へ襲い掛かってくる!

 

せっかく現界したんだから、お茶でも飲んでまったりしようよ。ついでに俺の話を少しぐらいは聞いてよ、仮にも人類を愛してるんだからさ~~~~~。

 

いやまぁ、このコヤンスカヤがFGOの『闇のコヤンスカヤ』じゃないってことは分かっているけどね................................え? 違うよね? さすがにスペックまで、まんま『闇のコヤンスカヤ』じゃないよね?

 

もしビーストⅣのステータス通りだったら、俺も『本気』で戦わなきゃならないんだけど!? もはや時間稼ぎどころの話じゃなくなるからね! この高天ヶ原を跡形も無く消し去るつもりで戦わないといけないからね!?

 

 

 

一抹の不安を抱えながら、『どうかFGOとは関係ありませんように!』と切に願い............................俺とコヤンスカヤは戦い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

魂へ精神を潜らせたワタクシは目の前にある巨大な檻の前にいた。黄金よりも美しい金毛、雪よりも真っ白な肌。そして............................鬼よりも禍々しい瘴気。

 

 

アレが、初代様................................!

 

 

「ふん。妾が依代としている、いつぞやの小娘か。どうやらこうして妾に会えるぐらいには成長したようじゃな」

 

 

ワタクシそっくりな顔をした初代様が、巨大な檻の中で四方八方から鎖で縛られたままこちらを睨んでいる。

 

修行が始まる前に呂布殿が初代様の力を封印したと聞いたけど、ここまで厳重な封印を施すとは............................それだけで初代様の危険性が伺える。

 

 

「っ........................こうしてお会いするのは初めてですね。お初にお目にかかります、初代様。ワタクシはタマモ、今代における『玉藻の前』を襲名いたしました。偉大なる御身の名を勝手に引き継いだことをお詫びいたします」

 

「ふっ、そのような気遣いなど無用じゃ。かつて妾はいくつもの名を名乗っていた、とうに捨てた名前を誰がどう使おうが興味は無い」

 

ワタクシがご挨拶すると初代様は吐き捨てるかのように返してくる。初代様は古くはインド、中国、そして日本と姿と名を変えて暴れ回っていた。

 

妖狐族にとっては尊き名前、ワタクシにとっては忌むべき名前。それでもこの方にとっては数ある名前の一つ。道端に転がっている石ころぐらいにしか思っていないのだろう。

 

 

「今の妾は............................そうじゃな。以前ここに来た男が妾を見て、面白い名前を口にしていたな。せっかくじゃから、その名を貰おう」

 

「以前来た男性? 呂布殿のことですか?」

 

「呂布? そうか、アヤツは呂布と言うのか。確か漢の国にてそのような男がおったな............................なるほど、その子孫か。だとしたら、あれほどの強さも頷けよう」

 

漢の国、というのは恐らく中国の後漢時代のことを言っているのでしょう。流石の初代様でも、呂布殿の強さは認めざるを得なかったらしい。

 

それよりも『面白い名前』とは、いったい何なのでしょう?

 

 

「あの、呂布殿は貴方様のことを何と呼んでいたのですか?」

 

「ん? 気になるか、クックックッ。だが、断る。その名を呼ぶことを許すのは『本気』の妾を調伏せしめた、あの男のみ。未だ過去の恐怖を乗り越えられぬ小娘ごときには過ぎたる名前じゃ」

 

 

どうやら呂布殿以外には『その名前』を呼ばれたくはないみたいだ............................その気持ち、少し分かりますわ。

 

ワタクシも呂布殿から『タマモ』という名前をいただいた。経緯は違えど、自分の全てを認めてくださった御方からの名前は大切にしたいと思っているのだろう

 

初代様とワタクシは、根っこの部分では同じなのかもしれない。そう思うと初代様に親近感が沸き、蘇ってきた恐怖心が鎮まるのを感じた。

 

 

「そうですか、残念ですわ............................初代様、お話が「断る」ッッッッッッッ!?」

 

 

ワタクシが本題に入ろうとすると初代様が話を途中で切ってくる。そして、ワタクシとは話すことはないと言わんばかりにこちらを睨みつける。

 

「妾は貴様のような小娘に興味は無い。貴様は妾が蘇るための単なる器の一つ。この封印さえ無ければ、今すぐにでも身体を乗っ取ってやりたいぐらいだ。妾の気が変わらぬうちに疾く失せよ」

 

初代様は本当にワタクシに興味が無いのか、言いたいことだけ言ってワタクシのことなど見向きもしない。

 

かつての周りの者たちと同じ。ワタクシを持ち上げるばかりで、誰もワタクシ自身のことは見ようともしない。初代様の目はあの者たちと同じ................................。

 

 

 

でも『今』は違う! 『今』はワタクシ自身を見てくださる御方が、少なくとも1人はいる!!

1人いれば十分! その方の想いに報いるためにも、ここで退くわけには絶対にいきませんわ!!!!

 

 

「............................仕方ありませんわね。では不本意ながら............................実力行使とさせていただきます!」

 

キィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!

 

「ッッッッッッッ!?」

 

 

ワタクシは呂布殿からいただいた封印を解除するための術式、『鍵』を使って初代様の封印を解く。

 

『鍵』を使うと初代様を縛っていた鎖が外れていき、檻の鉄格子が消えていく。そして巨大な檻が完全に消えると....................................初代様がいきなり襲い掛かってきた!!!!

 

 

ガシッ!!! ドガァァァァァァァァァァァァァァンッッッッッ!!!!!

 

 

ワタクシは初代様に首を掴まれ、そのまま地面へと叩きつけられてしまう!!! なんという力と凶暴性、呂布殿があれほど厳重に封印した理由が分かりますわ!!!

 

 

「何を血迷うたのかは知らんが、愚かな小娘じゃ。あのまま大人しく帰れば良かったものを」

 

「ぐぅっ、がはっ!!!」

 

「まぁ良い、せっかくこうして妾に肉体を献上してくれるというのじゃ。ありがたくいただこうではないか」

 

首を絞めたまま、初代様がワタクシの身体を侵食し奪おうとしてくる。ですが........................ワタクシはもう、昔のままの『玉藻の前』ではございません!!!

 

 

ドカッッッ!!!!

 

「っ、往生際の悪い小娘じゃ。あのまま妾に支配されていれば楽になれたものを」

 

ワタクシは初代様の腹を蹴り飛ばし、体勢を立て直す! ワタクシと初代様はオレンジ色の管のような物で繋がっていた。

 

ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン................................。

 

「!!!!!!」

 

ワタクシが管を掴むと初代様からエネルギーが少しずつ流れてくる。これが....................初代様のチャクラ!

 

 

「ふん、なるほどな。妾から力のみを取り出すつもりか、どうやらそれなりに備えはしてきたようじゃのう」

 

自分のチャクラが奪われていくのに気づいた初代様は、ワタクシが何をやろうとしているのかを理解する。

 

 

そう、先ほど掴まれた際にワタクシのチャクラを初代様のチャクラとくっつけておいた。

そしてこのチャクラの管を通して初代様の意思からチャクラのみを取り出す。

 

 

呂布殿曰く、チャクラはチャクラでしか掴むことは出来ない。言ってみればこれは『チャクラによる綱引き』。

 

ワタクシのチャクラで初代様のチャクラを引っ張り出す! そうすれば初代様のチャクラはワタクシのモノとなる!!

 

でも、この方法にはリスクがある。それは................................

 

 

ギュオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!

 

「っっっっっ!?」

 

「愚かな、所詮は小娘の浅知恵よのう。貴様が妾から力を取り出すことが出来るように、妾からも貴様の力を取り出すことが出来るということよ」

 

突然ワタクシの身体から力が抜け、初代様へとチャクラが流れていく! しかもワタクシが取り出そうとする勢いとは比べ物にならないくらいの勢いで!!!

 

 

初代様の言う通り、この方法は初代様からもワタクシのチャクラが吸い出せてしまう。もしワタクシのチャクラを全て吸い取られてしまえば、ワタクシは完全に初代様に支配され二度と『タマモ』に戻ることは出来ない!!!

 

ですが................................ワタクシは負けません!!!!

 

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ........................。

 

「っっっっっ!? きさま、その力はっ!!!!」

 

ワタクシは目を閉じて自然エネルギーを取り込み、『仙術チャクラ』を練り上げる。初代様もワタクシが『仙術』を会得しているとは思っていなかったらしく、初めて驚きの顔を見せてくれた。

 

 

キュイイイイイイイイイイイイイインッッッッッ!!!!

 

「『仙法・螺旋丸』!!!!」

 

「ッ~~~~~~~!!!  があああああああああああああああああああああっっっっ!!!!」

 

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァァッッッッッッッ!!!!!

 

 

ワタクシの術を受けた初代様は、地面を擦りながら吹き飛ばされていく!!!

 

 

『螺旋丸』。チャクラの形を変えるコントロール、『形態変化』の粋を集めた技。

チャクラコントロールの基礎修行であると同時に敵にぶつければ大ダメージを与えることが出来る攻撃技にもなる。

 

しかも今回は『仙術チャクラ』で放ちましたからね、通常のチャクラだけで放つ『螺旋丸』とは威力も桁違いだ。

 

 

さらには吹き飛ばされた勢いを利用して、大量のチャクラが初代様から流れてきた。

恐らく尾二本分ぐらいはもぎ取ることが出来ましたでしょうか........................でもまだだ、まだこの程度では全然足りない!!!

 

遠くを見ると初代様がフラフラとよろめきながら立ち上がる。

 

 

「っ、ぐうぅっ、この、小娘がぁ........................よくも妾の力をっ!!!」

 

「先ほど初代様が仰せになったように....................ワタクシ、『それなりの備え』はしてきております。

そしてこの力はワタクシだけではなく、あの方............呂布殿と共に磨き上げた力!! 初代様、お覚悟を!!!」

 

「黙れっ! 小娘風情がっ、仙術を使えるようになった程度で図に乗りおって!! っ、いいだろう、そんなに苦痛を味わいたいなら望みどおりにしてくれる!!!」

 

 

ワタクシが『仙術チャクラ』を漲らせると、初代様も禍々しい瘴気を迸らせる!!!

 

ここからが本番ですわね、初代様も先ほどまではワタクシのことを侮っておられた。

けれど、もう油断することはないだろう。さっきみたいに無防備なところに術を叩き込むことなどは出来ない。

 

しかし、ここまでは想定内のこと。このような状況も予想し、呂布殿はワタクシを鍛えてくださった。

 

今ごろ呂布殿も外で初代様を抑えてくださっているはず。外のことは呂布殿にお任せし、ワタクシは自分がやるべきことに専念する。

 

 

 

見ていてください、呂布殿............................タマモは必ず、成し遂げてみせます!!!!

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

バゴオオオオオオオオオン!!! ドギャッ、ドカッ、バキッ!!! ドガァァァァァァァァァァァァァァンッッッッッッッ!!!!

 

 

妾はグラニが張った結界の外より、呂布と初代に支配された玉藻の前....................いや、『タマモ』の戦いを眺めていた。

 

呂布から今日の試練については事前に話を聞いていた。最初に聞いた時は危険極まりない賭けかとも思ったが、呂布が言うのなら勝算あっての賭けなのだろう。

 

 

「いやはや。よくもまぁ、あんなヤツに付き合っていられるのう」

「うむ、かれこれ一刻(約二時間)ほどになるか。互いによくやるもんじゃわ」

 

「あれが妖狐族の里を壊滅させた『初代玉藻の前』か、噂に違わぬ禍々しさよ」

「見よ、あの瘴気を。並の妖怪なら、あの瘴気だけで死んでしまうぞ」

 

 

妾と同じように二人の戦いを見ている神達がタマモの姿を見て悪態をつく。中にはタマモを化け物を見るような目を向けているヤツまでいる始末。

確かにあのような邪悪な妖怪が高天ヶ原にいるというのは、気持ちの良いものではない。

 

だが、妾は知っている............................タマモが妾たちの見えないところで、ずっと泣いていたことを。

 

 

生まれながらに望まぬ力をその身に宿し、生まれてからも周りの者に人生を振り回された。誰にも『自分自身』を見てもらえず、またそのことに気付かせてくれぬ者もおらず、その『力』に翻弄されてしまった。

 

生まれ育った里を滅ぼし、多くの妖怪を殺したタマモは己の力に怯えながら、この高天ヶ原へとやって来た。

しかし高天ヶ原で再起を図ろうとするも、ここでも己自身を見てもらえる者はいなかった。

 

幸いにも妾の直属であるが故に、周りから直接的な迫害を受けることはなかったが................................いくら献身的に働いても、タマモは『化け物』としか見られなかった。

 

そんな誰にも見てもらえず、忌まわしい存在として扱われながら高天ヶ原で暮らしていく内に........................タマモの心はどんどんと憔悴していった。

最初は無理して陽気に振る舞っていたタマモもいつしか笑わなくなり、表情からは『感情』というものが消えていった。

 

 

けれどタマモは夜遅くになると、部屋で一人泣いていた。自分は泣くことも許されないほどの大罪を犯したと分かっていても、涙を流さずにはいられなかったのだ。

 

そんな姿を見ておれず、妾は呂布にタマモのことを任せることにした。妾では『初代玉藻の前の力』を封印することは出来ても、コントロールする術までは教えてやれん。

 

それに周りの連中の目があるからのう。いくら妾の直属と言えど、表立って庇うことは出来ん。

 

だが、呂布なら....................『力』というものを知り尽くしているアヤツならば、タマモが『初代玉藻の前の力』をコントロール出来るようにしてくれると思ったのだ。

 

 

試しに二人を引き合わせてみたが........................結果は妾の予想通り。いや、それ以上の成果だった。

呂布が『タマモ』と愛称を与えたことで、死んだようなタマモの目に光が戻ったのだ。

 

 

それ見た妾はすぐに確信した、『呂布ならばタマモを救ってやれる!』と。

 

 

妾の目に狂いは無かった。呂布はすぐに『初代玉藻の前の力』がどういうものなのかを調べ上げた。

しかも、その際に力が暴走しないよう封印まで施したと言う。

 

さらには『初代玉藻の前の力』をコントロールするための方法と必要な修行までも用意してくれたのだ。さすがの妾も、まさか初日でそこまで調べ上げてしまうとは思わなんだ。

 

これにはタマモも大喜び、妾もアヤツの笑った顔など初めて見て驚いた。呂布の修行を受けたタマモはみるみる成長していき、とうとう『仙術』まで使えるようになったのには開いた口が塞がらんかったわ。

 

そうして今日、『初代玉藻の前の力』をコントロールする試練を行う運びとなった。

 

 

まったく............................つくづく大したヤツよ、呂布奉先。妾たち神々が出来なかったことをこんな短期間で、しかもここまで仕上げてしまうのだからな。

 

挙げ句の果てには、タマモのためにこうして初代玉藻の前の相手をしていると言うのだから。そのうえタマモを傷つけないよう、攻撃は出来る限り控えて戦っておる。

 

妾から頼んだこととはいえ、ここまで必死に身体を張ってくれる呂布には頭が下がる思いじゃ........................まぁ、だからこそタマモが惚れたわけなんじゃがな♪

 

くっくっくっ♪ 脱帽じゃよ、呂布。やはりおぬしは紛うことなき『英雄』じゃ。この時代において、そなたのような『英雄』に出会えるとは思わなんだぞ。

 

 

 

呂布よ、タマモのこと........................しかと頼んだぞ。

 

タマモよ。呂布が、おぬしが惚れた男がここまで協力してくれてるのだ。これで失敗したら女が廃るぞ?

 

 

 

周りの神々が怪訝な目を向けている中、妾は心の中で二人のことを応援するのであった。

 

 

 






当然のことですが『初代玉藻の前』は『コヤンスカヤ』ではありません。あくまで容姿が似ているため、呂布が勝手に言っているだけです。

もちろんスペックも『ビーストⅣ』とは違いますのでご安心を♪

あとタマモの戦闘手段が宝具だけと言うのも味気無いので、『九尾』繋がりで【NARUTO】の『螺旋丸』をメインウェポンにしてみました。

それでは皆さん、次回で♪
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