深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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リクエストにあった原作世界との交錯回です。時期としてはリアスVSサイラオーグが終わったあたりです。

一応、分かりやすいように原作世界の同キャラについてはセリフを〔〕にしています。




第百六十八話

 

 

 

 

 

 

「....................まだ誰も来ていないのか」

 

 

 

兵藤宅のトレーニングルームに入ると見渡す限りの地平線が見える....................だが、そこには誰もいなかった。

 

珍しいな。いつもは誰かがトレーニングをしているというのに、今日に限って誰もいないだなんて。

 

タマモは高天ヶ原から呼び出し、黒歌は上でお昼寝でヴァレリーは一誠母と談笑中。でも、学校組はそろそろ帰ってきていると思ってたんだけどなぁ。

 

 

最近はグレモリーもシトリーも特訓に明け暮れている。休日ともなれば、丸一日トレーニングルームに籠ることも珍しくはない。それだけ皆は一生懸命だということだ。

 

まぁ、待っていればそのうち誰か来るでしょう.......................あっ、せっかくだから『禁手』の調整でもやっておこうかね。皆がいるところだとやりにくいし、特にアザゼルあたりに突っ込まれると面倒だからな。

 

 

俺は『禁手』になると同時に周囲に結界を張る。一応このトレーニングルームはレーティングゲームみたいに疑似空間らしいけど、念のため結界の内と外の次元を隔絶しておこう。

 

なにせ俺の『禁手』は非常に使い勝手が悪いからね~~~。別に燃費が悪いとかコントロールが効かないとかそういうんじゃなく........................単純に『世界』へ与える影響が大きすぎるんだ。

それこそ『世界の敵』と認定されてしまう恐れがある。【Fate】世界なら『剪定対象』待ったなし。

 

このままじゃオチオチ使えないので、出力を抑えたり能力に制限を設けたりして、安全に使えるよう調整をしないといけないというわけだ。

 

 

俺は自身を中心に結界を展開しようとする。

 

 

 

 

しかし....................................

 

 

 

 

 

「奉先様、ただいま戻りましたわ♪」

「まったく、天照様ったら急に呼び出したわりに大した用事じゃないんですもの!」

「あはは、それは災難でしたね、タマモさん」

 

「アーシア様、帰りに買ってきた【ミノヤ】の『濃厚たまごプリン』。ちゃんと閉まっておかないと黒歌様に食べられてしまいますわよ?」

「大丈夫ですよ、黒歌さんの分も買ってきましたので♪」

「プリン♪プリン♪」

 

「シトリーの皆もだいぶ強くなってきたよね。私たちもウカウカしてられないんじゃない?」

「そうだな。今日は会長たちも遅いみたいだし、せっかくだから呂布に修行をつけてもらおう」

「だったら俺も付き合わせてもらう。最近はクロウ・クルワッハや日本の神々とばかりだったからな」

 

 

突然、朱乃・タマモ・ロセ・レイヴェル・アーシア・オーフィス・イリナ・ゼノヴィア・ヴァーリがトレーニングルームに入ってきた!

 

流石にこの姿を見られるのはマズイので、急ぎ結界の展開を中止して『禁手』を解こうとする!!

 

だが、慌てていたせいで結界と『禁手』のコントロールをミスってしまった!!!

 

 

 

 

グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン.............................!

 

「「「「「!!!!!!!!!!!」」」」

 

 

 

トレーニングルームの空が薄い紫色からドス黒い群青色へと変化するが、すぐに元の色へと戻る。

朱乃たちもトレーニングルームの様子が変わったことに驚き、戸惑ってしまっていた。

 

 

「い、今のは.................?」

「一瞬、この部屋の空間が異常な気配で包まれましたわ」

「ええ、それに呂布様のお姿も.................」

「はい。ハッキリとは見えませんでしたが、あのお姿はいったい...................」

 

皆もこのトレーニングルームの異常と俺の姿がおかしかったことに気づき、こちらをジ~~~ッと見てくる。

 

あちゃ~~~、やっぱり見られてたか~~~~。どうすっかなぁ、何とか誤魔化せないものだろうか?

 

俺が『禁手』についてどう説明したものか頭を悩ませていると.................奥の扉からリアスがやってきた! ラッキー♪ このままリアスに話を振ってどうにか有耶無耶にしてしまおう!!

 

 

 

 

 

 

 

「あら、朱乃とアーシアとゼノヴィアじゃない。アナタたちも来てたの?」

 

「「「「ッッッッッッ!?」」」」

 

 

リアスの一言に驚く俺たち。何故なら...............朱乃はともかく、リアスはアーシアとゼノヴィアのことを呼び捨てになんかしないからだ!

 

リアスが二人のことを呼ぶ時は必ず『さん』付けをしている。俺が知らない間に呼び捨てにするほど仲良くなったかとも思ったが、二人の様子を見る限りそうではなさそうだ。

 

「それにロスヴァイセ、確かアナタは職員会議に出るはずじゃなかった? もう終わったの?」

 

「え? え? し、職員会議? 今日は会議の日ではありませんが...............?」

 

二人に続き、今度はロセのことまで呼び捨てにするリアス。いきなりのことでロセも混乱してしまっていた。

 

どういうことだ? リアスの性格から考えて、何の前触れも無く相手を呼び捨てにすることは考えられない。俺たちはますます困惑する中、俺とタマモとオーフィスを見たリアスが首を傾げる。

 

「ところで、そちらの方々はお客様かしら................って、ヴァーリ!? どうしてアナタがここにいるのよ!!!」

 

「「「「っっっっっっっっ!!!!」」」」

 

リアスはまるで俺とタマモとオーフィスが『初対面』かのように振る舞うが、俺の後ろにいるヴァーリを見た瞬間に戦闘態勢に入ってしまう! 

 

 

「どういう意味だ、リアス・グレモリー。俺がここにいることがそんなに不思議なのか? それにそんなに殺気を向けられては、俺としても心穏やかではいられないんだが?」

 

「白々しいわね! 『禍の団』であるアナタが私の知らない間に家に上がりこんでいれば、当然の反応でしょう!!!」

 

「「「「!!!!!!!!!!」」」」

 

「俺が『禍の団』? 悪い冗談は止めてくれないか」

 

 

まさか自分がテロリストだと面と向かって言われるとは思っていなかったのか、あのヴァーリが反応に困っている。

朱乃たちですら、もはやリアスの頭がおかしくなってしまったんじゃないかと思い始めているようだ。

 

しかし................俺は『もしかしたら』の可能性に行き着いてしまった。

 

 

『ロセ・アーシア・ゼノヴィアのことを呼び捨て』

『俺とタマモとオーフィスのことは知らない』

『ヴァーリがテロリスト』

 

..................ここから導き出される可能性は一つ。

 

 

俺がこの状況をとんでもなく面倒なことになっていると認識していると、今度は一誠たちがやってきた。

 

「あれ? ロスヴァイセさん、職員会議に出るんじゃなかったんですか?」

 

「みんな、気を付けて! ヴァーリが来ているわ!! それから、すぐにアザゼルに連絡してちょうだい!!!」

 

リアスが『自分の眷属たち』に指示を飛ばすと、皆も警戒心を露わにする。だが、次の瞬間..................俺たちは『とんでもないもの』を目にすることになった!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え? わ、私?」

〔あらあら、これは何かの遊びなのでしょうか?〕

 

「えっと.............どうことでしょうか?」

〔ワ、ワタシがもう一人いますぅぅぅぅぅぅ!〕

 

「わ、私がもう一人!?」

〔い、いったいどうなってるんですの!?〕

 

「なっ!? こ、これはどういうことだ!?」

〔む? 誰かが魔術で私の姿になったのか?〕

 

 

「朱乃さんとアーシアさんとレイヴェルさんとゼノヴィアが二人ずついるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 

 

 

 

 

扉から入ってきたのは一誠、木場、白音、そして...............朱乃、アーシア、レイヴェル、ゼノヴィアだった!

 

四人は入ってきた『自分』を見て目を大きく開くほどに驚く。朱乃・アーシア・レイヴェル・ゼノヴィアがもう一人いるってことは、この分だとロセも同じだろう。

 

イリナが大声で驚き、この場にいる全員が混迷を極める中....................俺だけは事態を把握していた。

 

 

ここはたぶん..........................

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『原作』の世界だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「別の世界からやってきたぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」

 

 

 

あの後リアスが呼んだアザゼルとロセ、そして騒ぎを聞きつけたイリナ。さらにアザゼルがファーブニルの宝玉経由で連絡を取り、ヴァーリまでやってきて事情を説明。

 

こうなっては仕方ないので、俺が『禁手』のコントロールをミスって別の世界............正確には『並行世界』へとやってきてしまったことを正直に話した。

 

事ここに至っては誤魔化しようが無いからね............................朱乃たちには後で口止めをしておかないと。

 

 

「少し違う..........正しくは『並行世界』............所謂『パラレルワールド』」

 

「えっと、それって何が違うんですか?」

 

「アーシア様、分厚い本を思い浮かべてくださいまし。私たちがいたのはその本の一ページ。その隣には別のページ、つまりは私たちがいた世界とは異なる世界があって、それがいくつも重なっている。それが『並行世界』ですわ」

 

「なるほど~~。じゃあ、『この世界』は私たちがいた世界とは別のページということなんですね」

 

『並行世界』のことを知らないアーシアにレイヴェルがざっくりと教えてあげている。流石はレイヴェルだ、気が利くね!

 

 

「呂布、キミの『禁手』は『並行世界』を移動する能力なのか?」

 

「..............まぁ.........そんなところだ」

 

「呂布殿にしては、随分とハッキリしない物言いですわね」

 

「実際には違っていて、能力の応用で『並行世界を移動できる』ということでしょうか?」

 

ヴァーリが俺の『禁手』について聞いてくるが、俺は敢えて言葉を濁す。けれど、その様子を見たタマモたちも俺の態度を不思議がっている。

 

特にロセにいたってはかなり核心突いたこと言ってくるし! なんて頭と勘の良い子なんだ!!

 

でも仕方ないじゃん、説明すると物凄く長くなるから面倒なんだよ! なので、とりあえず『並行世界への干渉』ぐらいに理解しておいてくれ。

 

 

「まぁまぁ、お二人とも。奉先様にも話したくないことの一つや二つあると思いますわ。無理に聞き出すようなことはせず、今はどうすれば元の世界に戻れるのか考えましょう?」

 

俺の言いにくい気持ちを察してくれたのか、朱乃が間に入ってくれた! ありがとう、朱乃!! キミがいてくれて良かった!!!

 

 

「朱乃」

「はい、奉先様」

「朱乃と出会えて.............良かった」

「っ~~~~~~~~~//////////」

 

「り、呂布さん! わ、私も、呂布さんと出会えて良かったと思ってます//////////」

 

「ありがとう、アーシア............愛している」

「っ~~~~~~! はい、私も呂布さんのことが大好きです♪」

 

 

俺が正直な気持ちを伝えると朱乃が真っ赤になって俯く。次いで心の癒しである大天使アーシアちゃんにもお礼を言うと、満開の花が見えるくらいの笑顔を向けてくれた。

 

そしてそんなやり取りを見た『この世界の皆』は唖然としてしまう。

 

 

〔違う世界とはいえ、あんな顔した副部長は初めて見るな〕

 

〔う、うわ~~~、向こうの世界のワタシ、スッゴくラブラブですぅぅぅぅぅぅぅ///////////////〕

 

「そうね。それに朱乃とアーシアがそちらにいる呂布さん?と婚約しているというのも驚きだわ」

 

〔あらあら、私もイッセーくんにあんな風に言ってもらいたいですわ♪〕

 

「うぎぎぎぎぎっ! 朱乃さんとアーシア、二人とあんなにイチャイチャしやがって~~~~~!!!」

 

 

俺たちのやり取りはこっちの皆にとっては慣れたもんだけど、向こうのリアスたちは珍しいものを見るような目で見てくる。

 

ただ、一誠だけは歯ぎしりしながら俺の方を睨んでいた。こっちの二人はそっちの二人と違うんだから、気にすることはないんじゃない?

 

 

まぁ、それはそれとして.............俺はグラニを呼び出し、今の状況と元の世界に戻るための方法について相談する。

 

「グラニ」

 

『はい、マスター。幸いにもこの世界は我らがいた世界から然程離れてはおりません。数時間ほどでこの世界の『理』を解析し、元の世界へ戻れます』

 

なるほどね。つまり【ONEPIECE】の『ログホース』が島の磁気を溜めなきゃ次の島に進めないように、グラニがこの世界について解析をしないと元の世界へは戻れないってことか。

 

「ホッ...........では、しばらくすれば元の世界へ戻れるのですね」

 

「そうですね、このまま元の世界へ戻れないかと心配しました」

 

「はい、呂布さんがそう言ってくれるなら一安心です♪」

 

ウチの皆も元の世界へ戻れることが分かってホッとしている模様。ゴメンね、面倒事に巻き込んで。

 

そうして俺たちが安堵していると、こっちの世界のアザゼルがグラニのことをジロジロと見てくる。

 

 

「へぇ~~~、『北辰の駿馬』かぁ、コイツは珍しいな。それに次元を超えて並行世界を移動する力まで持っているとは...............おい、呂布とやら。ほんの少しでいいからコイツを俺に調べさせてくれ!」

 

どうやら世界は異なってもアザゼルの性格までは変わらないらしい。もちろんそんな怪しげなことに付き合うつもりは無いので断固拒否だ。

 

「.................断る」

 

「そう言わずに頼むよ! 『北辰の駿馬』なんざ今までほとんど確認されたことが無かったんだ!!

しかもここまでの力を発現させるだなんて希少も希少! 気になってしょうがねえ!!!」

 

「アザゼル先生、『北辰の駿馬』ってのはどんな能力を持っているんですか?」

 

「そうだなぁ...............言ってみれば『無限に進化する可能性を秘めた神器』だな。コイツは他の神器と違って所有者の力量に左右される。

所有者が一般人レベルなら大した力は発揮できないが、超人レベルならそれこそ神滅具すらも上回るスペックを持つ。もちろん、そこまでの能力は確認されていないがな」

 

〔ということは、そちらにいらっしゃる呂布様は物凄い実力者ということなのですか?〕

 

「当然ですわ! この御方こそ、人の身でありながら神々..............いいえ、あのグレート・レッドすらも超えた私たちの世界の『最強』たる存在なのですから!!!」

 

 

「「「「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!」」」」

 

 

向こうのレイヴェルの疑問にこっちのレイヴェルが胸を張って答えるという奇妙な状況。だがそれを聞いた瞬間、そんなことを気にする暇もなく向こうの世界の方々が反応。

 

それはもう顎が外れるんじゃないかと心配するぐらい驚きまくっていた。

 

 

「グ、グ、グ、グ、グレート・レッドを超えたって.............まさか、倒したのか!? あの『黙示録の龍』を!?」

 

「ああ、俺もその場に立ち会ったから間違いない。呂布がかの『赤龍神帝』に勝利するところをこの目で見たし、オーディンやゼウスなどの各神話群の最高神も一緒だった」

 

〔っ、グレート・レッドを...........倒しただと?〕

 

「じゃあ、そっちの世界の次元の狭間はどうなってんだ!? まさかコイツがグレート・レッドの代わりに次元の狭間を? だから、並行世界へ来ることが出来たのか!?」

 

「いや、呂布はグレート・レッドに勝利したが殺してはいない。戦いの後に互いの力を認め合って友となった。だからグレート・レッドは、今も次元の狭間をのんびり漂っている」

 

 

こっちのヴァーリが肩を竦めながら答えると向こうのアザゼルたちは唖然としていた。

けれど、向こうのヴァーリだけは俺のことを『獲物を見つけた猛禽類』のような目で睨んできて恐いんですけど...................。

 

 

それにしても、こっちの時間軸はどうなってるんだ? ヴァーリがテロリストとして扱われているということは、少なくとも『D×D』は発足されていないはずだよなぁ。

 

「アザゼル..............今日は何年何月何日だ」

 

「ん? ああ、○○年□□月△△日だ」

 

「私たちと同じですね」

「ええ。どうやら世界線は違っても、流れる時間は同じみたいですわね」

「過去や未来だったら、それはそれで興味深かったんですけどね」

 

朱乃たちもようやくこの状況に慣れてきたようで、落ち着きを取り戻していた。

 

なるほどね..............ってことはこっちの世界の一誠たちもサイラオーグとのレーティングゲームは終わっているわけか。

 

つまり一誠がリアスに告白して、二人は晴れて恋人同士。さらには一誠、朱乃、木場の三人は中級悪魔への昇格試験を控えているという状況。

 

この世界が原作準拠なら、昇格試験が終わったタイミングで曹操がサマエルを連れて強襲してくるんだけど..................悪いが、それについては黙っておこう。ここは俺たちがいた世界ではない、下手な干渉は控えるに越したことはない。

 

 

 

「それにしても...............別の世界のこととはいえ、あのグレート・レッドを倒したってマジかよ。神様や魔王様、延いてはドライグたちより強いって話だろ?」

 

「信じられないのも無理はない、ましてや呂布は生粋の『人間』だからな。俺ですらこの目で見なければ信じられなかっただろうし、各神話群の神々による声明が無ければ各勢力も信じることはしなかったはずだ」

 

「...............この人、ホントに人間なの?」

 

俺がグッさんに勝ったことを未だに信じられない様子の一誠にヴァーリが遠い目をしながら答える。

 

失礼な。こちとら生まれてから死んで、もう一度生まれ変わってからもず~~~~~っと人間じゃい。

 

「ほぉ~~~、各神話群の神々ですら認めているってことは相当気に入られているんだな。しかも人間の身でありながらとは...............どこぞの英雄派が聞いたら腰抜かすんじゃねえか?」

 

「英雄派? 何なんですの、それ?」

 

レイヴェルがアザゼルに尋ねると『英雄派』、この世界の『禍の団』に所属している曹操たちについて教えてくれた。

 

自分たちが所属する組織のリーダーが他の世界線ではテロリストになっていることを知ったイリナたちは、何とも微妙な顔を浮かべてしまう。

 

 

「曹操殿がテロリスト、ですか...............世界が変われば、人も変わるものですね」

「リーダーには聞かせられないよね.................」

「ああ、いったい何をどうやったらそんな風になるんだ?」

 

「まったく、テロリストとなって各神話群に喧嘩を仕掛けるだなんて。『英雄』という言葉の意味を履き違えているんじゃないですの?」

「そうですね、ヴァルハラでもそんな輩を『英雄』とは決して認めないでしょう」

 

確かにこっちの世界と原作は随分と掛け離れたものになっているからね~~~~。

ウチの曹操がこっちの曹操のことを知ったら、怒るか笑うか呆れるか................いずれにしても、この場に曹操がいなくて良かった。

 

 

「アザゼル総督、一応お聞きしますが.............呂布様もその『英雄派』とやらに所属しているんですの?」

 

「いや、少なくとも確認はされてねえな。というか、そんなヤツがいたら『禍の団』に所属する前から有名になっているはずだ」

 

「ですよね。呂布様がそんな輩に協力するなど有り得ません」

 

「そもそも呂布殿はこの世界にいらっしゃらないのではないでしょうか?」

 

 

「っ、奉先様が、いない世界..................」

「うぅぅぅぅぅ、ぐすっ..................」

 

やっぱり俺、というか『呂布』はこの世界にはいないようだ。俺は『仕方ないか』と達観しているが、朱乃とアーシアは泣きそうになりながら抱きついてくる。

 

よしよし二人とも、別の世界の出来事だから気にしないようにな~~~~。

 

『俺だけがいない世界』というどっかの映画のタイトルのような状況に、こっちの皆がしんみりしていると..............アザゼルがとんでもない提案をしてくる。

 

 

「おっ、そうだ! 呂布、せっかくだしお前さんの実力を見せてくれよ。あのグレート・レッドに勝利したっていう強さを見てえんだ。おい、イッセー。お前、ちょっと相手になれ」

 

「いいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!! いやいやいや、グレート・レッドよりも強いんでしょ!? 俺なんかじゃ絶対に勝てないですよ!!!」

 

「別に勝つ必要は無えよ。中級悪魔の昇格試験の前にちょっくら力試しするだけだ。それにお前だって、コイツの強さは気になるだろ?」

 

「そりゃあ気になるっちゃあ、気になりますけど................」

 

「なら決まりだな。呂布、構わねえか?」

 

アザゼルの提案に目玉が飛び出てる一誠だが、強引に押し切られてしまう。どうやらこの世界でもアザゼルの図太さは健在のようだ。

 

「....................別に構わない」

 

「よっしゃ! そう来なくちゃな♪ ってことでだ、イッセー。思う存分殺られてこい、骨は拾ってやる」

 

「ちょっとおおおおおおおおおお!!!! 今の絶対に字が違いましたよねえええええええええ!!!!!」

 

「気張りなさい、イッセー! 別の世界の『最強』と戦えるなんて、滅多にないチャンスよ!!」

 

「うぅ、部長にそう言われちゃ腹を括るしかないか....................」

 

アザゼルだけではなくリアスにまで背中を押されては『イヤだ』と言えるはずもなく、トボトボと前に出てきた一誠。

そんなに怯えなくてもいいよ、時期が同じなら、たぶんこっちの一誠と同じくらいの強さだと思うし。それなら俺もいつも通りに戦えばいいよね。

 

こうしてアザゼルの余計な発案により、俺と一誠は異種格闘戦ならぬ『異世界格闘戦』を行うこととなった。

 

 

 

俺と一誠がアザゼルのせいで急遽手合わせすることとなってしまったにも関わらず、周りの皆は既に観戦モードに入っている。

 

一誠は『禁手』となっており準備万端。嫌がってはいても、やると決まった以上は腹を括ったようだ。この思い切りの良さは世界が変わっても同じだな。

 

 

「あの~~~、本当に呂布さんはそのままでいいんですか? やっぱり『禁手』になった方が..................」

 

「フルフル、大丈夫だ............このままで..........問題ない」

 

「気にするな、兵藤一誠。呂布がグレート・レッドを倒した時も『禁手』にはなっていなかった。つまり、呂布は素の状態で『最強』だということだ」

 

「はああああああああああああああああ!? 生身でグレート・レッドを倒したぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

俺のことを気遣う一誠だったが、ヴァーリの一言で叫び声を上げる。確かに『禁手』は使ってなかったけど、『須佐能乎』は使ってたから完全な生身ってわけじゃないんだけどね。

 

 

「じゃあ、始めるぞ。二人とも、準備はいいか?」

 

「ええ、こうなったら当たって砕けてやりますよ!」

「.................いつでも」

 

「よし、じゃあ...............始めっ!!!」

 

 

「行っくぜえええええええええええええ!!!!」

 

 

アザゼルの合図とともに真っすぐ突っ込んでくる一誠。懐かしいねぇ、こっちの世界の一誠も開始早々に真っすぐ突っ込んできたものだよ。

 

「だぁりゃああああああああああああ!!!!!」

 

ブゥンッ! ヒョイッ

 

「なっ!? ちぃっ、だったらっ!!!」

 

ブンッブンッブンッブンッブンッブンッブンッブンッブンッブンッ................!!!!

 

ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!!!

 

「くっそぉぉぉぉぉぉっ! 全然当たんねえ!!!」

 

 

俺は一誠の動きを先読みして拳や蹴りが繰り出される前に届かない場所に移動し、攻撃を避け続ける。

 

重心やオーラの動きから攻撃は丸わかりなんだけど、一誠は『原作主人公』だ。主人公補正で何が起こるか分からないからね、ここは万全を期して『見聞色の覇気』なども駆使して動きを読む。

 

 

「そんな............イッセーの攻撃が、全く当たらないだなんて...........!」

〔イッセー様は「若手最強」と言われたサイラオーグ様も倒したんですのよ!?〕

〔しかも呂布とやらは試合開始の地点から、ほとんど動いていないな〕

「これが............グレート・レッドを倒した、『世界最強』ってわけか」

 

「勘違いしているようなので言っておくが、呂布は全く本気ではないぞ?」

 

「「「「!!!!!!」」」」

 

並行世界のリアスたちが呂布の強さに驚愕するが、この場で唯一呂布の『真の強さ』を知っているヴァーリが訂正する。

 

「『全く本気じゃない』って、じゃあ『本気』のアイツはどんだけ強いんだよ?」

 

「ふっ、呂布の強さは口で説明できるものじゃない。ただ、今の呂布は兵藤一誠の動きを先読みして攻撃を避けているだけだ。

それぐらいのことなら俺にも出来るし、ある程度『武術』の心得があるヤツなら誰でも出来ることだ」

 

「動きを先読みって...........いくら先読み出来ても、あんなに近い距離での攻撃を躱し続けることなんて..........!」

 

「別に不思議なことじゃないだろ? たぶん呂布の指導を受けているこちらの世界のシトリーも同じことが出来るはずさ」

 

「シトリーって、ソーナたちが呂布さんの指導を受けているの!?」

 

自分たちの世界との違いに驚きを隠せないリアスたちだったが、呂布と同じ世界の面々は『当然だ』と言わんばかりにヴァーリの話に頷いていた。

 

 

 

 

 

「くっそぉっ! なら、これでどうだっ!! ドライグ!!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

「いっくぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! ドラゴン・ショットォォォォォォォォ!!!!」

 

バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッッッッッ!!!!

 

 

一誠は『赤龍帝の籠手』を使い、パワーを倍加させ必殺の『ドラゴン・ショット』を放ってきた。

『禁手』状態で力を倍加させたため、エネルギー弾の大きさは俺の身長の優に三倍はあるだろう。

 

確かにパワーは中々なんだけど、真っ直ぐ飛んでくるだけのエネルギー弾は躱すなり防ぐなり容易なんだよなぁ。

 

 

バシィッッッ!! グウォンッッッッ!!!

 

 

「なっ!? どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」

 

ドゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ................。

 

 

俺は『武装色の覇気』を纏った右手を素早く繰り出し、ドラゴン・ショットの軌道を変えて弾き飛ばす。

弾かれたドラゴン・ショットは当初より勢いを増して、そのまま一誠に直撃した。

 

「イッセーッッッ!!!」

〔そんなっ、イッセーくんの技が............!〕

〔あんな簡単に返されるなんて............!〕

 

「まったく、相変わらず大したものだ。弾くだけではなく、相手にそのまま跳ね返してしまうんだからな」

「あら、ヴァーリ様も出来るのではありませんか?」

「俺の場合は神器があるからな。『覇気』と『体術』だけなら..........弾くことは出来るが、跳ね返すのは無理だ」

 

自分の技を跳ね返された一誠は何とか体勢を立て直す。だが、周りの者だけではなく一誠自身も衝撃を隠せない模様。

 

そしてギャラリーの片方はドキドキハラハラ、片方は眉一つ動かすことなく両者の戦いを見守っていく...............。

 

 

 

 

「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」

 

ブォォォンッッッ!!!

 

一誠はブースターを吹かせて猛スピードで突っ込み拳を繰り出す。流石に生身とはいえ、サイラオーグと殴り合っただけのことはあるな。

 

並みの相手やウィザードタイプならワンパンで倒せるだけのパワーはあるだろう................当たれば、ね。

 

................ヒョイ、ブゥゥゥゥンッッッ!!!

 

「くっそぉぉぉぉぉぉ、何で当たらねえんだっ!!!」

 

パワーもスピードもあるけど、動きがストレート過ぎるんだよね。フェイントも無ければ、駆け引きもない。

訓練を始めたばかりのこっちの一誠もそうだった。周りの中に近接戦闘の技術を教えてくれる人が誰もいないのかね?

 

そういえば原作でもアザゼルは『能力』を鍛えるばかりで、戦いの技術や駆け引きを教えた描写は無かった。

強いて言えば、初代孫悟空が少し『パワー』のコントロールについて教えたぐらいか。

 

 

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ.........ちっくしょう、こうなったら!」

 

さっきまで攻め続けていた一誠が急に動きを止めて、呼吸を整える。そして何やら呪文を唱えだした。

 

 

 

「我、目覚めるは王の真理を天に「ドコォォッッッ!!!!」っ、がっ、はっ.............!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ..........すまん...........隙だらけだったもので...........つい」

 

 

 

 

「イッセーッッッ!!!!」

〔イッセーさんっっ!!!〕

「「〔イッセーくん!!!〕」」

「「イッセー先輩!!!」」

 

 

ヤッベッ! 一誠が呪文を唱えている姿があまりにも無防備だったから、ついいつもの訓練の癖で攻撃してしまった!!

 

だって仕方ないじゃん! 戦闘中にあんな隙だらけなところ見せられたら、反射的に攻撃しちゃうよ!!

それにこっちの世界の一誠は、あんな長ったらしい詠唱なんかしないしさぁ!!

 

 

俺の肘撃ちが一誠の腹に見事に決まったことで『禁手』は解け、そのまま腹を両腕で押さえながら倒れて動かなくなった。

 

参ったな~~~、変身ヒーローのお約束を完璧に破ってしまった。相手は子供なんだから、ちゃんと待っててあげれば良かった..................。

 

 

 

 

 

 

「..............すまなかった」

「いっつつつ................あ、いえ、気にしないで下さい」

 

「そうだぞ、呂布。戦闘中にあんな隙だらけな姿を晒す方が悪い」

「ああ、あんなの『攻撃してくれ』と言っているようなものだからな」

「実戦であんな隙を堂々と晒してたら、殺されてますわね」

 

「グッハァッッッッ!!!!」

 

 

俺は隙だらけだったとは言え、変身の邪魔をしてしまったことを素直に謝る。けれど、こっちのヴァーリたちは『隙を見せた一誠が悪い』と追い討ちを掛けてきた。

 

これこれキミたち。事実だからって死体蹴りは止めなさい、傷つく心がここにあるんだよ?

 

 

でもまぁ確かに、実戦であんな詠唱は無理だよな~~~。壁役になってくれる味方がいれば別だけど、少なくとも単独での戦闘では無理。

俺もそう思ったからこそ、詠唱無しで『龍昇格』が出来るよう修行をつけたわけだしね。

 

 

その後、原作世界のアーシアの神器で回復した一誠だったが『アレはちょっと.........』という話になって再戦。

 

今度は『真女王』になった状態から始めるが.........力が不安定なせいか、俺が一撃避けただけで『禁手』が解けてしまった。

 

流石にグダグダになってきたので一誠が降参。サイラオーグを倒して、自信がついてきたところにこの敗北。特に手も足も出せずに負けたことにショックを受けてしまった。

 

 

「はぁ~~~~~、自身無くすなぁ~~~。サイラオーグさんにも勝てて、それなりに強くなった実感はあったんだけど.................」

 

「イッセー、元気出して。そんなに落ち込まないの。相手は別世界において、『最強』の存在なのだから」

〔そうですわ。むしろ、そんな相手によくあそこまで戦えたものですわ〕

〔そうですよ! とってもカッコ良かったです、イッセーさん!!〕

 

「うぅぅ、ありがとう、みんな..................」

 

凹んでいる一誠を慰めるオカ研メンバー。うんうん、やっぱりこっちのオカ研の皆も仲が良いみたいで何よりだ。

 

原作ファンである俺としても『原作世界』のキャラをこの目で見られて嬉しい限りだよ♪

 

 

「まぁ、呂布を恐れず挑んだ度胸だけは認めてもいいのかもしれないな................度胸だけは」

「でも、向こうのイッセーさんたちと訓練するよりも大分手加減してましたわよね」

「ああ。向こうでの訓練と同じように『殺気』まで出してたなら、一歩も動けてなかったんじゃないのか?」

 

「ぐふぅぅぅぅぅっっっっ!!!」

 

 

オカ研メンバーの励ましに立ち直りそうなところで、またしてもウチの子達がトドメを刺してくる。

どうやらこっちの世界の一誠は、もっと厳しく戦っていると知って更にショックを受けてしまったようだ。

 

 

 

あ~~あ、せっかくオカ研の皆が慰めててくれたのに.............ダメだよ、本当のことだからってハッキリと本人に言っちゃうのは。

 

 

 






本当はこっちの曹操と原作の曹操も邂逅させたかったのですが、話の構成上『D×D』が発足された後の一誠たちを出すわけにはいきませんでしたので時間軸は統一しました。

期待されていた方は申し訳ないです。

それから呂布がドラゴン・ショットを跳ね返したところは【ダイの大冒険】は『ミストバーン』の『フェニックスウイング』を参考にしてます。カッコいいですよね、あの技♪

それでは皆さん、次回で♪
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