不足していた日常&ギャグパートを補充するための【幕間II】も次話で終わりたいと思います。
今回の時期はソーナとサイラオーグの試合が終わり、次章が始まるまでの間です。
「そう....................予備動作は出来るだけ力を抜き................本動作の瞬間にだけ....................最小限の動きで....................力を爆発させる」
「はい、呂布殿!」
現在俺はプールでサイラオーグの動きを見てあげていた。
ソーナとサイラオーグの試合が終わった後で、『身体が治ったら人間界で修行をつけてやる』と言ったからね。
ただ、いくら何でも試合が終わった次の日に来るとは思わなかったよ。しかも身体を治すためにバアル家にあった『フェニックスの涙』まで使ったって言うんだから驚きだ。
曹操からは試合が終わったら一度『蒼天の紅旗』に戻ってくるようにと言われたけど、もうすぐ年末だからね。せっかくだし紅白歌合戦を見て、年が明けてから帰ることにした。
あ、もちろん曹操にはちゃんと許可取ってるよ。
そんなわけで、戻る前に俺がいない間で出来る『セブンセンシズ』と『ライトニング・ボルト』の修行方法をみっちり教え込んでいるというわけだ。
ちなみに今は攻撃動作における『脱力』と『緊張』の感覚を覚えさせている最中。
「水の中だと....................『力』の入れ具合や流れが....................よく分かるだろ?」
「ええ、身体に伝わる水の感触で身体に力がどう入っているのかが分かります。おかげで、今までどれだけ身体に無駄な力が入っていたかということを思い知りました」
「ん、『力任せ』は........................正しいフォームに非ず....................最初は大きく、ゆっくりと....................正しいフォームと................力の入れ方を....................身につけろ。
慣れてきたら....................無駄を削っていき................徐々に動きを小さくする....................そうすれば....................自然とスピードも........................身につく」
「はい、呂布殿!!!」
まぁ、我流だとどうしても気づけない部分が出てくるよね。あと気配の感知や攻防の駆け引き、先読みの技術など『感覚』的な部分が疎かになったりする。
そのあたりのことについては『セブンセンシズ』と『ライトニング・ボルト』の修行の中で、ある程度鍛えられるでしょう。
「だいぶ『脱力』と『緊張』の感覚が........................掴めてきたな。じゃあ、次の修行に........................行くぞ」
「はいっ!!!」
かれこれ三時間ぐらいプールにいた俺たちは身体を拭いて、ソーナたちが修行で使っているトレーニングルームに向かった。
「ここまで....................『セブンセンシズ』と....................攻撃動作の....................基礎について教えた。次は............................『ライトニング・ボルト』の修行だ」
「っ、とうとう『ライトニングボルト』を........................で、ですが、呂布殿。御身の秘技をそのように簡単に教えていただいてよろしいのでしょうか?」
「....................問題ない........................それにすぐに....................出来るようになるわけじゃない。
あくまで基本的な修行方法を............................教えるだけだ」
「さ、さようでございますか................................」
トレーニングルームへとやって来た俺たちは、次に『ライトニング・ボルト』の修行に移ろうとしたんだけど、サイラオーグが急に遠慮しだした。
どうやらサイラオーグはいきなり技を教えてもらえると思っていたみたいだ。
残念だけど、俺は『技を覚えるための修行方法』を教えるのであって『技を会得できるか』はサイラオーグ次第。だから、技の原理や修行方法について教えること自体はそんなに難しくないというわけだ。
これなら曹操に五月蠅く言われることも無いはず........................ソーナたちの試合が終わってから、『技の習得』まで面倒を見ることについてはアレコレ言われたからね~~~~。
「ん....................じゃあ、始める....................っと言いたいところだが....................何故お前たちまでいるんだ?」
俺が隣に目を向けると............................離れたところからシトリーとグレモリーにアザゼル、そして何故かレイヴェル・イリナ・ゼノヴィアまでこちらを伺っていた。
レイヴェルは良いとして、イリナとゼノヴィアにはシトリーの面倒を見るよう言っておいたはず。グレモリーとアザゼルにいたっては全く関係ないじゃん。
「いや~~~、師匠の技って聞いたら気になって....................」
「すみません、呂布殿。この子たちが『どうしても見たい』と言って聞かなくて............................」
「あ~~~、ズルいです会長! 会長だって気になってたじゃないですか~~~」
「も、申し訳ありません、呂布様。その、どうしても気になってしまって............................//////////////////////」
「「「「コクコク」」」」
「そうですよ、呂布さん! 私たちにだって技を教えてください!!」
「ああ、シトリーやサイラオーグにだけ教えるなんてズルいじゃないか!」
「私は邪魔をしてはいけないとお止めしたのですが、皆様聞いてくださらなくて................................」
「まぁまぁ、ここにいるぐらいならいいじゃねえか。邪魔はしねえからよ♪」
皆は俺の修行方法というか、『ライトニング・ボルト』について気になっているみたいだ。そしてイリナとゼノヴィアは俺から技を教えてほしいとのこと。
う~~~ん、とは言ってもねぇ。曹操からは『技を教えることについては控えてくれ』と言われてるんだよね~~~。どうしても教えて欲しいなら、曹操に許可を取ってよ。
まぁ、『ライトニング・ボルト』は『セブンセンシズ』に目覚めないと完全には使えないから、聞かれていても問題ないし........................別にいいか。
「........................じゃあとりあえず........................技の原理から............................説明する」
「はい! お願いします、呂布殿」
俺は土遁の術で大型トラックぐらいの大きさの岩を作る。本当はもっと大きな岩の方が分かりやすいんだけど、初めだしこんなもんでいいだろう。
「サイラオーグ............................この岩を拳で........................『粉砕』してみろ」
「はい! フンッ!!!」
ドゴォンッッッ!!!!!
俺が指示するとサイラオーグの拳が大岩を砕いた。結構固めに作ったのに壊せたのはお見事。周りの皆も『おぉぉぉぉぉぉ!と感心の声を上げている。
「ほう、相変わらず大したパワーだな」
「流石はサイラオーグさんだな、あんなデカい岩が一撃だ!」
「ああ、やっぱりいつ見ても迫力満点だぜ!」
「気のせいか、拳のキレが鋭くなっているように見えます」
「ええ、そういえば呂布様に拳打や蹴りのフォームを矯正されてたわよね。その影響かしら?」
皆がサイラオーグのパワーを認めている................................うん、予想通り。じゃあ、本物の『粉砕』を見せてあげようか。
「................................ダメだな」
「「「「「「!!!!!!!!」」」」」」
「え? り、呂布殿? ダメ、とはいったい................................?」
「言葉通りの意味だ........................俺は『粉砕』するように言ったんだ............................よく見ていろ」
俺はサイラオーグにダメ出しをすると同じ大きさの岩をもう一度作り、今度は俺が殴ってみせる。
ドスンッ、バフォォォォォォォォォォォォン!!!!!
サラァ............................................。
「「「「「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!」」」」」
俺が殴るとサイラオーグの時とは違い、岩は『砂のように細かい粒子』となって消えていった。サイラオーグを含めた周りの皆が驚愕に包まれている。
「これが『粉砕』............................粉のように細かく砕くことだ」
「り、呂布殿、どうしてこのようなことが起こったのでしょうか............................!?」
サイラオーグは自分が見た光景が未だに信じられず、何故こうなったのか尋ねてくる。
周りの皆も唖然としながらも興味津々でこちらを見ていたので、俺は『衝撃』とはどういうものなのかを教えてあげた。
物体と物体がぶつかり合うと、その間には必ず『抵抗』が生まれる。例えば、今のように拳で岩を殴ると岩には『拳を押し返す力』が発生する。
この『抵抗』により物体は衝突時の衝撃を緩和しているわけなのだが、逆に言うとこの『抵抗』のせいで衝撃のパワーが100%伝わらなくなってしまっている。
では、『抵抗』の影響を受けずに衝撃のパワーを100%物体に伝えるにはどうすればいいか................................それは『抵抗』が発生するよりも早く衝撃を物体に伝えることだ。
そして『抵抗』が発生する前に衝撃を伝えるには、衝突した瞬間に更に衝撃を加えること。そうすると衝撃のパワーが100%伝わり、今のように岩を『粉砕』することも出来るというわけだ。
「な、なるほど。単に殴ったり蹴ったりするだけでは、パワーを完全には伝えきれないということですね」
「まったく、相変わらずどういう頭の構造をしてやがんだ? 普通そんな関係なさそうな知識から『強さ』に結びつけるなんて考えねえぞ?」
「ええ、本当に。あらゆる知識と経験を『己の強さ』へと昇華させる、これが呂布殿が『最強』たる由縁なのでしょう」
「そうね........................それよりもソーナとシトリー眷属の皆! こっちを手伝ってもらえないかしら!?
朱乃、自重なさい!! 今は真剣な話をしているの、邪魔をしてはダメよ!!!」
「あぁ♪ 奉先様ぁ....................////////////////////」
俺が『粉砕』する技術について話すと朱乃が頬を赤らめながら俺の方に近づいてくる............................のをグレモリーとイリナたちが抑え込んでいた。いったい何をやってるんだ?
「呂布殿、『抵抗』が発生する前に衝撃を連ねるには具体的にどのようにすればよいのでしょうか?」
隣が賑やかになっているのを他所にサイラオーグは真面目に質問してくる。
うんうん、サイラオーグだけは真剣に取り組んでいてくれた良かった。周りの皆は騒ぐなら、あっちに行っててくれないかなぁ?
とりあえず話を続けることにした俺はサイラオーグの前に腕を差し出す。
「....................................触ってみろ」
「はい....................っ、これは、震えている? いや、『振動』と言った方が正しいでしょうか?」
俺の腕を触ったサイラオーグは腕が小刻みに振動していることに気づいた。中々良いセンスをしている、その通りだよ。
「ん、このように........................『振動』させることが........................『粉砕』のコツだ」
「『振動』が、ですか?」
『振動』を見せた俺は再び土遁の術で岩を作る。ただし今度はマンションのように巨大な岩山だ。
「今度は目でも分かるように............................ゆっくりやってやる」
ドスゥンッ....................ドゴォンッ、ドゴォンッ、ドゴォンッ、ドゴォンッ、ドゴォンッ、ドゴォンッ、ドゴォンッ、ドゴォンッ、ドゴォォンッッッ!!!!
俺は先ほどよりも『速度』を落として岩山を殴りつけた。すると岩山は時間差で何度も抉れていき、音が出るたびに抉る範囲も広く深くなっていく。
「こ、これは............................!!!」
「サイラオーグ........................俺が何回衝撃を与えたか........................分かったか?」
「は、はい! 十回、だと思います」
はい、正解。まぁ音が十回鳴ってたし、凹んだ感覚もゆっくりだったから、コレは分かりやすかったね。
「ん、腕を小刻みに『振動』させて........................一挙動で十発分の........................衝撃を与えた」
「っ、お見事です、呂布殿!」
周りの皆は口や目を大きく開いているのに対し、サイラオーグは目をキラキラと輝かせている。褒めてくれるのは嬉しいけど、これはまだ序の口なんだよね。
「今のは『振動』の感覚が........................長かったから............................衝撃のタイミングがズレていたし........................『粉砕』も出来なかった................次はもっと細かく................................『振動』させる」
ドスゥンッ....................ドゴォンドゴォンドゴォンドゴォンドゴォンドゴォンドゴォンドゴォンドゴォォンッッッ!!!!
「もっと細かく」
ドスゥンッ、ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォッッッッ!!!!
「さらに細かく」
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォンッッッッ!!!!
「そして」
バフォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッッッッッッッッッ!!!!!
サラァ................................................。
「....................................こうなる」
殴って破壊した岩山を元に戻しては、また岩山を作り殴る。殴るたびに岩山は細かく砕けていき、最終的には最初に作った岩壁のように砂状に消えていった。
「「「「「............................................」」」」」
粒子と化した砂を見て皆は固まってしまっていた。もしかしてまだ分かりづらかった?
なら、ここからは俺の秘書であるレイヴェルちゃんに説明役を「素晴らしいです、呂布殿!!!」うおっ、ビックリした~~~!! いきなり大きな声出さないでよ、心臓に悪いじゃん。
「まさに打撃の粋を集めた技の極地!! 『力』『知識』『技術』、かつてこれほどまでに『破壊』という一点を突き詰めた者がおりましたでしょうか!!!」
サイラオーグは興奮しながら俺へ食い気味に近づいてくる........................何? その【『富』『名声』『力』、かつてこの世の全てを手に入れた男】みたいなフレーズ、どこの海賊王?
「なるほど、『振動』................いや、『超振動』のように細かい衝撃の波によって分子構造が崩れる。それにより、物体を『粉砕』する打撃となるわけか」
お、流石はアザゼル。『振動』による『粉砕』について理解が早い。
そう、『振動』の波というのは一定の高さを超えると物体内部の分子構造を破壊する。その威力たるや物体を文字通り『粉微塵』にするほどだ。
そしてこの『振動による打撃』をより高いレベルまで突き詰めたものが、『ライトニング・ボルト』というわけだ。
「アザゼルの言った通り....................『振動』は分子構造を『粉砕』する。
そしてこれを................更に突き詰めると....................『粉砕』ではなく....................『消滅』となる」
「『消滅』........................っ、それが『ライトニング・ボルト』!!!!」
「ん、だが原子を『消滅』させるほどの......................『超振動』を起こすには........................『光の速度』を超えなくてはならない。
その『光速』を超える力が........................『セブンセンシズ』だ」
『セブンセンシズ』に目覚めれば自分の身体を原子レベルで掌握することが出来る。それはつまり、肉体の動きが原子レベルで一致するということだ。
分かりやすく言うと【トリコ】の『猿武』だな。『猿武』は細胞レベルで肉体の動きを一致させることで、通常時を遥かに上回る精度と速度で動くことが出来る。
『セブンセンシズ』をマスターすると細胞の原子レベルからエネルギー(『小宇宙 コスモ』)を生み出せるようになるだけじゃない。
原子レベルで肉体の動きを一致させて『光速の体術』を身につけることも出来るようになる。
『ライトニング・ボルト』の会得には、この『小宇宙』と『光速の体術』の二つが必要になる。
プールでのトレーニングは『体術』から無駄な力と動きを削るだけじゃなく、『振動を使った打撃』や『光速の体術』のための基礎修行でもあった。
『小宇宙』のコントロールは毎度お馴染み『オーラ』や『チャクラ』のコントロール修行と同じでいい。これはいざとなったらソーナたちに協力してもらおう。
あとは『セブンセンシズ』抜きの純粋な体術で『振動を使った打撃』が出来るよう、岩を殴りまくってひたすら反復練習............................っとまぁ、これが『セブンセンシズ(小宇宙)』と『ライトニング・ボルト』の基本的なトレーニングメニューとなる。
「『身体の動きを原子レベルで一致させる』『小宇宙のコントロール』『振動を使った打撃の会得』....................この三つが........................サイラオーグに与える修行だ」
「っ~~~~~、承知いたしました、呂布殿! ここまで俺のことを想って修行を与えていただけるとは、感謝の極みです!! 必ずや『ライトニング・ボルト』を会得してみせます!!!」
修行のメニューを伝えるとサイラオーグは頭を90度下げて深々とお礼を言ってくる。俺がいなくてもずっと修行を続けられるように、自分で出来るメニューを組んだだけなんだけどね。
あ、せっかくだから『あの技』も教えておくか。順序が逆だけど『ライトニング・ボルト』が出来るようになれば、会得できるはずだろうし。
「サイラオーグ....................会得するのは....................『ライトニング・ボルト』だけじゃない」
「え? あの、それはどういうことでしょうか?」
「今から見せる............................そこに立て」
俺は離れたところに指を差し、移動するよう促すとサイラオーグは戸惑いながらも指示通りに動く。周りの皆も何事かと思い、頭に『?』を浮かべている。
「これから見せるのは........................『ライトニング・ボルト』と........................対を成す技だ」
「「「「「ッッッッッッッッッ!!!!」」」」」
「ッ、ラ、『ライトニング・ボルト』と、対を成す技!? り、呂布殿、そのような技を見せていただいてよろしいのですか!?」
俺が技をもう一つ教えるということにアザゼルたちは驚き、サイラオーグも困惑している。修行内容は同じだし、『ライトニング・ボルト』が出来ればこっちの技も出来るようになるから気にしなくていいよ。
「問題ない........................それよりも....................絶対に動くな....................僅かでも動けば......................死ぬぞ」
「っっっっっっっっ!? は、はいっ!!!!」
『危ないから動かないでね?』と忠告すると鬼気迫る顔となるサイラオーグ。『動くな』とは言ったけど、そこまで緊張することはないよ? ちゃんと当てないように気をつけるからさ。
キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!
「!!!!!!!!!!!!!」
俺は『セブンセンシズ』を使い『小宇宙』を高める!! 爆発的に放出された黄金のエネルギーは天を衝き、空を黄金一色へと染め上げた!!!
以前、冥界でサイラオーグに見せた時とは違い、今回は当てはしないけど手加減もしない。
「す、凄え................................」
「これが、『セブンセンシズ』........................!」
「同じ『セブンセンシズ』でも、やはりサイラオーグとは伝わってくる力の波動が違いますね........................!」
「ええ。しかもこの迫力は、前に冥界で見せてもらった時よりもずっと凄まじいわ........................!」
「おいおいおい!!! この訓練場を消し去るつもりか、アイツはっ!!!!」
「これが完全版の『セブンセンシズ』!!! 俺とは次元が違う................................!!!!」
周りの皆が騒ぎ出し、サイラオーグも俺の放つ『小宇宙』の勢いに呑まれ微動だに出来ていない。却って好都合なため、俺はこのまま構えを取る。
「っ、呂布様の両手が........................獅子座の軌跡を描いていく!!!」
「っ、あれほど強大だったオーラが薄皮一枚まで圧縮されてやがる、末恐ろしいヤツだ............................」
「................................綺麗////////////////」
構えを取りながら『小宇宙』を肉体に、次いで右拳に集中させていく。限界まで圧縮された『小宇宙』により、俺の右拳は太陽と見違えるほどの光を放っていた。
「聞くか....................................獅子の咆哮を」
≪ライトニング・プラズマ≫!!!!
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
俺は目の前で何が起こっているか分からなかった。唯一理解できたことは、呂布殿が拳を放つ動作を取った瞬間................................数えきれないほどの光が俺に向かって押し寄せてきたことだけだった!!!
それはまるで夜空に光る無数の星々が、一斉に俺に向かってくるかのようであった。しかも一つ二つじゃない、百や千でもきかない。
万を超えるであろう光が集まり、点であった光は線となり................................非常に細かい網の目で出来た光は壁となって俺に向かってきたのだ!!!
避けるどころか逃げることすら出来ないほどの光の奔流に俺は呑みこまれる............................しかし、『俺がいる場所だけ』光の線は避けていった!!!
一瞬にして光のトンネルを抜けた俺は、当たったわけでもないのに膝から崩れ落ちてしまった!
自分の身に何が起こったのか未だに理解できていない、ただ確実に言えることは............................俺は微動だにしていたら、間違いなく『死んでいた』ということだけだ。
目の前にある確実な『死』を体感した!!! 身体中から力という力が抜けてしまった俺は、それでもどうにか今の技について呂布殿に尋ねる。
「ハァ、ハァ、ハァ、り、呂布殿っ........................い、今の技は........................」
力が抜け出てしまった身体から何とか声を振り絞る。我ながら何とも情けない姿だ。だが事実、これが俺の精一杯なのだから仕方がない。
膝を着き息を切らせながらもどうにか声に出した質問に、呂布殿はいつも通りの様子で答える。
「『ライトニング・プラズマ』。『ライトニング・ボルト』から........................『振動』の部分を除き....................威力ではなく....................スピードを上げたものだ」
『ライトニング・ボルト』から『振動』を取り除いた........................つまり、本来なら一挙動で行う多段攻撃を通常通りに連発させたわけか。
確かに、理屈としては分かる。だが、それだけであのような光の洪水みたいな拳を放てるものなのだろうか?
「さ、さようでございますか........................ちなみに、何発放ったのでしょうか?」
「................................一億発だ」
「................................え?」
耳が痛くなるほどの静寂の中、俺はとんでもないことを聞いたような気がする。
い、いま、呂布殿は何と仰られたのだ? 聞き違えでなければ、い、一億と聞こえたぞ........................!!!
「も、申し訳ありません........................いま、何と仰られましたか?」
「だから....................一秒間に....................一億発だ」
............................どうやら聞き違いではなかったらしい。リアスたちの方を見れば、驚きのあまり声を失っているようだ。
一億か........................文字通り桁が違うな。だが確かに、あの時見た光の数は万を優に超えていた。何より、呂布殿がそのような見栄を張るとは思えない。
「ちなみに全力だと....................もっと早く撃てるし........................両手なら単純に倍になる。
そういえば........................昔、朱乃には................見せたことがあったな」
「はい!!! 私と母様を助けてくださった時のことですね♪ 忘れるはずがありません//////////////」
「ハァァァァァァァァァァァッッッッッッ!? 朱乃が呂布に助けられたのって、子供の頃の話だろっ!? そんな小せえ頃に、こんなとんでもねえ技を身につけてやがったってのか!?」
ほらな、見栄どころかアレで謙遜していたというレベルだ。皆も堕天使総督のように目を大きく開いて唖然としている。
呂布殿の全力がどのようなものかは想像もつかないが、少なくとも両手であれば倍になるというのはその通りだろう。右拳だけではなく、両拳なら手数が倍になることは子供でも分かることだ。
それにしても秒間一億発の拳、それを子供の頃に既に使えていたとは............................本当に恐ろしい御方だ。
それから皆がどうにか現状を受け入れ、落ち着きを取り戻したところで呂布殿が『ライトニング・プラズマ』について更に教えてくれた。
「『ライトニング・ボルト』は....................『ライトニング・プラズマ』の威力を集中させたもの。
そのため....................『ライトニング・ボルト』は単体相手に........................『ライトニング・プラズマ』は複数相手に........................使い分けている」
「なるほど。技の原理がほぼ同じなため、工夫一つで用途を使い分けられるということですね」
「ん、『技』なんてのは...................どこまでいっても.....................『基本』を突き詰めた『何か』だ。
様々な技術の....................『基本』が出来ていれば....................組み合わせ次第で....................色々と応用できる」
【『技』は基本を突き詰めた『何か』】、か....................ふふ、至言だな。まさにあらゆる『基礎』を『世界最強レベル』まで高めた呂布殿だからこそ言えることだ。
「サイラオーグは.......................一対一の戦いに....................慣れ過ぎだ。
これから先....................一人で複数を相手取ることもあるだろう....................そんな時に一人一人を....................両手で相手にしていたら....................対処しきれない」
呂布殿の仰る通りだ。リアスやソーナとの試合でも、複数相手の手数に押されていたからな。
その欠点を補う方法として、『ライトニング・プラズマ』も教えてくれたわけか。
流石は呂布殿だ。俺の欠点を指摘しながらも、俺を更なる高みへと導いてくださる。
しかもそれを一つの修行でこなしてしまうとはな........................ソーナたちがこの短期間であれほどまでに強くなったのも納得が出来る。
「俺が与えた修行をこなし....................この二つの技を........................状況に合わせて........................瞬時に使い分けられるようになれ」
「はい!」
「いきなり一億発は無理だから....................とりあえず俺がやったように........................十連撃から出来るようになれ....................目標は....................百連撃だ」
「承知しました! 呂布殿、未熟な我が身にここまでの教えを施していただき........................このサイラオーグ・バアル、感謝の念に尽きません!!!」
俺は呂布殿にあらん限りの感謝を伝える。そして居ても立っても居られず、早速修行に打ち込むことにした。
【聖闘士 星矢】では『ライトニング・ボルト』は『ライトニング・プラズマ』の威力を一発に集約した技....................となっていましたが、具体的なやり方が分からなかったので【るろうに剣心】の『二重の極み』を応用して自分なりに考えてみました。
あとは【トリコ】の『釘パンチ』の要素も入っていますかね。
本当は今回で【幕間II】は終わる予定でしたが、長くなったので二話構成にしました。
それでは皆さん、次回で♪
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