深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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当初、『セブンセンシズ』は呂布とサイラオーグ以外には使えるキャラを出す予定は無かったのですが、話の展開上『蒼天の紅旗』も目覚めさせることとなりました。

ただ、あくまで目覚めさせただけでコントロールまでは完璧に出来るようにさせるつもりはありません。

また戦闘時に使っている描写もほとんど出さないと思います。さすがに実戦でホイホイ使われたら『D×D』の世界が崩壊しかねませんのでwww




第百八十話

 

 

 

 

「....................................では、行くとしよう」

 

 

 

私たちはお兄様の号令に無言で頷き、拠点を後にする。目指すはグレイフィアがいるであろう迎賓の間。

誰からもたらされた情報かは分からないけど、ここまで来たらこの手紙を信じて行くしかない!

 

拠点を出て首都から離れたところにある森を歩いていくと、場所を知っていなければ到底見つけられないような洞窟があった。

この洞窟は旧魔王が作ったものではなく、お兄様たち現魔王様が万一の場合に備えて作ったものらしい。

 

首都には要人たちの避難経路として、隠し通路のようなものがいくつもある。

だが、そのほとんどが旧魔王時代に作られたもの。つまりは大王派やリゼヴィムにも知られているということだ。

 

当然、敵もそれらの隠し通路は警戒しているはずなので使えない。けど、この洞窟のことを知っているのはお兄様たち現魔王とその眷属だけ。さすがの敵もこの洞窟のことまでは知らないだろうとのこと。

 

魔術で明かりを灯しながら、真っ暗な洞窟を進んでいく。足場も悪くあちこちに尖った岩が剝き出しとなっている。

道幅や高さも決して広いとは言えず、スルトなんかは頭を下げながら歩いていた。

 

もしこんな場所で戦闘にでもなったりしたら................................。

 

 

「遠回りとはなるが、この洞窟は首都中央にある政府の地下まで続いている。ここを通って行けば、敵に気づかれることなく建物の地下に出られるはずだ」

 

「敵にこの通路のことを知られている可能性は?」

 

「通路の出入り口は魔術で目隠しと封印が施されている。その術式もアジュカが組んだもので、解除が出来るのは鍵を持っている現魔王だけだ。まず見つけることは不可能だろう」

 

なるほど。アジュカ様が組んだ術式なら、まず問題無いわね。突出した魔術の才にて、お兄様と同じく『超越者』として数えられるアジュカ様。

如何に大王派や『禍の団』に優れた術者がいても、魔術においてあの御方を出し抜くのは無理でしょうね。

 

「では、この通路は安全に使えるということですね」

 

「ああ。むしろ問題は通路を抜けた先、政府中枢の地下に出た後のことだ............................頼んだよ、リアス、白音くん」

 

「はい!」

「お任せください!」

 

お兄様に言われ、私と白音は力強く返事をする! バアル城の時とは違って、今回の救出作戦では陽動としての戦闘は出来ない。

もし戦闘になってしまえば、グレイフィアはともかく地下にいるであろう市民たちが巻き込まれてしまう。

 

そのため、今回の作戦は終始『隠密』に事を運ばなければならない。無論、全く戦闘をせずにグレイフィアの下まで辿り着くのは難しいだろう。

 

 

そこでまず洞窟を抜けたら、マグレガーが全員に不可視化の魔術を施す。そして前回の時とは逆に、分かれず一塊となって真っすぐグレイフィアのいる場所まで向かう。

 

移動中は白音が『仙術』で索敵を行い、進行先にいる敵は私の『全把握』を使って動きを読む。空かさず残りのメンバーが奇襲を掛けて、随時始末していく........................というのが大まかな作戦だ。

 

敵への奇襲は主にお兄様の眷属と祐斗が行うため、私たちは基本的にサポートに回る。白音は『仙術』、私は『全把握』、ギャスパーは『停止』、イッセーは『譲渡』を使って奇襲メンバーをサポート。

 

そうして倒した敵は、お兄様が『消滅』を使い死体ごと消し去る。死体をそのままにしておくと、敵に見つかるリスクが高まるだけだものね。

 

化け物は建物の中にはいない。大王派や『禍の団』、それに『王の駒』を使ったプレイヤーとその眷属については奇襲を仕掛ければ対処できるはず............................だが、問題は『リゼヴィム』だ。ヤツがどこにいるのかによって、この作戦の成功率は大きく変わる。

 

もしグレイフィアと一緒にいるようなら、本格的な戦闘は避けられない! どうにかグレイフィアとリゼヴィムを引き離し、転移で離脱する!

 

いざとなったら修行の成果を見せてもらうわよ、イッセー!!!

 

 

 

そのまま2時間ほど歩いていくと、行き止まりにぶつかった。しかしお兄様が手を翳して術式を展開すると、『パリィィィィン!』とガラスが割れるような音が響く!

 

見た目は何も変わらないけれど、お兄様が岩壁へと向かって歩くと........................岩壁に呑みこまれていった! 奇妙な光景に驚く私たちを他所に、お兄様の眷属たちは何食わぬ顔で同じように岩壁へと向かっていき呑みこまれる。

 

私たちも意を決して、お兄様たちに続いていくと同様に吞みこまれた。特に問題なく岩壁を抜けると広い空間に出る...........................なるほど、これがアジュカ様の『仕掛け』というわけね。

普段は魔術で岩壁に偽装しているけど、鍵を使って解除することで岩壁が変質し素通りすることが出来るようになっていたみたいだ。

 

「ここは政府中枢のちょうど真下にある空間だ。ここを登って行けば、普段は使っていない地下倉庫に出る。そこから本格的に作戦開始だ」

 

「「「「「はいっ!!!」」」」」

 

私たちは一斉に返事をすると翼を広げ、一路上を目指す。ここから先は敵陣の真っ只中、最短でグレイフィアを救出し離脱しないと私たちの命が無い!

 

300mくらい飛んでいくと天井が見えてきた。先ほどと同じようにお兄様が術式を展開すると天井からガラスが割れるような音が出る。

ここも同じように普段は天井、『地面』に偽装していて鍵で解除することで往来が可能となるのだろう。

 

このまま天井に突っ込もうとする瞬間に、マグレガーが全員に不可視化の魔術を施す! もちろん私たちだけは、お互いの姿が見えるよう術式が組まれている。

 

 

天井をすり抜けると薄暗い倉庫へと抜け出た、周囲には式典などで使う機材などがあちこちに置かれている。滅多に使われない倉庫なだけに、敵の姿は一人もいなかった。

 

『とりあえずは侵入成功だ。しかし姿は見えなくなっても声や足音は敵に聞こえてしまう。予定通り、ここからの会話は念話を使う』

 

この作戦の為にマグレガーが一定の距離間なら心に念じるだけで会話が出来るように魔術を組んでくれた。

そのおかげで、声に出さなくても情報のやり取りが可能となっている。

 

私たちは静かに顔を見合わせて頷くと隊列を組む! 侵入後のフォーメーション、並び順も予め決めておいた。

 

 

隊列は二列の縦隊。先頭が白音とギャスパー、次に私とイッセー。そしてお兄様と祐斗と続き、その後ろにお兄様の眷属たちが並んでいく。

 

索敵役の白音と停止役のギャスパーが一番前なのは当然だが、お兄様の眷属を後ろに固めているのは一番難しい後方の警戒をやってもらいたいからだ。

 

こういう時は前だけじゃなく、後ろも気を付けないと! 万が一、後ろから攻撃でもされたりしたら堪ったものじゃないわ。

 

 

地下倉庫を出ると私たちは二列縦隊となり、足音が鳴らないギリギリのスピードで走る。

 

この場所からグレイフィアがいる『迎賓の間』まで行くには、まずグルリと回って正面入口前の大広間に出なければならない。

 

そうして大広間を突っ切った先にある中央大階段を上り、東にある螺旋階段を上がった先の一番奥にある部屋だ。

ここからだと結構距離がある上に、途中で人通りの多い場所を二回も通らなくてはいけないというのだから実に面倒ね。

 

 

『っ、敵です。数は3、そこの曲がり角からこちらに向かってきています。周囲に他の敵はいません』

 

私たちが走っている最中、白音が敵の存在を捉えた! 敵が多数いればやり過ごすまでだけど、3人しかいないら........................ここで『消す』!!

 

 

『イッセーは祐斗と総司、それからベオウルフに力の譲渡を! ギャスパーは私が合図したら敵の動きを止めなさい!!』

 

『『『『『了解』』』』』

 

 

イッセーは『赤龍帝の籠手』で力を溜め始め、私は『全把握』の力で未来を見る。敵の殲滅については、お兄様から私に一任されている。

私の『全把握』を使えば、誰にも悟られないタイミングで敵を始末することが可能だ!

 

イッセーの力の譲渡が終わったのを確認すると、敵の意識が前方に向いていないタイミングを見計らう....................................ここだっ!!!

 

 

『ギャスパー!』

 

『はい! 「ザ・ワールド」!!!』

 

キィィィィィィィン!!!!!!

 

ザシュッザシュッザシュッ!!!!!

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥン........................................

 

 

私の合図と共にギャスパーが神器で敵の動きを停止、空かさずスピード自慢の三人が敵の首を切り飛ばす。

その後お兄様が『消滅』の力を圧縮させた球体を三つ飛ばして、噴出した血が壁や床に付着する前に身体ごと敵を消し去ってしまった。

 

接敵から殲滅まで三秒と掛かっていない早業! やはり予め各々の役割分担を決めていたのが大きかったわね。

 

特にお兄様の『滅び』の魔力の発動とコントロールが、とにかく正確で早い................................流石はテクニックタイプの究極形とまで称される御方だわ。

たぶん私ではどれだけ訓練しても、お兄様のようなコントロール技術は身に着かないでしょうね。

 

 

後続の敵がいないことを確認した私たちは、道中の敵を始末しつつ『迎賓の間』へと向かう。しかし、中央の大広間には多数の敵が警戒に当たっていたため、先ほどと同じようにはいかない。

 

そこでイッセーの力をギャスパーに譲渡して一斉に敵を停止。お兄様と私も殲滅に参加して、一気に敵を消し去る。

 

中央広間にいた大勢の敵がいなくなったことで、敵が侵入に気づく可能性が高くなった! 急がないと!!!

 

中央階段を駆け上がり、通路の一番奥にある『迎賓の間』の前まで来た私たち。だがやはり、扉の前には警備の者が付いていた。しかも....................................。

 

 

『あの二人は....................確か『王の駒』を使用した連中ね』

 

『ああ、どちらもレーティングゲームでトップ20入りしている者たちだ』

 

白音が強い気配を感じ取ったため、私たちは『迎賓の間』から離れた曲がり角で隠れて様子を伺う。目的の場所まであと十数メートル、けどあの二人を倒さないとグレイフィアに会うことは出来ない。

 

 

『どうします、部長。さっきみたいに俺がギャスパーに力を譲渡して倒しますか?』

 

『................................いいえ。さすがに『王の駒』で強化されているのなら、いくらイッセーが力を譲渡しても今のギャスパーじゃあ完全には停止させられないわ』

 

『じゃあ、どうします?』

 

『................................................』

 

ギャスパーでは止められない、でもあの二人を倒さないとグレイフィアを助けられない。そして時間を掛けるわけにもいかない。

けど私たちでは倒すのに時間が掛かってしまう........................どうすれば............................!

 

冷静でなければならないと頭で分かっていても焦りが積もっていってしまう私。だけど、お兄様がそっと肩に手を乗せてくれる。

 

 

『リアス、もう十分だ。ここまで来れば、後は私がやろう』

 

『お兄様っ............................でも、どうなさるおつもりですか!?』

 

『私に考えがある........................だがその前に白音くん、グレイフィアはあの部屋にいるということで間違いないんだね?』

 

『っ、はい。グレイフィア様には何度かお会いしていますので、気配や気で分かります』

 

『そうか................................では全員、少し離れていてくれ』

 

グレイフィアが間違いなく『迎賓の間』にいることを確認したお兄様は、私たちに離れるよう促す。

疑問符を浮かべながらも言われた通りに距離を取ると、お兄様が『滅びの魔力』を練り始める!!!

 

 

 

こっ、これはっ..............................!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

サーゼクス様に言われて距離を取った俺たち............................だがその瞬間、信じられないものを目にした!!!

 

 

サーゼクス様が『滅びの魔力』を練り始めると、徐々に身体が『滅びの魔力』に包まれていく! いや、アレは【身体が『滅びの魔力』に変わっていっている】と言った方がいい!! 何なんだ、あの姿は!?

 

 

カッ、ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッ!!!!!!

 

 

身体の変化が終わるとそこには....................................人の形をした『滅びの魔力そのもの』が佇んでいた!!! まるで『滅びの魔力』が意思を持ったかのように人の形をしているのを見て、俺たちは言葉も出なかった。

 

 

『お、お兄様、その御姿は............................!?』

 

『驚かせてしまってすまないね、みんな。リアスも驚いただろう。詳細は省くが、コレは私の「滅びの魔力」を全開にした状態なんだよ』

 

『「滅びの魔力」を全開に!? だ、大丈夫なのですか『おっと、近づいてはいけないよリアス。この状態の私は触れたものを全て消し去ってしまう。リアス、キミも例外ではない』ッッッッッッ!!!!!』

 

 

心配して近づこうとする部長をサーゼクス様が止める。確かに宙に浮かんでいるから分かりにくいけど、凄まじい力の威圧感を感じる。

 

たぶんあの状態で壁や床に触れてしまうと、接触した箇所が『消滅』してしまうんだろう。

 

今は抑えているから俺たちもこの建物も無事だけど、もし抑えている力を全て解放すれば建物ごと俺たちが『消滅』させられるに違いない!!!

 

 

『さて、行ってくるよ。マグレガー、すまないが警備の二人の目を眩ませられるかい?』

 

『お任せください』

 

マグレガーさんがそう言うと小さな光の球を指先に生み出した。あまりにも小さすぎるため、この距離でも目を凝らさないと見えないくらいだ。

マグレガーさんはその光の球を天井に沿いながら警備の下へと飛ばした。音もなく、静かに近づいていく光の球に二人は全く気づいていない。

 

そして....................................................

 

 

 

カッッッッ!!!!!!

 

「「ッッッッッッッッッッ!!!!!」」

 

 

 

二人が光の球に気づくと同時に、球は強烈に発光! 辺り一面が眩しい光に包まれた!!

 

俺たちは離れていたから大丈夫だったけど、目の前であれほど強く発光されたら暫く何も見えなくなるだろう............................現に警備の二人は目が眩んでいるみたいだしな。

 

 

シュンッ....................ガシッ! ブァァァァァァァァァァァァァ............................!!!!!

 

 

敵が怯んでいる隙にサーゼクス様が一気に距離を詰める! そして二人の顔をガシッと掴んだ瞬間、二人は跡形もなく消え去った!!!!

 

すっ、凄え........................『王の駒』を使っていたとはいえ、あのレーティングゲームのトップランカーを一瞬で消し去っちまった。

部長の『滅び』の魔力のパワーも大したもんだけど、サーゼクス様の『滅び』の力は次元が違う! これが、サーゼクス様が『超越者』と呼ばれる由縁か....................................!!!!

 

俺がサーゼクス様の強さに戦慄していると、元の姿に戻ったサーゼクス様が手招きして俺たちを呼ぶ。俺たちは気を取り直して、サーゼクス様の下へ向かった。

 

『白音くん、周囲とこの部屋にいる気配を探ってくれ』

 

『はい........................周囲に気配はありません。部屋の中にある気配も変わらず一つだけです』

 

『よしっ!』

 

サーゼクス様が白音ちゃんに最終確認をして安全だと分かった瞬間、ドアを開ける!

 

 

 

「グレイフィアッ!!!」

 

「サーゼクスッ!?」

 

 

部屋に入って愛する妻の姿を確認したサーゼクス様は、すぐに駆け寄りグレイフィアさんを抱き締める! グレイフィアさんも一瞬驚いた顔になるが、サーゼクス様に抱き締められると嬉しそうに抱き締め返す。

 

まるで二度と会えないと思っていた夫婦が奇跡の再会を果たしたように感動的な光景............................朱乃さんも呂布さんと再会した時はこんな気持ちだったんだろうな。

 

 

 

 

「サーゼクス、どうしてここに? アナタは魔王としてバアル城に留まっていたのではないのですか?」

 

「詳しくは後で話す。それよりも今はここから脱出するんだ」

 

再会を喜ぶのも束の間、グレイフィアさんはサーゼクス様がここに来た事情を聞こうとする。しかしサーゼクス様の言う通り、今は時間が無い! モタモタしていると敵がやって来ちまう!!

 

サーゼクス様はグレイフィアさんを連れて転移しようとするが........................グレイフィアさんは首を振って拒否した!!!!

 

 

「グレイフィア!?」

 

「ごめんなさい、サーゼクス。私はアナタと行くことが出来ません。どうかアナタたちだけで脱出してください」

 

「「「「!!!!!!!!!!!」」」」

 

 

グレイフィアさんの予想外な一言に俺たちは驚愕してしまう! いったいどうして............................せっかく苦労してここまで来たって言うのに!!!

 

「............................どうしてだい?」

 

俺たちが驚きに包まれる中、一番意外そうにしていたサーゼクス様が真っ先に落ち着きを取り戻していた。流石は魔王様、こんな時でも冷静にグレイフィアさんの話を聞こうとしている。

 

サーゼクス様が優しい声音で尋ねると、グレイフィアさんは目に涙を浮かべながらポツリポツリと話し出す。

 

 

「私は........................世にも悍ましい光景を目にしました。そこでは『化け物』を生み出すために市民が親兄弟、さらには恋人同士で殺し合いをさせられていました」

 

「「「「ッッッッッッッッッッ!!!!」」」」

 

 

なっ............................市民が身内同士で殺し合いを強制させられているって............................大王派や『禍の団』が『化け物』を生み出しているってことは知っていたけど、まさかそんな方法だったなんて....................................!

 

とても信じられないような話だけど、あのいつだって凛々しく気丈なグレイフィアさんが泣きそうになっているってことは、それだけ凄惨な光景だったんだろう....................................。

 

っ~~~~~、くそったれがっ!!!! 自分たちの手駒を増やすために罪も無い一般悪魔を『化け物』に変えるどころか、殺し合いまでさせるなんてっ!!! アイツら、いったいどこまで外道なんだっ!!!!!

 

聞いてるだけで胸糞が悪くなってくる話に、俺だけじゃなく周りの皆も怒りを露にしている! しかし次の瞬間........................グレイフィアさんからまたもや予想外な話を切り出された!!

 

 

「そしてその地獄を生み出しているのが、リゼヴィムと................................行方不明だった私の弟、『ユーグリット・ルキフグス』だったのです................!」

 

「「「「っっっっっっっっっ!!!!!!」」」」

 

 

グレイフィアさんは目に涙を浮かべながら、苦しそうに声を絞り出す! 行方不明の弟って、グレイフィアさんにそんな人がいたのか!?

しかも今は『禍の団』に所属して、一般悪魔たちを『化け物』に変えているって................................。

 

 

「そうか........................彼は生きていたんだね」

 

「はい....................ですが、弟は既に壊れてしまっていました。幼い子供を『化け物』に変えても何にも思わず、『化け物』に変えた市民が親兄弟を殺している様を満ち足りた表情で眺めるほどに................................」

 

「................................................」

 

「ですが弟をそのように変貌させてしまったのは、他ならぬ『私』なのです! 『ルシファー』の側近たる『ルキフグス』家としての重圧、一族が断絶したという現実。そして............................唯一の家族であった私の裏切り。

自分が支えとしていた物が何一つ無くなったばかりか、姉である私が敵であるサーゼクスと結ばれた。もし私が今も旧魔王派としてあったなら、話は別だったかもしれない。

けれど大戦が終わり、耐え難い現実を前にショックを受けたした弟はとうとう壊れてしまい............................遂には狂気に身を委ねた」

 

「グレイフィア................................」

 

「だから私はこの地に残り....................弟を誅殺しなければなりません! このような事態になってしまったのは、弟を放ったらかしにしていた私の責任なのですから!!

あの者には然るべき報いを受けさせます! それが『ルキフグス』としての、そして『姉』としての私の最後の務め....................!!!!」

 

「「「「................................................」」」」

 

 

まるで呪詛を吐くように、テロリストに身を落とした弟を殺すと宣言するグレイフィアさん。普段は厳しいながらも優しく振る舞っていた彼女だが、今は激しい怒りを秘めた『戦士』の顔つきとなっていた。

 

その威圧感たるや、歴戦の猛者を思わせる........................そういえばグレイフィアさんは、あのセラフォルー様と双璧を成すぐらい女性悪魔の中でも一、二を争うほどの強さだって部長から聞かされていたな。

 

あの時は半信半疑だったけど、今のグレイフィアさんの姿を見たら納得だ。

 

グレイフィアさんの言っていることは分かる、身内の不始末は身内でつけたいと言うのは当然のことだろう........................でも、だからって、あの優しいグレイフィアさんに実の弟を殺させるなんて! そんなことっ........................................。

 

 

 

「................................グレイフィア」

 

 

ギュッ!

 

 

「サ、サーゼクス........................!?」

 

 

俺が『本当にこれで良いのか?』と悩んでいると、サーゼクス様が優しく微笑みながらグレイフィアさんを抱き締めた。グレイフィアさんもいきなりのことで驚いている。

 

 

「キミだけが悪いわけじゃない。こんな事態となってしまったのは、私にも責任がある。『魔王』でありながら、『ルキフグス』を含め旧魔王派と協力して『悪魔』を盛り立てるということが出来なかった。

ユーグリットのことについても、私にとっては『義弟』にあたるのだから、何としても探しだし『家族』として接するべきだったんだ」

 

「っ............................................」

 

「だから............................何もかも一人で背負うようなことはしないでくれ。キミ一人が苦しむ必要は無いんだ」

 

「ッ、サーゼクス........................でも、ユーグリットは、弟はっ!!!」

 

「ああ、そうだね。だから........................私たち二人で止めよう。そして二人で一緒に背負い、一緒に苦しもう。それが『夫婦』と言うものだ」

 

「ッッッッッ!? っ~~~~~~~、サーゼクスッ! サーゼクス、サーゼクス、サーゼクス!!!!」

 

サーゼクス様の慈愛に満ちた言葉を聞いて、子どものように泣きじゃくるグレイフィアさん。彼女も既にいっぱいいっぱいだったんだろう。

 

 

大王派のクーデター、反乱軍の台頭、『禍の団』による悍ましい実験。そして極めつけが、弟の暴走。度重なる事態が気丈なグレイフィアさんの心を徐々に蝕んでいった。

死んでいたと思っていた弟が生きており、テロリストになったばかりか恐ろしい実験をして『化け物』を生み出している。

 

その光景を目の当たりにしたことで、グレイフィアさんの心労は限界となり、何もかも自分の責任であると思い詰めてしまったんだ。

 

だけどサーゼクス様の言葉で、どうにか持ち直すことが出来た。さっきのサーゼクス様の姿は、まるで部長のようだった。まさに『情愛の悪魔 グレモリー』の面目躍如と言ったところだな!

 

もし俺たちの到着が遅ければ、グレイフィアさんの心も壊れてしまっていたかもしれない。結果として、サーゼクス様の判断はベストだったってことか。

 

 

「さあ、ここにいると危険だ。ユーグリットの件も含めて、これからのことについては後で話すとしよう。今はとにかく、ここから脱出だ!」

 

「ええ!」

 

サーゼクス様の『情愛』で、いつものグレイフィアさんに戻ったことに安堵する俺たち。二人の様子を微笑みながら見ていた部長が転移の魔方陣を展開しようとする。

 

 

しかし....................................................................。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ............................................

 

 

 

 

ドッパアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これだけデカイ建物を揺るがすほどの地震が起こると........................................街の方から真っ黒い『ナニカ』が間欠泉みたいに吹き出していた!!!!!

 

 

 

 

 






サクサク進めたつもりでも、まだ3分の1ぐらいしか進んでいないあたり、今章が長くなることは必至ですね............................。

けれどようやく話が佳境になってきたということで、私もテンション上げて書いていきます!

それでは皆さん、次回で♪
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