今話で一気に佳境まで行きたかったので、今話はいつもより長くなってしまいました。
「なっ................なんなの、アレは............................」
突然大きな地震が起こったと思ったら、今度は街からドス黒い何かが噴出しだした。まるで石油でも掘り当てたみたいな光景だけど、冥界にそんなものは無い。
ただ一つ言えることは、アレが何か不吉なものであるということだけ!!!
じゃあ、『アレは何なのか?』。この場にいる全員が怪訝な顔つきとなっていると............................急にグレイフィアがガタガタと震え始めた!!!
「あ、あ、あ....................『目覚めて』、しまったのですね....................................」
「大丈夫か、グレイフィア!? しっかりするんだ、いったいどうしたというんだ!!!」
いきなり膝から崩れ落ちながら、顔を青褪めさせるグレイフィア! その姿は、いつもの凛とした彼女からはとても想像ができないほどに弱々しかった!!
お兄様が抱きしめて何とか落ち着かせようとするが、グレイフィアは何かに怯えるように震えているだけ。
あのグレイフィアがここまで恐がるなんて............................いったい彼女は何を見たというの?
「グレイフィア落ち着いて、落ち着くんだ。あの黒い物はいったい何なんだい?」
お兄様はグレイフィアを抱きしめつつ優しく、ゆっくりと尋ねる。背中をさすりながら落ち着かせようとする姿は、『夫婦』というよりも『親子』のようにすら思えた。
お兄様に抱きしめられながら何度も『大丈夫』と言い聞かされたことで、気が動転していたグレイフィアもようやく、少し話せるぐらいまでは落ち着いてくれた。
「っ、ご、ごめんなさい、サーゼクス。恥ずかしいところをお見せしました................................」
「いや、気にしないでくれ。それよりも、アレが何なのか教えてくれないか?」
「ッ、ア、アレは....................................」
再びお兄様が尋ねるが、まだ完全には落ち着いていないのか、グレイフィアも言い淀んでしまう。それでも何とか話そうとすると、外の様子を伺っていたスルトが大声で警告してきた!
「おい、サーゼクスの旦那! ヤベエぞ、あの黒い液体みたいなもんが津波みたいに押し寄せてきやがる!!!」
「「「「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!」」」」
スルトに言われ、慌てて窓から外を見る私たち! そこにはスルトが言うように黒い泥のような物がどんどんと堆積していき、街を吞み込もうとしていた!!!
「いけない、このままだとこの建物も呑み込まれるぞ!!!」
「マスターサーゼクス、ここは危険です! 転移している暇もありません!! 空を飛んですぐに避難しましょう!!!」
「で、でも、外には敵がいるんじゃあ!?」
「そんなもん全部蹴散らせばいいだろ! 泥はすぐそこまで迫ってる、もう地下倉庫まで戻ってる暇なんか無え!!」
皆の言う通り、泥はこの建物の一部を呑み込み始めた! もう一刻の猶予も無い!! お兄様は苦しそうな表情を浮かべるも、すぐに決断を下した。
「っ............................止むを得ない。全員、外に出るんだ!!! だが決して離れるな、一丸となって敵の包囲網を突破する!!!」
「「「「「はいっ!!!!!」」」」」
ズガァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!
お兄様の号令により、私たちは隠密から戦闘態勢に頭を切り替える! イッセーと祐斗は禁手、白音は仙狸モードになっている。そして部屋の壁を吹き飛ばして、すぐさま建物から脱出した!!
ズズズズズズズズズズズズ....................................
私たちが建物から脱出して程なくすると、泥は建物を完全に呑み込んでいった................................危なかった、もし地下倉庫を目指していたら今ごろ................................。
悪魔政府の中枢たる建物が無くなってしまったことに言いようの無い喪失感を覚えているのも束の間、例の化け物によって私たちは包囲されてしまった!!!
「チィッ、うじゃうじゃと数だけ揃えやがって! 鬱陶しいったらねえぜ!!」
周りを敵に囲まれているということで不機嫌さを隠そうともしないスルト。だが、とにかく敵の数が多い。
私たちは隙を見せないようお兄様に言われた通り、決して離れず互いの背中を守るように固まる!
「おんや~~~~~? 誰かと思ったら、『魔王』の座を追われちゃった哀れな哀れなサーゼクスきゅんじゃないのよ。おひさ~~~、元気してましたかぁ?」
「ッ....................リゼヴィム....................!」
私たちが警戒と緊張を最大限に高める中、聞くだけで耳が腐りかねない不快な声を出しながらリゼヴィムが化け物たちの後ろから現れた!
憎き怨敵の出現に、流石のお兄様も不快感を露わにしている!!
「ひゃーーーーはっはっはっはっはっ! そう恐い顔しなさんなって♪ せっかくこうして再会したんだから、のんびりお茶でも飲もうじゃないの☆ 今ならお茶菓子も奮発してあげるよ♪」
「....................................................」
「あ~~~りゃりゃ、これまた随分と嫌われたもんだ。そ・れ・にぃ、そこにいるのはグレイフィアちゃんじゃないの。
どうやらユーグリットくんの気持ちは届かなかったみたいだね~~~、せっかくアレコレ見せて精神的に追い詰めてたってのに。
ユーグリットくんも可哀想☆ ひゃっひゃっひゃっひゃっ♪」
「っ................................................」
自身を睨みつけるお兄様の怒りなど全く意に介さないどころか、グレイフィアまで揶揄うリゼヴィムに私たちも殺気を出しながら睨みつける。
そうして私たちが睨みつけていると、リゼヴィムの後ろから二つの人影が現れる! 一つは北欧の悪神であるロキ、もう一つは見たことが無い銀髪の男性だった。
しかしその男を見た途端、お兄様とグレイフィアの顔が強張る..............................銀色の髪、そして二人の反応。察するに、あの男が例のグレイフィアの弟ね。
「姉上、どうあっても『その男』に付いていくのですね。真なるルシファーを支えるべき『ルキフグス』の名すら捨て去って................................」
「ッ........................ユーグリット、私とサーゼクスはかつての大戦時に誓いました。『どんな時でも共に生きよう』と! その想いは今でも変わりません!!
だからサーゼクスの妻として、いち悪魔として................................冥界に仇なすアナタを止めます! それがアナタの姉として出来る唯一のこと!!!」
「ユーグリットよ、キミにグレイフィアを渡しはしない。私たちの誓いは何人にも汚すことが出来ない不可侵のものだ。
私はグレイフィアの妻として、また『悪魔』を背負う者として、貴殿の蛮行を見過ごすわけにはいかない」
お兄様とグレイフィアの強い眼差しがユーグリットを貫く。二人の固い決意を前に、ユーグリットの顔は深い失望と憎しみに染まった!
「っ、そうですか................................ならばもう、アナタのことなど要らない! 実の弟である『私』を見てくださらない姉など要らない!!
そんなアナタ方を認め受け入れる、この世界も要らない!!! すべて、全て消し去ってあげますよ!!!!」
呪詛を吐くように二人のことを『要らない』と執拗に連呼するユーグリット、その目からは光が消えて私たちに狂気を感じさせる。
そして、そんなユーグリットを見て愉快に笑うリゼヴィム。やはりこの男もまた狂っているのだろう。
「うんうん☆ 良い呪いを振りまくねぇ、やっぱり『悪魔』ってのはこれぐらい欲望に正直じゃないと♪
そのおかげで、こうしてボクちんの実験が成功したわけなんだから。サーゼクスきゅんもグレイフィアちゃんもありがとねん♪」
「実験だと!? いったいどういうことだ、リゼヴィム! この泥と何か関係があるのか!!」
お兄様がユーグリットから視線を移し、リゼヴィムを睨みつける。だがリゼヴィムは変わらず愉快そうに笑っていた。
「ん~~~~? 気になっちゃう? ねぇねぇ、気になっちゃう? そうだねぇ、今のボクちゃんてばモノ凄~~く機嫌が良いから教えちゃおう♪」
パチィン、ブオァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!
リゼヴィムが指を鳴らすと、地面に巨大な大穴が空いた! その大きさは泥が噴出していたところから私たちがいた建物までポッカリ空いてしまうほどの大きさ!!
底の見えないほどの深くて大きな穴、その中からは淵沿いに泥が絶えず上ってきており止む気配が一切ない................................この穴の中に泥の発生源たる『ナニカ』がいるというこどなのだろうか?
「さあさあ皆さま、お立ち会い♪ これから皆さまが目にするのは、名こそ知られながらも目にした者はほとんどいない。そんな伝説の存在だ♪」
いつぞやイッセーの両親を人質にしていた時に見せた胡散臭い司会者みたいな真似事をするリゼヴィム。
つくづく見ているだけで虫唾が走る思いね............................でも『伝説の存在』って、いったい................................?
リゼヴィム自体は気に入らないけど、リゼヴィムの言ったことは気になってしまう。
だがそんな時、地面から何かがせり上がってくるのが見えた!!!
「なっ、あ、あれは............................!?」
「何だ、あの女性は? 見たところ『悪魔』のようだが....................................」
「ええ、この気配は間違いなく『悪魔』のもの。ですが....................................」
「ああ、一目見て理解しちまったぜ。アレは............................やべえ!!!!」
穴から現れたのは、一人の女性だった。もちろん、普通の女性ではない。ダークシルバーの長い髪を垂らし、頭には巨大な黒い角を生やしている。
不気味に光る金色の瞳。そして黒みがかった灰色の肌と翼が布地面積の少ない真っ黒なドレスと合わせて、女性の不気味さに神秘性を持たせていた。
「あの者の足元を見ろ、どうやらアレが泥の発生源のようだ」
お兄様が女性の足元を指差すと、確かに彼女の足元から泥が溢れ出していた! なら、アレを倒せばこの泥は消える!!
「アイツが泥を生み出してんのか! じゃあ、アイツを倒せば「いけません!!!」ッ、グ、グレイフィアさん................................?」
イッセーが私と同じことを考え攻撃しようとすると、グレイフィアが慌てて止めに掛かる! けれど、お兄様によって落ち着きを取り戻したグレイフィアの顔には再び恐怖が宿っていた!!
「皆さん、迂闊にアレに手を出してはいけません! それから、アレから生み出されている泥には絶対に触れないでください!!!」
グレイフィアは体を震わせながらも、必死に私たちに警告を発した。その鬼気迫る表情に私たちも只事ではないと確信を持つ。
「グレイフィア、キミはアレが何なのか知っているのかい?」
「それに、あの泥には触れちゃいけないって....................................」
震えるグレイフィアにあの女性と泥について尋ねようとする。しかしグレイフィアが説明する前にリゼヴィムが嬉々と両手を広げ、まるで天から祝福を受けるように空を見上げる。
「古くはメソポタミアに端を発し、聖書に記されたアダムの最初の妻」
「神に反逆しエデンを追放された後は、人間に死をもたらし笑い囁く『夜と嵐の魔女』となる」
「我が父ルシファーと並ぶ悪魔の祖にして、全ての悪魔の母」
「【リリス】だ」
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
リゼヴィムがあの女の名を呼んだ瞬間、サーゼクス様たちが静まり返った.......................まるで全員の時が止まったみたいだ................................。
リリス? リリスって確か『悪魔』の生みの親で初代ルシファーの妻だって部長の実家で教わったな。
でもずっと昔に死んでいて、今では亡骸すら存在していないって話だったはずだ。
それなのに............................何で生きてんだよ!? 死んだって話じゃなかったのか!?
「バ、バカなっ........................リリス、様、だと................................!!!!」
「う~~~~~ん♪ 良いリアクションだ、そんなに驚いてくれるとボクちゃんも頑張って『作った』甲斐があったってもんだよ☆」
「『作った』? どういうことだ、リゼヴィム!!!」
サーゼクス様が普段見せないほど驚愕しながら、大声でリゼヴィムに問いかける。緊迫した空気が漂う中、リゼヴィムから聞かされたのは身の毛もよだつような実験の内容だった。
「言葉通りの意味SA♪ 『リリス』は全ての『悪魔』の母、つまり『悪魔』の中には『リリス』の因子が大なり小なり入っているわけでしょ?
なら、その因子を取り出して集めれば、ボクちゃんのママンである『リリス』を生み出すことが出来るってことSA♪」
「「「「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」
「なお言うまでも無いことですが、『リリスの因子』を持っているのは『純粋悪魔』だけです。転生悪魔やその子どもは持っていません」
「DA・KA・RA☆ 『中立派』と『大王派』の悪魔、それにクルゼレイ君とか『禍の団』の悪魔を『リリスの母胎』にぶち込んで因子を利用したってわけSA☆
ちなみにこの技術を提供してくれたのは、こちらにいるロキちんで~~~す☆ いや~~~、持つべきはお友達だねぇ♪」
「調子に乗るな、リゼヴィム。貴様と友になった覚えなどないわ」
『純粋悪魔』から『リリスの因子』を取り出して、『リリスそのもの』を生み出す........................これってロキが作った『スルト』と同じ理屈じゃねえか!!!
ロキの奴! 『スルト』を作るのに必要な『スルトの因子』を集めるため、アースガルズの巨人族を大量に殺したように............................今度は悪魔を大量に殺して『リリス』を作ったってことかよ!!!
「そしてそして~~~~! 無事に復活したママンが作った泥に取り込まれた者は、誰であれ『新生悪魔』に造り替えることが出来るのSA☆
あ、もちろん生まれ変わった『新生悪魔』は『純粋悪魔』でもあるよ☆ やっぱり仲間外れは良くないからね~~~♪」
「っ、じゃあ、周りにいる『新生悪魔』たちは........................!!!!」
「イグザクトリ~~~~! 生まれ変わって、見事『純粋悪魔』にランクアップした転生悪魔とその子供たちで~~~~す☆
良かったね、これで『混じりもの』だの『悪魔モドキ』とバカにされることが無くなったよ♪」
「「「「「っっっっっっっっっっっっ!!!!!」」」」」
そんなっ、ここにいる魔物たちが『元転生悪魔』たちだって言うのかよ!? こんな不気味な化け物に強制的に変えられるなんて、そんな............................惨すぎる、何でこんな酷いことを平然と出来るんだよ........................!!!
「いや~~~~、苦労したよ。なにせ『純粋悪魔』とはいえ何世代にもわたっているもんだから、どいつもこいつも因子の少ないこと少ないこと。
DE・MO、流石は『大王』だねぇ。ママンの直系の子どもだから因子の量が他とは段違い! おかげでママンの復活が予定よりグンと早まったYO♪」
「っ、まさか、初代バアル....................ゼクラム・バアルを取り込んだと言うのか!? あの泥で!!!」
「イエ~~~ス! さすがに抵抗はされたけどね。でも、この新生悪魔たちの前では『成す術無し』って感じだったYO☆」
「っ、そ、そんな........................初代バアルが............................」
初代バアルがいなくなったことにショックを隠せないサーゼクス様と部長。二人にとっては一応、母方の実家なわけだからな。色々と思うところがあるんだろう。
サーゼクス様にとっても政敵ではあったが、さすがにこんな状況で............................しかもあんな化け物を生み出す材料にされたとあっちゃあ、手放しでは喜べないよな。
「言っておきますが、この泥に取り込まれればいくらアナタ方でも、たちまち『新生悪魔』に造り替えられます。たとえサーゼクス、アナタと言えどね」
「もっと言えば~~~サーゼクスくんに限らず、どの悪魔............いや、どんな生物でも取り込んでしまえば『新生悪魔』に早変わりしちゃうYO☆ それこそ、各神話群の主神であってもNE♪」
「「「「「!!!!!!!!!!!!!」」」」」
どんな生物でも!? それって人間や妖怪、天使や堕天使................果てはドラゴンまで『新生悪魔』にしちまうってことかよ!?
しかも神様まで造り替えられるなんて、そんなこと知ったらオーディンの爺さんとか色んな神様が黙っちゃいねーぞ!!!
「凄いでしょ? どんな生物でも『悪魔』に変えられるんだZE? しかも栄養の接種が不要なばかりか寿命も無いという優れもの☆
これで『悪魔』という種が抱えていた問題を解決し、『悪魔』はこの地球で最も繁栄する種族になるんだ。感謝しても良いんだよ♪」
冗談じゃねえ! こんな化け物だらけの世界なんか誰が認められるか!!
俺がリゼヴィムに憤りを感じているように周りの皆も怒りを迸らせる! 特にサーゼクス様にいたっては怒りだけじゃなく、殺気まで放っていた!!!
「それが事実なら、各神話群の神々だけじゃない! この世界の全勢力が決して黙っていないぞ!!
リゼヴィム、いったい何のためにこのような真似をする!!! 中立派も大王派も消し去り、既存の『悪魔』という種を壊滅状態にしてまで................................いったい何が目的なのだ!!!!!」
周囲にサーゼクス様の怒号のような叫び声が響き渡る。こんなサーゼクス様を見るのは初めてだ!
だがサーゼクス様の言う通り、コイツの目的が全く見えない。旧魔王派のように悪魔社会に返り咲き、牛耳ろうとしているわけではない。
かと言って大王派のように悪魔の血統などに固執しているわけでもない。
なのにコイツがここまで『悪魔』を、『世界』を混乱させようとしている理由は何だ? 前に会った時は『悪魔らしく己の欲望のまま生きる』みたいなことを言っていたけど、いくらなんでもコイツの行動は常軌を逸している!!!
コイツのことなんか理解する気はこれっぽっちも無いが、それでもここまでやるからには相応の理由があるはず。
俺たちは怒りを抑えながらリゼヴィムの目的を知ろうとするが................................俺たちはまだ、コイツの異常性を理解できていなかったことに気づかされた。
「ん? 何でってそりゃあ............................」
「楽しいじゃん♪」
「「「「「................................................」」」」」
............................は? コイツ、今何て言ったんだ? 『楽しい』? こんな地獄のような光景を生み出しておいて?
大量の貴族悪魔たちを殺し、罪もない一般悪魔たちを化け物に変えておきながら................................出てきた理由が『楽しいから』?
リゼヴィムの予想外過ぎる一言に唖然とする俺たち。だがリゼヴィムはそんな俺たちの気持ちなど知らず、悪戯を披露する子供のようにはしゃぎだす。
「平和だの何だのと綺麗事をぬかしてばかりで、どこもかしこも変わり映えのしない今の世界。そんな平凡でつまらない世の中に突如現れた世界の脅威【リゼヴィム・リヴァン・ルシファー】!!!
この世紀の大イベントの当事者になれるんだぜ!! そりゃあテンション爆上がりでしょ? やっぱり祭りは準備もそうだけど、参加してナンボだからね♪
ましてやこれだけド派手な祭りなら、それだけでサイッッコーーーにハイな気分になっちまうってもんでしょ!!!!」
まるで自分が映画の悪役側の主役にでもなったかのように喜ぶリゼヴィム。コイツにとっては、この状況は自分が作った映画や劇で、自分が主演を務めていると思っているんだろう。
しかもそんなコイツの身勝手な脚本に世界中を巻き込もうとしている。
「............................................んな」
「ん~~~? どうしたの赤龍帝くん? そんな生まれたての小鹿みたいにプルプルと震えちゃって☆
もしかして寒いの? 風邪でも引いた? ダメだよ、ちゃんとあったかくして寝なきゃ♪」
俺が思わず心の声を溢すと、リゼヴィムは相も変わらず人をバカにするような口調で俺の神経を逆撫でして来る。そんなリゼヴィムの言葉に俺の理性は限界を迎えた!!!
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
俺が叫ぶと同時に『龍闘気』が爆発し、辺り一帯に広がっていく! 俺の『龍闘気』の威圧感を感じ取り、『新生悪魔』たちも金切り声を上げて互いに警戒しあっている!!
「てめえっ、生命を何だと思っていやがんだっ!!! 好き勝手自分の都合で造り替えて弄びやがって!!!!」
「ブッ! なにその正義の味方みたいなセリフ! チミってば『悪魔』でしょ? なのに何でそんなムキになって綺麗事を吠えてんのさ?」
コイツはここで消さなきゃダメだ! コイツが生きている限り、悪魔どころか世界中の命が弄ばれちまう!! いったいどれだけの生命を冒涜すれば気が済むんだ、このクソ野郎はっ!!!!
こんなヤツがこうして生きていて、何で俺の兄弟が................................生きたくても生きられない命が消えなきゃいけねえんだ!!!!
「無駄ですよ、リゼヴィム様。この者は所詮『転生悪魔』の元人間。倫理観も価値観も全て『人間』のままなんですから」
「ふんっ、くだらんな。だいいち『生命を弄ぶ』ということなら、貴様らの『悪魔の駒』は何なんだ?
各勢力の都合など関係なしに好き勝手『悪魔』に変えているではないか? そんなものを平然と使っておきながら、『命が大事』などとよくもほざけたものだ」
「そうそう☆ 『悪魔の駒』と『リリスの力』、どっちも『他者を悪魔に変貌させる』という点では同じでしょ?
それなのにボクちゃんだけが非難されるのはおかしくない? 自分たちのことを棚に上げるのは、ダメよ~~~ダメダメ♪」
「っ、てめえらみたいなゲス野郎共と一緒にすんじゃねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
確かにコイツらの言う通り、『悪魔の駒』も他者を『悪魔』に転生させるものだ................................けど、アジュカ様が『悪魔の駒』を作ったのは『悪魔』の未来を想ったが故にだ! コイツらみたいに世界を破滅させるために作ったわけじゃない!!
他勢力との問題になっているのだって、ロクでもない貴族どもが好き勝手に使ったからだ! 部長みたいに皆が双方の合意をもって、正しく使っていれば大きな問題にはならなかったはずなんだ!!
そんなことも分からずに自分たちの楽しみのために他者を苦しめて、『新生悪魔』とは名ばかりの怪物へと変貌させるコイツらは、ロクでもない貴族連中よりもタチが悪い!!!
「................................イッセーくん。ありがとう、もう十分だ。キミの気持ちは私たちにしっかり伝わったよ」
「ッ、サーゼクス、さま................................!」
俺が自分の怒りでどうにかなりそうになっていると、サーゼクス様が肩に手を乗せて俺を諫める。その顔はいつも通りの優しい表情をしており、どこか嬉しそうだった。
「だが残念ながら、キミの想いはこの者たちには届かないようだ。そして、このような事態を生み出してしまったのは、この者たちを野放しにしていた私の責任と言えよう。
だから今この場で................................私自身の手で己の過ちを正そう!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッ!!!!!
優しい表情から一変、凄まじい殺気を滾らせながら『滅びの魔力』を練り上げるサーゼクス様!! なんて濃密な魔力だっ、部長とは比べ物にならない!!!
「終わらせよう、リゼヴィム。貴様を葬り去り、己の過ちと罪を贖うっ!!!!」
≪滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクスティンクト)≫!!!!!!
ドシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッッッッッッッッッッッッ!!!!!!
極限まで圧縮された『滅びの魔力』が弾丸のように放たれ、リゼヴィムへと向かっていく! けれどリゼヴィムは避ける素振りすら見せず笑っていた。
さらには迫る『滅びの魔力』の弾丸の前に一匹の『新生悪魔』が立ちはだかり盾となる!! 『たかが一匹程度でどうにかなるわけがない』、俺たち全員そう思ってただろう。
だが、次の瞬間....................................俺たちは信じられないものを目にした!!!!!!
パァァァァァァァァァァァン....................................
「「「「ッッッッッッッッッッッッ!?」」」」
サーゼクス様の魔力弾は『新生悪魔』に当たったと同時に弾けて消えていった!!!!
いったい、何が起こったってんだ................................?
「ッ、バッ、バカなっ!? これは............................」
全く予想外の出来事に先ほどまで怒り心頭だったサーゼクス様も、怒りだけではなく驚愕が勝ってしまっている。
俺たちも何が起こったのか全く分からず茫然としていると、リゼヴィムが過呼吸なぐらいに大笑いしだした!!!!
「ひゃーーーーーーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!!! いーーーーーひっひっひっひっひっひっひっ!!!!!
いやーーーーーー最高だよ、その表情!!! 特にサーゼクスきゅんのリアクションが素晴らしい!!!!」
「っ................................これは、どういうことだ、リゼヴィム」
「ひーーーひひひひひ♪ 残念だけど、サーゼクスきゅんの魔力はこの『新生悪魔』には通用しないのさ☆
もちろんサーゼクスきゅんだけじゃない。アジュカくんだろうがファルビウムくんだろうがセラフォルーちゃんだろうがね。
いいや、他のどの悪魔の魔力でも『新生悪魔』にはキズ一つ付けられないのSA☆」
「ふふふ♪ ダテに『新生悪魔』を名乗っているわけではありませんよ。この『新生悪魔』たちには、従来の『悪魔の魔力』を無力化する能力が備わっているのです」
「ふっ、しかも無効化するのは『悪魔の魔力』だけではない。天使や堕天使の『光の力』、聖剣などの『聖の力』すらも克服しているのだ」
「「「「!!!!!!!!!!!!!!」」」」
リゼヴィムとユーグリットの話を聞いて、俺たち全員は言葉を失ってしまった!!!
それじゃあ従来の『悪魔の魔力』が通じないどころか、今まで『悪魔』が弱点としていた『光』や『聖の力』も効かないってことかよ!?
「新しく『悪魔』を作るんだぜぇ? そりゃあ色々と改良してバージョンアップさせるでしょう♪」
「『悪魔』に『光の力』を持たせることが出来るのは、【リアン】で実証済みでしたからね。ですが『悪魔』が『光の力』を操れるよりも、『光への耐性』を持たせた方が良いと判断したのですよ」
「よく覚えておけ、コウモリども。『改良』とは今までの問題点を全てクリア出来て、初めて呼べるものなのだ。
如何に現魔王と言えども、私が手掛けた『新生悪魔』の前では文字通り無力と化すのだ」
「っ、そうか........................初代バアルがいとも簡単に取り込まれたのは、自身の魔力が『新生悪魔』に通じなかったからか」
「そーーーいうこと♪」
そんな........................そんなのリゼヴィムの『神器無効化』みてえなもんじゃねえか!? そんなヤツらに周りを取り囲まれてるばかりか、これからもウジャウジャと出てくるなんて................................!!!!!
あまりにも絶望的な状況に俺だけではなく、他の皆も成す術が無くなってしまっていた................................。
しかし部長が突然、大声で俺に指示を出してくる!!!!
「イッセー、『龍僧侶』に『昇格』!! そのまま後方に最大火力の砲撃を放ちなさい!!!」
「っ、は、はい! 『龍昇格 龍僧侶』!!!!」
部長に言われてすぐに『龍昇格』する俺! 考えるのは後だ、疑問を挟む余地も無い!! 部長が『やれ』と言ったのなら、全力でやるだけだっ!!!!!!
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』
≪ロンギヌス・スマッシャァァァァァァァァァァァァ≫!!!!!!!!
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッッッッッッ!!!!!!!
限界まで『倍加』を溜めて放つ『ロンギヌス・スマッシャー』、『龍僧侶』時の最大火力と言ったらコレしかない!!!
言われた通りに後ろにぶっ放すと................................『新生悪魔』たちは消し飛び、敵の包囲網が崩れていた!!!!
「思った通りだわ!! 『悪魔の魔力』や『光』を無力化出来ても、純粋な『ドラゴンのオーラ』は無力化出来ないようね!!!」
っ、そうか! 俺は元々『魔力』の扱いが不得手だった。そして『龍闘気』はドラゴンである『ドライグの力』!!
なら俺の『龍闘気』であれば『悪魔の魔力』は含まれないから、ヤツらに通じる!!!
「へぇ~~~~、中々やるじゃん☆ 確かに『ドラゴンの力』は防げないからねぇ。でもさ、その力は『神器』の力でしょ? ならボクちゃんには通用しないよ♪」
「ええ、そうね。でもアナタがイッセーと戦うというのなら、私たちが相手になるわよ。『新生悪魔』には私たちの魔力は効かなくても、アナタには効くでしょうから」
「っ............................ふぅん、リアスちゃんってば、ちゃ~~んと成長してるみたいだねぇ。オジサンびっくりだよ☆」
確かに部長やサーゼクス様の魔力が通じないのは『新生悪魔』だけ。リゼヴィムやロキには部長たちの攻撃が普通に通るはずだ。
なら、俺が『新生悪魔』を吹っ飛ばしてる間にリゼヴィムたちをサーゼクス様たちが抑えてもらえれば、この状況を切り抜けられる!!!
流石だぜ、部長。ますます惚れ直しちまった!!!!
「みんな、イッセーが作ってくれた包囲の穴を通って離脱するわよ! イッセーは前方にとにかく砲撃!!
撃って撃って撃ちまくりなさい!! 後ろは私たちが守るわ!!!」
「了解です、部長!!! オラァ、くらいやがれ! ドラゴンレーザー乱れ撃ちぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォォォォン........................................
俺は今までの鬱憤を晴らすように両腕の砲身から『ドラゴンレーザー』を撃ちまくる!
体力やオーラの温存なんか考えるな!! 今は皆でこの状況から生き延びることだけを考えろ!!!
この場で『新生悪魔』を倒せるのは俺しかいない!!! 今こそ呂布さんに鍛えられた成果を発揮し、皆を守る時だ!!!!!
俺は突撃しながらドラゴンレーザーを撃ちまくって、敵の包囲網を崩す! 部長たちは俺に続く形で後方を守り、何とかこの状況を脱することが出来た!!!!
「う~~~ん、やるねぇ。まさか逃げられるなんて思わなかったYO☆」
「ふん、よく言う。追いかけるつもりなど無かったくせに」
「まぁね♪ ママンは復活したし、この場での目的は既に達してるからSA♪」
「ええ。『リリスの泥』は絶え間なく沸き続け悪魔領を、そして冥界を。さらには人間界までも侵食する。どこにも逃げ場などありませんよ」
リアスたちを逃がしたことなど全く気にする様子も無く、『悪意』の申し子たちは不敵に笑う。
その下では、次々と『新生悪魔』が泥の中から生まれていた........................................。
当初の予定では『リリス』のフォルムは【FGO】の『ビーストⅡ ティアマト』をイメージしてたんですけどね。
ただ【FGO】で『リリス』が出てきちゃいましたので、そっちにシフトしました........................リリスちゃんファンの方、ホントーーーにゴメンなさい!!! 今作ではリリスちゃんは完全な敵としての登場です!!!
もちろん今作の『リリス』は【FGO】とは別物ですし、スペックも違います。あんな特効マシマシ性能のキャラを『D×D』の世界では出せませんからねwww
それでは皆さん、次回で♪
感想・高評価もいただけると作者が喜び、励みになります!