季節の変わり目となりますが、皆さん体など壊さぬよう御自愛ください。
なお作者はインフルエンザなどにはかからないくせに、季節の変わり目の時は必ず体調を崩します............................くそったれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
「...............まさに、地獄絵図だな................」
偵察用の使い魔によって映し出された映像を見て、誰かがそう呟いた.................気持ちは分かる、たぶんここにいる全員が同じようなことを考えているはずだ。
この場にはセラフォルー様を除く三人の魔王様。そしてグレモリーやフェニックスなど、生き残った貴族たちが集まっていた。
無論ライザーさんたちもいるし、俺たちシトリーも同席させてもらっている。
なお、この部屋はリアス先輩の父親であるジオティクス様の厚意で用意してもらったものだ。大王派の悪魔は全員『リリス』に取り込まれ、各地の貴族たちを見張っていた『禍の団』も引き上げたみたいだったからな。
その上、首都リリスにあった政府機能を担う建物が泥に呑み込まれちまったため、一時的にグレモリー領にある建物を臨時拠点として利用させてもらっているってわけだ。
そして対策を練るために使い魔に偵察をしてもらっているんだが................迫りくる泥に呑み込まれていく森、山、湖、そして街。
さらには道中の生き物たちまで泥に呑み込まれた途端、『新生悪魔』へと変貌させられる映像が映し出されている。
幸いにもほとんどの領民は反乱軍に参加していたため、会長たちの働きにより各神話群の勢力地へと避難がほぼ完了している。
反乱軍に参加しなかった領民たちも、アガレス領にある空中都市や『神の子を見張る者』へと分けて避難させている。
今のところ避難民が『新生悪魔』に変えられたという報告は上がっていない。
だが、首都や付近の大王派に属していた貴族たちの領民は殺されて『新生悪魔』に変えられてしまったらしい。そのため残っている『悪魔』はかつての3分の1程度、無事な領地も半分ほどしか残っていないとのこと。
しかも元々少なかった『純粋悪魔』は今回の騒動で更に数を減らしてしまい、今では数える程度にしか生き残っていないんだとか。
これじゃあ、この一件が片付いたとしても再建や復興には途轍もない時間と労力が掛かっちまう。
でも................こうなった以上、貴族政権なんて続けられないんじゃないかと思ったりもする。
だったらいっそのこと、政治を『民主化』させる良い機会なんじゃないだろうか?
こんな非常時だってのに自分の夢のことを考えるのは不謹慎だと思う。だけどこんな絶望的な状況だからこそ、何か希望を持たないと心が折れそうな気がしてならない。
会長も俺たちも、夢を叶えるために頑張ってきた。けど『悪魔』が滅ぼされたら、その夢が完全に潰えちまう。俺たちの夢は『禍の団』や『新生悪魔』、そして『リリス』ってヤツを倒した先にあるんだからな!
だったら『どうすれば敵を倒せるのか』よりも『どうすれば夢を叶えられるのか』の方が心情的に希望を持つことが出来る................そんな風に考えていると、リアス先輩たちが部屋に入ってきた。それにアザゼル先生やヴァーリたちもいる!
「よう、遅くなって悪かったな。領民たちの受け入れに時間が掛かっちまってよ」
「いや、よく来てくれた、アザゼル.............すまなかったな、無茶な願いを聞いてもらって」
「へっ、気にすんなよ。保護した領民たちについてはシェムハザに任せてあるから安心していい」
「ああ、ありがとうアザゼル。キミには色々と助けられてしまった」
少しやつれた顔のサーゼクス様がアザゼル先生にお礼を伝えていると、会長もリアス先輩に近づいていく。
「リアス、それにグレモリーの皆さん。もう体の方は大丈夫なのですか?」
「ええ、おかげさまでゆっくり休めたわ。ありがとう、ソーナ。アナタたちも休んできたら?」
「いえ、私たちは大丈夫です。すみません、戻ってきたばかりのアナタに無理をさせてしまって.................」
顔色が良くなったグレモリーの皆を見てホッとしている会長。反乱軍の拠点に転移してきた時はサーゼクス様たちもリアス先輩たちも全員が疲労困憊の状態だった。
特に兵藤が一番酷かった、なにせ転移してきてすぐに『禁手』が解除されてぶっ倒れちまったからな。
聞くところによると『新生悪魔』には悪魔由来の『魔力』が通用しないため、兵藤が『龍僧侶』の砲撃を撃ちまくったんだとか。
そのおかげで、何とか敵の包囲網を破ってきたみたいなんだが.................そのためにかなり体力を使っちまったらしい。
他の皆も疲れが溜まっていたということで、一旦休むことにしたんだがゆっくり出来そうな場所をすぐに用意するのが難しかった。
そこでサーゼクス様とリアス先輩がジオティクス様にお願いして、俺たちを急遽受け入れてもらえるよう手筈を整えてくれたってわけだ。
サーゼクス様もそうだが、リアス先輩にいたっては戻ってきたばかりでフラフラなところを無理してくれたそうだからな。本当に感謝しかない。
「気にしないで、ソーナ。結局、私は大してアナタの役に立てなかったんだから..................せめてこれぐらいはさせてちょうだい」
「っ..............いいえ、リアス。そんなことはありません。魔王様の救出はアナタ方グレモリーがいなければ叶わなかった。
それにアナタ方がいなければ、サーゼクス様たちはグレイフィア様を連れて戻ってくることは出来なかったはずです」
「ッ、ソーナ....................」
「リアスたちがいたからこそ大切な人たちを助け出すことができ、こうして敵の情報も手に入れることが出来たのです。
自信を持ってください、リアス。アナタはもう、立派な『王』で................私の自慢の『親友』です」
「っ~~~~~~、ありがとう、ソーナ...............!」
なかなか自分に自信が持てないリアス先輩のことを励ます会長。励ましながらもお礼を伝える会長の言葉を聞いて、リアス先輩も目に涙を浮かべている。
実際、リアス先輩のおかげで魔王様たちを救出できたし、敵への対策とかも考えられているわけだからな。正直、メチャクチャ助かっている!
でもこれまでのことから、リアス先輩はどうしても自分に自信が持てないでいようだった。やっぱり、過去の失敗が尾を引いているんだろう.....................難しい話だよな。
「そうだぞ、リアス。この冥界の危機を前にして、そのような弱気でどうする? お前はもっと良い女だったはずだ」
「ッ、サイラオーグ!? バアル領の領民の避難を手伝ってたんじゃないの?」
会長の言葉にリアス先輩が感激していると、今度はサイラオーグさんが入ってきた。サイラオーグさんも会長とは違った形で励ますが、あれはどちらかと言うと『発破を掛ける』って感じだ。
「その領民の避難が一段落したから、こっちに来たんだ。今こそ我々が一丸となって冥界の脅威に立ち向かう時だからな」
「ッ、サイラオーグ..............すまない、本来なら若いキミたちにこのような戦いをさせたくはないのだが..................」
「しかし今は使える戦力が決定的に不足している。すまないが、キミの力もアテにさせてもらうよ『獅子王』」
「ふっ、無論です。むしろ『若手』だからという理由で蚊帳の外にされるようなら、俺は俺で勝手に参戦していましたよ」
サーゼクス様とアジュカ様が申し訳なさそうにするも、サイラオーグさんは豪快に笑って返す。確かにこの人の性格なら、この状況で大人しくなんか出来るはずがないからなぁ。
サイラオーグさんの登場で、どんよりしていた部屋の空気が少し軽くなる。その後ミカエル様などの天使のお偉方もやって来て、主要メンバーがだいたい揃ったということで本格的な会議が行われる。
「さて諸君、敵の情報については概ね頭に入っているだろう。目下、一番の脅威となっているのはあらゆる生物を『新生悪魔』に造り替えてしまう『泥』と」
「『悪魔由来の魔力』や天使・堕天使の『光』と言った、『聖書陣営』の主だった攻撃を無効化してしまう『新生悪魔』だね~~~~」
「しかも『泥』の勢いはとどまることを知らず、悪魔の領地を次々に呑み込んでいっている。そして『新生悪魔』は数を増すばかり。正直、状況は極めて切迫していると言えます」
「このままだと悪魔領は呑み込まれ、やがて各神話群が管理する領域まで進行していくことは間違いないだろう」
「そうなると、この事態を静観している神々が介入してくるのも時間の問題だな。今はセラフォルーや朱乃が抑えてくれちゃあいるが、それだっていつまで保つか................」
『悪魔』の問題は『悪魔』で解決したい。最低でも『聖書陣営』の中でケリを着けたいってのが正直なところだろう。
けど、相手はその『聖書陣営の主力武器』がほとんど通じない連中。せいぜい使えるのが『神器』ぐらいだ。
ただでさえ少ない『神器』持ち、その中で『聖書陣営』に属しているヤツが何人いるか。
それに戦力としてカウントするなら、『禁手』には至ってくれてないと厳しい。『聖書陣営』内で『禁手』に至っている『神器』使い.................そんなのハッキリ言って、数えられるぐらいしかいないんじゃないか?
「とりあえず最も厄介なのは、あの『泥』だろう。『泥』の侵食さえ止めてしまえば、時間的猶予を作ることが出来る。
そしてその『泥』の発生源が、『リリス』というわけだ」
「つまり『リリス』さえ倒せれば、『泥』を止められるということですね?」
「恐らくな。だが、『リリス』は『新生悪魔』の大群によって守られている。そう簡単にはいかないだろう」
「そして、俺たちが持っている『新生悪魔』への対抗手段は『神器』ぐらいなもんだ。しかも、あの大群を相手取るんなら『禁手』になっていないと厳しいだろう。
聖書陣営内で俺たちが把握している限り、『禁手』になっているヤツはというと......................コイツらだ」
アザゼル先生が立ち上がり、プロジェクターみたいな機械を出して操作すると9人の顔が映し出された。俺や兵藤の顔もある、これが聖書陣営で『禁手』に至っているメンバー..................って、たったこれだけしかいないのかよ!
兵藤一誠『赤龍帝の籠手』
ヴァーリ・ルシファー『白龍皇の光翼』
匙元士郎『黒龍王の手甲』
真羅椿姫『追憶の鏡』
サイラオーグ・バアル『獅子王の戦斧』
木場祐斗『魔剣創造』『聖剣創造』
幾瀬鳶雄『黒刃の狗神』
ラヴィニア・レーニ『永遠の氷姫』
デュリオ・ジェズアルド『煌天雷獄』
『デュリオ・ジェズアルド』ってのは確かハーフ天使で天界の『ジョーカー』って呼ばれている人だ。前に一度ミカエル様のお付きで来たのを見たことがある。
『幾瀬鳶雄』という人は知らないな。でも『黒刃の狗神』ってのは知ってる、13ある『神滅具』の1つだ。
その『禁手』に至ってるというなら、かなりの実力者に違いない。
『ラヴィニア・レーニ』って人には会ったことが無いけど、なんでも凄腕の魔法使いでヴァーリの姉貴分らしい。
あの天上天下唯我独尊の塊みたいなヴァーリだが、この人だけには頭が上がらないんだとか。
けど、それでもたった9人しかいない! この9人で『新生悪魔』の大群を相手にするってのは、いくらなんでも厳しすぎるだろ...................。
魔王様たちやアザゼル先生もこれだけの戦力で『新生悪魔』の大群を何とかしろというのは無理があると思っているのか、みんな眉間にシワを寄せている。
現状の整理をするだけでも絶望的な状況、打開策すら見つからない。そんな中、アザゼル先生が会長へ静かに尋ねた。
「..................ソーナ、『蒼天の紅旗』は何て言っている?」
「っ.............動いてくれてはいます。ただ、やはり神々の説得に難航しているようです」
「そうか.................一応、こまめに連絡は取っておいてくれ。『蒼天の紅旗』が戦線に加わるかどうかで、状況がガラリと変わってくる」
「..................分かりました」
会長が苦しそうな表情で答えると、アザゼル先生も何となく分かっていたのか、それ以上突っ込むようなことはしなかった。
アザゼル先生の言う通り、『蒼天の紅旗』の人たちが来てくれればこの絶望的な状況に光明が見える。
『蒼天の紅旗』には神器を持っている人がたくさんいるって聞いてるし、恐らくほとんどのメンバーが『禁手』にも至っているだろう。
それに何より..............呂布師匠がいる!!! 師匠が来れば、『新生悪魔』だろうが『リリス』だろうが蹴散らしてくれるはずだ!!!!
もちろん今回の一件は事の発端が『悪魔』であり、その尻拭いに師匠を駆り出すのは心苦しい。でも、放っておくと冥界だけじゃなく人間界まで危険になるんだ。そんな事態をあの師匠が放っておくはずがない!
けれど会長が言うように、『蒼天の紅旗』や師匠を動かすには神様たちの了承が必要だ。嫌われ者の『聖書陣営』が作った問題に果たして神様たちが納得してくれるんだろうか?
いくらこのままの状況が続けば他の勢力まで危ないとは言っても、『悪魔』や『聖書陣営』が生み出した問題だ。
それなのに自分達から『このままだとお前たちも危険になるんだから、助けてくれ』なんて言えるわけがない。
でも、今頼りに出来るのは師匠や『蒼天の紅旗』だけなんだ。悔しいけど、ここは曹操に任せるしかない。そして俺たちは俺たちで出来ることをやらないと!!!!
「『リリス』を倒さないことには『泥』も『新生悪魔』も消えることはない。そして『リリス』の下まで行くには『新生悪魔』の大群を倒す必要がある」
「けれど、『新生悪魔』に対する有効手段は『神器』しかない。ならば、『神器』を持つメンバーでチームを組み『リリス』までの道を作る」
「たぶん『リリス』がいるところにリゼヴィムやロキ、ユーグリットもいるはずだ。そいつらは『新生悪魔』と違い、俺たちで対処が出来る」
「ただ問題は.........................」
「ああ............『リリス』も『新生悪魔』のような耐性を持っているかどうか、だな」
『新生悪魔』の大群を俺たち『神器チーム』が倒している間にサーゼクス様たちが『リリス』の下まで向かう..............コレについてはいい。
リゼヴィムやロキといった『禍の団』についてもサーゼクス様たちなら対抗出来るだろう。
だが一番の問題は『リリス』、コイツに『悪魔の魔力』や『天使・堕天使の光の力』が通用するかどうかだ。
もし『リリス』も『神器』でないと倒せないのなら、『神器チーム』から誰か出さないといけない。
事前に確かめることが出来ればいいんだが、そんな綿密な調査をやっている時間は無い。モタモタしてると『泥』の侵食が広がり、本当に他勢力の神様たちが武力介入してくる。
問題に対処しようとすると別の問題が浮上してきて、なかなか実用的な作戦が思いつかない..................そんな中、会長が立ち上がりサーゼクス様たちに提案をする!
「皆さん、よろしいでしょうか? 上手くいくかは分かりませんが、私に考えがあります」
「構わないよ、ソーナ・シトリー。今は少しでもアイデアが欲しいところだからね」
「それに~~~唯一『蒼天の紅旗』との連絡手段を持っているキミは、むしろボクたちよりも重要度が高いからね~~~~」
「ありがとうございます。『リリス』の能力がどのようなものか分からない以上、突撃部隊には最低でも1~2人は神器所有者を同行させるべきです」
「正論だな、だが『新生悪魔』の大群はどうする。ただでさえ少ない人数を割くことになるんだぞ、その分『神器チーム』の負担が大きくなる」
「はい。ですので...............神器チームに私たち『シトリー』も加わるというのはどうでしょうか?」
「「「「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!」」」」
会長の強気な提案にサーゼクス様たちが驚きの表情を見せる。無理もない、あの慎重で冷静な会長らしからぬ提案だからな。現に俺たちシトリーも意外過ぎて驚いている。
「聞いてなかったのか、ソーナ。『新生悪魔』には『悪魔の魔力』は通用しないんだぞ? 『悪魔』であるお前たちじゃダメージを与えることはできない、敵の的になるだけだ」
「ええ、存じております。ですが.............『新生悪魔』に効かないのは『悪魔の魔力』。それならまだ打つ手はあります。
それに、私たちシトリーは『魔力』以外の攻撃手段を持っております」
「「「「!!!!!!!!!!!!」」」」
会長のその言葉を聞いて、全員がハッとする! 俺たちシトリーも会長に言われて気が付いた!! そうだ、俺たちシトリーの武器は『魔力』だけじゃない!!!!
そのことに気づいたサーゼクス様たちは会長からの提案を基に作戦を練り上げていく!
更にそこから色々と対応策が出てきて、八方塞がりだったさっきまでの雰囲気から一変。敵への対抗手段が増えたことで部屋の皆が活気づく!!
見てろよ、クソ野郎共................目にモノ見せてやるぜ!!!!!
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
作戦会議を終えた私たちはすぐさま準備に取り掛かる。『泥』は既にいくつもの貴族領を呑み込み、冥界を侵食していっている!! 何としてもここで食い止めないと!!!
私たちは拠点を移し、アガレス領にある空中島の1つを前線基地として防衛線を張ることにした。この島は万一の場合に備えて大公アガレスが要塞として使えるようにしたという。
『備えあれば憂いなし』とは言いますが、まさかこんな形で使うことになるなんて大公も思わなかったでしょうね.......................。
私が今の状況をどこか物悲しく思っていると、サーゼクス様とリアスが近づいてきた。
「ソーナ、そっちの準備はどう?」
「ええ、問題ありません。眷属の皆も準備万端ですし、いつでも戦えます」
「そうか.............すまないな、ソーナ。若いキミたちを戦線に駆り出すなど、本来なら恥ずべき行為だと言うのに...............」
私たちシトリーの戦闘準備が整っていることを伝えるとサーゼクス様がバツの悪そうな顔で謝ってくる。やはりサーゼクス様は、私たち若手悪魔が戦場に出ることを気に掛けておられていたのですね。
サーゼクス様だけじゃない。他の魔王様方も、アザゼル先生も................そしてこの場にはいないお姉様も、私たちが戦争に参加することを忌避しておられた。
いつぞや言っていたように、魔王様方は『私たち若手に危険なことはさせたくない』『大事に育てたい』と思っているのでしょう。
私もいずれ学校を作り、生徒たちを教え育てる立場になれば同じことを考えると思う。だからサーゼクス様たちの気持ちも分かる。
けれど..........................!!!!
「お気になさらないでください、サーゼクス様。これは私たちが自分で決めたことです。
それに、このような状況であれば若手もベテランもありません。今は皆が一丸となって事にあたるべきだと思います」
『若者は大事に育てたい』と言うのは、先達としては正しい考えだ。でもだからといって、甘やかすのは違う。
誰かを育てるのに必要なのは『籠の中で愛でること』ではなく、『籠の外でも生きていける強さを身につけさせること』なのだ。
時には非情とも言える振る舞いで、たとえ教え子から嫌われることになったとしても必要なことを身につけさせる................それこそが『本当の教育』。
呂布殿の修行がまさにそうだった.............厳しくて大変な思いもたくさんしたけど、それでもやっぱり必要なことだったということを今になって強く実感している。
私もいずれ誰かを育てるようになるでしょう、そうなったら私も呂布殿のようにありたい。
あの厳しい修行の日々は、今日この時のためにあったのだ! だからこそ、このような状況であっても私たちシトリーには出来ることがある。
自ら動きたい時に動けず、ただ後ろから眺めているだけ。そんな無力な自分ではなく、自ら動けることがこの上なく嬉しい................そしてそんな自分たちが誇らしい。
「私たちシトリーはもう、守られるだけの『子ども』ではありません。そしてこんな時にでも誰かのため、大切なもののため、自ら戦えることを誇りに思っております。
ですのでサーゼクス様................どうか私たちを『子ども』ではなく、『一人前』として扱ってください。その方が私たちの励みになります」
「ッ、ソーナ................そうね、その通りだわ。お兄様、私もソーナも、そして眷属たちも...........皆『覚悟』をもってこの場に立っております。
私たちのことを真に想ってくださるのなら、『庇護対象』ではなく『一人前の悪魔』として見てください」
「リアス、ソーナ................そうだね。もうキミたちは立派な『悪魔』だ。いつまでも私たちが守らずとも、自分たちの力で十分戦えるだろう」
私の言葉にリアスも同意し、サーゼクス様に『一人前』として扱ってくださるよう伝える。サーゼクス様も私たちの思いを聞いて驚くも、すぐに満足そうに微笑んで認めてくれた。
「その証拠に、私たちがこうして無事なのもキミたちが自ら立ち上がり動いたからこそだ。そして今回の作戦も、キミたちが成長したからこそ立てられたもの。
こんな危機的状況にありながらも前を向いて、自分のやるべきことに全力を傾ける..............そんなキミたちは、もはや『一人前』なんて言葉じゃ物足りない。頼りになる『仲間』だ」
「っ、お兄様........................」
「リアス、ソーナ...............私たち『悪魔』の未来を守るために、キミたちの『力』を貸してほしい」
サーゼクス様は私たちの成長を嬉しそうに笑い、そして頭を下げた。あの『紅髪の魔王 クリムゾン・サタン』と称されたサーゼクス様が.................私たちを対等な『仲間』と呼び、力を貸してほしいと懇願されたのだ!
私とリアスは驚きながら顔を見合せ、すぐにフッと軽く笑い合った。敢えて確認しなくても、私たちの答えは決まっている!
「頭を上げてください、サーゼクス様。貴方様からそのような御言葉をいただけて、否などあろうはずもありません。
私、ソーナ・シトリーは..................『悪魔』の未来、そして己の夢のために力を尽くすことを誓います」
「同じくリアス・グレモリーも、上には『悪魔』のために下には皆様からいただいた御恩を御返しするため、戦うことを誓います」
「リアス、ソーナ............ありがとう..............!」
私たちの宣誓を聞いたサーゼクス様は満足そうに微笑み、お礼を言う。ここに守られなければならない者など一人もいない、ここにいるのは背中を預け合う『仲間』なのだ!!!
「来たぞ! 新生悪魔の大群だ!! それに『泥』も押し寄せてくる!!!」
見張りについていた者が敵の襲来を告げる! 私たちも頷き合い、戦闘態勢に入る!!
出来る限りの準備は整えた、考えられる限りの作戦も立てた。後は『仲間』を信じて全力を尽くすのみ!!!
私たちがこれまで積み上げてきたもの、私たちがこれから築き上げようとしているもの。それらを無かったことになど................断じてさせません!!!!
私たち『現悪魔』と『禍の団』による最初で最後の戦争が幕を開けた.....................。
ここまで繋ぎの回を重ねてきましたが、次話よりようやく今章の目玉である【大規模戦闘】に入ることが出来ます。
ただもちろん作者はこれが初作なので大規模戦闘なんて書いたことがありません........................頑張るぞいっ!!!
それでは皆さん、次回で♪
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