深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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いよいよ『蒼天の紅旗』が参戦です。ただ本格的な戦闘は次話になります。

また、【FGO】や【恋姫】からどのキャラを出すか................実は未だに考えがまとまりきっていなかったりします。話の構成自体は終わっているんですけどね。




第百八十七話

 

 

 

呂布が放った炎により、地上の泥は一掃された。報告通りなら、これであの『リリン』とやらは生まれないはずだ。

 

あのデカい『リリス』については呂布に任せればいい。そうなると残る問題は、『リリンの掃討』と『負傷者の救助』か。

 

 

「おのれぇ..................オノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレオノレッッッッッッ!!!! オノレエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!」

 

 

俺が問題に取り掛かるべくメンバーに指示を飛ばそうとすると、ロキが頭を掻き毟りながら何やら吠えている。

大方、二度ならず三度までも自身の作ったものを呂布に台無しにされて戦々恐々としているんだろう。

 

一度目は呂布を侮って返り討ち、二度目は小賢しい裏工作にて作ったスルトを討ち滅ぼされ、そして三度目が今回のリリス。

アレコレと色々な手を考えてはいるものの、その全てが呂布によって阻止されている。いい加減学習しないのだろうか?

 

とりあえずロキについては後回しにしよう。まず急ぎで対処しなければならないのは、『負傷者の救助』だな。

 

俺は通信魔術でゲオルクに連絡を取り、待機している部隊の一部を回してもらうよう指示を出す。

 

 

「ゲオルク、医療部隊の一部を俺のいる座標まで送ってくれ。負傷者の数が多く、すぐに応急手当を施さないと危険な者もいる」

 

『分かった、部隊の一部で救助隊を編成する。救助隊を護衛するメンバーも含めてな』

 

「頼む。ところで、殲滅部隊の準備は出来ているな? 『庭園』の転移が完了したら出撃だぞ」

 

『ああ、問題ない。メンバー全員、今か今かと待ちわびているところだ』

 

「そうか、なら問題ないな。ちなみに『庭園』は俺がいる座標の上空に転移させるんだぞ。それから転移完了と同時に『竜骨兵』を地上へ送ってくれ」

 

『了解した。やれやれ、注文の多いリーダーだな』

 

俺が一通り指示を出し終えると、溜息混じりにゲオルクの返事が聞こえる。呆れるゲオルクの顔が目に見えるようだが、仕方ないと割り切ってもらおう。

 

とりあえず必要な指示としてはこんなところか。聖書陣営の連中は嫌いだが、さすがにこの惨状を放っておくわけにもいくまい。今後のためにも、ここで更に恩を売っておくのも悪くないしな。

 

 

 

それに.................既に当初の目的は達している。いささか予定とは違い、あんな化け物たちまで出てくることになったが、それでも『禍の団』を利用し悪魔陣営内の不穏分子という名の膿を出し切った。

 

足手まといにしかならない邪魔な連中を間引いた結果、『悪魔』は総数の1/3以下にまで減少し、領土の半分が焦土と化している。

 

ならば、この辺りが潮時というものだろう。これ以上欲張って『悪魔』並びに『聖書陣営』を追い詰め過ぎると、どんなことを仕出かすか分からないからな。

 

 

 

パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア.............................

 

 

 

そんなことを考えているとゲオルクから『絶霧』で救助隊と護衛が送られてきた、流石に仕事が早いな。

 

 

「ッ、アーシアさんっ!?」

「お久しぶりです、イッセーさん♪ ですが、ご挨拶は後で。すぐに皆さんを手当てしますっ!」

 

「ドライグ、久しい」

『オ、オーフィス! お前まで来たのか!?』

 

「お~~う、匙元士郎じゃねえか。久しぶりだなぁ、しばらく見ないうちに随分と強くなったみたいじゃねえか♪」

「ク、クーフーリンさん!? お、お久しぶりですっ!」

 

 

救助隊と護衛メンバーの中に顔見知りがいる連中は挨拶もそこそこに救助活動に取り掛かる。ウチの医療メンバーは優秀だ。この程度の範囲なら、応急手当に大した時間は取らないだろう。

 

それにしてもゲオルクのヤツめ、オーフィスまで送って来たのか...............まぁ、アーシアが来るならばオーフィスも付けないと面倒だからな。

 

っというか、コレなら護衛はオーフィス1人で十分じゃないのだろうか?

 

 

「アーシアさん! た、頼む、部長たちを...............皆を助けてくれ!! お願いしますっ!!!」

 

「はい、お任せください♪ スゥ、『禁手化』!!!」

 

 

カッ!!! オォォォォォォォォォォォォォ.........................

 

 

必死に懇願する兵藤一誠に優しく微笑みかけると、アーシアは祈りを捧げるかのようなポーズで『禁手』となる。

 

アーシアが『禁手』になると白い光が周囲に広がり、アーシアの後ろには天使の翼を生やした女性が現れた。

女性の大きさはアーシアの身長の軽く十倍はある。だがその見た目と神々しさから威圧感などは一切感じられない。

 

教会などの聖職者が見たら思わずひれ伏してしまうであろう姿と神々しさは、まさしく『聖母』と言っても過言ではないだろう。

 

 

「『聖母の涙 セレスティア・ドロップ』」

 

 

聖母とアーシアが両手を組んで祈りを捧げると、聖母から涙がこぼれ地面に落ちる。その瞬間、地面には魔方陣が展開され...............地面から虹色に輝く泡がいくつも出てきた。

 

展開された魔方陣の中にいる負傷者たちを泡が優しく包み込むと、負傷者たちの怪我がみるみる治っていく。キズが治った負傷者たちは、少しずつ目を覚ましていった。

 

 

「っ...........イ、イッセー.................?」

 

「ぶ、部長! っ、目を覚ましたんですね!? 良かった..............本当に、良かった.................!」

 

 

「う~~ん.............あれ? ヴァーくん?」

 

「ラヴィニア、気が付いたのかっ!」

 

 

リアス・グレモリーたちが目覚めると兵藤一誠たちは嬉しそうに安堵する。あのヴァーリまで、あんな顔を見せるとはな................なるほど、アレが噂のヴァーリの『肝入り』というわけか。

 

 

≪永久なる神聖母の福音 セレスティアル・ヒーリング・マザー≫。

 

 

アーシアの持つ神器『聖母の微笑み』。その亜種の『禁手』で、『治癒』と『守護』の力を『聖母』という形で顕現させる。

 

聖母とアーシアが祈ることで『神器』のシンクロ率が爆発的に急上昇、そのシンクロ率は『蒼天の紅旗』でもトップクラスだ。

それにより周囲の者に様々や癒しと祝福を『母の慈愛』が如く与える。

 

能力にはいくつか種類があって、今回使ったのは『聖母の涙 セレスティア・ドロップ』。

これは一定範囲内に泡の形をした『癒しの結界』を生み出し、泡に取り込んだ者を癒すというものだ。

この泡の中にいる間は、瀕死の重傷であったとしても治癒されるばかりか古傷まで癒すという代物。

 

一見すると泡で出来ているため簡単に壊れそうな気もする。だがあの泡は強固な結界でもあるため、大概の攻撃なら弾いてしまう。

それこそ最上級クラスの異形種が数人がかりでようやく割れるというものだ。

 

他にも『息吹』『抱擁』『純血』などがあって、それぞれ能力が違う。一定範囲内にいる負傷者のみを選別して一気に治療できるという素晴らしい能力なのだが................問題はアーシアの気質上、負傷していれば敵味方関係なく治してしまうことだ。

 

まぁその点については、アーシア自身が状況に応じて能力を使い分けているから然程大きな問題ではないがな。

 

 

 

「っ、曹操殿...............ご助力、感謝する」

「ふぅ~~~~、助かった。今回ばかりはマジで死ぬかと思ったぜ。ありがとうよ、曹操」

 

アーシアの神器により次々と目を覚ましていく負傷者たち。九死に一生を得たということで、ルシファーやアザゼルが礼を言ってきた。

ただ俺としては、任務であり『予定通り』でもあるため適当に返しておく。

 

「お気になさらずに。我々が来たのは、あくまで任務ですので..................それよりも、アーシアの神器では『キズ』は治せても『体力』や『魔力』までは回復出来ません。早く俺たちの『拠点』へと避難してください」

 

彼らはもうお役御免だ。この戦場は既に『蒼天の紅旗』の作戦区域、悪いがさっさとご退場願おう。

だいいち、『悪魔』『天使』『堕天使』に対して耐性を持っているリリンの前では彼らに出来ることなど何も無い。

 

 

「? 拠点? そのようなものがどこに..............?」

 

「まさか、『蒼天の紅旗』の本拠地に避難させてくれるってのか?」

 

この場から避難するように伝えるとルシファーとアザゼルが疑問符を浮かべながら尋ねてくる。

 

ハァ、アザゼルよ。俺たちがわざわざ自分たちの本拠地に聖書陣営の連中を避難させるわけがないだろう。

 

 

「いいえ。我々の本拠地ではなく、『移動式拠点』へ避難していただくのですよ................ほら、あちらです」

 

「「ッッッッッッッッッッッッ!?」」

 

 

俺が指を差すと上空に大量の霧が発生する。霧が晴れるとそこには....................都市一つ分はあろうかという巨大な空中要塞が出現した。

 

空中要塞が現れたことにルシファーたちが唖然としている中、要塞から地上へ小さな骨が雨あられの如く降り注いでくる。

 

骨は地上に落ちた瞬間、魔術式を展開し中から骨で出来た『竜』が現れた。大きさとしては概ね2~3m程度であり、そんなヤツらが大量に出てきたというのだから悪魔共は驚愕している。

 

 

「こちらは竜の骨から作ったゴーレム、『竜骨兵』です。この竜骨兵たちが皆さんの護衛をしながら先導しますので、応急手当を終えた方からすぐに避難してください。手当を終えても動けない者は竜骨兵が運びます」

 

「あ、ああ...........しかし、これだけのゴーレムを一度に作り出せるとは、流石は『蒼天の紅旗』だね...............」

 

「まったくだ。竜の骨を触媒にしているとはいえ、これほど大量にゴーレムを作り出して操るなんて相当な術者だぞ?」

 

竜骨兵を見てルシファーたちは、感心しながらも若干顔が引きつっている。確かに見た目はよろしくないからな、パッと見れば魔獣の類に思えてしまうのも無理はない。

 

 

「ありがとうございます。さぁお早く、敵が痺れを切らす前に」

 

「っ、あ、ああ、そうだね。皆の者、竜骨兵の先導に従って上空の要塞に避難するんだ! アジュカ、手当を終えた者から避難を開始するよう全軍へ通達してくれ!!」

 

「「「「「「はいっ!!!!」」」」」

「わかった」

 

ルシファーの指示で付近の悪魔たちは竜骨兵に導かれて要塞へと向かっていく。遠くを見れば悪魔、天使、堕天使たちが次々と要塞へと飛び去って行くのが見える。

 

アーシアは次の負傷者の下へ向かい、クーフーリン・ヘラクレス・ジャンヌなどの護衛部隊は邪魔なリリンたちを迎撃している。

 

 

だが

 

 

 

「イッセー、行きましょう」

 

 

「........................................」

「? イッセー?」

 

「匙、どうしましたか?」

「........................................」

 

「ヴァーくん?」

「........................................」

 

 

 

皆が要塞へと飛んでいっている中、『兵藤一誠』『ヴァーリ』『匙元士郎』だけが避難しようとはせずに何かを考え込んでいた。それぞれの主やパートナーも不思議そうに話しかけている。

 

やがて三人は何かを決意したかのように顔を上げ、真剣な眼差しで俺へ懇願してきた。

 

 

「なぁ、曹操...................」

 

「..................頼みがある」

 

「無理なお願いだってことは十分理解している」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「俺たちも戦わせてくれ」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「っっっっっっっっっっっ!!!!!!」」」」」

 

 

 

三人の言葉にこの場にいる全員が目を開いて驚いている。この三人の気性を考えれば、『自分たちの戦い』を他人に丸投げするのに抵抗があるんだろう。

それに『ドラゴン』というのは、本質的にどこまでも『戦い』を望むものだからな。

 

「イッセー、何を言っているの!?」

「匙、ここは『蒼天の紅旗』の方々に任せましょう」

「ヴァーくん、良い子だからお姉ちゃんと一緒に行こ?」

 

リアス・グレモリーたちが三人を諫めるが、それでも戦う気概を収めるつもりはないらしい。三人はこの戦いに懸ける自らの思いを語る。

 

 

「すみません、部長..............でも俺、このまま引き下がるわけにはいかないんです! 俺のせいで『悪魔』は一度滅ぼされそうになりました。

けど、皆のおかげで俺はこうしていられます。それなのに、『禍の団』にここまで好き放題されて引き下がったりしたら...............俺は何のために強くなったのか分からない!!! あの時助けられた恩を返すのは、『今この時』しかないんですっ!!!」

 

「イッセー....................」

 

 

「俺も兵藤と同じ気持ちです、会長。『禍の団』のせいで冥界は、俺たちの夢はメチャクチャにされました。ヤツらには返さなきゃならない『借り』がたくさんあります。

ここで背中を見せたら、もし夢を叶えたとしても................逃げ出した自分を思い出すことになります!!!」

 

「匙...........................」

 

 

「俺はこの二人ほどセンチメンタルではないがな。だが俺はどうしようもなく『白龍皇』でね、『戦い』から逃げるわけにはいかないんだよ。

それに、あの呂布が.................俺が生涯を懸けて超えるべき男が、ああして戦っているんだ! ならば、俺は絶対に背を見せるわけにはいかない!! ここで逃げれば、俺はもう二度と呂布に挑むことが出来なくなる!!!」

 

「ヴァーくん....................」

 

 

『恩義』『夢』『誇り』。三人とも思いは違えど、『この戦いから逃げたくない』という思いだけは共通していた。

それぞれの相方や仲間たちもその気持ちが分かるからか、無理に止めるようなことはしていない。

 

そんな三人を見て、保護者であるルシファーやアザゼルからも俺に頭を下げてくる。

 

 

「............曹操殿、どうか彼らの思いを汲んではもらえないだろうか。この戦いは本来『悪魔』のもの、それを関係の無い貴殿らだけに押し付けるわけにはいかない」

 

「ああ。せめてこの三人だけでも参加させなくちゃ、俺たちの面目は丸つぶれだ。それにここで無理矢理連れていったりしたら、コイツら勝手に参戦しかねないぞ?」

 

ルシファーとアザゼルの言う通り、この戦いは『悪魔』に端を発した『聖書陣営』の問題。燻っていた爆弾を盛大に起爆させたのは俺だが、本来であれば俺たちが命懸けで戦わなくてはいけない理由は微塵も無い。

 

しかし、これ以上静観を決めてしまうと他の神話群が管理している領域にまで被害が及んでしまうので、こうして俺たちが来たというわけだ.................名目上はな。

 

だから彼らにはさっさとご退場いただきたいのだが、ここで無理やり避難させても俺の知らないところで勝手に戦いかねない。

もしここで三人が命を落とすことがあれば、責任を問われることは無いだろうが禍根を残す可能性は否めない。

 

 

 

「..................ダメだ。キミたちは避難したまえ」

 

「「「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」」」

 

 

俺は『今の彼ら』の願いを棄却する。ルシファーたちは『やはりダメか』と言った面持ちで、納得は出来ずとも理解はしているようだった。

 

 

「そ、そんな.............なぁ、頼むよ「勘違いするな」え?」

 

 

兵藤一誠が食い気味に反応して来るところに俺は口を挟む。まったく、本当に人の話を最後まで聞かないヤツだな。いくら強くなったと言っても、根本の部分は相変わらずのようだ。

 

 

「見たところ、今のキミたちは随分と消耗している。恐らくその姿でいられるのもそろそろ限界だろう。

そんな疲弊した状態で戦闘を続けても、途中でガス欠を起こして敵に殺されるだけだ」

 

「っ、そりゃあ、そうだけど...........でも「人の話は最後まで聞きたまえ」っ...............」

 

「さっきも言ったが、アーシアでは体力や魔力まで回復させることが出来ない。だから..............上にいる医療部隊の隊長に回復させてもらってこい。話は通しておいてやる」

 

 

「「「!!!!!!!!!!!!!!」」」

 

 

そう言うと俺の言ったことの意味を理解したのか、三人だけではなくルシファーたちも目を大きく開くほど驚きを見せる。

しばらくすると、まるで信じられないものでも見るかのような目で匙元士郎が尋ねてきた。

 

 

「っ、曹操、それって........................」

 

「言っておくが、我々はキミたちが回復するのを待っていてやるほど暇ではない。モタモタしているとキミたちの出番が無くなってしまうぞ」

 

背中を向けてさっさと行くように伝えると、ヴァーリたちはさっきまで沈んでいたのが嘘のように声に喜びが現れる。

 

 

「っ、あ、ありがとう、曹操!!!」

 

「すぐに戻ってくるから、俺たちの分も残しておいてくれよ!」

 

「医療部隊の隊長と言うと、『彼女』だな。確かに彼女なら俺たちを全快に出来るだろう」

 

 

「............すまない、曹操殿。何と御礼を言えばいいのやら...............」

 

「へっ、中々に粋な計らいをしてくれるじゃねえか。それにしても随分と捻くれた言い方をしてくれるもんだな、素直に『死なせたくない』って言いば良いものをよぉ」

 

 

「ありがとう、曹操。イッセーたちの思いを汲んでくれて.................」

「曹操殿、感謝します..............!」

「曹操くん、ありがとうなのです~~~~」

 

 

兵藤一誠だけではなく、ルシファーたちまで次々とお礼を言ってくる。ただアザゼルについては減らず口を叩いてくるあたり、回復させすぎたかもしれないな................死なない程度に治すようアーシアに言っておくべきだったか。

 

ヴァーリはともかく、別に兵藤一誠たちについてはその身を案じたからではない。単に邪魔だっただけ、ああでも言わないと引き下がりそうになかったからな。

 

それに................嫌いな連中とは言え、『本気の想い』を無下にするほど落ちぶれたつもりはない。でないと、呂布に顔向けが出来なくなってしまう。

 

 

 

 

「随分とお優しいことだな、曹操。少し甘過ぎるんじゃねえのか?」

 

ルシファーたちが『庭園』へと向かっていき、入れ替わる形でクーフーリンやヘラクレスなど護衛部隊のメンバーが話しかけてきた。

護衛に充てていたメンバーが全員戻ってきているあたり、どうやら負傷者の応急手当と搬送が終わったらしい。

 

 

「ふっ、単に邪魔だったからさっさとご退場願っただけだ。それよりも、負傷者の救助は終わったのか?」

 

「へっ、素直じゃねえなぁ。まっ、そういうことにしておいてやるぜ♪」

 

「救助は大体終わっている。『見聞色の覇気』や『チャクラによる気配感知』でくまなく調べたから取りこぼしは無いはずだ」

 

「もし取りこぼしがあるとすれば、『手遅れなヤツ』ぐらいね」

 

「そうか、では本格的に始めるとしよう....................ここからは俺たちのステージだ」

 

 

俺は通信魔術で、『庭園』にいるメンバーも含めて全員へ号令を出す。要救助者はいない、いるのは『手遅れ』な者だけ。ならば俺たちもようやく全力で暴れられる!

 

 

「『庭園』の護衛部隊と医療部隊を除く全メンバーに通達。待たせたね、諸君。いよいよ戦闘開始だ、思いっきり暴れるといい.................『人類』への害虫を一匹残らず駆逐しろ」

 

 

俺の号令と同時に『庭園』から雄叫びのような声が響いてくる。それと同時に『庭園』からメンバーが飛び降りてきて、空にいるリリン共と戦闘を開始。空のいたるところで爆発が起こった。

 

 

「さて、俺たちも戦闘に参加するとしよう。敵の数は100万ほど、俺たちの数は1000。1人あたり約1000体の割り当てだ。心配はしていないが、油断はしないようにな」

 

 

「「「「「おう!!!!!」」」」」

 

 

敵は腐るほどいる、『セブンセンシズ』の実験にはもってこいの状況だ。皆もやる気を漲らせリリンの掃討へと向かおうとする................けれど、すっかり存在を忘れていた北欧の悪神様が突っかかってきた。

 

 

「ふっ、ふざけるなっ! 何が『1人1000体の割り当て』だ!! 貴様ら人間ごときに我が作り上げた『超生物リリン』が勝てるわけがないだろう!!! 自惚れるのも大概にしろっ!!!!」

 

「『勝てるわけがない』って................目ん玉ひん剥いてよく見てみろよ。現に倒していってるだろうが」

 

「なっ...........................!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラオラオラッッッ!!! 命令に従うだけの木偶人形共が、俺の前に立つんじゃねえっ!!!!」

 

 

ズシャンッ!ズシャンッ!ズシャンッ!ズシャンッ!ズシャンッ!ズシャンッ!ズシャンッ!ズシャンッ!ズシャァンッッッッ!!!!

 

 

騎士の甲冑を纏い金髪のショートヘアーを後ろで一纏めにした女が、身の丈ほどもある大剣を振るう!

大剣が振るわれるたびに赤い雷が激しく迸しり、リリンたちを消し炭にしていく!!

 

その戦う様はまさしく『赤い閃光』と呼ぶに相応しく、『庭園』から飛び降りて地上へ着地するまでにリリンを50体ほど葬ってしまった。

 

「ふん、有象無象が『新しい人類になる』だぁ? 分を弁えろってんだよ」

 

リリンたちを赤雷にて一掃した女騎士は、男顔負けの口調で吐き捨てる。

だがそんな女騎士に、すかさず武器を持って二十体ほどのリリンが向かってきた!!!

 

 

しかし

 

 

 

ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッ!ザシュッザシュッ.....................!!!!

 

 

 

「ちょっとちょっと、モードレット! 先行し過ぎだって。リーダーから『油断はしないように』って言われてるだろう!?」

 

モードレットと呼ばれる女騎士の後に続くように、6本の腕に剣を持った銀髪の青年が追いかけてきた。

どうやらモードレットは敵の大群の中を単騎で駆け抜けてきたらしい、命知らずここに極まりである。

 

 

「ああん? バカ言え、これは『油断』じゃねえ。『余裕』って言うんだよ。ったく、ジークは相変わらず心配性だな。そんなんじゃ『不死身の騎士』と謳われたご先祖様が泣いちまうぞ?

つーか、よくコイツらを倒せたな。確かコイツらって、『神器』に耐性持ってるんじゃなかったか?」

 

「相変わらずなのはそっちの方だろ? 毎回付き合わされるこっちの身にもなってくれ...........まったく、何でこんな鉄砲玉とコンビなんだろ。女運の悪さもご先祖譲りなのかね?

あとコイツらを倒せたのは、僕の『禁手』と魔剣に『覇気』と『チャクラ』を上乗せしたからだよ。例のシトリーの連中がこのやり方で倒してたっていう話だからね」

 

 

ジークが持つ神器は所有者の力を倍加させる『龍の手 トゥワイス・クリティカル』の亜種。そして『禁手』も亜種であり、その名は『六腕の龍刃 クリティカルエッジ・アスラーダ』。

 

これは神器とのシンクロ率が上がるごとに腕の数が増えていき、腕の数だけジーク自身の力が倍加するというもの。

ただ一口に『力』と言っても様々であり、身体能力に限らず『チャクラ』や『覇気』。さらには身に付けている『武具の性能』など、ジークが『自身の力』と認識したものであれば強化の対象となるため非常に幅が広い。

 

なお、腕が増えるたびに名前が変わるため覚えるのも考えるのも一苦労。本人としては『百腕 ヘカトンケイル』を目指しているとのこと。

 

 

そして二人の様子を見る限り、ジークはモードレットの相棒でモードレットの猪突猛進を毎度諌めているものの、モードレットが聞く耳を持っていないことが伺い知れる。

 

「ふ~~ん、そう考えるとシトリーの連中は『良い実験台だった』ってわけだな..........って、おい! 『俺を女扱いするな』って何べん言えば分かるんだっ!! それにっ!!! 」

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォッッッッッッッッッ!!!!!!

 

 

 

ジークが自分を『女』として扱うことにモードレットは異論を唱えながら、剣を自分の前に掲げる。剣の切っ先が天に向けられると赤雷が弾け、空を貫いた!!!

 

 

「せっかくリーダーから『思いっきり暴れていい』って許可が出てんだ...............なら派手にやらねえとなっ!!!!」

 

 

 

 

≪我は王に非ず、その後ろを歩む者≫

 

≪彼の王の安らぎの為に、あらゆる敵を駆逐する≫

 

≪是こそは、わが王の敵を滅ぼす邪剣≫!!!

 

 

 

 

≪『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』≫!!!!!!

 

 

ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッッッッッッッッッ!!!!!!

 

 

 

赤雷を纏った剣は巨大な赤き刃を生み出し、リリンたちへ炸裂っ!!! 何百というリリンが赤き刃に飲み込まれ、消えていった................。

 

しかしモードレットは一向に満足する気配は無く、更なる敵を求めて走り去っていき................その後ろをジークが溜め息を吐きながら追いかけていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほらな?」

 

「そ、そんな、バカなっ...............リリンには『神器』に耐性を持たせているのだぞ!! それなのに、何故ヤツらは『神器』で倒せているのだっ!!!」

 

 

『蒼天の紅旗』のメンバーによって次々と倒されていくリリンたちを見て狼狽するロキ。特に『神器』を使って倒される事実は受け入れがたい模様。

 

確かにリリンには、たとえ『神滅具』であっても『神器』は効かないのだろう...............だがそれは『神器単体の能力』に限っての話だ。生憎、俺たちは『神器』をそのまま使うようなマネはしない。

 

『覇気』や『チャクラ』、果ては『魔術』といった様々な力を『神器』へ上乗せすることで、通常時を遥かに上回る出力を出すことが出来るのだ。

 

『悪魔の魔力』はダメでも『チャクラ』や『覇気』は通用するということは、シトリーが実証済みだ。これもディハウザー・ベリアルから報告を受けている。ましてや『神器』を使わない者ならば尚更だ。

 

ここに呂布から目覚めさせてもらった『セブンセンシズ』を加えれば、俺たちは更に強くなれる...............まったく、まだまだ高みを目指せるなんてワクワクするじゃないか!

 

俺自身が更なる高みへ至ることが出来ることに高揚していると、ロキは目の前で起きていることが信じられずに頭をガシガシと掻きじゃくる。

 

 

「バカなバカなバカなバカなバカなバカなバカなっっっ!!!! ありえんありえんありえんありえんありえんありえんっっっ!!!!」

 

まるで壊れたジュークボックスのようにひたすら同じことを繰り返す。その姿はもはや『神』としての威厳など無く、むしろ哀れ過ぎて却って『人間臭さ』を感じさせた。

 

 

 

だが激しく取り乱したロキは...................決して口にしてはならないことをほざいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が作ったリリンは『完璧』なのだ、その母たるリリスは『完全』にして『究極』の生命体、『至高』にして≪最強≫、神すらも超える存在、敵はいないのだ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「ああ?」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場にいる『蒼天の紅旗』全員の殺気がロキへと注がれた.....................。

 

 

 

 






今作ではアーシアがファーブニルと契約していませんので、『禁手』はオリジナルとなりました。なお、『禁手』で出てくる『聖母』は【HUNTER×HUNTER】の『大天使の息吹き』をイメージしてます。

ジークについてもせっかくなので、『禁手』はオリジナルにしました。

またモードレットの『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』は詠唱を少しイジッてます。宝具レベルを上げると『父を滅ぼす』から『父を守る』に意味が変わってますからね。

『庭園』については、また後で説明の場を設けます。

それでは皆さん、次回で♪
感想・高評価もいただけると作者が喜び、励みになります!

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