【恋姫】のキャラは、出てくるとややこしくなる曹一族や夏侯一族を外せば出しやすいんですけどね。
ただ問題は【FGO】なんですよ。性能をイジるにも限界があるので、どうしても性能的に出せるのが一部を除いて『対軍宝具』ぐらいまでになるんですよね~~~~。
正気を失ったが故の戯言だったのかもしれない。未だに現実を受け入れることが出来ない愚か者の世迷い言だったのかもしれない。
だがコイツは確かにほざいたのだ...............【最強】、と!!!!!
「っ、な、なんだ、キサマらはっ.................神たる我に対して、そのような殺気を向けるなど、不敬であろうがっ!!!!」
「....................気のせいだろうか、悪神ロキよ。聞き間違えでなければ、今アナタはあのリリスが【最強】の生物だと言わなかったか?」
周りにいる『蒼天の紅旗』メンバーから一斉に殺気を向けられたことにロキは怒りを露にしているが、そんなことはどうでもいい。
リーダーである俺は怒りに振り回されぬよう、努めて冷静にロキへと尋ねた。
「ふん、だからどうした。我が作ったリリスこそ新しい世界を創る礎! 新しい人類の母!! その能力は下等な生物だけではなく、現存する神すらも造り替えてしまう!!! まさしく究極にして至高、『最強』の生物であろう!!!!」
「.......................................」
「そして我はリリスを使い、この世界を一から作り直す! そして我は新世界にて、文字通りの『天地創造の神』となるのだ!! 頭が高いぞ、人間どもよ!!!」
リリスを使い、この世界の生物を『リリン』へと造り替える。そして自分はリリスの主であるため、『新世界の天地創造の神』であると......................。
クククッ、なるほど。大した夢物語、とんだ妄想劇だな。恐らくロキの頭の中では、自分が思い描く新世界の頂点に君臨しているイメージ映像でも流れているのだろう。
コイツが自分の妄想に浸って悦に入るのは勝手だ。だが..................いくら精神に異常をきたしている狂者の戯言だったとしても、聞き流すことが出来ないこともある。
俺がロキに自分の発言の代償を払わせようと考えているとヘラクレスやジャンヌ、そしてクーフーリンがロキの前に出ようとする。
「おい、曹操。この頭のイカレちまってる神様は俺にやらせろ。『セブンセンシズ』の実験台にしてやる」
「下がりなさい、ヘラクレス。戦うのは私よ、『レディーファースト』って言葉を知らないの?」
「何言ってやがんだ、二人とも。コイツとやるのは俺に決まってんだろうが...................構えなロキ、日本での続きだ」
クーフーリン、ヘラクレス、ジャンヌの三人は『自分が戦う』と言って一歩も譲らない。さらには後ろの方でも『俺が』『私が』と順番を取り合っている。
神を前にしても怯むどころか、我先にと戦おうとする姿勢は実に頼もしい限りだが.................生憎、こればかりは誰にも譲るわけにはいかない。
「よさないか、三人とも。皆もだ。こんな『負け犬』の駆除など、喧嘩してまで取り合うようなものではない......................俺一人で十分だ」
「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」
俺の手でロキを始末するべく全員を諫める。しかしそれが余程気に障ったのか、ロキは顔を憤怒に歪めて声を荒げた。
「っ、まっ、『負け犬』だとっ...............! たかが人間風情が、神たる我を『犬』呼ばわりだとっ.............ふっ、ふっ、ふっ、ふざけるなよっ、人間の分際がああああああああああああああっっっっっっ!!!!!!!!」
俺の言葉にロキは激昂し、目は真っ赤に血走っている。怒りのままに発せられる神の力からは、凄まじいまでの威圧感を感じる。
なるほど、この威圧感...............堕ちて腐り果てても『神』というわけか。
「これは失敬、つい口が滑ってしまいました。ですが所詮は下等な人間の戯言、どうぞ聞き流してください」
「キッ、キサマァァァァァァァァァッッッッッ!」
「おっと、そう言えば...............アナタは下等な人間如きに何度も殺されかけていたのでしたな。
一度目は瀕死にされたところを他の神のおかげで見逃してもらい、二度目はリゼヴィム共々殺されそうになったところを下級悪魔の暴走のおかげでどうにか逃げることが出来た。
そして三度目の今回、リリスがいなければアナタはとっくに呂布の手で殺されていたでしょう」
「っ...............................!」
「いやはや流石は悪神、『悪運』だけは強いみたいですな。そのように運だけでどうにか生き延びている身であれば、我ら下等な人間は恥ずかしくてとても偉ぶることなど出来ません」
「っ~~~~~~~~~~!!!!」
「ましてや、謀略のたびに死にそうな目に遭っている『負け犬』が、『新世界の支配者になる』などとは....................流石に神ともなれば、冗談のユニークさも人間とはスケールが違いますな。是非とも我ら下等な人間もあやかりたいものです」
俺の挑発に声にならない声で叫ぶロキ、その目はもはや狂気が如き憎悪と憤怒を滾らせて俺を睨んでいた。
ふん、この程度の挑発で理性が飛ぶとはな。神ともあろう者がずいぶんと沸点が低いことだ。
「許さん................許さんぞ!! 神たる我を愚弄するとはっ!!!」
「..................許さないのはこちらの方だ。キサマがどれだけヒステリックを拗らせようが一向に構わん。『至高』? 『究極』? そんな陳腐な肩書で自らを飾りたいなら、いくらでも使うがいい」
ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインッッッッッッ!!!!!!
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「だが...................【最強】、この二文字を使うことだけは断じて許さん!!!」
《禁手化》!!!!
『禁手』になると同時に槍の形状が変化、槍に巻かれている金の装飾が穂先と一体化し『スピア』というよりも『ランス』に近い形となる。
さらには、俺の怒りが『覇王色の覇気』と共に周囲一帯に広がる! 今まで喚き散らしていただけのロキも、俺の覇気に当てられて身体を強張らせていた!!
「その名を冠することが許されたのは、天上天下にただ一人。身体一つの我を張って天と地に向かい合うことも、己の身一つで世界に挑むことも出来ない.....................キサマのような『時代の負け犬』風情が、軽々しく口にしていい言葉ではないっ!!!!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッ!!!!!!
「こっ、これはっ...................何だ、この黄金のオーラは!? 神たる我が圧倒されるだとっ!?」
俺が『セブンセンシズ』を解放すると、かつてのサイラオーグのように『小宇宙』が迸り天へと昇っていく! 黄金の柱のようにそびえ立つ『小宇宙』によって、神であるロキすらも気圧されていた!!
しかしそれでも神たる者の矜持ゆえか、それともただの強がりかは分からないが、ロキはなおも虚勢を張ろうとする。
「ぐぅっ、だが! 所詮は人間が生み出した力、神たる我に通用する道理はない!! 神を愚弄したことを死んで後悔するがいい!!!」
「ふっ、よく言う。未だかつて、ロクに真剣勝負などしたことの無い腰抜けが!」
「っ~~~~~、人間ごときがぁぁぁぁぁ! 許さんぞ侮辱はっ!! その罪万死に値する!! キサマだけではない、『蒼天の紅旗』全員の命をもって贖えっ!!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッッッッッ....................!!!!!
ロキが両手を掲げると暗黒の球体が生まれる! 暗黒球体はまるでブラックホールのように周囲の瓦礫やら地面やらを巻き上げながら大きくなっていく!!
やがて暗黒球体は漆黒の太陽が如き大きさまで膨れ上がった!!!
「この中は超重力の渦! 一度呑み込まれれば外へ出ることはおろか、細胞一つ残らず圧迫されて消滅するだろう!!
強大な重力の前には光すらも直進することは出来ん!!! キサマの忌々しい光など、重力の闇に呑み込まれ消え去るがいい!!!!」
ロキが両手を振り下ろすと巨大な暗黒球はゆっくりと俺たちに向かって落ちてくる。ロキの言う通り、あの中に呑み込まれれば生きて出るどころか即死は確実だ。
だが、俺たちは一切取り乱すことはしなかった。
確かに、あの重力の闇は『光』でも突破することは出来ないだろう........................ならば『光を超える速度』であればどうかな?
キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインッッッッッッッッ!!!!!!!
俺は『セブンセンシズ』によって生まれた『小宇宙』を全て聖槍に集束させる。俺たちは『セブンセンシズ』に目覚めたばかり、呂布のように細かいコントロールはまだ出来ない。
しかし『堅』のように身体全体を覆ったり、攻撃の際の一発に全てのエネルギーを込めるぐらいなら今の俺たちにも可能だ。
それに肉体ではなく、こうして武器に集中させればサイラオーグ・バアルのように反動で腕が動かなくなることも無い。
限界まで『小宇宙』を集中させた結果、俺の聖槍が黄金一色に染まる!!!
≪これこそ我らが更なる高みへと至らんがための人の輝き、人の可能性≫
≪我が槍こそ我が意思、我が誇り≫
≪故に壊れず、折れず、曲がらず、打ち砕かれず≫
≪神々の魂すらも撃ち貫く≫!!!!
≪終末の戒めを穿つ神滅槍 ロンダルク・トランスピア・アーマゲドン≫!!!!
『セブンセンシズ』により俺の槍の投擲速度は『光速』を超える!!! さらに『禁手』で得られる出力も全て上乗せした黄金の槍は、暗黒の闇に星の瞬きがごとく一条の閃光を走らせ蹴散らし......................ロキの身体をも貫いた!!!!!
「ッ..................ガハァッ! バッ、バカなっ.............神たる我が、人間ごときに、滅ぼされるなど.................ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!!!」
槍の一撃はロキの身体に大きな風穴を開け、もはや両腕・両足・頭部がかろうじて繋がっているような状態。
しかし、自分が人間に滅ぼされるなどありえないと最後の最後まで信じられず.....................北欧の悪神は断末魔を上げながら消えていった。
..................倒した。俺の槍はとうとう神をも貫き、滅ぼしたのだ。俺みたいなちっぽけな人間の一撃が、確かに神にも届いたんだっ..................!!!!!
俺の『禁手』は他の神器とは違い、用途によって使い分けている。1つは『天輪聖王の輝廻槍(ポーラーナイト・ロンギヌス・チャクラヴァルティン)』。
これは槍そのものの威力は変わらないが『七宝』という特殊能力を備えた光の玉を出現させる『亜種の禁手』だ。七つの玉それぞれに異なる能力があるため、様々な状況に対応できる【万能型】とも言える。
もう1つは今使った『真冥白夜の聖槍(トゥルー・ロンギヌス・ゲッターデメルング)』。
これは通常の『禁手』で特殊能力が無い代わりに『禁手』で得られる出力を全て槍の攻撃力に集約させるというもの。
そのため槍もより攻撃的な形状となり、敵を貫くことに特化している。言ってみれば【攻撃重視】の『禁手』だな。
遥か彼方へと飛んでいった聖槍を手元に呼び戻し、感慨に浸る俺はこれまでの人生を思い返した。
聖書の神の導きか、それとも『乱世の奸雄』と言われた先祖の計らいか...............この槍が宿った瞬間、ただの農村生まれの俺の人生は様変わりした。
両親は俺が聖槍を宿したと知るや金で俺を売り渡し、俺は人買いに連れていかれた。しかし槍を恐れた異業種たちに襲われ人買いの連中は全滅、俺はどうにか槍の力で生き延びることが出来た。
それからは槍を片手に異業のヤツらに命を狙われる毎日。一人で妖魔退治をしながらハンター紛いの仕事をしては、僅かな金で生計を立てる。そんな『独りきり』の人生が始まった。
そうして自分一人の命ならどうにか守れるぐらいの力をつけたある日....................何の気まぐれか、俺は実家を尋ねることにした。別に深い理由なんか無い、たまたま仕事で近くを通ったから寄っただけに過ぎない。
だが帰った時には、俺の記憶にある実家は跡形も無く消滅していた。
付近の住人に話を聞くと、どうやら俺を売った金で豪遊したことで贅沢の味を覚えてしまったらしい。
あっという間に金は底を尽いたが、一度上げた生活水準を下げることなど出来ず、借金をして身を持ち崩し...................最後は夫婦ともども首を吊って死んだそうだ。
その話を聞いた俺は...................何も思うことはなかった。普通なら怒りや哀れみ、侮蔑の感情を抱きそうなものなのに不思議とそんな気持ちにはならなかった。
だがその代わり、俺の中には何故か『穴』のようなものが生まれた。
付近の住人たちが気を利かせて作ってくれた墓を前にし、まるで『自分の一部』がすっぽりと無くなってしまったかのような...............そんな言いようの無い喪失感を感じたのだ。
俺を売り払った両親、限りなく他人に近い家族。そんな二人でさえ、自分の人生の一部だったということなのだろうか?
そんな得体の知れない喪失感を抱きながら時は流れ、俺は須弥山へと流れ着いた。数多くの武神がいる須弥山なら、生きていくための強さを得るのに一番だと思ったからだ。
初代孫悟空に修行をつけてもらい、帝釈天にたまにからかわれ、修行を終えると眠りにつく、そんな毎日の繰り返し。
しかし、いくら力をつけても俺の『穴』は埋まることはなかった。『力』では俺の中の『穴』を埋めることは出来ず、『穴』は次第に俺から生きるための活力まで奪っていった。
『自分は果たしてどこへ行こうとしているのか』
『聖槍はどうして俺を選んだのか』
『聖書の神は何を考えていたのか』
そんな答えの出ない自問を何度も繰り返すうちに、いつしか俺は自分の人生そのものに価値を見出すことができなくなってしまった。
そうして日々を無気力に過ごし、たまたま与えられた休みで気まぐれに須弥山を下りたある日.....................俺は呂布と出会った!!!
俺と同じ英雄の子孫で、俺と同じ年ごろの青年。だが、その武勇は俺の知る神の強さをも超えていた!
彼の『強さ』に衝撃を受け、言葉を交わすうちに俺はどんどん呂布の魅力に惹かれていった。
『どうやってそこまで強くなれたのか』『それだけの強さをもってどこへ行こうとしているのか』。知りたいことは山ほどあったし、彼の行く末を見届けたいとも思った。
そして何より.....................呂布は俺を『友達』と呼んでくれた。
初めての感覚だった、今まで出会った者は全員『他人』。両親でさえ、『血の繋がった何か』としか思わなかった。そんな俺に『友』が出来たのだ。
不思議な気持ちだった...............だが嫌な気持ちには全くならなかった。これほどの強さを持つ者が、俺を『友』と呼び対等な関係になろうとしてくれたのだ。
俺は快く呂布の『友』となり、一緒に旅をすることにした。様々なものを見て、様々な体験を共有する。
時には一緒に戦うこともあった。そうしていくうちに、俺の『穴』が少し埋まったような気がした。
呂布と一緒に旅をしていくと、俺のような『英雄の子孫』『神器によって人生を狂わされた者』『異業種との混血により虐げられた者』など色んな人間が集まってきた。
その者たちと一緒に『蒼天の紅旗』を設立、集まったメンバーで各神話群からの仕事をこなし名前を売る。
俺たちの組織が受け皿となり、また似たような人間が集まってくる。
気づくと『蒼天の紅旗』も大所帯となり、多くの勢力から一目置かれる存在となった..................いつしか俺は『穴』のことなど気にしなくなっていた。
そうして『蒼天の紅旗』の活動も軌道に乗り始めたところで、世界を震撼させる大事件が起こった................呂布が【赤龍神帝】を倒し、『世界最強』となったのだ!!!
この世界が誕生してから頂点に君臨していた『赤龍神帝』『黙示録の龍』、グレートレッド。神をはじめとする超常の存在であっても足元にも及ばない存在。
この世界の不文律、全勢力が持っている不変の常識がたった一人の人間によって覆されたのだ。
きっかけは『オーフィスがいつでも次元の狭間に戻れるようにするため』という何とも呂布らしい理由だった。
確かに呂布はオーフィスやグレートレッドと同じくらい強くなっていたが、たったそれだけの理由でこの世界の最強たる存在に戦いを挑むなんて今でも信じられない。
だが、それが『呂布奉先』なのだ。彼の頭の中には打算や自己の利益など存在しない。あるのは『自分の心に従う』こと、ただそれだけだ。
『蒼天の紅旗』の皆は、そんな呂布の生き方に救われてきた.....................この俺も含めてな。
彼は俺と出会った時から『そう』だった、そして彼はグレートレッドに挑もうと思って強くなったわけではない。
どんな時でも、自分の生き方を貫くために強くなったのだ。それがたまたま『グレートレッドと戦う』ということに繋がっただけだ。
ただひたすらに己の生き方と意思を貫く。言葉にすれば簡単だが、この世界で.............強大な力を持つ超常や異形が跋扈する世界で、俺たちのようなひ弱な『人間』にとってはそれがどれだけ難しいことなのか。
それは他ならぬ俺たち自身が誰よりも理解している。俺たち『蒼天の紅旗』は、そういった人間たちの集まりだからな。
だからこそ俺たちは呂布に依存してしまった。呂布がいるというだけで満足し、歩みを止めてしまった。その結果..................俺たちは呂布を『独り』で先へと行かせてしまった。
散々呂布に救われておきながら、呂布を『独り』にしてしまったのだ!!! 俺たち全員、あの時ほど己の愚かさを悔いたことはないだろう。
呂布がグレートレッドに勝利し、事実上の『世界最強』となったあの日から、俺たち『蒼天の紅旗』は変わった。
もう二度と呂布を『独り』で戦わせないように。呂布と共に戦場で並び立ち、一緒に戦えるように。
そうして『蒼天の紅旗』は生まれ変わった!!! 『己の限界』『人間の可能性』を極めんがために常に錬磨を絶やさず、互いに切磋琢磨をしている!!! 俺も暇さえあれば、神々からの厳しい鍛錬に励んでいる。
そんな日々を過ごしていくうちに、俺の中にあった『穴』は完全に無くなっていた。そしてそのことに気づいた時..................俺は両親の墓へと足を運んでいた。
以前両親の墓を前にした時とは違い、己の中に感じた謎の喪失感は無くなっていた。代わりに俺の中にあったのは..................
小さな『感謝』だった。
あの二人が『良い両親だった』などとは口が裂けても言えない、俺は間違いなく金と引き換えにあの二人から売られたのだから。
だがそれでも.................あの二人が俺を生んでくれたからこそ、俺はこうして『曹操孟徳』として生きていられるんだ。
そして俺は『俺自身』として生きている『今の状況』を好ましく思っている。
『俺』を受け入れてくれる仲間が出来た。『俺』として生きていける居場所も出来た。『俺』が叶えたい目標だって出来た。
そして何より.................『俺』に生涯の友が出来た。
たとえ生まれがどうであれ、これまでの人生がどうであれ、それでも今の『俺』は充実した人生を送っている。
ならば『俺』を生んでくれた、その一点については感謝しても良いと思えたのだ。
言葉に出すつもりはないが、せめてもの感謝として花を二輪供えて去ることにした俺。そして何も言わずに帰ろうとした、その瞬間。
『『ごめんなさい』』
.....................気のせいだったかもしれない。空耳が聞こえただけなのかもしれない。少し感傷に浸って、風のざわめきが俺に勘違いさせたのかもしれない。
だがそう聞こえたものは仕方ないので、あまり深く考えることはせず、フッと笑いながら心の中で返した。
『いいさ................ありがとな』
たぶん、俺の心はあの二人を許しているんだろう。『許す』という行為は相手の為にあるんじゃない。自分の過去と気持ちに折り合いをつけ、前を向いて生きるための『儀式』なんだと理解した。
自分の過去に折り合いをつけた俺は、それから年に1回両親の墓へ小さな花を二輪だけ供えに行っている。
毎年欠かさずやっているあたり、我ながら何とも酔狂なものだ。
だが...................案外、こういうのも悪くはないと思う自分がいる。
「やったな、曹操」
「ついに『神殺し』達成ね、『神滅具 ロンギヌス』の面目躍如なんじゃない?」
「本当は俺の獲物だったんだがな。今回は貸しにしておくぜ」
【この槍を持つに相応しい『俺』になれるのだろうか?】。呂布と出会う前に抱いていた疑問に答えが出て、少し昔を思い出してしまった。
そんな俺に仲間たちが、まるで自分のことのように喜びながら祝辞を述べてくる。
「ああ、ありがとう................だが、まだまだだ。俺たちはまだまだ強くなれる、『こんなこと』で満足なんかしていられない」
そうだ、俺たちはもっと高みを目指せる。それに『セブンセンシズ』のコントロールもこれからだしな。
やることはまだまだたくさんあるが、その分だけ伸び代があるということで『楽しみ』でもある。
「ところでさ~~~、今更なんだけどロキ、というか『神』って殺してもいいもんなの? 何か色々と面倒なことになるんじゃなかった?」
「心配はいらない。ロキを殺すことについてはオーディンから許可を貰っている。ロキの死によって発生する問題も北欧神群で対応してくれるそうだ」
『神』というのは何かしらの『理』や『法則』を管理しているものだ。ロキに関しては『知識』と『悪性』といったところか。
だから『神』が死ぬとその神話群で管理している領域の法則が乱れてしまう。
本来なら『封印』するべきなんだろうが、ロキは色々とやり過ぎた。自己の神話体系を飛び出し、他の神話群をも侵食しようとした.............謂わば『まつろわぬ神』とでも呼ぶべき存在になってしまった。
故に北欧神群は『今のロキ』を始末することを決めた。そして『神』というのは死んでも、神話からなる『神性』によって新たに生まれ変わることが出来る。
だが次に誕生する『ロキ』は、死んだロキとは全くの別物。俺たちに関する知識が全くない『赤子』のような状態で誕生する。
もっとも、神話の『神性』によって生まれ変わるのは百年単位の時間が必要で、俺たちが生きている間に『ロキ』と会うことはもう無いだろう。
「ふ~~~ん、じゃあ私たちが気にする必要は無いってことね」
「そういうことだ....................さて、ロキは始末した。リリスについては呂布に任せればいい、俺たちはリリンの掃討だ」
「「「「おう!!!!!」」」」
「だが決して無茶な戦い方はするな、特に『セブンセンシズ』については扱いに十分注意しろ。調子に乗って使いすぎると自滅するぞ」
「「「「「了解っ!!!!」」」」」
俺が指示を出すとクーフーリンたちはリリンの掃討戦に参加していった。
では、俺も行くとしようか。せっかく新たに得た力を存分に発揮できる機会に恵まれたんだ。せいぜい俺の実験に付き合ってもらうとしよう。
俺は肩に槍をトントンと当てながら、適当な敵を探しに行こうとするが.........................その前に呂布の方へと目を向けた。
見ると巨大な炎の竜巻によって、リリスを細胞一つ残さず焼き尽くそうとしているところだった。やれやれ、これじゃあ俺たちがリリンを全滅させる前に決着がついてしまいそうだ。
急がないと俺の分が無くなってしまう.................そう言えば、ヴァーリたちの回復をするよう救護隊長に連絡をしていなかったな。ロキのせいですっかり忘れていた。
『.................なぁ呂布、俺の槍は遂に神をも貫いたぞ。これで少しは、キミの友として胸を張れるだろうか?』
農村の出でしかない俺が超常の存在である『神』を討った。信じあえる仲間と友の存在が、俺をここまでの高みへと伸し上げてくれたのだ。
俺は炎の向こうにいる呂布の背中を見て、『呂布に付いていく』という自分の決断。そして『俺自身』が選んだ道に間違いは無かったのだと強く確信する。
俺は通信魔術で救護隊長に連絡を入れた後、槍を肩に乗せたまま実験台になりそうな獲物を探すことにした。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
「っ、今のは..........................!」
「ん? どうした、ヴァーリ?」
『蒼天の紅旗』の空中要塞にやって来た俺たちは、すぐに救護部隊の隊長とやらを探していた。どうやらヴァーリはその人のことを知っているそうなので、案内してもらおうとしたら、いきなりヴァーリが立ち止まった。
「..................いや、何でもない。それよりも、急いで彼女の下へ行くぞ」
俺が尋ねるとヴァーリは少し逡巡するも、何事も無かったかのように振る舞う。俺や匙は顔を見合わせながら首を傾げるが、今は回復することを優先し深くは突っ込まなかった。
そして俺と匙がヴァーリに付いて行こうとしたところで、奥から赤い軍服みたいな服に黒いスカートを着用した女性がやってくる。
「お待ちしておりました、ヴァーリ。そして赤龍帝と黒龍王」
「久しぶりだな、ナイチンゲール。曹操から話がいっていると思うが、すぐに俺たちを『全快』にしてもらいたい」
「ええ、先ほどリーダーより連絡がありました。すぐに処置を施します」
ナイチンゲール!? 世界史に詳しくない俺でも聞いたことのある名前だぞ!! 確か医療分野で物凄く活躍した人だよな! 『蒼天の紅旗』にはそんな凄い人までいるのかよ..................。
「ほう、『クリミアの天使』様のお出ましか。確かに医療部隊の隊長としては、これ以上の人材はいないな」
「お褒めに預かり光栄です、堕天使総督殿。ですが、その名で呼ばれたのは私の先祖ですので、お間違えの無いように」
アザゼル先生がナイチンゲールさんに興味と関心を示すが、ナイチンゲールさんは『クリミアの天使』と呼ばれることに抵抗があるようだ。
英雄の子孫とは言っても、あくまで『先祖は先祖、自分は自分』ってことなのかね?
「ナイチンゲールさん、俺はロキのヤツをぶっ飛ばさないといけないんです! すみませんが、急いで回復させてもらえますか?」
冥界をこんなメチャクチャにしたアイツは絶対許さねえ! それに俺の両親を人質にした件もある。
リゼヴィムについてはどうしようもないけど、せめてロキだけは俺の手で倒してやる!!
しかし俺がロキに対して怒りを燃やしていると、ナイチンゲールさんはフルフルと首を振った。
「残念ですが、それには及びません。悪神ロキについては.................私たちのリーダーが討ち滅ぼしました」
「「「「!!!!!!!!!!!!!」」」」
ナイチンゲールさんの言葉に俺たちは一斉に驚愕する! リーダーって、曹操が!? アイツがロキを倒したってのかよ!?
「なっ!? いくら最強の神滅具である聖槍を持っているからって、『人間』が『神』を滅ぼしたってのかよ!?」
あまりにも衝撃的過ぎる事実を信じられず、アザゼル先生も思わず食い気味に確認してしまう。そりゃあ俺たちみたいな『悪魔』ならともかく、『人間』が倒したってんならとんでもない大事件だ!
「いや、恐らく本当のことだろう。先ほど俺の『見聞色の覇気』でも、ロキの気配が消えたことを感じ取った。てっきり勘違いだと思ったんだがな」
未だ半信半疑な俺たちだが、意外なことにヴァーリも同じことを言い出した。そういえばさっき、不意に立ち止まったよな。アレはロキの気配が消えたからなのか。
「け、けど、ロキがいなくてもまだ『リリン』がいるんだろ? だったら俺たちも戦うぜ! アイツらを全滅させないと、冥界の平和は戻ってこないんだからなっ!!!」
っ、そうだ! ロキがいなくても倒さなきゃいけないヤツらがいる。俺たちにだって出来ることはまだある。
匙の言う通り、早く回復させてもらって戦いに向かわないと!!!
「よく言った、匙元士郎。冥界の脅威は未だ去ってはいない、それなのに戦いもせず傍観に徹するなどもっての他だ。ナイチンゲール殿、すまないが俺も回復させてほしい」
「サイラオーグ、アナタも戦うの!?」
「当然だ、リアス。これは元々俺たち『悪魔』の問題なのだからな。それに.....................」
俺たちのように戦おうとするサイラオーグさんを部長が心配そうに尋ねる。だがサイラオーグさんは揺るがぬ闘志を滾らせ、遠くの方に目を向けた。
視線の先には..................たった1人でリリスと戦っている呂布さんの姿があった。
「俺の憧れであり、恩師でもある御方がこうして身体を張って戦ってくれているのだ。ならば行かねばなるまい。
何より、あの呂布殿と同じ戦場に立って共に戦えるという事実に心が震える!!!!」
「っ.................そうね。あの呂布様と一緒に戦えるなんて、滅多に無い機会だものね。けれど私たちは戦えない.................戦えるアナタたちを羨ましく思うわ」
戦う呂布さんの背中を見て、やる気を漲らせるサイラオーグさん。そんなサイラオーグさんを見て、部長は自分の非力さを悔しがりながら羨ましそうに俺たちのことを見た。
そうだ.....................たとえロキやリゼヴィムがいなくても関係ない。呂布さんが俺たちのために戦ってくれているなら、俺たちは俺たちに出来ることで呂布さんをサポートする!
呂布さんが後ろを気にせず、リリスだけに専念できるようリリンは俺たちで全滅させるんだ!!
しっかりしろ、俺! 呂布さんがリリンにまで手が回らない今こそ、呂布さんの力になる時だろ!!
あの時...........俺の寿命を治してくれた時に、そう言われたじゃねえか!!!
俺、匙、ヴァーリ、サイラオーグさんは気持ちを切り替え、一刻も早く戦いに参加するべくナイチンゲールさんの治療を受けた。
『ロキを倒すのを誰にするか』については非常に悩みました。一誠も因縁がありますし、一誠とヴァーリかリゼヴィムを倒すなら、匙にするかとも思いました。
でも、最後は『曹操の成長を書きたい』ということで曹操に軍配が上がりました。何せ曹操は今作の第二の主人公でもありますので。
それでは皆さん、次回で♪
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