最終章ということで、呂布だけではなく色んなキャラの視点で話が進んでいきます。
ただそれでも、話がごたつかないようにある程度キャラは絞っていきたいと思います。
「そっ、そんな!? 俺たちであの化け物を倒すんですか!?」
セミラミスさんの『庭園』で待機していた俺たちはアザゼル先生たちの話を聞いて驚いた! あんなバカデカい怪物を俺たちみたいな若手で倒すなんて.................!
「すまねえ、俺たちも何とか負担を軽くしようと抗議したんだが.................」
「以前に作ってしまった『借り』を持ち出されてしまってね...............押し切られてしまったんだ」
以前作った『借り』って..................俺が『覇龍』で暴走した件のアレか!!! そんな、じゃあこんなことになったのは................俺の、せい?
「っ~~~~~、すみません!!! 俺のせいで、俺が『覇龍』で暴走なんかしたから...................!」
思い返すたびに後悔が押し寄せてくる。いくら過去の失敗を取り戻そうと必死に強くなって、結果を残そうとも................『過去が消えることはない』。そんな現実に俺は肩を落とし、ただ謝ることしか出来なかった。
「イッセー、お前だけのせいじゃねえ。これは俺たち聖書陣営全体の問題だ」
「.................え? せ、聖書陣営全体の、問題?」
俺が自分のやった失敗に後悔していると、アザゼル先生が肩に手を乗せてくる。
顔を上げるとアザゼル先生だけじゃなくサーゼクス様やセラフォルー様、他の魔王様方も俺を責めるような雰囲気じゃなかった。
「そうだ、イッセーくん。確かに今回の『借り』はキミに起因するものだろう。だが、仮に『覇龍』の暴走が無かったとしても結果は変わらなかったはずだ」
「? どういうことでしょうか?」
「もし今回の『借り』が無かったとしても、神々は以前送りつけてきた『賠償請求』の問題を盾にしていたと思うの」
「『賠償請求を取り消してやる代わりに、こちらの要求を呑め』ってね~~~。
だから、キミが『覇龍』で暴走しなかったとしても~~~神々は今回の要求を強引に呑ませようとしてたってことだよ~~~~」
「そしてその賠償請求の問題については、聖書陣営が長きにわたり作り出した問題だ。赤龍帝、キミだけが責任を感じることはない」
..................なるほど。確かに、俺の暴走の件が無かったとしても別の切り口で要求を呑ませた可能性はある。
けど................それでも俺が暴走したせいで『借り』を作っちまったことに変わりはない! アザゼル先生や魔王様方が許してくれても、俺は俺自身のことが許せない!!!
「イッセー」
ギュッ
「ぶ、部長..................?」
俺が未だ後悔に苛まれていると、部長が後ろから優しく抱きしめてくれる。部長の偉大なるお乳様が背中に当たって気持ちいい.................じゃねえ!!!
「そんなに自分を責めないで、イッセー。ここにいる全員、誰もアナタが悪いとは思っていないわ。
お兄様たちの仰る通り、アナタの暴走が無くても神々は別の手段で私たちに要求を吞ませようとしたはずよ」
「...................................」
「それに、アナタが過去の過ちを償うために必死になって強くなろうとしたことを私たちは知っている。
事あるごとにアナタが自分の失敗を思い出しては、苦しそうな顔をしていたことも...................だからこれ以上、アナタが責任を感じることはないわ」
「っ......................! っ~~~~~~、部長っ!!!!」
部長の優しい言葉に俺は思わず抱きついてしまった。でも部長はそんな俺の頭を胸に抱き寄せ、優しく頭を撫でてくれる。
ああ..............この人が、俺の主で................本当に良かった..................。
「それで..............私たちは具体的にどのようにすれば良いのでしょうか?」
部長の偉大なるお乳様に包まれて俺が落ち着いたのを確認すると、ソーナ会長が具体的な方針について尋ねる。
トライヘキサの『コア』を破壊するには『禁手』になっている『神滅具』が必要だって話だけど、いくら何でも俺たちだけで戦うのは無理があるからな。
「ああ、布陣については俺たちに一任するよう話をつけてきた」
「聖書陣営で管理している『神滅具』は全部で7つ。そこで各神滅具所有者には、このようにチームを編成して割り当てる」
イッセー~グレモリー・サーゼクス
匙~シトリー・セラフォルー
ヴァーリ~ヴァーリチーム・堕天使
サイラオーグ~バアル・ファルビウム
ラヴィニア・幾瀬・デュリオ~『刃狗』チーム・教会&天使
「っ、お兄様方も前線に出られるのですか!?」
「当然だ、リアス。キミたち若者に全てを押し付け、後ろで見ていることなんて出来ないからね」
「安心しろ、お前たちのことは何が何でも俺たちが守ってやる」
「だから皆、絶対に無茶な戦いはしないでね☆」
「もちろんボクたちの眷属も一緒に戦うよ~~~~」
「私は全体指揮のため前線には出られないが、ディハウザー・ベリアルなどレーティングゲームのプレイヤーたちも参加してくれることになった」
魔王様方と一緒に戦うことに驚く部長。そしてアザゼル先生にサーゼクス様、そしてセラフォルー様は真剣な顔つきで俺たちを『守る』と言ってくれる。
そこには普段の軽い感じの雰囲気は全く無い。正真正銘、自分たちの命を懸けてでも俺たちを守ろうという強い意思が見えた。
「神滅具所有者は出来る限り待機。他のメンバーで各『分身体』を倒し、『サブコア』を露出させる」
「そして、タイミングを見て神滅具所有者が『サブコア』へ一斉に攻撃して破壊する..............大まかな作戦としては、こんな感じだな」
俺や匙はトドメの一撃に全てを懸けるってことか.....................責任重大だな。タイミングを外したり、コアを破壊できなかったら皆の頑張りが無駄になっちまう。
.....................ブルッ!!
ヤッ、ヤベエ、考えれば考えるほど体がブルってきた! それに......................
「あの.............奉先様も、参加されるのでしょうか?」
俺が呂布さんのことを気に掛けていると、日本神話群から戻ってきた朱乃さんが丁度俺が考えていた通りのことを尋ねる。
トライヘキサが封印されてからしばらくして、各神話群の神様が冥界にやってきた。その際、朱乃さんはセラフォルー様や朱璃さんと一緒に日本神話群に付いてきた。
そしてサーゼクス様たちが神様たちと会議をしている間に、俺たちと無事に合流出来たというわけだ。
部長も会長も朱乃さんと再会できて物凄く喜んでいた、もちろん俺たちも。
「ああ、アイツが俺たちの最高戦力だからな」
「呂布殿には、次元の狭間でトライヘキサの『本体』と『メインコア』を倒してもらう」
「っ、奉先様お一人で、ですか..................!?」
呂布さんが一人でトライヘキサと戦うことに驚く朱乃さん。俺たちがチームを組んで受け持つことを呂布さんは一人でやらないといけないのか。
「ごめんね、朱乃ちゃん。でもこれは仕方のないことなの。呂布くんとトライヘキサが戦っても問題ない場所って、次元の狭間くらいしかないんだ」
「彼が全力で戦うところを皆も見たでしょ~~~~。あの状態でトライヘキサと戦ったりしたら、余波だけでボクたちが全滅しちゃうからね~~~~~」
「それに、我々では次元の狭間の『無』に当てられて消滅してしまう」
「だから奉先様は...............お一人で、戦わないといけない...................!」
仕方のないこととはいえ、朱乃さんは愛する人があんな途轍もない怪物とたった一人で戦わないといけないという事実にショックを受けてしまう。それを聞いて俺たちまで意気消沈となってしまった。
呂布さんにはこれまで何度も助けてもらってきた。冥界での騒動だって、呂布さんがリリスを倒してくれたから俺たちはこうして無事でいられるんだ。
それなのに、俺たちは........................!
コンコン
俺たちが呂布さんに何も返すことが出来ないことに言いようの無い申し訳なさを感じていると、不意にドアがノックされた。
気が重くなっている俺たちに変わり、グレイフィアさんが応対してくれる。
「っ、あ、貴方様は...................! し、失礼いたしました。少々お待ちください」
来訪者を見て、珍しくグレイフィアさんが驚いている。しかしすぐに気を取り直して、サーゼクス様に耳打ちをした。
グレイフィアさんの話を聞いたサーゼクス様はすぐに中に入れるように指示する。
? 誰だろう、サーゼクス様やグレイフィアさんがあんなに慌てる相手だなんて。
俺だけじゃなく部長たちも二人を様子を不思議に思っていると、グレイフィアさんが来訪者を招き入れる。
そこには..............................!
「..............失礼する」
「失礼いたしますわ」
「っ、奉先様!!!」
「呂布様!」
「呂布殿!」
「し、師匠!!!」
話題になっていた呂布さんが秘書のレイヴェルを引き連れて現れた..........................そして呂布さんの姿を見るなり、朱乃さんが勢いよくダイブした!!!
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
神様たちの話を終えた俺がレイヴェルを連れて、一誠たちの様子を見に行くと......................いきなり朱乃に抱きつかれた!!!!
「奉先様、奉先様、奉先さまーーーーーーーー!!!!!」
朱乃は俺の胸に飛び込んでくるなり、顔をスリスリとすり寄せる。朱乃が動くたびに大きくて柔らかいものがグニュグニュと形を変える!
相変わらずの柔らかさには脱帽するが、とりあえず朱乃を落ち着かせよう。でないと俺の息子も落ち着かない。
「朱乃....................無事だったか」
「はい、奉先様のおかげで私も..............リアスたちも皆、無事でございます//////////」
? 俺のおかげってどういうことだろう..............あ、もしかしてリリスを倒したことを言ってる?
アレについては仕方ないよ、俺もまさかあんな『ティアマトもどき』が出てくるとは思わなかったからねぇ。
それに一誠たちだってリゼヴィムやリリンを倒してくれたそうだし、そこはお互い様でしょう。
「気にするな..................みんな、無事で何よりだ」
「「「「///////////////////」」」」
「っ、奉先さまぁ~~~~~~~♪」
とりあえず皆が無事で良かったと伝えるとグレモリーとシトリーの女性陣は顔を真っ赤にし、朱乃はさらに強く抱きしめてくる!
そしてそんな様子を男性陣と魔王連中は微笑ましく見ていた...............何でやねん。
「................なぁ、呂布。一つ聞いてもいいか?」
あの後、何とか朱乃を落ち着かせて離れてもらった俺。しかし今度はアザゼルがいつになく真面目な顔つきで尋ねてきた。何ぞ?
「? 何だ?」
「お前さんがイッセーたちを鍛えたのは........................トライヘキサとの戦いに利用するため、だったのか?」
「「「「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」」」」
いきなりの質問にグレモリーとシトリーだけじゃなく、サイラオーグまで驚きの表情を見せる。魔王たちも不安そうな顔で様子を伺っていた。
「ちょっと、アザゼル! いきなり何を言いだすの!?」
「そうですわ! 奉先様がそのようなことをするはずがありません!!!」
「アザゼル先生、いくら何でもその言い方は失礼です!!!」
あまりにも突拍子も無い質問にリアスと朱乃とソーナはアザゼルに食って掛かる。眷属の子たちもどうしてこんなことを聞くのか困惑しているようだった。
「今にして思えば、お前の俺たちへの配慮は異常だった。いくら情に深いって言っても、アレは度を越している。
だがそれも、俺たちを最終的に利用するつもりだったって話なら納得がいく」
「「「「「.............................」」」」」
「................どうなんだ、呂布」
アザゼルの話を聞いて、リアスたちはシーンと静まり返ってしまう。隣にいるレイヴェルも不安そうな目で俺を見ている。
う~~~~~~~~ん、何ともビミョーーな質問だな~~~~。
そりゃあ、いざとなったら一誠たちの力は借りたいとは思っていたけど、俺一人で何とかなるならそれに越したことはないからねぇ。
俺だって元々トライヘキサと戦う可能性を考慮して、転生する前に神様から鍛えてもらったわけですしおすし。
ただトライヘキサが思ったよりも強くて、結果的には一誠たちにも協力してもらう事態となってしまった。
それを『利用』と言えばそれまでだけど、でもそれはお互い様のような気もする。出来れば『ギブ&テイク』と言って欲しいところだ。
........................しょうがない、ここは素直に思ったとおりのことを話そう。
「.............皆の力を.............アテにしていたのは............事実だ。それを『利用』というのなら................否定はしない」
「「「「!!!!!!!!!!!!」」」」」
「........................そうか」
俺の返事にリアスたちは驚愕し、アザゼルは怒りよりも悲しそうな表情を浮かべる。サーゼクスたちもどこか気落ちしたような雰囲気を出していた。
「俺一人で.............トライヘキサに勝てる可能性は.............五分五分だった。このまま戦っても...............共倒れになるだろう」
「「「「っっっっっっっっっっ!!!!!」」」」」
俺だけでトライヘキサと戦った場合は相討ちになることを伝えると、今度は全員が目を開いて驚く。俺としては、それは最終手段だったんだけどね。
「だが俺は..............死ぬつもりはない。だから『蒼天の紅旗』や神々に..............一緒に戦ってもらえるよう................頼んだ」
「「「「..............................」」」」
「皆にも............トライヘキサを倒すために.............力を貸して欲しい」
ペコ
「「「「!!!!!!!!!!!!!!」」」」
俺が頭を下げると、またもリアスたちは静まり返る。失望や驚きよりも『意外』という感情が強い気がする。
どうやら俺が頭を下げて頼み込むとは思わなかったようだった..................曹操たちは皆に何を言ったんだ?
「...................俺たちが拒否したら、どうするんだ?」
曹操や神様連中を後で問い詰めようか考えていると、アザゼルが目を細めながら尋ねてくる。別に強制はしないから安心してよ、大人としてムリヤリ子供に命を懸けさせるようなマネはしないからさ。
「どうもしない...............皆の分まで................俺が頑張るだけだ」
『若者を死なせたくない、死ぬならロートルから』っていう気持ちも分かるしね。原作でもアザゼルたちはトライヘキサを倒すために、一誠たちを残して自分たちだけで戦うことを選んだ。
まぁ、一誠たちの分ぐらいなら俺の『禁手』&『須佐能乎』で賄えるでしょう.......................たぶん、この世界には留まることが出来なくなるだろうけど。
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師匠が頭を下げてお願いすると、俺たちは沈黙し部屋を静寂が包み込んだ....................そうしてしばらくすると、リアス先輩たちが優しく声を掛ける。
「...................頭を御上げください、呂布様」
リアス先輩に言われて師匠が頭を上げると、リアス先輩たちは嬉しそうに笑っている。サーゼクス様たちも先ほどの恐い顔が嘘のように清々しいものとなっていた。
「私たちは呂布様に何度も何度も救われました。また、呂布様のおかげで私たちはここまで強くなることが出来ました」
「それなのに私たちは、今まで呂布殿に何もお返しすることが出来ませんでした。私たちの方こそ、呂布殿を『利用していた』と言われても仕方ありません」
「呂布殿には返しても返しきれないほどの恩があります。それに俺は、母を救っていただいた時に誓ったのです。
『貴方様が望んだ時は、俺の全てを持って御恩をお返しする』と................!!!」
リアス先輩、会長、サイラオーグさんは自分たちが利用されたなんて微塵も思っておらず、逆にやる気を漲らせている。
そして三人に触発されたかのように俺と兵藤、さらにはサーゼクス様たちも自身の思いを伝える。
「師匠が俺たちを鍛えてくれたのは、確かに打算があったのかもしれません。だけど、それは俺たちの成長に『期待』してくれてたってことですよね?
一緒に戦えるぐらいまで、俺たちが成長してくれるって........................なら問題ありません、俺たちの『強さ』は師匠から与えられたものなんですから!」
「呂布さんは言ってくれました、『自分が困った時に俺の力を貸してくれ』って。俺、あの時に決めたんです! 呂布さんから助けを求められたら、必ず力になるって.................!!!!」
「はぁ~~~~、すっかり毒気が抜かれちまったぜ。ここまで裏表が無いとこっちがイヤなヤツに思えてきちまう」
「アハハ♪ アザゼルちゃんと違って、呂布くんは純粋なんだよ☆ これに懲りたら試したり変に勘ぐったりするのは止めたら?」
「呂布殿、貴殿のおかげで我々も冥界も救われた。その貴殿が我らの力を必要としているのなら、喜んでお力添えしよう」
「それに結局はあのトライヘキサを倒さないと、ボクたちも世界も滅ぶわけだしね~~~~」
「むしろ呂布殿一人で勝算が五分もあるのなら、我々が協力しない理由がない」
そうだ、師匠にどんな思惑があったかなんて関係ない! 俺たちは間違いなく、この人に救われたんだから!!
師匠がいなかったら、俺たちは未だに弱っちいまま........................自分たちの進むべき道さえ分からなかった。
師匠に鍛えられなかったら、こんな大事な時ですら........................俺たちは何も出来ずに蚊帳の外にいたはずだ。
だけど師匠のおかげで強くなったからこそ、傍観者じゃなくこうして自分たちの大切なものを守るために戦うことが出来るんだ。
それに師匠が俺たちを強くしてくれたから、俺たちシトリーは真っすぐ夢に向かって邁進することが出来たんだ!
たとえ利用されていたとしても、俺たちは間違いなく師匠に感謝している!! それさえ分かっていれば十分だ、今こそ師匠に鍛えられたこの力で、師匠の力になるんだっ!!!
俺たちの答えに満足したのか、師匠は珍しく俺たちへ笑いかけてくれる。この人の笑った顔なんか片手で数えられるぐらいしか見たことがないもんな。
「ありがとう...............なら『分身体』は...............任せていいか?」
「「「「「はい! 任せてください!!!」」」」」
師匠に頼られちゃあ、NOだなんて言えるはずもない。俺たちの声は一つとなり、力強く返事をした。俺たちの返事を聞いて、師匠も満足そうに笑ってくれている。
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「でもよぉ、呂布。実際のところ勝算はどれくらいになりそうなんだ?」
私たちが全力で奉先様の御力になると決意したところで、アザゼル先生がこの戦いの見通しを確認してくる。
確かに、奉先様一人で五分の勝算。トライヘキサを7分割したとしても、全てのコアを同時に破壊しない限りあの魔獣を倒すことは出来ない。
相手はグレートレッドをも超える怪物、せめて7~8割は勝算が無いと安心できませんわね.................皆も勝算の話になった途端、先ほどとは打って変わって静かになり、脳裏には不安がよぎってしまう。
しかし奉先様は、アザゼル先生の質問に首を振って答えた。
「分からない................物事に0%と100%はない..............どれだけ勝算が高くても..............負ける可能性を0にすることは出来ない...............逆もまた然り」
「そりゃあ、まぁ..................そうだけどよぉ。でもこれは正真正銘、世界の命運が懸かった戦いなんだぜ。
負ければ世界は滅ぶ、何か安心できる材料が無いと精神的に保たないんだが」
奉先様の仰る通り、物事に『絶対』は無い。仮に勝算が99%だったとしても、残りの1%を引いて負けることもある。
でもこの戦いはその1%を引いてしまえば、世界が滅んでしまう。
アザゼル先生が精神的な安定材料として、勝算を奉先様に確認したがるのも無理はない。けれど奉先様は、アザゼル先生や皆の不安を理解したうえで答えてくれた。
「『戦い』とは.................勝てるかどうかで...............やるものじゃない。『負けられないから』『勝たなきゃいけないから』...............戦う。
少なくとも俺は.................そうやって『戦ってきた』」
「「「「「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!」」」」」
「だから、トライヘキサがどれだけ強くても..................関係ない。相手が誰であれ.............『戦う』以上は..............『勝つ』ために全力を尽くす。
それ以外のことを................考える必要は無いし................出来ることも無い」
「「「「「..............................」」」」」
奉先様の言葉で私たちは固まってしまった。部屋には先ほど以上の静寂が支配している。でもそれは、先ほどとは違い不安からくるものではなかった。
「「「「「アーーーハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!」」」」」
そして今度は皆が大声で笑い始める! それはもうここしばらくこんなに笑ったことが無いくらいに、皆が大笑いした!!
私たちが笑いだしたことに、奉先様は不思議そうに首を傾げている。
「ひーっひっひっひっひっ!!! コイツは一本取られたぜ、流石に世界最強様は言うことがシンプルだ♪」
「ああ。勝たなければ世界が終わるのだから、勝算など考えたところでしょうがない」
「そうそう☆ 負けたらオシマイなんだから、『勝つ』以外のことを考える必要は無いのよね♪」
「そもそも『戦い』ってそういうもんだしね~~~~~」
「そうだな。思えば、我々もそうやって『戦ってきた』のだったな」
アザゼル先生や魔王様方は奉先様の単純極まりない答えに納得されている。
そうだ、いつだってそうだった......................『戦い』というのはそういうものだった。
『戦い』とは勝たなければ先へ進むことが出来ない手段、『負けても良い』なら最初から戦わずに別の手段を取ればいいだけ。
でも『勝たなければ』目的が達せられないから『戦う』のだ。
私も..............奉先様の妻となるための選考
会、『負けた』時のことなんて全く考えていなかった。『勝つ』こと以外考えていなかった。
だって、『絶対に勝たなければいけない戦い』だったから!!!
恐らく奉先様は、常にそうやって生きてきたのだ。ご家族を亡くし、一人で生きていく中で幾度となく命懸けの戦いを強いられてきた。
奉先様の気質を考えれば、自ら戦いを望んだことなど無かったはず。
お優しい奉先様にとって、『戦い』とは自分を守るための最終手段でしかない。だけど奉先様の強さを疎ましく思う者たちはそれを許してはくれず、生きるためには戦いに勝たなければなかった。
そうして御自身では望まぬ戦いを続け、勝ち続けて....................『世界最強』へと至った。
この戦いもそう、『勝たなければいけない戦い』なら『勝つ』ために全力を尽くす! それ以外のことを考える余地は無い!!
私だって、この『戦い』に勝ち..................奉先様の妻として一緒に生きていくんだ!!!
奉先様のお言葉に沈んでいた私たちの気勢が上がる! 『ここで終わるわけにはいかない』という意思が漲ってくる!!
流石は奉先様、たった一言で私たちの気持ちを盛り上げてくれるなんて.................まさに『英雄』!! 己の生き様や言葉で多くの者を導く御姿はまさしく『真の英雄』ですわ♪
「それにしても、また随分と俺たちのことを買ってくれるもんだ。嫌われ者の俺たち聖書陣営に、こんな『世界の命運』を懸けた戦いの一部を任せてくれるんだからな」
私が奉先様が旦那様であることを誇りに思っていると、アザゼル先生がポリポリと頭を掻きながらボヤく。
けれど別に不満や不快には思っていないみたいですわね、現に顔は笑っていますもの。
確かに..............思えば、奉先様は出会った時から私たち聖書陣営に悪印象を持っていなかったように思える。
まるで私たちのことが必ず味方になると『最初から知っていた』ような.......................。
そんなあり得ないことを考えている私とは裏腹に、奉先様は不思議そうにアザゼル先生の言葉に首を傾げる。
「? 信じた【仲間】が..................『任せてくれ』と言ったから................黙って任せただけだが?」
「「「「ッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!」」」」
奉様は『何を当たり前のことを言っているだ?』と言わんばかりに疑問符を浮かべている。そんな奉先様を見て私たちは再び大笑いした!!!
またも笑い出す私たちを見て、奉先様は更に『?』を浮かべてしまい戸惑ってしまわれる。
うふふ♪ 純朴に首を傾げる奉先様、とっても可愛らしいですわ♪
でも、皆が笑った気持ちも分かりますわ。奉先様は何気なく言っただけなのかもしれない..................だけど、その言葉は今の私たちにとってこの上無く嬉しいことなのですから。
神々をはじめ、各勢力から目の敵にされている聖書陣営。さらには冥界の騒動で心が憔悴しきっている中で、立て続けにトライヘキサとの戦いを各勢力から強要されてしまった....................。
仕方ないこととは言え、皆の心は『疑心暗鬼』とまでは言わなくても少なからず荒んでいたに違いない。
だけど、奉先様だけは私たちのことを【仲間】と言ってくれたのだ! 決して口先だけのデマカセや煽てているわけではない!!
私たちのことを心から【仲間】だと思い、共に命を懸けて戦ってくださるのだ!!!
たとえ各勢力から忌み嫌われていたとしても、『奉先様は私たちのことを本当の仲間と思ってくれている』。
その事実だけで私たちの心は救われたような気がする...............流石は奉先様、私の旦那様ですわ♪
世界を滅ぼす厄災を前に浮き足立っていた私たちだけど、奉先様のおかげで私たちの思いは今確かに一つとなった..................!
幾瀬鳶雄はともかくとして、デュリオやラヴィニア視点は難しいと思います。
特にラヴィニアはセラフォルー並みに書くのが難しいと思うので、出すとしたら幾瀬鳶雄やデュリオ視点になると思います。
それでは皆さん、次回で♪
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