深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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最終決戦の前に日常パートはいくつか入れる予定です。

やっぱり決戦前の語らいって大事だと思いますので!





第百九十四話

 

 

 

決戦二日前、俺たちシトリーは戦場となる場所の準備をしていた。幸いにもシトリー領の領民は昨日のうちに避難が完了している。

 

これも領民の皆が協力してくれたからだ、領民の皆にはひたすらに感謝だな!

 

 

俺たちがいるのは『レヴィアタン』という都市があった場所だ。首都リリスほどではないにしても、初代レヴィアタンが作った街ということで冥界屈指の広さを誇る大都市である。

 

けど『リリスの泥』のせいで、今ではペンペン草も生えないほどの荒野と成り果てていた...............もちろん付近には住民どころか生物も全くいないので、ある意味で助かってはいる。

 

 

俺たちの受け持ちにはセラフォルー様やその眷属だけではなく、残った貴族やその眷属。

さらにはレーティングゲームのプロプレイヤーも複数参加してくれる。そのため、規模としては五千人ぐらいの大所帯となっていった。

 

さらには各神話群からの精鋭部隊がそれぞれ一万人ほど来てくれるので、合計すると十万人ぐらいになるのかな? それも全員が一流の実力者ばかりと来ている。

 

しかしグレートレッドに匹敵する魔獣が相手となれば、この数でも少ないくらいだとセラフォルー様が言っていた。

 

これだけの実力者が揃っても足りないって........................。

 

 

「元ちゃーん! そろそろ行くわよーー!」

「センパーーーイ、早く早くーーー!」

 

治療品などの運び出しが終わると花戒と仁村が俺のことを呼んでいる、どうやら時間になったようだ。

花戒と仁村だけではなく、会長や他のシトリー眷属も一緒にいる。

 

明日は決戦前日ということで、これからセミラミスさんの『庭園』で全体の最終確認を行う。そして『庭園』で一泊した後、それぞれの持ち場に移動して決戦に臨むって流れだ。

 

俺の方の準備も丁度キリが良いところだったので、皆のところまで走って行った。

 

 

 

 

「来たかソーナ、匙元士郎。そしてシトリー眷属よ」

 

「ごきげんよう、サイラオーグ。早いですね」

「こんにちは、サイラオーグさん」

 

 

『庭園』の中央にある建物へ転移すると、俺たちよりも先にサイラオーグさんが到着していた。他には『蒼天の紅旗』の人たちしかいないところを見ると、リアス先輩やヴァーリとかはまだ来ていないみたいだ。

 

ちなみに転移については『蒼天の紅旗』の人が迎えに来てくれたので、『レヴィアタン』から直接ジャンプすることが出来た。

いくら緊急時とはいえ、他の陣営が『蒼天の紅旗』の移動拠点へ自由に転移させるのはマズイってことらしい。

 

 

「聞いたぞ、ソーナ。不安になっている領民たちの前で演説し、見事に落ち着かせたそうだな。流石だ」

 

「いえ、自分の思ったことをそのまま伝えただけです。本当に凄いのは私のような小娘の話に耳を傾けてくれた領民たちです。

おかげで避難も早く終わり、決戦の準備に取り掛かることが出来ました」

 

サイラオーグさんは会長が領民たちを安心させたことに感心しているが、会長自身は『自分ではなく領民のおかげ』と謙遜している。

サイラオーグさんの言う通り、あの時の会長はカッコ良かった! ますます惚れ直しちまったぜ!!

 

「そんなことはない。俺がバアル領の領民を避難させた時は苦労したものだ。領民同士のトラブルも起こったりしてな....................それを考えれば、たった一日で避難を完了させてしまったソーナの手腕は大したものだ」

 

「っ、あ、ありがとうございます////////////」

 

サイラオーグさんの飾り気の無い真っすぐな評価に会長が頬を赤らめながら、お礼を言っている........................なるほど、会長にはああいうストレートな物言いが効くのか。俺もやってみよう!!

 

 

「ところで話は変わるが.....................例の件、どうするか答えは決まったのか?」

 

「っ...............................」

 

会長の顔が赤くなるという珍しいシーンに興奮していると、サイラオーグさんが真剣な眼差しで尋ねてくる。

 

何だろう、『例の件』って.................ま、まさか、告白!? サイラオーグさんが会長に愛の告白をして返事待ちとか!?

マ、マズイ! 俺がモタモタしている間にそんなことになっていただなんて......................!!!!!!

 

 

「いえ..................姉には保留と伝えています」

 

「そうか.............俺もアジュカ様から話があってな。この会議が終わり次第、お受けするつもりだ」

 

「.................そうなんですか。確かに、アナタの夢でもありましたからね」

 

「まぁな、だがそれはソーナも同じだろう? 強制するつもりは無いが、悩む理由とは何なのだ?」

 

二人の話を聞く限り、どうやら二人とも魔王様方から何かの相談をされていたようだ。サイラオーグさんはその話を受けて、会長は悩んでいるってところか。

 

良かった~~~~~~、告白じゃなかったんだ。メチャクチャ焦ったわ、そのせいでアホな心配しちまったぜ........................。

 

 

「....................たぶん、心が追いついていないんだと思います。私は夢を叶えるために、もっと一歩ずつ歩みを進めていくつもりでした。

ですが、こんなにいくつもの段階を飛ばして実現してしまったことに戸惑っているのです」

 

「なるほどな..................その気持ち、分からないでもない。だが、これから『悪魔』は生まれ変わるのだ。

もはや『純粋悪魔』の時代は終わった、これからは転生悪魔やその子どもたちが時代の主役となるだろう」

 

「ええ、そうですね」

 

「そんな時、ソーナがいてくれれば非常に心強い。ソーナが授かった呂布殿からの教えは、これからの子供たちの可能性を広げてくれるに違いないからな」

 

「はい、私もそのつもりで呂布殿から教えを受けたのです」

 

「ならば、話を受けるべきだ。俺個人としては、ソーナとなら良い時代を築くことが出来ると思っている」

 

「っ....................ありがとうございます。もう少し、考えてみます」

 

 

......................告白じゃないよな? 何か傍から話を聞いている限り、将来を誓い合う男女のソレにしか聞こえないんだけど?

眷属の皆も顔を赤らめたり目をキラキラさせて、二人の様子を伺ってるし。

 

 

 

「おや、二人とも。早いね、会議まではまだ時間があるというのに」

 

「これは曹操殿。失礼いたしております」

「ごきげんよう、曹操殿。お邪魔しております」

 

俺たちがそれぞれ別の理由で鼻息を荒くしていると、奥から曹操がやってきた。隣には眼鏡をかけた魔術師っぽい男性と周瑜さんがいる。パッと見て『リーダー』と『参謀』ってイメージだ。

 

 

「ごきげんよう、二人とも。こうして並んでいるところを察するに、新政府の樹立に向けての相談と言ったところかな? 『新政権のリーダー』として」

 

「「「「!!!!!!!!!!!!!!」」」」

 

 

新政権のリーダー!? サイラオーグさんが!? 会長はセラフォルー様からそんな話を持ち掛けられたことは知ってたけど、サイラオーグさんもそうだったのか!!!

 

っ、なるほど、さっきの話は『それ』か。サイラオーグさんはアジュカ様から、会長はセラフォルー様からそれぞれ新政権のリーダーにならないか打診されていた。

 

そしてサイラオーグさんは提案を受け入れたけど、会長は迷っているってわけか......................俺たちの勘違いもあるけど、二人の紛らわしい雰囲気には少し物申したい気分だ。特にサイラオーグさん。

 

 

「俺はそのつもりだったんですけどね。ただ、ソーナはまだ悩んでいるようなのです」

 

「曹操殿、私はまだ正式にお受けしたわけではありません。そのような肩書は恐れ多いです」

 

「おっと、これは失礼した。何せ調停役として、魔王たちと反乱軍の対談には俺も参加したものでね。

キミたち二人をリーダーに据える件については、俺から提案したことなんだよ」

 

 

「「「「「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!」」」」」

 

 

曹操の言葉に俺たちは驚愕した! 会長とサイラオーグさんがリーダーとなることは曹操が魔王様たちに推薦したことだったなんて.....................!!!!

 

「っ、曹操殿が!? でもどうして.................」

 

「言っただろう、キミの夢の実現のために『蒼天の紅旗』として最大限協力すると。丁度良いタイミングだと思ってね。

もちろんこれは、魔王たちも反乱軍も納得してくれた上での提案だ」

 

「っ....................そう、だったのですね」

 

「ああ。もしかして、余計なお世話だったかな?」

 

「っ、い、いえ、そのようなことはありません。お気遣いいただき、ありがとうございます」

 

どうやら会長やサイラオーグさんをリーダーに推薦したのは、曹操なりの気遣いだったらしい。

確かに曹操は俺たちが新人戦に全勝したら、俺たちの夢の実現のために『蒼天の紅旗』として最大限協力してくれるって言っていた.......................でもまさか、それがこんな形とはなぁ。

 

 

「あの~~~、ちょっと聞いてもいいですか?」

 

 

俺が意外にも曹操が義理堅いヤツだなと思っていると、仁村が手を上げて曹操に尋ねる。正直この場で、この空気の中で質問できるあたり仁村の肝の座り具合は大したもんだと思う。

 

「ん? 何だい、仁村留々子」

 

「えっと、新政権のリーダーってサイラオーグ様とソーナ会長の二人でやるんですか? リーダーって普通は一人じゃないんでしょうか?」

 

確かに、『リーダー』というからには普通は一人だろう。『副リーダー』は何人かいてもおかしくないけど、リーダーが何人もいたら逆にまとまらなくなるんじゃないだろうか。

 

 

「ああ。新政府立ち上げの際はこの二人だけではなく、他にも何人かリーダーを出すことになるだろう。そして各リーダーはそれぞれ異なる役目がある」

 

「異なる役目、ですか?」

 

「コクン、そうだな、キミたちにも分かりやすく言うと................日本で言うところの『大臣』と言ったところかな。

ソーナ・シトリーは『文部科学大臣』、サイラオーグ・バアルは『総理大臣』みたいなものと理解してくれていい。

『リーダー』というのは、今は相応しい役職名が無いからそう呼んでいるだけさ」

 

「ああ~~~、なるほど~~~~!」

 

曹操の説明で俺たち全員がようやく話の全容を理解した。

 

確かに民主政治ならそうなるよな。本来なら国民の選挙で決まることだろうけど、立ち上げ当初の政府機関だけは誰かをリーダー............もとい『大臣』に据えないといけない。

 

日本でも幕府が終わり、『政府』に切り替わった際にも『明治政府』設立に貢献した各藩主が大臣になったって話だしな。選挙で議員を決めるようになったのは、その後のことだ。

 

それに会長が『文部科学大臣』、というか教育関係のリーダーになれば俺たちの夢も叶う! 俺たちの夢の実現が、もうすぐそこまで見えてるんだ!!

 

 

「まぁ、ソーナ・シトリーにも色々と事情があるんだろう。俺のことは気にせず、ゆっくり考えたまえ...................この戦いが終わってからね」

 

「ホッ...............はい、ありがとうございます」

 

曹操は会長に強制することも、答えを急かすこともしなかった。それに安心したのか、会長もホッとしたような気がする。

 

気づくと他神話群の神様たちだけではなく、天使や堕天使。それにグレモリーやアガレスなど他のメンバーも集まってきた。

 

 

 

俺たちも話は切り上げ、挨拶や顔合わせのため回ることにした。そうやって過ごしているといつの間にか時間も過ぎていき、会議の時間となったため会議場へと移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

アザゼルに連れられて『庭園』までやってきた俺は、特にやることもなく『庭園』の端から地上を見下ろしていた。

 

 

地上には荒廃とした土地が広がり、その奥には二日後に戦う相手..................【トライヘキサ】の姿があった。

数十kmも離れているというのに、その強大さが伝わるあたり流石は聖書の神が命を賭して封印したと言える。

 

単騎にて世界を、そして人類を滅ぼすことが出来る伝説の魔獣。相手にとって不足は無いが、どうにも心が沸かないな。

 

やはり俺の心を沸かせてくれるのは、ただ一人.......................。

 

 

 

「お~~~う、ヴァーリ~~~。どうしたんだ、こんなところで黄昏ちまって」

 

 

俺が呂布のことを考えていると、後ろから気の抜けた声でアザゼルが話しかけてきた。

いったい何しに来たんだ? 二日後の決戦のための会議に出ているんじゃなかったのか?

 

 

「...................別に、ただ二日後に戦う相手がどんなものかと見ているだけさ」

 

「ふ~~~ん。んで、『最強』の白龍皇様から見てどうよ? 倒せる相手か?」

 

「『倒せるかどうか』じゃない、『倒さなくてはいけない』んだ。俺はこんなところで終わるつもりは毛頭ない」

 

俺の目標は『世界最強』になることだ、それまでは何があっても死ぬわけにはいかない。ましてや呂布以外の相手に倒されるなど、まっぴらごめんだ。

 

「へっ、そうかよ。まったく、どっかの誰かさんと似たようなことを言いやがって♪」

 

「そういうことだ。あとアザゼル、一つ訂正するが....................今の俺は断じて『最強』ではない。間違えるな」

 

アザゼルの話は適当に聞き流すつもりだったが、『コレ』だけは訂正しないとな。その称号を持つ者は世界にただ一人、故に彼を倒さない限り名乗っていいものではない。

 

 

「おっと、コイツは失礼した。じゃあ、『最高』の白龍皇様と訂正させてもらうよ」

 

「ふん、まぁいいだろう。だが、『蒼天の紅旗』の前では気を付けることだ。どこぞの悪神みたいになるぞ」

 

聞いた話によると、ロキは『蒼天の紅旗』の前でリリスが『世界最強の生物』だと口にしたらしい。そのせいで『蒼天の紅旗』、特に曹操が激怒し聖槍で貫いたんだとか。

 

それほどまでに『蒼天の紅旗』は呂布が『最強』であることに誇りを持っている。

自分たちを救い、進むべき道を示し、更なる高みへと導いてくれた呂布こそが『最強』に相応しいと思っているのだ。

 

やや狂信的、それこそ信仰心の過ぎた教会関係者のようにも思えるが、気持ちは分からないでもない。

俺自身ですら呂布以外の誰かが『最強』を名乗ろうものなら、ソイツには身の程というものを骨の髄まで分からせてやるだろうからな。

 

 

「ところでよ、その『世界最強』様の姿が見当たらないんだが知らないか? 会議の場にもいなかったしよ~~~」

 

「呂布ならレイヴェル・フェニックスを連れて、会議に参加していない連中へ挨拶回りをしていたぞ。

トライヘキサ打倒のために力を貸してくれるということで、一人一人に頭を下げながら礼を述べていた。律儀なことだ」

 

「っ..............マジかよ。俺たちだけじゃなく、他の連中にもか。いや、呂布らしいと言えば呂布らしいけどよ」

 

全くもって同感だ。あれだけの強さを持ちながら、いざという時は頭を下げることに何の躊躇いも無いのだからな。

 

だからこそ、礼を言われていた連中は全員嬉しそうに喜んでいた。

 

 

 

それにしても.....................つくづく不思議な男だ。普通あれだけ強ければプライドも高くなるだろう。人に弱みを見せるようなこともしたがらないはずだ。

 

だが呂布はそんなことに全く固執しない、まるで俺たちとは別の生き物のようにさえ思えてしまう。

 

少なくとも俺なら自分よりも格下相手には絶対に頭を下げたくない。礼にしろ謝罪にしろ、言葉だけならともかく頭まで下げるのには抵抗がある。

 

 

 

......................呂布、か..................。

 

 

 

「......................なあ、アザゼル」

 

「ん? 何だ?」

 

「..............俺と呂布との違いって............何なんだろうな」

 

 

気づくと俺は、ふと思った疑問をアザゼルへ溢していた。アザゼルも『急に何を言い出すんだ?』と言わんばかりに気だるい顔で俺を見てくる。

 

 

「...................そいつはぁ、『見た目』とか『性格』とか『そういう』んじゃないってことだよな」

 

「ああ、『力』でも無ければ『能力』でもない.................もっと根本的なことだ」

 

 

俺の目標であり、野望でもある『世界最強』。そのためには呂布を倒さなくてはならない。

 

だがどれだけ強くなろうとも.....................『呂布に勝利している自分』がイメージできなかった。

 

人はイメージできないことには努力することも出来ず、イメージできないことは絶対に実現することは出来ない。

つまり今のまま強くなるだけでは、決して呂布に勝つことは出来ないということだ。

 

俺が勝つには大前提として、『呂布に勝った自分』をイメージしなくてはならない。それが出来なくては、どれだけ強くなっても呂布には勝てない。

 

だが.................そのイメージをするために何が足りないのかが分からなかった。呂布と俺との違いは何なのか、それが分からなくてはイメージも出来ない。

 

我ながら突拍子も無い質問をした自覚はある。しかしアザゼルは笑うわけでもバカにするわけでもなく、頭をポリポリと掻いて考え込んでいた。

 

 

「そうだなぁ。俺は呂布じゃねえから確かなことは言えないが、それでも無理やり言葉にすれば..................」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『誇り』、じゃねえのか?」

 

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『誇り』? 俺には『誇り』は無いということか? いや、そもそも呂布の『誇り』とは何だ?」

 

 

 

あまりにも予想外の返答だったため、矢継ぎ早に尋ねてくるヴァーリ。コイツにとっては呂布を超えることは生涯の目標だからな。

 

 

「そうだな~~。たとえばヴァーリ、お前さんの『誇り』は何だ?」

 

「...................俺の『誇り』は、『俺自身』であることだ。『人間』であり『悪魔』であり『ドラゴン』でもある、それこそが『ヴァーリ・ルシファー』。

それが俺、誰にも汚せず否定もさせない確固たる自分。それこそが俺の『誇り』だ」

 

俺が尋ねるとヴァーリは一瞬だけ逡巡したが、それでも揺るぎの無い眼差しで返してくる。

 

初代ルシファーの子孫として生を受け、神滅具を宿したが故に幼少の頃から虐げられてきたコイツがこんなことを言えるようになるとはな。

 

これも周りの連中、そして呂布の影響か...............だがな、ヴァーリ。お前は気づいていないかもしれないが、今の『お前自身』を作ってくれたのは周りのヤツらのおかげでもあるんだぜ?

 

そしてそれこそが....................呂布の『誇り』、呂布の『強さ』の源なんだ。

 

 

「そうか..................なら、お前のその『誇り』は【お前自身の中にあるもの】か? それとも【お前自身の外にあるもの】か?」

 

「? 当然【俺自身の中にあるもの】だ。『誇り』というのは自分自身を支える柱だからな」

 

「まぁ、そう考えるのが普通だわな。だがな、呂布の『誇り』はアイツ自身の中には無いんだよ」

 

「呂布の中に無い? なら、呂布の『誇り』はどこにあると言うんだ」

 

「................ちょうど今、その『誇り』に頭を下げて礼を言いに行っているんだろ?」

 

俺が呂布の『誇りの在り処』を教えてやると、ヴァーリは頭に疑問符を浮かべる。まぁ、これだけじゃあ確かに分からないか。

 

しょうがねえ。休憩時間はまだあるし、もうちょっと詳しく話してやるか。

 

 

「俺が知る限り、呂布は誰かに頭を下げることに全く抵抗が無い。黒歌と白音を二人にするためリアスに頼んだ時も、木場の修行のために村正に頼んだ時も。そして................俺たちに協力を求めた時もな」

 

「それは知っている」

 

「普通あれだけ強ければ、プライドだって相当高くなるもんだ。少なくとも、自分よりも遥か格下の相手に頭なんか下げることはしないだろう」

 

強いヤツはそれだけ自尊心も強いし、態度もそれなりにデカくなる。それは別に悪いことじゃねえ、それだけの『力』を持っているならそれは当然の権利だ。

 

 

「誰だって見栄や外聞があるし、面子もある。ましてや立場が上になれば、それだけ他人に頭を下げにくくなる。これは俺にも言えることだし、ヴァーリにも当てはまるだろ?」

 

「.........................否定はしない」

 

「そこで素直に『YES』と答えられないあたりが『見栄だ』って話だ。『頭を下げる』と、言うだけなら簡単だ。

けど、それをやっちまうと『自分の中の何かが傷つく』って思っちまうんだよな」

 

『外聞』や『立場』だけじゃねえ。誰だって『恥』なんか掻きたくないし、人には良く見られたいっていう『見栄』がある。優越感に浸りたいって『欲』もあるだろう。

 

「だが呂布は、必要であれば迷うことなく『それ』が出来る。そんなことじゃあ自分の『誇り』はビクともしないってことが分かってるんだろうな」

 

「...................アザゼル。呂布の『誇り』とは、何なんだ?」

 

これだけ言ってもまだ分からないか。やれやれ、成長したといってもまだまだ若いな。ここまで言えば察しもつきそうなものなのによ。

 

 

 

「呂布の『誇り』、それは...................」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『呂布に関わる全て』さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ、呂布に関わる、全て....................?」

 

「ああ。呂布がこれまで過ごしてきた時間、これまで体感してきた経験。そして..............これまでに出会った人たち。

その全てが『呂布奉先』という人間を形作り、『呂布奉先』という存在を支えている」

 

 

強い力を持てば、誰だって大なり小なり自分の周りにある【現実】を自分の好きなようにしたいだろう。

 

ましてや、『世界最強』と呼べるほどの力があれば尚更だ。

 

 

「呂布は自分の力で『世界』を変えようなんて思ってはいない。それは『今の自分の世界』を作っているのは、『周りにいる皆のおかげだ』と感謝しているからだ」

 

「..........................................」

 

「『自分の世界』は『自分』が作るんじゃない、自分の周りにいる皆が『自分の世界』を作ってくれている。

そう思っているからこそ、呂布は『周りのヤツの痛みや苦しみを自分のもの』として捉えられるし、頭を下げることにも躊躇が無い」

 

「そんな、簡単なことで......................」

 

「そうか? 『簡単だ』って言うけどよ、ならお前は出来るのか? 呂布と同じことが」

 

「っ......................失言だった、忘れてくれ」

 

どうやらヴァーリもそんなことで人に頭を簡単に下げられることが信じられないようだ。俺だって自分で言ってて『正気か?』って思っちまう話だしな。

 

ましてや俺なんかは『堕天使総督』、立場を考えれば尚のこと頭なんか軽々しく下げられねえ。

 

 

「まぁ、俺も似たようなもんだからな。だが呂布は出来る、何故ならそれは周りのヤツらを................『誇り』を守るためだからだ」

 

「それが...............呂布の、誇り...............」

 

「ああ、俺も最初は分からなかった。いくら『情が深い』『朱乃のため』とそれらしい理由を並べても、明らかにお人好しが過ぎる。

『どうして俺たちみたいな聖書陣営にそこまでするんだろう』ってな。そのせいで『何か裏があるんじゃねえか』って下らねえ勘ぐりをしちまった......................」

 

今にして思うと、あの時は相当ヤキが回ってたな。その前に神々との会議でバチバチにやり合ったもんだから、呂布にまで疑心暗鬼になっちまった.................ホンット、情けねえぜ。

 

 

「だが呂布から『力を貸してほしい』と頭を下げて頼まれたことで、ようやく理解したんだ。

『コイツは俺たちのために俺たちを助けてくれるんじゃない。自分の世界を、自分の【誇り】を守るために周りの誰かを必死になって助けてるんだ』ってな」

 

まったく、『情けは人の為ならず』とは言うが、ここまで言葉通りに体現しているヤツは初めてだぜ。

人を助けることは、結果的に自分のためになるって本気で信じていやがる。

 

 

だが、だからこそ................呂布は『英雄』だと、『世界最強』だと、皆から認められたんだ。

これがグレートレッドを倒しただけでは、誰も呂布のことを『世界最強』だなんて認めなかっただろう。

 

もちろんグレートレッドを倒したんだから、『力』だけは『世界最強』だと理解は出来る。

 

でも、もし呂布が『力』に物を言わせて他者を従えるだけの暴君のようなヤツだったら、『理解』はしても『納得』はしなかったはずだ。

『何でこんなヤツが世界最強なんだ!』って心の中で反発していたに違いない。ましてや『英雄』だなんて認めはしなかった。

 

 

けれど...................呂布は『そう』じゃなかった。情に深く、常に周りの皆への敬意と感謝を忘れない男だった。

そんなアイツだからこそ、俺たちは呂布が『世界最強』であることを素直に受け入れられたんだ。

 

他のヤツじゃない、呂布みたいなヤツが『世界最強』であってくれて本当に良かったと思っている................それどころか俺たちが『呂布の対策をどうするか』と警戒し、頭を悩ませていたって言うのに、アイツは変わらずお人好しなままだった。

 

信じられるか? 世界で一番お人好しなヤツがそのまま『世界最強』になっちまったんだぞ? バカにしたモンじゃねえ!!!

 

 

そんな呂布に頼られたからこそ、俺たちは全力でアイツに協力しようとしているんだ。

 

見せかけなんかじゃない。アイツの実直な生き様を知ったからこそ、俺たちは過去の諍いを忘れて一丸となることが出来た。

 

たった一人の人間の生き方が、俺たち異形・超常の存在を一つにまとめたんだ...................その姿は、まさしく『真の英雄』と呼ぶに相応しいだろう。

 

 

 

「ヴァーリ、お前の誇りはお前の中にある一つしかない。だが呂布の誇りは、アイツが出会った人の数だけ存在する。

支柱が一つしかない建物と支柱が無数にある建物、どっちが強固かなんて分かるだろう?」

 

「.....................ああ」

 

「お前の誇りだって、お前だけの力で築き上げたものじゃないはずだ。その『誇り』が出来上がるまでには、お前なりに色々な出会いと経験があったはずだ」

 

「っ..............................」

 

「お前の『誇り』が『ヴァーリ自身であることだ』って言うんなら、それでもいい。

だが、その『誇り』はどうやって出来上がったのか....................本当に呂布を超えたいのなら、ここらでお前自身の『原典』に立ち返ってみるのも悪くはねえんじゃねえか?」

 

 

俺はそう言い終えると、休憩時間が終わりそうになったのでその場を後にした。振り返るとヴァーリは微動だにせず、何かを考え込んでいる。

 

これでヴァーリももっと周りの連中のことを見てくれたらいいんだけどな~~~~~。

まぁアイツ自身、アーサーやルフェイ。それに黒歌や美候には仲間意識を、ラヴィニアたちには家族みたいな感情を向けている。

 

本人は否定するだろうが、心の底ではアイツも『自分がもう一人ではない』ってことに気づいているんだ。

ただ恥ずかしがって、意固地になっているだけ。だがそこで素直に認めることが出来なきゃ、『呂布には届かない』ってことを理解してもらいてえ。

 

 

 

しっかし..................呂布のヤツ、何て生き方してやがんだか。『自分の誇りのために自身に関わる全て守る』、口にすれば聞こえは良い。だがそれは『自分の守りたいものは必ず守る』ってことだ。

 

そんな生き方を体現しているなんて、まさしく.....................

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ..........................『最強』、だな♪」

 

 

 

 

 






個人的にはサイラオーグ×ソーナは十分ありだと思ったんですが、匙も捨てがたいんですよね~~~。

そんな風に悩んでいたら、いつのまにかここまで来てしまいました...................。

ソーナのカップリング相手をどうするかについては、たぶん決着はつけないと思います。さすがにここまで来ると話数的に足りないので。

期待されていた方はホンッットーーーに申し訳ないです!!!

ちなみに呂布については前世からの社畜根性が魂の芯まで染み込んでて、頭を下げることに対する抵抗が無いだけですwww


それでは皆さん、次回で♪
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