トゥルーエンドについては次話で終了、エピローグを同時投稿して本作を完結させたいと思います。
「諸君、俺の声が届いているだろうか。『蒼天の紅旗』リーダー、曹操だ。先ほどの現象を利用して、今は諸君の心に直接語り掛けている。
色々と混乱しているかもしれないが時間が無い、今は俺の話を聞いてくれ」
いきなり自分の頭へ、立て続けに二度も声が聞こえてきたら混乱するだろう。ガヤガヤと色んな声が聞こえてきたので、そんな疑問は後回しにして、静かに話を聞いてくれるよう促す。
「皆も聞こえたはずだ。呂布の声が、呂布の心が..................アレこそ紛れもなく、呂布が今まで心の奥底に秘めていた望み。
戦って、戦って、戦って..................戦い続けて『最強』となってしまった呂布がずっと抱いていたのは、『世界』を従えることなんかじゃない。
誰もが持つことが出来るであろう、たった一つの『小さな幸福』を得ることだったんだ」
俺の言葉に先ほどまで聞こえてきた雑踏の声が治まる。『最強』の存在である呂布が望んでいたのは、『闘争』ではなく『平穏』だったのだからな。
皆も意外に思っているのだろう...............いや、確かかつての『最強』であるグレートレッドもそうだったな。頂点に立つと誰でも最終的に『平穏』を望むようになるのだろうか。
「だが呂布はそんな『小さな幸福』すら手に入れることが出来ない、何故か? それは呂布の周囲が彼を『戦い』に駆り出してしまうからだ..................俺たち『蒼天の紅旗』も含めてな」
情けない話だ、呂布の仲間でありながら呂布の本当の望みに気づきもしなかった。ましてや俺は、呂布の『友達』だと言うのに..................!
「断言してもいい、呂布は一度として自ら戦いを望んだことは無い!!! 呂布が戦ってきたのは、『勝たなければ守れない』からだ!!!
呂布はずっと、『勝たなければならない』戦いを周りから仕掛けられきた。その結果、『世界最強』へとなってしまった.....................!」
呂布はどんな気持ちだったんだろう。ただ人並みな平穏を望んでいても、周りから戦いを仕掛けられ命を狙われる人生。
もし呂布の気持ちが理解できるヤツがいるとすれば、それは呂布と同じ高みへと至った者のみ。
それこそグレートレッドのような..................そうか、だからあの二人は『友』になることが出来たのか。やれやれ、つくづく俺は『友達』失格だな。
「呂布を知っている者の中で、誰か一人でも呂布から戦いを仕掛けられたことはあるか? 一度でも呂布から何かを奪われたことはあるか...................否、断じて否!!!
どれだけ周りから窮屈な思いを強いられようとも、呂布はいつでも『守る』ために戦っていた!!! 決して己の欲を満たすためだけに戦いを起こしたことなど無い!!!!」
呂布は間違いなくいいヤツだ、どれだけ強くなっても『人の心』を忘れなかった。だから周りや親しい者の苦しみや痛みを自分のモノとして考えられるんだ。
呂布は『蒼天の紅旗』にとっての『誇り』だ。けど俺たちは呂布の『強さ』に惹かれたんじゃない、その先にある呂布の『優しさ』に惹かれていったんだ。
ただ強いだけの戦狂いをどうして『誇り』だなんて思えようか!!!
「諸君がどうしても呂布の『強さ』に危険を感じるのも無理はない。『何とか呂布を管理できないか』『どうにかして呂布の強さを利用できないか』という考えを、大なり小なり持っていると思う。
俺も似たようなこと、考えなかったわけじゃない..................」
『蒼天の紅旗』が各勢力から一目置かれる存在となったのは、呂布の『強さ』あってのものだ。
それを『利用』と言われれば否定は出来ないし、呂布の『お人好し』が組織にとって良い方向へ向かうよう立ち回ったのも事実だ。
「呂布は............お人好しの大バカだ! どれだけ周りから、世界から不自由な生き方をさせられても、周りを恨んだり憎んだりはしない!!
それどころか今もこうして、俺たちや世界のことを『宝物』と言い、命懸けで守ろうとしている!!!」
呂布のお人好しに付き合わされて、大変な目に遭ったのは一度や二度じゃない。
俺たちや周りの都合なんか考えずに人助けをするもんだから、事後処理に追われて徹夜することなんかザラだ。
そのたびに助けられた連中が話を広めて、『蒼天の紅旗』の評判まで上がってしまう始末!!!
挙句の果てには『世界には俺たちのような、まだ見ぬ宝物がたくさんある』?
どれだけお人好しで..................どれだけ俺たちを喜ばせるつもりなんだ!!!!
「っ~~~~~、そんなバカが..............俺たちや世界にとって、危険なわけないだろうがっ.............バカ野郎..................!」
悔しさや怒り、もどかしさや不甲斐なさが一挙に溢れ出した俺は...............いつの間にか泣きながら皆へ訴えていた。
どれだけ呂布が良いヤツか言葉を尽くしても、呂布の『強さ』に危機感を抱き、利用しようとするヤツが消えることは無い。
そんな現実に怒りと悔しさから、しばらく流したことのない悔し涙がこぼれ始めた。
「もう............呂布を休ませてやってくれ。彼はもう十分すぎるくらいに戦った。
俺たちが呂布に頼ってしまえば、呂布は一生望まぬ戦いを続け、一生『平穏』を手にすることが出来ないっ.................!」
『何かのために呂布を戦わせる』、もうそんなことは終わらせなければならない。呂布がやっていたことは少しずつ俺たちが出来るようにしなければ、呂布はずっと戦い続けることになる。
【呂布が戦わなくてもいい世界】、それが俺たち『蒼天の紅旗』の新たなる目標。
呂布の伝説は永遠に語り継がれるだろう.................だが決して君臨しても、統治はしない!! 呂布が戦うことで成り立つ平和などあってはならないんだ!!!
「そのためには..............諸君の協力が必要なんだ。この戦いを最後に、呂布に『平穏』を与えてやってくれ............頼む................!」
ここまで感情を剥き出して話をしたことなんか無かった。そう思えるぐらい、心のままに想いの丈を吐き出した。
だが、不思議とすっきりしている自分がいるし嫌な気分にもなっていない。
たぶん俺自身のためではなく、呂布のためだからだろうな。呂布のためならいくらでも泥を被り、恥を受け入れることが出来る。
俺は呂布の『鞘』であり.............『友達』なんだから。
そして........................
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっ......................!!!!!!!!!
俺の頭の中に大勢の咆哮が響いてきた! 中には聞き覚えのある声もある。俺の話に皆が同意し、呂布に『平穏』を与えるべくこの戦いを終わらせようとしているのが分かった!!
「っ~~~~~~、感謝する............これより先は各勢力の都合など関係ない!! 全軍、持てる力の全てを駆使して目の前の『分身体』を殲滅し、『コア』を破壊する!!!」
『『『『『応っ!!!!』』』』』
「神々よ、貴方たちが六つに分けた『サブコア』を俺たちがいる場所へ集めることは可能か!?」
『ちと時間が掛かるが、やってみせよう!!!』
『うむ、それくらい出来ねば神の名折れよ!!!』
『ええ、全てはあの魔獣を倒して、世界を......呂布の「宝物」を守るために!!!』
『ガーハッハッハッハッ!! 曹操よ、先ほどは良い啖呵だったぞ!!!』
『おうよ、なにせボロボロと泣きながらだったからな♪』
よし! 『サブコア』を一か所に集められるなら、呂布にタイミングを合わせやすくなる!! さっきは六ヶ所に分かれていたためタイミングを合わせられなかったからな。
だが、巨大な外殻部分が『メインコア』の防衛へ回っている今なら、俺たちが相手にするのは『分身体』と『サブコア』のみ!!!
ならば『サブコア』を一か所に集めると同時に全部隊を集結させ、六つの『サブコア』をまとめて破壊する!!!
....................それから帝釈天め、後で覚えておけ!!!
「全部隊、すぐに俺たち『蒼天の紅旗』がいる場所へ転移してくれ! 神滅具所有者、聞こえているな!!
もう一度『コア』を破壊するぞ、ある程度回復したら俺のところへ集まってくれ!! 赤龍帝、今度はタイミングをしくじるなよ!!!」
『『『『『了解っ!!!!』』』』』
『おうよっ!!!!』
「総員急げよ!! あの調子なら、呂布が『メインコア』を引きずり出すまで、そう時間は掛からないぞ!!!」
俺の号令により各部隊は俺たちがいる場所へ続々と転移してくる。さらには神々によって五つの『サブコア』も俺たちの所へ転移してきた。
だが『サブコア』は集まると同時に自身を守る肉体を形成し、巨大な『分身体』を生み出した!!!
各部隊も転移が完了した部隊から『分身体』への攻撃を仕掛ける!!!
先ほどまでとは違い、一番面倒だった触手や『外殻』は呂布の方へと回っている。そしてその触手と『外殻』は呂布によって消し飛ばされていた。
つまり神滅具所有者以外は全員、『分身体』の破壊に全力を注げるということだ!!!
しかし急がなくては....................呂布の攻撃は凄まじい。何とか総力を上げて、呂布の破壊スピードに追いつかないと!!!!
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「うおおおおおおおおおりゃああああああああああああああああああああっっっっっっっっっっ!!!!!!」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッッッ!!!!!
ピシィィィィィィィィィィィ..................!!!!!
曹操たちがいる場所へと転移してきた俺は、『龍王チャクラ』を拳に集中させてトライヘキサの展開している邪魔な『障壁』をブン殴る!!!
周りの皆の一斉砲撃に加え、『戦車』のパワーと『武装色の覇気』の一撃により『障壁』にはヒビが入った!!
「よっしゃああああああああ!!!! もう一発「待ちなさい、匙!!!」っ、か、会長!?」
師匠の想いを知った俺は、かつてないほどにテンションが爆上がり! 『サブコア』相手に全チャクラを使っちまったけど関係ねえ!!
師匠にあんなこと言われたら、『疲れた』だの何だの言ってられるか!!!
しかし、そんな疲れ知らずの俺を会長が真剣な顔で止めてくる。見ると他のシトリー眷属の皆も厳しい顔つきだった。
「匙、アナタには『サブコア』を破壊するという役目があるはずです。それ以上チャクラを使うのは止めなさい」
「で、でも会長! 師匠にあそこまで言われたんですよ? それなのに曹操のところへ行くための道が開くまで、黙って後方で待っているだなんて...................」
「だからこそです! 既に兵藤くんの『譲渡』も、『龍の牢獄』も使ってしまっているのですよ!? これ以上チャクラを消耗すれば、『サブコア』を破壊することが出来なくなります!!!」
っ...............そうだった。師匠の想いを聞いて舞い上がっちまったけど、今の俺は明らかにパワーダウンしてるんだった。
ここで勢いに任せて攻撃に参加しても、『サブコア』を破壊できなきゃ何の意味も無い!!!
「す、すみません、会長.............でもっ!!!」
「分かっています、皆も気持ちは同じです。だからこそ、ここでアナタに消耗してしまっては困るのです」
「っ...................はい!!!」
会長の言葉に他の眷属の皆も頷く..............そうだ、皆だって同じ気持ちなんだ。今こそ俺たちの全てをもって、師匠から貰ったものを返す時なんだ!!!
「分かってくれたなら良いです。それで匙、アナタの残りのチャクラで『コア』を破壊することは出来ますか?」
「っ...........正直、厳しいです。『龍の牢獄』や『黒い龍脈』で蓄えていたチャクラは、さっきの一撃で使い切っちまったんで...............」
「そうですか..............みんな、集まってください!!!」
今の俺自身が扱えるチャクラじゃあ『コア』を破壊するのは難しいことを伝えると、会長が眷属の皆を呼び寄せる。副会長たちも会長に呼ばれるや即座に集まってきた。
「全員、ありったけのチャクラを匙に注ぎ込んでください! 匙はもう一度『龍の牢獄』と『黒い龍脈』を使用、少しでも消費したチャクラを取り戻すのです!!
曹操殿の所へ向かうのはチャクラの回復が終わってからです!!!」
「「「「「はい、会長!!!」」」」」
「は、はい!!!」
「お姉様! 匙にチャクラを与えている間、私たちを守ってください!!」
「まっかせて☆ ソーナちゃんたちには指一本触れさせないから♪」
会長に言われて眷属の皆は何も言わずに俺へチャクラを注ぎ込む。俺も会長の指示通り、『龍の牢獄』と『黒い龍脈』を再度使用して少しでもエネルギーを回収する。
さっきとは違い、ここには全部隊が集まっている分『龍の牢獄』によるエネルギーの集まりは早いと思うけど、間に合うかどうかはビミョーなところだ。
そしてセラフォルー様はと言うと、会長に頼られたのがよっぽど嬉しかったのか...................上機嫌で自身の眷属の方々と共に、俺たちを守りながらトライヘキサへと攻撃を再開した。
でも、俺たちの部隊で最大火力を持つセラフォルー様が守りに入っちまったせいで、攻撃の勢いがさっきよりも下がってしまっている!!!
これじゃあ『コア破壊』のタイミングを師匠に合わせられない!!!!
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァン!!!!!!!
「「「「「ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!」」」」」
俺が部隊の火力不足について悩んでいると赤・青・黄・紫・緑の色をした極太の光線がトライヘキサに直撃!!!
トライヘキサの障壁どころか巨大な分身体の一部まで吹き飛ばしちまった!!!!
「『分身体』への攻撃は私たちに任せてください! 皆さんは今のうちに匙くんへエネルギーを!!」
「っ、ロスヴァイセさん!!!」
後ろを向くと、五色の巨大な魔方陣を展開しているロスヴァイセさんがいた!!!
いや、ロスヴァイセさんだけじゃない。その後ろにはロスヴァイセさんと同じヴァルキリーや北欧の戦士たち...............さらには他の神話群の精鋭たちまで集まって来ていた!!!!
「他の神話群の精鋭たちが何故!? 前線は私たちが担うことになっていたはず..................!」
各神話群の精鋭たちが俺たちの下へ集まってきているのを見て、会長も不思議がっている。
確かに作戦では各神話群の精鋭が障壁や外殻を受け持ち、俺たち聖書陣営が最前線で分身体やコアと戦うことになっていた。
それなのに、何で全員が前線に出てきてるんだ!?
「分身体の形態が変わり、六つの『サブコア』も一つにまとまっています。そして外殻部分は本体を守るべく次元の狭間へ回帰している...............ならば、私たちがやるべきことはただ一つ!! 聖書陣営の皆さんと協力して分身体へ攻撃し、『サブコア』を引きずり出すこと!!!!」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!
ロスヴァイセさんの号令により、周りの精鋭たちが鬨の声を上げトライヘキサへ攻撃を仕掛けていく!!!
さっきの砲撃で障壁を破壊したことで、全員が分身体へ攻撃が可能となった。これならセラフォルー様たちが抜けても、火力は補って余りある!!!
「ありがとう、ロスヴァイセちゃん☆ でも.................大丈夫? 皆を前線に参加させちゃったら、神様たちが怒るんじゃない?」
セラフォルー様は他の神話群の精鋭たちが協力してくれるのを嬉しく思いながらも、ロスヴァイセさんに不安気に尋ねる。
アザゼル先生の話では、『聖書陣営が前線を担当するのは俺たちに一番の被害を押し付ける意味もある』って言っていた。
それなのに、皆を前線に持ってきたら神様連中の思惑に反することになる。そうなれば、この戦いに勝利したとしてもロスヴァイセさんは神様たちから罰せられるかもしれない。
セラフォルー様と同じように俺たちシトリーも心配していると、ロスヴァイセさんはフッと笑みを溢した。
「確かに、私の判断は神々の意向に反するかもしれません....................ですがっ!!!!」
学校で臨時教師をしていた時はしっかり者でありながら可愛らしい面もあって生徒から人気があった。
だけど、今のロスヴァイセさんは『やり手のキャリアウーマン』って感じで凛々しく見える。
「私は呂布奉先様の妻!!! 命を懸けて戦っている夫の想いを知りながら、神々の思惑などのために後ろへ下がることなど出来ません!!!!」
北欧の神々の下僕であったとしても、『師匠の妻』であることの方が大事であるとハッキリ言い切ったロスヴァイセさん。
その言葉に周りにいるヴァルキリーたちもキャーキャーと黄色い声を上げる。
「よく言ったわ、ロスヴァイセ!!!」
「オーディン様より呂布様優先よ!!!」
「私たちを差し置いて呂布様と結ばれたんだから、それぐらいの気概でいないと!!!」
「子供は沢山作りなさい! 『私たちのため』にも!!!」
「男の子が出来たら私を専属にしてね!!!」
「ついでに呂布様経由で良い殿方がいたら紹介して!!!」
ヴァルキリーの方々も神様より『愛に生きる』ロスヴァイセさんの味方のようだ。
ただ、途中から己の願望が混ざっていたのもいたような.................しかも光源氏計画を狙っているような声も聞こえたし。
不穏を感じさせる声は聞かなかったことにして、分身体への攻撃は各神話群の精鋭たちに任せた俺たちは、ラストヒットのためにチャクラを俺へ集めるのだった。
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アーサーたちや堕天使だけではなく、前線から遠くで戦っていた各神話群の精鋭たちも集まり、分身体へと総攻撃を仕掛けている。
周りを見ると他の神話群の連中も立場に関係なく、聖書陣営と協力して分身体からコアを引きずり出そうとしていた。
「................『宝物』、か。それが呂布自身の『誇り』」
呂布の心が俺たちへと流れ込んできた時は何事かと思ったが................なるほど、アザゼルが言っていたことは間違いではなかったということか。
呂布は不自由でありながらも、『この世界』を愛している。そして『この世界』に住む者たちのことも愛している。
その一つ一つがかけがえのない『宝物』..................呂布を支える『誇り』なのだ。
俺はそんな風に考えたことは無かったな.................だからこそ、呂布はあれほどまでに強いのか。確かに、俺には無い『強さ』だ。
「どうしたよヴァーリ、ボ~~~っとしちまって。そんなんじゃ、最後の一撃を刺し損ねちまうぞ」
俺が呂布の『強さ』の源について考えていると、鎧姿のアザゼルが近づいてきた。アザゼルも呂布の心が聞こえたのか、いつもは冷静なのに今では自分から前線に参加しようとしている。
「いや、なに、呂布の『強さ』の源について考えていただけさ。いずれ呂布を倒すためにな................!」
「っ、おまえ、まだそんなこと言ってやがんのか!? 呂布の想いはお前だって聞いてただろうがっ!!!」
俺が変わらず呂布を倒すことを宣言すると、珍しくアザゼルが怒りを向けてくる。確かに呂布の想いは知った..................だからこそ、俺が呂布を倒さなくてはならんのだ!!!
「当然だ、俺の野望は『世界最強』となること。その称号はどれだけ俺が強くなろうが、呂布を倒さない限り決して手には入らない」
「っ、だが「それに、だ」?」
「呂布がいくら戦いを望んでいなくても、『最強』である限り周りは放っておいてはくれない。
俺たちがどれだけ呂布を戦いから遠ざけても、必ず呂布を戦いに巻き込もうとする輩が現れる。それが『最強』の称号を持つ者の宿命だ」
「それは、そうかもしれねえけどよ..............だからって「だから俺がその宿命を担おう」.............は?」
「頂きに立つ者は、頂点に君臨したままでは決して魂の安らぎを得ることなど出来ない!! 故に誰かが『最強』たる呂布に引導を渡し、頂点から引きずり下ろさなくてはならないんだ!!!」
「ヴァーリ................」
「俺が呂布を打ち倒し、『最強』の宿命から解き放ってやる。俺は呂布と違って、『戦い』の中にこそ己の『生』を感じられる白龍皇なのだからな」
『戦士』が武器を持ったままで、『平穏』など得られるわけがない。『平穏』を得るには武器を手放し、『戦士』であることを捨てなくてはならない。
呂布が『最強』の座に君臨している間は武器を捨てられず、『戦士』であることを止めることも出来ない。
ならば誰かが呂布を倒さなくては............呂布は一生、戦い続けることとなる。
「ハァ~~~~~、ったく。ホンットーーーーに捻くれたヤツだな。素直に『呂布には平和に暮らしてほしい』って言えばいいのによ~~~~~」
『呂布が「平穏」を望んでいるなら、俺が倒した後でいくらでも満喫してもらえばいい』。そう思っていると、アザゼルが頭をポリポリと掻いて溜息を吐く。
素直も何も、俺は最初から『呂布を倒して最強となる』と言っていたはずなんだがな。
「まぁ、お前さんの気持ちは分かった。それならさっさと呂布に勝って『最強』になっちまえ。そんでもって、呂布をとっとと隠居させろ」
「ふっ、言われるまでも無い「そのとおりですわ!!!」っ、タマモ?」
アザゼルの小言に付き合うのもそろそろ終わりにしようとしていると、呂布の妻となったタマモがやってきた。
しかも蒼い炎を纏う大小さまざまな鬼を率いて分身体へ攻撃を仕掛けている。
「呂布殿が『平穏』を望んでいるのであれば、ワタクシがお傍にお仕えし共に余生を謳歌いたしましょう!
ええ、それはもう呂布殿がやることと言ったら、『起きる』『ご飯を食べる』『温泉に入る』『寝所で妻を愛する』ぐらいしかやることが無いほどに!!!!」
タマモは呂布との穏やかな余生に思いを巡らせながらも、100万はいるであろう鬼たちを従えていた。
もっとも、一部呂布が平穏には暮らせなさそうな発言があったが気がするが....................。
「そういうわけですのでヴァーリ様、『最強』になるのなら早めにお願いいたしますわ............ワタクシたち夫婦の愛の営みのために!!!」
そんなもののために呂布を倒すつもりはサラサラ無いんだが................それにしても凄まじいな。
人型から巨人族ぐらいの大きさまで揃えている鬼の大軍勢、その光景は『百鬼夜行』という言葉すら生ぬるい。
恐らく限界ギリギリまで鬼を召喚しているのだろうが、あれだけの数と強力さであれば一勢力が持つ戦力にも比肩するぞ。
かつて京都で目にした時とは、鬼の数も強さも桁違いだ。これが日本の三大妖怪の一角、『九尾の狐』の本領というわけか。
タマモが召喚した鬼の大軍勢により、トライヘキサの分身体はその身体をどんどんと削られていっているのを確認した俺は、曹操のところへ行く前にコアを破壊するためのパワーを溜めることにした。
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奉先様の想いを知った私たちは今一度、一致団結をしてトライヘキサの分身体へと総攻撃を開始していた。
たとえ立場が違えど、この戦場にいる皆が奉先様のことが『好き』なのだ。妻としてこれ以上誇らしいことはない!!!
「≪八色龍光 やくさのいかずち≫!!!!」
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!
巨大な八ツ俣の雷光龍たちが分身体を噛み千切っていく!!! しかし、それでも分身体の凄まじい再生能力とその巨体のせいで大したダメージは与えられない!!!
他の神話群の精鋭たちは少しずつだけど、分身体の肉体を削っていっている。
ただ私たちはこれまでの戦いの消耗が激しすぎたせいで、ここに来て火力が落ちてきてしまった! もはやまともな火力を出せているのはサーゼクス様とその眷属の方々ぐらい...................。
「マズイわね、このままでは呂布様にタイミングを合わせられない.................仕方ない、イッセー!!!」
「っ、は、はい!!!」
手詰まりになっているこの状況に対してどうすればいいか考えていると、リアスが何かを思いついたようでイッセーくんを呼び寄せる。
曹操のところへ向かう準備をしていたイッセーくんも、いきなり呼ばれて慌てるように近づいてきた。
「イッセー、こうなったら最後の手段よ。今から曹操のところへ向かったとしても、神滅具所有者たちに『譲渡』のための刻印を刻んでいる時間は無い。
だから、まずここにいる全員へアナタの力を『譲渡』なさい!」
「っ、え、じ、『譲渡』、ですか!? そりゃあ部長たちやサーゼクス様たちに『譲渡』するぐらいなら出来ますけど.............でもそれじゃあ!」
いつもはリアスの言うことなら二つ返事で答えるイッセーくんも、今回ばかりは口を噤んでしまう。
当然だ、イッセーくんが力を『譲渡』すればその分だけコアを破壊する難易度が上がってしまう。
確かにイッセーくんの『譲渡』は刻印を刻むのに時間が掛かるし、今から神滅具所有者を集めている時間も無い...........けど!!!
「リアス、何を考えているの!? それでイッセーくんのパワーが足りなくなったら、またタイミングがズレてしまうわ!!
そうなれば、もう私たちにコアを破壊するだけの余力が無くなってしまうのよ!?」
「っ~~~~~、詳しく説明しているヒマは無いわ! 今は私を信じてちょうだい、お願い..................///////////////」
リアスにどんな作戦を考えているか尋ねるも、彼女は顔を真っ赤にさせながら自分を信じるように懇願してくる。
別に今さらリアスのことを信じていないわけじゃないけど..............どうして顔を真っ赤にする必要があるのかしら?
「っ.................わかりました。部長がそう言うなら、今から皆へ力を『譲渡』します!!!」
「っ、イッセーくん!? けれど、これだけの人数なのよ、本当に大丈夫なの!?」
「わかりません! 俺、バカなんで部長がどんな作戦を立てているかなんて考えたってしょうがないです!!
俺に出来ることは、どこまでも『リアス・グレモリー』を信じることだけです!!!」
「イッセー................../////////」
『譲渡』するメンバーを私たちグレモリーとサーゼクス様たち、それからディハウザー様たちレーティングゲームのトッププロに絞るとしても、かなりの人数になる。
そんな大人数への『譲渡』なんて今までやったことはなかったはず! たぶん『譲渡』される側だけではなく、『譲渡』するイッセーくん自身にも大きな負担になるに違いない!!
しかしイッセーくんは『主がやれと言うなら、何も考えずにやる』と清々しいまでの割り切った考えでリアスの提案を呑んだ。
リアスも理屈抜きで自分のことを信じてくれるイッセーくんを見て、嬉しそうに頬を染めている。
.................何だか、私だけ場違いな気がしてしまいますわね。でも現状、有効な手立てが思いつかない以上リアスの作戦に賭けるしかない!!!
「っ............わかったわ。じゃあ、サーゼクス様やディハウザー様たちを一旦呼び戻すわね。祐斗くん、白音ちゃん、ギャスパーくん、手伝って!!!」
「「「はい、副部長!!!」」」
私たちは手分けして聖書陣営の主力メンバーを呼び戻すべく散開する。二人の方をチラッと見ると、リアスは顔を真っ赤にさせながらイッセーくんに作戦の概要を説明しているみたいだった。
それはいいんだけど....................どうしてイッセーくんは鼻血を垂れ流しているの!? リアスはいったい何を話したのよ!!!
私はこの極限の戦場の真っ只中で、見事なまでのバカップルを炸裂している二人を羨ましく.....コホン、もとい二人に大事を託さなくてはいけないことに一抹の不安を感じながら、サーゼクス様たちを呼びに向かった。
やはり最後を締めくくるのは、『全メンバー』を集結させた総力戦ですよね! 最後に相応しく盛り上げられるよう頑張りたいと思います♪
それでは皆さん、次回で♪
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