深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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前回からの続き、アーシアの回想となります。

話をまたいで場面が変わりますので、念のため。




第三十四話

 

 

 

 

それは、私がこの『蒼天の紅旗』に来てから一ヶ月が経ったころでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあねアーシアさん、また明日」

「はい、また明日」

 

私が『蒼天の紅旗』の医療班で働くことになってから一ヶ月、ようやくお仕事にも慣れてきました。

 

私は一緒に医療班で働いているお友達のシスターに挨拶をして、いつも通り礼拝堂に向かいます。

 

今の私は間違いなく幸せです。『蒼天の紅旗』の人たちは皆良い人たちばかりですし、お友達もたくさん出来ました。

 

だからこの出会いを与えてくれた主に感謝するために、お仕事が終わったら礼拝堂に主への祈りを捧げに行っています。

 

私が礼拝堂へと続く廊下を歩いていると曲がり角からシスター服の女性が出てきました。

 

 

「あら、アーシアさん。今日も礼拝堂に行くの?」

「ネイトさん、こんにちは。はい、毎日の日課ですので!」

 

 

彼女はネイトさん。ディオドラさんの元『女王』で私の初めてのお友達で同じ医療班で働いています。

 

「それに毎日行かないと主にはなかなか祈りは届かない気がするんです。なので毎日欠かさないようにしないと!」

 

私以外にも主への祈りを捧げている方が世界中にいます、その方たちへも主は祝福をお与えになっているはずです。

 

だからこの祈りを少しでも主へ届けるよう毎日祈りを捧げないと!

 

 

「あ、え? ア、アーシアさん?」

「はい? 何でしょう?」

 

「もしかして..........知らないの?」

「? 何をでしょう?」

 

そして私は信じられない事実を知ることになるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聖書の神は、大昔に亡くなっているのよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は気が付くと礼拝堂にいました、どうしてここに来たのかは分かりません。

ただ毎日の習慣だったから何も考えなくても身体が自然とここに向かったのかもしれません。

 

 

『そんな..........先の大戦で魔王と一緒に主も亡くなられていたなんて。それなら私が今まで捧げていた祈りに何の意味が..........』

 

主の教えを胸に、主への祈りも欠かさなかった。教会を追放された時も『私の祈りが足りなかった』『これも主が与えた試練なのだ』と思っていた。

 

でも実際には主は亡くなっており、私の...私たちの『祈り』が主に届くことは無い。

 

 

『もう主の教えにも、私の祈りにも、何の意味も........』

 

「うっうっ......うぅぅぅっ!」

 

今まで自分がやってきたことに何の意味も無いと思うと涙が出てきた。

 

 

ギィィ

 

私が泣いていると後ろにある礼拝堂の扉が開きました。

 

 

「......アーシアか」

 

「呂布さん..........」

 

そこには私をこの『蒼天の紅旗』に連れてきてくれた上に、私のお友達を救ってくれた、恩人である呂布さんがいました。

 

 

「何か、あったのか?」

「あ、いえ、何も..........」

 

「........そう言うなら、泣いた跡を、見せるな」

「あっ! す、すみません////////」

 

私は慌てて目を擦ります、うぅぅ恥ずかしい。私が慌てていると呂布さんが歩いてきます。

 

 

「気にすることはない。人は泣きたい時に、泣いとかないと、いずれ笑えなくなる」

「呂布さん.........」

「それで、何があった」

「..........」

 

「別に、無理に聞こうとは、思わない。ただ、アーシアの悩みは、一人で泣いているだけで、何とかなるものなのか?」

「っ!」

 

「話してみろ。話すだけでも、気持ちが楽になることもある」

 

呂布さんの気遣いに私はまた泣きそうになりました。あぁ、やっぱりこの方は..........。

 

私は主が亡くなったことを知り、自分のやってきたことが無意味だったんじゃないかと思ったこと。そう思うと途端に悲しくなったことを話しました。

 

呂布さんは普段のように静かな様子で私の話を聞いてくれました。

 

 

「.......呂布さん。私のやって来たことは、無意味だったんでしょうか?」

 

「.........アーシアには、恩人はいるか?」

「え?」

 

「別に恩人とまでは、言わない。世話になった人でもいい、そんな人はいるか?」

 

いきなりどうしたんでしょう? えっと、お世話になった人と言えば.........。

 

 

「えっと、私が小さい頃暮らしていた孤児院の院長さんでしょうか。とっても優しい先生で、孤児院の皆からも慕われていました」

 

「その人は、今も元気か?」

 

「はい。教会を追放される前にお休みを頂いて、会いに行きました」

 

「そうか。ではその人が亡くなったら、その人への感謝は無くなるのか? その人に感謝することは、無意味になると思うか?」

 

え? どういうことでしょう? でも、もし孤児院の院長さんが亡くなったとしても........きっと.........。

 

「いいえ。無くなったりはしませんし、お亡くなりになったとしても、お世話になったことへの感謝を忘れることはありません」

 

私がそう答えると呂布さんは優しく微笑んでくれました。

 

 

『はうぅぅぅぅぅ! 呂布さんの笑顔、素敵です~///////////』

 

 

「そうか。なら聖書の神も、同じなんじゃないか?」

「え?」

 

聖書の神、主も同じ? どういうことでしょう?

 

 

「『祈り』とは、『感謝の気持ち』から生まれる、心の所作だ。もしアーシアが、本当に聖書の神に感謝しているなら、その『祈り』には、十分な価値がある」

 

「!!!!」

 

「アーシアが、これまでやってきたことは、『無意味』なのかもしれない。だが、アーシアが心から望んでやってきたことは、『無価値』ではない」

「っ、呂布さん........../////////」

 

 

あぁ...........そうだ、そうだった、『祈り』とはそうあるべきものだった。なのに私はそんな大事なことを忘れて、自分のことしか見ていなかった。

 

主に感謝しているのなら、主が亡くなっていようと関係無い。、だって私は間違いなく主の教えに感謝しているのだから................なら主が亡くなっていようと祈りを............感謝を捧げることに何の不思議も無いことだ!

 

私は目元を拭い、呂布さんに真っ直ぐに向き合う。

 

 

「呂布さん、ありがとうございます!私、もう迷いません!!これからもここで祈りを、感謝を捧げます!!」

 

そう、『祈り』とは感謝の心の所作。なら主だけではなく............今の私の幸せをくれた『蒼天の紅旗』のみなさんに私の友達................そして呂布さんにもここで祈りを捧げよう................この感謝の気持ちを忘れないように!

 

 

「....................コクン」

 

 

私がそう言うと呂布さんは満足そうに笑って頷いてくれました................ああ、やっぱり呂布さんは『英雄』なのでしょう。私のお友達だけではなく、私の心まで救ってくれるなんて....................。

 

私が呂布さんに感謝していると礼拝堂の扉が開き、陳宮さんが入ってきた。

 

 

「あ、見つけましたぞ呂布殿~。もう夕食の時間ですぞ?早く食堂に行きましょう!」

 

どうやら呂布さんを夕食に誘うために探していたみたいだ................もうそんな時間になってしまったんですね。

 

「............ああ................アーシアも............一緒に行くか?」

 

「はい、喜んで!陳宮さん、私もご一緒しても良いですか?」

 

「モチロンですぞ!さ、行きましょう!!」

 

 

私は笑ってお二人に並んで食堂に向かうのでした・・・・・

 

 

 

 

 

 

 





ディオドラの元『女王』の名前についてはオリジナルです。

原作にも出ていたかは分かりませんが、私は覚えていなかったので....................。



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