会談だけで、数話使うとは............どんだけ突っ込みどころがあるんですかね、聖書陣営。
俺が悪魔陣営への責任について話をしようとすると、悪魔達が騒ぎ出す。
やれやれ、これからその話をしようしているというのに。
さっきの赤龍帝といい、少しは落ち着いて人の話を聞くということが出来ないのか?
俺がいい加減イライラしていると、またもや赤龍帝が喚き始める。
「おい、テメェ!! 何だよ、部長や会長に問題があるって!! 部長や会長、俺達も必死になって≪黙れ≫ っ!?」
ギイィィィィィィン!!!
俺は赤龍帝をはじめ、騒いでいる悪魔どもに【覇王色の覇気】をぶつける。呂布ほどではないが、俺の覇気でも連中を黙らせるくらいは容易い。
「ひぃっ!」
「なっ!!」
ヘナヘナ............ペタン
俺の覇気を受けると騒いでいた連中は静かになり、中には腰を抜かしている奴もいる。
やはり覇気は便利だ、教えてくれた呂布に感謝だな。
「そ、曹操殿、今のは...........」
「失礼。これで二度目でしたので、少々威圧させてもらいました。それよりもルシファー殿」
「ああ、たびたび申し訳ない。諸君、この場では勝手な発言や行動は許可しない。次に騒いだ者は退室してもらう、いいね?」
「「「「......................」」」」
「すまなかった、曹操殿。続けてくれるかい?」
「やれやれ、甘いですね。まあ、良いでしょう。では、まず『リアス・グレモリーとソーナ・シトリーの問題行動』についてですが........二人とも前に出てきてもらえるかな?」
俺がそう言うとルシファーは二人を見て頷く。そして二人が前に出てきた。
「先ほどの報告では、二人はイリナとゼノヴィアに今回の一件の説明を受けた後、関わらないように言われたそうだが、何故二人ともその時点で報告をしなかったのかね? 日本神話群にも、魔王にも」
「「っっっ!!」」
「堕天使......他勢力の幹部が自分たちが住んでいる町にやって来たんだ。
どんな理由であろうとも自分たちが所属する組織のトップにすぐ報告するのが当然の行動ではないのかね?
ゼノヴィアとイリナに何を言われたとしても、トップへの報告を欠かす理由にはならない。
何故報告をしなかったのか、まずはその理由を聞かせてもらいたい」
「っ、そ、それは........」
「.....................」
俺はあくまでも冷静に二人へと質問する。
ゼノヴィアとイリナから事前に話を聞き、先ほどの二人の報告でも確認したが.......正直これが一番理解出来なかった。
明らかに自分達の裁量を超える事態だというのに、上への報告を怠るなど組織の一員としてあるまじき行為だ。
『蒼天の紅旗』では【緊急時は現場判断】となっているが、それは常日頃からの『報告・連絡・相談』を徹底しているからだ。
もちろん帰還した後は詳細な報告を求めるし、メンバーもそれを重々理解している。
だからこそ分からないら彼女達が何も報告をしなかった理由が...........。
そんなことを考えていると、リアス・グレモリーがおずおずと口を開く。
「こ、この町は、『魔王』様から管理を任された大事な町だから、私自身で解決するべきだと思ったのよ........」
「? すまない。その『魔王様から管理を任された』というのは、『この町は悪魔陣営のもので、その独自裁量権を魔王から与えられた』ということで良いかな?」
「ええ、その通りよ...........」
っ、おいおい、そうなってくると随分話が変わってくるぞ? リアス・グレモリーは自分が何を言っているか分かっているのか?
『不法占拠』に加えて、組織のトップがその土地の『独自裁量権』を与えて『治外法権化』させるなんて........下手をすると日本神話群が本気で悪魔陣営を潰しに掛かるぞ?
日本だけではない、各神話群が管理している領内にいる悪魔も皆同じだとしたら........。
っ、止めよう、これ以上考えるのは。今はとりあえず自分の仕事をしよう。
「なるほど、とりあえずは理解した。ルシファー殿、レヴィアタン殿、この件については後ほど詳しく聞かせてもらいます」
「「......................」」
魔王達は苦しそうな表情で顔を俯く。無理もない、今のリアス・グレモリーの発言によって戦争になるかもしれないのだからな。
聖書陣営の和平が決まった直後に他勢力との戦争って、これ『他勢力との戦争のために聖書陣営が共同戦線を張った』と思われても仕方ないぞ?
「では次に『コカビエルが駒王学園にて駒王町を消滅させる術の準備をしていたため、ルシファー殿に報告、援軍を要請して自分達は援軍到着までの間の時間稼ぎをした』とのことだが、それなら何故最初から報告しなかったのか。これは先ほどの発言と矛盾するのではないのかね?」
「あっ、そ、それは........」
「それにミカエル殿にも言ったが、日本神話群の管理している『日本』そのものに『日本神話群の許可無く強力な悪魔の軍勢を招く行為』は『武力侵攻』『侵略行為』を幇助したと言っても過言ではない」
「っ!」
俺の話しにリアス・グレモリーが目に涙を浮かべている。悪いがキミの問題行動によって、この町の人々が危険に晒されたのだ。ここは容赦なく追及させてもらう。
俺がリアス・グレモリーの問題行動を追及していると、ルシファーが間に入ってくる。
「ま、待ってくれ、曹操殿。リアスが報告を怠ったのは彼女が私の期待に答えようとして空回りしたためだ。
援軍を直接要請したのは事態が予想を超えて急を要したため。彼女の能力不足は否定できないが、決して日本神話群に敵対しようということではない」
「事態が予想を超えて急を要した? おかしいですね、二人の報告では援軍が到着するまで一時間ほど掛かると伺いました。
しかし実際は呂布が到着した段階で、コカビエルが地脈に施した術式は発動寸前だったと聞いていますよ。そうだな、賈駆?」
「ええ、ボク達が到着した時点でコカビエルの術式は発動まで五分も無かったわ。
幸い、呂布が一撃ですぐに倒してくれたから発動することはなかったけどね。
でも逆に言えば『呂布以外の者ではこの町を守ることは出来なかった』ということね。
ちなみにこの見立てに間違いがなかったことは、日本神話群にも確認済みよ」
「「「「っっっっっ!!!」」」」
「そういうことです。コカビエルが使用した術は駒王町に流れている地脈を利用して大規模な爆発を起こすというもの、もし発動していればこの町は消滅していました。
つまり事態は『急を要する』を通り越して『手遅れ』だったということですよ。
故に日本神話群は今回の一件を『解決』ではなく『駒王町が消滅した』として聖書陣営に責任と賠償を求めているのです」
「「「「......................」」」」
「そしてそのような事態に発展させたのは『リアス・グレモリーとソーナ・シトリーの問題行動』だ。
まぁ、ソーナ・シトリーは組織上『魔王から管理を任された』リアス・グレモリーを立てたと言えなくも無いが、リアス・グレモリーについては情状酌量の余地も無い」
「なっ、何で私だけ! 悪いのはコカビエルじゃない!!」
「それは『原因』であり『起因』。こちらが言っているのは『要因』だ。
何がきっかけでここまで事態が深刻になってしまったのか。ボヤ程度の火種に燃料を投下して大火事にしたのは誰か、ということを話しているんだよ。
そしてそれは『リアス・グレモリーの軽率な判断と行動』であると言っているんだ」
「っ、そ、そんな...........」
「いかがですかな、ルシファー殿、レヴィアタン殿。何か弁明の余地はありますか?」
俺の追求にルシファーどころかレヴィアタンまでもが何も言えずに黙り込んでしまう。生憎この場での沈黙は『肯定』と同義だ。
「ご理解いただけたようで何よりです。ああ、ご苦労だったね二人とも。もう下がって構わないよ」
俺がそう言うと彼女達は、青い顔をして壁際にいる眷属達の下へと戻っていった。
眷属達は主を心配そうに見つめているが、二名ほどこちらを睨んでいる者がいた。
1人は毎度お馴染みの赤龍帝だが、もう1人はソーナ・シトリーの眷属か? 龍の気配がするが、ドラゴン系統の神器でも持っているのだろうか?
まあ、良い。さっさと続きを話してしまおう。
「では、みなさんのご理解をいただけたということで各陣営に支払っていただく賠償について話したいと思います。こちらをご覧ください、賈駆」
俺がそう言うと賈駆はトップ達に賠償内容が書かれた紙を渡していく。それを見たトップ達は皆、顔をひきつらせる。
「っ、これはっ!」
「なっ、こんなに!?」
「っ!?」
「おいおい、随分吹っ掛けてくるじゃねえか」
「言ったはずですよ、日本神話群は今回の一件を『駒王町が消滅した』として扱うと。こちらの内容に異論がある方はいらっしゃいますか?」
「「「......................」」」
「無いようですね、ではそちらに書かれている期限までにお支払いいただきますようお願いします。
次に今後の聖書陣営の活動についてですが、まず聖書陣営の方々は今後来日される場合は、必ず日本神話群の許可を取ってください。
調べによると悪魔陣営はフェニックス家の上級悪魔やサーゼクス殿が、天使・堕天使陣営はミカエル殿とアザゼル殿、更にはレイナーレ、でしたか? 下級堕天使数名が勝手に駒王町に来たらしいですからね」
これは人間社会と同じように他勢力の者が来日する際は日本神話群の入国審査を受けると言うものだ。
まったく、本当にやりたい放題やってたんだな。まぁ、今まで放置していた日本神話群も悪いんだが。
「次に堕天使陣営は神器所有者を見つけた場合は自分達で対処はせず、日本神話群にすぐに連絡してください」
「ああ? つまりそれは日本の神器所有者は日本神話群が囲うってことかよ?」
「それについてはお答えできません。俺は日本神話群の意思を伝えているだけですので。それで、どうなのですか?」
これで日本の神器所有者の情報は、日本神話群から『蒼天の紅旗』に伝わる。
後は俺たちの方で仲間に迎えるなり、神器を取り出して日常生活に戻してやれば良い。
俺たちが無事に神器を取り出せることは、まだ言う必要は無い。
そんなことを言えば『確認したら認めてやる』とか『安全だと確認するからやり方を教えろ』などと言ってくるに違いない。だから先にこの場で言質を取る。
「ちっ、分かったよ。日本の神器所有者を見つけたら日本神話群に連絡する............」
「ありがとうございます。次に教会・天使陣営ですが、こちらに書かれている場所での活動を一切禁止します。
その他の場所での布教活動についても、こちらに書かれている範囲に留めてもらいます。
また妖怪・はぐれ悪魔の退治につきましては、必ず日本神話群の許可を得てください」
俺がそう言うと賈駆がミカエルに再び紙を渡す。紙の内容を確認するとミカエルは驚く。
「なっ、これは!?」
「はい。日本神話群が管理している霊的なスポット、所謂『鬼門』と呼ばれている場所です。
貴方達がその場所を不当に占拠しているせいで、日本の妖怪達が困っているんですよ。
ですので、拠点などがあればすぐに撤収してください。もし人間に害を成す妖怪や悪霊がいる場合は自衛のみに留めてください。殲滅や退治は日本神話群で行います」
「っ、分かりました」
「ありがとうございます。最後に悪魔陣営ですが.......その前に確認をします。
ルシファー殿、先ほどリアス・グレモリーが言っていた『魔王より駒王町の独自裁量権が与えられていた』件について詳しく説明をお願いします」
これについては大問題だ。場合によっては日本神話群との戦争の引き金になる。
もし日本神話群が戦争に踏み切れば、間違いなく開戦前にリアス・グレモリーかルシファー、またはその両方の首が物理的に飛ぶ。
「一応、賈駆も似たようなことをリアス・グレモリーから言われていたので、会談前に日本神話群で念入りに確認をしてきました。
ですが日本神話群の資料をいくら探しても『日本神話群が駒王町の管理を悪魔陣営に任せるまたは委託する』という書類が出てこなかったんですよ。
もし悪魔陣営でそういった書類があれば、是非とも開示していただきたい」
「そ、それは...........」
「答えられませんか、では質問を変えます。駒王町やその他の土地の管理を『日本神話群』から『悪魔陣営』に任された書類はありますか?」
「い、いや、そういった書類は無い。だがこの駒王学園をはじめ、駒王町の土地の名義はほとんどが私やグレモリー家の名義になっている。リアスにはその管理を任せていた」
「ふむ。つまり『表社会』では駒王町の土地はルシファー殿やグレモリー家の名義の『私有地』となっており、リアス・グレモリーにはその『私有地』の維持管理を任せていたのであって、『不法占拠』や『治外法権』を認めていたワケでは無い..........ということですかな?」
「その通りだ、これは私の説明不足が原因と言える。リアスには後でキチンと説明しておく。
我々の認識の相違により、日本神話群には誤解を与えてしまったようだ...........本当にすまなかった」
「お、お兄様...........」
ルシファーはそう言うと立ち上り、俺に向かって謝罪した。
上手く切り抜けられたな。確かにこちらの調べた限り、この駒王町の土地の名義は基本ルシファーやグレモリー家の名義になっていた。
向こうがあくまで『私有地の管理人』としてリアス・グレモリーを指名したというのであれば、矛盾は無いしそれに対して日本神話群がとやかく言う資格は無い.........まあ、本当のところは違うんだろうけどな。
「それでは『日本』は日本神話群の土地であり、日本各地にいる悪魔は日本神話群の管理下にある。
たとえ私有地であろうとも日本神話群のルールや掟には従う、ということでよろしいですか?」
「ああ、冥界に戻り次第すべての悪魔に通達しよう」
どうやらこの件については、ルシファーが泥を被るようだ。命拾いしたな、リアス・グレモリー。
「分かりました。日本神話群にはルシファー殿とリアス・グレモリーの間に誤解があったと俺から伝えておきます。
今後はこのようなことが無いようにリアス・グレモリー含め全ての悪魔に通達、徹底させてください。特に日本にいる悪魔にはね」
「承知した。必ず徹底させよう」
「そういうことだ、リアス・グレモリー。今後は自分の発言や行動には十分注意したまえ。
君の問題発言や行動により、あやうく日本神話群との戦争になるところだったんだからな」
「.........はい、申し訳ありませんでした」
リアス・グレモリーは目に涙を浮かべ、顔を青ざめさせながら頭を下げて謝った。
どうやら今になって自分がやったことが分かったようだ。まあ、目の前で魔王であり実の兄に頭を下げさせたんだからな。
「では話を戻します。悪魔陣営への今後の活動についてですが........まず現在日本にいる悪魔たちが契約している日本の顧客情報を全て明かしてください。
無論、今後契約した場合もその都度契約者の情報を渡してもらいます。
また、今後日本神話群が管理している土地に住んでいる者を眷属にする場合は日本神話群の許可を取ってください。くれぐれも勝手に『悪魔の駒』を使い、眷属にしないように。
そして日本神話群の管理している土地に逃げてきた『はぐれ悪魔』を見つけた場合は日本神話群へすぐに連絡し、自衛の場合を除き討伐はしないで下さい。人間に害を成さない存在については特にです」
「それは...........いや、契約者の情報は構わない。眷属化についても了承した。
しかし『はぐれ悪魔』については、もしかして日本の妖怪として向かい入れるつもりかい?」
「日本神話群の意思です。何せこちらが調べた限りでは、リアス・グレモリーは『私有地の管理人』を任されていたにも関わらず、駒王町の警備巡回などすることも無い。
人に害を成す存在が現れた場合は、遠く離れた冥界にいる大公などの上司の連絡が来てから、ようやく動き出すような杜撰な管理体制ですからね。
今後の治安維持についてメスを入れるのは当然でしょう。それで、どうされますか?」
まったく。『私有地の管理者』を自称するなら、相応の仕事をするべきだろう。
マンションの管理人だって不審者や施設の確認のために見回りをするというのに、ソレ以下じゃないか。
『はぐれ悪魔』については先ほどの神器所有者と同じだ、俺たちが『悪魔の駒』を無事に取り出せることを言う必要は無い。
「っ、承知した。だが、既に人に害を成した存在は駆除するが問題無いね」
「ええ、その場合は明確な証拠を提示してもらいますが、よろしいですね」
「ああ、了解した」
よし、これで後は今の内容に対して同意書にサインをもらえばこの一件に関しては終わりだ。
「では、それぞれの了承をいただけたと言うことですので賠償の件と合わせて、こちらの同意書にサインをしてください」
トップ達が賈駆から同意書を受け取ると苦悶の表情を浮かべながら、サインをしていく。
気持ちは分からないでもないが、自業自得だからな。恨むなら俺たちや日本神話群ではなく、問題を起こした連中を恨んでくれ。
同意書へのサインが終わり、賈駆が集め終わると呂布が同意書を異空間に収納した。
これで万が一、力づくで奪おうとしても不可能だ。だが『俺』の仕事はまだ終わっていない。
「コカビエルの一件については、日本神話群からは以上です」
「続きまして日本神話群より『聖書陣営』へ問いただしたい事案を預かっておりますので議題に上げさせていただきます」
会談はまだ終わらない。
【曹操】
何を勘違いしている........まだ俺のバトル・フェイズは終了してないぜ................。
【聖書陣営】
ひょっ?
【曹操】
覚悟しろよ、この(人間のことを)無視野郎!!