早くパーティーまで持っていきたいので、今回はいつもの倍くらいの長さになっています。
あの後、神々が猛反発していたが結局『呂布の意思が一番』という天照様のゴリ押しで話は決着した。
神々の反発をも捩じ伏せるとは........やはり『世界最強』の一言は重い。だからこそ、何とか彼とは友好的な関係を築かなくては!!
私が呂布殿への対応方針を改めて決めていると、『蒼天の紅旗』の一人がリアスたちの所へ向かっていく。
「ギャスパー!!」
「え、ヴァレリー? ヴァレリーなの!?」
「ええ、そうよ♪ 久しぶりね、ギャスパー。元気にしていた?」
「本当にヴァレリーなんだ.......うん、元気にしてたよ♪」
ギャスパー君がその者の手を握ると楽しそうに話をしている。
どうやら彼女が会談で言っていたギャスパー君の幼なじみらしいな。確かにクリーム色のドレス姿で分かりにくいが、肌の色は吸血鬼特有の色素が薄い肌だ。
二人がはしゃいでいると、会談に出席していた眼鏡を掛けた緑髪の女の子が近づいていく。確か賈駆と言ったか?
「もう、ヴァレリー! 勝手に離れないでよ! アナタも『蒼天の紅旗』の一員なんだから。自由行動はリーダーが認めてからよ」
「あ、ごめんなさい賈駆さん。じゃあねギャスパー、またあとでね」
「あ、うん。またあとでね、ヴァレリー」
賈駆殿が彼女....ヴァレリーを連れ戻す。幼なじみが『蒼天の紅旗』の一員か、難しい立場になってしまったな。
だが私がギャスパー君を気の毒に思っていると、今度は信じられない光景を目にする!
「姉様!?」
「にゃははは......白音、久しぶり......」
「黒歌!? 指名手配中のアナタがどうしてここにいるのよ!?」
黒歌だって!? 数年前に主を殺し、現在は逃走中のSS級はぐれ悪魔であるあの『黒歌』か!?
リアスが小猫君を守るように黒歌の前に出ると、それを見た眷属たちやソーナやサイラオーグたちも構える。
手配中のはぐれ悪魔の登場に周囲の悪魔たちも驚いていた。
しかしそんな中で、曹操殿が前に出てきて我々と周りにいる悪魔たちに両手を広げ、余裕の笑みを浮かべながら告げた。
「リアス・グレモリーやその眷属たち、そしてここにいる悪魔の皆さん。そう警戒しないでください。
彼女は確かに『元』はぐれ悪魔だが、今は違います。そして今の彼女は我々『蒼天の紅旗』に属しています」
「今は違う? それはどういうことなのかな、曹操殿」
「言葉通りの意味ですよ、ルシファー殿。黒歌はもう『悪魔』ではありません。
『悪魔の駒』を取り出し、元の妖怪に戻ったのですよ、現に彼女からは悪魔の気配はしないでしょう?」
「なっ!?」
「『悪魔の駒』を取り出したって!?」
「バカな、『悪魔の駒』を取り出せばその者は死ぬはずだ!!」
「だが、確かに悪魔の気配はしない! ということは本当に!?」
あまりにも驚愕の事実に周囲の悪魔も騒ぎだす! 無理もない、私自身平静を装っているが、内心驚いているのだから!!
『悪魔の駒』を無事に取り出すことはアジュカにも出来ない、そもそも自由に取り出せるようには出来ていない。
そんなことが出来てしまえば、『悪魔の駒』の意味が無くなってしまう!!
「ね、姉様、本当に元の妖怪に戻ったのですか?」
「うん、『蒼天の紅旗』の皆のおかげでね.......白音だって分かるでしょ? 私から悪魔の気配がしないの」
「それは、そうですが.....」
白音.....いや、小猫君も動揺しながら黒歌に尋ねる。きっと彼女も混乱しているのだろう。
主を殺し、はぐれ悪魔となり、幼い自分を捨てていった。そして今、こうして自分の前に現れた........元の妖怪になって。
しかし、マズイことになったな。まさか『悪魔の駒』を取り出し、元に戻れるなんて想像すらしていなかった。
確かに『はぐれ悪魔』でないのなら悪魔の法では裁けない、しかも今は『蒼天の紅旗』に属しているとあれば尚更だ。
だが周囲の貴族たちは、そんなことなどお構い無しに騒ぎだす。
「だが、その者が冥界にて罪を犯したのは事実だ! ならば悪魔の法に照らし合わせ裁くべきだ!!」
「そうだ!いくら『悪魔の駒』を取り出し、悪魔でなくなったとしても罪は罪だ!!」
「魔王様、どうかあの者に厳正なる裁きを!!」
「魔王様!」「ルシファー様!」「サーゼクス様!」
「っ................」
っ、困ったな.....ここで黒歌を不問にしてしまえば、貴族たちの反発は避けられない。
彼らにとっても、自分たちが眷属にした転生悪魔を元に戻されるのは困るからな。
しかし、無理矢理何らかの処罰を下してしまうと『蒼天の紅旗』との間に友好関係を築くのは不可能になってしまう。どうすれば.........。
私がこの場をどう収めれば良いか悩んでいると.......呂布殿が前に出てきて、周囲の貴族たちの圧力に怯えている黒歌を庇うように背中に隠し、静かに口を開く。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
「.......黒歌はもう、悪魔ではない」
ビシッ!ビシビシッ!ビシビシビシィィッッ!!
「そして今は、俺たち『蒼天の紅旗』の、仲間だ」
ズシャンッ!ズシャァンッ!ズシャァァン!!!
「それをお前たちの理屈で裁くのなら」
バリバリッ!バリバリバリィッ!バリバリバリバリィィッッ!!
≪滅ぼされる覚悟で来いっ!!!≫
ズガアァァァァァァァァァァンッッッ!!!!
【世界の終わり】
今目の前に起こっている光景を表現するなら、それが一番適している言葉だろう。
魔王......いや、主神ですら遥かに超越するであろう凄まじい力によってこの建物どころか冥界全体が揺れ、粉々に吹き飛んだ窓から見える空は鳴動していた。
大気が振れ、空は通常よりもずっと赤く染まっている。大洪水のような力の波動が心身を揺らし、情けなくも身動き一つ出来ず、耐えるしかなかった。
先ほどまで騒いでいた貴族たちは気絶しているか、膝をつき涙を流しているか放心している。
巨大な深紅の光の柱が天井を吹き飛ばし、目の前にそびえ立つ。天を目指しどこまでも、ただ高く高く天を衝く!!
ひたすらに感じる畏怖、言い表す事の出来ない恐怖がそこにあった。
彼が自分よりも遥かに凄まじい力を持っている事は知っていたし、理解していたつもりだった。
しかしソレを遥かに上回る現象を目の当たりにし、身体が震えていた。
日ごろから神やそれに近しい強さの者たちの力を感じていて、慣れていたはずだった。
大きな戦争を何度も味わってきた、『力』に対して怯える事などありはしなかった。
だが今は自分に向けられたわけでもない、この圧倒的な『力の波動』がこの世の何よりも恐ろしい!
しかもこの力の波動、強大ではあるがどこかセーブしている気配もする!!
恐らく死なないギリギリのところまで抑えているのだろう、つまり彼の『力』にはまだ上があるということだ。
そういえば以前、会談で曹操殿が言っていた。『呂布奉先が得られる強さには限界が無い』と。
ならば彼は今も成長し続けているというのか........!
私の背筋が凍りつく!!! 冗談ではない!
私自身、全容を把握出来ない力を持つ者が、まだ強くなるなんて悪夢という言葉すら生ぬるい!!
っ、ダメだ! 彼と敵対することだけは絶っ対避けなくてはならない!!
もし敵対すれば.........彼一人に悪魔は滅ぼされる!!
「ヒャーハッハッハッハッ!! 凄えな、こりゃあ♪」
「フォッフォッフォッ♪ この力、グレート・レッドと戦った時よりも更に強くなっておらんか?」
「ガーハッハッハッ!! 凄まじい力の波動よのぉ! なあ、ポセイドン!!」
「ダーハッハッハッ!! まったくだ、ゼウス!! これほどの威圧感は未だかつて感じたことが無いわ!!」
「フゥ、悪魔どもはつくづく愚かですね。わざわざ呂布の逆鱗に触れるなんて、そんなに滅ぼされたいのでしょうか?」
「まったくじゃ。まぁしかし、このままにしておくわけにはいかんじゃろう。ハァ、仕方ないのう」
天照様が未だ力の波動を放ち続ける呂布殿に近づき、声を掛ける。
「呂布よ、そこまでにしておけ! 安心せい、黒歌は元々日本の妖怪。日本神群の名において、絶対に手は出させん!!
それにもし、黒歌を理由に『蒼天の紅旗』に干渉してくるようなら...........その時は妾たちが戦う! 神々の警告を蔑ろにする愚か者には天誅を下してやるわ!!」
「おう、そいつはいい♪ おい、天照! そん時は俺ら須弥山も一枚噛ませろや!!」
「ガーハッハッハッ!! そうじゃな、ワシらもおもいっきり暴れたいからなぁ♪」
「ダーハッハッハッハッ! そりゃあいい。呂布との修行で鍛えた力を存分に奮ってやろう!!」
「ええ、呂布が出るまでもありません。我ら神々でも悪魔ごとき、すぐに滅ぼせますよ。止めないでくださいね、オーディン」
「やれやれ、血の気の多い連中じゃわい。安心せいダグザ、その可能性は無い」
っ、そんなっ!? これでは黒歌を処罰すれば、即神々との全面戦争になってしまう!!
だ、だが、これはある意味好都合。ここまで状況が厳しくなれば、ここで退いても貴族たちは反発はしない。アジュカたち他の魔王も納得するだろう。
呂布殿も神々が手を下すならば納得したのか、『力』を納めてれた。周りを見れば酷い有様だったが後回しだ。
しかし、悪魔政府は黒歌には干渉しない旨を私が伝えようとすると曹操殿が私の前に来た。
「ルシファー殿、良い機会ですのでこちらをお渡ししておきます。
これは黒歌が主である悪魔を殺すに至った経緯が書かれた資料と黒歌が主と交わした契約書のコピー。それから黒歌から取り出した『悪魔の駒』です。
生憎『悪魔の駒』としての機能は停止しておりますが、この駒の記録を調べれば、所有者が『黒歌』であることが証明出来るはずです」
そう言うと彼は私に資料と『悪魔の駒』を渡して、戻っていった。私は渡された資料に目を通すとその内容に驚いた。
『これは!? だが、これがもし本当のことだとしたら尚のこと黒歌を裁くことなど出来はしない。
そして恐らく証拠も向こうが握っているはず。これでは.........』
私は部下や会場係の者に指示を出してこの場を任せると、この資料をアジュカたち他の王の元へ持っていくのだった。
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私がフェニックス家の長女としてパーティーに参加するべく、ライザー兄様の眷属を連れ、会場前のホールで貴族たちと談笑している時に『ソレ』は起こった。
深紅の強烈な光と共に巻き起こる暴力的な波動。この世のすべてを捩じ伏せるかの如き、圧倒的なまでの『力』。
私はその強烈な波動に制圧され、身も心も掌握されていた。全身と心が震え、圧倒的な力の前に腰を抜かしその場にへたり込んでしまった。
「あ、ぁ、ぁぁぁぁ!!!」
これが『世界の終わり』なのだと、おとぎ話の破滅の王が現れたのだと言われれば納得する状況だった。
大気が鳴動し、ビリビリと振動が体の芯まで伝わって来る。超大型台風のような立つことすら困難な力が全てを飲み込む。
空が血の色よりも濃い赤で染まり、冥界全体が震えている。その現象の中心が、目の前にそびえ立つ巨大な深紅の光の柱。
赤く輝く巨大な柱が天へと上っていた。
その力の奔流は私の心身を揺さぶり、力の波動を心身にねじ込まれ完全に屈服させられていた。
私を制圧し切った相手に今何をされても何も抵抗できず、全てを受け入れるしかないだろう。
その絶対的な力でもし護られたとしたら、至上の喜びを得られることだろう。
いかなる理不尽をも打ち砕き、捩じ伏せる絶対的な力。この世の如何なる存在でさえ、絶対に勝てない強者の存在を目の当たりにした瞬間だった。
その者のことは噂で知っていた。人間の身でありながら神々をも超越し、かの赤龍神帝すら打ち破った【深紅の武人 呂布奉先】。
最初は耳を疑ったが、魔王様方が全ての悪魔に通達したことでその信憑性は高まった。そして今、私の目の前で見た『力』がソレを証明した。
「っ、わ、私はいったい......はっ、そうだ! レイヴェル様、ご無事ですか!?」
気絶していたライザー兄様の『戦車』イザベラが目を覚まし、私に尋ねてくる。
「イザベラ」
「はっ! 申し訳ありません、護衛の身でありながら守るべき存在であるレイヴェル様を放って気絶するなど! この上は如何なる罰もお受けいたします!!」
確かに、護衛がその護衛対象をほったらかしにして気絶するなどあってはならないことだ。
しかしあれほどの『力』を目の当たりにしたのだから、無理もない。現に他の貴族たちの護衛も未だ気絶している者もいる。
私は立ちあがり、なるべく冷静を装い静かにイザベラに伝える。
「それについては気になさらないで下さい。それよりもイザベラにお願いがあります」
「はっ、何なりと仰って下さい」
「あの御方......呂布奉先様のことをお調べなさい。どんな些細なことでも構いません。
フェニックス家のモノは自由に使うことを許可します、お父様には私から伝えておきます。可能な限り詳しく」
「っ、【深紅の武人】のことをですか!? しかしそれは.........!」
「何も直接会って調べろ、とは言っておりません。あくまで調べられる範囲で、と言っているのです。それに他の貴族たちも同様のことはしているはずです」
「た、確かにそうですが「頼みましたよ、イザベラ」っ、承知しました」
呂布奉先様。人の身でありながら、『世界最強』にまで登り詰めた御方。
知りたい、あの御方の全てを! あれほどの強さ、恐らく並大抵、いやそんな生ぬるい言葉では収まらない!!
私たちでは想像もつかない、ありとあらゆる鍛練を尋常ではないほどの量こなしてきたのだろう。
だからこそ知りたい! あの御方が何を目指しているのか、あれほどの強さをもって何を成そうとしているのか。そして叶うことなら、あの御方の一部になりたい!!
私の持つ全てを使ってあの御方の覇道を支えたい、それが出来るのなら地位も名誉も.......フェニックス家の肩書きすら捨てましょう!!
呂布奉先様。私、レイヴェル・フェニックスは、貴方様を心からお慕い申し上げています。
たとえ世界中のあらゆる存在が貴方様を敵と見なしたとしても、私は貴方様のお側に..........。
私はそう心に誓うと気分が優れないと偽り、パーティーには出席せずフェニックス家の屋敷に戻るのであった。
レイヴェルが呂布に魅了されておりますが、別にヤンデレにするつもりはありませんので....................。
期待されていた方はごめんなさい。