ギリシャ神話って大概ゼウスとヘラの痴情の縺れに人間が巻き込まれてる感じですよね................何てはた迷惑な夫婦なんだろうか。
キュッ!バシャァァァ!キュッキュッ!
「........ふぅ」
俺はトイレの鏡を見ながら軽く息を吐く。いや~~~さっきはビックリこいた。
まさか、朱乃から告白されるとはね~~~。しかも子どもの頃のことまで覚えてるとは思わなかった。
でも、どうしよう......いや、別に朱乃のことを嫌いなワケではないんよ。むしろ原作キャラの中では好きな方だ。
しかし俺は前世を含めて生粋のチェリーボーイ。あんな風にガチな告白をされて、その場で返答なんて出来るワケがない!
まぁだからこそ「今は気持ちに応えられない」って言ったんだけどね。
さて問題はここからだ。チェリーボーイたる俺は『付き合う=結婚する』という独特の恋愛観を持っている。
故に朱乃と付き合った場合、俺は朱乃と結婚することになる。そうなった時のことをちょっと考えてみよう。
まず家事は独り暮らしだったから俺は問題ないし、朱乃も問題ないだろう。特に朱乃は料理が上手そうだしな。
次は性格だけど、朱乃って『ドS』だったよな? 確か母親もそうだったみたいだし。
バラキエルは『ドM』だったから問題無かったみたいだけど、俺にはそっちの趣味は無いしな〜〜。まあ、これはちゃんと言っておけばクリア出来るかな?
あとは.......特に問題は無いか? 正直、結婚相手に一番望むのは『相性』であり、『見た目』は二の次だ。
まぁ見た目はある程度整ってくれていればいいな〜〜くらいだし、それはお互い様だろう。
そう考えた場合、朱乃を結婚相手にするのは悪くない。むしろ優良な相手と言える.........料理が上手そうだし。
もうね、料理が上手い人に悪い人はいないと思うんよ。ましてや毎日作っていても苦に思わない人は最高だね!!
でも、いきなり結婚を前提にしたお付き合いはハードルが高いよなぁ。
やっぱりここは、お友達から始めて......遠距離だから手紙による文通になるかな?
そうやってお互いのことをよく知ってから恋人になって、朱乃が成人してから結婚という流れと言ったところか?
とりあえず生活的なことについては大丈夫そうだ。では相性、性格的な問題はどうだろう?
朱乃と付き合ったとしても、俺ってばテーマパークとかあんまり興味無いし......そもそも人が混み混みしているところは嫌いなんだよね。
なので、一般的に恋人達が行っているであろうデートスポットは軒並みアウトである。
デートに行くなら、美味しいモノを食べに行きたいところだけど.......それは俺の都合だけを押し付けてるみたいだしなぁ。
かと言って、嫌なことに無理して付き合うのはお互いのためにならないし。
そんな俺と付き合っても面白味が無いと思う。世の中のカップルはどんなことしてるんだろう?
うーーーん、いっそのこと誰かに相談してみるか? でも誰に相談すれば良いんだろう?
そういえば、前に曹操が色恋のことなら『蒼天の紅旗』の女性陣に相談したら良いって言ってたな。
けど『蒼天の紅旗』の女性陣だって、そんなに恋愛に詳しいとは思えないしな〜〜。興味『だけ』はありそうだけど。
なら神様にでも相談してみるか。こういう色恋のことと言うと、ゼウスの爺ちゃんかな?
何かギリシャ神話ってその手の話が多いイメージあるし。
俺はトイレを出て、ゼウスに会いに行こうとする。
「あ~~~、いたいた!おーい、呂布く~ん!!」
野生の魔王少女、もといセラフォルー・レヴィアタンにエンカウントした。RPGならクソゲー待ったなしだな。
「......何か用か?」
「うん! あ、さっきのダンス。と~~~っても素敵だったよ! あんなに息ピッタリのダンスなんて初めて見たよ!!」
「パートナーが良かったんだ」
「フフフ、それ朱乃ちゃんに言ってあげるとスッゴく喜ぶと思うよ?」
「......それを、言いに来たのか?」
「あ、違う違う! ダンスは素敵だったのは本当なんだけど、実は呂布くんに頼みたいことがあるの!」
「頼み?」
「うん。実はソーナちゃんとリアスちゃんがレーティングゲームをすることになったんだ」
「話は、聞いている」
それなんだけど、リアスはどうするんだろう?
原作とは違い、ゼノヴィアとアーシアがいないし一誠もあの様子だと『禁手』にはなれないみたいだ。特に回復役のアーシアがいないのは致命的だな。
そして一誠が『禁手』を会得するきっかけである黒歌の襲撃イベントが無い。
白音は仙術を使うと思うし、木場は『禁手』は会得しているみたいだから、そこは原作通りと言える。
ギャスパーについても神器は安定させているから問題無し。あとは朱乃だけど、両親との確執が無いからコカビエルとの戦いで雷光を使っていたな。
ただそれらを加味しても、原作よりはマイナス寄りかな?
「それでね、前にも言ったんだけど........呂布くんにソーナちゃん達を鍛えて欲しいの!!」
「俺に?」
「うん! 実はパーティーの前の会合でソーナちゃんが悪魔政府の上役たちに馬鹿にされてね。しかも、ソーナちゃんの夢まで笑ったりして!!」
あ~~~、何か原作でもそんなシーンがあったね〜〜。思えばアレもおかしな話だよね。
『自身の抱負を語れ』って言ったのはサーゼクスなのに、笑い者にされたソーナのことをサーゼクスは庇ったりしないんだからさ。
「だからね! 今度のレーティングゲーム、ソーナちゃんには絶対勝ってもらいたいんだ!! そのためには呂布くんの力が必要なの!!」
う~~~ん。まぁ事情は分かったし気持ちも理解出来るけど、果たして請けて良いものなんだろうか?
ほら、『蒼天の紅旗』と聖書陣営って仲が悪いからさ。勝手に依頼請けると曹操に何言われるか分かったもんじゃないし。
「もちろんお礼はするし、修行中の費用はこっちが全部持つよ!」
いや、そうは言ってもね。こっちにもこっちの事情と言うものがあるんですよ、お客さん。
「それにシトリー領は自然が豊かな土地だから、ゆっくり落ち着けると思うんだ。天然の温泉の数だって、冥界の中で一番多いんだよ♪」
事情と言うものが..............
「それに、この時期は美味しい山菜とかがいっっっぱい取れるんだよ!あまりの美味しさに、呂布くんの頬っぺただって落ちちゃうんだから♪」
.......仕方ない。若者の指導も年長者の務め、ここは一肌脱ごうじゃないか!!
「........分かった」
「本当!? やったーーー! やっぱり頼んでみるもんだね! ありがとう、呂布くん♪」
セラフォルーが俺の両手を握ってブンブン上げ下げしてくる。
そう、これはあくまで年長者としての務め.........決して温泉で日頃の疲れを癒したり、山菜料理を楽しもうということではない!!
しかし、冥界の山菜か〜〜〜。いったいどんな味なんだろう? 冥界の花や植物ってオドロオドロしいイメージだからなぁ。
っ、いや、食材をイメージで判断するなんてもっての他だ!! 重要なのは『味』だろ!! 食べず嫌いが一番良くない!!!
ならば、確かめねばならない! 食の探求者として!!
曹操については.......報酬にそれなりの物を要求することにすれば、何とかなるだろう.......たぶん。
俺とセラフォルーは曹操たちに依頼について話をするためにパーティー会場に戻ることにした。
あ、ゼウスに相談するの忘れてた! まあ、後でもいいか。
「レヴィアタン殿、いったいどういうつもりですかな?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
はい、何とかなりませんでした!!
現在曹操さんの『覇王色の覇気』が会場中に放たれており、周囲の悪魔さん達が怯えております。
曹操、ここまで『覇王色の覇気』を発せられるようになるなんて........随分成長したんだな。
「ちょっと待って、曹操くん!! ちゃんと説明するから、その威圧感を抑えて!? 周りが凄いことになっているから!! ほら、呂布くんも曹操くんを止めて!!」
「曹操、落ち着け」
「..............」
俺が頼むと曹操は『覇王色の覇気』を抑える。青ざめていた周りの悪魔たちの顔に血の気が戻る。
何か今日は悪魔たちにとっての災難だな〜〜〜。
「ハァ、それで? 神々の警告を無視したうえに、俺たちの目を盗んで呂布に接触し、依頼を請けさせるなんてどういうつもりなんですか?」
『覇王色の覇気』は抑えたけど、怒りは抑まっていないみたいだ。こめかみが怒りでピクピクしてる人、初めて見た。
「うん、今度のレーティングゲームでソーナちゃんに絶対勝って欲しくて「それはさっき聞きました」っ.......」
「俺が聞いているのは『何故俺たちに黙って、勝手に呂布に依頼をしたのか』ということです。
しかも呂布が一人になったタイミングを狙うとは。神々の警告を完全に無視していることは分かっていますよね?」
「........はい.........」
「なら何故ですか? まさか、呂布が引き受ければ神々や俺たち『蒼天の紅旗』が退くとでも思ったんですか?」
「.....................」
「沈黙は肯定と捉えますよ。ハア、我々も舐められたものだ」
どうやら曹操はセラフォルーの依頼を俺に引き受けさせるつもりは無いようだ。
困ったな。何とかOKしてもらわないと、せっかくの未知の食材を味わう機会が失われてしまう。
「呂布もだ。何故、依頼を請ける前に俺に相談しなかった? 正直言って、キミらしくもない」
「......すまない。だがどうしても、確かめ、見極めなければならないことが、出来た」
「確かめ、見極める? っ、もしかして『ソーナ・シトリー』に関してか?」
まぁシトリー領の山菜を確かめ、しっかり味を見極めなければならないからね。ソーナも関係していると言えなくもないか。
「ああ」
「っ、そうか。呂布も気になっていたか........」
おや? 『呂布も』ということは、もしかして曹操もシトリー領の山菜が気になっているのか? 確かに悪魔領の食材なんて、まず手に入らないからね!
「ハァ、仕方ない、神々には俺から説明しておこう。ただし、俺も呂布に同行させてもらう」
「本当!? ありがとう、曹操くん♪」
「構いませんね、レヴィアタン殿?」
「もちろんだよ♪ 良かった~~~、サーゼクスちゃんやアジュカちゃんに怒られるところだったよ」
「勘違いしないでください。呂布へ勝手に依頼したことは神々にも報告しますし、後ほど正式に抗議させてもらいます。
それから、修行をつけるかどうかはソーナ・シトリーたちを見極めてからです」
「あうぅ~~~~、どうかお手柔らかにお願いします.......」
「ちょっとリーダー!? 良いの、そんな依頼請けたりして!? それにあの神々が許すとは思えないんだけど」
「すまない、賈駆。だが、俺も確かめたいことがあるんだ。呂布への依頼は、むしろ良いタイミングだったと言える」
「それって、前に言っていたヤツ?」
「ああ、悪いが賈駆たちは先に帰っていてくれ。ついでにゲオルクに『帰るのが遅れる』と伝えておいてほしい。俺と呂布は神々に依頼のことを話に行ってくる」
「ハア、仕方ないわね。黒歌、ヴァレリー、帰りましょう」
「「はい / 分かったにゃ」」
賈駆の呼び掛けにヴァレリーと黒歌が応じると、賈駆は転移の魔方陣を展開して三人は帰っていく。
周りを見るといつの間にかパーティーも終わり、帰ろうとしている悪魔たちがちらほら見える。
「それでは俺たちも神々のところへ行くとしよう。言っておきますが、レヴィアタン殿。
一応、俺も呂布も穏便に済ませてもらえるように頼みますが.......覚悟はしておいてくださいね」
「........はい........」
俺たちは神々にセラフォルーの依頼について話に行くのだが.......曹操が言ったとおり、神々は話を聞くなりブチ切れて完全に悪魔を滅ぼす気マンマンだった。
いくら何でもそこまで怒ることはないんじゃない?
さらには騒ぎを聞きつけた他の魔王たちも全員出張ってきてとにかく平謝りしていたが、なかなか怒りは収まらい。
とりあえず俺と曹操が間に入り、苦心の説得の末に何とか収拾がついた。
その後で曹操が魔王たちと具体的な報酬の話を始めたから、俺はゼウスの爺ちゃんに恋愛相談をした。
最初は不機嫌だったゼウスも俺が恋愛相談をすると、途端に上機嫌になって話を聞き始めた。
そしたら何でか他の神様たちも話に入ってきて、結局主神たち全員に恋愛相談をすることになった。
やっぱり神様たちもこの手の話は好きなのかね? まぁ神様たちの機嫌が良くなったので、結果オーライなんだけどさ。
俺の恋愛相談については、神様たちの中でも後でじっくり話し合うということで、結果は持ち越しになった。
そんなに真剣になってくれるなんて、やっぱり相談して良かったな♪
曹操が今回の依頼の報酬について話をつけると、俺たちはセラフォルーの案内で少し寄り道をした後、シトリー領へと向かった。
だが、この時の俺はまだ知らなかった。まさかこの恋愛相談が後に予想外の事態へ発展することを。
今後の話のために、ソーナたちを強化........というより、曹操と話をさせる機会を設けるために、ソーナたちを強化させることにしました。
リアス達を強化させることも考えたのですが、分かりやすい目標を持っているソーナやサイラオーグの方が話を作りやすいんですよね。
正直、リアスの『グレモリー家の当主として、レーティングゲームで功績を挙げたい』って意味が分からないんですよね。『グレモリー家の当主であること』と『レーティングゲームで結果を残すこと』がどう繋がるんでしょうか?
ちなみに呂布は神々が各勢力に出した警告のことは知りません。理由は呂布がその気になったら、誰にも止められないので言っても無駄だからです。