原作での一誠に関するイベントが順調に潰されておりますが..........まあ、気にしないで下さい♪
ソーナ達へチャクラによるマッサージを施して寝かせてからは、一日の流れはほぼルーティーンとなった。
起床&食事(一時間)→基礎修行(六時間)→食事&休憩(一時間)→基礎修行(六時間)→食事&休憩(一時間)→実戦訓練(六時間半)→風呂&就寝(二時間半)→起床&食事........
これの繰り返し。皆して死にそうな顔になってたけど、やっぱり若い上に悪魔ということもあってか、何だかんだで修行にはちゃんと付いてきた。
まぁ若干やけくそっぽかったけどね。
そんな毎日を過ごしていると時間が経つのも早いもので、いよいよ明日はリアスとのレーティングゲームとなった。
俺と曹操が施した基礎修行については、ある程度の形になったと言えるぐらいまでにはなった。
魔力組は両手ではあるが魔力版『螺旋丸』を作れるようにはなったし、オーラ組も二時間半までは『練』を持続出来るようにはなった。
チームとしての連携や実戦での経験も俺との訓練を通して学んだから、少なくともその点においてリアス達に遅れを取ることは無いだろう。
今の眷属の子たちの実力は中級悪魔レベル、ソーナは上級悪魔の中堅レベルってところかな?
あの調子なら『六式体術』と『チャクラコントロール』、それに『覇気』を習得すれば眷属の子たちは上級悪魔、ソーナは最上級悪魔ぐらいには成れそうだ。
そして今日は試合前日ということもあって、修行は無し........完全OFFってヤツだ。まぁ修行自体は昨日の夕方から切り上げてたんだけどね。
身体を休めるも良し、簡単にトレーニングするも良し、『点』と『錬』を行うも良し、体調を万全にすることに専念してもらう。
しかし今日は完全OFFと言ったときの皆の喜びようはハンパ無かったな〜〜、全員咽び泣いてたもの。
そんなワケで今日の予定はだが、ソーナと椿姫は曹操とリアス戦に向けて作戦の相談。
それ以外のメンバーは日が暮れるまで自由行動。夜に俺と曹操を含めて皆でミーティングを行うといった感じだ。
ちなみに俺は特にやることが無いので、現在田舎道を歩きながらシトリー領の外れにある温泉へと向かっている。
修行中は屋敷にある温泉しか利用出来なかったからね。今日一日で回れるだけ回らないと!
グラニで一気に行きたいところだけど、さすがに悪魔の領域で勝手に神器を出して移動するのはね〜〜。
それにこれから向かう場所には温泉がいくつもあるみたいだし、焦る必要も無いでしょう。
しっっかし、やっぱり若い子は成長が早いね~~。まさかこの短期間にあの二人が............
「おや?呂布殿ではありませんか」
俺が若者の成長について考えていると、後ろから来た車の中よりサイラオーグに声を掛けられた。
「そうでしたか、この先にある温泉へ向かっていたのですね。確かにあそこは質の良い温泉がいくつも沸いていると聞いております。疲れた身体を癒すには最適な場所と言えるでしょう」
サイラオーグに誘われたので、お言葉に甘えて相乗りさせてもらいました。
サイラオーグの隣には彼の『女王』である.........確か『クイーシャ・アバドン』?が座っている。
何でもこの先にある病院に母親が入院しているとのことなので、お見舞いに行くらしい。進行方向が同じで良かった♪
それにしてもサイラオーグの母親かぁ、確か原作では原因不明の病に冒されてずっと寝たきりだったはず。
一誠の『乳翻訳』がキッカケで何故か意識を取り戻すんだけど..........うん、思い返してみても目覚めた理由が分からん!
「しかし驚きました、まさか呂布殿がソーナ・シトリーの指南役をしていたとは...........これは俺も気を引き締めなければなりませんね」
「そこまで、大袈裟なものではない。誰でも出来る、基礎修行を、教えただけだ」
「ハッハッハッ、御謙遜を♪ 我々もディハウザー・ベリアル様に修行をつけて貰いましたが、『誰がやっても強くなれる修行』など聞いたことがありませんよ♪」
いや、本当に基本的な能力を鍛えただけなんだけどね。しかしそうか〜〜、サイラオーグはディハウザーに修行をつけて貰ったのかぁ。
ディハウザー・ベリアル。レーティングゲームのランキングにおいて不動の【一位】の存在であり、『皇帝』と称えられている男だ。
原作ではレーティングゲームのランキング上位者たちの不正を暴こうとした親戚の子が悪魔政府の上層部の謀略によって殺されたため、現悪魔政権に強い恨みを抱いており、『禍の団』やリゼヴィムに協力することになるんだよね。
その後は一誠とその両親の活躍により改心するんだけど、個人的には一誠と両親の話は原作でもトップクラスに好きな話だ。
一誠の両親の愛情深さには涙無しでは語れない。あの回と並べられる話って、それこそヴァーリVSアジ・ダカーハ戦ぐらいじゃないだろうか? アレも神回だったな〜〜〜。
それはそうとディハウザーと言えば.........あの二人はちゃんと会うことが出来たんだろうか?
駒王町で助けたのはいいけど、冥界までは送ってあげられなかったからね。
ディハウザーに会う機会があれば聞いてみたいものだ。
「サイラオーグ様、そろそろ到着いたします」
どうやら母親が入院している病院に着いたみたいだ。へぇ~、庭園や池もあるのか〜〜。
周りも静かで落ち着いているし、こりゃあ療養にはピッタリだね。
「むっ、そうか。呂布殿、よろしければ母を見舞ってくださいませんか?」
え、俺も? まぁ別に時間は十分にあるから構わないけどさ。でも無関係な俺が行っても問題ないのかね。
「良いのか?」
「もちろんです♪ 『世界最強』たる御身に見舞われたとあれば、母も喜ぶでしょう!」
あら、そう? じゃあお言葉に甘えて...........あ、しまったな。お見舞いの品になりそうな物とか全然持ってないや。
俺はサイラオーグとクイーシャ、そして執事の方と一緒にサイラオーグの母親の病室へ向かう。
部屋に入ると担当医らしき人がベッドに寝ている女性のバイタルなどを取っていた。
「これはサイラオーグ様、ようこそお出でくださいました」
「構わん、続けてくれ。呂布殿、こちらで眠っている女性が俺の母『ミスラ・バアル』です」
サイラオーグの紹介でベッドで眠っている女性を見ると、確かにサイラオーグの面影が何処となくあるな。
「顔色が、良くないな。悪いのか?」
「っ、ええ。母は原因不明の病に冒されておりまして、徐々に衰弱していっているのです...........」
「.........ミスラ様の病気は『突然意識が無くなり衰弱死する』という悪魔だけが掛かる珍しい病気なのです。
未だに治療法が見つからず、医者である私としては大変情けない限りです........」
「何を言う。貴方たちが母のために力を尽くしてくれているのはこの俺が一番知っている。情けないなどとあろうはずもない」
「っ〜〜〜、恐れ入ります、サイラオーグ様.........!」
サイラオーグの言葉に医者は涙目で礼を言っている。いやはや、イケメンだねぇ。
それにしても『突然意識を失い衰弱死』『悪魔だけが罹患する』かぁ.........ちょっと見てみるか。
俺は『エイト・センシズ』を発動させ、ミスラさんの魂と精神体の状態を見ることにする。
「『霊体が魂から乖離しかかっている』、ですか?」
そう。俺が見る限り、ミスラさんの身体は魂と精神体が乖離しかかっていて、両者の繋がりが非常に弱い状態なんだよね。
精神体は基本的に魂からエネルギーを供給されているから、繋がりが薄いと精神体がどんどんと弱まっていき、いずれ消滅する。そうなれば肉体は植物状態となってしまう。
そして魂を守る精神体が消滅すれば、魂は無防備な状態になるので、一日もすれば死んでしまう。
もちろん普通の人間ならこんなことはまず起こらない。魂と精神体の繋がりを守るために『肉体』が魂と精神体を保護しているのだから。
だがコレが『悪魔』となると少し話が変わってくる。
元々『神』『悪魔』『天使』という種族には『実体』......『肉体』というものが無く、『悪魔』は他者の精神に巣食う『精神寄生体』と呼べる存在だった。
無論、魔力を使えば肉体を構成することは出来るが、元々は『魂』と『精神体』だけの存在だったらしい。
そして『人間』と交わったりなどで関わっていくうちに、徐々に『肉体』を持つようになったという。
また悪魔は元々『肉体』を持たない種族だから、生殖活動で種を増やすことなどは考えられていない。
この辺りが『悪魔は出生率が低い』と言われている所以らしい。まぁこれらは全部ゲオルクや『蒼天の紅旗』の魔術師たちの受け売りなんだけどね。
そんなワケで元々『肉体』を必要としていなかった分、『悪魔』は『人間』以上に肉体に対して魂や精神体との繋がりが薄いんだよね。
ただ『悪魔』が『人間』と関わるようになって随分経つから、こんなことはもう滅多に起こらないはずなんだけど、何事にも例外というものがある。
いわゆる隔世遺伝みたいなものだ。だからこそ『悪魔だけが罹患する珍しい病気』なんだろう。
ってなことを何とか説明すると、皆して唖然なっていた。どうしよう、無性に口の中に物を詰め込みたい。
「まさか、この病にそんな原因が............」
「で、ですが、原因が分かっても治療法が分からなければ............」
皆も原因が判明したことを喜びはしたが、肝心の治療法が分からなければどうしようもないということで、再び沈んでしまった。
「っ、呂布殿、何か方法は無いのでしょうか? 『治療法』とまでは言わなくとも、母を救う方法は.............!」
皆が意気消沈する中でサイラオーグが藁にもすがる顔で俺に尋ねてくる。
「..........彼女を救う限りで、良いのなら、無くはない」
「「「「!!!!」」」」
「そ、それは本当ですか!? 本当に母を救うことが.............」
「サイラオーグ次第だ」
「っ、お、俺次第、ですか?」
ミスラさんを救う方法.........それは『サイラオーグの精神体の力で弱まっているミスラさんの精神体を補強しよう』というものだ。
現在ミスラさんは『魂、精神体、肉体のそれぞれの繋がりが薄くなり、衰弱している状態』だ。
ここで一番重要なのは『精神体』である。『精神体』が弱まっているからこそ、『魂』は何とか『精神体』を回復させようと力を注いでおり、結果『魂』は弱まっていく一方。
そして『魂』が弱まっていくからこそ、『肉体』も衰弱していっているのだ。
ならば『精神体』を別の何かで補強してやれば『魂』は自然と回復していくはず。
『肉体』については『精神』と『魂』が回復すれば、ミスラさんの意識も戻るだろうから、その後でじっくり療養しながらリハビリをすれば回復するだろう。
『魂』『精神体』『肉体』。それぞれの繋がりについては俺の【チャクラ】と【エイト・センシズ】を駆使すれば、繋ぎ直すことが出来るはず。
だが肝心の『精神体』の補強については、俺の【チャクラ】よりも親和性の高い..........実子であるサイラオーグでなければならない。俺のチャクラだと拒絶反応が出る可能性があるからな。
だが問題なのは『サイラオーグの精神力』だ。ミスラさん自身の精神体の力が回復するまでは、サイラオーグの精神体の力..........即ち『精神力』でミスラさんの精神体を安定させなくてはならない。
もしサイラオーグが精神的に弱ったり、何らかの拍子で心が折れたりしてしまうと、ミスラさんの精神体は一気に衰弱して死んでしまう。
しかもその反動でサイラオーグの精神体もどうなるか分からない上、この方法は二度は出来ない。
『魂』や『精神体』というのはそれほどまでにデリケートな物で、何度もくっつけたり外したり出来るような物ではないのだ。
つまりミスラさんを助けられるチャンスは一度だけ。
俺がそのことをサイラオーグに伝えると、サイラオーグは少し悩んだ顔をしたが、すぐに強い眼差しで答えた。
「構いません、呂布殿。どうかその方法を試させてください!」
「サイラオーグ様!?」
「そんな!? 危険です! もし失敗すれば、サイラオーグ様自身どうなるのか分からないのですよ!?」
「良いんだ、クイーシャ........どのみちこのままでは母上は助からない。ならば僅かでも可能性のある方法に俺は賭ける!!」
「サイラオーグ様..........」
「それに成功するかどうかは『運』ではなく、俺の精神力次第という話ではないか。
俺が今日まで厳しい修行に耐えてきたのは、この日のためと言えよう!!」
「...............」
「心配するな、クイーシャ。生憎このサイラオーグ・バアル、諦めの悪さでは誰にも負けん!!
信じろ! お前の主はこんなところで終わるような男ではないと!!」
「っ.............そうですね。貴方様は今までも、そうやって困難を乗り越えてきたのでしたね。
分かりました、ならば私も信じましょう! 私の主はこの程度の苦難などモノともしないと!!」
「うむ! それでこそ誇り高きバアル眷属だ!!」
お〜〜、熱いね~~青春してるね~~。まぁ俺がやらなくても一誠の『乳翻訳』なら原作みたいに何とかなるかもしれないけどさ。
ただこの世界はもう原作からは随分変わってしまっているからなぁ。同じことをやっても同じ結果になるとは限らない。
そもそもあの『乳翻訳』がミスラさんの精神体にどう作用したのか全く分からないからね。
正直に言って、一誠の得たいの知れない『奇跡力』にはあんまり頼りたくはない。どんな結果になるのか全く分からないもの。
「話は決まったか?」
「はい! お願いします、呂布殿!!」
「.......貴方は良いのか、ドクター?」
「はい。医者として情けなくありますが、サイラオーグ様がお決めになったことであれば是非もございません」
「そうか...........では始める」
俺は【エイト・センシズ】を発動させ、まずは俺のチャクラを使ってミスラさんの精神体とサイラオーグの精神体を繋げる。
そしてその後は俺のチャクラを細い糸のようにして、ミスラさんの『魂』『精神体』『肉体』の順に繋ぎ合わせていく。
これが結構繊細な作業なんだよね、上手く繋ぎ合わせないと直ぐに剥離して元の状態に戻ってしまう。
そうして繋ぎ合わせた後は、サイラオーグの精神体の力がミスラさんの精神体に還元出来るように術式を組んでっと。
この辺りはオーフィスやグレートレッドの時と同じだから問題無しだな。
「.........終わったぞ。話しかけてみろ」
「っ、はい! 母上、母上.......私です、サイラオーグです。どうか目を開けてください..........!」
サイラオーグが悲痛な面持ちでミスラさんに呼び掛ける。
「っ........ここは.......わたしは............」
ミスラさんがゆっくりと目を開き声を発した!!
「おお! ミスラ様が..........!!」
「し、信じられない! 何年もずっと眠ったままだったのに......!!」
「っ、サイラオーグ様!!」
「っ、ああ! 母上、サイラオーグです。私のことが分かりますか?」
「サイラ、オーグ.......ええ、もちろんですとも。夢の中で........貴方の成長した姿を見ていた気がします。
しばらく見ない間に.....立派に、なったのですね........」
「っ~~~~!!! いいえ、まだまだです。元気になりましたら、一緒にあの屋敷に帰りましょう........!!」
サイラオーグ、クイーシャ、執事、ドクター。この場にいる全ての者が歓喜の涙を流していた。
それだけミスラさんやサイラオーグが慕われているということなのだろう。
これ以上ここにいても出来ることは無いと思い、俺は静かに退室し病院から出た。
さ~~て、やることもやったし、慣れない作業で疲れたから温泉巡りと洒落こみますかね♪
俺は極上の癒しを求め、温泉へと向かうのだった。
「サイラオーグ様、ミスラ様は目覚めたばかり。今日はここまでにしましょう」
「っ、そうだったな.......すみません母上、ゆっくりとお休みください」
「ええ......少し、疲れました。そうさせて、もらいます.....スゥ」
「お休みなさいませ、母上」
母上が眠るのを確認した俺たちが静かに部屋を出ていくと母上の寝息が聞こえる。今までとは違う生気を感じさせる寝息だ。
「うぅぅ........まさか、このような日が来るとは...........!」
部屋を出ると執事が声を押し殺しながら泣き出す。
この者は敵ばかりだったあの屋敷で、俺と母上に味方してくれた数少ない忠臣だ。
この涙も心から喜んでくれているのだろう、本当に頭が下がる思いだ。
ん? 頭が下がる.........っ、そうだ! 呂布殿は!?
「クイーシャ! 呂布殿はどちらに!?」
「呂布殿? そういえば途中からいなくなっていましたね............いつの間に」
何てことだ!! いくら母上のことで頭がいっぱいになっていたからといって、恩人を.........いや、大恩人を放ったらかしにするなどあってはならんことだ!!
くぅっ、このサイラオーグ・バアル、一生の不覚!!
「探してまいります!!」
「っ、いや、待つんだクイーシャ。呂布殿は恐らく我々に気を遣ってくれたのだろう。ならば今日ばかりはご厚意に甘えるとしよう」
「しかし、それではあまりにも..........!」
「御礼の押し付けは却って迷惑になる。今日の御礼とお詫びについては、次にお会いした時にすれば良い」
「.........分かりました」
やれやれ、御礼も満足にさせてもらえないとはな..........いや、あの方にとってはこれが『当たり前』なのだろう。
クイーシャにはああ言ったが、きっとあの方は俺たちからの御礼もお詫びも受け取りはしないだろうな。
自分の心の求めに応じて行動し、その結果で誰かを救う。そこには一切の打算などは無い、ただ己の心に従っただけ。
故に誰かに恩義を盾に見返りを求めたりはしない、それがあの方の生き方なのだろう。
『英雄』.......俺はあの方の生き方に紛れもない『英雄』の姿を見た。きっと神々もあの方のそんな生き方に惚れたのだろう..........この俺のように。
呂布奉先殿。此度の恩義、この『サイラオーグ』決して忘れはしません!!
例えバアル家や他の貴族たち........いや、魔王様方に反対されようとも、貴方様が必要な時は俺の全てを持って今日の御恩を返させていただきます!!
俺は『バアル家の次期当主』でもなければ『一悪魔』でもない。ただの『サイラオーグ』として絶対の誓いを立てるのであった。
サイラオーグにつきましては、ソーナと並んで今作における準レギュラー的なキャラクターです。
ソーナ×サイラオーグにするかは考え中