リアスとソーナのレーティングゲームは色々なキャラの視点で描かれますので、忙しく感じるかもしれません。
ただ、視点の切り替えは場面が一段落してからにして、なるべく読みやすいようにはしたいと思います。
あと、諸事情により今回のゲームフィールドであるデパートは原作よりも大きくしてます。
試合の開始時刻となり、俺達が転移したのはいくつものイスやテーブルが置かれた場所。
どこか見覚えがあると思ったら、駒王学園の近くにある巨大デパートの中だった! ここが今回のゲームの舞台か!?
『お待たせ致しました皆様、これよりリアス・グレモリーとソーナ・シトリーのレーティングゲームを開始致します。
私はこのたび審判役を仰せつかりましたルシファー眷属が『女王』、グレイフィア・ルキフグスでございます。
早速でございますが、本ゲームのルールを説明させて頂きます』
グレイフィアさんが審判として挨拶した後、ルールの説明をしてくれる。
簡単に説明すると、今回のバトルフィールドは駒王学園近くのデパートでの屋内遭遇戦。
デパートは地下一階、地上七階の全八階となっており、会長達は七階西側、俺達は一階東側に本陣を置いて戦う。
ルールとして今から三十分間作戦タイムを設けること、『フェニックスの涙』を一チームひとつずつ支給すること、そして出来るだけデパートを破壊しないことが挙げられる。
正直言って、このルールは俺達にとってかなり不利だ。
何せ俺達の主力である部長や朱乃さん、白音ちゃんはパワータイプで唯一の例外は木場だけ。
このデパートを破壊し尽くすならともかく、パワーを抑えての戦いは皆経験無いんじゃないだろうか?
俺達はすぐに作戦会議を始め、大まかな役割を決める。そして作戦タイムの三十分が過ぎ、グレイフィアさんのアナウンスが再び流れた。
『開始時間となりました。これよりゲームを開始致します。尚、このゲームは制限時間三時間の短期決戦『ブリッツ形式』となります。それでは、ゲームスタートです』
ついにゲームが始まった。部長が立ち上がり、俺達に指示を飛ばす!
「作戦はさっき説明した通りよ。イッセーと白音は店内から、祐斗は立体駐車場から二手に別れて進行。
ギャスパーはコウモリになって、店内の各所を監視しつつ偵察して報告してちょうだい。
場合によっては『停止世界の邪眼』で遊撃に出て貰うわ。進行具合によっては私と朱乃が店内側のルートで進行します。何か質問は?」
誰も何も言わない。自分が何をすべきか皆分かってるんだ。そんな俺達を見て、部長は満足そうに頷く。
「よろしい。皆、冥界中の人達が私達を見ているわ。誇り高きグレモリー眷属の名に懸けて、情けない姿は見せられないわよ!
行きなさい、私の可愛い眷属達! 必ずこの手に勝利を掴むのよ!!」
「「「「「はい、部長!!!」」」」」
流石は部長! 今ので全員に気合いが入ったぜ!!
「それじゃあ、お先に!」
木場がそのスピードを生かして先行する。よーし、こっちも負けていられるか! 修行の成果を見せてやるぜ!!
「イッセー先輩、私達も」
「おおっ! 行くぜ!!」
白音ちゃんと共に俺も駆け出した!
上へ向かう方法は四つ。一つは中央のエスカレーターやエレベーターで上がる方法。
二つ目は木場が向かった立体駐車場を通る方法。三つ目は各フロアの北側にある非常用兼用の階段を昇る方法。
そして四つ目は南側にある従業員専用の階段やエレベーターを使う方法だ。
中央のルートは吹き抜けとなっているため、相手から丸見えなのでNG。
従業員用の階段は狭くて急な階段を昇るため逃げ場が無いので、これもNG。
エレベーターも身動きが出来ないのでNG。よって使うのは二つ目と三つ目のルートだ。
二つ目のルートは木場が向かっているため、俺と白音ちゃんは北側の階段を目指した。
「?」
「どうしたんだ、白音ちゃん?」
「.........いえ、何でもありません」
『気のせいかな? 人の気配がしたような気がしたんだけど...........』
「ふぅ~~、危ない危ない。もう少しで見つかるところだったよ。ちょっと近づき過ぎちゃったかな?」
だが、リアス達は気付いていなかった。姿を隠し、既に自分達のことを監視している存在がいることに。
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「おお、始まりましたぞ!」
「はてさて、噂の赤龍帝がどれほどのモノか、じっくりと見させてもらおう」
「そうですな。しかし、ソーナ嬢も可哀想に。よりによって初戦が『紅髪の滅殺姫』と称されるリアス姫とはな」
「ええ。しかもリアス姫達は非公式ながらライザー氏とのレーティングゲームを経験している上に、コカビエルとも戦ったことがあるとか」
「然り。それにソーナ嬢の眷属はそのほとんどが元一般人だとか」
「これはソーナ嬢には悪いですが、当初の予想通りリアス姫の圧勝のようですな」
「はい。見てください、リアス姫達は既に動き出しているというのに、ソーナ嬢はまだ話し合っている」
貴族悪魔たちが前方に映し出された巨大スクリーンを見ながら、好き放題言っている。やはり誰もソーナ・シトリーには期待していないようだ。
ふん、貴族といっても所詮はこの程度か。ソーナ・シトリーが既に動いているのに全く気づいていないとは。
よくよく見てみれば、ソーナ・シトリーの眷属が一人いないのに気付きそうなものなのにな。
「むぅ~~~、皆して言いたい放題言ってくれちゃって~~~!」
「よせ、セラフォルー。ただでさえキミは微妙な立場にあるんだぞ。これ以上、揉め事を起こさないでくれ」
「そうそう~~、大人しく応援してなって~~~」
「ぶぅ~~、分かってるよ........」
ソーナ・シトリーを馬鹿にされて、レヴィアタンもご立腹の様子。まぁ口調からは本気で怒っているのか、いつものノリなのかは判断つかないがな。
しかし、そんなレヴィアタンを他所にルシファーがアザゼルに尋ねる。
「やれやれ........ところでアザゼル、キミはこの試合をどう見る?」
「そうだな。まだソーナ達の実力を見たわけじゃあないが、俺もあの連中と同じで、当初の予想通り7:3でリアス達が勝つかな?」
「理由は?」
「まず実戦経験の差が大きいな。曲がりなりにもライザー・フェニックスやコカビエルといった強敵と戦ってきたワケだしな。
真剣勝負や命懸けの戦闘から来る経験値ってのはバカには出来ねぇ」
「確かに。他には?」
「あとは基本スペックの差だな。リアスもそうだが、リアスの眷属には『才能』に恵まれているヤツが多い。
リアスの『滅びの魔力』をはじめ朱乃の『雷光』、木場の『聖魔剣』、白音の『仙術』、そしてギャスパーとイッセーの『神器』。
どれをとっても破格の性能を持っている。言っちゃあ悪いが、ソーナの眷属とは比べものにならないほどにな」
「ちょっとアザゼルちゃん! アザゼルちゃんまでソーナちゃんをバカにするの!?」
「別にバカにはしてねえよ。ただどうしてもリアス達と比べて、ソーナ達は見劣りしちまうって話だ」
「そんなことないよ! ソーナちゃん達だって、リアスちゃん達に負けないくらいスゴいんだから!!
それに呂布くんに鍛えてもらって、とっても強くなってるはずだよ! リアスちゃん達にだって絶対勝てるもん!! ね、曹操くん!」
おっと、俺にまで飛び火してきたか。レヴィアタンの言葉にルシファーやアザゼルだけではなく、他の魔王に神々。
さらにはソーナ・シトリーをバカにしていた貴族たちまでこちらを見ている。
「そういや、まだ聞いてなかったな。なぁ、曹操。ソーナ達にどんな修行をつけたんだ? それに俺が渡した『ヴリトラの神器』はどうした?」
「曹操殿、キミは今回のゲームをどう見る?」
フゥ、やれやれ。こうまで注目されては無視は出来ないな、仕方がない。
「そうですね、試合が始まるまでは俺も7:3でした」
「っ、そんな「ただし」 え?」
「ソーナ・シトリーが『7』、リアス・グレモリーが『3』です」
俺の言葉に魔王に堕天使総督、そして周りの貴族悪魔たちが驚愕する。
まぁ無理もない。確かに十日前までは俺もアザゼルや貴族連中と同じ見立てだったからな。
「ほほう、随分な自信だな。その自信の根拠はやはり、ソーナ達に施した修行ってことか?」
「ええ。もっとも修行のメニューを考えたのは呂布であって、俺は呂布の指示通りにサポートしただけですけどね。
ちなみに修行内容は『基礎を徹底的に鍛えた』だけです。ヴリトラの神器については、まぁすぐに分かるでしょう」
「曹操殿。『試合が始まるまでは』と言っていたが、今は違うということかな?」
「はい、試合が始まって両チームの初動を見て確信しました。この試合、10:0でソーナ・シトリーが勝ちます」
「なっ!」
「バカな!?」
「まだ試合は始まったばかりだぞ!?」
「ハッタリだ!!」
俺が自分の見解を伝えると貴族連中は騒ぎだす。まぁ連中はソーナ・シトリー達の今の実力を知らないし、この段階での勝敗の予想はあまりにも早計だろう。
しかしソーナ・シトリー達の今の実力を知っている俺や呂布からすれば、この段階で既に勝敗は決したと言っても過言ではない。
現にソーナ・シトリー達がまだ本陣から動かないのは、既にどう動くか............戦略がある程度決まっているからだ。
今は恐らく、偵察役からの『連絡』が来るのを待っているのだろう。
「っ、言うじゃねえか。その理由を是非とも教えてもらいたいな」
「アザゼルの言う通りだ。曹操殿、まだ試合は始まったばかりだというのに、そこまでハッキリと言える根拠は何なのかな?」
アザゼルとルシファーが不機嫌そうに尋ねてくる。自分の教え子や妹が試合の開始早々に敗北宣言を受けて苛立ったか? ふっ、随分と過保護なことだな。
「主な理由は三つ。一つは両チームの数です。先ほど総督殿は『才能』に関して述べられていましたが、ひとまずソレは置いておきましょう。
リアス・グレモリーの主力は『王』であるリアス・グレモリーを含め『女王』『騎士』『戦車』の四名。
しかし今回のゲームのルール上、リアス・グレモリーと姫島朱乃は高出力の攻撃を封じられているため、屋内では戦力としてカウントは出来ない。
つまり本ゲームにおいて、まともに戦えるのは『騎士』と『戦車』の二名だけ。
それに引き換えソーナ・シトリーのチームは八名。リアス・グレモリーにこの四倍の数を覆す秘策があるとは思えない」
「確かにそうだが、『数』が少ないのは最初から分かっていたことだ。だからこそ『才能』........『質』でソレを覆すんじゃねえか」
「アザゼルの言う通りだ。それにリアスにも何か作戦があるかもしれないだろう?」
「ありませんよ。言ったでしょう? 『初動を見て確信した』と。リアス・グレモリーの動きは明らかに秘策を持っている者の動きではない。
見てください、ただでさえ少ない戦力を.........しかも四倍もの数が開いている相手に対して分散させて進攻している。
少数をもって多数の敵を相手にするのであれば『分散させずに一塊となって各個に撃破する』のが基本。
しかも上に向かって攻めている。兵法にも『高きをもって低きを見よ。さすれば勢い、竹を裂くが如し』と言っているように、高所に陣を敷いた相手に低い所から攻めるのは、それだけで不利になるのです。『上』は人にとって死角ですからね」
「確かにアレは良くないね~~、みすみす不利な場所で戦おうとしているようなモノだもん。しかもせっかくの有利な地形を捨ててるし~~~」
「有利な地形を捨てる? ファルビウム、それはどういうことだ?」
「言葉通りの意味ですよ、ルシファー殿。攻め込めないのであれば、相手を自陣に誘き寄せて削っていくしかない。少なくとも同数になるまではね。
つまりは防衛戦ですが、幸いにもリアス・グレモリーの本陣の近くにはドラッグストアがある。
彼処であれば、応急手当に必要な薬や水分補給のための飲料水などが手に入るでしょうから、防衛戦や持久戦になった場合はリアス・グレモリーが有利になる。
それに本陣付近の壁や天井などを魔力で防護しておけば、リアス・グレモリー達の持ち味である『パワー』を屋内でも十分に生かして戦うことが出来ます」
「っ、しかし持久戦と言っても三時間しかないのだが?」
「逆ですね、『三時間も』あるんですよ。人は常に集中し続けることは出来ない。
ましてや実戦の空気から来る緊張感や興奮が加われば尚更です。二時間の防衛戦で敵の戦力と集中力を削り、残りの一時間で総攻撃をすれば、数で劣っていても十分おつりが来る」
「....................」
そう。普通何の訓練もしていなければ、集中力なんて三十分保てば良い方だ。
ましてや常に動き続けていれば、集中力と併せて体力もゴリゴリ削られる。サッカーやバスケが良い例だ。
俺たち『蒼天の紅旗』のように日頃から訓練をしているならともかく、実戦経験の少ない若手悪魔では三時間もの戦闘で常に集中し続けるなんて不可能だ。
「これが二つ目、リアス・グレモリーは『地の利の重要性を理解していない』。
眷属の力を信じているのかもしれませんが、だからと言って無策で突っ込ませるのは論外だ。あれじゃあ自分の眷属を自分で死なせているようなものですよ」
「「....................」」
俺の見立てにルシファーやアザゼルは黙ってしまい、そんな様子を見たセラフォルーは上機嫌に口を開いた。
「ウンウン☆ そうだよね、そうだよね♪ やっぱりソーナちゃん達が勝つよね☆」
「なるほど、確かに初動だけで判断すれば曹操の言うことは正しい。だがそれは互いの実力がほぼ同じ場合の話だろう? 肝心の『個々の能力』が抜けているぜ?」
「ああ、個人の戦闘能力を見れば、リアス達に軍配が上がるだろう。白兵戦に持ち込めば、リアス達にも勝ちの目はあるはずだ。何故リアス達が勝てないと言えるのかね?」
どうやらアザゼルやルシファーは、まだ『リアス・グレモリー達の才能』で勝てると思っているようだ。
甘いな、俺や呂布が『才能』......『生まれ持った能力』による力押しでどうにかなるような鍛え方をするはずがないだろう。
そんなものが通用するのは『格下だけ』ということは、神々........超常の存在を相手に修行して実証済みだ。
「ええ、それが三つ目です。皆さんは勘違いしているようですが、確かにリアス・グレモリー達はそれぞれがある一点においては秀でた能力を持っています。
しかしその他の部分、総合的な実力はソーナ・シトリー達の方が上なんですよ。個人としてもチームとしてもね」
「「「「!!!!!」」」」
「まさか!?」
「バカな!?たった十日間でそんなに強くなるはずがない!!」
「そうだ!出鱈目だ!!」
「出鱈目かどうかは試合を見ていれば分かります。ほら、ソーナ・シトリー達が動き出しますよ?」
スクリーンを見れば、ソーナ・シトリーが眷属達に指示を出している。どうやら『連絡』が来たようだ、眷属達がソーナ・シトリーの指示に沿って動いている。
さてリアス・グレモリーの布陣を確認する限り、恐らくソーナ・シトリーは『戦術プランB』でいくだろうな。
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「そうですか。リアスは本陣付近での防衛戦ではなく、二手に分かれて進攻しているのですね?」
『はい、会長』
偵察に出ていた憐耶から連絡が来た。私は試合の開始宣言と共に憐耶を一人偵察に出していた.........リアスの本陣付近まで。
憐耶はフロア中央の吹き抜けを一気に下りて、リアス本陣の付近まで最短ルートで到着したのである。
もちろん見通しが良く、吹き抜けになっているフロア中央を普通に移動したりすれば、周囲からは丸見えなので兵藤君達にすぐに気付かれてしまう。
しかし憐耶は祖母から魔法をいくつか受け継いでおり、その中には『風』を操る魔法もあった。
『風』を操れば周囲の状況を把握したり、自分の匂いを消したりすることが出来るので索敵・偵察にピッタリだ。
更には風の密度を上げて自分の周囲に纏わせることで、光の屈折率を変化させ姿を隠すことも出来る。リアスや兵藤君達に見つからなかったのはそのためだ。
今までの憐耶であれば『風』を操り姿を消したり周囲を調べたりするなど、そんな高度な術を扱うことは出来なかった。
しかし曹操殿からの基礎修行によって魔力コントロールをマスターしたことにより、『風』を使ったハイレベルの魔法・魔術が使用可能となったのである。
偵察に出ていた憐耶から連絡を受けた私は、すぐに用意していた作戦を皆に伝える。
「皆さん、リアスは戦力を二手に分けて私達の本陣へ向かって来ています。予定通り『戦術プランB』を基本に戦いを組み立てます」
『「「「「「「はい、会長!!」」」」」」』
今回のリアスとの試合のため、私は曹操殿に昨日の日中に作戦の相談をしていた。
その中で真っ先に結論付けたのは『この若手悪魔によるレーティングゲームでは複雑なルールを用いたゲームは組まれない』ということだった。
当然だ、レーティングゲームについては素人同然の私たち若手悪魔に複雑なルールのゲームをさせるわけがない。
恐らくゲームは最もシンプルな『王を倒した方の勝ち』というものになると予想していた。
もちろん今後のゲームの内容次第では特殊ルールを採用する可能性もあるが、少なくとも初戦でそんな試合はさせないと踏んだ。結果、予想は的中した。
私と曹操殿で考えた作戦は二つ。一つはリアスが数の不利を補うために、私達を本陣に引き込んで戦うことを選んだ場合を想定した『戦術プランA』。
もう一つはリアスが本陣から打って出てきた場合を想定した『戦術プランB』。
ちなみに私と曹操殿はリアスの攻撃的な性格を読んで、十中八九後者になると予想していた。
そして結果はまたもや予想通り。リアスは本陣から打って出てきた。しかも、少ない戦力を分散させたばかりか私達の本陣がある『上』の階を目指して............。
さすがに少ない戦力を更に少なくさせるとは思わなかったけど、これは明らかに悪手。ならば利用しない手は無い!
元々『戦術プランB』は本陣から出てきたリアス達を分断させることが作戦の第一段階だったが、手間が省けた。
後は予め取り決めていた眷属をそれぞれにぶつけていくだけ。ここからは状況に合わせて、如何にリアスをこちらの思惑通りに動かすかの勝負だ!!
「匙と留流子は北側階段で兵藤君と塔城さんを迎え撃って下さい。翼沙と巴柄は立体駐車場で木場君の相手を。桃は私と一緒に屋上へ。
憐耶はギャスパー君を無力化したら二階で椿姫と合流、その後は作戦通りに動いて下さい」
『「「「「「「了解!!!」」」」」」』
私が指示を出すと皆は各々移動を開始した。
これでいい。皆には必要な指示は昨日の夜のミーティングで既に伝えている、後は皆の判断に任せるのみ。
今の皆に私がアレコレ細かく指示を出す必要は無い。私が逐一指示を出さなくても、各々が臨機応変に対応してくれるはず。
この十日間でそれだけの実力を皆は身に付けてくれた。だから私の指示は必要最低限で十分.......それが皆の力を生かすことになる。
無論、どうしても判断がつかない場合や非常時はすぐに連絡するように言ってある。
本来なら分散しているリアスチームを私達が一塊となり、高低差を利用して各個撃破していくのが一番なのでしょう。
しかしこれはレーティングゲーム..........即ち【エンターテイメント】の一種。
選手は勝つことも大事だが、それと同時に『観客を盛り上げなくてはならない』。
あまりにも『勝ち』に拘った戦い方をすれば、勝っても負けても自分たちの評価を下げることになる。
それに今の私達にとって『民衆の支持』は重要なものだ、夢を叶えるために!!
だからこそ、こちらも本陣から出てリアス達の突撃を一度は受け止めなければならない。
その上で私達の実力を示し、誰にも文句を言わせない形で勝利する。
『エンターテイメント性』と『完璧な勝利』、これが今の私達に求められていること。
非常に困難だが、これぐらいやってのけなければ『民衆の支持』は集められない。ましてや時代を変え、夢を叶えることなど出来はしない!!
眷属の皆を見送った私は、自分の役割を果たすため桃と共に本陣を後にするのだった。
『高きをもって低きを見よ。さすれば勢い、竹を裂くが如し』
高い所からであれば、相手の動きが良く分かるので有利に戦うことが出来るため、危なげ無く勝つことが出来るという意味。
よく勘違いされているのが『高い所から下りる勢いを利用すれば、破竹のように簡単に敵を倒すことが出来る』という誤った意味ですね。
三国志演義で言えば、
正しい使い方:定軍山の戦いでの蜀軍
間違った使い方:街亭の戦いでの蜀軍
という感じですかね。