とうとう、そしてやはり一万文字を超えました。しかし、まだ終わりは見えないwww
「..........膠着してますわね」
「ええ、どうしたものかしら..........」
私は本陣で朱乃と今の状況について話し合っていた。ゲーム開始から概ね一時間が経とうとしている。
現在ギャスパーが落とされて白音は五階で仁村さんと、イッセーは四階で匙君と。祐斗は六階駐車場で巡さん&由良さんとそれぞれ戦っている。
戦況はほぼ五分五分といったところだろう........いや、ギャスパーがいない分こちらが若干押されているかしら?
でも、そこまで大きな差は出ていないと思う。だけどこの膠着状態を早く何とかしないといけない。
こうなったら私と朱乃が動くしかないわね。この状況だと、やはり祐斗の援護に向かった方が良いかしら?
「リアス、危ない!!」
「え?」
ヴィィィィン........ドガガガガァァァン!!
「クゥゥッ!!」
「朱乃!?」
私が朱乃に二人で祐斗の援護に向かおうと伝えようとすると、朱乃が突然私を呼んで陰陽術の盾で私を守る!
その瞬間、突如爆発音が私達の耳を襲った!!
今のは、魔力による攻撃!? いったい誰が!?
「朱乃、大丈夫!?」
「え、ええ......しかしあの魔力球、並大抵の威力ではありませんでしたわ。あれほどの魔力を扱えるのは..........!」
「残念、防がれてしまいましたか。仕方ありません、一度撤退しましょう」
タタタッ
っ、今のはソーナと椿姫さん!? そうか、戦況が膠着してきたから私達のいる本陣へ直接奇襲を仕掛けに来たわけね!!
やってくれるわね.........でも逃がしはしないわ! 本陣へ戻る前に仕留めてあげる!!
「逃がさないわ!追うわよ、朱乃!!」
「っ、え、ええ.........」
私と朱乃は本陣から出て、二人を追いかけることにした。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
【立体駐車場六階】
「ハァッ!」
「シッ!」
ガキィンッ!!バキィッ!
「クッ!!」
っ、まただ! もうかれこれ三十本近く、僕の聖魔剣が折られている!!
シトリーの『騎士』......確か巡さん?だったか。彼女の持つあの刀はいったい何なんだ!?
「........凄いね、その刀。僕の聖魔剣がまるで歯が立たない。どんな業物なんだい?」
「これ? これは呂布さんが作ってくれた刀だよ?」
「呂布さんが?」
「うん。呂布さんが魔術で土中の砂鉄を固めて作ってくれたんだ。もっとも、刃引きをしているから刀というより木刀に近いのかな? だから業物なんかじゃないよ」
っ、そんな簡単に作った刀で僕の聖魔剣を!? いくらあの人が作ったとはいえ、どうやって作ればあんな頑丈になるんだ!?
「メグ、無駄話しすぎ!今は試合中!!」
ブゥオン!
「チィッ!」
僕が目の前の理不尽に辟易していると、もう一人のシトリーの眷属。『戦車』の由良さんが攻撃してきた! しかも駐車場にあった車を振り回して!!
くっ、この『騎士』と『戦車』のコンビネーションはかなり厄介だ!
『騎士』の巡さんがこちらの攻撃を受け止めつつスピードと手数で僕の体勢を崩す、そこを『戦車』である由良さんの一撃で仕留める。
守りの『騎士』に攻撃の『戦車』、シンプルなフォーメーションなだけにつけ入る隙が無い!
特に由良さんの車を武器にするのは『戦車』ならではの戦い方だ。
しかも『車』もデパートの一部と見なされる場合、僕があの車を破壊しようものならペナルティを受ける可能性がある。
幸い立体駐車場はサッカーが出来るほどの広さがあるから、『騎士』のスピードを十分に生かせる。
しかしそれは巡さんも同じこと。いや、心なしかスピードは巡さんの方が速い気がする!
「たぁっ!」
バキィッ!
っ、また折られた! 巡さんはコツでも掴んだのか、僕の聖魔剣ではもう打ち合うことはおろか、一撃で破壊されるようになってきてしまった!!
でもソレはこちらも同じこと!!!
「ハァッ!」
ガキィンッ!バキッ
「っ!」
よし、巡さんの刀を砕いた!! 巡さんの刀も僕の聖魔剣との度重なる打ち合いで脆くなっていたようだ。大分消耗させられたけれど、聖魔剣はまだ作れる!
武器を失った巡さんをこのまま倒せば、あとは由良さんとの一対一。由良さんはスピードで翻弄しながら戦えば何とかなる!
「ハァァァァァァッ!!!」
僕は巡さんに渾身の一撃を与えようと聖魔剣を振り下ろす!!
ガキィンッ!!バキィッ!
「なっ!」
しかし気付けば巡さんの手には新しい刀が握られていた! それどころか逆に僕の聖魔剣の方が砕かれてしまった!
くっ、もう一本持っていたのか!? 恐らく異空間にでもしまっておいたのだろう。
けどマズイ! 今の斬撃に力を込めていたから、体勢が大きく崩れてしまった!!
「タァァァァッ!!」
ドゴォン!バキッ
「っ~~~~!!」
咄嗟に左腕でガードしたけど何て威力だ! まるで大型トラックに思いっきり跳ねられたような衝撃だ!!
しかも今の鈍い音、恐らく今の一撃で僕の左腕の骨は折れてしまっただろう。とても『騎士』のパワーとは思えない!
僕は思いっきり吹き飛ばされた後、地面をゴロゴロと転がっていく!しかしここで更に追撃が来た!!!
「でやぁっ!!」
ドカァァン!!
地面に転がって隙だらけの僕に、由良さんが車を思いっきり振り下ろしてきた!!
「ぐぅっ!!」
なんとか体を捻り転がって、由良さんの一撃をかわす! 由良さんの一撃で地面のコンクリートは派手な音を出して砕けた。
だけど、何で『車』は無傷なんだ!!!
普通あんな勢いよく車が地面に叩きつけられたら、車は半壊........いや、全損してもおかしくはないはずだ!!
なのに車は何事も無かったように無傷! いったいどうなっているんだ!?
「ちょっと由良!? そんな風に地面壊しちゃダメでしょ! ルール忘れたの!?」
「あっ! そうだった、ゴメンゴメン」
「っ、その車はいったい.........」
「ん? ああ、この車は私の『オーラ』で補強・強化してるんだよ。『周』って言うんだけどね。だから通常の車よりも遥かに頑丈になってるんだよ」
『周』!? オーラで物を強化するなんて.........たったの十日間でそんなことまで出来るようになったというのか!?
いったいどんな修行をしてきたんだ!? 匙君は『基礎修行』しかしてこなかったって言っていたけど.........!
いや、それよりも巡さんの方だ。
「っ.........驚いたよ、まさ二本目があるなんてね。ちなみにあとどれくらい持ってるか聞いてもいいかな?」
「ん? そうだね~~、たくさん作ってもらったから..........あと五十本ぐらいかな?」
..........ハァ、聞かなければ良かったと激しく後悔したよ。こっちが三十本ほど犠牲にしてようやく一本砕いたというのに............左腕の激痛と相まって心が折れそうだ。
残りの生成可能な聖魔剣の本数や左腕が使えない状況を鑑みても、僕一人であの二人を倒すのは不可能だ。
こうなったら、部長達が会長を倒してくれるまでひたすら時間稼ぎをするしかない。
すみません、部長さん、朱乃さん。あとを頼みます............!
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
【六階 電化製品フロア】
「食らいなさい、ハァッ!」
ズガァァァン!!
「『追憶の鏡 ミラーアリス』!!」
シュゥゥゥゥン..............。
くっ、まただ。また私の滅びの魔力が『吸収』された...........!
真羅さんが出したあの鏡.........恐らく『神器』でしょうけど、あの鏡に私の滅びの魔力や朱乃の雷光が全て吸収されている。
神器である以上、吸収出来る量には限界があるはず。だけど今回のゲームのルール上、高出力の攻撃は出来ない。
もし鏡ではなく、壁や天井に当たってしまえば何らかのペナルティを受ける可能性がある。
っ〜〜〜〜、もどかしいわね!!
それにさっきから二人はデパートの中をあちこち走り回りながら、こちらの攻撃を神器で吸収しているだけ。
もうかれこれ三十分ほどこんな追いかけっこをしている、いい加減こちらも疲れてきた。
何とか屋外に追い込まないと..........!
「朱乃! さっきから攻撃の手が止んでるわよ! アナタもちゃんと攻撃して!!」
「...................」
「朱乃!!」
朱乃は私の呼び掛けに反応せず、何かを考えているようだった。こんな時にいったい何を........ん?
「そろそろ予定の時刻です。このまま屋上へ行きますよ」
ソーナ達は中央のエスカレーターを駆け上がり、七階へ向かわずにそのまま屋上へ向かった!
っ、チャンスだわ! 自分達から屋上へ行ってくれるなんて!!
なるほど、屋内での戦闘ならソーナ達も全力で戦うことが出来ない。
どうやらソーナ達は屋上で決着をつけるつもりのようね。いいわ、屋上での戦闘はこちらも望むところ! 正面から『力』で消し飛ばしてあげるわ!!
リアスはソーナ達を追って屋上へ向かおうとする。
『おかしい..........』
しかし、朱乃は今のこの状況に奇妙な違和感を覚えていた。
『屋上での決着を望んでいるのなら、最初からまっすぐ向かっているはず。わざわざ店内を駆け回る必要は無い。
それにさっきからあの二人の攻撃は消極的過ぎる。真羅副会長は鏡でこちらの攻撃を防いでいるだけ、会長にいたっては軽い魔力の弾をこちらに飛ばしているだけ.........何かある』
幼少の頃から修行を受けていた朱乃だけは、二人の行動の『不自然さ』に気付いていた。
『そもそも最初の奇襲からあの二人の行動には違和感があった。会長は水と氷の魔術を得意としているはず。
しかし奇襲の時に使われていたのは、強力ではあったけど【無属性の魔力球】。
私達を仕留めるつもりなら最も強力な一撃を見舞うはず。どうして撃たなかったの?』
リアスに急かされて二人を追っては来たが、事ここに至って違和感は疑惑へと変わっていた。
『やっぱりおかしい。何かを見落としているような.........もしあの奇襲の時、最も強力な一撃を撃たなかったのではなく、【撃てなかった】のだとしたら?
つまり、あの奇襲は私達を本陣から誘い出すためのもの。だとしたらコレは........罠!?』
「リアス、すぐに戻りましょう!! それから祐斗君達も呼び戻して、一度態勢を立て直すべきよ!!」
『私の予想が正しければ、あの会長は..........!』
自分達の置かれている状況が危険なものだと判断した朱乃は、リアスに撤退を進言する。
「何言ってるの、朱乃! せっかくソーナ達を屋上まで追い詰めたのよ!? 屋上なら私達も全力で戦える! この好機を逃すわけにはいかないわ!!」
しかしリアスは朱乃の制止を聞かず屋上の扉を開け、屋上へと出ていこうとする。
「ダメよ、リアス!止まって!!」
バタンッ!
だが、朱乃の声はリアスに届くことはなかった。『王』を一人にするわけにはいかない朱乃はやむを得ずに屋上へと出る。
「ようこそ、リアス、朱乃。待っていましたよ」
そこには真羅椿姫と花戒桃を従えた『二人の』ソーナ・シトリーが屋上の中央に立っていた。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
「なっ、ソーナが..........二人!?」
どういうこと!? どうしてソーナが二人もいるのよ!? それに『待っていた』ということはソーナはずっと屋上にいたってこと!?
なら、私達が追いかけていたソーナは..........!
「やはり........私達が追っていたのは『ソーナ会長』ではなかったのですね?」
「フッ、流石ですね、朱乃。その通りです」
『ソーナ』じゃない!? じゃあ私達はいったい誰を..........!?
私が目の前の二人のソーナを見比べていると、突然片方のソーナの姿がブレ始める! あ、あれは!?
「草下さん!?」
「はい。貴方達が追いかけていたのは、魔術で私の姿に偽装した『草下憐耶』です」
っ、何てことなの! こんな単純な手に引っ掛かるなんて..........!
「魔術で見た目だけを変えるのは然程難しくはありません。ましてや同じ背格好の人物に偽装するなら尚更です」
くっ、確かにその程度の術なら少し魔術に心得がある者なら簡単に出来る。
でも、どうしてわざわざ草下さんをソーナに偽装させたのかしら?
「なるほど、上手く引っ掛けられたってわけね。それで? そんな小細工をした理由はいったい何なの?」
「それはもちろん、貴方達を屋上へ誘き寄せるためですよ。あとは下準備のための時間稼ぎ、でしょうか」
どういうこと? 私達を誘き寄せるのは分かるけど、下準備って..........。
「この試合、私達が目指していたのは単なる勝利ではありません。『完璧なる勝利』です」
「『完璧なる勝利』?」
「ええ、勝とうと思えばもっと効率の良い方法があったんですよ。例えばこのまま屋内での戦闘を続け、各個に撃破していくとか。
しかしレーティングゲームはエンターテイメントでもあります。あまりにも勝ちに拘った戦い方は評価を下げることになります。仮に勝ったとしてもね」
確かに、レーティングゲームはエンターテイメントとしての一面もある。
その性質上、ハメ戦法やガチガチの勝ちに固執した戦い方は何故なら客が盛り上がらないため嫌われる傾向にある。
だからこそ、『勝ち』の中に観客に驚きと感動を与える演出を盛り込むのがトッププレイヤーだ。
けど正直、今回の若手悪魔同士のレーティングゲームではそこまでの要求はされていない。
レーティングゲームの経験自体が少ない若手悪魔の演出なんて、たかが知れているし、何よりそれで負けては元も子もない。
「だから貴方達を屋外へ誘き寄せたのです。間違っても『全力を発揮できれば勝てていた』などと言わせないために。そして貴方達が全力を出せるようにね」
「っ、随分な自信ね。自分達が負ける可能性は考えないのかしら?」
「ええ、言ったはずですよ。『下準備のための時間稼ぎ』でもあったと。椿姫、首尾はどうですか?」
「はい、リアス部長につきましては問題ありません。ですが、姫島副部長については思うように溜まりませんでした........どうやら警戒されていたようです」
「そうですか..........では予定通り、椿姫と桃はリアスを。朱乃は私と憐耶で相手をします」
っ、私の相手を真羅さんと花戒さんに任せるですって!? あの慎重なソーナがそんなことを言うなんて..........!
ソーナは私の実力を知っているはず、てっきり屋上で『王』同士の戦いを望んでいるのだとばかり思っていたけど違うと言うの!?
しかしソーナは私のことは気にしない様子で自分の耳に手を当てる。
「全員へ通達。作戦通り、リアスと朱乃の二人を屋上へ誘い出すことに成功しました。各員『全力』をもって敵を倒し、こちらに合流してください」
『『『『了解!!』』』』
「では、まず貴方達を分断させてもらいます............ハァァァッ!」
ドカァァンッ!!
っ、ソーナが魔力を発すると突然、屋上にある貯水タンクの全ての蓋が吹き飛び、中にある水が一斉にソーナへ集まっていく!!
っ、そうか! ソーナが屋上へ私達を連れ出したのはこのため!!
このデパートはかなりの大きさを誇る。無論、デパートに供給する貯水タンクの水も相当な量になる。恐らく数トンは下らないだろう。
それほどの量の水を利用して放たれる魔術は、自分の魔力で水を生み出して放つ魔術よりも遥かに強力になるはず!!
「お喰らいなさい! 『大水蛇 オオミズチ』!!」
シャアアアアアアアアアアアア!!!!
ソーナの下に集まった大量の水は巨大な蛇となり、勢いよく朱乃に襲い掛かった!!
「朱乃!!」
「くっ、『雷光』よ!!」
ズガガガガァァァァン!!!
朱乃の雷光が巨蛇に向かって迸る!! 屋外に出たことにより、朱乃は本来のパワーで雷光を放てるようになった。
しかもその威力は修行によって更にパワーアップしている!!
パシィィィンッ!
「なっ!!」
しかし朱乃の放った高出力の雷光は巨蛇の身体に弾かれてしまった! そんな、どうして!?
「きゃあああああ!!」
バクッ!!
「朱乃!!」
驚愕している私や朱乃に構わず巨蛇が朱乃を飲み込んで地上に向かっていってしまった!!
そしてソーナと草下さんも巨蛇の後を追いかけて下りていく。
「椿姫、桃! こちらは任せましたよ!!」
「「はい、会長!!」」
「くっ、朱乃!!」
「行かせません!ハアッ!!」
ブゥン!!
「っ!」
私も朱乃を助けるべく追いかけようとするも、ソーナの指示を受けた真羅さんが薙刀を使って阻止してくる! さらに花戒さんが先回りして私の行く手を阻んでいる。
っ、仕方ない.........こうなったらこの二人を倒して、朱乃の下へ行くしかない!
「喰らいなさい、ハアッ!!」
ズガァァァァァンッ!!!
私は滅びの魔力を真羅さんへ放つ!! さっきまでは屋内だったから威力を抑えていたけど、今はそんな制約は無い!!!
「『追憶の鏡 ミラーアリス』!!」
キィン............ズガァァァァァンッ!!!
「ッ、キャアッ!!」
な、何、今の!? 私の放った魔力が鏡に当たった瞬間、跳ね返された!? あの鏡、いや神器の能力は『吸収』するだけじゃなかったの!?
カウンター系の能力..........これじゃあ迂闊に攻撃が出来ない! こうなったら先に花戒さんを狙って、少なくとも一対一の状況にしないと!!
「リアス部長、花戒を狙っていますね?」
「っ!」
「カウンターを持つ私相手では相性が悪いと判断し、先に花戒を倒して一対一の状況に持っていこうとしたのでしょうが..........そうはいきません!!」
≪禁手化 バランスブレイク≫!!!
突然、真羅さんの出していた鏡が姿を変えていく!?
そ、そんな、『禁手化 バランスブレイク』!? 真羅さんが神器所持者であることは事前情報で知っていたけれど..........この十日間で『禁手 バランスブレイカー』に至ったって言うの!?
キュアアアアアアアアアアアッ!!!!
そして鏡は全長五メートルほどの巨大な怪鳥へと変貌した!!
「くっ....確かに『禁手化』には驚いたけど出てきたのは、ただ大きいだけの鳥。何の問題も無いわ、ハアッ!!」
ズガガガァァァァァンッ!!!
私は滅びの魔力を怪鳥に放つ、今度はさっきとは違いほぼ全力だ!!
ピシャァンッ!
「なっ! 効いて、いない!?」
だけど私の放った滅びの魔力は怪鳥に直撃したが、弾かれ霧散してしまった! まるでさっきの朱乃のように。
これは、いったい..........?
「無駄ですよ、リアス部長。貴方の滅びの魔力は、もう私には通用しません」
「なっ! どういうこと!?」
「これが私の神器の禁手『忘郷の茶会 ノスタルジア・マッド・ティー・パーティ 』。鏡で受けた相手の攻撃を鏡自身が『学習』し、その相手に対する『強さ』を持つ魔物を生み出す能力です」
っ、相手の力に耐性を持つ魔物!? じゃあ私の魔力はあの怪鳥には通じないってこと!?
っ、そうか! 店内をあちこち走り回っていたのは、このためだったのね!!
屋内で滅びの魔力を使わせ、神器に私の魔力を学習させるために!!!
マズイわ! 滅びの魔力どころか『私の魔力そのもの』が通じないんじゃあ、私にはもう打つ手が無い。
「どうやら気付いたようですね。ですが、もう手遅れです。行きなさい!!」
キュアアアアアアッ!!!
けたたましい鳴き声と共に怪鳥が私に襲ってきた!!
一方その頃の地上。
ドッパァァァァァァァンッ!!!!
「ゲホッ、ゲホッ!! っ、こ、ここは........正面ゲート?」
どうやら屋上から地上..........デパートの東側にある車が出入りするための正面ゲートまで落とされてしまったようだ。
くっ、濡れた服が身体にへばりついて気持ち悪い.....ハッ、いけない! すぐにリアスと合流しないと!!
「そうはいきませんよ、朱乃」
私がリアスの所へ向かおうとすると、上空からソーナ会長と草下さんが下りてきた。やはり、そう簡単にはいきませんわよね。
キュアアアアアアッ!!!
突然、屋上から奇怪な鳴き声が響いてきた! 今のは..........!?
「あれは椿姫ですね。恐らく『禁手』になったんでしょう」
『禁手』!? この短期間に真羅副会長は『禁手』に至ったというの!?
いったいどんな修行をすればそんなことが可能になるの!?
「さて、こちらも始めましょうか.........朱乃、撃ってきてください」
「なっ、どういう意味ですか!?」
「言葉通りの意味ですよ。全力の『雷光』を私達に撃ってください、と言っているのです。ここは屋外、貴方の『雷光』もここなら全力で使えるはずです」
「っ..........どういうつもりですか?」
「フフ、安心してください。『この攻撃に対して』何か罠が発動することはありません。
言ったはずですよ、私達が目指しているのは『完璧な勝利』だと。貴方の自慢の『雷光』、見事防ぎきって見せましょう」
「.....................」
「どうしました? 上手くいけば、これで私を倒せるかもしれないというのに。それに雷光を最大出力で撃てるチャンスは、これが最後だと思いますよ?」
確かに..........ソーナ会長の言う通り、ここなら私の『雷光』を思いっきり放てる。
それに最大出力で放とうとするなら一定の『溜め』が必要になる。しかし、そんな猶予を会長達が与えてくれるとは思えない。
それに会長は『完璧な勝利』を目指していると言った。ならカウンター系の罠などは無いはず。恐らく私の雷光を防ぎきる秘策があるのだろう。
だけど気になるのは、さっきの『水の蛇』。どうして私の雷光が弾かれたのか........恐らくそれこそが会長の秘策。
「撃たないのですか? ならこのまま詰めさせてもらいますよ」
っ、仕方ない、ここは相手の誘いに乗るしかない!!
もちろん不安はある。しかしこのままではジリ貧になるのは明白! なら一か八か、最大パワーの雷光で二人をまとめて倒すしかない!!
未だ会長の能力の秘密は分からないけれど、修行によってパワーアップした私の雷光ならあるいは..........!
「..........いいでしょう。お望みどおり、最大出力でお見舞いしてあげますわ。私の『雷光』を!!」
ズシャンッ、ズシャァン、ズシャァァァァァンッッ!!!
私が魔力を上空へ向けると雷雲が生まれる! この術は雷雲を作り、そのエネルギーを利用して放つ術。
自然現象を利用するため、その威力は一個人の魔力で放たれる普通の術とは威力も規模も桁違いだ! この術なら!!
「っ、なるほど、雷雲......自然現象によって生まれるエネルギーを利用して『雷光』を放つ技ですか。いいでしょう、来なさい!!」
「行きますわよ!!」
≪神鳴 カミナリ≫!!!
ドガガガガガガガァァァァァァァァァン!!!!
天から降る巨大な雷、それは正しく神の怒りを思わせるほどの迫力があった。
凄まじい爆音とともに生まれた大量の煙によって、一時的に視界がゼロになる.............そして煙が晴れていく。
「ハア、ハア、ハア.......ゲホッ! っ〜〜〜〜、さすがに........今のは、応えましたわね........ハア、ハア」
≪神鳴 かみなり≫。今の私が放てる最大の一撃。あまりにも消耗が激しいので、一日一発しか撃てないがその威力はアザゼル先生も太鼓判を押すほどだ。
アザゼル先生曰く『直撃すれば、魔王でも無傷ではいられない』とか。これなら..............。
「良い一撃でした、申し分の無い威力です」
っ、ま、まさかっ!?
「ですが.........惜しかったですね」
声の方へ目を向けるとそこには、水の球体に包まれたソーナ会長と草下さんがいた!!
まさか、あの水の球体で防いだと言うの!? 私の最大の一撃を!?
「そんな、どうして.......その水はいったい...........!」
「これは私が魔力で精製した電導率0%の超純水.......つまりは『真水』です、『真水』は電気を通しませんからね。
それに『光』は熱と粒子で出来ているので、水に当たると拡散するんですよ」
『真水』!? しかも電導率ゼロの『超純水』だなんて!? 確かに理屈としては分かる、私の『雷光』が通用しなかったのも。
けどそれほどの代物を生み出すなんて、極めて繊細かつ高度な魔力コントロールが必要なはず!!
いったい、どうやって..........!?
「呂布殿の修行により、魔力コントロールの基礎を徹底的に鍛えられましたからね。
魔力で水の成分の中から、電解質のみ取り出すことも可能になったのです」
「奉先様の!? じゃあ、あの蛇は!!」
「はい、時間はたくさんありましたからね。二人が屋上へ来る前に貯水タンクの水を私の魔力を使って、全て『超純水』に変えておいたのです」
っ........やられた。そこまで計算した上で私とリアスを屋上へ誘き寄せるだなんて!
実力もさることながら、この戦略眼はとても同年代だとは思えない。
? そういえば、いつのまにか私達を煙が覆っている。先ほどの『神鳴』の影響にしては煙の量が多すぎる。
これはいったい...........?
「気付きましたか、煙と混ざって分からなかったでしょう? そうです、これは煙ではなく『霧』。
椿姫と憐耶が時間を稼いでくれている間に、私の魔力でこの辺り一帯の湿度を上げて『霧』を作っておいたのです。もちろん、この『霧』も『超純水』で出来ています」
なっ、この霧すべてが!? じゃあ、ソーナ会長はこの霧の水分も自由に操れるというの!?
先ほど言っていた『時間稼ぎ』は貯水タンクの水を超純水に変えるだけではなく、建物の周囲を超純水の霧で包み込むため!
こ、この人、いったい何手先まで考えているの!?
「つまり、この周囲一帯は私のテリトリーということです。貴方に勝ち目はありませんよ、朱乃」
地面から水の蛇が何匹も生えてきて、会長の周りを取り囲む。先ほどの巨蛇よりも小さいが数が多い! 恐らくあの蛇たちも超純水で出来ているはず。
っ〜〜〜〜、会長の言う通り、打つ手が無い..........!
明らかに不利な戦いに身を投じる私を水蛇たちが襲い掛かってきた。
このリアス戦では、花戒さんはあまり活躍しないと思います。
あの子は『僧侶』でサポートタイプですので、『オーラ』でサポートタイプを活躍させるとしたら【ハンター×ハンター】の『ジョイントタイプ』になると思ったのですが、さすがに十日間ではそこまで伸ばせないと判断しました。
あと椿姫の神器の禁手化は少し性能を弄りました。