深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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ようやく、リアスとのレーティングゲームが終わりそうです。






第六十九話

 

 

 

 

 

 

デパート四階

 

 

 

 

 

 

ドカッ! ドカッ!! ドゴォッ!!!

 

「ぐうっっ!!」

 

 

匙のボクシングスタイルから繰り出されるジャブやストレートパンチによって、俺の身体は吹っ飛ばされる!!

 

ちくしょう、なんつーパワーだよ! 『赤龍帝の籠手』でガードしてんのに、まるでバットでぶん殴られたような衝撃が来やがる!!

 

こんなパンチ、生身でなんかとても受けられねーぞ!!

 

 

「どうした兵藤! 守ってばっかじゃ勝てねーぞ!!」

 

 

匙のヤツ、言ってくれやがって..........だが、今はとにかく力が溜まるまで我慢だ。

 

何度か試したが、今の匙を倒すには『赤龍帝の籠手』の力を十や二十溜めるだけじゃダメだ。俺が溜められる限界まで溜めないと..........!!

 

 

「だらぁっ!!」

 

バキィィッ!!!

 

 

匙の勢いと体重の乗った右ストレートにより、また俺は吹っ飛ばされる!!

 

クソッ、いくら籠手でガードしてるといっても衝撃は腕に通る! だんだんと左腕の感覚が無くなってきた。

このままだとパワーが溜まる前にヤられちまう.........クッソ、あと少しだってのに!!

 

 

「........了解!!」

 

? 匙が急に耳に手を当てて返事をしてる。何だ、通信か?

 

 

「悪いな、兵藤。会長からの指示だ。こっから先は『全力』でやらせてもらうぜ!」

 

「なっ、どういうことだよ!? 今までは全力じゃなかったって言うのかよ!?」

 

俺は匙の発言に驚く! 嘘だろ、こっちはいっぱいいっぱいだってのに..........!!

 

 

「まぁな。リアス先輩と姫島先輩を屋上へ誘き寄せるまでは『敵は倒さず膠着状態を作れ』っていうのが会長からの指示だったからな」

 

「っ.......おいおい、さすがにハッタリが過ぎるんじゃねえか? それだと俺のことなんかいつでも倒すことが出来たって聞こえるぜ?」

 

「別にハッタリじゃねえんだけどなぁ.........ところで兵藤、パワーはまだ溜まらないのか?」

 

なっ!? コイツ、気付いてやがったのか!?

 

「さっきからずっと溜めてるみたいだったからな。せっかくだから限界まで溜まるまで待ってやるよ」

 

「なっ、どういうつもりだ!? 馬鹿にしてんのか、テメエ!?」

 

「別に馬鹿にはしてねえよ。ただ俺達の目的は『完璧な勝利』だからな。

『~すれば勝てた』なんて言い訳をさせないために、お前には全力を出してもらわないと困るんだよ」

 

『完璧な勝利』だと!? ふざけやがってぇ~~、上等だ!!

 

だったらお望みどおり、限界まで溜めたパワーを開放して一気にぶっ倒してやるよ!!

 

≪Boost!!≫

 

来た! 丁度良いタイミングだ!! これで六十回、今の俺が溜められる最大回数!!!

 

見てろよ、匙!後悔させてやるぜ!!

 

 

≪Explosion!!≫

 

カッ! キィィィィィィン!!

 

俺が今まで溜めたエネルギーを開放すると、今までにないくらいのパワーがみなぎってくる!!

 

 

「おっ! ようやく溜まったみたいだな。ヨシヨシ♪ じゃあ、俺も『全力』を出させてもらうか!!」

 

「へっ、またハッタリか? そんなもんが俺に通用するかよ!!」

 

 

「だからハッタリじゃねえって。よく見てろ..........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「≪禁手化 バランスブレイク≫!!!」

 

 

 

≪Prison Dragon Balance Breaker!!!≫

 

 

 

 

 

匙が叫ぶと匙の身体が黒いオーラのようなものを出しながら、黒く光りだす!!

 

なっ! 『禁手』!? アイツ、新しい神器を手に入れたばかりか『禁手化』にすら至ったって言うのかよ!?

 

強烈な光りが収まるとそこには、漆黒の鎧に身を包んだ『龍戦士』が立っていた..........!!

 

 

「そ、その姿は..........!?」

 

「これが俺の禁手、『八獄龍王の黒鎧 マレボルジュプリズン・ブレイズメイル 』だ」

 

 

龍を模したヘルム、両肩は隆起していて盾を思わせるような突起が生えている。

そして、あの白龍皇ってヤツと対になるような漆黒の鎧............信じられねえ、これが本当にあの『匙』か!?

 

 

「くっ! 『禁手』か何か知らねえが、パワーアップしたのはお前だけじゃねえ!! 喰らいやがれ、ドラゴン・ショットォォォ!!!」

 

バシュュュュュンッ!!!

 

俺は全エネルギーを込めたドラゴン・ショットを匙に向かって放った!!

 

ルールでは建物を壊さないように言われてるが、この際仕方ない! 多少のペナルティは覚悟の上だ!!

 

 

「『黒炎の牢獄 ブレイズ・デリート』」

 

ゴォォォォォォォッッ!!! シュゥゥゥゥゥ.........

 

 

「なっ!? 俺のドラゴンショットが.........」

 

俺のドラゴンショットは匙の掌から放たれた黒い炎の渦に飲み込まれて消えちまった! 何なんだ、あの炎は!?

 

「今のはヴリトラの四つの神器の一つ、『漆黒の領域 デリート・フィールド』の能力だ。この黒炎は魔力やオーラといったエネルギーを燃やし尽くす」

 

っ、じゃあいくらパワーを上げて魔力を撃っても意味が無えってことかよ!?

 

鎧を纏っている上に禁手になる前ですら追い込まれていた以上、肉弾戦じゃあ勝ち目が無い! どうすりゃあいいんだよ.........!

 

 

「悩んでるところ悪りぃんだがよ.........さっきも言った通り、こっからは『全力』だ!『ライン』よ!!」

 

バシュンッ! バシュンッ!! バシュュンッ!!!

ギュルルルルルルッ!

 

今度は匙の背中から鏃の付いた尻尾のような物が八本ほど伸びてきて、俺を雁字搦めにした!!

 

くそっ! 全然振り解けねえ!! 今度はいったい何をする気だ!!

 

 

「お前も見たことがあるだろう? これは俺が元々持っていた神器『黒い龍脈 アブソーブション・ライン』だ。コイツの使い方はギャスパー君との特訓で知ってるだろう?」

 

っ、まさか..........!?

 

 

「『吸い尽くせ』!!」

 

ギュオオオオオオオオオオ!!

 

 

グゥゥゥッッ! 倍加した力が、どんどん吸われていく..........!

 

 

そうして全ての力を吸われた俺はその場で膝を付いてしまった。

 

クソッ! これじゃあ、いくら倍加して強くなっても同じことの繰り返しになっちまう!!

 

それに、もう倍加を最大回数まで溜められるだけの体力が............。

 

 

「さてと.........そろそろ終わらせるか」

 

グウォッ!

 

匙はゆっくり歩いてきて俺の襟を掴んで持ち上げる!! そして襟を掴み上げられ、苦しんでいる俺に匙は淡々と告げてくる。

 

 

「兵藤、歯ぁ食いしばれ」

 

バキィィッ! ドカァァンッッッ!!!

 

 

 

っ~~~~~~!!!

 

匙に顔面をおもいっきりぶん殴られた俺は、いきおいよく壁まで吹っ飛ばされた!!

 

 

痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 

 

恐らく鼻の骨が折れたのだろう、壁に激突した俺を激痛が襲ってきた!!

 

ヤバい、意識が飛びそうだ............でも!!

 

 

「ぐっ、ぐぅぅぅぅぅ........!」

 

「へえ、まだ立てるのか。やっぱり根性だけは大したモンだ」

 

「っ、あったりまえだろうが..........こちとら伊達に元龍王相手に追いかけ回されてねぇんだよ。まだまだこっからだ..........!!」

 

 

そうだ、あのタンニーンのおっさんとの修行を思い出せ...........!

 

いくら匙が禁手になったからって、タンニーンのおっさんほど強くはない。

倍加の力は溜められないけど、あの修行で培った『根性』でとことんへばりついてやる!!

 

 

「いいや、もう終わりだよ。さっきも言っただろう? 『終わらせる』って」

 

「なっ、何を言ってやがる! 俺はまだ..........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラァッ.......バタン..........。

 

 

 

あれ.......何で俺、倒れてんだ? それに、何だか視界もボヤけて.............。

 

 

倒れている俺に匙が俺の右腕を差して告げてくる。

 

「その赤いラインはただの飾りじゃあない。それはお前の血液を少しずつ抜き取ってるのさ、献血の要領でな」

 

俺の血を!? じゃあこの赤いのは俺の血だってのか!!

 

 

「お前のしぶとさは十分知っているつもりだ。なにせ生徒会や教師に何度注意されても、覗きとかの変態行為を止めなかったほどだからな。そんなわけで保険を掛けさせてもらったぜ」

 

 

ぐっ! ダ、ダメだ。立つどころか、意識すら遠のいてきた...........。

 

「知ってるか? 血液ってのは一リットル以上失うと命に関わるんだよ。もっともレーティングゲームの保護機能が働いて、その前に強制リタイアになるだろうがな」

 

強制リタイア!? くそっ、あの赤いのはそのための物だったのか...........!

 

「お前はしぶといからな。悪いがルールを利用して、こういう倒し方をさせてもらうぜ。

ちなみにこの戦法は呂布師匠から教わったもんだ。師匠曰く『極めればどんな格上相手でも倒せる』らしい........やっぱあの人凄えわ」

 

呂布.........あの野郎、余計なことを............!

 

 

「じゃあな、兵藤........『俺』は先に行く」

 

 

匙は横たわる俺に背中を向けて去っていく。

 

ちくしょう! ちくしょう!! ちく........しょう.........。

 

 

 

心の中で叫ぶことしかできない俺だったが、やがて目の前が真っ黒になった。

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

デパート五階

 

 

 

 

 

 

『リアス・グレモリーの兵士、撃破』

 

 

 

 

 

っ、イッセー先輩!? そんな.........!

 

 

「およっ? どうやら匙先輩が兵藤先輩を倒したみたいだね。よしよし、予定通り予定通り♪」

 

「っ.........『予定通り』とはどういう意味ですか?」

 

「ん? ああ、気にしないで。こっちの話こっちの話♪」

 

「?」

 

『さっきの会長からの連絡。アレは作戦通り、リアス先輩と姫島先輩を屋上に誘き寄せたっていう連絡だったんだけど、同時に『勝つために全力で戦いなさい』っていう合図でもあったんだよね。

だから、このタイミングで匙先輩が兵藤先輩を倒すのは「予定通り」ってことなんだけど........言わない方がいいよね、一応こっちの作戦なわけだし。匙先輩なら調子に乗って喋っちゃいそうだけど』

 

 

私が疑問符を浮かべていると、中央の吹き抜けから何か黒いモノが上がってきた! アレは.........何?

 

 

「待たせたな、仁村。よくここまで白音ちゃんを抑えてくれた!!」

 

「匙先輩! お疲れ様です♪」

 

匙先輩!? アレが!? それに、あの黒い鎧はいったい..........!!

 

「匙先輩、その姿は........!?」

 

「ん? ああ、コレか? コレは俺の神器の禁手さ♪ カッコいいだろ?」

 

禁手!? 匙先輩は既に禁手に至っているっていうの!? じゃあイッセー先輩を倒したのも禁手の力!?

 

私は目の前の光景に愕然としているが、匙先輩はすぐに戦闘態勢に入る。

 

 

「さってと、白音ちゃん。来て早々で悪いが、ソッコーで倒させてもらうぜ? 『ライン』よ!!」

 

バシュンッ! バシュンッ!! バシュュンッ!!!

ギュルルルルルルッ!

 

 

っ、匙先輩の背中からいきなり八本の触手が伸びてきて私を捉えた!!

 

ぐぅっ!! 私の力でも引きちぎるどころか、身動き一つ出来ない! 何ていうパワー..........!!

 

 

「白音ちゃんも見たことがあるだろう? コレは『黒い龍脈』、俺が元々持っていた神器さ。

この神器は『黒い龍脈』をはじめ、四つのヴリトラの神器の能力を宿しているんだ」

 

神器の能力を四つも!? 『倍加』と『譲渡』の力を持つイッセー先輩の『赤龍帝の籠手』に匹敵する性能だ!!

 

 

「本当は兵藤みたいに白音ちゃんのエネルギーを吸い取りたいところなんだが、白音ちゃんの持っている『自然エネルギー』は危険だから吸収するなって呂布師匠に言われてるからな。なのでこうさせてもらうぜ、『黒炎の牢獄』!!」

 

ジリジリジリッ............ブォォォォォォォッ!!!

 

 

匙先輩から発せられた黒い炎が、触手を伝って私の身体に!? でも全然熱くない! どうして?

 

「心配いらないぜ。その炎が燃やすのは魔力などの『エネルギー』だけだ。

白音ちゃんの身体には火傷一つ残らないから安心しな。現に熱くはないだろう?」

 

っ、確かに熱くはないけど........でも力がどんどん抜けて..........!

 

 

「まあ、その炎は魔力だけじゃなく身体エネルギー........体力や自然エネルギーも燃やす。当然、体力がゼロになったら気絶して『撃破』扱いになるぜ?」

 

 

ぐぅっ、ダメ.......もう、意識が........ごめんなさい、部長...........。

 

 

 

『リアス・グレモリーの戦車、撃破』

 

 

 

白音が光の粒子となって消えていき、それを見た匙はひとまず自分の仕事を終えたことで安堵する。

 

 

「ふぅ~、こっちは片付いたな。由良や巡の方も、もうじき片付くだろうし。予定通り俺たちはこのまま会長の所へ向かうぞ、仁村」

 

 

「はい! あっ、そうだ匙先輩。会長の所へ行く前にあそこに寄っていかないと!!」

 

「あそこ? っ、ああ、そうだった! すっかり忘れてたぜ。よし仁村、急ぐぞ!!」

 

「はい、匙先輩!!」

 

 

匙と仁村は中央の吹き抜けから一気に一階へ下りていった。

 

 

 

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

【VIPルーム】

 

 

 

 

「馬鹿な! 『禁手』だと!? しかも二人も!!」

 

 

 

総督殿が驚きながら勢いよく立ち上がる。まぁ驚くのも無理はないか。

なにせ僅か十日間で二つの神器が禁手に至ったんだからな。しかも一つは新しく生まれた神器だ。

 

 

「別に不思議ではないでしょう。そもそも『禁手』に必要なのは『神器の習熟度』ではなく、『所有者の劇的な変化』ですからね」

 

「そんなことは分かってる! だが十日間で二人とも禁手に至るなんて、どう考えてもありえねえだろ!!」

 

「そうは言っても、実際に有り得ていますが?」

 

「ぐっ..............!」

 

俺はあわてふためくアザゼルの様子が面白いので、ついついからかってしまう。

 

 

「フゥ、分かった........それは認める。じゃあせめて、あの二つの禁手化を教えてくれ! 気になってしょうがねぇ!!」

 

ふむ、存外物分りが良いな。しかしこうも簡単に白旗を上げられたのでは面白味が無い。

かと言って調子に乗ってからかい過ぎると後が面倒だし、この辺りが引き時か。

 

それにあの二人の能力については神々も気になっているようだしな。

 

 

「フゥ、匙元士郎については元々あった四つの神器をそれぞれ扱えるようになっただけではなく、掛け合わせて使うことも可能になりました。

ただ『禁手』になると出力が上がってしまうため、通常時ならともかく『禁手』の状態で扱えるのは、現状『黒い龍脈』と『漆黒の領域』だけです」

 

「つまり修行次第で四つ全ての能力を『禁手』の状態で使えるようになるってわけか。

いや、掛け合わせも可能だってんなら最大15通りか。伸び代がハンパねえな、もはや神滅具クラスじゃねえか.........!」

 

 

さすがはアザゼルだ。一目であの『黒龍王の手甲』.......そして『八獄龍王の黒鎧』のポテンシャルを見抜くとはな。伊達に神器研究の第一人者ではないということか。

 

ブツブツ考察をしているアザゼルを他所に、今度はルシファーが尋ねてくる。

 

 

「では真羅くんの禁手は具体的にどのような能力なのかね? 本人は神器自体が『学習する』と言っていたが?」

 

「ええ、真羅椿姫の神器は『吸収』と『反射』の二種類の鏡を扱う『追憶の鏡』の亜種です。

そして禁手は『忘郷の茶会』、これは鏡が吸収または反射したことによって溜まる..........『学習ゲージ』とでも呼びましょうか。

この『学習ゲージ』が一定量溜まることで使える『禁手の亜種』です」

 

「『追憶の鏡』は俺も知っている。本来は『反射』しか出来ない鏡に『吸収』が加わるとはな。通常時で亜種なら禁手も亜種ってわけか」

 

「正確には、亜種の禁手に至ったことで通常の『追憶の鏡』も亜種になったんですよ。禁手に至るまでは通常の『反射』の鏡しか使えませんでした」

 

「ほう、それは新説だな! ますます興味が湧いたぜ!!」

 

 

ハァ、本当に研究バカだな。一応、教え子がピンチだというのに。

 

 

「曹操殿、あの鏡は何でも吸収・反射が出来るのかい?」

 

「いいえ、それぞれの鏡には『許容量』というものがあります。『吸収』は『許容量』は少ないですが、その分『学習ゲージ』が溜まりやすい。

一方、『反射』は『許容量』は多いですが『学習ゲージ』が溜まりにくい.........一長一短ですね。また物理攻撃の場合、『反射』は出来ますが『吸収』は出来ません

ちなみに『学習ゲージ』は24時間でリセットされます。禁手化になるならないに限らずね」

 

 

「なるほどね~~、だから屋内をあんなに走り回ってたんだね~~~。

屋内であれば高出力では攻撃できないから~~『吸収』の鏡で『学習ゲージ』を溜めやすいからね~~~~」

 

「そうか.......真羅くんがソーナに化けた草下くんを連れてリアスを奇襲したのは、リアスを挑発するため。

戦況が膠着すれば攻撃的なリアスは自分で動こうとするはず。そうして本陣から誘い出したリアスに滅びの魔力を使わせ、神器に学習させていたわけか」

 

「ええ。思うように攻撃出来ないリアス・グレモリーはソーナ・シトリーの思惑通り、冷静な判断力を失い屋上へと向かってしまった..........姫島朱乃の制止を無視してね」

 

「リアス・グレモリーに敢えて屋内で攻撃させたのが肝だな。アレのせいでリアス・グレモリーにはかなりのフラストレーションが溜まってしまった。

そんな状態で屋上へ誘い出されたら、若いリアス・グレモリーでは『全力で攻撃出来る』誘惑に勝てない」

 

 

ここに来てVIPルームにいる全員がソーナ・シトリーの頭脳に驚嘆した。

 

大胆かつ繊細に練り上げられた戦術、敵の動きをコントロールする緻密な戦略。そしてそれらを可能にする眷属たちの実力。

 

もはやこの試合を見ている者にソーナ・シトリー達を馬鹿に出来る者は一人もいない。

 

 

「スッゴい、スッゴい、スッゴい!! ソーナちゃんも椿姫ちゃんも匙くんもスッゴいよ!!

ソーナちゃんは立派な作戦を考えてるし、椿姫ちゃんと匙くんはたったの十日間で禁手になれるなんて!!

匙くんなんか新しい神器を渡されたばかりなのに!! それに他の皆も見違えるくらい強くなってるよ!」

 

「ああ、『龍王の禁手』に『亜種の禁手』。ソーナは恐ろしくも頼もしい眷属を手に入れたようだ」

 

「確かにな。それにソーナ・シトリー自身、実力もさることながら『戦術性』『戦略性』『洞察力』『機転』。

そしてレーティングゲームを盛り上げるための『演出力』。どれを取っても若手悪魔とは思えないほどだ」

 

「そうだね~~、それに他の眷属の子達もなかなかのモンだよ~~。少なくとも全員が中級悪魔クラス、神器を持ってる二人は禁手込みで考えたら上級悪魔クラスだね~~~。

いや~~~よくここまで鍛えたものだよ~~~。どうやって育てたのか是非知りたいね~~~~」

 

「うんうん☆ そうでしょそうでしょそうでしょ♪」

 

 

興奮している身内贔屓のレヴィアタンは置いておくとして、あのベルゼブブやアスモデウスまで誉めてくるとはな。特にアスモデウスはソーナ・シトリーの眷属達に興味津々だ。

 

そういえば、現アスモデウスは優秀な人材を集めることに掛けては余念が無いと聞いたことがあるな。

なるほど、転生したばかりの下級悪魔を僅か十日間で中級悪魔クラスまで育てた方法が気になるのか。

 

まぁその気持ちは分からないでもない。俺も優秀な人材の獲得や人材育成には五月蠅い自覚があるからな。この辺りは先祖の血筋なのかもしれない。

 

【唯才是挙(ただ、さいのみ。これ、あげよ)】。『乱世の奸雄』と謳われた俺の先祖が残し、今も尚語り継がれる言葉だ。

 

これは『蒼天の紅旗』でも用いられている。もっとも、血統主義者である貴族悪魔共には分からないだろうけどな。

 

そんなことを考えていると今度はルシファーが尋ねてくる。

 

 

「曹操殿、どうやってあれほどまでに鍛え上げたのか伺っても良いかな?」

 

「先ほども言いましたが、『基礎を徹底的に鍛えた』だけですよ。それに俺はあくまでサポート、主導になっていたのは呂布です」

 

「..........呂布殿、具体的にどのような修行を施したのでしょうか?」

 

「..............」

 

「? 呂布殿?」

 

「上手い食事と、適度な運動」

 

「え? あの.......それだけ、ですか?」

 

「コクン」

 

 

ルシファーは自分の質問に対し、あまりにも予想外の答えが返ってきたことで目が点になっている。

 

 

「プッ、ククククッ、アハハハッ........アーハッハッハッハッ!! なるほど! 確かに呂布にとってはアレは『適度な運動』になるんだろうな!! ハーハッハッハッハッ!!」

 

「曹操殿、『アレ』とはいったい.........?」

 

「フフフ、なに.......ソーナ・シトリー達は毎日六時間ほど実戦形式で訓練を行ったという話ですよ。呂布を相手にね。ククククッ」

 

 

「「「「っっっっっ!?」」」」

 

 

「「「「「..............」」」」」

 

 

俺の発言にVIPルームが驚きのあまり一気に静まり返る。当然だ、呂布を相手に六時間も実戦形式の訓練なんて命がいくつあっても足りないだろうからな。

 

さすがの俺も休み無しでそんな長時間、呂布と戦い続けるのは勘弁願いたい。

 

そして静寂に包まれたVIPルームに神々の笑い声が響く。

 

 

「ヒャーハッハッハッハッ♪ 呂布と毎日六時間もぶっ通しで戦っただぁ? 随分と贅沢な自殺方法だな? そりゃあ嫌でも強くなるわ!! ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ♪」

 

「フォッフォッフォッ♪ むしろよく今日まで生きていられたわい!! ホッホッホッホッホッ♪」

 

「クククククッ、しかも呂布のことだから『力』は抑えたのだろうが、『殺気』は本気でぶつけてきおっただろうな!

それを六時間..........さすがに同情するのう♪クククククッ」

 

「ガーハッハッハッハッ♪ 戦い好きのワシらでも、さすがにそこまではせんぞ!! なぁポセイドン!!」

 

「まったくだ!! シトリーと言ったか?あの連中、なかなか見所があるではないか!! ダーハッハッハッハッ♪」

 

「フフフフフ、なるほど............確かにそんな修行を毎日やっていれば、強くならないと文字通り命に関わりますね。クククククッ」

 

 

どうやらソーナ・シトリー達は神たちに気に入られたようだ。よしよし、良い傾向だぞ。

今後のことを考えると神々の協力もあった方が、色々とやりやすいからな。

 

 

「「「「「....................」」」」」

 

 

そして上機嫌の神々に比べて、さっきまであれだけ馬鹿にしていた貴族悪魔連中は何ともバツの悪そうな顔をしている。

これまで侮っていた彼女達が、これほどまでに強くなっているとは思わなかったのだろう。

 

もはや勝負は決まったようなものだからな。リアス・グレモリーも姫島朱乃も自分の最も得意とする能力を封じられて、打つ手が無い状態。

 

リアス・グレモリーの『騎士』....噂の聖魔剣の剣士も倒されるのは時間の問題。

片手しか使えない状況でよく凌いでいるが、今まで守り重視だった巡巴柄が攻撃にも参加したことで、単純に手数が倍になった。

 

あの様子ならば、あと数分足らずで撃破出来るだろう。

 

その後はそれぞれの敵を撃破したメンバーがソーナ・シトリーや真羅椿姫と合流すればチェックメイトだ。

 

 

「いやはや、まさかソーナ嬢がこれほどまでに強くなっているとは.............」

 

「ええ、驚きですな.......」

 

「しかも、眷属の内の二人は神器を禁手化に至っているという」

 

「はい。特に『兵士』の方は龍王を宿しておりますからな」

 

「これはこれは、ソーナ嬢の評価を変えないといけませんな♪ ハッハッハッハッ!!」

 

 

「それに比べ、リアス姫は何とも................」

「確かに。赤龍帝を有していると聞いていたから、期待していたのに..........」

「はい。こうまで一方的な展開になるとは少々腑甲斐無いですな♪」

 

 

先ほど自分たちが言っていたことなど忘れ、今度はソーナ・シトリーを持ち上げてリアス・グレモリーも扱き下ろす。

つくづく貴族というのは度しがたいな。こんな奴らが目の前で息をしているだけで殺したくなってくる。

 

大方、ソーナ・シトリーやレヴィアタンに取り入る算段でも考えているのだろう。

だが残念だったな。レヴィアタンもそうだが、ソーナ・シトリーはお前たちのことなど必要とはしていない。

 

取り入ろうとしたところで、適当にあしらわれるのがオチだ。

 

今の彼女が必要としているのは『下層階級からの支持』だ。そのために今回のレーティングゲームでは様々な演出を盛り込んだワケだからな。

 

『龍王の復活』

『一般人あがりの転生悪魔の実力の向上』

『話題性抜群のルーキー相手に互角の戦い』

『二人の禁手』

『戦術と戦略を駆使しての優勢』

 

どれを取っても一般人受け抜群の話題だ。特に自身の現状に不満を持っている者たちにとってはな。

 

悪魔社会でも大多数を占める下層階級の転生・一般悪魔たち、彼らの支持を集めることで彼女はある種の偶像崇拝的な存在となる。

 

もし下層階級の悪魔たちがクーデターなどを画策したとしても、まずソーナ・シトリーに接触を図るはずだ。

そして彼女の頼る先は必然的に、俺たち『蒼天の紅旗』になる。これで下層階級の悪魔たちの動向も掴みやすくなる。

 

あとはタイミングを見計らって、各神話群から日本神群がやったような請求をしてもらえれば、現悪魔政権に対して貴族悪魔連中が利権・政権目的のために動き出すはずだ。

 

それを察知すれば、恐らく『禍の団』の旧魔王派も動くだろう。

 

 

多額の負債を抱えた現政権に代わり『下層階級』『貴族悪魔』『旧魔王派』、どの勢力が政権を取るかで【悪魔の未来】が決まる。

 

俺たち『蒼天の紅旗』も準備しておかないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リアス・グレモリーの騎士、撃破』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうやら、チェックメイトのようだ。

 

 

 







皆様からのリクエストが多かったため、一誠の鼻っ柱を折ってみました(物理的に)www

匙の禁手化の姿ですが、概ね原作通りです。ただ鎧の部分は【Fate/zero】のバーサーカー(ランスロット)に近いですね。

あと『黒炎の牢獄 ブレイズ・デリート』はイメージとしては【転スラ】の『暴食之王 ベルゼビュート』っぽくしてます。


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