深紅の武人が住くD×D   作:あさやん&あさやん

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今後の話の展開を考えると、『修学旅行編』は丸々カットになると思います。

何せ『敵』がいませんからねwww






第七十二話

 

 

 

 

 

ゲーム会場医務室

 

 

 

 

 

「「「「「...................」」」」」

 

 

 

 

レーティングゲームが終わってからどれくらい経っただろうか..........部長をはじめ、俺達はずっと黙ったままだった。

 

治療を受けたことにより、試合のキズやケガはもうすっかり治っている。でも、皆は浮かない顔をしていた。

 

理由は簡単、俺達が試合に負けたからだ。それも完膚無きまでに圧倒的な差で。

結果を見れば8対0、俺達は誰一人会長達を倒すことが出来なかった。

 

匙が言っていた通り、会長達の『完璧な勝利』、俺達の『完璧な敗北』だ。

 

勝てると思っていた......いや、もちろん俺たち全員最初から負けるつもりで試合に臨んではいない。

試合を行うまでの前評判は俺達が勝つというのが予想の大半だった。

 

それだけの修行もしてきたつもりだった.........でも、負けた。

 

 

くそ、匙のヤツ! 何が『誰でも出来る基礎トレーニングしかしてこなかった』だ! デタラメ言いやがって........!!

 

 

コンコンッ

 

 

「........私が出ますわ」

 

俺が匙へ怒りを感じていると扉がノックされる。未だショックが抜けない俺達に代わり、朱乃さんが対応してくれた。

 

朱乃さん、どう思ってるんだろう。自分の好きな人が自分の対戦相手を強くして、結果自分が負けたわけだからな。

 

 

「これは........失礼しました、どうぞ中へ」

 

「邪魔するぜ」

「失礼するよ」」

 

朱乃さんが驚きながら来訪者を中に招く。入ってきたのは何とサーゼクス様とアザゼル先生だった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サーゼクス様とアザゼル先生が来たことにより、皆は医務室のベッドから起き上がろうとする。

けどサーゼクス様が寝たままで良いと言ってくれたので、お言葉に甘えている。

 

きっと俺達を心配して来てくれたのだろう。だが肝心の俺達は二人が来てくれたことで一層落ち込んだ。

 

せっかく俺達に期待して、アレコレ良くしてくれたのに不甲斐ない試合を見せてしまった。

今の俺達の心は負けたショック以上に皆の期待を裏切ってしまったことによる申し訳無さでいっぱいだ。

 

そんな重苦しい空気の中で、アザゼル先生が何とか空気を変えようとする。

 

 

「あ~~、まぁ、その、何だ.......あんまり思い詰めるな。今回は相手、というよりもバックに付いていたヤツが規格外過ぎた。

俺たちですら、ソーナ達があんなに強くなってるなんて思いもよらなかった。お前達が予想できなかったのも無理はない」

 

「ああ、あの会場にいる全員が驚いていたよ。まさかソーナや眷属達があそこまで成長するとは誰も思っていなかった」

 

アザゼル先生もサーゼクス様も俺達を励まそうとしてくれるが、今はその気遣いが逆に苦しかった。

 

情けない姿を見せてしまった俺達にとっては、むしろ叱ってくれた方が遥かにマシだったと思う。

 

そして部長がソーナ会長達のあの強さについて詳しく尋ねる。

 

 

「お兄様........いえ、魔王様。ソーナ達はいったいどんな修行をしたのですか?

試合前に聞いた限りでは『誰でも出来る基礎修行しかしてこなかった』と言っていましたが.........?」

 

「そんなに畏まらなくていいよ、リアス。今はプライベートだからね。

そうだね。曹操殿や呂布殿も同じようなことを言っていたし、その点は間違い無いだろう。問題は.........『修行の質』だろうね」

 

「修行の質?」

 

「そう、恐らくソーナ達は『ありとあらゆる基礎』を鍛えてきたんだ。『魔力』『オーラ』『対人戦』『チームとしての戦い』、そして........『神器』」

 

 

っ、神器! そうだ、部長が言うには匙だけじゃなく真羅副会長も禁手に至ったって話だ。

タンニーンのオッサンとサバイバルしてた俺でも至ることが出来なかったのに、何であの二人は至ることが出来たんだ!?

 

 

「アザゼル先生、真羅副会長と匙はどうやって『禁手』に至ることが出来たんすか?

『神器』の基礎修行ってヤツで『禁手』に至れるモンなんですか?

俺はどんなに訓練しても『禁手』にはなれませんでした。あの二人と俺の違いって、何なんですか?」

 

気付けば俺は自分の悔しさと不満をアザゼル先生にぶつけていた。最低だってことは分かってる、先生は俺達を強くするために精一杯やってくれた。

 

悪いのはソレを活かせなかった俺達だ。でも理屈では分かっていても、感情は........心は納得してくれない。

 

けど、先生はそんな俺の不満すら受け止めて答えてくれる。

 

 

「『神器』の基礎修行.....悪いが、これについてはどんな修行をしたのか全く分からない。

曹操も言っていたが、神器が『禁手』に至るには『本人の劇的な変化』が必要だ。

だから『神器の習熟度』、つまり『神器をどれだけ扱えるか』というのは関係無い。

極端な話、『劇的な変化』さえあれば神器に目覚めてすぐに禁手に至ることもあり得る」

 

「そんな、じゃあ俺がやってきたことって.........」

 

 

この十日間、一生懸命頑張ってきた.........タンニーンのオッサン相手に生き延びるため、死ぬ気で強くなろうとした。

結果、以前よりもずっと強くなった自覚はある。『赤龍帝の籠手』だって随分使いこなせるようになってきた。

 

アザゼル先生やタンニーンのオッサンからの修行が無駄だったなんて全然思っていない。

実際俺は強くなることが出来た。でも......肝心の『禁手』に至れなかったら何の意味も無いじゃないか!!

 

二人からの修行は俺を『禁手』に至らせるための修行だ! なのに俺が不甲斐ないせいで...........!

 

そして俺が自分自身の情けなさに嫌気が差していると、朱乃さんがアザゼル先生の疑問に答える。

 

 

「あの、アザゼル先生。試合中に匙くんは奉先様からの『心を鍛える修行で禁手に至ることが出来た』と言っていましたわ」

 

「『心を鍛える修行』か..........確かに神器は『所有者の心』に大きく影響される。

『禁手』に至るには、これ以上無い修行だな。『蒼天の紅旗』には神器の所有者が数多く所属していると聞く。

恐らく『禁手』に至るための『蒼天の紅旗』独自の修行方法があるんだろう」

 

なっ、『禁手に至るための心を鍛える修行』!? 真羅副会長も匙もその修行で『禁手』に至ったっていうのか!?

 

じゃあ、俺も最初からその修行をしていたら『禁手』に至れるってことか? けれど今度はサーゼクス様が他の基礎修行についても言及した。

 

 

「だが、ソーナの眷属たちの強さは『神器』だけではない。『魔力』や『オーラ』のコントロール、そして『個人およびチームとしての戦闘』。

それらの基礎修行を徹底的に行ったからこそ、真羅くんと匙くんの『禁手』が最大限に活躍したんだ」

 

 

基礎修行........何事も基本が大事なのは分かる、現に俺も身体作りの基本である体力を鍛えてるからな。

 

でも、そんなすぐに効果が出るようなものなんだろうか?

 

基礎トレーニングなんていうのは、毎日地道に続けてようやく効果が現れるものだ。

たった十日間のトレーニングであんなに変わるなんて、とても信じられない。

 

俺の考えと同じだったのか、部長も同じような疑問をサーゼクス様やアザゼル先生にぶつける。

 

 

「それはそうかもしれませんが...........でも、あんなに急激に強くなるなんてことがあるんでしょうか!?

そんな基礎トレーニングを積んだだけで.........!」

 

「確かにな。だがリアス、一つ忘れてることがあるぞ?」

 

「? 忘れている? いったい何を...........」

 

「アイツらを鍛えたのが..........あの『呂布奉先』だってことをだ」

 

「っっっ!!」

 

アザゼル先生の言葉に部長や皆がハッとした表情に変わった。それは分かっている、でもそれがどうしたっていうんだ?

 

 

「呂布奉先。『深紅の武人』と称され『世界最強』と謳われる男。

つまりアイツは知っているのさ........『最も効率良く強くなる方法』を、この世界の誰よりもな」

 

 

っ、そうだ! アイツが世界で一番強いってことは、アイツが誰よりも手っ取り早く強くなる方法を知ってるってことじゃないか!!

 

そうか、サーゼクス様が言っていた『修行の質』ってのはこういう意味だったのか..........。

 

 

「俺はお前達に『将来を見据えた修行』を与えた、もちろん出来る限り強くなれるようメニューも組んだ。

だが、俺の本質は『研究者』であって『戦士』じゃあない。『強くなる』っていう点において、『世界最強の武人』である呂布以上に効率の良い修行を与えられるヤツは、この世に存在しない」

 

「そう。つまりソーナ達が受けた修行は、文字通り『世界最高』の修行だったということだ。

たとえそれが基礎修行であったとしても、私たちの頭で考えられるような物ではない。

彼の基礎は『たった十日間でも最大限の効果が得られる基礎修行』だったんだ」

 

「ああ、正直アイツのことを甘く見てたぜ。会談でも曹操が言っていたが、アイツは単に『力』があるだけの人間じゃあない。

『強さ』ってのは何なのか、『強くなる』ってことはどういうことなのか、それを『感覚』ではなく『頭』でキッチリ理解していやがる..........つくづく恐ろしいヤツだ」

 

「まったくだ。あの『世界最強の武力』に加えて、『世界最高の指導力』..........こんな状況でなければ、最上級の待遇で勧誘していたぐらいだ。

いや、だからこそ神々は彼を利用させないために、各勢力に警告したのか」

 

 

『世界最強の武力』と『世界最高の指導力』........ハハ、何だよ、そりゃあ。

ホントに人間かよ、アイツ。これじゃあ最初から勝ち目なんて無かったってことじゃねえか............クソッ!!

 

「まぁ、それでも戦い方次第じゃあソーナ達に勝つことも出来たかもしれねぇんだけどな.........」

 

俺が出来レースだったんじゃないかと怒りを感じていると、それを否定するかのようにアザゼル先生が言ってくる。

 

え? 勝つことも出来たって、やり方次第で俺たちは会長達に勝てたかもしれないってことか?

 

 

「勝つことが出来たかもしれない? それはいったいどういうことなの、アザゼル?」

 

「今回の敗因は『単なる実力不足』だけじゃないってことさ.........リアス、お前の采配も敗因の1つだ」

 

「なっ!?」

 

「っ、ど、どういうことっすかアザゼル先生! 部長が敗因だって言うのは............!?」

 

「そのまんまの意味さ。今回の試合でのリアスの立ち回りやお前達への指示が、僅かにあった勝ち目を無くしちまったんだ」

 

そしてアザゼル先生は部長の悪かったところを順番に指摘していく。

 

部長や朱乃さんの力が制限されている中、数で劣る戦力を更に分散させたこと。

有利な地形を捨てて、不利な場所へ攻め入ってしまったこと。

相手の挑発に乗って本陣を捨ててしまったこと。

部長が朱乃さんの制止を聞かずに突っ走ってしまったこと。

 

アザゼル先生の話を聞いていくうちに、最初は反論していた部長もどんどん表情を曇らせて顔が青褪めていく。

 

 

「そ、そんな.......じゃあ、私のせいで...........?」

 

「部長...........」

 

 

「一方、ソーナの采配は見事だった。ルールやフィールドの状況をすぐに理解していたし、最適な指示を出しつつ、眷属の力を100%引き出す作戦を立てていた。自分の実力も示したうえでな」

 

「この試合によりソーナの評価は非常に高くなったと言える。そしてリアス、キミの評価は下がってしまった......」

 

「っ〜〜〜〜〜! う、う、うぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 

サーゼクス様から厳しい言葉を突きつけられ、部長はとうとう泣き出してしまった。

 

多くの人たちからの期待を裏切ってしまったこと。それを自身が慕っている兄から伝えられたことにより、部長のプライドは大きく傷つけられた。

 

ちくしょう! 俺達がもっと強ければ...........!

 

そしてサーゼクス様から更に驚きの事実が伝えられる。

 

 

「ソーナ達のことは神々も高く評価していたよ。特に匙くんのことをね。呂布殿曰く、彼は魔王クラスの実力者になれるらしい。それに興味を抱いた神々はソーナ達に一年間、呂布殿の修行を受けることを許可した」

 

 

なっ、マジかよ!? ただでさえ十日間の修行であれだけ強くなったっていうのに、更に一年間も修行を受けるだなんて!

 

しかも、あの匙が魔王並みに強くなるだと.........!?

 

 

「なっ!? お兄様、それは本当なのですか!?」

「奉先様の修行を一年間も!?」

「しかも、あの神々が認めたというんですか!?」

「ふぇぇぇぇ..............!」

「そんなことって.........!」

 

 

俺も部長達もこれには開いた口も閉じないくらいに驚愕する!!

 

 

『じゃあな、兵藤.........俺は先に行く』

 

 

この時俺の脳裏に匙の言葉が浮かんだ。匙、お前はどこまで............!

 

ほとんど同じ時期に悪魔に転生したのに、同じ『兵士』なのに、同じドラゴンを宿した神器を持っているはずなのに........どうしてこんなに差がついちまったんだ!?

 

 

「これには魔王はおろか俺も驚いた。何せ嫌われ者の聖書陣営.......しかも悪魔から神々に、それも各神話群の主神から認められる者が現れるとはな。

更にはソレを成したのが成人したての若手だって言うんだから........まったく、世の中分からねぇもんだ」

 

「これは我々悪魔にとって非常に重大なことでもある。厭らしい言い方とはなるが、コレをきっかけに今後の各神話群や『蒼天の紅旗』との友好関係を良好に出来る兆しが生まれたからね」

 

「っ、お兄様、ソーナを政治に利用するおつもりですか!? ソーナはまだ学生なんですよ!!」

 

「すまない、リアス。私も若いソーナを政治に関わらせるのは心苦しい。

だが、こんな機会は滅多に無い。この千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないんだ............どうか理解してほしい」

 

「っ...........ソーナは、納得しているのですか?」

 

「それはこれから伝えるつもりだ。もちろんスパイのようなことをさせるつもりは一切無い。

ソーナ達の可能性を示しつつ、神々からの信用を得ることを第一とするつもりだよ。もしかしたらセラフォルーのように、外交の一部を担ってもらうかもしれない」

 

「あのソーナが、そこまで...............」

 

 

部長も会長には対抗意識を燃やしていた。それは幼なじみであり、同じ上級悪魔であり、同じ次期当主でもあったからだ。

 

二人は親友であると同時に良きライバルでもあった。でも.......この試合で評価をされたのは会長だけ、部長は評価を落としてしまった。

 

それに部長は何よりも『自分自身』が認められることを強く望んでいた。

だからこそ自分........『リアス自身』を見てくれる人と恋をするためにライザーとの婚約をあんなにも拒んだのだ。

 

そして今、自身のライバルたる会長は『ソーナ』としての評価を勝ち取った。その衝撃的な事実に部長は茫然自失となってしまった。俺と......同じだ。

 

俺が部長に共感を覚えていると、朱乃さんが控えめな雰囲気でサーゼクス様に尋ねる。

 

 

「あの、サーゼクス様。その.....奉先様の修行、私達も受けることは出来ないのでしょうか?」

 

呂布の修行を俺達も!? いや、確かに悪くはない。俺達もアイツからの修行を受けることが出来れば、強くなれるはず!!

 

そうすれば匙にだって...........!!

 

だがサーゼクス様は顔を横に振って朱乃さんの期待を否定する。

 

 

「残念だが、それは出来ない。神々が許可したのは、あくまでソーナ達だけだ。

他の者が修行を受けたりすれば、今度こそ神々は許しはしないだろう。『二度目は無い』と警告もされているからね」

 

「っ.........そう、ですか...........」

 

サーゼクス様に断られ、ショックを受ける朱乃さん。恐らく俺達が強くなるという目的の他に、個人的な都合もあったんだろう。修行を受けられれば、その分呂布と一緒にいられるからな。

 

くそっ! せっかく強くなれるかもしれなかったのに............!!

 

 

「まぁ、とりあえず今は体と心を休めろ。レーティングゲームはこれからも組まれるんだからな。

修行については一旦見直しだ、方針を変えて基本的なことから始めるとしよう。もっとも、俺の修行内容じゃあ呂布とは比べるべくもないがな」

 

「アザゼルの言う通りだ。落ちた評価は今後の試合で取り戻せばいい、今はゆっくり休む........それが今の君達に必要なことだ」

 

そう言い残してサーゼクス様とアザゼル先生は部屋から出ていった。でも、俺達はしばらく動けそうになかった。

 

 

 

その後俺達は何とか気を持ち直し、部長の実家へ帰ることにした。

 

屋敷に着いた俺達を部長の両親や使用人の皆が出迎え、労ってくれたが.........やはり世間の評価は厳しい。

レーティングゲームの結果はテレビでも放送されていて、ニュースでも取り上げられていた。

 

そしてほとんどのニュースで会長のことを誉めており、逆に部長は低く評価されていた。

 

 

 

こうして俺達の帰省は苦い経験を残したまま、俺達は人間界に戻ることとなった。

 

 

 






少し半端ですが、今章はここまでとします。

いや~~~、本っっっ当に長かった。こんなに長くなるとは全く思っていませんでしたwww

でも、ソーナ達の成長と今後の展開の布石は書けましたので良かったです。

次章では『恋姫』から一名、『Fate』から二名ほど新キャラを出す予定です。

それでは次章『悪、襲来』でお会いししましょう♪


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