曹操は今作の重要キャラクターの1人ですので、
彼との邂逅は四部構成にしました
ふぅーーー終わった終わった。全く、堕天使や悪魔ってのは、ホントどこにでも湧いてくるな~~~。
せっかく魚が居そうな川を見つけたから、釣りでもしようと思ったのに..............................。
は~ぁ、今晩はメシ抜きかぁ。
そうして肩を落としていると..............................
パチパチパチパチ..............................!
ん?
振り返るとそこには長槍を脇に挟み、拍手をしている漢服姿の男が立っていた。
「素晴らしい! あれほどいた堕天使の軍勢を一瞬で倒してしまうとは、思わず見惚れてしまったよ!!」
なんか知らないけど、褒められた............まぁ悪い気はしないけど。
「あぁ、すまない。いきなり現れた奴にこんなこと言われても警戒するよな。申し遅れた、俺の名は曹操孟徳。是非、君と話がしたい」
曹操孟徳!? 原作で『禍の団』英雄派のリーダーだった、あの曹操!? 確かに容姿は似ているし、何よりあの槍。アニメで見た『黄昏の聖槍』そのものだ。
「........................不信に思うのも仕方ない、君は今襲われたばかりだからね。でも本当に敵対する意思は無い。
ここに来たのだって、たまたま魚を釣った帰り道に君達の騒ぎが聞こえたからなんだ」
へぇ~魚を釣った帰り道にねぇ........................良いなぁ、俺は釣ろうとしたら堕天使達がいきなり襲い掛かって来たからな~~~。
しかもあいつらの攻撃でこの辺り一帯焼け野原だし........................どこで釣ったか教えてもらおうかな?
それにしても釣ったってあの槍に針と糸を付けて、釣り竿代わりにしたってこと?
曹操なら槍で突いて取れそうなものなのに。やっぱり使い慣れている方が良かったのかな?
でもそれにしたって他に手ごろな枝くらいあっただろうに........................聖書の神、泣いちゃうよ? セラフや教会連中にいたっては、あまりのショックに卒倒しちゃうよ?
「............その槍は..............要らない........」
さすがに釣りをするのにその槍を使うはちょっとね~~~。そう伝えると曹操も気付いたらしく、慌てて槍をしまう。
「っ、これは失礼した!!」
良かった。さすがに本人も聖槍を釣り竿代わりにするのは悪いと思ったのか、槍に宿った聖書の神に謝ってから槍を仕舞った。俺も戟を異空間に仕舞う。
「........................ところで、君は何故ここに?」
向こうも気まずかったのか、急に話題を逸らした....................まぁ良い。付き合ってあげよう、大人として。
「魚を....................釣りに来た」
結局、釣れなかったけどね。いや、『釣り』という行為さえさせてもらえなかったんだ。
「そうか、それはちょうど良かった。さっきも言ったが釣りの帰り道でね。今日は調子が良かったのか、たくさん釣れたよ。
しかし困ったことに俺1人では食べきれそうになくてね。良かったら一緒に食べないか?」
....................今はっきりした..............この曹操は....................。
良い曹操だ!!!
喜んでお供します、兄貴!!!
安心してくだせぇ、こんなこともあろうかと調味料はたくさん用意しておりやす!
基本となる塩、胡椒。そして砂糖..................は要らないか。日本で仕入れた醤油に味噌、中東で手に入れたスパイス各種も取り揃えています!!!
さぁ行きましょう!すぐ行きましょう!!何ならグラニにお乗りくださって構いません!!!
そんなことを思いながらグラニを降りて、曹操の後を付いて行った。
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「素晴らしい!あれほどいた堕天使の軍勢を一瞬で倒してしまうとは、思わず見惚れてしまったよ!」
我ながら実にみっともないと思う。さっきまで彼を見殺しにしようとしておきながら、今度は褒め称えている..........................手の平返しも良いところだ。
だが仕方がない、いざ話してみると興奮を抑えることが出来ないのだから!
「あぁ、すまない。いきなり現れた奴にこんなこと言われても警戒するよな。申し遅れた、俺の名は曹操孟徳。是非、君と話がしたい」
しかし、そんな俺とは裏腹に彼は静かなものだった。それも当然か........................だが、そんなことは百も承知だ。今はとにかく彼の警戒心を解かないと。
「........................不信に思うのも仕方ない、君は今襲われたばかりだからね。でも本当に敵対する意思は無い。
ここに来たのだって、たまたま魚を釣った帰り道に君達の騒ぎが聞こえたからなんだ」
嘘は言っていない。実際ここに来たのは爆発音を聞いてのことだからだ。しかし、彼は未だ警戒を解く様子は無い。困ったな、何とか落ち着いて話は出来ないものか..............................。
そう考えていると、彼が静かに口を開く。
「............その槍は....................要らない」
!!! 俺としたことが、言われるまで全く気が付かないとは........................普通に考えればわかることだろうに!!
話をしたいと言いながら抜き身の武器を携えている、そんな奴の言うことなどどうして信用されようか!!!
見知った間柄ならまだしも、初対面............しかも襲われた直後に、いきなり現れた相手なら警戒するのが当然だ!!!
やれやれ、どうやら俺は相当冷静さを失っているようだな..............................。
「っ..............................これは失礼した」
俺はすぐに槍を魂に収納する。そうすると彼の戟も同じように手元から消え、少し警戒心が薄れた気がした。
だが、馬からは降りていない....................どうやら完全には警戒を解いてはいないようだ。彼なら俺の実力を見抜き、警戒に値しないと分かりそうなものだが..............................。
そう言えば師匠の1人である斉天太聖が言っていたな、『自分の強さに自信がある奴ほど不意の一撃に弱い』と。
なるほど。どんな格下であっても油断はせず隙も見せない、ということか。この用心深さもまた好感が持てる。
しかしこのままでは埒が空かない、それに話し掛けたのはこちらだ。
..............................とりあえず何か話を振ってみるか。
「........................ところで、君は何故ここに?」
まずは無難な疑問をぶつけてみる。だが、彼は意外にも素直に答えてくれた。
「魚を....................釣りに来た」
っ、上手いな........................あえてこちらと同じような理由にすることで余計な情報を与えず、かつこちらからのこれ以上の追及を封殺した!
見事なまでの合わせ打ちだ........................面白い!そっちがその気なら!!
「そうか、それはちょうど良かった。さっきも言ったが釣りの帰り道でね。今日は調子が良かったのか、たくさん釣れたよ。
しかし困ったことに俺1人では食べきれそうになくてね。良かったら一緒に食べないか?」
ブラフの逆用。彼が俺の「釣り」に合わせるなら、こちらは「魚」を提供してしまえば良い! これで向こうも「魚を求めている」と答えた以上、この提案を無下にすることは出来ないはず。
「..........................................」タン
彼は静かに馬を降りた........................どうやら敵意が無いことは分かってもらえたらしい。
「ありがとう、ここにいるとまた襲われかねない。この先に俺が寝床にしている洞穴がある、食事はそこで取ることにしよう」
「........................コクン」
フフフ.....................不思議な男だ。こんなに楽しい気持ちはいつ以来だろう。はてさてどんな話が出来るかな?
俺達は洞穴へと向かうのだった。
小説は~さ~んぽ進んで二歩下がる~