今話の中で語られている巨人族の件は第二十八話で少しだけ触れられています。
随分前の話ですし、忘れている人がいるかもしれませんので、念のため。
あと前話のクー・フーリンの投擲は【刺し穿つ死棘の槍】から【突き穿つ死翔の槍】に訂正しました。情けないことながら、読み方を逆に覚えてました........................感想にて指摘してくれた方、感謝です!!
ゴォォォォォォォォォォ................
ロキの防御魔方陣とクー・フーリンの槍がぶつかり合い、その爆発によって生まれた煙でロキの姿が見えなくなった。そして槍はクー・フーリンの手元に戻ってくる。
「や、やったのか!?」
「坊主、ソイツはフラグってもんだぜ?」
「え?」
「この程度で倒せるほど、神は易い相手じゃないってことよ」
賈駆がそう言うと煙が晴れていき、そこには............頭から血を流しているロキの姿があった!
っ、マジかよ! あんなスゲぇ攻撃でもあの程度しかダメージが無ぇのかよ!!
だがそんなロキの姿を見て、オーディンの爺さんは愉快そうに笑い、アザゼル先生は興味深そうな顔で見ている。
「ホッホッホッ♪ 流石は『蒼天の紅旗』。ロキのあの防御壁を貫いたばかりか、キズまで負わせるとはのう!
しかもあの威力、儂のグングニルに迫る勢いじゃわい。いや、伸び代を考えるとグングニルを超えるか?
ふふふ、良き英雄が育ちつつあるわい。儂らも世話を焼いた甲斐があったというモンじゃ♪」
「【ゲイ・ボルク】。ケルト神話の『光の御子』、クー・フーリンが使ったとされる『穿てば必ず心臓を貫く』という一刺一殺の魔槍。
なるほど。投擲武器として使うことで、槍の間合いの外にいる敵をも貫くことが出来るってわけか」
一刺一殺!? 何だよそれ.........『蒼天の紅旗』の連中は皆、あんな必殺技みたいなものを持ってんのかよ。
血を流しているロキを見て、クー・フーリンが嘲笑うかのようにロキを挑発する。
「へっ、どうだい悪神さんよ。人間も満更捨てたもんじゃねえだろ? ちなみにお前が馬鹿にした呂布は、コイツを片手で簡単に防ぐぜ?」
あの槍を片手で!? ロキが全力で防御しても、防ぎきれずキズを負ったってのに...........どんだけ規格外なんだよ、アイツ。
「おのれぇ.......許さん.........許さんぞぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
クー・フーリンの挑発により、さっきまで余裕たっぷりだった雰囲気から一変。ロキから凄まじい殺気と威圧感が放たれる!
「神たる我に傷を負わせるなど、その罪万死に値する!! もはや肉片一つ残らぬものと知れ!!」
ロキは怒りに顔を歪ませながら呪詛を吐き、巨大な魔方陣を展開する!
「見るがいい! そして恐れ戦慄け!! 我が怒りと憎しみの炎の化身を!!!」
グォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!
魔方陣から出てきたのは、とてつもなく巨大な炎の巨人だった!!!
鬼のような角を生やした頭に、活動中の火山の溶岩のような黒い体からは所々赤く光る線が走っていて、フェニックスの炎よりも遥かに高熱の炎が黒い体を包んでる!!!
デ、デカイ! 20~30メートルはあるぞ!? それに何より熱い! 結構離れてるはずなのに何て熱さだ!! コイツはいったい...........?
「そんな、まさか........!?」
「ロキのヤツめ、こんな物まで作っておったとは........!」
「バカな!? コイツは........!」
俺や部長たちが驚いている一方でロスヴァイセさん、オーディンの爺さん、アザゼル先生はこの巨人に心当たりがあるみたいだった。
「先生、何なんですか、あの巨人は.........?」
「アレは≪炎の巨人 スルト≫。古代に存在したとされる世界を焼き尽くすほどの炎を持った伝説の巨人だ!!」
「そのとおり! これこそ太古の時代に神々すらも恐れた巨人族の始祖とも呼べる存在、≪原初の炎の巨人 スルト・オリジン≫さ!」
「スルト、オリジン...........」
いぃぃぃぃぃぃぃぃ!! 世界を焼き尽くすってマジかよ!? 俺たちがいるのは山の上空で、周囲に街や民家が無いから人的被害は出ないだろうけど、こいつが山に下りたら周囲一帯が火の海になるぞ!?
「しかし、スルトの一族は滅んだはずです! 現存する巨人族は僅かにスルトの血を引き継いでいるだけ!! あれほどの体躯と炎を持った巨人が存在するはずありません!!!」
ロスヴァイセさんが滅んだはずの存在が現れたことにより、疑問を投げ掛ける。滅んだって言っても、じゃあ目の前にいるコイツはいったい!?
「確かにスルトの一族は滅んだ。今いるのはスルトの血を僅かばかりに持つだけのスルトの劣化版、謂わば出涸らしとしか言えぬクズ共ばかりだ。
しかしそれでも、スルトの『因子』は脈々と受け継がれているのさ!」
ロスヴァイセさんの疑問に、ロキはまたしても余裕綽々といった感じで答える。スルトを呼んだことで、さっきまでの激情はどこかに行ってしまったようだ。
そしてロキの話を聞いた賈駆とオーディンは何かを納得しながらも、下卑た物を見るような表情を浮かべる。
「因子、ね。なるほど、それで巨人族たちを利用したのね。巨人族の身体からスルトを作り出すための因子........情報を取り出すために!」
「うむ.........ロキよ。巨人族を扇動していたのは、おぬしじゃな?」
「いかにも! ヤツらは良い働きをしてくれた。おかげでこのように≪原初の炎の巨人 スルト・オリジン≫を作り出すことが出来たのだからな!
ヤツらも最後は神の役に立てたのだ、あの世でも喜んでいることだろう!!」
「ふざけんじゃないわよ! アンタが無責任に煽ったせいで、どれだけの巨人族が殺されたと思ってんの!?」
「クククク、これは異なことを。巨人族を殺したのはトールを始めとする武闘派のアース神族だ。我はその死体を有効活用したに過ぎん」
殺された!? 賈駆が物騒なことを言ってるけど、いったい何があったんだ?
アザゼル先生も賈駆が言ったことが気になったのか、オーディンの爺さんに尋ねる。
「おい、オーディン。ロキのヤツ、何をやったんだ? 巨人族が殺されたってのはどういうことだ?」
「.........少し前のことじゃ。巨人族が不穏な動きをしているという情報が入ってのう、『蒼天の紅旗』に調査を依頼したことがあったんじゃ。
そしてその調査によって、巨人族は何者かに扇動されていることが判明した。
儂らはすぐにその者を調べたんじゃが、その間に一部の巨人族が反乱を起こしたのじゃ」
「...........なるほど、ソレをトールたち武闘派の神が鎮圧したってわけか」
「うむ。そしてその反乱を裏で操っていたのがロキ、ということじゃ。儂らアース神族に巨人族を殺させ、その死体から『スルト』を作り出すに必要なだけの因子を取り出すためにのう」
「フフフ、所詮、図体がデカイだけの連中よ。少し甘い言葉を囁いたら、アース神族を疎ましく思っている輩は簡単に動いてくれたわ。
さすがに巨人族をいきなり大量に殺したりすれば、足が着くからな」
ッ、コイツ、あの『スルト』ってヤツを作るために巨人族を同族の神に殺させたっていうのかよ!?
しかも自分は一切手を汚さずに死体だけ回収するとか..........とんでもねえゲスじゃねえか!!
「だが、おかげでこのとおり≪スルト・オリジン≫は完成した!こいつの炎には神を殺す力が宿っている!
無論、他の神話群の神すらもな! そもそもレーヴァテインの炎は私が保管していた『スルトの炎』を宿らせた物なのだ!!
行け、≪スルト・オリジン≫! 神に不敬を働く輩共々、その老いぼれを骨も残さず焼き尽くしてしまえ!!」
グォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!
ロキの号令と共に巨人が動き出す! 『神を殺す力』って.........ロキのヤツ、オーディンの爺さんだけではなく日本の神まで殺すつもりかよ!?
ドゴォォォォン!!
だがスルトが動くと同時に爆発音が響き、スルトの胸に穴が空いた! 見ればクー・フーリンが槍で突貫していた!!
なっ!? あんな巨人に風穴空けるなんて、なんつーヤツだ!!
「ほう、スルトの体に穴を空けるとはな。さすがに我を傷つけたことはあるか..........しかし無駄だ!」
「............チッ!」
ロキの言葉に全員が戦慄する! なんとクー・フーリンが空けた穴が、みるみる塞がっていった!
嘘だろ!? アイツ、フェニックスみたいに再生能力まで持ってるのかよ!?
さすがに再生能力を持っている相手は厄介なのか、クー・フーリンも舌打ちをしている。
「ハーハッハッハッハッ! 残念だったな、このスルト・オリジンは魂すらも瞬時に修復出来るほどの再生能力があるのだよ!
いかに一刺一殺の『ゲイ・ボルク』と言えども、これほどの再生能力を持った相手を殺すことなど出来はしまい!!」
確かに、あの再生能力はフェニックス以上だ。しかもフェニックスと違って精神的に追い詰めることも出来ない。
痛みを感じない上に殺しても蘇るようなヤツ、どうやって倒せばいいんだよ!?
俺や部長たちは、どうしようも無いほど理不尽な相手を前に絶望する。しかしクー・フーリンはそんな俺たちとは裏腹に、冷静な表情で槍を構えた。
「へっ、確かにな。だが、『動きを止める』ことぐらいなら出来るぜ?」
「なにぃ?」
シュン............ズガァンッズガァンッズガァンッズガァンッ!!
クー・フーリンの姿が消えた瞬間、スルトの膝辺りをいくつもの赤い閃光が走り、スルトが膝を着いた体勢になった!!
す、凄ぇ........木場のスピードなんか目じゃないくらいに出鱈目に速ぇ。
しかも息を継かせぬ連続攻撃! スルトは全く反応出来ないまま、膝を崩され続けている!
そうか! いくら巨人でも二本足で立っている以上、足を崩され膝を着いた状態では歩けない! これなら確かに動きは止められる!!
「ふん、小賢しい真似を」
スルトの動きを止めているクー・フーリンが不快だったのか、ロキがクー・フーリンを攻撃しようとする。
ジャキィィィィンッッッ!!!
一閃.........光の軌跡を描くほどの鋭い斬撃がロキを襲うが、ロキは障壁を張り斬撃を防ぐ!
「クーさんの邪魔はさせません!」
「チッ、神に刃を向ける愚か者が、ここにもいたか.........!」
斬撃を繰り出していたのは周泰だった! 周泰はロキに攻撃を防がれたことなど気にした様子はなく、刀を構えて更に果敢に攻め立てる!
「はぁっ!」
シュンッシュンッシュンッシュンッシュンッシュンッ!!
なっ!? あの周泰って子、忍者か何かか!? いきなり20人くらいに分身したぞ!?
分身した周泰はそのまま全員でロキに切りかかった!!
キィンッキィンッキィンッキィンッキィンッキィンッキィンッキィィンッ!
周泰が切りかかるのを見るや、ロキは球体状のバリアを張り自身の身を包む! 瞬間、無数の火花がバリアの周りで起こった!!
「ほう、人間にしては大したスピードだ。『速さ』だけで、これほど分身しているように見せるとはな。
だが甘い。こんな攻撃、こうして全方位に結界を張ってしまえば恐れるに足らん」
っ、スピードだけであんなに分身してるように見えるモンなのかよ!? クー・フーリンもそうだけど、あの周泰も木場以上のスピードだ!!
でもロキの言う通り、全方位をあんな風に結界で包まれては、いくら分身が見えるぐらいスピードが凄くても防がれちまう。
だが周泰はそれでも、なお攻め続けているのは何でだ?
「ええ、そうですね..........ですが! そうやって結界を張っている限り、貴方はその場から動くことは出来ません!!」
「っっっっっ!!」
っ、なるほど! 周泰が防がれると分かっていても、敢えて全方位から攻め続けてるのは、ロキに結界を張らせるため!
周泰の攻撃を防ぐための結界が、逆にロキ自身を閉じ込めているってワケか!!
そうしてスルトとロキの動きが封じられていると、今度は賈駆が『俺達』へ指示を飛ばす!
「ボサッとしてんじゃないわよ! シトリー、グレモリー、こっちに来なさい!!」
「はい! 全員、オーディン様の下へ!!」
「っ、皆、集まって!!」
部長と会長に言われ、俺たちはオーディンの爺さんの周りに集まる。そして俺たちが集まったのを確認すると、すぐさまメディアが俺たちを包み込む形で結界を張った!
「いくらメディアの結界でも、スルトの攻撃に耐えられる保証は無いわ。ロスヴァイセ以外は全員、内側から魔力を注いで結界を強化してちょうだい!」
続けて賈駆は俺たちに指示を出し、部長たちはもちろんのことアザゼル先生も結界に魔力を注ぎ始める!
どうしよう、俺は魔力の才能が無いから結界に魔力を注ぐなんて出来ない!!
「あの、賈駆さん。私も魔力を注いだ方が良いのでは?」
「ダメよ、アンタはオーディン様の付き人。いざという時のために魔力は残しておきなさい..........自分達だけでも逃げるためにね。ボク達のことは放っておいて構わないわ」
「っ、そんな!? 皆さんを置いて逃げるなんて..........!」
「ハア? 何言ってんの、ボク達はオーディン様の護衛。護衛ってのは対象を護るのが仕事で、その中には当然『護るために死ぬ』ことも含まれてんのよ」
「「「「「!!!!」」」」」
護るために死ぬって.........こいつら、そんな覚悟で仕事してたのかよ。
俺なんか『部長をバカにしたヤツを見返してやる』ぐらいにしか考えてなかったのに........。
俺が自分の考えがいかに浅はかだったのか実感していると、アザゼル先生が提案をする。
「ならアイツらが時間を稼いでくれている今のうちに、オーディンとロスヴァイセを逃がした方が良いんじゃないのか?」
「それもダメよ、ロキの狙いは日本神群でもあるのだから。ヴァルハラだろうが高天ヶ原だろうが、どこへ逃げても、この日本でスルトを暴れさせるつもりよ。
そんなことになったら、北欧と日本で神話間の戦争になるじゃない。そんなのロキの思う壷よ」
「なら尚更、私達だけで逃げるわけにはいかないじゃないですか!!」
「いいえ。オーディン様さえ生きていれば、最悪戦争は回避出来るかもしれないわ。
それにヴァルハラでロキを弾劾することが出来るのはオーディン様だけ。
優先順位を間違えないで、ロスヴァイセ。今この状況で護るべきはオーディン様よ」
「っ、賈駆さん..........」
北欧と日本の戦争回避.........コイツ、そんなことまで考えてたのか。俺とほとんど年が変わらないはずなのに。
そして賈駆はロスヴァイセさんに予想外の提案をする。
「ああ、それと........ついでにシトリーとグレモリーも一緒に連れて行ってくれるとありがたいわ」
「なっ、私達も残ります! 後衛とはいえ、私達も護衛なのですから!!」
「だ~か~ら! ボク達が死んだら、次はアンタたちが護りなさいって言ってんのよ!
アンタたちが逃げるための時間くらいは稼いであげるから、護衛としての務めを果たしなさい」
「っ............分かり、ました..........」
コイツ、散々俺たちをバカにして.......俺たちのことだって嫌いなはずなのに、オーディンの爺さんを護るために。
いや、それだけじゃない。日本と北欧の問題に俺たち聖書陣営を巻き込まないために後事を託すなんて。
ちくしょう! 何が『部長をバカにしたヤツを見返してやる』だ!! 本当にバカだったのは俺じゃねえか!!!
俺が自分のバカさ加減に腹を立てていると、賈駆が俺を叱りつける。
「ちょっと赤龍帝! アンタ、この非常時にさっきから何ボーっとしてんのよ! アンタも結界に魔力を注ぎなさい!!」
「っ、あ、その、ごめん。俺ってば魔力の扱いがてんでダメで、皆がやってるようなことが出来ないんだ.........ごめん」
こんな時に........皆が必死になって頑張ってるっていうのに、俺だけが何も出来ていない。
っ〜〜〜〜、ちくしょう! 何で俺は............!!
「......ハァ、それを先に言いなさいよ。なら、アンタ『赤龍帝の籠手』で『倍加』させた力を離れた相手に『譲渡』することは出来る?」
「っ....ごめん、出来ない...........」
「........そう、じゃあとりあえず限界まで力を溜めておいて、いつでも譲渡出来るように準備しておきなさい。いざという時はソレで突破口を開くわ」
「..........分かった」
俺は賈駆に言われた通り、『赤龍帝の籠手』で力を溜め始める。
バカにされるかと思った。こんな非常時に何も役に立てていないんだから、バカにされても仕方ないと思った。
でもアイツは........賈駆は今回はバカにしてこなかった。結界に魔力を注ぐことも、離れた相手に力を譲渡することも出来ない俺を.............クソッ、何でだよ!
「何を落ち込んでんのよ? もしかして、ボクがアンタを責めると思った?」
「え?」
「ハァ~~、確かにアンタたち聖書陣営のことは嫌いだけどね..........だからって『出来ないことをやれ』だなんて言ったりしないわよ。
ボクがアンタたちに腹を立てたのは『出来ないこと』をやろうとして、『出来ること』をやろうとしなかったからよ」
「出来る、ことを.........」
「そうよ。誰だって得手不得手があるんだから、出来ないことがあって当然でしょ。
出来ないことを無理してやっても、そのシワ寄せは結局自分や周りに来るんだから、出来ることを一生懸命やればいいのよ。
コカビエルの時にアンタたちを責めたのだって、アンタたちがプライドやら面子やらを理由に『出来ること』をやろうとしなかったからよ」
「「「「「.................」」」」」
そうだ........あの時、堕天使の幹部が相手だっていうのに、俺達は自分達の力で解決しようとした............力不足だっていうことは分かっていたのに。
その結果、駒王町は消滅しそうになった。
そしてそのシワ寄せでサーゼクス様やセラフォルー様が責められることとなった............俺達が『出来ないこと』をやろうとしたばかりに。
賈駆の言葉に俺だけではなく、部長たちも今更になって自分たちの行いに後悔していると状況が変わる!
「ええい! いつまでもまとわりついて鬱陶しい連中だ、スルト!!」
「っ、マズイ! 離れろ周泰!!」
「っ、はいっ!!」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッ!!
ロキの命令を受けたスルトは膝を着いたまま上半身を起こし、周囲に熱波のような物を放った!
クー・フーリンと周泰は咄嗟に離れるが、その熱波は俺たちをも襲ってきた!
ピシッピシッピシッ、パリィィィィンッ!
「なっ、結界が!」
「キャアッ!!」
「うわぁっ!!」
結界が破壊され、俺たちはその衝撃で散り散りに吹き飛ばされてしまう!
嘘だろ!? 部長や会長たち、それにアザゼル先生まで力を合わせて結界を強化してたのに! 何て威力だよ..........!
「チッ、ヤロウ.........!」
「皆さん、大丈夫ですか!?」
クー・フーリンと周泰が、スルトを見据えながらオーディンの爺さんの前に立つ。
二人はスルトの熱波が来る前に離れていたが、躱しきれなかったのか、服はところどころ焦げていて体には火傷を負っている。
「ふん。随分手こずらせてくれたが、これで終わりだ。オーディンよ! スルトの炎に焼かれながら、己の愚かさを悔いるがいい!!」
スルトが燃え盛る手をオーディンの爺さんに伸ばす!
ヤ、ヤバい! さっきの衝撃でロスヴァイセさんがオーディンの爺さんから離されちまってる、間に合わない!!
しかしこの絶体絶命の状況の中でも、オーディンの爺さんは一切取り乱す様子は無く............淡々とロキに告げた。
「やれやれ.......ロキよ。おぬし、儂を舐めすぎじゃ」
「っ............何だと?」
「儂がお主が来ることを予想しておらんと思ったか。何故、儂がわざわざ日本に来たと思う?」
「.......................」
「この国には今.........」
「おぬしが最も恐れている男がいるからじゃよ」
「っ、ま、まさか............!?」
オーディンの爺さんの言葉にロキはかつてないほどに顔を歪ませる。
ピシィィィィィィィィィィィンッッッ!!!!
グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ............!
その瞬間、突如スルトの身体の中心に光の線が走ると、目の前の巨人は縦に裂けながら断末魔と共に消滅していった!!!
い、いったい何が.........?
俺たちが目の前で起こった不可解な現象に唖然としていると、オーディンの爺さんは愉快そう笑いながら更に続ける。
「ほ~れ、おぬしの『天敵』のご登場じゃ♪」
「キ、キ、キ、キサマは..........!?」
驚愕と恐怖に震えるロキの視線の先には...........黒い外套で身を包み、見る者すべてを圧倒する威圧感を放つ、鮮やかな深紅の髪を靡かせた褐色肌の男が立っていた。
通常よりも長い、三メートル近くはあろうかという戟は彼が『最強』であるが故に持つことを許された唯一無二の武器。
神々からも畏れられ、付いた畏名は【深紅の武人】。
その者の名は............
「「「「呂布!!!」」」」
「奉先様!!」
「呂布様!!」
せっかく出てきた≪スルト・オリジン≫さんも僅か一話で退場してしまいましたwww
............仕方ないんですよ、あんなのいつまでも残しておくわけにはいかないし。フェンリルはいないし。
いたとしても『ゲイ・ボルク』で確殺だし。
『不死』とか機械とか、心臓潰しても死なない相手じゃないと『ゲイ・ボルク』の餌食なんですよね。
こうして考えるとクー・フーリンをD×Dの世界で出すのはマズかったかも?
Fateではスペックは高かったけど、宝具はBランクだったんで問題無いかな~っと思ったんですけどね。
ちなみにアザゼルの分析の『貫く』は『必中』という意味であり、『必殺』ではありません。『必殺』になると本当にグングニルを超えてしまいます。
ですので、『それ』がオーディンの言う『伸び代』となります。
それでは皆さん、次回で♪