いつもの倍近くの文字数で書いても、これだけの長さになるとは........。
いつも通りの長さで書いてたら前章のように、とんでもない長さになってましたwww
「このままだとお前は、あと十年ほどで........死ぬ」
呂布の言葉でリビングは痛いほどの静寂に包まれる。
死ぬ? 俺が? あと十年で? 死ぬ?
呂布の言っていることは頭に入ってくるが、言葉の意味が全く理解出来なかった。
「そんな........嘘だろ? 死ぬって何だよ、冗談にしちゃ笑えねーぞ! なぁ?」
「嘘ではない。それに、冗談でもない」
っ、な、何だよそれ、信じられるかよ。いきなり自分の寿命が十年になったなんて..........!
俺が未だ呂布の言っていることを信じられないでいると、アザゼル先生が呂布に尋ねる。
アザゼル先生、何で落ち着いてるんだろう? 他の皆はすごく驚いてるのに。
「原因は、『覇龍』だな?」
「コクン」
「ハァ、やっぱりそうか.........予想はしていたんだがな。何でこういう悪い予感だけは当たるのかね。ハァ」
予想していた!? アザゼル先生は俺の寿命が減ってることを知ってたって言うのか!?
『覇龍』って、俺が暴走した時に使った危険な力のことだよな?そもそも『覇龍』っていったい........?
「ア、アザゼル先生、その『覇龍』っていうのは、何なんですか?」
「.........神器には生物や魔物の魂を封印させた物があるのは知ってるだろう? お前の『赤龍帝の籠手』やヴァーリの『白龍皇の光翼』、あとは匙の『黒龍王の手甲』もそうだな」
生物の魂を宿した神器、そういえば呂布の神器もそうだったな。アザゼル先生曰く、あそこまで生物としての形を持ってるのは珍しいみたいだけど。
「『魂』ってのはエネルギーの塊だ。特にドラゴンのような強大な生物の魂であれば途轍もない力を秘めている。
神器はその力を制御して一部のみを取り出しているわけなんだが、『赤龍帝の籠手』や『白龍皇の光翼』はその制御を強制的に解除して、封じている力を引き出すことが出来るんだ。それが『覇龍 ジャガーノート・ドライブ』だ」
神器の制御の強制解除? 言われてみれば、あの時声がしたな。『力が欲しいか?』って。
凄く冷たくて不気味な声だったけど、父さんと母さんを助けられるならって思って、『欲しい』って答えたら............そこから意識を失ったんだよな。
「『覇龍』は一時的に神にも匹敵する力を得られるが、問題は理性を失うこと。そして.........寿命を削ることだ」
「っ!?」
寿命を削るって...........じゃあ俺の寿命が十年になったのはそのためか!?
俺があの声に返事をしたから『覇龍』が発動して............結果、寿命が減った。
っ〜〜〜、何だよ、自分のせいじゃねえかよ。全部、俺の..........自業自得じゃねえか。
俺がショックで膝を着くと、オーディンの爺さんが長い髭を撫でながら前へ出てくる。
「『覇龍』と大層な名前が付いておるが、早い話アレは『暴走』と『自爆』を合わせただけの『自滅』じゃ。
歴代の赤龍帝も白龍皇も、皆アレを使ったがために死んでいった...........自分も周囲も破壊し尽くしてのう」
「オーディンの言う通りだ。『覇龍』は自らを暴走させて周囲と自分を滅ぼし、ようやく止まる代物だ。
その力がいかに強大で危険かは、今のお前の状態を見れば分かるだろう?
無限に近い時を生きる悪魔の寿命がたったの十年になっちまうぐらいだ。
今回は呂布が止めてくれたが、本来は途中で止められるようには出来ていない。そもそも理論上は制御不可能だからな」
「そ、そんな、じゃあ俺は本当に..........あと十年で..........?」
オーディン爺さんとアザゼル先生に言われて、俺はようやく自分の現状を理解することが出来た。
いや、二人の話から考えると、むしろ寿命が十年残ったことさえ運が良かったと言える。本来であれば、寿命を削りきって死んでいたらしいんだからな。
「イッセー..........」
「一誠君............」
「........イッセー先輩」
「イッセー先輩.....」
「「一誠.........」」
父さんと母さん、それに部長達も悲しそうな顔で俺を見てくる。
すみません部長、みんな。ゴメンよ父さん、母さん.。
せっかく父さんと母さんが俺たちのことを受け入れてくれて、ようやく皆で本当の生活を始められるっていうのに!
おれの、俺のせいで..........。
俺が両手を床に着いて途方に暮れていると、朱乃さんが一歩前に出て呂布に尋ねる。
「奉先様、何か方法は無いのでしょうか? 奉先様は仙術を扱えると白音ちゃんから聞きましたわ。
奉先様の仙術で、一誠くんの寿命を回復させることは出来ませんか?」
朱乃さんが手を組んで呂布に嘆願してくれる。寿命を回復させるって、仙術ってそんなことまで出来るのか。
でも、呂布は首を振って朱乃さんに答える。
「フルフル。残念だが、魂の......生命の源泉とも言える部分が、激しく損傷している。そのうえ、欠損箇所も多数ある。
仙術では、魂まで復元することは、出来ない」
「っ.........そう、ですか。無理を言ってしまい申し訳ありません」
やっぱり無理か...........そうだよな、寿命を戻す方法があるなら呂布はとっくに言っている。何も言わないってことは本当に方法が無いんだろう。
「では兵藤くんの『魂』を復元することが出来れば、呂布殿の仙術による治療で兵藤くんの寿命を回復させることが出来る、ということでしょうか?」
呂布の返答に今度はソーナ会長が尋ねる。そうだ! 呂布の理屈で言えば、魂を直すことが出来ればソーナ会長の言う通りのやり方で寿命は元に戻せるはずだ!!
「...........コクン」
ソーナ会長の質問に呂布が頷いた! じゃあ、やっぱり魂を直すことが出来れば、俺の寿命は戻るんだ!!
悲壮感が漂っていた空気が変わり、皆の顔が明るくなる!
あ、でも、魂なんてどうやって直せばいいんだろう?
「けど『魂の復元』なんて、どうすればいいのかしら?」
「さ、さすがにそこまでは私にも.......アザゼル先生やオーディン様は何かご存知ですか?」
「いや、さすがの俺も『魂』なんてのは調べたことがねえからなぁ......悪いな」
「儂もじゃ。この世界の知識はあらかた得ておるが、『魂の復元方法』なんてのは無かったのう」
「そうですか.........呂布殿は何かお心当たりはありませんか?」
アザゼル先生とオーディンの爺さんも知らないか。まぁ、いきなり『魂』なんて言われても分からないよな。
そしてソーナ会長は再び呂布に尋ねる。この場にいる全員の視線が再び集まり、呂布は静かに口を開く。
「..........魂を復元することは、可能だ」
「そ、それじゃあ、イッセーは助かるんですね! ああ、良かった.........すぐにお願いします!!」
呂布の言葉に皆は驚きながらも喜びの表情を浮かべる! 部長もすごく喜んでくれて、すぐに直してくれるよう呂布に頼む。
何だよ、ちゃんと治す方法があるんじゃん。呂布のヤツ、びっくりさせやがって。
口数が少ないのは知ってたけど、そのせいで皆すごく落ち込んでたんだからな
まぁ、いいや。とにかく今は魂を直してもらわないと!
しかし俺達が喜んでいる中、アザゼル先生とオーディンの爺さん。そして『蒼天の紅旗』の連中だけは険しい顔をしていた。
そして賈駆が息を吐きながら、喜んでいる部長たちに忠告する。
「ハァ......アンタたち、浮かれるのはまだ早いんじゃない? 物事がそんな都合良く出来てるわけないでしょうが」
「え? それってどういう............」
「賈駆の言う通りじゃ。よく考えてもみよ、儂やアザゼルですら知らなかった『魂の復元方法』。呂布は知っていたのなら、何故最初に言わなかったのか」
っ、そうだ! 何で呂布は最初から言わなかったんだ、『寿命は減ったけど、魂を直せば元に戻る』って!!
いくら口数が少ないからって、そんな大事なことを言わないわけないし。ましてや言い忘れてたっていうのは考えにくい。何で呂布は黙ってたんだ?
「呂布が無意味におぬしらを混乱させることをするとは思えん。
つまり、呂布は『最初から赤龍帝の小僧の寿命を元に戻す方法を知っておった』ということじゃ。
しかしそれを言わずに黙っていたのは、何か『言えない理由』があったと考えれば説明がつく」
「言えない理由? それはいったい.........?」
「『魂の復元』。損傷・欠損した魂を直す、か。考えられる理由としては『何かリスクを伴う』ってところか。どうだ、呂布?」
「........................」
「っ、教えて下さい、呂布様! アザゼルの言う通り、本当に何かリスクがあるのなら! お願いします!!」
アザゼル先生とオーディンの爺さんの推理に呂布の様子が変わったことで、二人の推理が正しいことが分かった。
喜びの空気から一変し緊張感が漂う中、部長が呂布に詰め寄る。いったいリスクって何なんだ?
何か特別な薬とかが必要になるとか? まさか、物凄くお金が掛かるってわけじゃないだろうし。
呂布は目を瞑り、しばらくの間何か考えて............話し出す。
「魂を復元するには、別の者の魂の一部を切り取り、欠損箇所に使用する、必要がある」
「別の者の魂の一部、か........なるほど、さながら『魂の移植手術』ってところか。別の者の魂を使ってイッセーの魂を直すわけだな」
「コクン」
「つまり誰かの魂をイッセーに分け与える必要がある、ということですね。それは誰でも問題無いのでしょうか? 例えば、私とか」
「フルフル。誰でも、良いわけではない。魂というのは、非常に繊細だ。下手をすると、拒絶反応が起こって、魂そのものが、消滅してしまう」
「じゃあ、どうすれば........」
「拒絶反応を起こさず、『魂を復元』する。そのためには、親和性の高い魂が必要。つまり」
「【肉親】の魂を、使う必要がある」
「「「「「っっっっっっ!!!」」」」」
「え?」
「私たち、ですか?」
肉親って......それってつまり、俺の寿命を元に戻すために父さんと母さんの魂を.........命を使うってことかよ!?
「そんな!? それじゃあ、お二人はどうなるんですか!?」
「二人でそれぞれ、負担した場合、寿命は半分になる。仮に二人の寿命が、あと四十年だとしたら、半分の二十年になる」
なっ、俺の寿命を戻すために父さんと母さんの寿命を半分にするだって!? それじゃあ意味無えだろうが!!
父さんも母さんも、あまりにも予想外の提案にショックを受けている!
当然だ、いきなり『息子を助けるために寿命を半分差し出せ』なんて言われて納得出来るはずがない!!
俺は淡々と事実を述べる呂布に思わず掴み掛かった!!
「ふざけんな! そんなこと出来るハズがねえだろうが!! テキトーなこと言ってんじゃねえぞ!!!」
「適当なことは、言っていない。全て事実だ。どうするかは、『三人』でよく相談するといい」
「なっ!? なに勝手なこと言ってんだ!! 自分の親を犠牲になんか出来るわけねえだろうが!!! お前、人の心を持ってねぇんじゃねえのか!?」
「...................」
「おい、何とか言えよ!! お前みたいに強くて何でも出来るヤツに、俺の気持ちが...........!」
ヒュンッ........パシッ!!!
...........気づいたら、いつの間にかクー・フーリンの槍と周泰の刀が俺の首に振るわれていた!
しかし、槍も刀も俺の首に届くことはなかった。呂布が俺に当たる寸前で槍と刀の刀身を指で掴んで止めてくれたんだ!!
「おい呂布、離せ。こういうバカは死ななきゃわからねぇ...........!」
「そうです! 助けてもらっておきながらこの物言い!! しかも言うに事欠いて、呂布さんに人の心が無いなどと..........!」
クー・フーリンも周泰も、呂布に武器を掴まれながら俺を睨んでくる。二人の殺気は本物だ、本気で俺を殺す気だった!
呂布が止めてくれなかったら、間違いなく俺は死んでいた!!
だが呂布は首を振り、二人に落ち着くように言い聞かせる。
「フルフル。落ち着け、二人とも。この場は、任せてくれ」
「............ちっ!」
「.........わかり、ました」
呂布に言われて殺気を滾らせていた二人も、さすがに大人しくなる。呂布が指を離すとそれぞれ武器をしまった。
でも! 危ないところを助けてもらったけど、まだ俺の怒りは収まらなかった!!
「何だよ.........何なんだよ、いったい!! コイツが俺の父さんと母さんを犠牲にするようなことを言うから「いい加減にするのです!!!」っ!?」
俺が自分の怒りを叫ぼうとすると、陳宮が涙目になりながら俺を睨んでいた。
「何で呂布殿が責められなきゃいけないのですか!? 呂布殿はお前とお前の両親を救おうと必死だったのです!!
今だって、お前のせいでリゼヴィムとロキを逃がすことになったのに..........そんなお前のことを見捨てず助けようとしてくれてるのです!!
それなのに何でお前が呂布殿を責めるのですか!? 本当に責められるべきはお前なのです!!!」
「なっ、それとこれとは話は別だろう!? コイツが父さんと母さんの命を差し出すように簡単に言うから!」
「関係大ありなのです!! お前が『覇龍』なんか使わなければ、こんなことにはなってなかったのです!!
悪いのはお前なのです! お前が未熟なせいで、こうなったのです!! 呂布殿は何も悪くないのです!!!」
確かに........俺が『覇龍』さえ使わなければ、リゼヴィムとロキを逃がさずに済んだ。
父さんと母さんが寿命を減らす必要も無かった、全ては俺が弱かったから。
俺は陳宮の的確過ぎる指摘に返す言葉が無かった。しかし陳宮はまだ言い足りないのか、更に俺を責め立てる。
「そもそも呂布殿には、お前を助けなきゃいけない理由は無いのです!!
そんなに呂布殿のことが気に入らないなら、お前なんかこのまま「陳宮」っ、呂布殿........」
「もういい、そこまでにしておけ」
「で、でも、コイツは呂布殿のことを!」
「フルフル.........チラ」
呂布は首を振って陳宮を止めると別の方向へ目を向ける。
そこには...........両手で顔を覆っている母さんと、そんな母さんの背中を撫でて落ち着かせている父さんの姿があった。
「っ..........!」
陳宮もさすがに一般人である父さんと母さんの前で責めるわけにはいかないと思ったのか、口をつぐんでしまう。
しかし心は納得することは出来ず、行き場の無い怒りによって泣き出してしまった。
「っ〜〜〜〜おかしいのです! こんなの絶対におかしいのです!! 何で呂布殿が、『こんなこと』まで背負わなくちゃいけないのですかぁ!!!
う、うっ、うぐっ、うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ.........!」
「陳宮さん.........」
大泣きする陳宮をメディアが優しく抱きしめる。陳宮もメディアに抱きつくが、泣き止むことはない。
「フゥ........ボク、通信でリーダーに報告をしてくるわ。ここにいると、バカな発言にイライラさせられる........!」
「........儂も天照のヤツに連絡でもしてくるかのう。会談の日程の調整もしなくてはならんしな。
それにしても、今代の赤龍帝はずいぶんと酷いもんじゃわい」
賈駆とオーディンの爺さんは呆れながら出ていき、ロスヴァイセさんはオーディンの爺さんの後を追う。
何やってんだ、おれ。自分のやったことを棚上げにするだけでなく、言い訳ばかり並べて。
挙げ句の果てには、こんな小さな子まで泣かせて。賈駆やオーディンの爺さんが呆れるのも当然だ。
部長たちも悲しそうな顔をしてる、たぶん失望させちまったな。
俺が自分自身に呆れてると、呂布が話し掛けてくる。
「一晩、時間を与える。どうするか、両親と話し合って決めろ」
「........話し合う必要なんか無えよ、俺が悪いんだ。父さんと母さんには関係「待ちなさい、一誠」っ、父さん?」
俺がこれ以上父さんと母さんを巻き込まないよう、呂布の提案を断ろうとするも、父さんが見たこともない真剣な顔で間に入ってきた。
母さんも少し落ち着いたのか、父さんと一緒に前に出てくる。
「呂布さん、と言いましたね。魂とか仙術とか、難しいことは分かりません。けど本当に私と妻の命........寿命を半分にすれば一誠は、息子は助かるんでしょうか?」
「コクン、それは約束する。魂が直れば、寿命は少しずつ、回復していく。
完全に回復するには、百年ほど掛かるが、無理さえしなければ、大丈夫だ」
「そうですか........なら、私と妻は問題ありません。それで一誠が助かるのなら........!」
っ、父さんが呂布の提案を受け入れる!? しかも母さんまで!? そんな、何で.........!
「父さん母さん、何を言ってんだよ!? 俺のために寿命を半分にするなんて、そんなことダメに決まってんだろ!!」
「一誠.......いいんだ、親ってのは子どもよりも必ず先に死ぬもんだ。けど子どもが親よりも先に死ぬことはあってはならない、それが親の責任だ」
「そうよ、一誠。他に方法は無いんでしょう? 親と言うのは、子を助けるためなら命を懸けられるものなのよ。あなたもいずれ、親になれば分かるわ」
そ、そんな..........ダメだ! それだけはダメだ!! 俺のために二人の寿命を減らすようなこと!
そんなことするぐらいなら、俺は............。
「ダメだ、そんなことしちゃあ.........! こんなことになったのは俺のせいなんだから!! 父さんと母さんが犠牲になるくらいなら、俺の命なんか」
パシィィィィンッッ!!!
俺の命なんかどうなっても構わない!
そう言おうとした瞬間、突然俺の頬に痛みが走った。俺は..........涙目になっている母さんにぶたれていた。
「あ.......かあ、さん............?」
「ッ〜〜〜〜〜!」
タタッ.......ギィ、バタンッ!
「母さん!」
母さんは口を手で押さえながらリビングから出ていき、父さんは母さんの後を追っていった。
一誠と両親のエピソードは原作でも好きなエピソードだったので、どうしても入れたかったのですが・・・・・あれこれ考えた結果、こうなりました。まぁ、一誠の成長を描く上でも丁度良かったですしね。
ちなみに原作よりも寿命が少なくなったのは、『禁手』に至るのが遅かったのと『覇龍』が完全な形で発動............しかも『ロンギヌス・スマッシャー』を二発も撃ったからです。
それでは皆さん、次回で♪