すみません! 呂布のパートが思いの外、長くなってしまったので、一誠と両親のエピソードは二話に分けたいと思います。
一誠の家の庭に出た俺は一人、月を見ていた。
綺麗なお月様だなぁ。いや~、参ったね。まさか一誠がこんな形で『覇龍』を発動させるなんて、全くの予想外だったよ。
原作ではゲスドラ.......もといディオドラに拐われたアーシアを助けて帰ろうとした矢先、旧魔王派のシャルバにアーシアを消されて、その怒りがきっかけで『覇龍』を発動させるんだけど。
それがこんな形で原作を再現することになるなんて思わなかった
。
この世界では一誠はアーシアとは出会っていないし、ゲスドラも俺が始末したから『覇龍』にはならないと思ってたんだけどなぁ。
しかも原作では寿命は百年ほど残ってたはずなのに、実際は十年ほどしか残っていなかった。
やっぱり『ロンギヌス・スマッシャー』を二発も撃ったからか、それとも『禁手』になるのが遅かったからか?
それにあのタイミングでリゼヴィムが一誠の両親を拐ってくるのも不意討ちだった。
原作でもリゼヴィムは一誠の両親を人質に取っていた。その結果、一誠が悪魔になったことがバレるんだけど、よもやこのタイミングで起こるなんて、完全に油断してたわ。
まぁ、一誠の両親が悪魔になった一誠やリアス達のことを受け入れてくれたのは原作通りとはいえ、良かったけどさ。
けどそれに合わせて『覇龍』が発動するなんて誰が思うかよ。もう原作とは全然別物になってるじゃん、今さらだけど。
それにしても、一誠はどうするんだろう?
確かに自分が助かるために両親の寿命を半分にするなんて、到底認められるものじゃあない。
でもそれは『子どもの視点』であって、『親の視点』はまた違う。
一誠は両親を大事に思っているみたいだが、一誠の両親はそれ以上に一誠のことを大切に思っている。
実は一誠の両親......もとい母親は子どもが出来にくい体質だった。
一誠の両親はどうしても子どもが欲しかったんだが、なかなか出来ず、せっかく出来た赤ん坊もお腹の中で亡くなったりで、なかなか上手くいかなかったらしい。
そして父親は母親の負担も考えて、子どもは諦めようとした時.........一誠を授かった。
二人は一誠がちゃんと産まれてくることが出来るように細心の注意を払った。
これまでの苦い経験を生かし、日々の運動や毎日の食事にも一段と気を遣った。
そうして二人の努力が実ったのか........一誠は無事、産まれてくることが出来た。その時の二人の喜びは筆舌に尽くしがたいだろう。
その後も両親は一誠を大事に育てた。きっと一誠が成長していく様子が楽しみで仕方なかったはずだ。
だが、一誠はそんな両親の想いは知らないのだろう。
あの様子だと両親は一誠が産まれてくる前に亡くなった子どものことは話していないんだと思う。
でなきゃ、あんなスケベ心丸出しの覗き常習犯に育つハズがない!
一誠がスケベになったのは祖父の影響らしいけど、それにしたってアレは酷い。
せっかく両親が必死になって産み、育ててくれたのに犯罪者まがいの行動とか親不孝にも程がある。
まぁ、そのために話す時間を作ったんだけどね。たぶん今頃、一誠もその辺りのことを両親から聞いてると思うんだけど、果たしてどうなるのかね~~~。
「奉先様.........」
俺が一誠と両親の決断がどのようなものになるのか考えていると、後ろから朱乃に話しかけられた。
しかしその様子は悲しげで、顔を少し俯かせている。
「朱乃か。どうかしたのか」
「その、心配になりまして.......」
ふむ、心配とな? それってもしかして
神様公認のハーレムについてかぁぁぁぁぁぁぁ!!!
マズイマズイマズイマズイマズイマズイ! 色んなことがありすぎて忘れてたけど、そういえばそうだったよ!!
いや、落ち着け、落ち着くんだ~~~、おれ!
アレについては俺も完全に予想外の出来事だったんだし、俺と神様の間で不幸な勘違いがあっただけなんだから、ちゃんと謝ればワンチャン
「「......................」」
やっぱりメチャクチャ怒ってるーーーーー!!!
ダメだ! どう謝っても許される雰囲気じゃない!! だって、さっきからずっと無言なんだもん!!!
そりゃそうだ! 告白した相手が舌の根の乾かないうちに神様に結婚相手を探させてるんだから!! 普通は怒るよ、そんなの!!
でも、まさか謝罪すら許さず無言の圧力をぶつけてくるとは..........朱乃、恐ろしい子!!
「あの、奉先様!」
俺が冷や汗をかきながら、何とか朱乃の怒りを鎮めようと考えていると、不意に朱乃が口を開く。
「........何だ」
「私は奉先様を信じております。たとえ世界中の人たちが奉先様を蔑んだとしても、私は奉先様を信じます!!
だからどうか、『独り』になろうとしないで下さい! もしどこにも居場所が無くなった時は、私のところへ来てください」
? 何の話をしてるんだろう。それに今いる場所に居られなくなったら、適当に旅をするつもりだったんだけど?
はっ、もしかして!?
「それから、その........私は奉先様に、どうしてもお伝えしたいことがあります!」
「................」
「でも、それを今お伝えするのは違う気がして..........然るべき時が来たらお伝えしたいと思います。ですから、それまでお待ちいただけますでしょうか?」
「そうか」
朱乃、そこまで俺のことを
完全に息の根を止める気だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
これってつまり、
『今は色々と準備してるから何も言わないけど、準備が終わったら覚悟しとけよ? それから逃げたりしないで自分の所へ来るんだぞ?』
ってことだよね!? たぶんグレモリーとか『神の子を見張る者』とか、そういうお偉いさん方の力を借りて社会的に仕留める気だよね!?
自分の所へ来るように言っているのも、俺を絶対に逃がさないようにするため!!
ど、ど、ど、ど、どうしよう。このままでは冥界のゴシップ記事やワイドショーみたいなところで叩かれまくることになる!
な、な、な、何とかしないと!
と、と、とりあえず何か別の話題を振ろう。ひとまず和やかな話題で落ち着かせて、そこから謝罪&土下座のフルコンボをひたすら続ける!!
未だコミュ障ではあるが........大丈夫、ボクなら出来る!!!
別の話題、何かないか? そうだな、まずは無難に天気の話でも..........今は夜じゃん。
じゃあ、『綺麗な星空だな』........東京の街中でそんなもん見えるわけがない!!
それじゃあこれでどうだ!?
「朱乃」
「はい」
「月が、綺麗だな」
「っ~~~~~~~//////////////」
星が無いなら月にすればいい! 幸いにも今日は満月だしね♪
......あれ?何で朱乃は顔を真っ赤にして俯いんてんだろう? 手だって何かモジモジさせてるし。
だが朱乃は一通り手をモジモジさせると真っ赤な顔を上げ、目をウルウルと潤ませながら俺に向かってハッキリと告げる。
「あの! わ、私も、奉先様と見る月は、昔から綺麗だと思っております!!/////////////////////」
ヒシッ!
朱乃はそう告げると俺に抱きついてきた!!
あわわわわ、柔らかいものが当たってる!!
落ち着け~~落ち着くんだ、おれ~~~。あの時と同じだ、あの会談の時と同じように背中をポンポンして落ち着くんだ!!
何とか朱乃の怒りを宥めることが出来たみたいだし、このまま背中をポンポンして、朱乃が落ち着いたら謝罪だ!!!
それにしても、『昔から』って何だろう? 朱乃と再会したのは、つい最近のことなのに。
あっ、もしかして子どもの時のことかな? でもあの時って、確かに夜だったけど月なんか出てたっけ?
俺は昔のことを思い返しながら、朱乃の背中をポンポンし続けた。
そして、そんな二人を端から見ている者たちがいた。
「二人のことが心配で見に来ましたが流石ですね、呂布殿は」
「ええ、上手い言い方です。アレなら、表面上は月の感想を言っているようにしか聞こえませんものね」
「あの~~会長、副会長。今のってどういう意味ッスか?」
「うんうん、単純に月が綺麗ってわけではないですよね?」
「やっぱりそうだよね。そもそもそんな話だったら、先輩が抱きつくハズがないし」
「でも、朱乃さん。凄い嬉しそうですよね~~~」
「ですよね、何ででしょう?」
「ハァ、『夏目漱石』を調べなさい」
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コンコン
自分の部屋で気持ちを落ち着かせた俺は、部長たちに言われた通り、父さんと母さんと話をするため二人の部屋に来ていた。
ガチャ
「あ、父さん..........」
「..........入りなさい」
ノックをすると父さんが出てきて、一言だけ告げて俺を中へ招き入れる。
父さんに言われるがまま部屋に入ると、母さんがベッドに座りながら何かを見ていた。
アレは、アルバム? でも俺が知ってるのとは違う、あんなアルバムは見たことがない。
「あの......父さん、母さん。その、さっきのことで話がしたくて..........」
「「.................」」
「まず、さっきはゴメン。自分の命を粗末に扱うようなことを言たりして。あれから一生懸命考えたんだ。生きてきた中で一番頭使って考えた。
でもやっぱり、いくら考えても、父さんと母さんの寿命を半分にするなんて、俺には出来ない。
二人の気持ちはすげえ嬉しいけど、俺のために寿命を減らすなんてことはしないでくれ」
「....................」
「一誠................」
俺は自分の気持ちを正直に話した。父さんも母さんも静かに俺の話を聞いてくれた。
父さんは悲しそうな声を出すが、母さんはゆっくりとベッドから立ち、本棚から手帳のようなものを三冊ほど出してベッドに置く。
「っ、母さん、それは!」
「........一誠、これを見てちょうだい」
母さんがいつになく厳しい表情で、俺に手帳を見るように言ってくる。
いったい何だろう? 父さんは何か驚いているみたいだけど?
俺はとりあえず母さんの言う通り手帳を手に取ってみる。
『母子手帳』? 確か母親の妊娠状態や生まれた赤ん坊、母親自身の健康状態を記録した物.......だったか。
それにしても随分古い手帳だな、それに凄く細かく書かれてる。
って、この手帳の日付.........俺が生まれるよりもずっと前じゃねえか!
いや、これだけじゃない! これも、こっちも! 全部俺が生まれるよりもずっと昔の日付だ!!
母子手帳って母親が妊娠してから作る物だろ!? だったら、せいぜい俺が生まれる一年ぐらい前の日付からのはず。
それに何で一冊だけじゃなく何冊も、しかも日付が離れた物がこんなにあるんだ!?
「一誠。ここにある母子手帳は..........アナタが産まれてくる前に私が身籠った、子どもたちの分の手帳なのよ」
「ッッッッッ!?」
「この話はアナタにするつもりはなかったんだけどね。でも聞いて欲しいの、アナタが産まれる前のことを。
アナタにいたかもしれない『兄』や『姉』のことを」
そして母さんは俺が生まれる前のことを話してくれた。それは俺が今まで知らなかった驚愕の事実だった。
月が綺麗ですね :『あなたを愛してます』の隠語
ずっと前から綺麗:「私はずっと前からあなたのことを愛してます」
あなたと一緒だから:「この愛は、あなたあってのもの」
まぁ、これらは全部都市伝説で夏目漱石が言ったというのも俗説らしいんですけどね........................それでもこんなに広まってるんですから、不思議ですねwww
それでは皆さん、次回で♪