色々と考えた結果、次章は長くなるので、前後編に分けたいと思います。
夜が明け、俺たちは一誠の家のリビングに集まっていた。
何だかんだで一悶着あったが、一誠の家は広い上に防御結界などが張られていて防犯もされているということから、俺たち『蒼天の紅旗』とオーディン&ロスヴァイセ。
そしてシトリー達も昨晩は全員一誠の家に泊まることとなった。
さて、オーディンはこれから天照との会談があるので、俺たちは高天ヶ原に向かわなきゃならない。時間も無いことなので、俺はさっそく一誠と一誠の両親に尋ねた。
「答えは出たか?」
「...........その前にもう一度確認させてください。本当に私と妻の寿命を半分にすれば、一誠は助かるんですね?」
「コクン、それは約束する。あとは兵藤一誠が、無理を控えられるかどうかだ」
「..........わかりました。そのことについては、後でよく一誠に言って聞かせます。どうかお願いします」
一誠の父親が頭を下げると母親も一誠も一緒に頭を下げてくる。やっぱり両親の想いの方が強かったか。
予想通りと言えば予想通りなんだけど、一応、俺の方からも確認しておこう。
「良いのか、兵藤一誠」
「..........はい、昨日父さんと母さんと俺で話し合いました。お願いします、呂布さん。
それから、俺のことは一誠でいいですよ。貴方は俺たちの命の恩人なんですから」
ん~~~~? 何か今までと随分雰囲気が違くない? 今までは俺のこと呼び捨てだったのに。
それに何か急に敬語になってるし.........まぁ、いいか。
「そうか。では、始めるとしよう」
俺は『エイト・センシズ』を発動させ、三人には背中を向けてもらう。
そして父親と母親から、それぞれ魂を半分ずつ切り取り一誠の魂の修復に充てていく。
やはり一誠の魂の損傷具合は激しく、直すのは一苦労だ。ひび割れのように脆くなっている部分は、両親の魂を丁寧に馴染ませ修復。欠落しているところは、両親の魂を俺の『仙術チャクラ』を使って繋ぎ合わせ補填させる。
そんなことを繰り返していき...........最後に俺の『仙術チャクラ』を与えて一誠の生命力を活性化させ、ようやく一誠の魂の修復が完了した。
ふぅ~~~、終わった終わった。かれこれ三十分くらい掛かったかな? 魂を扱うのってホントに大変なんだよな~~。
例えるなら、非常に壊れやすい素材で出来たジェンガを複雑に積まれた状態から、崩さないように組み換えて別の形に積み直すみたいな感じだ。しかも一発勝負とかどんな苦行だよ。
何はともあれ、これで一誠の寿命は少しずつ回復していくはずだ。拒絶反応も起こってないみたいだし成功だね。
「.........終わったぞ」
「はあ........あの、本当に一誠は助かったのですか? 身体には何も変化は無いように思えるんですが」
「切り取ったのは、『肉体』ではな、『魂』だからな。すぐには『肉体』に、影響は出ない。だが間違いなく、二人の寿命は半分になった」
「っ、そうですか..........ですが、これで一誠は助かったんですよね?」
「コクン」
「なら、私達は十分です。呂布さん、このたびは息子を助けていただき、本当にありがとうございます!!」
父親が頭を下げてお礼を言うと、母親も続いて頭を下げてくる。
う~~ん、俺よりも両親の方が要因として大きいんだけどなぁ。実際、リスクを負ったのは両親であって、俺自身に何か負担があったわけではない。
だから、そんなにお礼を言われるとむず痒いんだよね。
一誠が助かったことを知るとリアスたちは、とりあえず一安心といった安堵の表情を浮かべる。
そりゃあ手放しでは喜べんわな、一誠の両親の寿命が半分になったわけだし。
そして父親と入れ替わる形で、今度は一誠が前に出てきて............いきなり頭を下げた!
「あの.......昨日はすみませんでした! 呂布さんのこと、よく知りもしないで暴言を吐いて。
それなのに俺や父さんと母さんを助けてくれたばかりか、父さんと母さんのことを知る『きっかけ』まで作ってくれて.........本当にすみませんでした!!
そして助けていただき、ありがとうございました!!!」
一誠が捲し立てるかのように謝罪とお礼の言葉を俺にぶつけてくる。
あ~~、昨日のことなら別に気にしなくてもいいよ。いきなり『お前の寿命、あと十年だから♪』なんて言われれば、誰だってビックリするだろうし。
ましてや、それが子どもなら八つ当たりの一つや二つしてもおかしくないしね。
そういった若者のヤンチャを受け止めてあげるのも年長者の務めってもんでしょ。
「別にいい、気にはしていない。それに、お前を助けたのは、両親だ。礼ならそっちに、言うと良い」
「父さんと母さんには昨日、たくさんお礼を言いました。それに謝らなきゃいけないのは昨日のことだけじゃないんです。
今までも失礼な態度ばっかり取っていて.............けど呂布さんはそんな俺のことも、ちゃんと見てくれてました! だから、どうしても謝りたかったんです!!」
失礼な態度って..........何かあったっけ? まぁ、大して親しくもない年上を呼び捨てはどうかと思うけど。
でも言うほど年も離れてるわけじゃないから、そこまで深刻に考えることでもないと思うけどね。
まぁ礼儀に厳しい人は良く思わないかもしれないが、俺は特に気にしてないしなぁ。
「それも別にいい。だがどうして、いきなり呼び方や、話し方を変えたんだ?」
「..........やっぱり調子が良すぎますよね、今さら。でも、俺ばかりか父さんや母さんの恩人に対して呼び捨てやタメ口のままでいるわけにはいきません。
それに貴方は...........俺の『理想』なんです!」
............え、理想!? え、え、え? どういうこと? 何で『恩人』から『理想』にクラスチェンジしてんの!?
もしかしてハーレムを築くことになったから!? いや、でもあれは何て言うか成り行きというか、不幸な行き違いというか。
それにハーレム築いてるヤツなら、ライザーとか他にもいるだろ!とにかく一誠にそこまで言われる理由がわからん!!
「理想?」
「はい! おれ、悪魔になる前からずっとハーレムを作りたいって思っていたんです。
上級悪魔を目指しているのも、俺だけのハーレムを作るためで...........でも、肝心の『ハーレム王』になった自分がイメージ出来なかったんです」
そりゃあ知ってるよ。正直、ハーレム王っていうのはよく分からないけどね。
ハーレムを作るために上級悪魔になるのが目標ってのは知ってる。それで何で俺が『理想』になるの?
「けど、貴方の生き方。誰よりも強くて、誰よりも優しく、男女に関わらずたくさんの人から慕われる生き方。
それは俺が理想とする『ハーレム王』そのものだったんです!!」
な、何だってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
いつの間に俺の生き方って、そんな『この世界で最も自由な海賊』みたいになってたの!?
いや、確かに自由には生きたいけど.........でもハーレムなんて無理!
こちとら生粋のコミュ障だよ!? そんなたくさんの女性に囲まれたりしたら........シンプルに死ぬ!!!
「俺は別に、ハーレムを、目指してるわけじゃない」
「分かってます! ハーレムってのは『作る』んじゃなくて、気づいたら『出来てる』ものなんですよね!!
たくさんの人から慕われてるからこそ、呂布さんが望まなくても周りに女性が集まってきて、自然とハーレムになってるんですよね!!」
分かってねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!
それに! それはハーレムじゃなくて、ただ外堀が埋められてるだけだから!! 逃げ場無くされてるだけだから!!!
ダメだよ、そんな生き方したら! そのうち女性の1人に馬乗りからお腹をメッタ刺しにされて、別の女性がその女性を殺した後で自分は首だけになって、生き残った女性と二人でクルージングすることになるから!!
あれ? もしかしたら、俺もそうなるんじゃあ.........ガタガタブルブル
「俺みたいにはなるな。ロクな目に合わない」
「.........やっぱり呂布さんは優しいですね。はい、父さんと母さんは必ず守ってみせます!
でも、だからこそ呂布さんみたいになりたいんです!! 『強さ』と『優しさ』を兼ね備えた男に!!!」
ダメだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
かっぱエビせんよろしく『やめさせられない、とめられない』状態になっているぅぅぅぅぅぅぅ!!!
「正直、今まで俺が呂布さんを受け入れられなかったのは、呂布さんが俺の『理想』だったからなんだと思います。
俺の『理想の生き方』『理想のあり方』。ソレを体現している貴方が気に入らなくて嫉妬して、認められなかったんです。ホントにバカですよね、おれ..........」
そして俺が困惑する中、一誠はとんでもないことを言い出す。
「だから都合のいいことだとは分かってます。けど願いします、呂布さん!」
「俺を貴方の弟子にしてください!!!」
お・ま・え・も・かぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
何なの!? 匙といい一誠といい、近頃の若者は弟子入りするのがトレンドにでもなってんの!?
止めてよね、俺は師匠なんてガラなんじゃないんだから!他を当たりなさい、他を!!
「やっぱりダメでしょうか? おれ、本気なんです! 本気で貴方みたいな男になって、強さと優しさを持った『真のハーレム王』になりたいんです!!」
だからハーレム王って何!? この世の全ての女性でも手に入れんの!? そんな生き方考えたこともないって!!!
「イッセー。呂布様に弟子入りしたい気持ちは分かるけど、それは無理よ」
「ああ、間違いなく各神話群の神々が許さねえだろうよ。そもそもソーナ達に一年間の修行を許可するだけでも、破格の待遇だったしな」
「そういうことじゃ、赤龍帝の小僧。諦めよ」
「ホント、今更どの口が言ってるんだか」
「まったくなのです! 厚顔無恥にも程があるのです!!」
「そうだぞ、兵藤! それに師匠って呼んでいいのは俺だけなんだからな!!」
俺がどうやって一誠を諦めさせるか考えていると、周りの皆が助け船を出してくれる。
だが匙よ、お前の呼び方も許可した覚えはないぞ?
う~~ん、でもどうしようか? 弟子にするつもりはないけど、このまま断ったって諦めなさそうだし。
それに若者のやる気を無下にするのもなぁ............あ、そうだ!
「匙」
「っ、はい!」
「六式体術の、修行方法を、教えてやれ」
これぞ『俺が教えるんじゃなくて、匙に教えた修行方法を匙から一誠に教えさせよう』作戦!
これなら一誠の直接的な師匠は匙になるから、俺が師匠呼びされることもない..........はず。
しかし俺の提案に皆が驚き、賈駆が異を唱えてくる。
「ちょっと呂布! いいの、そんなことして..........!」
「別に構わない。六式体術は、ソーナたちがいずれ作る学校で、教えることだ。良い経験になる」
「それは、そうかもしれないけど...........」
「匙。お前もいずれ、誰かに何かを、教える立場になる。一誠に教えることは、お前のためにも、なるはずだ」
「............分かりました。オーラに関しては教えなくていいんですか?」
「コクン。一誠の生命エネルギーは今、寿命の回復に、回している。逆にオーラの、扱い方を教えるのは、危険だ」
「なるほど、分かりました。呂布師匠がそう言うなら、やってみます!」
よ~しよしよし! これで一誠については匙に任せればいい。倍加持ちの一誠には、六式体術のように身体そのものを鍛えるやり方が一番効果が大きいからね。
「そういうことだから、匙に教わるといい」
「はい、ありがとうございます! 匙、よろしく頼むぜ!!」
「ああ........だがその前にやっておくことがある」
「え?」
匙は険しい顔つきで一誠に近づいてく。
ドゴッ!!
「ゴフッッ!!」
匙は一誠の腹に思いっきり拳を叩き込んだ! 一誠もいきなり殴られたからか、腹を抱えながら踞る。
「イッセー!!」
「匙、何をするのです!?」
「すみません、会長、リアス先輩。けどこれは、どうしても必要なことなんです」
リアスは殴られたイッセーを心配し、ソーナは匙を咎めようとする。しかし匙はソーナの方は向かず、一誠を見据えている。
「兵藤、前に俺が言ったこと覚えてるか? もしお前が会長や他の皆を傷つけるようなことをしたら、お前を許さないって..........!」
「っっっ..........ああ」
「本当はこんなもんじゃ済まさないんだけどな。だけどお前のことを助けた師匠や、お前に命を分け与えてくれた親父さんとおふくろさんに免じて..........これでチャラにしてやる」
「..........匙、すまなかった」
「バカ、俺にだけ謝ってどうするよ?」
「そうだな..........部長、ソーナ会長、それにみんな。俺が暴走したせいで、皆を危険に晒して.........すみませんでした!!!」
一誠は匙に殴られたお腹を擦りながら立ちあがって、リアスとソーナ、グレモリー・シトリー両眷属の前で思いっきり頭を下げた。
「いいのよ、イッセー。あなたの命が救われた、今はそれだけで十分だわ」
「兵藤君、匙がすみません。ですがご両親の想い、無駄にしてはいけませんよ」
リアスとソーナは一誠のことを微笑みながら許し、他の眷属たちも『仕方ない』といった感じで許していた。
青春してるね~~~。あ、でも結局この件についてはサーゼクスとアザゼルが責任を負うことになるんだよね。一応、曹操にも相談しておくか。
「呂布さんも! 今まで失礼を働いて、すみませんでした!! そして...........俺と両親を助けていただき、ありがとうございます!!
俺、バカだから、こんな時どうやってお礼をすればいいか............」
「気にするな。さっきも言ったが、一誠を助けたのは両親だ。俺は『きっかけ』に過ぎない」
「でも..............!」
う~~ん、なかなか納得してくれない。きっと根は素直なんだね〜〜〜〜、サイラオーグみたい。
ホントにそんな重く受け止めなくてもいいんだけどなぁ。仕方ない、ちょっと話をすり替えよう。
「強く生きろ」
「え...........?」
「お前自身が、『強い』と思う生き方をしろ。お前自身が、家族や仲間に、『強い』と胸を張れる、そんな生き方をしろ。それで十分だ」
「呂布さん..........はい、わかりました! でもどれくらい強くなれば、そんな自信が持てるんでしょうか?
おれ、歴代の赤龍帝の中で一番才能無いし、『禁手』になったのも一番遅かったみたいですし」
「ならひとまず、最高の『兵士』を目指せ」
「『最高の兵士』?』
「そうだ。冥界最高の『兵士』が誰かと聞かれたら.、誰もが『兵藤一誠』の名前を挙げる。そのくらい強くなれ」
「なるほど。確かにそのくらい強くなれば、ハーレムも出来てますよね!
よぉぉぉぉし、ハーレム王はひとまず後回しだ!部長、見ていてください!! おれ、冥界で『最高の兵士』になります!!!」
「イッセー.........ええ、楽しみにしてるわ♪」
一誠が拳を握り、両手を高く上げてリアスに宣言する。リアスも涙目になりながらも、嬉しそうに微笑んで返事をした。
イッセーの成長が嬉しいんだろうな、心境としては出来の悪い弟の成長を喜ぶ姉のようなものだろうか?
「へえ~~兵藤、それは俺よりも強くなるってことか?」
「おうよ!お前よりもずっと強くなってやる!!」
匙の問いに兵藤は力強く答えると、匙は嬉しそうに笑みを浮かべる。
「面白え、なら覚悟しておけよ。徹底的に鍛えてやるからな!」
「って、匙先輩だって六式は『鉄塊』以外まったく会得してないじゃないですか。私とメグ先輩、ツバサ先輩はもう二つ使えるのに」
「ぐっ、いいんだよ! これから一気に覚えていくんだから!」
「ププッ、何だよ、匙。後輩に負けてるのか?」
「うっせー! お前はオレ以下だろーが!! とにかく! いいか、兵藤。これからは俺のことを『匙先生』と呼べ!!」
「な、何だよソレ!? ふざけんな! 誰が呼ぶか!! 見てろよ、お前なんかすぐに追い抜いてやるからな!!!」
「おーーやってみろ! ようやく禁手になったみたいだけど、俺はお前よりもずっと先に行ってんだからな!!」
何だか知らないけど、一誠と匙がいきなり言い争いを始めた。飽きないね~~二人とも。
まぁ、競争相手がいるってのは悪いことではないし、これはこれで良いのかもね。
「呂布様」
二人の言い争いを眺めてるとリアスとアザゼル、そして一誠の両親が前に出てくる。後ろにはグレモリー眷属や朱乃の両親もいる
。
皆さんお揃いでどうしたの?
「イッセーを.......私の眷属を救っていただき、ありがとうございます。白音やギャスパーに続き、イッセーまで救っていただけるとは..........このリアス・グレモリー、貴方様からの御恩は一生忘れません」
「俺からも礼を言うぜ。イッセーを、俺の教え子を助けてくれてありがとうよ」
「呂布さん、私と妻からもお礼を申し上げます」
「ええ。私たち家族を救っていただき、ありがとうございます」
リアスが頭を下げるとアザゼルや一誠の両親、そして後ろにいるグレモリー眷属までもが一斉に頭を下げた。
キミたちも律儀だねぇ~~、俺自身が何か負担したわけじゃないのに。
「気にするな。何度も言ったが、助けたのは俺じゃない」
「ですが呂布様がいなければ、イッセーもイッセーのご両親も無事ではいられませんでした。
せめてどうか、お礼の言葉だけでも受け取ってはいただけないでしょうか?」
う~~ん、この子たちもかぁ~~~。サイラオーグの母親を治してからこんなことばかりだなぁ、ホントに俺はただの『きっかけ』なのに。
「ならアイツを、一誠を『独り』にするな」
「え?」
「一誠のこれからを、見続けてやれ。アイツが曲がった生き方をしないように。
何があっても、一誠を独りきりにするな。それで十分だ」
「っ~~~~! はい、イッセーのことは私が主として、一生見守り続けます。決して独りにはしません.........!!」
「ああ、アイツに二度と『覇龍』は使わせない。俺はアイツの先生だからな........!」
「私たちも親として..........残りの人生、あの子を出来る限り見守りたいと思います」
「はい。親として、家族として、お約束します」
「コクン」ニコリ
「呂布、そろそろ行くわよ」
俺はリアスたちの答えを聞き頷くと賈駆が呼ぶので、最後に匙と言い争いをしている一誠に近づいていく。
「一誠」
「あ、はい!」
俺が近づくと一誠も匙も途端に言い争いを止め、俺に対して直立不動になる。そんなに緊張しなくてもいいのに。
「お前は、歴代の赤龍帝で、最も弱い」
「うぐっ! 分かってはいても、そう面と向かって言われるとツラい」
「だが」
「え?」
「一誠なら、『最高』の赤龍帝になれる」
「っ、『最高』、ですか?」
「コクン」
「でも、おれ.......才能無いですよ? 禁手になったのだって、歴代で一番遅いみたいだったし。それに「それでも」 え?」
俺は少し屈んで一誠に目線を合わせ、自信を無くしている一誠の頭に手を乗せる。
「それでも俺は、一誠を信じている」
俺は一誠にそう告げると賈駆のところへ行き、オーディンたちと共に高天ヶ原へ向かうことにする。
「もう! 呂布ったら、ホンッッットにお人好しなんだから!」
「そうなのです! あんなヤツ、放っておけばいいのです!!」
「ああ、いくらなんでも世話を焼き過ぎだ」
「でも呂布さんなら仕方ないですよ♪」
「ふふふ♪ 周泰さんの言うとおり、ソレが『呂布』さんですからね♪」
賈駆、陳宮、クー・フーリンが愚痴を言い、メディアと周泰がフォローしながら迎えてくれる。
ちょっと声をかけただけで、ここまで言われるとは..........解せぬ。
原作でのイベントが無いから成長が遅いだけであって、ちゃんと強くはなれると思うから心配無いよって励ましただけなのに。
一応、原作主人公なんだから、このまま弱いってことはないでしょ?
「ふむぅ、呂布は赤龍帝の小僧を買っているようじゃなぁ。しかし.........はたして、このままで済むかどうか」
「? オーディン様、どういう意味ですか?」
「うん? いや、何でもないわいり今、結論が出せる問題ではないしのう」
「?」
オーディンの意味深な発言を聞きつつ、俺たちは高天ヶ原へと向かった。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
『それでも俺は、一誠を信じている』
呂布さんの背中を見送りながら、俺の中で呂布さんの言葉が熱を持つのを感じていた。
何だろう。あの人に『信じている』と言われた瞬間、身体が凄く熱くなって、本当に『歴代最高の赤龍帝』になれる気がしてきた!!
「呂布殿........呂布奉先殿、なんと魅力的な御仁だろうか」
「そうですわね。でも、あなたは朱乃にそんな御方を諦めさせるため、他の男性を宛がおうとしたのですよ? ねぇ、朱乃」
「はい。父様、私あの時はもの凄く絶望したんですのよ?」
「..........わかっている、もうそんなことは言わないさ。呂布殿は『本物』だ。
強さだけではない、その言動すべてがな。朱乃は..........最高の男性に出会えた」
「はい! 世界で一番、素敵な殿方ですわ//////////////」
朱乃さん、バラキエルさん、朱璃さんが呂布さんを『本物の英雄』と誉め称えている。
バラキエルさんは娘が呂布さんみたいな人と巡り会えたことが父親として嬉しいんだろうな。
そうだ。バラキエルさんの言う通り、あの人の..........呂布さんの言葉には、行動には.....『魂』が宿ってるんだ!
決して口先や見せかけなんかじゃない! あの人の言動には血が通い、魂が宿り! 『力』が、『強さ』が生まれるんだ!
だから俺の身体はこんなに熱くなり、不思議と力が湧いてくるんだ!!!
呂布さん。あれだけ失礼なことをしてきたのに、俺を助けてくれた。でも全然そのことを恩に着せるようなことはせず、さらには俺のことを信じてくれた.........こんな俺のことを。
本当に、不思議な人だ。でも.........最高に格好いい漢だ!!!
「よーーーーし! 頑張るぞ!! 目指すは『最高の兵士』で『最高の赤龍帝』だ!!!」
「ふふふ♪ 頑張ってね、イッセー♪」
「フフ、張り切ってるね、一誠君」
「はい。イッセー先輩、凄く燃えてます!」
「単純です」
「ククク、そう言ってやるなって♪ やる気があるのはいいことさ。少し暑苦しいけどな」
部長やアザゼル先生、それに眷属の皆が応援してくれたり半笑いで見てくる。
あ、そうだ!
「朱乃さん」
「? 何かしら、一誠くん」
「おれ、朱乃さんがあの人のことを好きになった理由.........ようやくわかりました」
「っ...............」
「その、今さらですけど.........頑張ってください! おれ、朱乃さんが呂布さんのお嫁さんになれるように精一杯応援します!
だから、俺に出来ることがあったら何でも言ってください!!」
「そう...........ふふ、ありがとう『イッセー』くん♪」
その日初めて..........朱乃さんが俺に向かって、心から笑ってくれたような気がした。
ようやく今章が終わりました。これで原作キャラの救済や補完は概ね完了です。
ただ、一誠についてはもう少しテコ入れをしたいと思います。個人的には『トリアイナ』の設定は好きなので♪
もちろん完全に同じというわけにはいきませんが、限りなく近い形で再現はするつもりです。
あとついでにグレモリーの皆もある程度、強化したいと思います。さすがに今のままでは不遇過ぎますのでwww
それでは次章【若手悪魔の激闘 ルーキーズ・ウォー 前編】で♪