復讐少女のジェノサイドロード!   作:黒色火薬

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EP1

 

 

私が過ごした時代は戦争が絶えない時代だった。

 

「フリーデ、早く逃げて……!」

 

圧倒的技術を持つ隣国、ドールは戦線をどんどん上げてゆき最後は一般人の虐殺にまで至った。

 

「わ、私はもうダメだから……フリーデは急いで防空壕に走って……!」

 

それに対して我がクソったれな祖国、マジェスティはその戦力差にひれ伏すしかなかった。

 

「お、お母さん……?起きてっ!?ねぇ!!ねぇってばぁっ!!」

 

だからおかしくはないだろう?

 

「……殺す……殺してやる……!!」

 

当時、齢13の少女が復讐に駆られても……な?

 

「ドールども……お前らは……!お前らだけはいつか絶対に殺してやるっ!!」

 

 * * *

 

「はぁっ……!?ま、またこの夢か……」

 

私は息を整え、額の汗を拭いながら体を起こす。

あれから2年間、それも毎日母が死んだ夢を見る。

あの時の母の優しい目がどんどん濁って暗くなっていくのは今でも思い出すだけで吐き気がする。

 

「フリーデ?大丈夫か?」

 

隣を見ると自分と同い年の男の子がいた。

 

「モンドか?……私は大丈夫だ」

 

モンドは私が勝手に運営している孤児院に初めて入ってきた同い年の男の子だ。

といっても私も彼も最年長の15歳。

実質的な親代わりをしている。

 

小さい子は私のこと母、モンドのことを父と認識しているらしい。

何度も訂正してるんだが……

 

「ボス〜!髪とかさせて!」

 

「ミーシャ?ありがとう、助かる」

 

ミーシャは私を割れた鏡の前に座らせるとお手製の櫛で髪をとかし始めた。

痛くないよう気をつけているのか結構気持ちがいい……これが私の数少ない癒しだ。

 

「ボスの黒髪って珍しいし長いしで綺麗だよね〜?」

 

「それプラス黒目だからなんか、怪しさしかないよな?」

 

「そこがかっこいいんじゃんっ!モンドは旦那なのにわからないの〜?」

 

「旦那じゃないって何回も言ってるだろ……私はモンドの灰色の髪がかっこよくて羨ましいと思うがな?」

 

「そうか?潜入の時とか黒いほうが目立たないから黒いほうがいいと思うぞ?あ、そうだ。お偉いさんから電話きてたぞ?」

 

「私に?……依頼か!?」

 

「わっ、急に立ち上がらないでよボスっ!」

 

「す、すまないな……」

 

少し残っていた眠気が一気に吹き飛んだ。

復讐の遂行にまた一歩近づけるんだ……!

そんな思いに胸が高鳴った。

 

「どこから来たか覚えてるか!?今すぐ掛け直す……!」

 

「ボスっ!そういうと思ってお話ししてたよっ!」

 

すると奥の部屋から子供が通信機を持ってきた。

彼女もまた戦争孤児だ……

 

「ありがとう。あっちでミーシャと遊んでなさい」

 

「「わかったっ!」」

 

「さて……仕事の時間ですかな?少佐殿?」

 

『君たちを頼ることになってしまったのは申し訳ない……』

 

こいつは何を言ってるんだ?

私は彼に感謝しているくらいだ。

 

「何をおっしゃるんですか?復讐に一歩近づけるじゃないですか!!」

 

『……そうですね、君はそういう人でしたね』

 

「私達から家族を奪ったドールを虐殺できるならいくらでも力を貸しますとも!」

 

『そ、そうですか、作戦を伝えたいのですが軍部に来れますか?』

 

「少佐殿ぉ?それは筋が通ってないんじゃございませんかぁ?」

 

『……と言うと?』

 

「あなた達は客です……そちらが来るのが筋ってもんじゃないですかねぇ?」

 

『これまた性格が悪い……流石は悪魔殿ですなぁ?』

 

「これくらい性格が悪くないとスラムでは生きていけないのでねぇ……お上がスラムに目を向ければいいだけの話なんですがねぇ?」

 

「おいフリーデ……!流石にやりすぎだぞ……!?」

 

お互いに嫌味を投げ合っていたらモンドに怒られてしまった。

これが少佐とのコミュニケーションなんだが……

 

「さて……彼に怒られてしまったのでおふざけはここまでにします……」

 

『気が荒い妻を持つと大変だなとモンドくんに伝えてくれますか?私は彼に酷く同情しますよ……』

 

「モンド?少佐殿から伝言……気が荒い妻を持つと大変だなって言ってるが」

 

「少佐殿!?私たちはそのような関係じゃありませんよ!?」

 

『ふっ、やっぱり彼は面白いですね?世が世ならとても出世していたでしょうね」

 

「その世を作って欲しいもんなんですがねぇ……まぁいいでしょう!こちらからむかうとしましょうかね!」

 

『そっか……それは助かります!その分孤児院への支援は期待しておいてくださいよ?」

 

「はいはい、ありがたいお言葉ですねぇ……それでは準備出来次第向かいますね?」

 

そして私は通信機の電源を切り、自作の軍服を身に纏った。

自国軍とは似ても似つかない軍服。

 

どちらかと言うとドール軍の軍服と酷似している。

この方が敵を屠りやすいし裏切り者が出たと錯覚させやすい。

 

「モンド、お前も正装はしろよ?一応お客様と会うんだからな?」

 

「はいはい……て言うかお客様って言い方悪すぎないか?」

 

「お客様はお客様だよ……私たちはなんだ?ん?」

 

「……軍部非所属諜報組織EDWSU(Even death won't separate us)だろ?」

 

「死でも我らを引き離せない……いい言葉じゃないか?」

 

「まぁフリーデもそう言うお年頃だもんな?」

 

「違うが……私たちは血のつながりはないが家族だ。その関係は何物も壊せないだろ?」

 

「それがたとえ死でもねぇ……ま、いいと思うけど」

 

「あと読みはエドワーズだぞ」

 

「それ直さないのな?」

 

そう読めないのは知ってるが……まぁ孤児だし許してくれるだろう。

なんなら読み書きができてるだけで上々なのでは?

 

「……早く行かないとあのくそクライアントが待ってるから行くぞ……お前達!私達は行ってくる!何かあれば通信機に連絡を入れるから音が聞こえる範囲での自由行動だっ!」

 

「「「はーい!!」」」

 

中からは子供達の元気な声が聞こえてきた。

これがずっと続けばいいんだけど……難しいよな。

 

「さて行きましょうかねマイハニー?」

 

「さっきの意趣返しか?マイダーリン」

 

モンドがからかってきたのでカウンターを決める。

 

「て、照れるだろ!?」

 

無事カウンターが決まった。

と言うかそれぐらいちょろいと将来悪女に引っ掛かるぞ?

 

「私達が?今更だろ……2年は一緒に過ごしてるわけだからな」

 

「うぐっ……というかあのドール大規模侵攻から2年かぁ……マジェスティもとっとと降参すりゃあいいのにな?」

 

「今更引くに引けないんだろ……」

 

あの侵攻はマジェスティにとっての大打撃となったがあれから2年間ずるずると戦争は続いている。

 

理由としては最近ようやくドールの技術力にマジェスティが追いついたのもある。

それもそうだが……

 

「一番は私たちの存在だろうなぁ……!」

 

「いきなりどうした……?あぁ、戦争でマジェスティが互角になってきた理由?」

 

「だって事実だろ?エドワーズは諜報組織だが参謀も兼任してるし、戦場で突撃するのも私達だろ?」

 

「それがドールに大打撃……まぁ非戦闘員の虐殺はしないけど」

 

「そこがドールと私たちの違いだよな……さてついたぞ?」

 

足を止めて左側、そこには巨大な建物が一つ建っていた。

マジェスティ軍本部、この国の軍事を司る施設だ。

 

「お、おう……やっぱり慣れないな?緊張してきた……」

 

「そんなに固まる必要はないさ……ちょっと待て、ネクタイがずれているぞ?今直すから止まってくれ……よしできた。がんばってくれよダーリン?」

 

「それまだやるのかよ……」

 

「いつどこに諜報員がいるかわからないからな、まぁ目の前にいるがな?ふふっ……」

 

「……行こうか?」

 

そう言って手を差し出してくれるモンド。

ま、及第点に行かないくらいか?

 

「男性ならエスコートぐらいできないと将来結婚できないぞ?」

 

「結婚する前にドールどもを殺して死ぬ予定だからへーき」

 

「……家帰ったらお説教な?」

 

「は?」

 

「すみませんお待たせしましたぁ……いや佐官ともなれば書類仕事が大変でしてね?」

 

説教が確定しているすぐ裏でメガネをかけた細身の青年が階段を駆け降りてきた。

彼は少佐。この軍でなかなかに偉い人である。

 

「少佐殿!先ほど振りですね?とりあえず中に入れてもらっても?職業柄他人がいる場で会話をするのが苦手でして……とりあえず歩きながら談笑ですかね?」

 

「会議室で紅茶を飲みながらとかどうです?最近新しい茶葉が入ってきたんですよ」

 

会議室で話すことが決まり、私たちは会議室に向かって歩き始めた

 

「と言うかそんなお金あるなら孤児院の建て替え工事にあててくださいよ……」

 

「か、会議は頭使うんですよ……?」

 

「現場で働く私たちはもっとエネルギーを使うんですが?レーションももっとちゃんとしてくれませんか?士気にもつながりますので」

 

「う、うむぅ……」

 

「さ、早速自慢のお紅茶を頂きますかね?戦時中のきつい思いをしてる国民という茶葉を濾した紅茶はどれくらい美味しいんでしょうねぇ……?」

 

「流石戦場の悪魔様ですね……舌もしっかり地獄製らしい」

 

「少佐殿?お話し中申し訳ないのですが私たちは孤児院に子供が待っていますのでできるだけお早めにご用件をお教えいただけたらと……」

 

「モンドくんも言うねぇ?私と同じくらいの不敬だなぁ〜?」

 

「し、失礼しました……!?」

 

「大丈夫ですよ!僕は他のやつと違って不敬とか気にしなので!」

 

「ありがとうございます……!」

 

「さて、ついたし席についてくれるかい?」

 

建物内を歩いて数分、目的地の会議室についた。

中は結構豪華な装飾で飾っておりそんなことしてる暇あったら税率下げるか停戦条約を結んで欲しいんだが……

 

「よいしょっと……さて?お仕事の話でもしましょうか?」

 

「今回のお仕事は、敵陣地で機密書類を確保した後密偵に書類を預けて戦線を上げる明後日に敵部隊壊滅……それが今回のミッションです」

 

「これまた無茶振りだな……敵の総数は?」

 

「中隊ほどの規模を確認しています。こちらは中隊をよこしますが……」

 

その言葉に私は怒りと忌避感を感じた。

あの人をまるで道具みたいに……!?

 

「おい少佐?彼らは道具じゃないぞ?戦争脳になると人は消耗品か?あぁ?いい性格だな?」

 

「おいフリーデ……少佐殿失礼しました!」

 

「私の仕事は作戦の裏で対策を考えることです……その途中で大量の死亡報告が届くんです。感覚を狂わせないとやっていけないんですよ……!」

 

「言い訳か……まぁいい。仕事は仕事、私情は挟まないさ」

 

「ありがとうございます……中隊と合流できたら彼らの指揮権はあなたに預けます。それでは今からお願いできますか?」

 

「今からぁ!?装備の準備とか間に合わなくないか!?ほんとやること全部が遅いな!?」

 

「会議で君たちの参戦が決定したのが昨日なんですよ……私じゃなくて頭でっかちな老害に言ってください」

 

なんか何か吹っ切れたような表情だな……まぁいい。

 

「おいモンド、早くいくぞ……!」

 

「は、はぁ!?にしてもどうやって……」

 

あぁ、口角が上がってしまう……これから戦場だと言うのにっ!!

ドールどもをこの地に伏せさせることができると考えるだけで気を遣ってしまいそうだ……!

 

「そこは私に任せてくれ……!」

 

「少佐殿、これが戦場の悪魔、人形狩りです……」

 

「……僕は今彼女が敵じゃなくって心から安堵してます。こんな狂気顔の幼女がマチェーテ片手に突撃してくるんだから本当に恐ろしいです……」

 

「おいモンド?不敬だぞ?説教2時間追加な」

 

「はぁっ!?」

 

あぁ楽しみだ……だがその前に機密書類を盗らないとかぁ?

 

「さぁ行くぞモンドっ!私たちの復讐劇の開幕だっ!!」

 

 

 

 

 




どうも黒色火薬と申します。
初めましての方は以後お見知り置きを!

さて、いつも私は性癖丸出しで百合やらTS百合やら書いてます。
ですがこんな物騒な作品を書こうと思ったのはマリアナ海溝よりも深い理由がございまして……
それは、大切なものを失って強くなる女の子……いいっ!!と言うわけではなく単純に純粋なバトルものが描きたかっただけです。
大人に匹敵した頭を持った少女が無双するのよくないですか?いいですよね!?

さて、ここで投稿についてのご報告なのですがこれの他に現在二つを投稿しております。
ですのでTS吸血鬼→Vtuber→復讐少女の順番で投稿させていただきますと言うご報告でした!

それではみなさん、次回もお楽しみに!
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